建物の区分所有等に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十七年四月四日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第六十九号
建物の区分所有等に関する法律
(建物の区分所有)
第一条 一むねの建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。
(定義)
第二条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(次条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び次条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
(共用部分)
第三条 数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。
2 第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
第四条 共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分は、それらの区分所有者の共有に属する。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、、第二十条第一項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。
3 民法(明治二十九年法律第八十九号)第百七十七条の規定は、共用部分には適用しない。
(区分所有者の権利義務)
第五条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
(先取特権)
第六条 区分所有者は、共用部分又は建物の敷地につき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利を含む。)及び建物に備えつけた動産の上に先取特権を有する。
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
3 民法第三百十九条の規定は、第一項の先取特権に準用する。
(区分所有権売渡請求権)
第七条 専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。
(共用部分の共有)
第八条 共用部分が区分所有者の全員又はその一部の共有に属する場合には、その共用部分の共有については、次条から第十五条までに定めるところによる。ただし、第十条及び第十二条から第十四条までに規定する事項については、規約で別段の定めをすることを妨げない。
第九条 各共有者は、共用部分をその用方に従つて使用することができる。
第十条 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
2 前項の場合において、第四条第一項ただし書の共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
第十一条 共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。
2 共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。
第十二条 共用部分の変更は、共有者全員の合意がなければ、することができない。ただし、共用部分の改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものは、共有者の持分の四分の三以上の多数で決することができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
第十三条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、共有者の持分の過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
2 前条第二項の規定は、前項本文の場合に準用する。
3 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。
第十四条 各共有者は、その持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
第十五条 共有者が共用部分につき他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行なうことができる。
(共用部分の管理所有)
第十六条 第四条第二項の規定により規約で共用部分の所有者と定められた区分所有者は、区分所有者全員(同条第一項ただし書の共用部分については、これを共用すべき区分所有者)のためにその共用部分を管理する義務を負う。この場合には、それらの区分所有者に対し、相当な管理費用を請求することができる。
2 前項の共用部分の所有者は、規約に別段の定めがない限り、その共用部分につき、保存行為及びその共用部分の性質を変えない範囲内における利用又は改良を目的とする行為を除くその他の行為をすることができない。
(管理者)
第十七条 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
2 管理者に不正な行為その他その職務を行なうに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。
第十八条 管理者は、共用部分を保存し、第十二条第一項若しくは第十三条第一項の規定による共有者の合意若しくは決定又は集会の決議を実行し、及び規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
2 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。
3 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
第十九条 管理者は、毎年一回一定の時期に、区分所有者に対し、その事務に関する報告をしなければならない。
第二十条 管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。
2 第五条第二項及び第十六条の規定は、前項の場合に準用する。
第二十一条 第六条の規定は、管理者が共用部分又は建物の敷地につき区分所有者に対して債権を有する場合に準用する。
第二十二条 この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。
(規約)
第二十三条 建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。ただし、区分所有者以外の者の権利を害することができない。
第二十四条 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者全員の書面による合意によつてする。
2 一部の区分所有者のみの共用に供されるべき共用部分に関する規約の設定、変更又は廃止は、それらの区分所有者のみの書面による合意によつてすることができる。この場合において、他の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
3 第一項及び前項前段の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
第二十五条 規約は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。
第二十六条 規約は、管理者又は区分所有者若しくはその代理人で建物を使用しているものの一人が保管しなければならない。
2 前項の規定により規約を保管すべき区分所有者又はその代理人は、区分所有者の過半数で定める。
3 第一項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、規約の閲覧をさせなければならない。
(集会)
第二十七条 管理者又は区分所有者の四分の一以上で議決権の四分の一以上を有するものは、集会を招集することができる。ただし、この定数は、規約で減ずることができる。
第二十八条 集会を招集するには、会日より少なくとも五日前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に通知しなければならない。ただし、その日数は、規約で増減することができる。
第二十九条 集会においては、前条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
第三十条 各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第十条に定める割合による。
第三十一条 集会の議事は、規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
2 議決権は、書面で、又は代理人によつて行使することができる。
第三十二条 集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者又は集会を招集した区分所有者の一人が議長となる。
第三十三条 集会の議事については、議事録を作成しなければならない。
2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長がこれに署名押印しなければならない。
3 第二十六条の規定は、議事録に準用する。
第三十四条 この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、区分所有者全員の書面による合意があつたときは、集会の決議があつたものとみなす。
2 第二十六条の規定は、前項の書面に準用する。
(建物の一部が滅失した場合)
第三十五条 建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。
2 前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第十条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる。ただし、裁判所は、他の区分所有者の請求により、相当の期限を許与することができる。
3 第一項の場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、区分所有者は、建物の再建に関し協議をしなければならない。
4 前項の協議をすることができないとき、又はその協議が成立しないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。ただし、裁判所は、他の区分所有者の請求により、代金の支払につき相当の期限を許与することができる。
5 前四項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
(団地への準用)
第三十六条 第十七条から第十九条まで及び第二十二条から第三十四条までの規定は、一団地内に数むねの建物があつて、その団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)がそれらの建物の所有者の共有に属する場合に準用する。この場合において、第十七条から第十九条まで、第二十三条から第二十八条まで、第三十条から第三十二条まで及び第三十四条中「区分所有者」とあるのは「土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)の共有者」と、第十八条及び第二十四条中「共用部分」とあるのは「土地又は附属施設」と、第十八条中「第十二条第一項若しくは第十三条第一項」とあるのは「民法第二百五十一条若しくは第二百五十二条」と、第三十条中「第十条に定める」とあるのは「持分の」と読み替えるものとする。
(過料)
第三十七条 正当な理由がなく、第二十六条第三項(第三十三条第三項、第三十四条第二項又は前条において準用する場合を含む。)の規定に違反した規約、議事録又は書面の閲覧を拒んだ者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和三十八年四月一日から施行する。
2 第十七条及び第二十四条から第三十四条まで(第三十六条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定は、前項の規定にかかわらず、公布の日から施行する。ただし、昭和三十八年四月一日前においては、この法律中その他の規定の施行に伴う準備のため必要な範囲内においてのみ、適用があるものとする。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に存する共用部分が区分所有者のみの所有に属する場合において、第四条第一項の規定に適合しないときは、その共用部分の所有者は、同条第二項の規定により規約でその共用部分の所有者と定められたものとみなす。
2 この法律の施行の際現に存する共用部分が区分所有者の全員又はその一部の共有に属する場合において、各共有者の持分が第十条の規定に適合しないときは、その持分は、第八条ただし書の規定により規約で定められたものとみなす。
3 この法律の施行の際現に存する共用部分の所有者が第四条第一項の規定の適用により損失を受けたときは、その者は、民法第七百三条の規定に従い、償金を請求することができる。
(民法の一部改正)
第三条 民法の一部を次のように改正する。
第二百八条を次のように改める。
第二百八条 削除
第二百五十七条中「第二百八条及ビ」を削る。
(不動産登記法の一部改正)
第四条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)の一部を次のように改正する。
目次中「第九十九条」を「第九十九条ノ四」に改める。
第十五条に次のただし書を加える。
但一棟ノ建物ヲ区分シタル建物ニ在リテハ其一棟ノ建物ニ属スルモノノ全部ニ付キ一用紙ヲ備フ
第十六条の次に次の一条を加える。
第十六条ノ二 第十五条但書ノ規定ニ依ル用紙ニ在リテハ表題部及び各区ハ一棟ノ建物ヲ区分シタル各建物毎ニ之ヲ設ク
第三十六条に次の一項を加える。
前項ノ場合ニ於テ建物又ハ附属建物ガ一棟ノ建物ヲ区分シタルモノナルトキハ其一棟ノ建物ノ所在ノ郡、市、区、町村、字及ビ地番並ニ構造及ビ床面積ヲ記載シ若シ一棟ノ建物ノ番号アルトキハ其番号ヲ記載スルコトヲ要ス但第一項第一号ニ掲ゲタル事項ハ之ヲ記載スルコトヲ要セズ
第九十一条に次の二項を加える。
建物又ハ附属建物ガ一棟ノ建物ヲ区分シタルモノナルトキハ其一棟ノ建物ノ所在ノ郡、市、区、町村、字及ビ地番並ニ構造及ビ床面積ヲ登記シ若シ一棟ノ建物ノ番号アルトキハ其番号ヲ登記スルコトヲ要ス但前項第一号ニ掲ゲタル事項ハ之ヲ登記スルコトヲ要セズ
区分所有権ノ目的タル建物ノ属スル一棟ノ建物ノ共用部分ニ付テノ建物ノ表示ニ関スル登記ハ建物の区分所有等に関する法律第三条第二項ノ規定ニ依リ共用部分ト為シタルモノニ付テノミ之ヲ為ス但共用部分タル旨ノ登記アル建物ニ付テハ第一項第六号ニ掲ゲタル事項ハ之ヲ登記スルコトヲ要セズ
第九十三条ノ二第一項中「第九十一条第三号乃至第五号」を「第九十一条第一項第三号乃至第五号若クハ第二項」に改め、同条第三項に次のただし書を加える。
但共用部分タル旨ノ登記アリタルトキハ其登記アリタル日ヨリ一月内ニ第一項ノ登記ヲ申請スルコトヲ要ス
第九十三条ノ二に次の二項を加える。
共用部分タル旨ノ登記アル建物ニ付テハ第一項ノ登記ハ其所有者ヨリ之ヲ申請スルコトヲ要ス此場合ニ於テハ申請書ニ申請人ノ所有権ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第八十条第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第九十三条ノ三に次の二項を加える。
共用部分タル旨ノ登記アル建物ニ付テハ第一項ノ登記ハ其所有者ノ申請ニ因リ之ヲ為ス但合併ノ登記ノ申請ハ之ヲ為スコトヲ得ズ
前項ノ場合ニ於テハ申請書ニ申請人ノ所有権ヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第九十三条ノ五中「第九十一条第一号及ビ第三号乃至第五号」を「第九十一条第一項第一号若クハ第三号乃至第五号又ハ第二項」に改める。
第九十三条ノ六に次の一項を加える。
第九十三条ノ二第四項ノ規定ハ前項ノ登記ノ申請ニ之ヲ準用ス
第九十三条ノ七中「又ハ番号」を「、番号又ハ第九十一条第二項ニ掲ゲタル事項」に、「同条」を「第八十一条ノ九」に改める。
第九十四条第一項中「又ハ甲建物若クハ其附属建物ヲ区分シ」及び「又ハ区分」を削り、同条第二項中「甲建物ヨリ其附属建物ヲ分割シテ之ヲ乙建物ト為ス場合ニ於テ」を削り、同条第三項を削る。
第九十四条の次に次の一条を加える。
第九十四条ノ二 甲建物ヲ区分シテ之ヲ乙建物ト為ス場合ニ於テ其登記ヲ為ストキハ新登記用紙中甲建物ノ表題部及ビ乙建物ノ表題部ニ区分ニ因リテ家屋番号何番ノ建物ノ登記用紙ヨリ移シタル旨ヲ記載スルコトヲ要ス但甲建物ガ区分所有権ノ目的タリシトキハ其登記用紙中乙建物ノ表題部ニ区分ニ因リテ家屋番号何番ノ建物ノ表題部ヨリ移シタル旨ヲ記載スルコトヲ要ス
前項ノ手続ヲ為シタルトキハ前登記用紙中表題部ニ区分ニ因リテ家屋番号何番及ビ何番ノ建物ノ登記用紙ニ移シタル旨ヲ記載シ甲建物ノ表示ヲ朱抹シ其登記用紙ヲ閉鎖スルコトヲ要ス但同項但書ノ場合ニ於テハ甲建物ノ表題部ニ残余部分ノ表示ヲ為シ区分ニ因リテ他ノ部分ヲ家屋番号何番ノ建物ノ表題部ニ移シタル旨ヲ記載シ前ノ表示ヲ朱抹スルコトヲ要ス
第九十五条第二項中「甲建物又ハ其附属建物」を「甲建物」に改め、「其登記ヲ為ストキハ」の下に「乙建物ノ表題部又ハ」を、「何番ノ建物ノ」の下に「表題部又ハ」を加え、同条第三項中「前条」を「第九十四条」に、「同条第三項」を「前条第二項但書」に改める。
第九十六条中「又ハ区分」を削り、同条の次に次の一条を加える。
第九十六条ノ二 第九十四条ノ二第一項ノ場合ニ於テハ甲建物ノ相当区事項欄ニ前登記用紙ヨリ所有権其他ノ権利ニ関スル登記ヲ移シ且所有権以外ノ権利ニ関スル登記中ニ乙建物ト共ニ其権利ノ目的タル旨ヲ記載シ乙建物ノ相当区事項欄ニ甲建物ノ家屋番号及ビ其建物ニ付キ同一事項ノ登記アル旨ヲ記載シテ夫々申請書受附ノ年月日及ビ受附番号ヲ記載シ登記官吏捺印スルコトヲ要ス但同項但書ノ場合ニ於テハ乙建物ノ相当区事項欄ニ甲建物ノ家屋番号及ビ其建物ニ付キ同一事項ノ登記アル旨ヲ記載シ甲建物ニ関スル所有権以外ノ権利ニ関スル登記ニ乙建物ト共ニ其権利ノ目的タル旨ヲ附記スルヲ以テ足ル
第八十三条第三項乃至第六項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第九十七条中「又ハ区分」を削る。
第九十八条中「要セズ」の下に「甲建物ト共ニ同一ノ登記用紙ニ登記シタル乙建物以外ノ建物アル場合ニ於テハ登記用紙ヲ閉鎖スルコトヲ要セズ」を加え、同条に次の三項を加える。
合併ニ因リテ乙建物ガ区分所有権ノ目的タラザルモノト為ル場合ニ於テ其登記ヲ為ストキハ新登記用紙中表題部ニ合併ニ因リテ家屋番号何番及ビ何番ノ建物ノ表題部ヨリ移シタル旨ヲ記載スルコトヲ要ス
前項ノ手続ヲ為シタルトキハ甲建物ノ表題部及ビ乙建物ノ表題部ニ合併ニ因リテ家屋番号何番ノ建物ノ登記用紙ニ移シタル旨ヲ記載シ甲建物及ビ乙建物ノ表示ヲ朱抹シ其登記用紙ヲ閉鎖スルコトヲ要ス
第二項ノ場合ニ於テハ登記用紙中甲区事項欄ニ甲建物ノ甲区及ビ乙建物ノ甲区ヨリ所有権ノ登記ヲ移シ其登記ガ甲建物又ハ乙建物タリシ部分ノミニ関スル旨、申請書受附ノ年月日及ビ受附番号ヲ記載シ登記官吏捺印スルコトヲ要ス此場合ニ於テハ第八十五条第三項ノ規定ヲ準用ス
第九十九条に次のただし書を加える。
但滅失シタル建物ガ一棟ノ建物ヲ区分シタルモノナルトキハ登記用紙ヲ閉鎖スルコトヲ要セズ
第四章第二節第二款中第九十九条の次に次の三条を加える。
第九十九条ノ二 第九十四条ノ二第一項ノ場合ノ外区分所有権ノ目的タラザル建物ガ共用部分タル旨ヲ定メタル規約ノ廃止以外ノ事由ニ因リ区分所有権ノ目的タルモノト為リタルトキハ其建物ニ関スル登記ヲ新登記用紙ニ移スコトヲ要ス第九十八条第二項ノ場合ノ外区分所有権ノ目的タル建物ガ区分所有権ノ目的タラザル共用部分以外ノ建物ト為リタルトキ亦同ジ
第七十六条第二項及ビ第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第九十九条ノ三 共用部分タル旨ノ登記ハ申請書ニ其旨ヲ定メタル規約ヲ証スル書面ヲ添附シテ表題部ニ記載シタル所有者又ハ所有権ノ登記名義人ヨリ之ヲ申請スルコトヲ要ス此場合ニ於テ共用部分ト為シタル建物ヲ目的トスル所有権ノ登記以外ノ権利ニ関スル登記アルトキハ其登記名義人ノ承諾書又ハ之ニ対抗スルコトヲ得べキ裁判ノ謄本ヲモ添附スルコトヲ要ス
前項ノ登記ノ申請アリタル場合ニ於テ其登記ヲ為ストキハ表題部ニ共用部分タル旨ヲ記載シ表題部ニ記載シタル所有者ノ表示ヲ朱抹シ又ハ所有権其他ノ権利ニ関スル登記ヲ抹消スルコトヲ要ス此場合ニ於テ共用部分ガ他ノ登記用紙ニ登記シタル建物ノ区分所有者ノ共用スべキモノナルトキハ其旨ヲモ記載スルコトヲ要ス
第九十九条ノ四 第九十三条ノ規定ハ共用部分タル旨ヲ定メタル規約ヲ廃止シタル場合ニ之ヲ準用ス前項ノ規定ニ依ル登記ノ申告書ニハ規約ヲ廃止シタルコトヲ証スル書面ヲ添附スルコトヲ要ス
第一項ノ規定ニ依ル登記ノ申請アリタル場合ニ於テ其登記ヲ為ストキハ表題部ニ所有者ヲ表示スルヲ以テ足ル此場合ニ於テ其登記ヲ為シタルトキハ共用部分タル旨ノ記載ヲ朱抹スルコトヲ要ス
(不動産登記法の改正に伴う経過措置)
第五条 この法律の施行の際現に存する区分所有権の目的たる建物の登記用紙は、法務省令の定めるところにより、前条の規定による改正後の不動産登記法第十五条ただし書の規定による登記用紙に改製しなければならない。
2 前項に定めるもののほか、不動産登記法の一部を改正する等の法律(昭和三十五年法律第十四号)附則第二条第二項の期日までの間の各登記所における建物に関する登記及び登録(同法による廃止前の家屋台帳法(昭和二十二年法律第三十一号)による登録をいう。)の手続に関し前条の規定による不動産登記法の改正に伴い必要な特則その他その改正に伴い必要な経過措置は、法務省令で定める。
(地方税法の一部改正)
第六条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第三百八十一条第一項中「第七十八条各号に掲げる事項」を「第七十八条の規定により登記する事項」に改め、同条第三項中「第九十一条各号に掲げる事項」を「第九十一条の規定により登記する事項(同条第三項ただし書の家屋にあつては、同条第一項第六号に掲げる事項を含む。)」に改める。
第三百八十三条に次の一項を加える。
2 固定資産税の納税義務がある建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第二条第四項の共用部分の所有者は、自治省令の定めるところによつて、当該共用部分である家屋について、不動産登記法第九十一条第三項ただし書の家屋にあつては毎年一月一日現在における同条第一項第六号に掲げる事項を、その他の家屋にあつては毎年一月一日現在におけるその所在、種類、構造及び床面積その他家屋補充課税台帳の登録に必要な事項を一月三十一日までに当該家屋の所在地の市町村長に申告しなければならない。
(公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律の一部改正)
第七条 公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律(昭和三十六年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第四十一条の次に次の一条を加える。
第四十一条の二 建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第一条に規定する建物の部分若しくは附属の建物で管理処分計画において施設建築物の共用部分と定められたものがあるとき、又は管理処分計画において定められた施設建築物の共用部分の共有者若しくはその共有持分が同法第四条第一項若しくは第十条の規定に適合しないときは、管理処分計画中その定めをした部分は、それぞれ同法第三条第二項又は第四条第二項若しくは第八条ただし書の規定による規約とみなす。
第四十二条中「前条」を「第四十一条」に改める。
法務大臣 植木庚子郎
建設大臣 中村梅吉
自治大臣 安井謙
内閣総理大臣 池田勇人