(事業税の納税義務者等)
第七百四十一條 事業税は、法人の行う事業並びに個人の行う第一種事業及び第二種事業に対し、所得を課税標準として、事務所又は事業所所在の道府県において、その法人及び個人に課する。
2 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定のあるものについては、本節中法人に関する規定を準用する。
3 第一項の第一種事業とは、左に掲げるものをいう。
一 物品販売業(動植物その他普通に物品といわないものの販売業を含む。)
四 物品貸付業(動植物その他普通に物品といわないものの貸付業を含む。)
十 運送業(運送取扱業を含む。以下事業税について同様とする。)
十六 倉庫業(物品の寄託を受け、これを保管する業を含む。)
三十三 前各号に掲げる事業に類する事業で政令で定めるもの
4 第一項の第二種事業とは、左に掲げるものをいう。
一 畜産業(農業に附随して行うもの及び主として土地を利用して行うものを除く。)
三 前二号に掲げる事業に類する事業で政令で定めるもの
5 事務所又は事業所を設けないで行う第一種事業又は第二種事業については、その事業を行う者の住所又は居所のうちその事業と最も関係の深いものをもつて、その事務所又は事業所とみなして、事業税を課する。
(事業税の信託財産)
第七百四十二條 信託財産について生ずる所得については、その所得を信託の利益として受けるべき受益者が信託財産を所有するものとみなして、事業税を課する。但し、合同運用信託(信託会社が引き受けた金銭信託で共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するものをいう。以下同様とする。)については、この限りでない。
2 前項の規定の適用については、受益者が特定せず、又はまだ存在していない場合においては、委託者又はその相続人を受益者とみなす。
(事業税の非課税の範囲)
第七百四十三條 道府県は、左の各号に掲げる事業に対しては、事業税を課することができない。
一 国並びに都道府県、特別市、市町村、特別区及びこれらの組合が行う事業
二 民法第三十四條の法人、宗教法人、学校法人及び私立学校法第六十四條第四項の法人が行う事業(收益を目的とする事業を行う部分を除く。)
三 国民金融公庫、住宅金融公庫、復興金融公庫、法令による公団、大日本育英会、商船管理委員会、持株会社整理委員会、閉鎖機関整理委員会、証券処理調整協議会、日本專売公社、日本国有鉄道及び日本放送協会が行う事業
四 健康保險組合及び健康保險組合連合会の健康保險の事業並びに国民健康保險組合、国民健康保險の事業を行う法人及び国民健康保險団体連合会の国民健康保險の事業
五 農業共済組合、農業共済組合連合会、漁船保險組合及び木船保險組合の事業
九 主として自家労力を用いて行う第二種事業で政令で定めるもの
(事業税の課税標準)
第七百四十四條 第七百四十一條第一項の所得は、法人については、昭和二十五年度にあつては昭和二十五年一月一日の属する事業年度から昭和二十六年一月一日の属する事業年度の直前の事業年度までの間、昭和二十六年度にあつては昭和二十六年一月一日の属する事業年度から昭和二十七年一月一日の属する事業年度の直前の事業年度までの間の各事業年度の所得及び清算所得とし、個人については、昭和二十五年度にあつては昭和二十四年中、昭和二十六年度にあつては昭和二十五年中における事業の所得とする。
2 前項の事業年度とは、法令、定款、寄附行為、規則又は規約に定める事業年度その他これに準ずる期間をいう。
3 法人が事業年度の中途において解散し、又は合併に因り消滅した場合においては、その事業年度開始の日から解散若しくは合併の日までの期間又は解散の日の翌日から残余財産の確定する日までの期間をもつてそれぞれ一事業年度とみなす。
4 個人が昭和二十五年一月一日から十二月三十一日までに又は昭和二十六年一月一日から十二月三十一日までに事業を廃止した場合における事業税については、第一項の所得を課税標準とするものの外、それぞれ同年一月一日から事業廃止の日までの所得を課税標準とするものを、その事業廃止後直ちに課するものとする。
5 法人の各事業年度の所得は、各事業年度の総益金から総損金を控除した金額とする。
6 信託会社の各事業年度の所得の計算については、合同運用信託に因る收入及び支出は、それぞれその総益金及び総損金から控除する。
7 法人の清算所得は、法人が解散した場合において、その残余財産の価額が解散当時の拂込株式金額又は出資金額及び積立金額の合計金額を超過するときの超過金額による。
8 法人が合併した場合において、合併に因り消滅した法人の株式出資者又は社員が合併後存続する法人若しくは合併に因り設立した法人から合併に因り取得する株式の拂込済金額又は出資金額及び金銭の総額が合併に因り消滅した法人の合併当時の拂込株式金額又は出資金額及び積立金額の合計金額を超過するときは、その超過金額は、これを合併に因り消滅した法人の清算所得とみなす。
9 個人の所得は、昭和二十五年度にあつては昭和二十四年中又は昭和二十五年一月一日から事業廃止の日まで、昭和二十六年度にあつては昭和二十五年中又は昭和二十六年一月一日から事業廃止の日までの総收入金額から必要な経費を控除した金額とする。
10 民法第三十四條の法人、学校法人その他政令で定める法人がその事業の総益金の全部又は一部を社会事業その他の公益事業に支出する場合における当該支出金額は、政令の定めるところによつて第五項の総損金に算入する。
11 第七百四十六條第二項の特別法人が取り扱つた物の数量、価格その他事業の分量に応じて分配すべき金額は、第五項の総損金に算入する。
12 法人が前事業年度から繰り越した益金は、当該事業年度の所得を計算する場合においては、総益金に算入しない。
13 法人が前事業年度から繰り越した損金は、当該事業年度の所得を計算する場合においては、総損金に算入しない。但し、法人の各事業年度開始の日前一年以内に開始した事業年度において生じた損金でその生じた事業年度以後の事業年度の所得の計算上総益金から控除されなかつたものの金額は、損金に算入する。
14 事業税の課税標準の算定については、この法律に定めるものを除く外、政令で定める。
(二以上の道府県において行う事業に対する事業税の課税標準とすべき所得金額)
第七百四十五條 二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う者に課する事業税の課税標準とすべき所得金額の総額は、主たる事務所又は事業所所在地の道府県知事が決定しなければならない。
2 二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う者に関係道府県において所得金額を課税標準として事業税を課する場合においては、その所得金額は、前項の道府県知事の定めるところによる。
3 第一項の道府県知事が所得金額の総額を決定した場合においては、直ちに前項の規定によつて関係道府県において課する事業税の課税標準とすべき所得金額を定め、これを関係道府県知事(第一項の道府県知事を除く。以下本條において同様とする。)に通知しなければならない。
4 関係道府県知事は、第一項の道府県知事が第二項の規定によつて定めた所得金額について、地方財政委員会に対し、異議の申立をすることができる。
5 前項の規定による異議の申立は、第三項の通知を受けた日から三十日以内にしなければならない。
6 第四項の規定による異議の申立に対する地方財政委員会の決定は、その申立を受理した日から六十日以内にしなければならない。
7 地方財政委員会は、特別の必要があると認める場合においては、第一項の規定によつて同項の道府県知事が定めた所得金額の総額又は第二項の規定によつて第一項の道府県知事が定めた所得金額を更正することができる。
(事業税の税率)
第七百四十六條 事業税の標準税率は、法人(特別法人を除く。)の行う事業及び個人の行う第一種事業に対するものについては百分の十二、特別法人の行う事業及び個人の行う第二種事業に対するものについては百分の八とする。
2 前項の特別法人とは、左に掲げる法人をいう。
三 貸家組合、貸家組合連合会、貸室組合及び貸室組合連合会
六 漁業協同組合、漁業生産組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会
十 相互保險会社、証券取引所及び会員組織の商品取引所
3 前項第一号及び第六号から第九号までの法人のうち所属の会員若しくは組合員又は組合若しくは連合会をして出資をさせないものに対しては、事業税を課することができない。
4 道府県は、第一項の標準税率と異なる税率で課する場合においては、あらかじめ、地方財政委員会に対してその旨を届け出なければならない。
(事業税の税率の年度区分)
第七百四十七條 法人の行う事業に対する事業税の税率は、事業年度終了の日の属する年度の税率による。
(事業税の免税点)
第七百四十八條 道府県は、個人の行う事業に対する事業税の課税標準とすべき所得金額が二万五千円に満たない場合においては、事業税を課することができない。但し、財政上その他特別の必要がある場合においては、所得金額が二万五千円に満たないときであつても、事業税を課することができる。
2 道府県は、個人の行う事業に対する事業税の課税標準とすべき所得金額が前項の規定によつて事業税を課することができる金額以上の額である場合においては、その所得金額の全額を課税標準として事業税を課するものとする。
(事業税の課税標準及び税率の特例)
第七百四十九條 電気供給業、ガス供給業及び運送業に対する事業税の課税標準は、第七百四十一條第一項及び第七百四十四條第一項の規定にかかわらず、法人の行うものにあつては各事業年度の收入金額及び清算所得、個人の行うものにあつては昭和二十五年度については昭和二十四年中又は昭和二十五年一月一日から事業廃止の日まで、昭和二十六年度については昭和二十五年中又は昭和二十六年一月一日から事業廃止の日までの間における事業の收入金額とする。收入金額を課税標準とする場合における標準税率は、第七百四十六條第一項の規定にかかわらず、百分の一・六とする。
2 法人の行う電気供給業及びガス供給業に対する事業税のうち、昭和二十五年一月一日から同年十二月三十一日までの間の日の属する事業年度分については、前項の規定にかかわらず、その課税標準は、当該事業年度開始の日から同年八月三十一日までの間において收入すべき金額及び昭和二十六年一月一日から当該事業年度の終了の日までの間において收入すべき金額の合算額とし、その標準税率は、課税標準額のうち当該事業年度の初日から昭和二十五年八月三十一日までの間において收入すべき金額に係るものにあつては百分の二・四、昭和二十六年一月一日から当該事業年度終了の日までの間において收入すべき金額に係るものにあつては百分の一・六とする。
3 第一項に規定する事業以外の事業に対する事業税の課税標準については、事業の情況に応じ、第七百四十一條第一項及び第七百四十四條の所得によらないで資本金額、売上金額、家屋の床面積若しくは賃貸価格、土地の地積若しくは賃貸価格、従業員数等を課税標準とし、又は所得とこれらの課税標準とをあわせ用いることができる。この場合における税率は、第七百四十六條の税率による場合における負担と著しく均衡を失することのないように定めなければならない。
(個人の事業税の納期)
第七百五十條 個人の行う事業に対する事業税(第七百四十四條第四項の規定による事業税を除く。)の納期は、昭和二十五年度分にあつては九月及び十二月中において、昭和二十六年度分にあつては八月及び十一月中において当該道府県の條例で定める。但し、特別の事情がある場合においては、これと異なる納期を定めることができる。
(事業税の徴收の方法)
第七百五十一條 事業税の徴收については、普通徴收の方法によらなければならない。
2 事業税を徴收しようとする場合において納税者に交付すべき徴税令書は、遅くとも、その納期限前十日までに納税者に交付しなければならない。
(事業税の賦課徴收に関する申告又は報告の義務)
第七百五十二條 事業税の納税義務者は、当該道府県の條例の定めるところによつて、事業税の賦課徴收に関し同條例で定める事項を申告し、又は報告しなければならない。
(事業税に係る虚僞の申告等に関する罪)
第七百五十三條 前條の規定によつて申告し、又は報告すべき事項について虚僞の申告又は報告をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従事者がその法人又は人の業務又は財産に関して前項の違反行為をした場合においては、その行為者を罰する外、その法人又は人に対し、同項の罰金刑を科する。
(事業税に係る不申告等に関する過料)
第七百五十四條 道府県は、事業税の納税義務者が第七百五十二條の規定によつて申告し、又は報告すべき事項について正当な理由がなくて申告又は報告をしなかつた場合においては、その者に対し、当該道府県の條例で三万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
2 前項の過料を科せられた者は、その処分に不服がある場合においては、その処分を受けた日から三十日以内に道府県知事に異議の申立をすることができる。
3 前項の規定による異議の申立に対する道府県知事の決定は、その申立を受理した日から三十日以内にしなければならない。
4 異議の決定は、文書をもつてし、事由を附けて異議の申立をした者に交付しなければならない。
5 異議の申立に関する書類を郵便をもつて差し出す場合においては、郵便逓送の日数は、第二項の期間に算入しない。
6 異議の決定に不服がある者は、裁判所に出訴することができる。
7 第二項の規定による異議の申立又は前項の規定による出訴があつても、過料の徴收は、停止しない。但し、道府県知事は、職権に基いて、又は関係人の請求によつて必要があると認める場合においては、これを停止することができる。
(事業税に係る徴税吏員の質問検査権)
第七百五十五條 道府県の徴税吏員は、事業税の賦課徴收に関する調査のために必要がある場合においては、左に掲げる者に質問し、又は第一号若しくは第二号の者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査することができる。
二 前号に規定する者に金銭又は物品を給付する義務があると認められる者
三 前二号に掲げる者以外の者で当該事業税の賦課徴收に関し直接関係があると認められる者
2 前項の場合においては、当該徴税吏員は、その身分を証明する証票を携帶し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
3 事業税に係る滯納処分に関する調査については、第一項の規定にかかわらず、第七百六十七條第一項の定めるところによる。
4 第一項の規定による質問又は検査の権限は、犯罪搜査のために認められたものと解釈してはならない。
(事業税に係る検査拒否等に関する罪)
第七百五十六條 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
一 前條の規定による帳簿書類その他の物件の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
二 前條第一項の帳簿書類で虚僞の記載をしたものを呈示した者
三 前條の規定による徴税吏員の質問に対し答弁をしない者又は虚僞の答弁をした者
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前項の違反行為をした場合においては、その行為者を罰する外、その法人又は人に対し、同項の罰金刑を科する。
(事業税の納税管理人)
第七百五十七條 事業税の納税義務者は、納税義務を負う道府県内に住所、居所、事務所又は事業所を有しない場合においては、納税に関する一切の事項を処理させるため、当該道府県の條例で定める地域内に居住する者のうちから納税管理人を定め、これを道府県知事に申告しなければならない。納税管理人を変更した場合においても、また、同様とする。
(事業税の納税管理人に係る虚僞の申告に関する罪)
第七百五十八條 前條の規定によつて申告すべき納税管理人について虚僞の申告をした者は、三万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前項の違反行為をした場合においては、その行為者を罰する外、その法人又は人に対し、同項の罰金刑を科する。
(事業税の納税管理人に係る不申告に関する過料)
第七百五十九條 道府県は、事業税の納税義務者が第七百五十七條の規定によつて申告すべき納税管理人について正当な事由がなくて申告をしなかつた場合においては、その者に対し、当該道府県の條例で三万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
2 前項の過料を科せられた者は、その処分に不服がある場合においては、その処分を受けた日から三十日以内に道府県知事に異議の申立をすることができる。
3 前項の規定による異議の申立に対する道府県知事の決定は、その申立を受理した日から三十日以内にしなければならない。
4 異議の決定は、文書をもつてし、理由を附けて異議の申立をした者に交付しなければならない。
5 異議の申立に関する書類を郵便をもつて差し出す場合においては、郵便逓送の日数は、第二項の期間に算入しない。
6 異議の決定に不服がある者は、裁判所に出訴することができる。
7 第二項の規定による異議の申立又は前項の規定による出訴があつても、過料の徴收は、停止しない。但し、道府県知事は、職権に基いて、又は関係人の請求によつて必要があると認める場合においては、これを停止することができる。
(事業税の脱税に関する罪)
第七百六十條 詐僞その他不正の行為によつて事業税の全部又は一部を免かれた場合においては、法人の代表者又は代理人若しくは使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、三年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 詐僞その他不正の行為によつて事業税の全部又は一部を免かれた者は、三年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3 前二項の免かれた税額が五百万円をこえる場合においては、情状に因り、当該各項の罰金の額は、当該各項の規定にかかわらず、五百万円をこえる額でその免かれた税額に相当する額以下の額とすることができる。
4 第一項又は第二項の罪を犯した者には、刑法第四十八條第二項、第六十三條及び第六十六條の規定は、適用しない。但し、懲役刑に処する場合又は懲役及び罰金を併科する場合における懲役刑については、この限りでない。
5 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して第一項又は第二項の違反行為をした場合においては、その行為者を罰する外、その法人又は人に対し、本條の罰金刑を科する。
(事業税の納期限の延長)
第七百六十一條 道府県知事は、当該道府県の條例の定めるところによつて、事業税の納税者のうち特別の事情がある者に対し、納期限の延長をすることができる。
(事業税の減免)
第七百六十二條 道府県知事は、天災その他特別の事情がある場合において事業税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者に限り、当該道府県の議会の議決を経て、事業税を減免することができる。
(納期限後に納付する事業税の延滯金)
第七百六十三條 事業税の納税者は、その納期限(第七百六十一條の規定による納期限の延長があつた場合においては、その延長された納期限とする。以下事業税について同様とする。)後にその税金を納付する場合においては、当該税額に、その納期限の翌日から納付の日までの期間に応じ、当該税額が百円以上であるときは、百円(百円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)について一日四銭の割合を乘じて計算した金額に相当する延滯金を加算して納付しなければならない。但し、延滯金額が十円未満である場合においては、この限りでない。
2 道府県知事は、納税者が納期限までに税金を納付しなかつたことについてやむを得ない事由があると認める場合においては、前項の延滯金額で減免することができる。
(違法又は錯誤に係る事業税の賦課の救済)
第七百六十四條 事業税の賦課を受けた者は、その賦課について違法又は錯誤があると認める場合においては、徴税令書の交付を受けた日(納期を分けた場合においては、第一期分の徴税令書の交付を受けた日)から三十日以内に道府県知事に異議の申立をすることができる。
2 前項の徴税令書を郵便をもつて発送した場合においてその到達した日が明らかでないときは、その発送した日から四日を経過した日をもつて同項の徴税令書の交付を受けた日とみなす。この場合において、納税者が到達した日を立証し得るときは、その立証に係る日をもつて徴税令書の交付を受けた日とする。
3 第一項の規定による異議の申立に対する道府県知事の決定は、その申立を受理した日から三十日以内にしなければならない。
4 異議の決定は、文書をもつてし、理由を附けて異議の申立をした者に交付しなければならない。
5 異議の申立に関する書類を郵便をもつて差し出す場合においては、郵便逓送の日数は、第一項の期間に算入しない。
6 異議の決定に不服がある者は、裁判所に出訴することができる。
7 第一項の規定による異議の申立又は前項の規定による出訴があつても、事業税に係る地方団体の徴收金の徴收は、停止しない。但し、道府県知事は、職権に基いて、又は関係人の請求によつて必要があると認める場合においては、これを停止することができる。
(事業税に係る督促)
第七百六十五條 納税者が納期限までに事業税に係る地方団体の徴收金を完納しない場合においては、道府県の徴税吏員は、納期限後二十日以内に、督促状を発しなければならない。但し、繰上徴收をする場合においては、この限りでない。
2 前項の場合においては、道府県の徴税吏員は、当該道府県の條例で定める期間内において、督促に因る納付のための相当の期限を指定しなければならない。
3 特別の事情がある道府県においては、当該道府県の條例で第一項に規定する期間と異なる期間を定めることができる。
(事業税に係る督促手数料)
第七百六十六條 道府県の徴税吏員は、督促状を発した場合においては、当該道府県の條例の定めるところによつて、手数料を徴收しなければならない。
(事業税に係る滯納処分)
第七百六十七條 第七百六十五條の規定による督促を受けた者が督促状の指定期限までに事業税に係る地方団体の徴收金を完納しない場合又は繰上徴收のための納期限変更告知書を受けた者がこれに定められた納期限までに税金を完納しない場合においては、道府県の徴税吏員は、当該道府県の條例で定める期限までに、国税徴收法の規定による滯納処分の例によつて、これを処分しなければならない。
2 前項の規定による処分に不服がある者は、その処分を受けた日から三十日以内に道府県知事に異議の申立をすることができる。
3 前項の規定による異議の申立に対する道府県知事の決定は、その申立を受理した日から六十日以内にしなければならない。
4 異議の決定は、文書をもつてし、理由を附けて異議の申立をした者に交付しなければならない。
5 異議の申立に関する書類を郵便をもつて差し出す場合においては、郵便逓送の日数は、第二項の期間に算入しない。
6 異議の決定に不服がある者は、裁判所に出訴することができる。
7 第一項の規定による処分は、当該道府県の区域外においても行うことができる。
8 第二項の規定による異議の申立又は第六項の規定による出訴があつても、処分の執行は、停止しない。但し、道府県知事は、職権に基いて、又は関係人の請求によつて必要があると認める場合においては、その執行を停止することができる。
(事業税に係る滯納処分に関する罪)
第七百六十八條 事業税の納税者は、滯納処分の執行を受ける前に当該処分の執行を免かれる目的で、財産を隠匿し、損かいし、道府県の不利益に処分し、又は財産の負担を虚僞に増加する行為をして当該処分の執行を受けた場合においては、三年以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該処分の執行を受けた後その執行を免かれる目的でこれらの行為をした場合においても、また、同様とする。
2 納税者の財産を占有する第三者が納税者に滯納処分の執行を免かれさせる目的で前項に規定する行為をした場合においては、その納税者に対する滯納処分の執行の前後を区別して、同項の例によつて懲役若しくは罰金の刑に処し、又はこれを併科する。
3 納税者に対する滯納処分の執行のある前に情を知つて第一項に規定する行為について納税者又はその財産を占有する第三者の相手方となつた者は、当該滯納処分の執行があつた場合においては、二年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。滯納処分の執行があつた後情を知つて第一項に規定する行為について納税者又はその財産を占有する第三者の相手方となつた者も、また、同様とする。
4 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前三項の違反行為をした場合においては、その行為者を罰する外、その法人又は人に対し、当該各項の罰金刑を科する。
(国税徴收法の例による事業税に係る滯納処分に関する検査拒否の罪)
第七百六十九條 第七百六十七條第一項の場合において、国税徴收法第二十一條ノ二第二項の規定の例によつて行う道府県の徴税吏員の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、三万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前項の違反行為をした場合においては、その行為者を罰する外、その法人又は人に対し、同項の罰金刑を科する。
(事業税に係る交付要求)
第七百七十條 納税者が左の各号の一に該当する場合においては、道府県の徴税吏員は、当該行政機関、地方団体、執行裁判所、執行吏、強制管理人、破産管財人、清算人又は限定承認をした相続人に対して、事業税に係る地方団体の徴收金の交付を求めなければならない。但し、他に差し押えるべき財産がある場合においては、直ちにこれを差し押えることができる。
一 国税、地方税その他の公課について滯納処分を受けるとき。
六 納税者について相続の開始があつた場合において、相続人が限定承認をしたとき。
(事業税に係る延滯加算金)
第七百七十一條 道府県の徴税吏員は、督促状を発した場合においては、事業税額が百円以上であるときは百円(百円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)について一日四銭の割合をもつて、督促状の指定期限の翌日から税金完納の日までの日数によつて計算した延滯加算金額を加算して徴收しなければならない。但し、左の各号の一に該当する場合及び延滯加算金額が十円未満である場合においては、これを徴收しない。
二 督促状の指定期限までに税金を完納しなかつたことについて、交通のと絶その他やむを得ない事由があると認めるとき。
2 前項の延滯加算金額は、税額の百分の五をこえることができない。
(事業税に係る犯則事件に関する国税犯則取締法の準用)
第七百七十二條 事業税に関する犯則事件については、国税犯則取締法の規定(第十九條ノ二及び第二十二條の規定を除く。)を準用する。
第七百七十三條 前條の場合において、国税局長の職務は道府県知事が、税務署長の職務は道府県知事又は当該道府県の條例で設置する支庁、地方事務所若しくは税務に関する事務所の長がそれぞれ行い、国税局又は税務署の收税官吏の職務は道府県知事がその職務を定めて指定する道府県の徴税吏員が行うものとする。この場合において、道府県知事は、事業税に関する犯則事件が道府県知事を除く税務署長の職務を行う者がその職務を行う区域外において発見された場合に限り、税務署長の職務を行うことができる。
第七百七十四條 第七百七十二條の場合において、收税官吏の職務を行う者は、その所属する道府県の区域外においても事業税に関する犯則事件の調査を行うことができる。
第七百七十五條 第七百七十二條の場合において、事業税に関する犯則事件は、間接国税以外の国税に関する犯則事件とする。