(目的)
第一条 この法律は、美容師の資格を定めるとともに、美容の業務が適正に行われるように規律し、もつて公衆衛生の向上に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「美容」とは、パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう。
2 この法律で「美容師」とは、都道府県知事の免許を受けて美容を業とする者をいう。
3 この法律で「美容所」とは、美容の業を行うために設けられた施設をいう。
(免許)
第三条 第四条に規定する美容師試験に合格した者は、都道府県知事の免許を受けて美容師になることができる。
2 美容師の免許は、精神病者又はてんかんにかかつている者には、与えない。
3 美容師の免許は、第六条の規定に違反した者又は第十条第三項の規定による免許の取消処分を受けた者には、与えないことができる。
4 この法律に定めるもののほか、美容師の免許に関して必要な事項は、政令で定める。
(美容師試験)
2 美容師試験は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第四十七条に規定する者であつて、厚生大臣の指定した美容師養成施設において厚生省令で定める期間以上美容師たるに必要な知識及び技能を修得した後、一年以上の実地習練を経たものでなければ受けることができない。
3 美容師養成施設は、次の各号に掲げる養成課程の全部又は一部を設けるものとする。ただし、通信課程は、昼間課程又は夜間課程を設ける美容師養成施設に限つて、設けることができる。
4 厚生大臣は、政令の定めるところにより、第二項に規定する美容師養成施設の指定に関する事務の一部を都道府県知事に委任することができる。
5 第一項から第三項までに定めるもののほか、美容師試験、美容師養成施設その他第一項から第三項までの規定の施行に関して必要な事項は、政令で定める。
(登録)
第五条 都道府県に美容師名簿を備え、美容師の免許に関する事項を登録する。
2 前項に定めるもののほか、美容師の登録に関して必要な事項は、厚生省令で定める。
(無免許営業の禁止)
第六条 美容師でなければ、美容を業としてはならない。
(美容所以外の場所における営業の禁止)
第七条 美容師は、美容所以外の場所において、美容の業をしてはならない。ただし、政令で定める特別の事情がある場合には、この限りでない。
(美容の業を行う場合に講ずべき措置)
第八条 美容師は、美容の業を行うときは、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 皮ふに接する布片及び皮ふに接する器具を清潔に保つこと。
二 皮ふに接する布片を客一人ごとに取り替え、皮ふに接する器具を客一人ごとに消毒すること。
(健康診断)
第九条 美容師は、毎年二回以上結核、トラホーム、皮ふ疾患等の疾病の有無につき行政庁が行う健康診断を受けなければならない。
2 都道府県知事は、前項の健康診断の結果その美容師の就業が公衆衛生上不適当と認めるときは、期間を定めてその業務を停止することができる。
(免許の取消及び業務の停止)
第十条 都道府県知事は、美容師が第三条第二項に規定する者に該当するときは、その免許を取り消す。
2 都道府県知事は、美容師が第七条、第八条又は前条第一項の規定に違反したときは、期間を定めてその業務を停止することができる。
3 都道府県知事は、美容師が前条第二項又は前項の規定による業務の停止処分に違反したときは、その免許を取り消すことができる。
4 第一項又は前項の規定による取消処分を受けた者であつても、疾病がなおり、又は改しゆんの情が顕著であるときは、再免許を与えることができる。
(美容所の位置等の届出)
第十一条 美容所を開設しようとする者は、厚生省令の定めるところにより、美容所の位置、構造設備、従業者の氏名等をあらかじめ都道府県知事に届け出なければならない。
2 美容所の開設者は、前項の規定により届け出た事項に変更を生じたとき、又はその美容所を廃止したときは、すみやかに都道府県知事に届け出なければならない。
(美容所の使用)
第十二条 美容所の開設者は、その美容所の構造設備について都道府県知事の検査を受け、その構造設備が第十三条の措置を講ずるに適する旨の確認を受けた後でなければ、当該美容所を使用してはならない。
(美容所について講ずべき措置)
第十三条 美容所の開設者は、美容所につき、次に掲げる措置を講じなければならない。
(立入検査)
第十四条 都道府県知事は、必要があると認めるときは、当該吏員に、美容所に立ち入り、第八条又は前条の規定による措置の実施の状況を検査させることができる。
2 前項の規定により当該吏員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係人にこれを提示しなければならない。
(閉鎖命令)
第十五条 都道府県知事は、美容所の開設者が、第十三条の規定に違反したとき、又は美容師でない者若しくは第九条第二項若しくは第十条第二項の規定による業務の停止処分を受けている者にその美容所において美容の業を行わせたときは、期間を定めて当該美容所の閉鎖を命ずることができる。
2 当該美容所において美容の業を行う美容師が第八条の規定に違反したときも、前項と同様とする。ただし、当該美容所の開設者が美容師の当該違反行為を防止するために相当の注意及び監督を尽したときは、この限りでない。
(処分の理由の通知等)
第十六条 都道府県知事は、第九条第二項、第十条第一項から第三項まで又は前条の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、当該処分を受けるべき者にその処分の理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
(美容師の会)
第十七条 美容師は、美容の業務に係る技術の向上を図るため、美容師会を組織して、美容師の養成並びに会員の指導及び連絡に資することができる。
2 二以上の美容師会は、美容の業務に係る技術の向上を図るため、連合会を組織して、美容師の養成並びに会員及びその構成員の指導及び連絡に資することができる。
(罰則)
第十八条 第六条の規定に違反した者は、一万円以下の罰金に処する。
第十九条 次の各号の一に該当する者は、五千円以下の罰金に処する。
一 第十一条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第十五条の規定による美容所の閉鎖処分に違反した者
第二十条 第十四条第一項の規定による当該吏員の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、二千円以下の罰金に処する。
第二十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の刑を科する。
(読替規定)
第二十二条 第九条第二項、第十条第二項、第十一条、第十二条、第十四条第一項、第十五条及び第十六条(美容師の免許の取消に係る場合を除く。)中「都道府県知事」とあるのは、保健所法(昭和二十二年法律第百一号)第一条の規定に基く政令で定める市にあつては、「市長」と読み替えるものとする。