(土地等の立入)
第五条 通商産業大臣又は公社は、核原料物質の探鉱に関する測量又は実地調査のため必要があるときは、その職員に他人の土地又は鉱業権者若しくは租鉱権者の坑道、採鉱場、選鉱場、土石の捨場その他これらに類する施設(以下「事業場」という。)に立ち入らせることができる。
2 公社は、前項の規定によりその職員に他人の土地又は鉱業権者若しくは租鉱権者の事業場に立ち入らせようとするときは、科学技術庁長官の承認を受けなければならない。
3 科学技術庁長官は、前項の承認をしようとするときは、通商産業大臣に協議しなければならない。
4 第一項の規定により他人の土地又は鉱業権者若しくは租鉱権者の事業場に立ち入る職員は、あらかじめ土地の占有者又は鉱業権者若しくは租鉱権者に通知しなければならない。ただし、宅地若しくはかき、さく等で囲まれた土地又は鉱業権者若しくは租鉱権者の事業場に立ち入る場合を除き、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。
5 日出前及び日没後においては、土地の占有者又は鉱業権者若しくは租鉱権者の承諾があつた場合を除き、宅地若しくはかき、さく等で囲まれた土地又は鉱業権者若しくは租鉱権者の事業場に立ち入つてはならない。
6 第一項の規定により他人の土地又は鉱業権者若しくは租鉱権者の事業場に立ち入る職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
7 国又は公社は、第一項の規定による立入によつて損失を生じたときは、損失を受けた者に対し、これを補償しなければならない。
第六条 土地の占有者又は鉱業権者若しくは租鉱権者は、正当な理由がなければ、前条第一項の規定による立入を拒み、又は妨げてはならない。
(植物の伐採)
第七条 第五条第一項の規定により他人の土地に立ち入る職員は、核原料物質の探鉱に関する測量又は実地調査のためやむを得ない必要があつて障害となる植物を伐採しようとする場合において、その障害となる植物が山林、原野その他これらに類する土地にあつて、その伐採についてあらかじめ所有者の承諾を得ることが困難であり、かつ、植物の現状を著しく損傷しないときは、その承諾を得ないで伐採することができる。この場合においては、遅滞なく、その旨を所有者に通知しなければならない。
2 国又は公社は、前項の規定による植物の伐採によつて損失を生じたときは、損失を受けた者に対し、これを補償しなければならない。
(鉱物等の採取)
第八条 第五条第一項の規定により他人の土地又は鉱業権者若しくは租鉱権者の事業場に立ち入る職員は、核原料物資の探鉱に関する実地調査のためやむを得ない必要があるときは、あらかじめ所有者若しくは占有者又は鉱業権者若しくは租鉱権者に通知して、必要な最小限度の量に限り、鉱物又は土石を採取することができる。
2 国又は公社は、前項の規定による鉱物又は土石の採取によつて損失を生じたときは、損失を受けた者に対し、これを補償しなければならない。
(事業場の一時使用)
第九条 通商産業大臣又は公社は、核原料物質の探鉱を行うためやむを得ない必要があるときは、あらかじめ鉱業権者又は租鉱権者に通知して、鉱業権者又は租鉱権者の利用を著しく妨げない限度において、その用法に従い、鉱業権者又は租鉱権者の事業場を一時使用することができる。
2 公社は、前項の規定による一時使用をしようとするときは、科学技術庁長官の承認を受けなければならない。
4 第一項の規定による一時使用の期間は、六月をこえることができない。
5 国又は公社は、第一項の規定による一時使用によつて損失を生じたときは、損失を受けた者に対し、これを補償しなければならない。
(土地の使用)
第十条 通商産業大臣又は公社は、核原料物質の探鉱を行うため他人の土地を次に掲げる目的のため利用することが必要かつ適当であつて、他の土地をもつて代えることが著しく困難であるときは、これを使用することができる。
四 坑木、火薬類その他の重要資材、鉱物又は土石の置場又は捨場の設置
2 前項の規定による使用の期間は、一年をこえることができない。
(使用の協議)
第十一条 通商産業大臣又は公社は、前条第一項の規定により他人の土地を使用しようとするときは、その土地の所有者(所有者以外に権原に基いてその土地を使用する者があるときは、その者及び所有者)と土地の使用について協議しなければならない。
2 公社は、前項の規定による協議をしようとするときは、科学技術庁長官の承認を受けなければならない。
4 通商産業大臣又は公社は、第一項の規定による協議をしようとするときは、協議をしようとする日の十日前までに、その旨を公示するとともに土地の所有者及び土地に関し所有権以外の権利を有する者(以下「権利者」という。)並びに土地調整委員会に通知しなければならない。
5 通商産業大臣又は公社は、前項の規定による通知をした日から三月を経過したときは、第一項の規定による協議をすることができない。
(使用の裁決の申請)
第十二条 通商産業大臣又は公社は、前条第一項の規定による協議をすることができず、又は協議がととのわないときは、その土地の使用について土地調整委員会の裁決を申請することができる。ただし、前条第四項の規定による通知をした日から三月を経過したときは、この限りでない。
(意見書の提出)
第十三条 土地調整委員会は、前条の裁決の申請があつたときは、その旨を公示するとともに土地の所有者及び権利者に通知し、二十日を下らない期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければならない。
2 土地調整委員会は、前項の期間を経過した後でなければ、裁決をしてはならない。
(使用の裁決)
第十四条 土地を使用することができる旨の裁決においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
(裁決の公示及び通知)
第十五条 土地調整委員会は、第十二条の裁決をしたときは、遅滞なく、その旨を公示するとともに通商産業大臣又は公社並びに土地の所有者及び権利者に通知しなければならない。
(使用の裁決の効果)
第十六条 第十四条の裁決があつたときは、その裁決において定められた使用の開始の時期に、国又は公社は、その土地を使用する権利を取得し、その土地に関するその他の権利は、その土地を使用する権利の内容と抵触する限度においてその行使を制限される。
(使用の協議の効果)
第十七条 第十一条第一項の規定による協議がととのつた場合において、当事者がその協議において定めた第十四条各号に掲げる事項を土地調整委員会に届け出たときは、その届け出たところに従い、土地を使用することができる旨の裁決があつたものとみなす。ただし、第十一条第四項の規定による通知の日から三月以内に届け出た場合に限る。
(収用の裁決)
第十八条 通商産業大臣又は公社が第十条第一項の規定により他人の土地を使用する場合において、その使用によつて土地の形質が変更されるときは、土地の所有者は、その土地の収用について土地調整委員会の裁決を求めることができる。
2 前項の場合において、土地の一部が収用されることによつて残地を従来用いていた目的に供することが著しく困難となるときは、土地の所有者は、その全部の収用について土地調整委員会の裁決を求めることができる。
3 土地調整委員会は、第十一条第一項の規定による協議又は第十四条の裁決において定められた使用の期間が経過したときは、前二項の裁決をすることができない。
4 第十三条及び第十五条の規定は、第一項又は第二項の場合に準用する。この場合において、第十三条第一項中「土地の所有者」とあるのは、「通商産業大臣又は公社」と読み替えるものとする。
第十九条 土地を収用すべき旨の裁決においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
(収用の裁決の効果)
第二十条 前条の裁決があつたときは、その裁決において定められた収用の時期に、国又は公社は、その土地の所有権を取得し、その土地に関するその他の権利は、消滅する。
(損失の補償)
第二十一条 国又は公社は、土地の使用又は収用によつてその土地の所有者又は権利者が受ける損失を補償しなければならない。
2 土地の一部の使用又は収用によつて残地の価格が減じ、その他残地について損失が生ずるときは、その損失を補償しなければならない。
3 土地の一部の使用又は収用によつて残地に通路、みぞ、かきその他の工作物の新築、改築、増築若しくは修繕又は盛土若しくは切土をする必要が生ずるときは、これに要する費用を補償しなければならない。
4 前二項に規定する補償のほか、土地の使用又は収用によつてその土地の所有者又は権利者が通常受ける損失は、補償しなければならない。
5 土地の所有者又は権利者が第十一条第四項の規定による通知を受けた後に土地の形質を変更し、工作物の新築、改築、増築若しくは大修繕をし、又は物件を附加増置したときは、これについての損失は、補償することを要しない。ただし、あらかじめ通商産業大臣又は公社の承認を受けてこれらの行為をしたときは、この限りでない。
(使用の廃止等による損失の補償)
第二十二条 通商産業大臣若しくは公社が第十一条第四項の規定による通知をした後にその土地を第十条第一項各号に掲げる目的のため使用することを廃止した場合、第十二条の規定による申請を拒否する旨の裁決があつた場合又は第二十五条の規定により協議若しくは裁決が失効した場合において、これによつてその土地の所有者又は権利者が損失を受けたときは、国又は公社は、これを補償しなければならない。
2 土地の所有者又は権利者は、前項の規定による損失の補償について通商産業大臣又は公社と協議をすることができず、又は協議がととのわないときは、土地調整委員会の裁決を申請することができる。
3 第十三条、第十四条第四号及び第十五条の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、第十三条第一項中「公示するとともに土地の所有者及び権利者」とあるのは「通商産業大臣又は公社」と、第十五条中「公示するとともに通商産業大臣又は公社並びに土地の所有者及び権利者」とあるのは「通商産業大臣又は公社及び申請人」と読み替えるものとする。
4 前項において準用する第十五条の規定による通知があつたときは、裁決の定めるところに従い、当事者の間に協議がととのつたものとみなす。
(訴訟)
第二十三条 第十四条、第十九条又は前条第二項の裁決において定められた補償金の額について不服がある者は、第十五条(第十八条第四項又は前条第三項において準用する場合を含む。)の規定による通知を受けた日から六十日以内に、訴をもつてその額の増減を請求することができる。この場合においては、国若しくは公社又は土地の所有者若しくは権利者を被告としなければならない。
(供託)
第二十四条 国又は公社は、次に掲げる場合においては、補償金を供託することができる。
一 補償金を受けるべき者がその受領を拒んだとき、又はこれを受領することができないとき。
二 過失がなく補償金を受けるべき者を確知することができないとき。
三 差押又は仮差押により補償金の支払を禁じられたとき。
(協議又は裁決の失効)
第二十五条 国又は公社が第十一条第一項の規定による協議(第十七条の規定による届出があつたものに限る。)又は第十四条若しくは第十九条の裁決において定められた補償金の支払の時期までにその支払又は供託をしないときは、協議又は裁決は、その時以後その効力を失う。
(原状回復の義務)
第二十六条 国又は公社は、土地の使用が終つたとき、又は前条の規定により協議若しくは裁決が失効したときは、土地を原状に回復し、又は原状に回復しないことによつて生ずる損失を補償して、これを返還しなければならない。
(土地収用法の準用)
第二十七条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第百三条(危険負担)、第百四条(担保物権と補償金等)、第百六条第一項、第三項及び第四項(買受権)並びに第百七条(買受権の消滅)の規定は、この法律の規定による使用又は収用に係る土地に準用する。この場合において、土地収用法第百六条第一項ただし書中「第六十六条第一項」とあるのは、「核原料物質開発促進臨時措置法第十八条第二項」と読み替えるものとする。