公有地の拡大の推進に関する法律
法令番号: 法律第66号
公布年月日: 昭和47年6月15日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

都市化の進展により、住宅用地や道路、公園、緑地などの公共用地の取得が困難となり、良好な都市環境の計画的整備が阻害されている。この土地問題に対処するため、市街化区域の整備に必要な土地の先買い制度を整備し、地方公共団体に代わって土地の先行取得を行う土地開発公社を創設する。これらの措置により、公有地の拡大を計画的に推進し、地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進を図ることを目的とする。

参照した発言:
第68回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号

審議経過

第68回国会

衆議院
(昭和47年4月14日)
(昭和47年4月20日)
(昭和47年4月21日)
(昭和47年4月25日)
(昭和47年5月9日)
参議院
(昭和47年5月9日)
衆議院
(昭和47年5月11日)
(昭和47年5月12日)
参議院
(昭和47年5月18日)
(昭和47年5月23日)
(昭和47年5月25日)
(昭和47年5月30日)
(昭和47年6月1日)
(昭和47年6月5日)
(昭和47年6月6日)
(昭和47年6月9日)
公有地の拡大の推進に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十七年六月十五日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第六十六号
公有地の拡大の推進に関する法律
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、市街化区域の整備を促進するため必要な土地の先買いに関する制度の整備、地方公共団体に代わつて土地の先行取得を行なうことを目的とする土地開発公社の創設その他の措置を講ずることにより、公有地の拡大の計画的な推進を図り、もつて地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進に資することを目的とする。
(用語の意義)
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 公有地 地方公共団体の所有する土地をいう。
二 地方公共団体等 地方公共団体、土地開発公社及び政令で定める法人をいう。
三 市街化区域 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項の規定による市街化区域をいう。
四 都市計画施設 都市計画法第四条第五項に規定する都市計画施設をいう。
(公有地の確保及びその有効利用)
第三条 地方公共団体は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、良好な都市環境の計画的な整備を促進するため、必要な土地を公有地として確保し、公有地の有効かつ適切な利用を図るように努めなければならない。
2 土地開発公社は、その設立の目的に従い、農林漁業との健全な調和に配慮しつつ公有地となるべき土地を確保し、これを適切に管理し、地方公共団体の土地需要に対処しうるように努めなければならない。
第二章 市街化区域内の土地の先買い
(土地を譲渡しようとする場合の届出義務)
第四条 市街化区域内に所在する土地で次に掲げるものを所有する者は、当該土地を有償で譲り渡そうとするときは、当該土地の所在及び面積、当該土地の譲渡予定価額、当該土地を譲り渡そうとする相手方その他主務省令で定める事項を、主務省令で定めるところにより、都道府県知事に届け出なければならない。
一 都市計画施設(土地区画整理事業(土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業をいう。以下同じ。)で第三号に規定するもの以外のものを施行する土地に係るものを除く。)の区域内に所在する土地
二 次に掲げる土地(次号に規定する土地区画整理事業以外の土地区画整理事業を施行する土地の区域内に所在するものを除く。)
イ 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項の規定により道路の区域として決定された区域内に所在する土地
ロ 都市公園法(昭和三十一年法律第七十九号)第二十三条第一項の規定により都市公園を設置すべき区域として決定された区域内に所在する土地
ハ 河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第五十六条第一項の規定により河川予定地として指定された土地
ニ イからハまでに掲げるもののほか、これらに準ずる土地として政令で定める土地
三 新たな市街地の造成を目的とする土地区画整理事業で、都道府県知事が指定し、主務省令で定めるところにより公告したものを施行する土地の区域内に所在する土地
四 前三号に掲げる土地のほか、その面積が二千平方メートルを下らない規模で政令で定める規模以上の土地
2 前項の規定は、同項に規定する土地で次の各号の一に該当するものを有償で譲り渡そうとする者については、適用しない。
一 国、地方公共団体等若しくは政令で定める法人に譲り渡されるものであるとき、又はこれらの者が譲り渡すものであるとき。
二 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第四十六条(同法第五十六条の十四において準用する場合を含む。)の規定の適用を受けるものであるとき。
三 都市計画施設又は土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第三条各号に掲げる施設に関する事業その他これらに準ずるものとして政令で定める事業の用に供するために譲り渡されるものであるとき。
四 都市計画法第二十九条の許可を受けた開発行為に係る開発区域に含まれるものであるとき。
五 都市計画法第五十七条第一項の公告の日の翌日から起算して十日を経過した後における当該公告に係る同法第五十五条第一項に規定する事業予定地に含まれるものであるとき、又は同法第六十六条の公告の日の翌日から起算して十日を経過した後における当該公告に係る都市計画事業を施行する土地の区域に含まれるものであるとき。
六 前項の届出に係るものであつて、第八条に規定する期間の経過した日の翌日から起算して一年を経過する日までの間において当該届出をした者により有償で譲り渡されるものであるとき。
七 その面積が政令で定める規模未満のものその他政令で定める要件をみたすものであるとき。
(地方公共団体等に対する土地の買取り希望の申出)
第五条 前条第一項に規定する土地その他市街化区域内に所在する土地(その面積が政令で定める規模以上のものに限る。)を所有する者は、当該土地の地方公共団体等による買取りを希望するときは、都道府県知事に対し、同項の規定に準じ主務省令で定めるところにより、その旨を申し出ることができる。
2 前項の申出があつた場合においては、前条第一項の規定は、当該申出に係る同項に規定する土地につき、第八条に規定する期間の経過した日の翌日から起算して一年を経過する日までの間、当該申出をした者については、適用しない。
(土地の買取りの協議)
第六条 都道府県知事は、第四条第一項の届出又は前条第一項の申出(以下「届出等」という。)があつた場合においては、当該届出等に係る土地の買取りを希望する地方公共団体等のうちから買取りの協議を行なう地方公共団体等を定め、買取りの目的を示して、当該地方公共団体等が買取りの協議を行なう旨を当該届出等をした者に通知するものとする。
2 前項の通知は、届出等のあつた日から起算して二週間以内に、これを行なうものとする。
3 都道府県知事は、第一項の場合において、当該届出等に係る土地の買取りを希望する地方公共団体等がないときは、当該届出等をした者に対し、直ちにその旨を通知しなければならない。
4 第一項の通知を受けた者は、正当な理由がなければ、当該通知に係る土地の買取りの協議を行なうことを拒んではならない。
(土地の買取り価格の規準)
第七条 地方公共団体等は、届出等に係る土地の買取り価格については、地価公示法(昭和四十四年法律第四十九号)第六条の規定による公示価格を規準としなければならない。
(土地の譲渡の制限)
第八条 第四条第一項又は第五条第一項に規定する土地に係る届出等をした者は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる日又は時までの間、当該届出等に係る土地を当該地方公共団体等以外の者に譲り渡してはならない。
一 第六条第一項の通知があつた場合 当該通知があつた日から起算して二週間を経過する日(その期間内に土地の買取りの協議が成立しないことが明らかになつたときは、その時)
二 第六条第三項の通知があつた場合 当該通知があつた時
三 第六条第二項に規定する期間内に同条第一項又は第三項の通知がなかつた場合 当該届出等をした日から起算して二週間を経過する日
(先買いに係る土地の管理)
第九条 第六条第一項の手続により買い取られた土地は、第四条第一項の届出に係るものにあつては次に掲げる事業の用に、第五条第一項の申出に係るものにあつては次に掲げる事業又はこれらの事業に係る代替地の用に供されなければならない。
一 都市計画法第四条第四項に規定する都市施設に関する事業
二 土地収用法第三条各号に掲げる施設に関する事業
三 前二号に掲げるもののほか、これらに準ずるものとして政令で定める事業
2 地方公共団体等は、第六条第一項の手続により買い取つた土地をこの法律の目的に従つて適切に管理しなければならない。
第三章 土地開発公社
(設立)
第十条 地方公共団体は、当該地方公共団体の事務(当該地方公共団体の長の権限に属する国の事務を含む。)で次に掲げるものを円滑に処理するため、単独で、又は他の地方公共団体と共同して、土地開発公社を設立することができる。
一 第四条第一項又は第五条第一項に規定する土地の取得及び管理
二 道路、公園、緑地その他の公共施設又は公用施設の用に供する土地の取得及び管理
三 公営企業の用に供する土地その他地域の秩序ある整備を図るために必要な政令で定める土地の取得及び管理
2 地方公共団体は、土地開発公社を設立しようとするときは、その議会の議決を経て定款を定め、都道府県(都道府県の加入する一部事務組合を含む。以下この項において同じ。)又は都道府県及び市町村が設立しようとする場合にあつては主務大臣、その他の場合にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。
(法人格)
第十一条 前条の規定による土地開発公社は、法人とする。
(名称)
第十二条 土地開発公社は、その名称中に土地開発公社という文字を用いなければならない。
2 土地開発公社でない者は、その名称中に土地開発公社という文字を用いてはならない。
(出資)
第十三条 地方公共団体でなければ、土地開発公社に出資することができない。
2 土地開発公社の設立者である地方公共団体(以下「設立団体」という。)は、土地開発公社の基本財産の額の二分の一以上に相当する資金その他の財産を出資しなければならない。
(定款)
第十四条 土地開発公社の定款には、次に掲げる事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 設立団体
四 事務所の所在地
五 役員の定数、任期その他役員に関する事項
六 業務の範囲及びその執行に関する事項
七 基本財産の額その他資産及び会計に関する事項
八 公告の方法
九 解散に伴う残余財産の帰属に関する事項
2 定款の変更(政令で定める事項に係るものを除く。)は、設立団体の議会の議決を経て第十条第二項の規定の例により主務大臣又は都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(登記)
第十五条 土地開発公社は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
3 土地開発公社は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
(役員及び職員)
第十六条 土地開発公社に、役員として、理事及び監事を置く。
2 理事及び監事は、設立団体の長が任命する。
3 設立団体の長は、役員が心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められる場合又は役員に職務上の義務違反その他役員たるに適しない非行があると認める場合には、その役員を解任することができる。
4 土地開発公社と理事との利益が相反する事項については、理事は、代表権を有しない。この場合には、監事が土地開発公社を代表する。
5 土地開発公社の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(業務の範囲)
第十七条 土地開発公社は、第十条第一項各号の土地の取得、造成その他の管理及び処分に関する業務のほか、当該業務の遂行に支障のない範囲内において、国、地方公共団体その他公共的団体の委託に基づき、土地の取得のあつせん、調査、測量その他これらに類する業務を行なうことができる。
(財務)
第十八条 土地開発公社の事業年度は、地方公共団体の会計年度の例による。
2 土地開発公社は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、設立団体の長の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 土地開発公社は、毎事業年度の終了後二箇月以内に、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び事業報告書を作成し、監事の意見を付けて、これを設立団体の長に提出しなければならない。
4 土地開発公社は、毎事業年度の損益計算上利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、準備金として整理しなければならない。
5 土地開発公社は、毎事業年度の損益計算上損失を生じたときは、前項の規定による準備金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
6 土地開発公社は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債又は地方債の取得
二 郵便貯金又は銀行その他主務大臣の指定する金融機関への預金
7 前各項に定めるもののほか、土地開発公社の財務及び会計に関し必要な事項は、主務省令で定める。
(監督)
第十九条 設立団体の長は、土地開発公社の業務の健全な運営を確保するため必要があると認めるときは、土地開発公社に対し、その業務に関し必要な命令をすることができる。
2 主務大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、土地開発公社に対し、その業務及び資産の状況に関し報告をさせ、又はその職員をして土地開発公社の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件の検査させることができる。
3 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
4 第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
5 主務大臣又は都道府県知事は、土地開発公社の業務の運営が法令の規定又は定款に違反していると認めるときは、設立団体又はその長に対し、第一項の規定による命令その他必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
(役員及び職員の行為の制限)
第二十条 土地開発公社の役員及び職員は、その取扱いに係る土地を譲り受け、又は自己の所有物と交換することができない。
2 前項の規定に違反する行為は、これを無効とする。
(設立団体が二以上である場合の長の権限の行使)
第二十一条 設立団体が二以上である土地開発公社に係る第十六条第二項及び第三項、第十八条第二項並びに第十九条第一項に規定する権限の行使については、当該設立団体の長が協議して定めるところによる。
(解散)
第二十二条 土地開発公社は、設立団体がその議会の議決を経て第十条第二項の規定の例により主務大臣又は都道府県知事の認可を受けたときに、解散する。
2 土地開発公社は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、土地開発公社に出資した者に対し、これを定款の定めるところにより分配しなければならない。
(民法等の準用)
第二十三条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条、第五十条、第五十二条第二項、第五十三条から第五十五条まで、第五十九条、第七十三条から第七十六条まで、第七十七条(届出に関する部分に限る。)、第七十八条から第八十条まで、第八十二条及び第八十三条並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項及び第三十六条から第三十七条ノ二までの規定は、土地開発公社について準用する。
2 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、土地開発公社を地方公共団体とみなしてこれらの法令を準用する。
第四章 補則
(国の援助)
第二十四条 国は、公有地の拡大を促進するため、地方公共団体による土地の取得が円滑に行なわれるように必要な資金の確保その他の援助に努めるものとする。
(土地開発公社に対する債務保証)
第二十五条 地方公共団体は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、土地開発公社の債務について保証契約をすることができる。
(土地開発公社に対する便宜の供与等)
第二十六条 地方公共団体の長その他の執行機関は、土地開発公社の運営に必要な範囲内において、その管理に係る土地、建物その他の施設を無償で土地開発公社の利用に供することができる。
2 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第九十二条の二、第百四十二条(第百六十六条第二項及び第百六十八条第七項において準用する場合を含む。)及び第百八十条の五第六項の規定は、地方公共団体の職員が土地開発公社の役員となる場合における当該地方公共団体の職員については、適用しない。
(不動産取得税の特例)
第二十七条 都道府県は、土地開発公社がその設立の際出資の目的として不動産を取得した場合における当該不動産の取得については、不動産取得税を課することができない。
(主務大臣)
第二十八条 この法律において、主務大臣は建設大臣及び自治大臣とし、主務省令は建設省令・自治省令とする。
(大都市の特例)
第二十九条 第二章の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)においては、当該指定都市の長が行なう。この場合においては、同章の規定中都道府県知事に関する規定は、指定都市の長に関する規定として指定都市の長に適用があるものとする。
2 指定都市に対する第三章の規定の適用については、政令で定める。
(政令への委任)
第三十条 この法律に定めるもののほか、第二章及び第三章の規定の適用その他この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
第五章 罰則
第三十一条 第十九条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした土地開発公社の役員、清算人又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
2 土地開発公社の役員、清算人又は職員がその土地開発公社の業務に関して前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その土地開発公社に対して同項の刑を科する。
第三十二条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の過料に処する。
一 第四条第一項の規定に違反して、届出をしないで土地を有償で譲り渡した者
二 第四条第一項に規定する届出について、虚偽の届出をした者
三 第八条の規定に違反して、同条に規定する期間内に土地を譲り渡した者
第三十三条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした土地開発公社の役員又は清算人は、三万円以下の過料に処する。
一 定款に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
二 第十五条第一項の規定に違反して、登記することを怠つたとき。
三 第十八条第二項の規定に違反して、設立団体の長の承認を受けなかつたとき。
四 第十八条第三項の規定に違反して、同項に規定する書類を提出することを怠り、又はそれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしてこれを提出したとき。
五 第十八条第四項から第六項までの規定に違反したとき。
六 第十九条第一項の規定による命令に違反したとき。
七 第二十二条第二項の規定に違反して、残余財産を分配したとき。
八 第二十三条第一項において準用する民法第七十九条第一項の規定に違反して、公告することを怠り、又は虚偽の公告をしたとき。
九 第二十三条第一項において準用する民法第七十九条第一項に規定する期間内に債権者に弁済したとき。
第三十四条 第十二条第二項の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(公益法人の土地開発公社への組織変更)
第二条 民法第三十四条の規定により設立された法人のうち、地方公共団体が基本財産たる財産の全部又は一部を拠出しているもので第十条第一項に規定する地方公共団体の事務に相当する業務を行なうことを目的とするもの(以下この条において「公益法人」という。)は、この法律の施行後二年内に限り、その組織を変更して土地開発公社となることができる。ただし、当該公益法人が社団法人であるときは、総社員の同意がある場合に限る。
2 前項の規定により公益法人がその組織を変更して土地開発公社となるには、設立団体となるべき地方公共団体の議会の議決を経て、その公益法人の定款又は寄附行為で定めるところにより、組織変更のために必要な定款又は寄附行為の変更をし、第十条第二項の規定の例により、主務大臣又は都道府県知事の認可を受けなければならない。
3 第一項の規定による土地開発公社への組織変更は、政令で定めるところにより、当該土地開発公社の主たる事務所の所在地において登記することによつて効力を生ずる。
4 公益法人が第一項の規定により事業年度の中途において土地開発公社に組織変更した場合における法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の規定及び地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)中法人の事業税に関する規定の適用については、当該事業年度の開始の日から組織変更の日までの期間及び組織変更の日の翌日から当該事業年度の末日までの期間をそれぞれ一事業年度とみなす。
5 公益法人が第一項の規定により土地開発公社に組織変更した場合において、当該組織変更に伴い、当該公益法人を債務者とする担保権についてする債務者の表示の変更の登記又は登録については、政令で定めるところにより、登録免許税を課さない。
6 第十条第一項に規定する地方公共団体の事務に相当する業務に該当しない業務を行なうことをも目的とする公益法人が第一項の規定により土地開発公社に組織変更した場合において、当該業務に係る不動産に関する権利で政令で定めるものについて、地方公共団体が設立した法人で同条第一項に規定する地方公共団体の事務に相当する業務に該当しない業務を行なうものが受ける権利の移転の登記及び政令で定める債務を地方公共団体又は当該法人が引き受けたことによる担保権の変更の登記については、政令で定めるところにより、登録免許税を課さない。
(名称の使用制限に関する経過措置)
第三条 この法律の施行の際現にその名称中に土地開発公社という文字を使用している者については、第十二条第二項の規定は、この法律の施行後二年間は、適用しない。
(地方税法の一部改正)
第四条 地方税法の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第二号中「及び地方道路公社」を「、地方道路公社及び土地開発公社」に改める。
第七十三条の五に次の一項を加える。
4 道府県は、土地開発公社が公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)第十条第一項に規定する地方公共団体の事務に相当する業務として土地を取得する場合における当該土地の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
第三百四十八条第二項第二号中「土地改良区連合」の下に「、土地開発公社」を加える。
第五条 前条の規定による改正後の地方税法の規定中法人の事業税に関する部分は、附則第二条第一項の規定による組織変更により土地開発公社となつた法人については、当該組織変更の日後に終了する事業年度分の法人の事業税について適用し、当該組織変更の日以前に終了する事業年度分の法人の事業税については、なお従前の例による。
(所得税法の一部改正)
第六条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中都市職員共済組合連合会の項の次に次のように加える。
土地開発公社
公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)
(法人税法の一部改正)
第七条 法人税法の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中中小企業信用保険公庫の項の次に次のように加える。
土地開発公社
公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)
第八条 前条の規定による改正後の法人税法の規定は、附則第二条第一項の規定による組織変更により土地開発公社となつた法人については、当該組織変更の日後に終了する事業年度分の法人税について適用し、当該組織変更の日以前に終了する事業年度分の法人税については、なお従前の例による。
(印紙税法の一部改正)
第九条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第二中帝都高速度交通営団の項の次に次のように加える。
土地開発公社
公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)
(登録免許税法の一部改正)
第十条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第二中帝都高速度交通営団の項の次に次のように加える。
土地開発公社
公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)
(建設省設置法の一部改正)
第十一条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条中第六号の五の次に次の一号を加える。
六の六 公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)による市街化区域内の土地の先買い及び土地開発公社に関する事務を管理すること。
(自治省設置法の一部改正)
第十二条 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第十一号の二の次に次の一号を加える。
十一の三 公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)に基づく土地開発公社及び市街化区域内の土地の先買いに関する事務を行なうこと。
第九条第十八号を同条第十九号とし、同号の前に次の一号を加える。
十八 公有地の拡大の推進に関する法律に基づく土地開発公社及び市街化区域内の土地の先買いに関する事務を行なうこと。
(公営企業金融公庫法の一部改正)
第十三条 公営企業金融公庫法(昭和三十二年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。
第一条に次の一項を加える。
3 公営企業金融公庫は、前二項に規定するもののほか、土地開発公社による土地の取得を促進するため、一般の金融機関が行なう融資を補完し、長期の資金を必要とする土地開発公社に対して、その資金を融通することを目的とする。
第十九条に次の一項を加える。
4 公庫は、第一条第三項に掲げる目的を達成するため、土地開発公社が行なう公営企業に相当する事業で政令で定めるものに要する資金の貸付け及びこれに附帯する業務を行なう。
法務大臣 前尾繁三郎
大蔵大臣 水田三喜男
文部大臣 高見三郎
厚生大臣 齋藤昇
農林大臣 赤城宗徳
内閣総理大臣 佐藤栄作
公有地の拡大の推進に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十七年六月十五日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第六十六号
公有地の拡大の推進に関する法律
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、市街化区域の整備を促進するため必要な土地の先買いに関する制度の整備、地方公共団体に代わつて土地の先行取得を行なうことを目的とする土地開発公社の創設その他の措置を講ずることにより、公有地の拡大の計画的な推進を図り、もつて地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進に資することを目的とする。
(用語の意義)
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 公有地 地方公共団体の所有する土地をいう。
二 地方公共団体等 地方公共団体、土地開発公社及び政令で定める法人をいう。
三 市街化区域 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項の規定による市街化区域をいう。
四 都市計画施設 都市計画法第四条第五項に規定する都市計画施設をいう。
(公有地の確保及びその有効利用)
第三条 地方公共団体は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、良好な都市環境の計画的な整備を促進するため、必要な土地を公有地として確保し、公有地の有効かつ適切な利用を図るように努めなければならない。
2 土地開発公社は、その設立の目的に従い、農林漁業との健全な調和に配慮しつつ公有地となるべき土地を確保し、これを適切に管理し、地方公共団体の土地需要に対処しうるように努めなければならない。
第二章 市街化区域内の土地の先買い
(土地を譲渡しようとする場合の届出義務)
第四条 市街化区域内に所在する土地で次に掲げるものを所有する者は、当該土地を有償で譲り渡そうとするときは、当該土地の所在及び面積、当該土地の譲渡予定価額、当該土地を譲り渡そうとする相手方その他主務省令で定める事項を、主務省令で定めるところにより、都道府県知事に届け出なければならない。
一 都市計画施設(土地区画整理事業(土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業をいう。以下同じ。)で第三号に規定するもの以外のものを施行する土地に係るものを除く。)の区域内に所在する土地
二 次に掲げる土地(次号に規定する土地区画整理事業以外の土地区画整理事業を施行する土地の区域内に所在するものを除く。)
イ 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項の規定により道路の区域として決定された区域内に所在する土地
ロ 都市公園法(昭和三十一年法律第七十九号)第二十三条第一項の規定により都市公園を設置すべき区域として決定された区域内に所在する土地
ハ 河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第五十六条第一項の規定により河川予定地として指定された土地
ニ イからハまでに掲げるもののほか、これらに準ずる土地として政令で定める土地
三 新たな市街地の造成を目的とする土地区画整理事業で、都道府県知事が指定し、主務省令で定めるところにより公告したものを施行する土地の区域内に所在する土地
四 前三号に掲げる土地のほか、その面積が二千平方メートルを下らない規模で政令で定める規模以上の土地
2 前項の規定は、同項に規定する土地で次の各号の一に該当するものを有償で譲り渡そうとする者については、適用しない。
一 国、地方公共団体等若しくは政令で定める法人に譲り渡されるものであるとき、又はこれらの者が譲り渡すものであるとき。
二 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第四十六条(同法第五十六条の十四において準用する場合を含む。)の規定の適用を受けるものであるとき。
三 都市計画施設又は土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第三条各号に掲げる施設に関する事業その他これらに準ずるものとして政令で定める事業の用に供するために譲り渡されるものであるとき。
四 都市計画法第二十九条の許可を受けた開発行為に係る開発区域に含まれるものであるとき。
五 都市計画法第五十七条第一項の公告の日の翌日から起算して十日を経過した後における当該公告に係る同法第五十五条第一項に規定する事業予定地に含まれるものであるとき、又は同法第六十六条の公告の日の翌日から起算して十日を経過した後における当該公告に係る都市計画事業を施行する土地の区域に含まれるものであるとき。
六 前項の届出に係るものであつて、第八条に規定する期間の経過した日の翌日から起算して一年を経過する日までの間において当該届出をした者により有償で譲り渡されるものであるとき。
七 その面積が政令で定める規模未満のものその他政令で定める要件をみたすものであるとき。
(地方公共団体等に対する土地の買取り希望の申出)
第五条 前条第一項に規定する土地その他市街化区域内に所在する土地(その面積が政令で定める規模以上のものに限る。)を所有する者は、当該土地の地方公共団体等による買取りを希望するときは、都道府県知事に対し、同項の規定に準じ主務省令で定めるところにより、その旨を申し出ることができる。
2 前項の申出があつた場合においては、前条第一項の規定は、当該申出に係る同項に規定する土地につき、第八条に規定する期間の経過した日の翌日から起算して一年を経過する日までの間、当該申出をした者については、適用しない。
(土地の買取りの協議)
第六条 都道府県知事は、第四条第一項の届出又は前条第一項の申出(以下「届出等」という。)があつた場合においては、当該届出等に係る土地の買取りを希望する地方公共団体等のうちから買取りの協議を行なう地方公共団体等を定め、買取りの目的を示して、当該地方公共団体等が買取りの協議を行なう旨を当該届出等をした者に通知するものとする。
2 前項の通知は、届出等のあつた日から起算して二週間以内に、これを行なうものとする。
3 都道府県知事は、第一項の場合において、当該届出等に係る土地の買取りを希望する地方公共団体等がないときは、当該届出等をした者に対し、直ちにその旨を通知しなければならない。
4 第一項の通知を受けた者は、正当な理由がなければ、当該通知に係る土地の買取りの協議を行なうことを拒んではならない。
(土地の買取り価格の規準)
第七条 地方公共団体等は、届出等に係る土地の買取り価格については、地価公示法(昭和四十四年法律第四十九号)第六条の規定による公示価格を規準としなければならない。
(土地の譲渡の制限)
第八条 第四条第一項又は第五条第一項に規定する土地に係る届出等をした者は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる日又は時までの間、当該届出等に係る土地を当該地方公共団体等以外の者に譲り渡してはならない。
一 第六条第一項の通知があつた場合 当該通知があつた日から起算して二週間を経過する日(その期間内に土地の買取りの協議が成立しないことが明らかになつたときは、その時)
二 第六条第三項の通知があつた場合 当該通知があつた時
三 第六条第二項に規定する期間内に同条第一項又は第三項の通知がなかつた場合 当該届出等をした日から起算して二週間を経過する日
(先買いに係る土地の管理)
第九条 第六条第一項の手続により買い取られた土地は、第四条第一項の届出に係るものにあつては次に掲げる事業の用に、第五条第一項の申出に係るものにあつては次に掲げる事業又はこれらの事業に係る代替地の用に供されなければならない。
一 都市計画法第四条第四項に規定する都市施設に関する事業
二 土地収用法第三条各号に掲げる施設に関する事業
三 前二号に掲げるもののほか、これらに準ずるものとして政令で定める事業
2 地方公共団体等は、第六条第一項の手続により買い取つた土地をこの法律の目的に従つて適切に管理しなければならない。
第三章 土地開発公社
(設立)
第十条 地方公共団体は、当該地方公共団体の事務(当該地方公共団体の長の権限に属する国の事務を含む。)で次に掲げるものを円滑に処理するため、単独で、又は他の地方公共団体と共同して、土地開発公社を設立することができる。
一 第四条第一項又は第五条第一項に規定する土地の取得及び管理
二 道路、公園、緑地その他の公共施設又は公用施設の用に供する土地の取得及び管理
三 公営企業の用に供する土地その他地域の秩序ある整備を図るために必要な政令で定める土地の取得及び管理
2 地方公共団体は、土地開発公社を設立しようとするときは、その議会の議決を経て定款を定め、都道府県(都道府県の加入する一部事務組合を含む。以下この項において同じ。)又は都道府県及び市町村が設立しようとする場合にあつては主務大臣、その他の場合にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。
(法人格)
第十一条 前条の規定による土地開発公社は、法人とする。
(名称)
第十二条 土地開発公社は、その名称中に土地開発公社という文字を用いなければならない。
2 土地開発公社でない者は、その名称中に土地開発公社という文字を用いてはならない。
(出資)
第十三条 地方公共団体でなければ、土地開発公社に出資することができない。
2 土地開発公社の設立者である地方公共団体(以下「設立団体」という。)は、土地開発公社の基本財産の額の二分の一以上に相当する資金その他の財産を出資しなければならない。
(定款)
第十四条 土地開発公社の定款には、次に掲げる事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 設立団体
四 事務所の所在地
五 役員の定数、任期その他役員に関する事項
六 業務の範囲及びその執行に関する事項
七 基本財産の額その他資産及び会計に関する事項
八 公告の方法
九 解散に伴う残余財産の帰属に関する事項
2 定款の変更(政令で定める事項に係るものを除く。)は、設立団体の議会の議決を経て第十条第二項の規定の例により主務大臣又は都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(登記)
第十五条 土地開発公社は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
3 土地開発公社は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
(役員及び職員)
第十六条 土地開発公社に、役員として、理事及び監事を置く。
2 理事及び監事は、設立団体の長が任命する。
3 設立団体の長は、役員が心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められる場合又は役員に職務上の義務違反その他役員たるに適しない非行があると認める場合には、その役員を解任することができる。
4 土地開発公社と理事との利益が相反する事項については、理事は、代表権を有しない。この場合には、監事が土地開発公社を代表する。
5 土地開発公社の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(業務の範囲)
第十七条 土地開発公社は、第十条第一項各号の土地の取得、造成その他の管理及び処分に関する業務のほか、当該業務の遂行に支障のない範囲内において、国、地方公共団体その他公共的団体の委託に基づき、土地の取得のあつせん、調査、測量その他これらに類する業務を行なうことができる。
(財務)
第十八条 土地開発公社の事業年度は、地方公共団体の会計年度の例による。
2 土地開発公社は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、設立団体の長の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 土地開発公社は、毎事業年度の終了後二箇月以内に、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び事業報告書を作成し、監事の意見を付けて、これを設立団体の長に提出しなければならない。
4 土地開発公社は、毎事業年度の損益計算上利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、準備金として整理しなければならない。
5 土地開発公社は、毎事業年度の損益計算上損失を生じたときは、前項の規定による準備金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
6 土地開発公社は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債又は地方債の取得
二 郵便貯金又は銀行その他主務大臣の指定する金融機関への預金
7 前各項に定めるもののほか、土地開発公社の財務及び会計に関し必要な事項は、主務省令で定める。
(監督)
第十九条 設立団体の長は、土地開発公社の業務の健全な運営を確保するため必要があると認めるときは、土地開発公社に対し、その業務に関し必要な命令をすることができる。
2 主務大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、土地開発公社に対し、その業務及び資産の状況に関し報告をさせ、又はその職員をして土地開発公社の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件の検査させることができる。
3 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
4 第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
5 主務大臣又は都道府県知事は、土地開発公社の業務の運営が法令の規定又は定款に違反していると認めるときは、設立団体又はその長に対し、第一項の規定による命令その他必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
(役員及び職員の行為の制限)
第二十条 土地開発公社の役員及び職員は、その取扱いに係る土地を譲り受け、又は自己の所有物と交換することができない。
2 前項の規定に違反する行為は、これを無効とする。
(設立団体が二以上である場合の長の権限の行使)
第二十一条 設立団体が二以上である土地開発公社に係る第十六条第二項及び第三項、第十八条第二項並びに第十九条第一項に規定する権限の行使については、当該設立団体の長が協議して定めるところによる。
(解散)
第二十二条 土地開発公社は、設立団体がその議会の議決を経て第十条第二項の規定の例により主務大臣又は都道府県知事の認可を受けたときに、解散する。
2 土地開発公社は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、土地開発公社に出資した者に対し、これを定款の定めるところにより分配しなければならない。
(民法等の準用)
第二十三条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条、第五十条、第五十二条第二項、第五十三条から第五十五条まで、第五十九条、第七十三条から第七十六条まで、第七十七条(届出に関する部分に限る。)、第七十八条から第八十条まで、第八十二条及び第八十三条並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項及び第三十六条から第三十七条ノ二までの規定は、土地開発公社について準用する。
2 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、土地開発公社を地方公共団体とみなしてこれらの法令を準用する。
第四章 補則
(国の援助)
第二十四条 国は、公有地の拡大を促進するため、地方公共団体による土地の取得が円滑に行なわれるように必要な資金の確保その他の援助に努めるものとする。
(土地開発公社に対する債務保証)
第二十五条 地方公共団体は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、土地開発公社の債務について保証契約をすることができる。
(土地開発公社に対する便宜の供与等)
第二十六条 地方公共団体の長その他の執行機関は、土地開発公社の運営に必要な範囲内において、その管理に係る土地、建物その他の施設を無償で土地開発公社の利用に供することができる。
2 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第九十二条の二、第百四十二条(第百六十六条第二項及び第百六十八条第七項において準用する場合を含む。)及び第百八十条の五第六項の規定は、地方公共団体の職員が土地開発公社の役員となる場合における当該地方公共団体の職員については、適用しない。
(不動産取得税の特例)
第二十七条 都道府県は、土地開発公社がその設立の際出資の目的として不動産を取得した場合における当該不動産の取得については、不動産取得税を課することができない。
(主務大臣)
第二十八条 この法律において、主務大臣は建設大臣及び自治大臣とし、主務省令は建設省令・自治省令とする。
(大都市の特例)
第二十九条 第二章の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)においては、当該指定都市の長が行なう。この場合においては、同章の規定中都道府県知事に関する規定は、指定都市の長に関する規定として指定都市の長に適用があるものとする。
2 指定都市に対する第三章の規定の適用については、政令で定める。
(政令への委任)
第三十条 この法律に定めるもののほか、第二章及び第三章の規定の適用その他この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
第五章 罰則
第三十一条 第十九条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした土地開発公社の役員、清算人又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
2 土地開発公社の役員、清算人又は職員がその土地開発公社の業務に関して前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その土地開発公社に対して同項の刑を科する。
第三十二条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の過料に処する。
一 第四条第一項の規定に違反して、届出をしないで土地を有償で譲り渡した者
二 第四条第一項に規定する届出について、虚偽の届出をした者
三 第八条の規定に違反して、同条に規定する期間内に土地を譲り渡した者
第三十三条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした土地開発公社の役員又は清算人は、三万円以下の過料に処する。
一 定款に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
二 第十五条第一項の規定に違反して、登記することを怠つたとき。
三 第十八条第二項の規定に違反して、設立団体の長の承認を受けなかつたとき。
四 第十八条第三項の規定に違反して、同項に規定する書類を提出することを怠り、又はそれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしてこれを提出したとき。
五 第十八条第四項から第六項までの規定に違反したとき。
六 第十九条第一項の規定による命令に違反したとき。
七 第二十二条第二項の規定に違反して、残余財産を分配したとき。
八 第二十三条第一項において準用する民法第七十九条第一項の規定に違反して、公告することを怠り、又は虚偽の公告をしたとき。
九 第二十三条第一項において準用する民法第七十九条第一項に規定する期間内に債権者に弁済したとき。
第三十四条 第十二条第二項の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(公益法人の土地開発公社への組織変更)
第二条 民法第三十四条の規定により設立された法人のうち、地方公共団体が基本財産たる財産の全部又は一部を拠出しているもので第十条第一項に規定する地方公共団体の事務に相当する業務を行なうことを目的とするもの(以下この条において「公益法人」という。)は、この法律の施行後二年内に限り、その組織を変更して土地開発公社となることができる。ただし、当該公益法人が社団法人であるときは、総社員の同意がある場合に限る。
2 前項の規定により公益法人がその組織を変更して土地開発公社となるには、設立団体となるべき地方公共団体の議会の議決を経て、その公益法人の定款又は寄附行為で定めるところにより、組織変更のために必要な定款又は寄附行為の変更をし、第十条第二項の規定の例により、主務大臣又は都道府県知事の認可を受けなければならない。
3 第一項の規定による土地開発公社への組織変更は、政令で定めるところにより、当該土地開発公社の主たる事務所の所在地において登記することによつて効力を生ずる。
4 公益法人が第一項の規定により事業年度の中途において土地開発公社に組織変更した場合における法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の規定及び地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)中法人の事業税に関する規定の適用については、当該事業年度の開始の日から組織変更の日までの期間及び組織変更の日の翌日から当該事業年度の末日までの期間をそれぞれ一事業年度とみなす。
5 公益法人が第一項の規定により土地開発公社に組織変更した場合において、当該組織変更に伴い、当該公益法人を債務者とする担保権についてする債務者の表示の変更の登記又は登録については、政令で定めるところにより、登録免許税を課さない。
6 第十条第一項に規定する地方公共団体の事務に相当する業務に該当しない業務を行なうことをも目的とする公益法人が第一項の規定により土地開発公社に組織変更した場合において、当該業務に係る不動産に関する権利で政令で定めるものについて、地方公共団体が設立した法人で同条第一項に規定する地方公共団体の事務に相当する業務に該当しない業務を行なうものが受ける権利の移転の登記及び政令で定める債務を地方公共団体又は当該法人が引き受けたことによる担保権の変更の登記については、政令で定めるところにより、登録免許税を課さない。
(名称の使用制限に関する経過措置)
第三条 この法律の施行の際現にその名称中に土地開発公社という文字を使用している者については、第十二条第二項の規定は、この法律の施行後二年間は、適用しない。
(地方税法の一部改正)
第四条 地方税法の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第二号中「及び地方道路公社」を「、地方道路公社及び土地開発公社」に改める。
第七十三条の五に次の一項を加える。
4 道府県は、土地開発公社が公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)第十条第一項に規定する地方公共団体の事務に相当する業務として土地を取得する場合における当該土地の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
第三百四十八条第二項第二号中「土地改良区連合」の下に「、土地開発公社」を加える。
第五条 前条の規定による改正後の地方税法の規定中法人の事業税に関する部分は、附則第二条第一項の規定による組織変更により土地開発公社となつた法人については、当該組織変更の日後に終了する事業年度分の法人の事業税について適用し、当該組織変更の日以前に終了する事業年度分の法人の事業税については、なお従前の例による。
(所得税法の一部改正)
第六条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中都市職員共済組合連合会の項の次に次のように加える。
土地開発公社
公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)
(法人税法の一部改正)
第七条 法人税法の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中中小企業信用保険公庫の項の次に次のように加える。
土地開発公社
公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)
第八条 前条の規定による改正後の法人税法の規定は、附則第二条第一項の規定による組織変更により土地開発公社となつた法人については、当該組織変更の日後に終了する事業年度分の法人税について適用し、当該組織変更の日以前に終了する事業年度分の法人税については、なお従前の例による。
(印紙税法の一部改正)
第九条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第二中帝都高速度交通営団の項の次に次のように加える。
土地開発公社
公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)
(登録免許税法の一部改正)
第十条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第二中帝都高速度交通営団の項の次に次のように加える。
土地開発公社
公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)
(建設省設置法の一部改正)
第十一条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条中第六号の五の次に次の一号を加える。
六の六 公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)による市街化区域内の土地の先買い及び土地開発公社に関する事務を管理すること。
(自治省設置法の一部改正)
第十二条 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第十一号の二の次に次の一号を加える。
十一の三 公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)に基づく土地開発公社及び市街化区域内の土地の先買いに関する事務を行なうこと。
第九条第十八号を同条第十九号とし、同号の前に次の一号を加える。
十八 公有地の拡大の推進に関する法律に基づく土地開発公社及び市街化区域内の土地の先買いに関する事務を行なうこと。
(公営企業金融公庫法の一部改正)
第十三条 公営企業金融公庫法(昭和三十二年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。
第一条に次の一項を加える。
3 公営企業金融公庫は、前二項に規定するもののほか、土地開発公社による土地の取得を促進するため、一般の金融機関が行なう融資を補完し、長期の資金を必要とする土地開発公社に対して、その資金を融通することを目的とする。
第十九条に次の一項を加える。
4 公庫は、第一条第三項に掲げる目的を達成するため、土地開発公社が行なう公営企業に相当する事業で政令で定めるものに要する資金の貸付け及びこれに附帯する業務を行なう。
法務大臣 前尾繁三郎
大蔵大臣 水田三喜男
文部大臣 高見三郎
厚生大臣 斎藤昇
農林大臣 赤城宗徳
内閣総理大臣 佐藤栄作