(外貿埠頭公団の解散)
第一条 京浜外貿埠頭公団及び阪神外貿埠頭公団(以下「公団」という。)は、この法律の施行の時において解散する。
(公団の権利及び義務の承継等)
第二条 京浜外貿埠頭公団(以下「京浜公団」という。)及び阪神外貿埠頭公団(以下「阪神公団」という。)の一切の権利及び義務(京浜公団に対する政府並びに東京都及び横浜市の出資金並びに阪神公団に対する政府並びに大阪市及び神戸市の出資金に係るものを除く。)は、公団の解散の時において、京浜公団に係るものにあつては東京港及び横浜港、阪神公団に係るものにあつては大阪港及び神戸港のそれぞれにつき運輸大臣が指定する法人(以下「指定法人」という。)が、権利及び義務の承継に関し必要な事項を定めた承継計画書に定めるところに従い承継する。
2 前項の承継計画書は、京浜公団又は阪神公団が、東京港及び横浜港又は大阪港及び神戸港に係る指定法人の意見を聴き、政令で定める基準に従つて作成して運輸大臣の認可を受けたものでなければならない。
3 公団の解散の時における政府の公団に対する出資金は、公団の解散の時において、政令で定めるところにより、政府の指定法人に対する無利子貸付金となつたものとする。
4 前項の貸付金の償還に関し必要な事項は、政令で定める。
5 公団の解散の時における東京都、横浜市、大阪市及び神戸市の公団に対する出資金は、公団の解散の時において、それぞれその管理する港湾に係る指定法人に対する出えん金となつたものとする。
6 第一項の規定により指定法人が承継した旧外貿埠頭公団法(昭和四十二年法律第百二十五号。以下「旧公団法」という。)第四十一条第一項に規定する京浜外貿埠頭債券(以下「京浜債券」という。)又は阪神外貿埠頭債券(以下「阪神債券」という。)に係る債務は、京浜公団又は阪神公団の権利及び義務を承継した指定法人がそれぞれ連帯して弁済の責めに任ずる。
7 京浜債券又は阪神債券の債権者は、京浜公団又は阪神公団の権利及び義務を承継した指定法人の財産についてそれぞれ他の債権者に先立つて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
8 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
9 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条までの規定は、旧公団法第四十一条第四項の規定により公団が運輸大臣の認可を受けて京浜債券又は阪神債券の発行に関する事務を委託した銀行又は信託会社について準用する。
10 第一項、第二項及び第六項から前項までに定めるもののほか、京浜債券及び阪神債券に関し必要な事項は、政令で定める。
11 公団の解散の日の前日を含む事業年度は、その日に終わるものとする。
12 公団の解散の日の前日を含む事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、なお従前の例による。ただし、旧公団法第十条の規定は、適用しない。
13 前条の規定により公団が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(指定法人)
第三条 前条第一項の指定は、次の要件を備える法人の申請があつた場合において、東京港、横浜港、大阪港又は神戸港ごとに一を限り、行うものとする。
一 申請者が民法第三十四条の規定により港湾管理者(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第一項に規定する港湾管理者をいう。以下同じ。)が設立した財団法人であつて、旧公団法第二条に規定する外貿埠頭(以下「外貿埠頭」という。)の建設並びに貸付け及び改良、維持、災害復旧その他の管理を行うことを目的とするものであること。
二 申請者が次の業務を実施することについて適正かつ確実な計画を有すると認められる者であること。
イ 公団が建設し、又は自ら建設した外貿埠頭の施設のうち、旧公団法第二条第一号に規定する岸壁及び同条第二号に規定する施設(以下「岸壁等」という。)を有償で貸し付けること。
ハ イに掲げるもののほか、公団が建設し、又は自ら建設した外貿埠頭の改良、維持、災害復旧その他の管理を行うこと。
三 申請者が前号イからハまでに掲げる業務(以下「外貿埠頭業務」という。)を実施することについて十分な経理的基礎を有すると認められる者であること。
四 申請者の役員のうちに、港湾の建設及び管理に関する事業並びに外航海運及び港湾運送に関する事業について知識及び経験を有する者が含まれるように寄附行為において定められていること。
五 申請者の役員のうちに、禁治産者若しくは準禁治産者又は破産者で復権を得ないものがないこと。
六 申請者の役員のうちに、禁錮の刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から五年を経過していない者がないこと。
2 運輸大臣は、前条第一項の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該指定に係る港湾の港湾管理者(以下「関係港湾管理者」という。)の意見を聴かなければならない。
3 運輸大臣は、前条第一項の指定をしたときは、指定法人の名称、住所及び事務所の所在地を官報で公示しなければならない。
4 指定法人は、その名称、住所及び事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
5 運輸大臣は、前項の規定による届出があつたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(岸壁等の貸付け)
第四条 指定法人は、岸壁等を貸し付ける場合においては、次に掲げる者に対し、旧公団法第二条第一号に規定する外航貨物定期船(以下「外航貨物定期船」という。)の使用の一単位ごとに岸壁等を一体として貸し付けるものとする。
一 当該岸壁等に係る港湾を航路の起点、寄港地又は終点とする旧公団法第二条第一号に規定する外航貨物定期航路事業(以下「外航貨物定期航路事業」という。)を営む者
二 当該岸壁等に係る港湾について港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)第三条第一号の一般港湾運送事業の免許を受けた者
2 指定法人は、岸壁等を貸し付けようとするときは、外航貨物定期船の使用の一単位ごとに当該岸壁等の貸付料の額を定め、その実施前に(第二条第一項の規定により承継した貸付契約に基づいて貸し付ける場合にあつては、当該貸付契約の承継後速やかに)運輸大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 前項の貸付料の額は、運輸省令で定める基準に従つて算出されたものでなければならない。
(整備計画)
第五条 指定法人は、外貿埠頭の建設又は改良の工事を行おうとするとき(旧公団法第三十二条第一項の規定により公団が認可を受けた工事実施計画に従つて行う場合を除く。)は、運輸省令で定めるところにより、当該外貿埠頭の整備計画を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、関係港湾管理者に協議しなければならない。
3 第一項の整備計画は、次の要件に適合するものでなければならない。
一 港湾法第三条の三第九項の規定により公示された港湾計画において定められた外貿埠頭の建設又は改良の計画に適合すること。
二 当該外貿埠頭を構成するそれぞれの施設の位置、規模及び構造が当該施設の用途に対し適切であること。
三 当該外貿埠頭の供用を開始する時期が当該港湾における外航貨物定期航路事業に係る貨物の需要に対し適切であること。
(外貿埠頭の建設等に係る資金の貸付け)
第六条 政府は、指定法人に対し、政令で定めるところにより、前条第一項の認可を受けた整備計画に基づき、又は旧公団法第三十二条第一項の規定により公団が認可を受けた工事実施計画に従つて行う外貿埠頭の建設又は改良に要する費用に充てる資金の一部を無利子で貸し付けることができる。
(事業計画等)
第七条 指定法人は、毎事業年度開始前に(第二条第一項の指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後速やかに)、事業計画及び収支予算を作成し、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 第五条第二項の規定は、前項の認可をしようとする場合について準用する。
3 指定法人は、毎事業年度経過後三月以内に、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、運輸大臣に提出しなければならない。
(区分経理)
第八条 指定法人は、運輸省令で定めるところにより、外貿埠頭業務及びこれに附帯する業務に関する経理とその他の業務に関する経理とを区分して整理しなければならない。
(財産の処分の制限等)
第九条 指定法人は、運輸省令で定める重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
2 指定法人は、岸壁等の貸付けに係る業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、運輸大臣の許可を受けなければならない。
(役員の選任及び解任)
第十条 指定法人は、役員を選任し、又は解任したときは、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(監督命令)
第十一条 運輸大臣は、指定法人の行う外貿埠頭業務の運営に関し必要があると認めるときは、その必要の限度において、指定法人に対し、その業務の適正な運営を確保するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(報告及び検査)
第十二条 運輸大臣は、指定法人の行う外貿埠頭業務の運営に関し必要があると認めるときは、指定法人に対してその業務及び財産の状況に関し報告させ、又はその職員に、指定法人の事務所その他の事業所に立ち入り、業務若しくは財産の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(指定の取消し)
第十三条 運輸大臣は、指定法人が、次の各号の一に該当するときは、第二条第一項の指定を取り消すことができる。
一 外貿埠頭業務を適正に実施することができないと認められるとき。
二 この法律、この法律に基づく命令又は第五条第一項若しくは第七条第一項の規定により認可を受けた事項に違反したとき。
2 第三条第二項の規定は、前項の規定により第二条第一項の指定を取り消そうとする場合について準用する。
3 運輸大臣は、指定法人が第九条第二項の規定による岸壁等の貸付けに係る業務の全部の廃止の許可を受けたときは、第二条第一項の指定を取り消すものとする。
4 運輸大臣は、第一項又は前項の規定により第二条第一項の指定を取り消したときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(指定を取り消した場合における措置)
第十四条 前条第一項又は第三項の規定により第二条第一項の指定を取り消した場合における当該取消しに係る指定法人の権利及び義務の取扱いその他必要な措置については、別に法律で定める。
2 前条第一項又は第三項の規定により第二条第一項の指定を取り消した場合において、前項の法律に基づく必要な措置がとられるまでの間は、運輸大臣が指定する者が、政令で定めるところにより、外貿埠頭業務に係る財産の管理その他の業務を行うものとする。
(運輸省令への委任)
第十五条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、運輸省令で定める。
(罰則)
第十六条 第十一条の規定による命令に違反した者は、二十万円以下の罰金に処する。
第十七条 第十二条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、十万円以下の罰金に処する。
第十八条 指定法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者が指定法人の業務に関し前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、指定法人に対しても、各本条の刑を科する。