日本国有鉄道経営再建促進特別措置法
法令番号: 法律第百十一号
公布年月日: 昭和55年12月27日
法令の形式: 法律
日本国有鉄道経営再建促進特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和五十五年十二月二十七日
内閣総理大臣 鈴木善幸
法律第百十一号
日本国有鉄道経営再建促進特別措置法
(趣旨)
第一条 この法律は、我が国の交通体系における基幹的交通機関である日本国有鉄道の経営の現状にかんがみ、その経営の再建を促進するため執るべき特別措置を定めるものとする。
(経営の再建の目標)
第二条 日本国有鉄道の経営の再建の目標は、この法律に定めるその経営の再建を促進するための措置により、昭和六十年度までにその経営の健全性を確保するための基盤を確立し、引き続き、速やかにその事業の収支の均衡の回復を図ることに置くものとする。
(責務)
第三条 日本国有鉄道は、その経営の再建が国民生活及び国民経済にとつて緊急の課題であることを深く認識し、その組織の全力を挙げて速やかにその経営の再建の目標を達成しなければならない。
2 国は、日本国有鉄道に我が国の交通体系における基幹的交通機関としての機能を維持させるため、地域における効率的な輸送の確保に配慮しつつ、日本国有鉄道の経営の再建を促進するための措置を講ずるものとする。
(経営改善計画)
第四条 日本国有鉄道は、運輸省令で定めるところにより、その経営の改善に関する計画(以下「経営改善計画」という。)を定め、これを実施しなければならない。
2 経営改善計画は、次の事項について定めるものとする。
一 経営の改善に関する基本方針
二 事業量、職員数その他の経営規模に関する事項
三 輸送需要に適合した輸送力の確保その他の輸送の近代化に関する事項
四 業務の省力化その他の事業運営の能率化に関する事項
五 運賃及び料金の適正化その他の収入の確保に関する事項
六 組織運営の効率化その他の経営管理の適正化に関する事項
七 収支の改善の目標
八 前各号に掲げるもののほか、運輸省令で定める事項
3 日本国有鉄道は、毎事業年度、経営改善計画の実施状況について検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。
4 日本国有鉄道は、経営改善計画を定め、又はこれを変更するに当たつては、輸送の安全の確保及び環境の保全に十分配慮しなければならない。
5 日本国有鉄道は、経営改善計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、運輸大臣の承認を受けなければならない。
(経営改善計画の実施状況の報告)
第五条 日本国有鉄道は、運輸省令で定めるところにより、毎事業年度における経営改善計画の実施状況を明らかにした報告書を作成し、これに監査委員会の意見書を添えて運輸大臣に提出しなければならない。
(監査委員会の組織)
第六条 経営改善計画の実施状況その他日本国有鉄道の経営の再建の促進に関する事項に係る監査を充実するため、日本国有鉄道法(昭和二十三年法律第二百五十六号)第十五条第一項の規定にかかわらず、監査委員会は、委員三人以上六人以内をもつて組織する。
(経営改善計画の変更等の指示)
第七条 運輸大臣は、日本国有鉄道の経営の再建を促進するため必要があると認めるときは、日本国有鉄道に対し、経営改善計画の変更その他その経営の改善に関し必要な指示をすることができる。
(地方交通線の選定等)
第八条 日本国有鉄道は、鉄道の営業線(幹線鉄道網を形成する営業線として政令で定める基準に該当するものを除く。)のうち、その運営の改善のための適切な措置を講じたとしてもなお収支の均衡を確保することが困難であるものとして政令で定める基準に該当する営業線を選定し、運輸大臣の承認を受けなければならない。
2 日本国有鉄道は、前項の承認を受けた鉄道の営業線(以下「地方交通線」という。)のうち、その鉄道による輸送に代えて一般乗合旅客自動車運送事業(道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第三条第二項第一号の一般乗合旅客自動車運送事業をいう。以下同じ。)による輸送を行うことが適当であるものとして政令で定める基準に該当する営業線を選定し、運輸大臣の承認を受けなければならない。
3 日本国有鉄道は、前項の政令で定める基準に該当する営業線を選定したときは、その旨を関係都道府県知事に通知しなければならない。
4 前項の通知を受けた都道府県知事は、当該通知に係る営業線の選定について、運輸大臣に対し、意見を申し出ることができる。
5 日本国有鉄道は、第一項又は第二項の承認を受けたときは、遅滞なく、当該承認に係る地方交通線について運輸省令で定める事項を公告しなければならない。
6 日本国有鉄道は、運輸省令で定めるところにより、経営改善計画において、第二項の承認を受けた地方交通線(以下「特定地方交通線」という。)ごとに、その廃止の予定時期及び次条第一項に規定する協議を行うための会議の開始を希望する日(以下「会議開始希望日」という。)を定めなければならない。
(特定地方交通線対策協議会等)
第九条 特定地方交通線を廃止する場合に必要となる輸送の確保に関し必要な協議を行うため、特定地方交通線ごとに、政令で定めるところにより、国の関係行政機関及び日本国有鉄道(以下「関係行政機関等」という。)により、特定地方交通線対策協議会(以下「協議会」という。)を組織する。
2 前項に規定する協議を行うための会議(以下「会議」という。)は、政令で定めるところにより、関係行政機関等の長又はその指名する職員、関係地方公共団体の長又はその指名する職員及び関係都道府県公安委員会の指名する当該都道府県警察の職員をもつて構成する。
3 会議において第一項に規定する協議を行うため必要があると認めるときは、当該地域における交通に関し学識経験を有する者の意見を聴くことができる。
4 協議会の庶務は、日本国有鉄道において処理する。
5 前各項に定めるもののほか、協議会に関し必要な事項は、協議会が定める。
第十条 協議会は、会議開始希望日が到来したときは、遅滞なく、その会議を開始しなければならない。
2 会議において前条第一項に規定する協議が調つたときは、関係行政機関等は、その協議の結果を尊重しなければならない。
3 第一項の規定により会議を開始した日から二年を経過した日以後において、前条第一項に規定する協議が調わないことが明らかであると認められる場合には、日本国有鉄道は、日本国有鉄道法第五十三条の規定により当該特定地方交通線の廃止の許可を申請するものとする。
4 日本国有鉄道は、前項の申請をしようとするときは、当該特定地方交通線を廃止する場合に必要となる一般乗合旅客自動車運送事業による輸送の確保のための措置について定めた書類を運輸大臣に提出し、及びこれを関係都道府県知事に送付しなければならない。
5 前項に規定する書類の送付を受けた都道府県知事は、同項に規定する措置について、運輸大臣に対し、意見を申し出ることができる。
(特定地方交通線を廃止する場合の輸送の確保)
第十一条 運輸大臣は、日本国有鉄道が特定地方交通線を廃止する場合において、これに代わる輸送を確保するため必要があると認めるときは、日本国有鉄道が自ら一般乗合旅客自動車運送事業による輸送を行うべきことの指示その他の措置を講ずるものとする。
(地方交通線の貸付け及び譲渡)
第十二条 日本国有鉄道は、日本国有鉄道法第四十五条第一項の規定にかかわらず、地方交通線の貸付け又は譲渡を受けて地方鉄道業を営もうとする者に対し、政令で定めるところにより、当該地方交通線を貸し付け、又は譲渡することができる。
2 前項の規定による地方交通線の貸借又は譲渡及び譲受は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 前項の認可を受けようとする者は、当該地方交通線の貸借又は譲渡及び譲受に関する契約書その他運輸省令で定める書類を運輸大臣に提出しなければならない。
4 日本国有鉄道法第五十三条第三号の規定は、第二項の認可に係る地方交通線については、適用しない。
5 第二項の認可を受けて地方交通線の貸付け又は譲渡を受けた者は、地方鉄道法(大正八年法律第五十二号)第十二条第一項の免許及び同法第十三条第一項の認可を受けたものとみなす。
6 第二項の認可を受けて地方鉄道業を営もうとする者については、地方交通線の貸付け又は譲渡を受ける日前においても、その者を地方鉄道業者とみなして、地方鉄道法第二十条から第二十二条まで、第二十五条及び第二十六条の規定並びに鉄道営業法(明治三十三年法律第六十五号)第三条及び第二十条の規定を適用する。
(地方交通線の運賃)
第十三条 日本国有鉄道は、地方交通線の運賃については、地方交通線の収支の改善を図るために必要な収入の確保に特に配慮して定めるものとする。
(地方鉄道による新線建設の特例)
第十四条 運輸大臣は、この法律の施行の日において日本鉄道建設公団法(昭和三十九年法律第三号)第二十条第一項の規定により基本計画を指示している国鉄新線であつて、日本国有鉄道がその営業を開始した場合に第八条第二項の政令で定める基準に該当することとなると認めて告示したものについて、地方鉄道法第十二条第一項の免許をすることができる。
2 前項の規定により告示された鉄道線路に係る地方鉄道法第十二条第一項の免許があつた場合には、当該鉄道線路に係る日本鉄道建設公団法第二十条第一項の基本計画は、定められなかつたものとみなす。
(日本鉄道建設公団の業務の特例)
第十五条 日本鉄道建設公団(以下「公団」という。)は、日本鉄道建設公団法第十九条第一項に規定する業務のほか、次の業務を行う。
一 鉄道敷設法(大正十一年法律第三十七号)別表に掲げる予定鉄道線路又は同法附則第二項の鉄道線路に該当する地方鉄道に係る鉄道施設(日本鉄道建設公団法第十九条第一項第四号に定めるものを除く。)の建設を行い、及び当該鉄道施設を地方鉄道業者に貸し付け、又は譲渡すること。
二 前号の規定により貸し付けた鉄道施設に係る災害復旧工事を行うこと。
三 前二号の業務に附帯する業務を行うこと。
(日本鉄道建設公団による地方鉄道新線の建設等)
第十六条 前条第一号の鉄道施設の建設に係る地方鉄道法第十三条第一項の工事施行の認可を受けた地方鉄道業者は、運輸省令で定めるところにより、運輸大臣に対し、公団が当該鉄道施設の建設を行うよう申し出ることができる。
2 運輸大臣は、前項の規定による申出があつた場合において、当該建設が地域における輸送の確保のため特に必要であり、かつ、公団が行うことが適当であると認めるときは、運輸省令で定めるところにより、工事実施計画を定め、これを公団に指示するものとする。これを変更するときも、同様とする。
3 前項の工事実施計画は、当該建設に係る地方鉄道法第十三条第一項の工事施行の認可に適合するものでなければならない。
4 公団及び地方鉄道業者は、第二項の指示があつたときは、当該鉄道施設の建設の実施の方法及びその貸付け又は譲渡について協議しなければならない。
第十七条 第十五条の規定により公団の業務が行われる場合には、日本鉄道建設公団法第十二条第三号中「第十九条第一項第四号」とあるのは「第十九条第一項第四号若しくは日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(昭和五十五年法律第百十一号。以下「特別措置法」という。)第十五条第一号」と、同条第五号中「第十九条第一項第四号」とあるのは「第十九条第一項第四号若しくは特別措置法第十五条第一号」と、同法第十九条第二項中「前項の」とあるのは「前項及び特別措置法第十五条の」と、同項第一号中「前項第一号」とあるのは「前項第一号又は特別措置法第十五条第一号」と、同法第二十三条第一項中「日本国有鉄道」とあるのは「日本国有鉄道又は地方鉄道業者」と、「第十九条第一項第一号」とあるのは「第十九条第一項第一号又は特別措置法第十五条第一号」と、同法第二十六条第二項及び第三十七条中「第十九条第一項第四号及び第五号」とあるのは「第十九条第一項第四号及び第五号並びに特別措置法第十五条各号」と、同法第三十五条第二項、第三十六条第一項及び第四十二条第一号中「この法律」とあるのは「この法律又は特別措置法」と、同法第三十九条第二号の二中「第二十二条の二第二項」とあるのは「第二十二条の二第二項又は特別措置法第十六条第二項」と、同法第四十二条第三号中「第十九条第一項及び第二項」とあるのは「第十九条第一項及び第二項並びに特別措置法第十五条」とする。
(長期資金の無利子貸付け)
第十八条 政府は、特定債務(日本国有鉄道が政府から貸付けを受けた長期の資金に係るこの法律の施行の日における債務のうち政令で定めるものをいう。以下同じ。)について、その償還が開始される年度からその償還が完了する年度までの期間中の毎年度、予算の範囲内において、日本国有鉄道に対し、政令で定めるところにより、その償還に要する長期の資金を無利子で貸し付けることができる。
(利子補給)
第十九条 政府は、特定債務について、昭和五十五年度からその償還が完了する年度までの期間中の毎年度、予算の範囲内において、日本国有鉄道に対し、日本国有鉄道が当該年度において支払うべき利子に充てるべき金額を補給することができる。
(特定債務整理特別勘定)
第二十条 日本国有鉄道は、昭和五十五年度に相当する事業年度から第十八条の規定により貸付けを受けた長期の資金の償還が完了する事業年度までの期間(以下「特定債務整理期間」という。)における特定債務及び当該長期の資金に係る債務の処理に係る計理については、その他の計理と区分し、特定債務整理特別勘定を設けて整理しなければならない。
2 特定債務整理特別勘定の計理に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
第二十一条 特定債務整理期間における収入支出予算又は会計規程については、日本国有鉄道法第三十九条の五中「工事勘定」とあるのは「工事勘定並びに日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(昭和五十五年法律第百十一号)第二十条の特定債務整理特別勘定」と、同法第四十三条第一項中「これに基く政令」とあるのは「これに基づく政令並びに日本国有鉄道経営再建促進特別措置法及びこれに基づく運輸省令」とする。
(損失の処理の特例)
第二十二条 日本国有鉄道は、毎事業年度、前事業年度から繰り越された損失があるときは、運輸大臣の承認を受けて、資本積立金を減額してこれを整理することができる。
(償還条件の変更)
第二十三条 政府は、日本国有鉄道が政府から無利子で貸付けを受けた長期の資金に係るこの法律の施行の日における債務のうち政令で定めるものについて、償還期間及び据置期間を五年以内で政令で定める期間延長することができる。
(地方交通線に係る補助)
第二十四条 政府は、予算の範囲内において、日本国有鉄道に対し、地方交通線の運営に要する費用を補助することができる。
2 政府は、予算の範囲内において、日本国有鉄道に対し、特定地方交通線の廃止の円滑な実施を図るための措置に要する費用を補助することができる。
3 政府は、予算の範囲内において、特定地方交通線を廃止する場合に必要となる一般乗合旅客自動車運送事業又は地方鉄道業を経営する者に対し、政令で定めるところにより、その事業の運営に要する費用を補助することができる。
(特別の配慮)
第二十五条 政府は、第十八条、第十九条、第二十三条及び前条に規定するもののほか、日本国有鉄道の経営改善計画の円滑な実施その他その経営の再建を促進するため必要があると認めるときは、日本国有鉄道に対し、財政上の措置その他の措置を講ずるよう特別の配慮をするものとする。
(大蔵大臣との協議)
第二十六条 運輸大臣は、第四条第五項及び第二十二条の承認、第七条の経営改善計画の変更の指示、第十二条第二項の認可並びに第二十条第二項の運輸省令の制定及び改正については、大蔵大臣と協議してこれをしなければならない。
附 則
(施行期日等)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
2 第十九条の規定は、次項の規定の適用があるものを除き、第十八条の政令で定める債務につき日本国有鉄道がこの法律の施行の日の前日までに支払つた利子についても、適用する。
3 次条の規定による改正前の日本国有鉄道法第五十四条の六の規定により政府が昭和五十五年度において日本国有鉄道に対してした日本国有鉄道が支払うべき利子に充てるべき金額の補給は、第十九条の規定に基づいてしたものとみなす。
4 第二十条及び第二十一条の規定は、昭和五十五年度に相当する日本国有鉄道の事業年度の予算から適用する。
5 日本国有鉄道が昭和五十五年度に相当する事業年度においてこの法律の施行の日の前日までにした債務の償還及び利子の支払のうち、次条の規定による改正前の日本国有鉄道法第五十四条の五の政令で定める債務(以下「旧特定債務」という。)及び同条の規定により日本国有鉄道が政府から貸付けを受けた長期の資金に係る債務の償還並びに第十八条の政令で定める債務に係る利子(旧特定債務以外の債務のうち償還した金額に相当する部分に係る利子を除く。)の支払は、第二十一条の規定により読み替えられた次条の規定による改正後の日本国有鉄道法第三十九条の五の規定による特定債務整理特別勘定の収入支出予算に基づいてしたものとみなす。
(日本国有鉄道法の一部改正)
第二条 日本国有鉄道法の一部を次のように改正する。
目次中「第五章の二 経営の健全性の確立(第五十四条の二―第五十四条の十一)」を削る。
第五章の二を削る。
第五十五条中「左の」を「次の」に改め、同条第三号中「第五十四条第二項」を「前条第二項」に改め、同条第四号中「基いて」を「基づいて」に改め、同条第五号中「基く」を「基づく」に改め、同条第六号中「第五十四条第一項」を「前条第一項」に改める。
(日本国有鉄道法の一部改正に伴う経過措置)
第三条 前条の規定による改正前の日本国有鉄道法第五十四条の五の規定により日本国有鉄道が政府から貸付けを受けた長期の資金に係る債務の処理に係る計理は、第二十条第一項の規定により設けられた特定債務整理特別勘定に引き継がれるものとする。
(国有鉄道運賃法の一部改正)
第四条 国有鉄道運賃法(昭和二十三年法律第百十二号)の一部を次のように改正する。
第十条の二第二項中「昭和五十一年十一月五日に日本国有鉄道法(昭和二十三年法律第二百五十六号)第五十四条の五の政令で定められた債務の昭和五十一年三月三十一日における未償還元金」を「次の各号に掲げる金額」に、「前項」を「第一項」に改め、同項に次の各号を加え、同項を同条第三項とする。
一 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法第十八条の特定債務の同法の施行の日における未償還元金の合計額
二 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法附則第二条の規定による改正前の日本国有鉄道法(昭和二十三年法律第二百五十六号)第五十四条の五の規定により、昭和五十一年度から昭和五十四年度までの間において日本国有鉄道に対し無利子で貸し付けられた長期の資金の合計額
第十条の二第一項の次に次の一項を加える。
2 前項の場合において、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(昭和五十五年法律第百十一号)第八条第一項の承認を受けた鉄道の営業線に係る普通旅客運賃の賃率が同項の承認を受けた営業線以外の鉄道の営業線に係る普通旅客運賃の賃率と異なるように定められた場合における普通旅客運賃の賃率を異にする鉄道の営業線を連続して乗車するときの普通旅客運賃の計算方法は、運輸大臣の認可を受けて日本国有鉄道が定める。
(運輸省設置法の一部改正)
第五条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第六条第一項中「左に」を「次に」に改め、同項第九号中「譲受、」を「譲受の認可又は日本国有鉄道の」に、「及び営業線の譲渡の許可又は認可」を「の許可」に改め、同号の次に次の一号を加える。
九の二 日本国有鉄道の鉄道の営業線の貸借又は譲渡及び譲受の認可
第六条第一項第十一号の三中「除く外」を「除くほか」に改め、同項第十一号の四中「除く外」を「除くほか」に、「基く」を「基づく」に改める。
第二十七条第一項中「左の」を「次の」に改め、同項第一号の二中「営業線の譲渡」を「鉄道の営業線の貸借又は譲渡及び譲受」に改め、同項第一号の三及び第八号の三中「行なう」を「行う」に改め、同項第十六号中「ものの外」を「もののほか」に改める。
(地方税法の一部改正)
第六条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第三百四十八条第二項第二十七号中「第十九条第一項第一号」の下に「又は日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(昭和五十五年法律第百十一号)第十五条第一号」を加え、「同法」を「日本鉄道建設公団法」に改め、「貸し付けた鉄道施設」の下に「又は日本国有鉄道経営再建促進特別措置法第十七条の規定により読み替えて適用される日本鉄道建設公団法第二十三条第一項ただし書の規定により地方鉄道法の規定による地方鉄道業者に無償で貸し付けた鉄道施設」を加える。
第三百四十九条の三第二十五項の次に次の一項を加える。
26 日本国有鉄道経営再建促進特別措置法第十二条第一項の規定により日本国有鉄道から同法第八条第二項の承認を受けた鉄道の営業線を無償で譲渡を受けた者が当該営業線の譲渡により取得した固定資産で政令で定めるものを地方鉄道事業の用に供する場合には、当該固定資産に対して課する固定資産税の課税標準は、前二条の規定にかかわらず、当該固定資産に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の二分の一の額とする。
附則第十条に次の一項を加える。
2 道府県は、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法第十二条第一項の規定により日本国有鉄道から同法第八条第二項の承認を受けた鉄道の営業線に係る不動産で政令で定めるものを無償で譲渡を受けた場合における当該不動産の取得に対しては、当該取得が昭和六十一年三月三十一日までに行われたときに限り、不動産取得税を課することができない。
(国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部改正)
第七条 国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律(昭和三十一年法律第八十二号)の一部を次のように改正する。
第二条第六項中「政令で定めるもの」の下に「及び日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(昭和五十五年法律第百十一号)第十二条第一項の規定により無償で貸し付けた固定資産」を加え、同条第七項中「用に供する固定資産」の下に「(日本国有鉄道経営再建促進特別措置法第十二条第一項の規定により無償で貸し付けたものを除く。)」を加える。
(登録免許税法の一部改正)
第八条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第一第三十五号中「地方鉄道業の免許又は軌道法」を「地方鉄道業の免許(日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(昭和五十五年法律第百十一号)第十二条第二項の認可を受けて地方鉄道業を営もうとする者に係る当該認可を含む。)又は軌道法」に改める。
大蔵大臣 渡辺美智雄
運輸大臣 塩川正十郎
自治大臣 安孫子藤吉
内閣総理大臣 鈴木善幸