労働安全衛生法
法令番号: 法律第五十七号
公布年月日: 昭和47年6月8日
法令の形式: 法律
労働安全衛生法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十七年六月八日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第五十七号
労働安全衛生法
目次
第一章
総則(第一条―第五条)
第二章
労働災害防止計画(第六条―第九条)
第三章
安全衛生管理体制(第十条―第十九条)
第四章
労働者の危険又は健康障害を防止するための措置(第二十条―第三十六条)
第五章
機械等及び有害物に関する規制
第一節
機械等に関する規制(第三十七条―第五十四条)
第二節
有害物に関する規制(第五十六条―第五十八条)
第六章
労働者の就業に当たつての措置(第五十九条―第六十三条)
第七章
健康管理(第六十四条―第七十一条)
第八章
免許等(第七十二条―第七十七条)
第九章
安全衛生改善計画等
第一節
安全衛生改善計画(第七十八条―第八十条)
第二節
労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント(第八十一条―第八十七条)
第十章
監督等(第八十八条―第百条)
第十一章
雑則(第百一条―第百十五条)
第十二章
罰則(第百十六条―第百二十二条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な作業環境の形成を促進することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 労働災害 労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。
二 労働者 労働基準法第九条に規定する労働者をいう。
三 事業者 事業を行なう者で、労働者を使用するものをいう。
(事業者等の責務)
第三条 事業者は、単に労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な作業環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。
2 機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者、原材料を製造し、若しくは輸入する者又は建設物を建設し、若しくは設計する者は、これらの物の設計、製造、輸入又は建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。
3 建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。
第四条 労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。
(事業者に関する規定の適用)
第五条 二以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行なわれる当該事業の仕事を共同連帯して請け負つた場合においては、労働省令で定めるところにより、そのうちの一人を代表者として定め、これを都道府県労働基準局長に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出がないときは、都道府県労働基準局長が代表者を指名する。
3 前二項の代表者の変更は、都道府県労働基準局長に届け出なければ、その効力を生じない。
4 第一項に規定する場合においては、当該事業を同項又は第二項の代表者のみの事業と、当該代表者のみを当該事業の事業者と、当該事業の仕事に従事する労働者を当該代表者のみが使用する労働者とそれぞれみなして、この法律を適用する。
第二章 労働災害防止計画
(労働災害防止計画の策定)
第六条 労働大臣は、中央労働基準審議会の意見をきいて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画(以下「労働災害防止計画」という。)を策定しなければならない。
(変更)
第七条 労働大臣は、労働災害の発生状況、労働災害の防止に関する対策の効果等を考慮して必要があると認めるときは、中央労働基準審議会の意見をきいて、労働災害防止計画を変更しなければならない。
(公表)
第八条 労働大臣は、労働災害防止計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
(勧告等)
第九条 労働大臣は、労働災害防止計画の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、事業者、事業者の団体その他の関係者に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請をすることができる。
第三章 安全衛生管理体制
(総括安全衛生管理者)
第十条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者又は衛生管理者を指揮させるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
一 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
二 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
三 健康診断の実施その他健康管理に関すること。
四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、労働省令で定めるもの
2 総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない。
3 都道府県労働基準局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。
(安全管理者)
第十一条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、労働省令で定める資格を有する者のうちから、労働省令で定めるところにより、安全管理者を選任し、その者に前条第一項各号の業務のうち安全に係る技術的事項を管理させなければならない。
2 労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、安全管理者の増員又は解任を命ずることができる。
(衛生管理者)
第十二条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働基準局長の免許を受けた者その他労働省令で定める資格を有する者のうちから、労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に第十条第一項各号の業務のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。
2 前条第二項の規定は、衛生管理者について準用する。
(産業医)
第十三条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の労働省令で定める事項を行なわせなければならない。
(作業主任者)
第十四条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働基準局長の免許を受けた者又は都道府県労働基準局長若しくは都道府県労働基準局長の指定する者が行なう技能講習を修了した者のうちから、労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の労働省令で定める事項を行なわせなければならない。
(統括安全衛生責任者)
第十五条 事業者で、一の場所において行なう事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているもの(当該事業の仕事の一部を請け負わせる契約が二以上あるため、その者が二以上あることとなるときは、当該請負契約のうちのもつとも先次の請負契約における注文者とする。以下「元方事業者」という。)のうち、建設業その他政令で定める業種に属する事業(以下「特定事業」という。)を行なう者(以下「特定元方事業者」という。)は、その労働者及びその請負人(元方事業者の当該事業の仕事が数次の請負契約によつて行なわれるときは、当該請負人の請負契約の後次のすベての請負契約の当事者である請負人を含む。以下「関係請負人」という。)の労働者が当該場所において作業を行なうときは、これらの労働者の作業が同一の場所において行なわれることによつて生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に第三十条第一項各号の事項を統括管理させなければならない。ただし、これらの労働者の数が政令で定める数未満であるときは、この限りでない。
2 統括安全衛生責任者は、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない。
3 第三十条第四項の場合において、同項のすべての労働者の数が政令で定める数以上であるときは、当該指名された事業者は、これらの労働者に関し、これらの労働者の作業が同一の場所において行なわれることによつて生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に第三十条第一項各号の事項を統括管理させなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、第一項の規定は、適用しない。
(安全衛生責任者)
第十六条 前条第一項又は第三項の場合において、これらの規定により統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行なうものは、安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との連絡その他の労働省令で定める事項を行なわせなければならない。
2 前項の規定により安全衛生責任者を選任した請負人は、同項の事業者に対し、遅滞なく、その旨を通報しなければならない。
(安全委員会)
第十七条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。
一 労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること。
二 労働災害の原因及び再発防止対策で、安全に係るものに関すること。
三 前二号に掲げるもののほか、労働者の危険の防止に関する重要事項
2 安全委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員(以下「第一号の委員」という。)は、一人とする。
一 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
二 安全管理者のうちから事業者が指名した者
三 当該事業場の労働者で、安全に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
3 安全委員会の議長は、第一号の委員がなるものとする。
4 事業者は、第一号の委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。
5 前二項の規定は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、その限度において適用しない。
(衛生委員会)
第十八条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。
一 労働者の健康障害を防止するための基本となるベき対策に関すること。
二 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
三 前二号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止に関する重要事項
2 衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。
一 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
二 衛生管理者のうちから事業者が指名した者
三 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
3 事業者は、産業医を衛生委員会の委員として指名することができる。
4 前条第三項から第五項までの規定は、衛生委員会について準用する。この場合において、同条第三項及び第四項中「第一号の委員」とあるのは、「第十八条第二項第一号の者である委員」と読み替えるものとする。
(安全衛生委員会)
第十九条 事業者は、第十七条及び前条の規定により安全委員会及び衛生委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができる。
2 安全衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。
一 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者
二 安全管理者及び衛生管理者のうちから事業者が指名した者
三 当該事業場の労働者で、安全に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
四 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者
3 事業者は、産業医を安全衛生委員会の委員として指名することができる。
4 第十七条第三項から第五項までの規定は、安全衛生委員会について準用する。この場合において、同条第三項及び第四項中「第一号の委員」とあるのは、「第十九条第二項第一号の者である委員」と読み替えるものとする。
第四章 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置
(事業者の講ずべき措置等)
第二十条 事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。)による危険
二 爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険
三 電気、熱その他のエネルギーによる危険
第二十一条 事業者は、掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生ずる危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は、労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
第二十二条 事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害
二 放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害
三 計器監視、精密工作等の作業による健康障害
四 排気、排液又は残さい物による健康障害
第二十三条 事業者は、労働者を就業させる建設物その他の作業場について、通路、床面、階段等の保全並びに換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難及び清潔に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持のため必要な措置を講じなければならない。
第二十四条 事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
第二十五条 事業者は、労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させる等必要な措置を講じなければならない。
第二十六条 労働者は、事業者が第二十条から前条までの規定に基づき講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。
第二十七条 第二十条から第二十五条までの規定により事業者が講ずべき措置及び前条の規定により労働者が守らなければならない事項は、労働省令で定める。
2 前項の労働省令を定めるに当たつては、公害(公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)第二条第一項に規定する公害をいう。)その他一般公衆の災害で、労働災害と密接に関連するものの防止に関する法令の趣旨に反しないように配慮しなければならない。
(技術上の指針及び望ましい作業環境の標準の公表等)
第二十八条 労働大臣は、第二十条から第二十五条までの規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な業種又は作業ごとの技術上の指針を公表するものとする。
2 労働大臣は、快適な作業環境の形成を図るため必要があると認めるときは、望ましい作業環境の標準を公表することができる。
3 労働大臣は、前二項の規定により技術上の指針又は望ましい作業環境の標準を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団体に対し、当該技術上の指針又は望ましい作業環境の標準に関し必要な指導等を行なうことができる。
(元方事業者の講ずべき措置等)
第二十九条 元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行なわなければならない。
2 元方事業者は、関係請負人又は関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行なわなければならない。
3 前項の指示を受けた関係請負人又はその労働者は、当該指示に従わなければならない。
(特定元方事業者等の講ずべき措置)
第三十条 特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行なわれることによつて生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。
一 協議組織の設置及び運営を行なうこと。
二 作業間の連絡及び調整を行なうこと。
三 作業場所を巡視すること。
四 関係請負人が行なう労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行なうこと。
五 前各号に掲げるもののほか、当該労働災害を防止するため必要な事項
2 特定事業の仕事の発注者(注文者のうち、その仕事を他の者から請け負わないで注文している者をいう。以下同じ。)で、特定元方事業者以外のものは、一の場所において行なわれる特定事業の仕事を二以上の請負人に請け負わせている場合において、当該場所において当該仕事に係る二以上の請負人の労働者が作業を行なうときは、労働省令で定めるところにより、請負人で当該仕事を自ら行なう事業者であるもののうちから、前項に規定する措置を講ずべき者として一人を指名しなければならない。一の場所において行なわれる特定事業の仕事の全部を請け負つた者で、特定元方事業者以外のもののうち、当該仕事を二以上の請負人に請け負わせている者についても、同様とする。
3 前項の規定による指名がされないときは、同項の指名は、労働基準監督署長がする。
4 第二項又は前項の規定による指名がされたときは、当該指名された事業者は、当該場所において当該仕事の作業に従事するすべての労働者に関し、第一項に規定する措置を講じなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、第一項の規定は、適用しない。
(注文者の講ずべき措置)
第三十一条 特定事業の仕事を自ら行なう注文者は、建設物、設備又は原材料(以下「建設物等」という。)を、当該仕事を行なう場所においてその請負人(当該仕事が数次の請負契約によつて行なわれるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。)の労働者に使用させるときは、当該建設物等について、当該労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2 前項の規定は、当該事業の仕事が数次の請負契約によつて行なわれることにより同一の建設物等について同項の措置を講ずべき注文者が二以上あることとなるときは、後次の請負契約の当事者である注文者については、適用しない。
(請負人の講ずべき措置等)
第三十二条 第三十条第一項又は第四項の場合において、同条第一項に規定する措置を講ずべき事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行なうものは、これらの項の規定により講ぜられる措置に応じて、必要な措置を講じなければならない。
2 前条第一項の場合において、当該建設物等を使用する労働者に係る事業者である請負人は、同項の規定により講ぜられる措置に応じて、必要な措置を講じなければならない。
3 第三十条第一項若しくは第四項又は前条第一項の場合において、労働者は、これらの規定又は前二項の規定により講ぜられる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。
4 第一項及び第二項の請負人並びに前項の労働者は、特定元方事業者、注文者又は請負人が第三十条第一項若しくは第四項、前条第一項又は第一項若しくは第二項の規定に基づく措置の実施を確保するためにする指示に従わなければならない。
(機械等貸与者等の講ずべき措置等)
第三十三条 機械等で、政令で定めるものを他の事業者に貸与する者で、労働省令で定めるもの(以下「機械等貸与者」という。)は、当該機械等の貸与を受けた事業者の事業場における当該機械等による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2 機械等貸与者から機械等の貸与を受けた者は、当該機械等を操作する者がその使用する労働者でないときは、当該機械等の操作による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
3 前項の機械等を操作する者は、機械等の貸与を受けた者が同項の規定により講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。
(建築物貸与者の講ずべき措置)
第三十四条 建築物で、政令で定めるものを他の事業者に貸与する者(以下「建築物貸与者」という。)は、当該建築物の貸与を受けた事業者の事業に係る当該建築物による労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない。ただし、当該建築物の全部を一の事業者に貸与するときは、この限りでない。
(重量表示)
第三十五条 一の貨物で、重量が一トン以上のものを発送しようとする者は、見やすく、かつ、容易に消滅しない方法で、当該貨物にその重量を表示しなければならない。ただし、包装されていない貨物で、その重量が一見して明らかであるものを発送しようとするときは、この限りでない。
(労働省令への委任)
第三十六条 第三十条第一項若しくは第四項、第三十一条第一項、第三十二条第一項若しくは第二項、第三十三条第一項若しくは第二項又は第三十四条の規定によりこれらの規定に定める者が構ずべき措置及び第三十二条第三項又は第三十三条第三項の規定によりこれらの規定に定める者が守らなければならない事項は、労働省令で定める。
第五章 機械等及び有害物に関する規制
第一節 機械等に関する規制
(製造の許可)
第三十七条 ボイラーその他の特に危険な作業を必要とする機械等で、政令で定めるもの(以下「特定機械等」という。)を製造しようとする者は、労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働基準局長の許可を受けなければならない。
2 都道府県労働基準局長は、前項の許可の申請があつた場合には、その申請を審査し、申請に係る特定機械等の構造等が労働大臣の定める基準に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
(検査)
第三十八条 特定機械等を製造し、若しくは輸入した者、特定機械等で労働省令で定める期間設置されなかつたものを設置しようとする者又は特定機械等で使用を廃止したものを再び設置し、若しくは使用しようとする者は、労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る労働省令で定める事項について、都道府県労働基準局長の検査を受けなければならない。
2 特定機械等(移動式のものを除く。)を設置した者、特定機械等の労働省令で定める部分に変更を加えた者又は特定機械等で使用を休止したものを再び使用しようとする者は、労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る労働省令で定める事項について、労働基準監督署長の検査を受けなければならない。
(検査証の交付等)
第三十九条 都道府県労働基準局長は、前条第一項の検査に合格した移動式の特定機械等について、労働省令で定めるところにより、検査証を交付する。
2 労働基準監督署長は、前条第二項の検査で、特定機械等の設置に係るものに合格した特定機械等について、労働省令で定めるところにより、検査証を交付する。
3 労働基準監督署長は、前条第二項の検査で、特定機械等の部分の変更又は再使用に係るものに合格した特定機械等について、労働省令で定めるところにより、当該特定機械等の検査証に、裏書を行なう。
(使用等の制限)
第四十条 前条第一項又は第二項の検査証(以下「検査証」という。)を受けていない特定機械等(第三十八条第二項の規定により部分の変更又は再使用に係る検査を受けなければならない特定機械等で、前条第三項の裏書を受けていないものを含む。)は、使用してはならない。
2 検査証を受けた特定機械等は、検査証とともにするのでなければ、譲渡し、又は貸与してはならない。
(検査証の有効期間等)
第四十一条 検査証の有効期間(次項の規定により検査証の有効期間が更新されたときにあつては、当該更新された検査証の有効期間)は、特定機械等の種類に応じて、労働省令で定める期間とする。
2 検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る労働省令で定める事項について、労働基準監督署長又は労働大臣の指定する者(以下「検査代行機関」という。)が行なう性能検査を受けなければならない。
(譲渡等の制限)
第四十二条 特定機械等以外の機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない。
第四十三条 動力により駆動される機械等で、作動部分上の突起物又は動力伝導部分若しくは調速部分に労働省令で定める防護のための措置が施されていないものは、譲渡し、貸与し、又は譲渡若しくは貸与の目的で展示してはならない。
(検定)
第四十四条 第四十二条の機械等のうち、政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、労働省令で定めるところにより、当該機械等について、労働大臣、都道府県労働基準局長又は労働大臣の指定する者(以下「検定代行機関」という。)が行なう検定を受けなければならない。
2 前項の検定(以下「検定」という。)を受けた者は、当該検定に合格した機械等に、労働省令で定めるところにより、当該検定に合格した旨の表示を附さなければならない。
3 検定に合格した機械等以外の機械等には、前項の表示を附し、又はこれと紛らわしい表示を附してはならない。
4 第一項の機械等で、第二項の表示が附されていないものは、使用してはならない。
(定期自主検査)
第四十五条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。
(検査代行機関の指定)
第四十六条 第四十一条第二項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)は、労働省令で定める区分ごとに、同項の性能検査(以下「性能検査」という。)を行なおうとする者の申請により行なう。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、指定を受けることができない。
一 この法律又はこれに基づく命令の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
二 第五十三条第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
三 法人で、その業務を行なう役員のうちに第一号に該当する者があるもの
3 労働大臣は、第一項の申請が労働省令で定める基準に適合していると認めるときでなければ、指定をしてはならない。
(性能検査の義務等)
第四十七条 検査代行機関は、性能検査を行なうべきことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、性能検査を行なわなければならない。
2 検査代行機関は、性能検査を行なうときは、労働省令で定める資格を有する者にこれを実施させなければならない。
(業務規程)
第四十八条 検査代行機関は、性能検査の業務に関する規程(以下「業務規程」という。)を定め、労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 業務規程で定めるべき事項は、労働省令で定める。
3 労働大臣は、第一項の認可をした業務規程が性能検査の公正な実施上不適当となつたと認めるときは、これを変更すべきことを命ずることができる。
(業務の休廃止)
第四十九条 検査代行機関は、労働大臣の許可を受けなければ、性能検査の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
(事業報告)
第五十条 検査代行機関は、毎事業年度経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、労働大臣に提出しなければならない。
(検査員の選任及び解任)
第五十一条 第四十七条第二項の規定により性能検査を実施する者(以下「検査員」という。)の選任は、労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 労働大臣は、検査員がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定又は業務規程に違反したときその他その職務を行なうのに適当でないと認めるときは、その検査代行機関に対し、その検査員を解任すべきことを命ずることができる。
(役員及び職員の地位)
第五十二条 検査代行機関の役員又は職員で、性能検査の業務に従事するものは、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(指定の取消し等)
第五十三条 労働大臣は、検査代行機関が第四十六条第二項第一号又は第三号に該当するに至つたときは、その指定を取り消さなければならない。
2 労働大臣は、検査代行機関が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その指定を取り消し、又は六月をこえない範囲内で期間を定めて性能検査の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第四十六条第三項の基準に適合しなくなつたと認められるとき。
二 第四十七条、第四十九条又は第五十条の規定に違反したとき。
三 第四十八条第一項の認可を受けた業務規程によらないで性能検査を行なつたとき。
四 第四十八条第三項又は第五十一条第二項の規定による命令に違反したとき。
五 第百十条第一項の条件に違反したとき。
(検定代行機関)
第五十四条 第四十六条から前条までの規定は、検定代行機関に関して準用する。この場合において、第四十六条第一項中「第四十一条第二項」とあるのは「第四十四条第一項」と、同項、第四十七条、第四十八条第一項及び第三項、第四十九条、第五十一条第一項、第五十二条並びに前条第二項中「性能検査」とあるのは「検定」と、第五十一条中「検査員」とあるのは「検定員」と読み替えるものとする。
第二節 有害物に関する規制
(製造等の禁止)
第五十五条 黄りんマッチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。
(製造の許可)
第五十六条 ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるものを製造しようとする者は、労働省令で定めるところにより、あらかじめ、労働大臣の許可を受けなければならない。
2 労働大臣は、前項の許可の申請があつた場合には、その申請を審査し、製造設備、作業方法等が労働大臣の定める基準に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
3 第一項の許可を受けた者(以下「製造者」という。)は、その製造設備を、前項の基準に適合するように維持しなければならない。
4 製造者は、第二項の基準に適合する作業方法に従つて第一項の物を製造しなければならない。
5 労働大臣は、製造者の製造設備又は作業方法が第二項の基準に適合していないと認めるときは、当該基準に適合するように製造設備を修理し、改造し、若しくは移転し、又は当該基準に適合する作業方法に従つて第一項の物を製造すべきことを命ずることができる。
6 労働大臣は、製造者がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定又はこれらの規定に基づく処分に違反したときは、第一項の許可を取り消すことができる。
(表示)
第五十七条 ベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は前条第一項の物を譲渡し、又は提供する者は、労働省令で定めるところにより、その容器(容器に入れないで譲渡し、又は提供するときにあつては、その包装。以下同じ。)に次の事項を表示しなければならない。ただし、その容器のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。
一 名称
二 成分及びその含有量
三 労働省令で定める物にあつては、人体に及ぼす作用
四 労働省令で定める物にあつては、貯蔵又は取扱い上の注意
五 前各号に掲げるもののほか、労働省令で定める事項
(有害性の調査等)
第五十八条 事業者は、化学薬品、化学薬品を含有する製剤その他の物で、労働者の健康障害を生ずるおそれのあるものについては、あらかじめ、これらの物の有害性等を調査し、その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、これらの物による労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。
第六章 労働者の就業に当たつての措置
(安全衛生教育)
第五十九条 事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
2 前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。
3 事業者は、危険又は有害な業務で、労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。
第六十条 事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなつた職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
一 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。
二 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。
三 前二号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項で、労働省令で定めるもの
(就業制限)
第六十一条 事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働基準局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働基準局長若しくは都道府県労働基準局長の指定する者が行なう当該業務に係る技能講習を修了した者その他労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務につかせてはならない。
2 前項の規定により当該業務につくことができる者以外の者は、当該業務を行なつてはならない。
3 第一項の規定により当該業務につくことができる者は、当該業務に従事するときは、これに係る免許証その他その資格を証する書面を携帯していなければならない。
4 職業訓練法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項の認定に係る職業訓練を受ける労働者について必要がある場合においては、その必要の限度で、前三項の規定について、労働省令で別段の定めをすることができる。
(中高年齢者等についての配慮)
第六十二条 事業者は、中高年齢者その他労働災害の防止上その就業に当たつて特に配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行なうように努めなければならない。
(国の援助)
第六十三条 国は、事業者が行なう安全又は衛生のための教育の効果的実施を図るため、指導員の養成及び資質の向上のための措置、教育指導方法の整備及び普及、教育資料の提供その他必要な施策の充実に努めるものとする。
第七章 健康管理
(作業環境の維持管理)
第六十四条 事業者は、事業場における衛生の水準の向上を図るため、作業環境を快適な状態に維持管理するように努めなければならない。
(作業環境の測定)
第六十五条 事業者は、有害な業務を行なう屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、労働省令で定めるところにより、空気環境その他の作業環境について必要な測定をし、及びその結果を記録しておかなければならない。
(健康診断)
第六十六条 事業者は、労働者に対し、労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。
2 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。
3 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。
4 都道府県労働基準局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、労働省令で定めるところにより、事業者に対し、臨時の健康診断の実施その他必要な事項を指示することができる。
5 労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。
6 事業者は、第一項から第四項まで又は前項ただし書の規定による健康診断の結果、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な措置を講じなければならない。
(健康管理手帳)
第六十七条 都道府県労働基準局長は、がんその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務で、政令で定めるものに従事していた者のうち、労働省令で定める要件に該当する者に対し、離職の際に、当該業務に係る健康管理手帳を交付するものとする。ただし、現に当該業務に係る健康管理手帳を所持している者については、この限りでない。
2 政府は、健康管理手帳を所持している者に対する健康診断に関し、労働省令で定めるところにより、必要な措置を行なう。
3 健康管理手帳の交付を受けた者は、当該健康管理手帳を他人に譲渡し、又は貸与してはならない。
4 健康管理手帳の様式その他健康管理手帳について必要な事項は、労働省令で定める。
(病者の就業禁止)
第六十八条 事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、労働省令で定めるものにかかつた労働者については、労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。
(作業時間の制限)
第六十九条 事業者は、潜水業務その他の健康障害を生ずるおそれのある業務で、労働省令で定めるものに従事させる労働者については、労働省令で定める作業時間についての基準に反して、当該業務に従事させてはならない。
(健康の保持増進のための措置)
第七十条 事業者は、労働者の健康の保持増進を図るため、体育活動、レクリエーションその他の活動についての便宜を供与する等必要な措置を講ずるように努めなければならない。
(国の援助)
第七十一条 国は、第六十六条及び第六十七条の健康診断の適切な実施を図るため、当該健康診断の水準を向上させるための必要な資料の提供、中小企業における当該健康診断の実施を促進させるための施策の充実その他必要な援助に努めるものとする。
第八章 免許等
(免許)
第七十二条 第十二条第一項、第十四条又は第六十一条第一項の免許(以下「免許」という。)は、第七十五条第一項の免許試験に合格した者その他労働省令で定める資格を有する者に対し、免許証を交付して行なう。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、免許を受けることができない。
一 身体又は精神の欠陥により免許に係る業務につくことが不適当であると認められる者
二 第七十四条第二項の規定により免許を取り消され、その取消しの日から起算して一年を経過しない者
三 前二号に掲げる者のほか、免許の種類に応じて、労働省令で定める者
第七十三条 前条第一項の免許証(以下「免許証」という。)には、労働省令で定めるところにより、有効期間を設けることができる。
2 都道府県労働基準局長は、免許証の有効期間の更新の申請があつた場合には、当該免許証を有する者が労働省令で定める要件に該当するときでなければ、当該免許証の有効期間を更新してはならない。
(免許の取消し等)
第七十四条 都道府県労働基準局長は、免許を受けた者が第七十二条第二項第一号又は第三号に該当するに至つたときは、その免許を取り消さなければならない。
2 都道府県労働基準局長は、免許を受けた者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その免許を取り消し、又は六月をこえない範囲内で期間を定めてその免許の効力を停止することができる。
一 故意又は重大な過失により、当該免許に係る業務について重大な事故を発生させたとき。
二 当該免許に係る業務について、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反したとき。
三 第百十条第一項の条件に違反したとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、免許の種類に応じて、労働省令で定めるとき。
(試験)
第七十五条 免許試験は、労働省令で定める区分ごとに、都道府県労働基準局長が行なう。
2 前項の免許試験は、学科試験及び実技試験又はこれらのいずれかによつて行なう。
3 都道府県労働基準局長は、労働省令で定めるところにより、都道府県労働基準局長の指定する者が行なう教習を修了した者でその修了した日から起算して一年を経過しないものその他労働省令で定める資格を有する者に対し、前項の学科試験又は実技試験の全部又は一部を免除することができる。
4 第一項の免許試験の受験資格、試験科目及び受験手続その他同項の免許試験の実施について必要な事項は、労働省令で定める。
(技能講習)
第七十六条 第十四条又は第六十一条第一項の技能講習(以下「技能講習」という。)は、労働省令で定める区分ごとに、学科講習又は実技講習によつて行なう。
2 技能講習を行なつた者は、当該技能講習を修了した者に対し、労働省令で定めるところにより、技能講習修了証を交付しなければならない。
3 技能講習の受講資格、講習科目及び受講手続その他技能講習の実施について必要な事項は、労働省令で定める。
(指定教習機関)
第七十七条 第十四条、第六十一条第一項又は第七十五条第三項の規定による指定(以下この条及び第百十二条第十二号において「指定」という。)は、労働省令で定める区分ごとに、技能講習又は第七十五条第三項の教習(以下「教習」という。)を行なおうとする者の申請により行なう。
2 第四十六条第二項及び第三項、第四十八条、第五十条、第五十二条並びに第五十三条の規定は、技能講習又は教習を行なう者(以下「指定教習機関」という。)に関して準用する。この場合において、第四十六条第三項、第四十八条第一項及び第三項、第五十条並びに第五十三条中「労働大臣」とあるのは「都道府県労働基準局長」と、第四十六条第三項中「第一項」とあるのは「第七十七条第一項」と、第四十八条第一項及び第三項、第五十二条並びに第五十三条第二項第三号中「性能検査」とあるのは「第十四条若しくは第六十一条第一項の技能講習又は第七十五条第三項の教習」と、同項各号列記以外の部分中「性能検査」とあるのは「第十四条若しくは第六十一条第一項の技能講習若しくは第七十五条第三項の教習」と、同項第二号中「第四十七条、第四十九条又は第五十条」とあるのは「第五十条」と、同項第四号中「第四十八条第三項又は第五十一条第二項」とあるのは「第四十八条第三項」と読み替えるものとする。
第九章 安全衛生改善計画等
第一節 安全衛生改善計画
(安全衛生改善計画の作成の指示等)
第七十八条 都道府県労働基準局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるときは、労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該事業場の安全又は衛生に関する改善計画(以下「安全衛生改善計画」という。)を作成すべきことを指示することができる。
2 事業者は、安全衛生改善計画を作成しようとする場合には、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の意見をきかなければならない。
(安全衛生改善計画の遵守)
第七十九条 前条第一項の事業者及びその労働者は、安全衛生改善計画を守らなければならない。
(安全衛生診断)
第八十条 都道府県労働基準局長は、第七十八条第一項の規定による指示をした場合において、専門的な助言を必要とすると認めるときは、当該事業者に対し、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントによる安全又は衛生に係る診断を受け、かつ、安全衛生改善計画の作成について、これらの者の意見をきくべきことを勧奨することができる。
第二節 労働安全コンサルタント及び労働衛生コンサルタント
(業務)
第八十一条 労働安全コンサルタントは、労働安全コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の安全の水準の向上を図るため、事業場の安全についての診断及びこれに基づく指導を行なうことを業とする。
2 労働衛生コンサルタントは、労働衛生コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行なうことを業とする。
(労働安全コンサルタント試験)
第八十二条 労働安全コンサルタント試験は、労働大臣が行なう。
2 労働安全コンサルタント試験は、労働省令で定める区分ごとに、筆記試験及び口述試験によつて行なう。
3 次の各号のいずれかに該当する者でなければ、労働安全コンサルタント試験を受けることができない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学(短期大学を除く。)若しくは旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後五年以上安全の実務に従事した経験を有するもの
二 学校教育法による短期大学又は高等専門学校において理科系統の正規の課程を修めて卒業した者で、その後七年以上安全の実務に従事した経験を有するもの
三 前二号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者で、労働省令で定めるもの
4 労働大臣は、労働省令で定める資格を有する者に対し、第二項の筆記試験又は口述試験の全部又は一部を免除することができる。
(労働衛生コンサルタント試験)
第八十三条 労働衛生コンサルタント試験は、労働大臣が行なう。
2 前条第二項から第四項までの規定は、労働衛生コンサルタント試験について準用する。この場合において、同条第三項第一号及び第二号中「安全」とあるのは、「衛生」と読み替えるものとする。
(登録)
第八十四条 労働安全コンサルタント試験又は労働衛生コンサルタント試験に合格した者は、労働省に備える労働安全コンサルタント名簿又は労働衛生コンサルタント名簿に、氏名、事務所の所在地その他労働省令で定める事項の登録を受けて、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントとなることができる。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、前項の登録を受けることができない。
一 禁治産者又は準禁治産者
二 この法律又はこれに基づく命令の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
三 この法律及びこれに基づく命令以外の法令の規定に違反して、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
四 次条第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
(登録の取消し)
第八十五条 労働大臣は、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタント(以下「コンサルタント」という。)が前条第二項第一号から第三号までのいずれかに該当するに至つたときは、その登録を取り消さなければならない。
2 労働大臣は、コンサルタントが次条の規定に違反したときは、その登録を取り消すことができる。
(義務)
第八十六条 コンサルタントは、コンサルタントの信用を傷つけ、又はコンサルタント全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
2 コンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。コンサルタントでなくなつた後においても、同様とする。
(日本労働安全衛生コンサルタント会)
第八十七条 コンサルタントは、全国を通じて一の日本労働安全衛生コンサルタント会と称する民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定による法人を設立することができる。
2 日本労働安全衛生コンサルタント会は、コンサルタントの品位の保持及びその業務の進歩改善に資するため、会員の指導及び連絡に関する事務を行なうことを目的とする。
3 第一項の法人以外の者は、その名称中に日本労働安全衛生コンサルタント会の文字を用いてはならない。
第十章 監督等
(計画の届出等)
第八十八条 事業者は、当該事業場の業種及び規模が政令で定めるものに該当する場合において、当該事業場に係る建設物若しくは機械等を設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の三十日前までに、労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。ただし、仮設の建設物又は機械等で、労働省令で定めるものについては、この限りでない。
2 前項の規定は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとする事業者(同項の事業者を除く。)について準用する。
3 事業者は、建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で、労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の十四日前までに、労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。
4 前項の規定は、当該仕事が数次の請負契約によつて行なわれる場合において、当該仕事を自ら行なう発注者がいるときは当該発注者以外の事業者、当該仕事を自ら行なう発注者がいないときは元請負人以外の事業者については、適用しない。
5 労働基準監督署長は、第一項(第二項において準用する場合を含む。)又は第三項の規定による届出(以下「届出」という。)があつた場合において、当該届出に係る事項がこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反すると認めるときは、当該届出をした事業者に対し、その届出に係る工事若しくは仕事の開始を差し止め、又は当該計画を変更すべきことを命ずることができる。
(労働大臣の審査等)
第八十九条 労働大臣は、届出があつた計画のうち、高度の技術的検討を要するものについて審査をすることができる。
2 労働大臣は、前項の審査を行なうに当たつては、労働省令で定めるところにより、学識経験者の意見をきかなければならない。
3 労働大臣は、第一項の審査の結果必要があると認めるときは、届出をした事業者に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請をすることができる。
4 労働大臣は、前項の勧告又は要請をするに当たつては、あらかじめ、当該届出をした事業者の意見をきかなければならない。
5 第二項の規定により第一項の計画に関してその意見を求められた学識経験者は、当該計画に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(労働基準監督署長及び労働基準監督官)
第九十条 労働基準監督署長及び労働基準監督官は、労働省令で定めるところにより、この法律の施行に関する事務をつかさどる。
(労働基準監督官の権限)
第九十一条 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業場に立ち入り、関係者に質問し、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査し、又は検査に必要な限度において無償で製品、原材料若しくは器具を収去することができる。
2 医師である労働基準監督官は、第六十八条の疾病にかかつた疑いのある労働者の検診を行なうことができる。
3 前二項の場合において、労働基準監督官は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第九十二条 労働基準監督官は、この法律の規定に違反する罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員の職務を行なう。
(産業安全専門官及び労働衛生専門官)
第九十三条 労働省、都道府県労働基準局及び労働基準監督署に、産業安全専門官及び労働衛生専門官を置く。
2 産業安全専門官は、第三十七条第一項の許可、安全衛生改善計画及び届出に関する事務並びに労働災害の原因の調査その他特に専門的知識を必要とする事務で、安全に係るものをつかさどるほか、事業者、労働者その他の関係者に対し、労働者の危険を防止するため必要な事項について指導及び援助を行なう。
3 前項の規定は、労働衛生専門官について準用する。この場合において、同項中「第三十七条第一項」とあるのは「第五十六条第一項」と、「安全に係るもの」とあるのは「衛生に係るもの」と、「労働者の危険」とあるのは「労働者の健康障害」と読み替えるものとする。
4 前三項に定めるもののほか、産業安全専門官及び労働衛生専門官について必要な事項は、労働省令で定める。
(産業安全専門官及び労働衛生専門官の権限)
第九十四条 産業安全専門官又は労働衛生専門官は、前条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定による事務を行なうため必要があると認めるときは、事業場に立ち入り、関係者に質問し、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査し、又は検査に必要な限度において無償で製品、原材料若しくは器具を収去することができる。
2 第九十一条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。
(労働衛生指導医)
第九十五条 都道府県労働基準局に、労働衛生指導医を置く。
2 労働衛生指導医は、第六十六条第四項の規定による指示に関する事務その他労働者の衛生に関する事務に参画する。
3 労働衛生指導医は、労働衛生に関し学識経験を有する医師のうちから、労働大臣が任命する。
4 労働衛生指導医は、非常勤とする。
(労働大臣等の権限)
第九十六条 労働大臣は、コンサルタントの業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その職員をしてコンサルタントの事務所に立ち入り、関係者に質問させ、又はその業務に関係のある帳簿若しくは書類を検査させることができる。
2 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、検査代行機関若しくは検定代行機関又は指定教習機関の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その職員をしてこれらの事務所に立ち入り、関係者に質問させ、又はその業務に関係のある帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
3 第九十一条第三項及び第四項の規定は、前二項の規定による立入検査について準用する。
(労働者の申告)
第九十七条 労働者は、事業場にこの法律又はこれに基づく命令の規定に違反する事実があるときは、その事実を都道府県労働基準局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告して是正のため適当な措置をとるように求めることができる。
2 事業者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
(使用停止命令等)
第九十八条 都道府県労働基準局長又は労働基準監督署長は、第二十条から第二十五条まで、第三十一条第一項、第三十三条第一項又は第三十四条の規定に違反する事実があるときは、その違反した事業者、注文者、機械等貸与者又は建築物貸与者に対し、作業の全部又は一部の停止、建設物等の全部又は一部の使用の停止又は変更その他労働災害を防止するため必要な事項を命ずることができる。
2 都道府県労働基準局長又は労働基準監督署長は、前項の規定により命じた事項について必要な事項を労働者、請負人又は建築物の貸与を受けている者に命ずることができる。
3 労働基準監督官は、前二項の場合において、労働者に急迫した危険があるときは、これらの項の都道府県労働基準局長又は労働基準監督署長の権限を即時に行なうことができる。
第九十九条 都道府県労働基準局長又は労働基準監督署長は、前条第一項の場合以外の場合において、労働災害発生の急迫した危険があり、かつ、緊急の必要があるときは、必要な限度において、事業者に対し、作業の全部又は一部の一時停止、建設物等の全部又は一部の使用の一時停止その他当該労働災害を防止するため必要な応急の措置を講ずることを命ずることができる。
2 都道府県労働基準局長又は労働基準監督署長は、前項の規定により命じた事項について必要な事項を労働者に命ずることができる。
(報告等)
第百条 労働大臣、都道府県労働基準局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
2 労働大臣、都道府県労働基準局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、労働省令で定めるところにより、検査代行機関、検定代行機関又は指定教習機関に対し、必要な事項を報告させることができる。
3 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
第十一章 雑則
(法令の周知)
第百一条 事業者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨を常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける等の方法により、労働者に周知させなければならない。
(ガス工作物等設置者の義務)
第百二条 ガス工作物その他政令で定める工作物を設けている者は、当該工作物の所在する場所又はその附近で工事その他の仕事を行なう事業者から、当該工作物による労働災害の発生を防止するためにとるべき措置についての教示を求められたときは、これを教示しなければならない。
(書類の保存等)
第百三条 事業者は、労働省令で定めるところにより、この法律又はこれに基づく命令の規定に基づいて作成した書類(次項及び第三項の帳簿を除く。)を、保存しなければならない。
2 検査代行機関、検定代行機関又は指定教習機関は、労働省令で定めるところにより、性能検査、検定、技能講習又は教習に関する事項で、労働省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。
3 コンサルタントは、労働省令で定めるところにより、その業務に関する事項で、労働省令で定めるものを記載した帳簿を備え、これを保存しなければならない。
(健康診断に関する秘密の保持)
第百四条 第六十六条第一項から第四項までの健康診断の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た労働者の心身の欠陥その他の秘密を漏らしてはならない。
(聴聞)
第百五条 労働大臣又は都道府県労働基準局長は、第五十三条第二項(第五十四条及び第七十七条第二項において準用する場合を含む。)、第五十六条第六項、第七十四条第二項又は第八十五条第二項の規定による処分をしようとするときは、あらかじめ、期日及び場所を指定して、聴聞を行なわなければならない。
2 前項の聴聞に際しては、当該処分に係る者に、意見を述べ、及び証拠を提出する機会を与えなければならない。
(国の援助)
第百六条 国は、第六十三条及び第七十一条に定めるもののほか、労働災害の防止に資するため、事業者が行なう安全衛生施設の整備、安全衛生改善計画の実施その他の活動について、金融上の措置、技術上の助言その他必要な援助を行なうように努めるものとする。
2 国は、前項の援助を行なうに当たつては、中小企業者に対し、特別の配慮をするものとする。
(労働大臣の援助)
第百七条 労働大臣は、安全管理者、衛生管理者、コンサルタントその他労働災害の防止のための業務に従事する者の資質の向上を図り、及び労働者の労働災害防止の思想を高めるため、資料の提供その他必要な援助を行なうように努めるものとする。
(研究開発の推進等)
第百八条 政府は、労働災害の防止に資する科学技術の振興を図るため、研究開発の推進及びその成果の普及その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(地方公共団体との連携)
第百九条 国は、労働災害の防止のための施策を進めるに当たつては、地方公共団体の立場を尊重し、これと密接に連絡し、その理解と協力を求めなければならない。
(許可等の条件)
第百十条 この法律の規定による許可、免許又は指定には、条件を附し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該許可、免許又は指定に係る事項の確実な実施を図るため必要な最少限度のものに限り、かつ、当該許可、免許又は指定を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
(不服申立ての制限)
第百十一条 第三十八条の検査、性能検査又は検定の結果についての処分については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。
(手数料)
第百十二条 次の者は、政令で定めるところにより、手数料を納付しなければならない。
一 免許を受けようとする者(第七十五条第一項の免許試験に合格した者を除く。)
二 技能講習(指定教習機関が行なうものを除く。)を受けようとする者
三 第三十七条第一項の許可を受けようとする者
四 第三十八条の検査を受けようとする者
五 検査証の再交付又は書替えを受けようとする者
六 性能検査(検査代行機関が行なうものを除く。)を受けようとする者
七 検定(検定代行機関が行なうものを除く。)を受けようとする者
八 第五十六条第一項の許可を受けようとする者
九 免許証の再交付又は書替えを受けようとする者
十 免許証の有効期間の更新を受けようとする者
十一 第七十五条第一項の免許試験を受けようとする者
十二 指定を受けようとする者
十三 労働安全コンサルタント試験又は労働衛生コンサルタント試験を受けようとする者
十四 第八十四条第一項の登録を受けようとする者
(経過措置)
第百十三条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃するときは、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(鉱山に関する特例)
第百十四条 鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)第二条第二項及び第四項の規定による鉱山における保安(衛生に関する通気及び災害時の救護を含む。次条第一項において同じ。)については、第二章中「労働大臣」とあるのは「通商産業大臣」と、「中央労働基準審議会」とあるのは「中央鉱山保安協議会」とする。
2 鉱山保安法第二条第二項及び第四項の規定による鉱山に関しては、第三章中「総括安全衛生管理者」とあるのは「総括衛生管理者」とする。
(適用除外)
第百十五条 この法律(第二章の規定を除く。)は、鉱山保安法第二条第二項及び第四項の規定による鉱山における保安については、適用しない。
2 この法律は、船員法(昭和二十二年法律第百号)の適用を受ける船員については、適用しない。
第十二章 罰則
第百十六条 第五十五条の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第百十七条 第三十七条第一項、第四十四条第一項、第五十六条第一項又は第八十六条第二項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第百十八条 第五十三条第二項(第五十四条及び第七十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定による業務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした検査代行機関、検定代行機関又は指定教習機関の役員又は職員は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十四条、第二十条から第二十五条まで、第三十一条第一項、第三十三条第一項若しくは第二項、第三十四条、第三十五条、第三十八条第一項、第四十条第一項、第四十二条、第四十三条、第四十四条第四項、第五十六条第三項若しくは第四項、第五十九条第三項、第六十一条第一項、第六十五条、第六十八条、第六十九条、第八十九条第五項、第九十七条第二項又は第百四条の規定に違反した者
二 第五十六条第五項、第八十八条第五項、第九十八条第一項又は第九十九条第一項の規定による命令に違反した者
三 第五十七条の規定による表示をせず、又は虚偽の表示をした者
四 第六十一条第四項の規定に基づく労働省令に違反した者
第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
一 第十条第一項、第十一条第一項、第十二条第一項、第十三条、第十五条第一項若しくは第三項、第十六条第一項、第十七条第一項、第十八条第一項、第二十六条、第三十条第一項若しくは第四項、第三十二条第一項から第三項まで、第三十三条第三項、第四十条第二項、第四十四条第三項、第四十五条、第五十九条第一項、第六十一条第二項、第六十六条第一項から第三項まで、第八十七条第三項、第八十八条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三項、第百一条又は第百三条第一項の規定に違反した者
二 第十一条第二項(第十二条第二項において準用する場合を含む。)、第六十六条第四項、第九十八条第二項又は第九十九条第二項の規定による命令又は指示に違反した者
三 第四十四条第二項の規定による表示をせず、又は虚偽の表示をした者
四 第九十一条第一項若しくは第二項、第九十四条第一項又は第九十六条第一項の規定による立入り、検査、収去若しくは検診を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
五 第百条第一項又は第三項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者
六 第百三条第三項の規定による帳簿の備付け若しくは保存をせず、又は同項の帳簿に虚偽の記載をした者
第百二十一条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした検査代行機関、検定代行機関又は指定教習機関の役員又は職員は、五万円以下の罰金に処する。
一 第四十九条(第五十四条において準用する場合を含む。)の許可を受けないで性能検査又は検定の業務の全部を廃止したとき。
二 第九十六条第二項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
三 第百条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をしたとき。
四 第百三条第二項の規定による帳簿の備付け若しくは保存をせず、又は同項の帳簿に虚偽の記載をしたとき。
第百二十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第百十六条、第百十七条、第百十九条又は第百二十条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第八十条及び第九章第二節の規定は昭和四十八年四月一日から、附則第九条のうち労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)第十三条第一項の表中央労働基準審議会の項の改正規定中「労働基準法」の下に「及び労働安全衛生法」を加える部分は公布の日から施行する。
(第五十六条第一項の物の製造に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に第五十六条第一項の物を製造している者については、この法律の施行の日から起算して三月間は、同項の規定は、適用しない。その期間内に同項の許可を申請した場合において、その申請について許可又は不許可の処分があるまでの間も、同様とする。
(処分等の効力の引き継ぎ)
第三条 この法律の施行前にこの法律による改正前の労働基準法又は労働災害防止団体等に関する法律(昭和三十九年法律第百十八号)(これらに基づく命令を含む。)の規定によりされた処分、手続その他の行為は、この法律(これに基づく命令を含む。)の相当規定によりされた処分、手続その他の行為とみなす。
(労働基準法の一部改正)
第四条 労働基準法の一部を次のように改正する。
第四十二条から第五十五条までを次のように改める。
第四十二条 労働者の安全及び衛生に関しては、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の定めるところによる。
第四十三条から第五十五条まで 削除
第五十五条の二を削る。
第六十三条第一項を次のように改める。
使用者は、満十八才に満たない者又は女子に、運転中の機械若しくは動力伝導装置の危険な部分の掃除、注油、検査若しくは修繕をさせ、運転中の機械若しくは動力伝導装置にベルト若しくはロープの取付け若しくは取りはずしをさせ、動力によるクレーンの運転をさせ、その他命令で定める危険な業務につかせ、又は命令で定める重量物を取り扱う業務につかせてはならない。
第七十条中「第四十九条及び」を削り、「並びに」を「及び」に改める。
第十章中第九十六条の次に次の二条を加える。
(監督上の行政措置)
第九十六条の二 使用者は、常時十人以上の労働者を就業させる事業、命令で定める危険な事業又は衛生上有害な事業の附属寄宿舎を設置し、移転し、又は変更しようとする場合においては、前条の規定に基づいて発する命令で定める危害防止等に関する基準に従い定めた計画を、工事着手十四日前までに、行政官庁に届け出なければならない。
行政官庁は、労働者の安全及び衛生に必要であると認める場合においては、工事の着手を差し止め、又は計画の変更を命ずることができる。
第九十六条の三 労働者を就業させる事業の附属寄宿舎が、安全及び衛生に関し定められた基準に反する場合においては、行政官庁は、使用者に対して、その全部又は一部の使用の停止、変更その他必要な事項を命ずることができる。
前項の場合において行政官庁は、使用者に命じた事項について必要な事項を労働者に命ずることができる。
第百条第四項中「、認可」を削る。
第百条の二第三項中「第百一条第一項及び第四項並びに」を「第百一条及び」に改める。
第百一条第四項中「前三項」を「前項」に改め、同条第二項及び第三項を削る。
第百三条中「建設物、寄宿舎その他の附属建設物、設備、原料又は材料」を「附属寄宿舎」に、「第五十五条」を「第九十六条の三」に改める。
第百十八条第一項中「、第四十八条」を削る。
第百十九条第一号中「、第四十二条、第四十三条、第四十六条、第四十七条、第四十九条、第五十一条」を削り、同条第二号中「第五十四条第二項又は第五十五条第一項」を「第九十六条の二第二項又は第九十六条の三第一項」に改め、同条第四号中「第四十九条及び」を削る。
第百二十条第一号中「、第四十四条、第五十条、第五十二条第一項乃至第三項、第五十三条第一項、第五十四条第一項」を削り、「又は第百五条」を「、第九十六条の二第一項、第百五条」に、「乃至第百九条」を「又は第百六条乃至第百九条」に改め、同条中第二号を削り、第三号を第二号とし、同号の次に次の一号を加える。
三 第九十二条第二項又は第九十六条の三第二項の規定による命令に違反した者
第百二十条第四号中「、検診若しくは収去」を削る。
(国会職員法の一部改正)
第五条 国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)の一部を次のように改正する。
第四十五条第一項中「労働災害防止団体等に関する法律(昭和三十九年法律第百十八号)」を「労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)」に改め、同条第二項中「労働基準法及びこれ」を「労働基準法及び労働安全衛生法並びにこれら」に改める。
(国家公務員法の一部改正)
第六条 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の一部を次のように改正する。
附則第十六条中「労働災害防止団体等に関する法律(昭和三十九年法律第百十八号)」を「労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)」に改める。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律の一部改正)
第七条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律(昭和二十二年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。
第二条第二号ラ中「労働災害防止団体等に関する法律」を「労働災害防止団体法」に改める。
(少年院法の一部改正)
第八条 少年院法(昭和二十三年法律第百六十九号)の一部を次のように改正する。
第十三条第四項中「(昭和二十二年法律第四十九号)」の下に「及び労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)」を加える。
(労働省設置法の一部改正)
第九条 労働省設置法の一部を次のように改正する。
第四条第二十号中「、認可」を削り、同条中第二十一号から第二十五号までを削り、第二十六号を第二十一号とし、第二十七号から第二十九号までを五号ずつ繰り上げ、第三十号の前に次の七号を加える。
二十五 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)に基づいて、労働災害防止計画を策定すること。
二十六 労働安全衛生法に基づいて、特に危険な作業を必要とする機械等の製造の許可及び検査、機械等の検定並びに有害物の製造の許可を行なうこと。
二十七 労働安全衛生法に基づいて、検査代行機関、検定代行機関及び指定教習機関を指定し、並びにこれらに対し、認可その他監督を行なうこと。
二十八 労働安全衛生法に基づいて、免許に係る試験を実施し、及び免許を与えること。
二十九 労働安全衛生法に基づいて、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントの試験及び登録を行なうこと。
二十九の二 労働安全衛生法に基づいて、労働者の安全及び衛生に必要があると認める場合において、作業の開始の差止め、又は計画の変更を命ずること。
二十九の三 労働安全衛生法に基づいて、事業者が危害防止のための措置に違反した場合等において、作業の停止、建設物等の使用の停止その他必要な事項を命ずること。
第四条第三十二号の七を削り、同条第三十二号の八中「労働災害防止団体等に関する法律」を「労働災害防止団体法(昭和三十九年法律第百十八号)」に改め、同条中同号を第三十二号の七とし、第三十二号の九を削り、第三十二号の十を第三十二号の八とし、第三十二号の十一を第三十二号の九とし、第三十二号の十二を第三十二号の十とする。
第八条第一項第八号中「労働福祉事業団」の下に「、検査代行機関、検定代行機関」を加え、同項第十四号中「労働基準法」の下に「、労働安全衛生法」を加え、「労働災害防止団体等に関する法律」を「労働災害防止団体法」に改める。
第八条第二項中「中央労働災害防止協会」を「検査代行機関、検定代行機関、中央労働災害防止協会」に、「じん肺法」を「労働安全衛生法、じん肺法」に、「労働災害防止団体等に関する法律」を「労働災害防止団体法」に改める。
第十三条第一項の表中央労働基準審議会の項中「労働基準法」の下に「及び労働安全衛生法」を加え、「労働災害防止団体等に関する法律」を「労働災害防止団体法」に改める。
第十五条第一項中「労働者災害補償保険法」を「労働安全衛生法(これに基づく命令を含む。)、労働者災害補償保険法」に改め、「、労働災害防止団体等に関する法律(これに基づく命令を含む。)」を削る。
第十六条第一項の表地方労働基準審議会の項中「労働基準法」の下に「及び労働安全衛生法」を加える。
第十七条第一項中「労働者災害補償保険法」を「労働安全衛生法(これに基づく命令を含む。)、労働者災害補償保険法」に改め、「、労働災害防止団体等に関する法律(これに基づく命令を含む。)」を削る。
(更生緊急保護法の一部改正)
第十条 更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)の一部を次のように改正する。
第五条第三項中「及びこれ」を「及び労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)並びにこれら」に改める。
第十六条中「及びこれ」を「及び労働安全衛生法並びにこれら」に改める。
(地方税法の一部改正)
第十一条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第三百四十八条第二項第十九号の二中「労働災害防止団体等に関する法律」を「労働災害防止団体法」に改める。
(地方公務員法の一部改正)
第十二条 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第五十八条第二項中「労働災害防止団体等に関する法律(昭和三十九年法律第百十八号)及び」を「労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第二章並びに」に、「並びにこれら」を「及びこれ」に改め、同条第三項中「第百二条の規定」の下に「、労働安全衛生法第九十二条の規定」を加え、同条第四項中「労働基準法及び」を「労働基準法、労働安全衛生法及び」に改める。
(結核予防法の一部改正)
第十三条 結核予防法(昭和二十六年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第八条に規定する事業又は事務所であつて、政令で定めるもの(以下「事業」という。)の使用者(同法第十条に規定する者をいう。以下同じ。)」を「労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の適用事業(同法第二条第三号に規定する事業者(以下「事業者」という。)の行なう事業をいう。以下同じ。)のうち、政令で定める事業(以下「事業」という。)の事業者」に改め、同条第二項中「使用者」を「事業者」に改め、同条第四項中「労働基準法」を「労働安全衛生法」に、「使用者」を「事業者」に改める。
第七条第一項及び第十六条第一項中「使用者」を「事業者」に改める。
第二十八条第三項中「労働基準法の適用を受ける事業」を「労働安全衛生法の適用事業」に改める。
第五十一条第一号及び第三号並びに第五十二条第一号及び第三号中「使用者」を「事業者」に改める。
第五十四条中「事業主」を「事業者」に改め、同条各号を次のように改める。
一 第四条第一項の規定による定期の健康診断に要する費用
二 第十三条第一項又は第二項の規定によるツベルクリン反応検査及び定期の予防接種に要する費用
第五十七条第二号中「使用者」を「事業者」に改める。
第六十五条第一項中「使用者」及び「事業主」を「事業者」に改める。
第六十六条第一項中「労働基準法の適用を受ける事業の使用者」を「労働安全衛生法の適用事業の事業者」に改め、同条第四項中「労働基準法の適用を受ける事業」を「労働安全衛生法の適用事業」に改める。
(自衛隊法の一部改正)
第十四条 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)の一部を次のように改正する。
第百八条中「労働災害防止団体等に関する法律(昭和三十九年法律第百十八号)及び」を削り、「(昭和四十二年法律第六十一号)」の下に「及び労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)」を加える。
(労働福祉事業団法の一部改正)
第十五条 労働福祉事業団法(昭和三十二年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
目次中「第十九条・第二十条」を「第十九条―第二十条」に、「第三十九条・第四十条」を「第三十九条―第四十一条」に改める。
第一条中「能率的に行うことにより」を「能率的に行なうとともに、労働災害の防止に資するため必要な資金の融通を行なうことにより」に改める。
第十九条第一項第二号中「前号」を「前二号」に改め、同号を同項第三号とし、同項 第一号の次に次の一号を加える。
二 事業者又は政令で定める者が労働災害の防止及び労働者の健康の保持のため必要とする政令で定める資金の貸付けを行なうこと。
第十九条の次に次の一条を加える。
(金融機関に対する業務の委託等)
第十九条の二 事業団は、労働大臣の認可を受けて、金融機関に対して、前条第一項第二号に掲げる業務の一部を委託することができる。
2 前項の規定による労働大臣の認可があつた場合においては、金融機関は、他の法律の規定にかかわらず、当該認可に係る業務を受託することができる。
3 第一項の規定により業務の委託を受けた金融機関(第三十三条及び第三十九条において「受託金融機関」という。)の役員又は職員であつて当該委託業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第二十六条を次のように改める。
(借入金及び労働福祉債券)
第二十六条 事業団は、労働大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は労働福祉債券(以下この条において「債券」という。)を発行することができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができない金額に限り、労働大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
4 債券の債権者は、事業団の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
5 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
6 事業団は、労働大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
7 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条まで(受託会社の権限及び義務)の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
8 第一項及び第四項から前項までに定めるもののほか、債券に関し必要な事項は、政令で定める。
第二十七条中「第十九条第一項第一号」の下に「及び第二号」を、「費用」の下に「(同号に掲げる業務を行なうため必要な貸付資金を除く。)」を加える。
第二十八条第一号を次のように改める。
一 国債、地方債その他労働大臣の指定する有価証券の取得
第三十三条第一項中「事業団」の下に「若しくは受託金融機関」を加え、同項に次のただし書を加える。
ただし、受託金融機関に対しては、当該委託業務の範囲内に限る。
第三十七条第一号中「第四条第二項」の下に「、第十九条の二第一項」を、「第二十六条第一項」の下に「、第二項ただし書若しくは第六項」を加え、同条第四号中「第二十八条第二号」を「第二十八条第一号又は第二号」に改める。
第四十条を第四十一条とする。
第三十九条第六号を削り、同条を第四十条とし、第七章中同条の前に次の一条を加える。
第三十九条 第三十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした事業団又は受託金融機関の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
(放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部改正)
第十六条 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三十二年法律第百六十七号)の一部を次のように改正する。
第四十八条の見出し中「労働基準法」を「労働安全衛生法」に改め、同条第一項中「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)」を「労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)」に改める。
(じん肺法の一部改正)
第十七条 じん肺法(昭和三十五年法律第三十号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項第四号中「労働基準法第十条に規定する使用者」を「労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第二条第三号に規定する事業者」に改める。
第五条及び第六条中「労働基準法」を「労働安全衛生法」に改める。
第七条ただし書中「労働基準法第五十二条第一項」を「労働安全衛生法第六十六条第一項」に改める。
第九条第一号及び第二号中「労働基準法第五十二条第一項」を「労働安全衛生法第六十六条第一項又は第二項」に改める。
第十条の見出し中「労働基準法」を「労働安全衛生法」に改め、同条中「労働基準法第五十二条第一項」を「労働安全衛生法第六十六条第一項又は第二項」に改める。
第十二条第二項中「労働基準法第五十二条第一項」を「労働安全衛生法第六十六条第一項又は第二項」に改める。
第十三条第二項中「労働基準法第五十二条第一項」を「労働安全衛生法第六十六条第一項若しくは第二項」に改める。
第四十六条中「前条の違反行為をした者が、法人又は人のために行為した」を削り、「であるときは」を「が、その法人又は人の業務に関して、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか」に改める。
(労働災害防止団体等に関する法律の一部改正)
第十八条 労働災害防止団体等に関する法律の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
労働災害防止団体法
目次を次のように改める。
目次
第一章
総則(第一条―第七条)
第二章
労働災害防止団体
第一節
通則(第八条―第十条)
第二節
中央労働災害防止協会(第十一条―第三十五条)
第三節
労働災害防止協会(第三十六条―第五十条)
第四節
監督(第五十一条―第五十三条)
第五節
補則(第五十四条―第五十六条)
第三章
雑則(第五十七条・第五十八条)
第四章
罰則(第五十九条―第六十三条)
附則
第一条及び第二条を次のように改める。
(目的)
第一条 この法律は、労働災害の防止を目的とする事業主の団体による自主的な活動を促進するための措置を講じ、もつて労働災害の防止に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「労働災害」とは、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第二条第一号に規定する労働災害をいう。
2 この法律において「指定業種」とは、労働大臣が、労働災害の発生率その他の事情を考慮し、中央労働基準審議会の意見をきいて指定する業種をいう。
「第二章 労働災害防止計画」を削る。
第三条から第七条までを次のように改める。
第三条から第七条まで 削除
第十一条第三項中「基本計画及び実施計画」を「労働安全衛生法に基づいて策定された労働災害防止計画」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項第三号」を「第一項第三号」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 中央協会は、前項の業務のほか、国からの委託を受けて、安全衛生教育に従事する指導員の養成及び資質の向上を図るための業務を行なうことができる。
第三十六条第四項中「第十一条第三項」を「第十一条第四項」に改める。
第三章を第二章とする。
第四章を削る。
第六十八条第一項中「第二条第四号」を「第二条第二項」に改め、同条第二項を削り、同条第三項中「第三章」を「第二章」に改め、同項を同条第二項とし、第五章中同条を第五十七条とする。
第六十九条第一項中「第三章の規定」を「この法律」に改め、同条第二項中「第三章」を「第二章」に改め、「及び第四章」を削り、「鉱山保安法」の下に「(昭和二十四年法律第七十号)」を加え、同条を第五十八条とする。
第五章を第三章とする。
第七十条中「次の各号のいずれかに該当する者」を「第五十六条の規定に違反した者」に改め、同条各号を削り、第六章中同条を第五十九条とする。
第七十一条中「次の各号のいずれかに該当する者」を「第五十二条第一項の規定により報告を命ぜられて、報告せず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者」に改め、同条各号を削り、同条を第六十条とする。
第七十二条中「第七十条第二号若しくは第三号又は」を削り、同条を第六十一条とする。
第七十三条を第六十二条とし、第七十四条を第六十三条とする。
第六章を第四章とする。
(所得税法の一部改正)
第十九条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号中央労働災害防止協会の項及び労働災害防止協会の項中「労働災害防止団体等に関する法律」を「労働災害防止団体法」に改める。
(法人税法の一部改正)
第二十条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第二第一号中央労働災害防止協会の項及び労働災害防止協会の項中「労働災害防止団体等に関する法律」を「労働災害防止団体法」に改める。
(炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法の一部改正)
第二十一条 炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法(昭和四十二年法律第九十二号)の一部を次のように改正する。
第二条第三号中「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十条に規定する使用者」を「労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第二条第三号に規定する事業者」に改め、同条第四号中「労働基準法」の下に「(昭和二十二年法律第四十九号)」を加える。
第三条中「労働基準法」を「労働安全衛生法」に改める。
第五条第五項中「労働基準法第五十二条第一項」を「労働安全衛生法第六十六条第一項又は第二項」に改める。
(土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法の一部改正)
第二十二条 土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法(昭和四十二年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第八条第一項中「同法第五十一条」を「労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第六十八条」に改める。
(社会保険労務士法の一部改正)
第二十三条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
第九条第一号を次のように改める。
一 労働基準法及び労働安全衛生法
別表第一第十六号中「労働災害防止団体等に関する法律」を「労働災害防止団体法」に改める。
別表第一第二十号の五の次に次の一号を加える。
二十の六 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)
別表第二中労働基準法の項を次のように改める。
労働基準法及び労働安全衛生法
司法試験第二次試験に合格した者で労働法を選択したもの
国家公務員として労働基準法、労働者災害補償保険法又は労働安全衛生法の施行事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
主務大臣が、労働基準法及び労働安全衛生法についてこの欄の前二項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
(職業訓練法の一部改正)
第二十四条 職業訓練法の一部を次のように改正する。
第二十四条第二項中「命令」の下に「又は労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第六十一条第四項の規定に基づく労働省令」を加える。
(政令への委任)
第二十五条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
(罰則に関する経過措置)
第二十六条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
内閣総理大臣 佐藤栄作
法務大臣 前尾繁三郎
大蔵大臣 水田三喜男
厚生大臣 斎藤昇
通商産業大臣 田中角栄
運輸大臣 丹羽喬四郎
労働大臣 塚原俊郎
自治大臣 渡海元三郎