(医療の実施)
第二十五条 市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、次の各号のいずれかに該当する者(加入者に限る。以下「七十歳以上の加入者等」という。)であつて当該市町村の区域内に居住地を有するものに対し、当該各号に該当するに至つた日の属する月の翌月(その日が月の初日であるときは、その日の属する月)から医療を行う。
二 六十五歳以上七十歳未満の者であつて、厚生省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該市町村長の認定を受けたもの
2 第十七条第四号から第六号までに掲げる給付及び同条第七号に掲げる給付(政令で定めるものに限る。)は、市町村長が必要と認める場合に限り、行うものとする。
3 第十七条第一号から第四号までに掲げる給付又は同条第七号に掲げる給付(政令で定めるものに限る。)を受けようとする者は、厚生省令で定めるところにより、次に掲げる病院、診療所又は薬局(以下「保険医療機関等」という。)のうち、自己の選定するものについて、健康手帳を提示して、受けるものとする。ただし、厚生省令で定める場合に該当するときは、健康手帳を提示することを要しない。
一 健康保険法第四十三条第三項第一号に規定する保険医療機関及び保険薬局
二 国民健康保険法第三十六条第四項に規定する療養取扱機関
三 前二号に掲げるもののほか、厚生省令で定める病院、診療所及び薬局
4 前項の規定にかかわらず、同項第三号の病院、診療所又は薬局にあつては、当該病院、診療所又は薬局ごとに厚生省令で定める者のみが、医療を受けることができるものとする。
5 保険医療機関等において医療を担当する医師若しくは歯科医師又は薬剤師は、次の各号に掲げる保険医療機関等の区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる医師若しくは歯科医師又は薬剤師(以下「保険医等」という。)とする。
一 第三項第一号の病院、診療所又は薬局 健康保険法第四十三条ノ二に規定する保険医又は保険薬剤師
二 第三項第二号の病院、診療所又は薬局 国民健康保険法第三十六条第三項に規定する国民健康保険医又は国民健康保険薬剤師
三 第三項第三号の病院、診療所又は薬局 前二号に掲げる者又はこれらの者以外の医師若しくは歯科医師又は薬剤師であつて厚生省令で定めるもの
(保険医療機関等の責務)
第二十六条 保険医療機関等及び保険医等は、第三十条第一項の医療の取扱い及び担当に関する基準に従い、医療を取り扱い、又は担当しなければならない。
(厚生大臣又は都道府県知事の指導)
第二十七条 保険医療機関等及び保険医等は、医療に関し、厚生大臣又は都道府県知事の指導を受けなければならない。
2 厚生大臣又は都道府県知事は、前項の指導をする場合において、必要と認めるときは、診療又は調剤に関する学識経験者をその関係団体の指定により指導に立ち合わせるものとする。ただし、関係団体が指定を行わない場合又は指定された者が立ち会わない場合は、この限りでない。
(一部負担金)
第二十八条 第二十五条第三項の規定により保険医療機関等(薬局を除く。)について医療を受ける者は、医療を受ける際、次の各号の区分に従い、当該各号に規定する額を、一部負担金として、当該保険医療機関等に支払わなければならない。
一 第十七条第一号から第三号までに掲げる給付(同条第四号に掲げる給付に伴うものを除く。)を受ける場合 保険医療機関等ごとに一月につき四百円
二 第十七条第四号に掲げる給付を受ける場合 保険医療機関等ごとに一日につき三百円
2 前項第一号の一部負担金は、各月において、初めて当該給付を受ける際に支払うものとする。
3 第一項第二号の一部負担金は、同一の病院又は診療所に継続して二月を超えて収容されるに至つたときは、その後は、支払うことを要しない。
4 医療を受ける者が保険医療機関等に対して支払うべき第一項第一号の一部負担金の額は、同号の規定にかかわらず、当該医療を受ける者が各月において初めて当該給付を受ける日に当該保険医療機関等から受けた当該給付(当該給付に伴う第十七条第七号に掲げる給付を含む。)について第三十条第一項の医療に要する費用の額の算定に関する基準により算定した額を超えることができない。
5 歯科診療及び歯科診療以外の診療を併せて行う保険医療機関等並びに二以上の診療科名を有する保険医療機関等であつて厚生省令で定めるものは、第一項第一号及び前項の規定の適用については、歯科診療及び歯科診療以外の診療又は診療科名を別にする診療ごとに、それぞれ別個の保険医療機関等とみなす。
6 保険医療機関等は、第一項の一部負担金の支払を受けるべきものとし、保険医療機関等が善良な管理者と同一の注意をもつてその支払を受けることに努めたにもかかわらず、なお医療を受けた者が当該一部負担金の全部又は一部を支払わないときは、市町村長は、当該保険医療機関等の請求に基づき、この法律の規定による徴収金の例によりこれを処分することができる。
7 市町村長は、厚生省令で定めるところにより、特別の理由により保険医療機関等に第一項の一部負担金を支払うことが困難であると認められる者に対し、一部負担金を減額し、又はその支払いを免除することができる。
(医療に関する費用)
第二十九条 市町村は、医療に関する費用を保険医療機関等に支払うものとし、保険医療機関等が医療に関し市町村に請求することができる費用の額は、次条第一項の医療に要する費用の額の算定に関する基準により算定した医療に要する費用の額から、当該医療に関して当該保険医療機関等に支払われるべき一部負担金に相当する額を控除した額とする。
2 市町村は、保険医療機関等から医療に関する費用の請求があつたときは、次条第一項の医療の取扱い及び担当に関する基準並びに医療に要する費用の額の算定に関する基準に照らして審査した上、支払うものとする。
3 市町村は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)による社会保険診療報酬支払基金(以下「基金」という。)、国民健康保険法第四十五条第五項に規定する国民健康保険団体連合会その他厚生省令で定める者に委託することができる。
(医療に関する基準)
第三十条 医療の取扱い及び担当に関する基準並びに医療に要する費用の額の算定に関する基準については、厚生大臣が中央社会保険医療協議会の意見を聴いて定めるものとする。
2 中央社会保険医療協議会は、社会保険審議会及び社会保険医療協議会法(昭和二十五年法律第四十七号)第十四条第一項の規定にかかわらず、前項の規定により意見を求められた事項について審議し、及び文書をもつて答申するほか、同項に規定する事項について、自ら厚生大臣に文書をもつて建議することができる。
(保険医療機関等の報告等)
第三十一条 厚生大臣又は都道府県知事は、医療に関して必要があると認めるときは、保険医療機関等に対し報告若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、保険医療機関等の開設者若しくは管理者、保険医等その他の従業者に対し出頭を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは保険医療機関等について設備若しくは診療録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定による質問又は検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
4 第二十七条第二項の規定は、第一項の規定による質問又は検査について準用する。
(医療費)
第三十二条 市町村長は、次に掲げる場合には、医療に代えて、医療費を支給する。
二 やむを得ない理由により保険医療機関等以外の病院、診療所又は薬局その他の者について診療、薬剤の支給又は手当を受けた場合において、必要があると認めるとき。
三 保険医療機関等について診療、薬剤の支給又は手当を受け、やむを得ない理由によりその費用を当該保険医療機関等に支払った場合において、必要があると認めるとき。
2 前項の規定により支給する医療費の額は、医療に要する費用の額から第二十八条に規定する一部負担金に相当する額を控除した額を基準として、市町村長が定める。
3 前項の医療に要する費用の額は、第三十条第一項の医療に要する費用の額の算定に関する基準により算定した額とする。ただし、その額は、現に医療に要した費用の額を超えることができない。
(特別会計)
第三十三条 市町村は、医療に関する収入及び支出について、特別会計を設けるものとする。