社会保険労務士法
法令番号: 法律第八十九号
公布年月日: 昭和43年6月3日
法令の形式: 法律
社会保険労務士法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十三年六月三日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第八十九号
社会保険労務士法
目次
第一章
総則(第一条―第七条)
第二章
社会保険労務士試験(第八条―第十四条)
第三章
社会保険労務士業(第十五条―第二十三条)
第四章
監督(第二十四条・第二十五条)
第五章
雑則(第二十六条―第三十一条)
第六章
罰則(第三十二条―第三十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もつて労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「社会保険労務士」とは、主務大臣の免許を受け、社会保険労務士の名称を用いて、次の各号に掲げる事務を行なう者をいう。
一 別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書その他の書類を作成すること。
二 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(前号に掲げる書類を除く。)を作成すること。
三 事業における労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること(労働争議に介入することとなるものを除く。)。
2 前項各号に掲げる事務には、その事務を行なうことが他の法律(行政書士法(昭和二十六年法律第四号)を除く。)において制限されている事務並びに労働社会保険諸法令に基づく療養の給付及びこれに相当する給付の費用についてこれらの給付を担当する者のなす請求に関する事務は含まれない。
(資格)
第三条 次の各号の一に該当する者は、社会保険労務士となる資格を有する。
一 社会保険労務士試験に合格した者
二 第十一条の規定による社会保険労務士試験の免除科目が第九条に掲げる試験科目の全部に及ぶ者
2 弁護士となる資格を有する者は、前項の規定にかかわらず、社会保険労務士となる資格を有する。
(免許)
第四条 社会保険労務士となる資格を有する者が社会保険労務士となるには、主務大臣の免許を受けなければならない。
2 社会保険労務士の免許は、免許証を交付して行なう。
(欠格事由)
第五条 次の各号の一に該当する者には、社会保険労務士の免許を与えない。
一 未成年者
二 禁治産者又は準禁治産者
三 第二十五条第一項の規定による免許の取消しの処分を受けた者で、その処分の日から二年を経過しないもの
四 この法律又は労働社会保険諸法令の規定により罰金以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しないもの
五 前号に掲げる法令以外の法令の規定により禁錮以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しないもの
(免許の取消し)
第六条 主務大臣は、社会保険労務士が虚偽若しくは不正の事実に基づいて免許を受けた者であることが判明したとき、社会保険労務士が前条第二号、第四号若しくは第五号に該当するに至つたとき、又は社会保険労務士から免許取消しの申請があつたときは、その免許を取り消さなければならない。
(免許に関する省令への委任)
第七条 この章に規定するもののほか、社会保険労務士の免許の申請、免許証の交付その他免許に関し必要な事項は、主務省令で定める。
第二章 社会保険労務士試験
(受験資格)
第八条 次の各号の一に該当する者は、社会保険労務士試験を受けることができる。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学において学士の称号を得るのに必要な一般教養科目の学習を終わつた者又は同法による短期大学若しくは高等専門学校を卒業した者
二 旧高等学校令(大正七年勅令第三百八十九号)による高等学校高等科、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学予科又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を卒業し、又は修了した者
三 司法試験第一次試験又は高等試験予備試験に合格した者
四 国又は地方公共団体の公務員として労働社会保険諸法令に関する事務に従事した期間が通算して三年以上になる者
五 国又は地方公共団体の公務員として行政事務に従事した期間が通算して五年以上になる者
六 行政書士となる資格を有する者
七 社会保険労務士又は弁護士の業務の補助の事務に従事した期間が通算して五年以上になる者
八 労働組合の役員として労働組合の業務にもつぱら従事した期間が通算して五年以上になる者又は会社その他の法人(法人でない社団又は財団を含む。)(労働組合を除く。次号において「法人等」という。)の役員として労務を担当した期間が通算して五年以上になる者
九 労働組合の職員又は法人等若しくは事業を営む個人の従業者として労働社会保険諸法令に関する主務省令で定める事務に従事した期間が通算して五年以上になる者
十 主務大臣が前各号に掲げる者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者
(社会保険労務士試験)
第九条 社会保険労務士試験は、社会保険労務士となるのに必要な知識及び能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行なう。
一 労働基準法
二 労働者災害補償保険法
三 失業保険法
四 健康保険法
五 日雇労働者健康保険法
六 厚生年金保険法
七 労働及び社会保険に関する一般常識
(試験の執行)
第十条 社会労険労務士試験は、毎年一回以上、主務大臣が行なう。
2 主務大臣は、社会保険労務士試験をつかさどらせるため、労働及び社会保険に関し常識経験を有する者のうちから社会保険労務士試験委員を任命するものとする。
(試験科目の一部の免除)
第十一条 別表第二の上欄に掲げる社会保険労務士試験の試験科目については、当該下欄に掲げる者に該当する者に対して、それぞれ、その申請により、その試験を免除する。
(受験手数料)
第十二条 社会保険労務士試験を受けようとする者は、政令で定めるところにより、受験手数料を納めなければならない。
2 前項の規定により納めた受験手数料は、社会保険労務士試験を受けなかつた場合においても還付しない。
(合格の取消し等)
第十三条 主務大臣は、不正の手段によつて社会保険労務士試験を受け、又は受けようとした者に対しては、合格の決定を取り消し、又はその試験を受けることを禁止することができる。
2 主務大臣は、前項の規定による処分を受けた者に対し、情状により、三年以内の期間を定めて社会保険労務士試験を受けることができないものとすることができる。
(試験に関する省令への委任)
第十四条 この章に規定するもののほか、受験手続、社会保険労務士試験委員その他社会保険労務士試験に関し必要な事項は、主務省令で定める。
第三章 社会保険労務士業
(社会保険労務士業の届出)
第十五条 他人の求めに応じ報酬を得て、第二条に規定する事務を業として行なおうとする社会保険労務士は、事務所を定めて、あらかじめ、氏名、事務所の所在場所その他主務省令で定める事項を主務大臣に届け出なければならない。届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。
(事務所)
第十六条 他人の求めに応じ報酬を得て、第二条に規定する事務を業として行なう社会保険労務士(以下「社会保険労務士業を行なう社会保険労務士」という。)は、その業務を行なうための事務所を二以上設けてはならない。ただし、特に必要がある場合において主務大臣の許可を受けたときは、この限りでない。
(不正行為の指示等の禁止)
第十七条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険給付を受けること、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険料の賦課又は徴収を免れることその他労働社会保険諸法令に違反する行為について指示をし、相談に応じ、その他これらに類する行為をしてはならない。
(報酬の制限)
第十八条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、何らの名義をもつてするを問わず、その業務に関し、主務大臣が定める額をこえて報酬を受けてはならない。
2 主務大臣は、前項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
(帳簿の備付け及び保存)
第十九条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所及び氏名又は名称その他主務大臣が定める事項を記載しなければならない。
2 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、前項の帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から一年間保存しなければならない。社会保険労務士業を行なう社会保険労務士でなくなつたときも、同様とする。
(依頼に応ずる義務)
第二十条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、正当な理由がある場合でなければ、依頼を拒んではならない。
(信用失墜行為の禁止)
第二十一条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、社会保険労務士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
(秘密を守る義務)
第二十二条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。社会保険労務士業を行なう社会保険労務士でなくなつた場合においても、同様とする。
(労働争議に対する不介入)
第二十三条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、法令の定めによる場合を除き、労働争議に介入してはならない。
第四章 監督
(報告及び検査)
第二十四条 主務大臣は、社会保険労務士業を行なう社会保険労務士の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該社会保険労務士に対し、その業務に関し必要な報告を求め、又はその職員をして当該社会保険労務士の事務所に立ち入り、当該社会保険労務士に質問し、若しくはその業務に関係のある帳簿書類を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をしようとする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(懲戒)
第二十五条 社会保険労務士がその業務に関してこの法律若しくはこれに基づく命令若しくは労働社会保険諸法令に違反したとき、又は社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があつたときは、主務大臣は、戒告を与え、一年以内の期間を定めて社会保険労務士業を行なう社会保険労務士の業務の停止を命じ、又は社会保険労務士の免許を取り消すことができる。
2 主務大臣は、前項の規定により業務の停止又は免許の取消しをしようとするときは、当該社会保険労務士又はその代理人の出頭を求めて、公開による聴聞を行なわなければならない。
3 前項の場合において、主務大臣は、処分をしようとする事由並びに聴聞の期日及び場所を、その期日の一週間前までに、当該社会保険労務士に通知し、かつ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
4 聴聞においては、当該社会保険労務士又はその代理人は、釈明をし、かつ、証拠を提出することができる。
5 主務大臣は、当該社会保険労務士又はその代理人が正当な理由がなくて聴聞の期日に出頭しないときは、聴聞を行なわないで、第一項の規定による業務の停止又は免許の取消しをすることができる。
第五章 雑則
(名称の使用制限)
第二十六条 社会保険労務士でない者は、社会保険労務士又はこれに類似する名称を用いてはならない。
(社会保険労務士業の制限)
第二十七条 社会保険労務士でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て第二条第一項第一号及び第二号に規定する事務を業として行なつてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に附随して行なう場合は、この限りでない。
(資質向上のための援助)
第二十八条 主務大臣は、社会保険労務士の資質の向上を図るため、講習会の開催、資料の提供その他必要な援助を行なうように努めるものとする。
(主務大臣等)
第二十九条 この法律における主務大臣は、厚生大臣及び労働大臣とする。
2 この法律における主務省令は、厚生省令、労働省令とする。
(権限の委任)
第三十条 この法律に規定する主務大臣の権限の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事及び都道府県労働基準局長に委任することができる。
(省令への委任)
第三十一条 この法律に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、主務省令で定める。
第六章 罰則
第三十二条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 虚偽又は不正の事実に基づいて社会保険労務士の免許を受けた者
二 第十七条の規定に違反した者
三 第二十二条の規定に違反した者
四 第二十五条第一項の規定による業務の停止命令に違反した者
五 第二十七条の規定に違反した者
2 前項第三号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第三十三条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十五条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十八条第一項の規定に違反した者
三 第十九条の規定に違反した者
四 第二十条の規定に違反した者
五 第二十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者
六 第二十六条の規定に違反した者
第三十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第三十二条第一項第五号又は前条第二号若しくは第五号の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六箇月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(資格の特例)
2 この法律の施行の際引き続き六箇月以上行政書士会に入会している行政書士は、第三条の規定にかかわらず、社会保険労務士となる資格を有する。
3 前項の規定により社会保険労務士となる資格を有する者が社会保険労務士となるには、この法律の施行の日から起算して一年以内に、第四条第一項の規定による主務大臣の免許を申請しなければならない。当該期間内に免許の申請をしない場合においては、当該期間経過の日において、その社会保険労務士となる資格を失う。
4 この法律の施行の際現に次の各号の一に該当する者で、主務大臣が行なう選考により、社会保険労務士となるにふさわしい知識及び能力を有すると認められたものは、第三条の規定にかかわらず、社会保険労務士となる資格を有する。
一 学校教育法による大学において学士の称号を得るのに必要な一般教養科目の学習を終わつた後、又は同法による短期大学、旧高等学校令による高等学校高等科、旧大学令による大学予科若しくは旧専門学校令による専門学校を卒業し、若しくは修了した後、国又は地方公共団体の公務員として労働社会保険諸法令の施行事務に通算して八年以上従事した者
二 学校教育法による高等学校又は旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中学校、高等女学校若しくは実業学校を卒業した後、国又は地方公共団体の公務員として労働社会保険諸法令の施行事務に通算して十年以上従事した者
三 国又は地方公共団体の公務員として労働社会保険諸法令の施行事務に通算して十二年以上従事した者
四 主務大臣が前各号に掲げる者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者
5 前項の規定により主務大臣が行なう選考を受けようとする者は、主務省令で定めるところにより、昭和四十四年三月三十一日までに、その申請をしなければならない。
6 主務大臣は、附則第四項の選考の事務をつかさどらせるため、臨時に、労働及び社会保険に関し学識経験を有する者のうちから社会保険労務士選考委員を任命するものとする。
7 社会保険労務士選考委員は、附則第四項の選考を行なうにあたつて、必要と認める場合においては、考査を行なうことができる。
8 附則第四項の選考を受けようとする者は、政令で定めるところにより、選考手数料を納めなければならない。
9 社会保険労務士選考委員に関して必要な事項は、主務省令で定める。
10 附則第四項の選考及び附則第七項の考査の基準は、主務大臣が告示する。
(社会保険労務士試験の執行に関する特例)
11 第十条第一項の規定にかかわらず、昭和四十三年においては、社会保険労務士試験を行なわないことができる。
(名称使用に関する経過規定)
12 この法律の施行の際現に社会保険労務士又はこれに類似する名称を用いている者は、この法律の施行の日から起算して一年間は、第二十六条の規定にかかわらず、なお従前の名称を用いることができる。
(厚生省設置法の一部改正)
13 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条中第六十二号の六を第六十二号の七とし、第六十二号の五の次に次の一号を加える。
六十二の六 社会保険労務士試験及び社会保険労務士の免許を行ない、並びに社会保険労務士の免許の取消しを行ない、又は社会保険労務士業の停止を命ずること。
第三十六条の四中「第六十二号の五」の下に「、第六十二号の六」を加える。
第三十六条の六中第十二号を第十三号とし、第十一号の次に次の一号を加える。
十二 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)を施行すること。
(労働省設置法の一部改正)
14 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第四条中第十三号の二を第十三号の三とし、第十三号の次に次の一号を加える。
十三の二 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)に基づいて、社会保険労務士試験及び社会保険労務士の免許を行ない、並びに社会保険労務士の免許の取消しを行ない、又は社会保険労務士業の停止を命ずること。
第六条第九号の次に次の一号を加える。
九の二 社会保険労務士法の施行に関すること。
(地方税法の一部改正)
15 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条第七項第十五号の次に次の一号を加える。
十五の二 社会保険労務士業
(行政書士法の一部改正)
16 行政書士法の一部を次のように改正する。
第一条第二項中「他の法律」の下に「(社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)を除く。)」を加える。
(登録免許税法の一部改正)
17 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第一第二十三号中「登録」の下に「、免許」を加え、同号(七)の次に次のように加える。
(七の二) 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第四条第一項(免許)の社会保険労務士の免許
免許件数
一件につき一万円
別表第一
一 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
二 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)
三 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)
四 失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)
五 労働保険審査官及び労働保険審査会法(昭和三十一年法律第百二十六号)
六 労働福祉事業団法(昭和三十二年法律第百二十六号)
七 職業訓練法(昭和三十三年法律第百三十三号)
八 駐留軍関係離職者等臨時措置法(昭和三十三年法律第百五十八号。第十条の二、第十条の三及び第十八条の規定に限る。)
九 最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)
十 中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号)
十一 炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)
十二 じん肺法(昭和三十五年法律第三十号)
十三 身体障害者雇用促進法(昭和三十五年法律第百二十三号)
十四 雇用促進事業団法(昭和三十六年法律第百十六号)
十五 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号。第二十五条の規定に限る。)
十六 労働災害防止団体等に関する法律(昭和三十九年法律第百十八号)
十七 港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)
十八 雇用対策法(昭和四十一年法律第百三十二号)
十九 沖縄居住者等に対する失業保険に関する特別措置法(昭和四十二年法律第三十七号)
二十 炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法(昭和四十二年法律第九十二号)
二十一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)
二十二 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)
二十三 社会保険審査官及び社会保険審査会法(昭和二十八年法律第二百六号)
二十四 日雇労働者健康保険法(昭和二十八年法律第二百七号)
二十五 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)
二十六 厚生年金保険及び船員保険交渉法(昭和二十九年法律第百十七号)
二十七 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)
二十八 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)
二十九 年金福祉事業団法(昭和三十六年法律第百八十号)
三十 通算年金通則法(昭和三十六年法律第百八十一号)
三十一 石炭鉱業年金基金法(昭和四十二年法律第百三十五号)
三十二 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律(昭和四十二年法律第百四十号)
三十三 前各号に掲げる法律に基づく命令
三十四 行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号。前各号に掲げる法令に係る不服申立ての場合に限る。)
別表第二
免除科目
免除資格者
労働基準法
司法試験第二次試験に合格した者で労働法を選択したもの
国家公務員として労働基準法又は労働者災害補償保険法の施行事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
主務大臣が、労働基準法についてこの欄の前二項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
労働者災害補償保険法
国家公務員として労働基準法又は労働者災害補償保険法の施行事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
労働者災害補償保険審査官の職にあつた期間が通算して五年以上になる者
主務大臣が、労働者災害補償保険法についてこの欄の前二項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
失業保険法
国又は地方公共団体の公務員として失業保険法又は職業安定法の施行事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
失業保険審査官の職にあつた期間が通算して五年以上になる者
主務大臣が、失業保険法についてこの欄の前二項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
健康保険法
国又は地方公共団体の公務員として健康保険法又は日雇労働者健康保険法の施行事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
社会保険審査官の職にあつた期間が通算して五年以上になる者
主務大臣が、健康保険法についてこの欄の前二項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
日雇労働者健康保険法
国又は地方公共団体の公務員として健康保険法又は日雇労働者健康保険法の施行事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
社会保険審査官の職にあつた期間が通算して五年以上になる者
主務大臣が、日雇労働者健康保険法についてこの欄の前二項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
厚生年金保険法
国又は地方公共団体の公務員として厚生年金保険法の施行事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
社会保険審査官の職にあつた期間が通算して五年以上になる者
主務大臣が、厚生年金保険法についてこの欄の前二項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
労働及び社会保険に関する一般常識
国又は地方公共団体の公務員として厚生省又は労働省の所掌事務に属する行政事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
主務大臣が、労働及び社会保険についてこの欄の前項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
法務大臣 赤間文三
大蔵大臣 水田三喜男
厚生大臣 園田直
労働大臣 小川平二
自治大臣 赤澤正道
内閣総理大臣 佐藤栄作
社会保険労務士法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十三年六月三日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第八十九号
社会保険労務士法
目次
第一章
総則(第一条―第七条)
第二章
社会保険労務士試験(第八条―第十四条)
第三章
社会保険労務士業(第十五条―第二十三条)
第四章
監督(第二十四条・第二十五条)
第五章
雑則(第二十六条―第三十一条)
第六章
罰則(第三十二条―第三十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もつて労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「社会保険労務士」とは、主務大臣の免許を受け、社会保険労務士の名称を用いて、次の各号に掲げる事務を行なう者をいう。
一 別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書その他の書類を作成すること。
二 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(前号に掲げる書類を除く。)を作成すること。
三 事業における労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること(労働争議に介入することとなるものを除く。)。
2 前項各号に掲げる事務には、その事務を行なうことが他の法律(行政書士法(昭和二十六年法律第四号)を除く。)において制限されている事務並びに労働社会保険諸法令に基づく療養の給付及びこれに相当する給付の費用についてこれらの給付を担当する者のなす請求に関する事務は含まれない。
(資格)
第三条 次の各号の一に該当する者は、社会保険労務士となる資格を有する。
一 社会保険労務士試験に合格した者
二 第十一条の規定による社会保険労務士試験の免除科目が第九条に掲げる試験科目の全部に及ぶ者
2 弁護士となる資格を有する者は、前項の規定にかかわらず、社会保険労務士となる資格を有する。
(免許)
第四条 社会保険労務士となる資格を有する者が社会保険労務士となるには、主務大臣の免許を受けなければならない。
2 社会保険労務士の免許は、免許証を交付して行なう。
(欠格事由)
第五条 次の各号の一に該当する者には、社会保険労務士の免許を与えない。
一 未成年者
二 禁治産者又は準禁治産者
三 第二十五条第一項の規定による免許の取消しの処分を受けた者で、その処分の日から二年を経過しないもの
四 この法律又は労働社会保険諸法令の規定により罰金以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しないもの
五 前号に掲げる法令以外の法令の規定により禁錮以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しないもの
(免許の取消し)
第六条 主務大臣は、社会保険労務士が虚偽若しくは不正の事実に基づいて免許を受けた者であることが判明したとき、社会保険労務士が前条第二号、第四号若しくは第五号に該当するに至つたとき、又は社会保険労務士から免許取消しの申請があつたときは、その免許を取り消さなければならない。
(免許に関する省令への委任)
第七条 この章に規定するもののほか、社会保険労務士の免許の申請、免許証の交付その他免許に関し必要な事項は、主務省令で定める。
第二章 社会保険労務士試験
(受験資格)
第八条 次の各号の一に該当する者は、社会保険労務士試験を受けることができる。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学において学士の称号を得るのに必要な一般教養科目の学習を終わつた者又は同法による短期大学若しくは高等専門学校を卒業した者
二 旧高等学校令(大正七年勅令第三百八十九号)による高等学校高等科、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学予科又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を卒業し、又は修了した者
三 司法試験第一次試験又は高等試験予備試験に合格した者
四 国又は地方公共団体の公務員として労働社会保険諸法令に関する事務に従事した期間が通算して三年以上になる者
五 国又は地方公共団体の公務員として行政事務に従事した期間が通算して五年以上になる者
六 行政書士となる資格を有する者
七 社会保険労務士又は弁護士の業務の補助の事務に従事した期間が通算して五年以上になる者
八 労働組合の役員として労働組合の業務にもつぱら従事した期間が通算して五年以上になる者又は会社その他の法人(法人でない社団又は財団を含む。)(労働組合を除く。次号において「法人等」という。)の役員として労務を担当した期間が通算して五年以上になる者
九 労働組合の職員又は法人等若しくは事業を営む個人の従業者として労働社会保険諸法令に関する主務省令で定める事務に従事した期間が通算して五年以上になる者
十 主務大臣が前各号に掲げる者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者
(社会保険労務士試験)
第九条 社会保険労務士試験は、社会保険労務士となるのに必要な知識及び能力を有するかどうかを判定することを目的とし、次に掲げる科目について行なう。
一 労働基準法
二 労働者災害補償保険法
三 失業保険法
四 健康保険法
五 日雇労働者健康保険法
六 厚生年金保険法
七 労働及び社会保険に関する一般常識
(試験の執行)
第十条 社会労険労務士試験は、毎年一回以上、主務大臣が行なう。
2 主務大臣は、社会保険労務士試験をつかさどらせるため、労働及び社会保険に関し常識経験を有する者のうちから社会保険労務士試験委員を任命するものとする。
(試験科目の一部の免除)
第十一条 別表第二の上欄に掲げる社会保険労務士試験の試験科目については、当該下欄に掲げる者に該当する者に対して、それぞれ、その申請により、その試験を免除する。
(受験手数料)
第十二条 社会保険労務士試験を受けようとする者は、政令で定めるところにより、受験手数料を納めなければならない。
2 前項の規定により納めた受験手数料は、社会保険労務士試験を受けなかつた場合においても還付しない。
(合格の取消し等)
第十三条 主務大臣は、不正の手段によつて社会保険労務士試験を受け、又は受けようとした者に対しては、合格の決定を取り消し、又はその試験を受けることを禁止することができる。
2 主務大臣は、前項の規定による処分を受けた者に対し、情状により、三年以内の期間を定めて社会保険労務士試験を受けることができないものとすることができる。
(試験に関する省令への委任)
第十四条 この章に規定するもののほか、受験手続、社会保険労務士試験委員その他社会保険労務士試験に関し必要な事項は、主務省令で定める。
第三章 社会保険労務士業
(社会保険労務士業の届出)
第十五条 他人の求めに応じ報酬を得て、第二条に規定する事務を業として行なおうとする社会保険労務士は、事務所を定めて、あらかじめ、氏名、事務所の所在場所その他主務省令で定める事項を主務大臣に届け出なければならない。届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。
(事務所)
第十六条 他人の求めに応じ報酬を得て、第二条に規定する事務を業として行なう社会保険労務士(以下「社会保険労務士業を行なう社会保険労務士」という。)は、その業務を行なうための事務所を二以上設けてはならない。ただし、特に必要がある場合において主務大臣の許可を受けたときは、この限りでない。
(不正行為の指示等の禁止)
第十七条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険給付を受けること、不正に労働社会保険諸法令に基づく保険料の賦課又は徴収を免れることその他労働社会保険諸法令に違反する行為について指示をし、相談に応じ、その他これらに類する行為をしてはならない。
(報酬の制限)
第十八条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、何らの名義をもつてするを問わず、その業務に関し、主務大臣が定める額をこえて報酬を受けてはならない。
2 主務大臣は、前項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
(帳簿の備付け及び保存)
第十九条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所及び氏名又は名称その他主務大臣が定める事項を記載しなければならない。
2 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、前項の帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から一年間保存しなければならない。社会保険労務士業を行なう社会保険労務士でなくなつたときも、同様とする。
(依頼に応ずる義務)
第二十条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、正当な理由がある場合でなければ、依頼を拒んではならない。
(信用失墜行為の禁止)
第二十一条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、社会保険労務士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
(秘密を守る義務)
第二十二条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。社会保険労務士業を行なう社会保険労務士でなくなつた場合においても、同様とする。
(労働争議に対する不介入)
第二十三条 社会保険労務士業を行なう社会保険労務士は、法令の定めによる場合を除き、労働争議に介入してはならない。
第四章 監督
(報告及び検査)
第二十四条 主務大臣は、社会保険労務士業を行なう社会保険労務士の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該社会保険労務士に対し、その業務に関し必要な報告を求め、又はその職員をして当該社会保険労務士の事務所に立ち入り、当該社会保険労務士に質問し、若しくはその業務に関係のある帳簿書類を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をしようとする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(懲戒)
第二十五条 社会保険労務士がその業務に関してこの法律若しくはこれに基づく命令若しくは労働社会保険諸法令に違反したとき、又は社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があつたときは、主務大臣は、戒告を与え、一年以内の期間を定めて社会保険労務士業を行なう社会保険労務士の業務の停止を命じ、又は社会保険労務士の免許を取り消すことができる。
2 主務大臣は、前項の規定により業務の停止又は免許の取消しをしようとするときは、当該社会保険労務士又はその代理人の出頭を求めて、公開による聴聞を行なわなければならない。
3 前項の場合において、主務大臣は、処分をしようとする事由並びに聴聞の期日及び場所を、その期日の一週間前までに、当該社会保険労務士に通知し、かつ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
4 聴聞においては、当該社会保険労務士又はその代理人は、釈明をし、かつ、証拠を提出することができる。
5 主務大臣は、当該社会保険労務士又はその代理人が正当な理由がなくて聴聞の期日に出頭しないときは、聴聞を行なわないで、第一項の規定による業務の停止又は免許の取消しをすることができる。
第五章 雑則
(名称の使用制限)
第二十六条 社会保険労務士でない者は、社会保険労務士又はこれに類似する名称を用いてはならない。
(社会保険労務士業の制限)
第二十七条 社会保険労務士でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て第二条第一項第一号及び第二号に規定する事務を業として行なつてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に附随して行なう場合は、この限りでない。
(資質向上のための援助)
第二十八条 主務大臣は、社会保険労務士の資質の向上を図るため、講習会の開催、資料の提供その他必要な援助を行なうように努めるものとする。
(主務大臣等)
第二十九条 この法律における主務大臣は、厚生大臣及び労働大臣とする。
2 この法律における主務省令は、厚生省令、労働省令とする。
(権限の委任)
第三十条 この法律に規定する主務大臣の権限の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事及び都道府県労働基準局長に委任することができる。
(省令への委任)
第三十一条 この法律に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、主務省令で定める。
第六章 罰則
第三十二条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 虚偽又は不正の事実に基づいて社会保険労務士の免許を受けた者
二 第十七条の規定に違反した者
三 第二十二条の規定に違反した者
四 第二十五条第一項の規定による業務の停止命令に違反した者
五 第二十七条の規定に違反した者
2 前項第三号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第三十三条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十五条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十八条第一項の規定に違反した者
三 第十九条の規定に違反した者
四 第二十条の規定に違反した者
五 第二十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者
六 第二十六条の規定に違反した者
第三十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第三十二条第一項第五号又は前条第二号若しくは第五号の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六箇月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(資格の特例)
2 この法律の施行の際引き続き六箇月以上行政書士会に入会している行政書士は、第三条の規定にかかわらず、社会保険労務士となる資格を有する。
3 前項の規定により社会保険労務士となる資格を有する者が社会保険労務士となるには、この法律の施行の日から起算して一年以内に、第四条第一項の規定による主務大臣の免許を申請しなければならない。当該期間内に免許の申請をしない場合においては、当該期間経過の日において、その社会保険労務士となる資格を失う。
4 この法律の施行の際現に次の各号の一に該当する者で、主務大臣が行なう選考により、社会保険労務士となるにふさわしい知識及び能力を有すると認められたものは、第三条の規定にかかわらず、社会保険労務士となる資格を有する。
一 学校教育法による大学において学士の称号を得るのに必要な一般教養科目の学習を終わつた後、又は同法による短期大学、旧高等学校令による高等学校高等科、旧大学令による大学予科若しくは旧専門学校令による専門学校を卒業し、若しくは修了した後、国又は地方公共団体の公務員として労働社会保険諸法令の施行事務に通算して八年以上従事した者
二 学校教育法による高等学校又は旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中学校、高等女学校若しくは実業学校を卒業した後、国又は地方公共団体の公務員として労働社会保険諸法令の施行事務に通算して十年以上従事した者
三 国又は地方公共団体の公務員として労働社会保険諸法令の施行事務に通算して十二年以上従事した者
四 主務大臣が前各号に掲げる者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者
5 前項の規定により主務大臣が行なう選考を受けようとする者は、主務省令で定めるところにより、昭和四十四年三月三十一日までに、その申請をしなければならない。
6 主務大臣は、附則第四項の選考の事務をつかさどらせるため、臨時に、労働及び社会保険に関し学識経験を有する者のうちから社会保険労務士選考委員を任命するものとする。
7 社会保険労務士選考委員は、附則第四項の選考を行なうにあたつて、必要と認める場合においては、考査を行なうことができる。
8 附則第四項の選考を受けようとする者は、政令で定めるところにより、選考手数料を納めなければならない。
9 社会保険労務士選考委員に関して必要な事項は、主務省令で定める。
10 附則第四項の選考及び附則第七項の考査の基準は、主務大臣が告示する。
(社会保険労務士試験の執行に関する特例)
11 第十条第一項の規定にかかわらず、昭和四十三年においては、社会保険労務士試験を行なわないことができる。
(名称使用に関する経過規定)
12 この法律の施行の際現に社会保険労務士又はこれに類似する名称を用いている者は、この法律の施行の日から起算して一年間は、第二十六条の規定にかかわらず、なお従前の名称を用いることができる。
(厚生省設置法の一部改正)
13 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条中第六十二号の六を第六十二号の七とし、第六十二号の五の次に次の一号を加える。
六十二の六 社会保険労務士試験及び社会保険労務士の免許を行ない、並びに社会保険労務士の免許の取消しを行ない、又は社会保険労務士業の停止を命ずること。
第三十六条の四中「第六十二号の五」の下に「、第六十二号の六」を加える。
第三十六条の六中第十二号を第十三号とし、第十一号の次に次の一号を加える。
十二 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)を施行すること。
(労働省設置法の一部改正)
14 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第四条中第十三号の二を第十三号の三とし、第十三号の次に次の一号を加える。
十三の二 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)に基づいて、社会保険労務士試験及び社会保険労務士の免許を行ない、並びに社会保険労務士の免許の取消しを行ない、又は社会保険労務士業の停止を命ずること。
第六条第九号の次に次の一号を加える。
九の二 社会保険労務士法の施行に関すること。
(地方税法の一部改正)
15 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条第七項第十五号の次に次の一号を加える。
十五の二 社会保険労務士業
(行政書士法の一部改正)
16 行政書士法の一部を次のように改正する。
第一条第二項中「他の法律」の下に「(社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)を除く。)」を加える。
(登録免許税法の一部改正)
17 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第一第二十三号中「登録」の下に「、免許」を加え、同号(七)の次に次のように加える。
(七の二) 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第四条第一項(免許)の社会保険労務士の免許
免許件数
一件につき一万円
別表第一
一 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
二 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)
三 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)
四 失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)
五 労働保険審査官及び労働保険審査会法(昭和三十一年法律第百二十六号)
六 労働福祉事業団法(昭和三十二年法律第百二十六号)
七 職業訓練法(昭和三十三年法律第百三十三号)
八 駐留軍関係離職者等臨時措置法(昭和三十三年法律第百五十八号。第十条の二、第十条の三及び第十八条の規定に限る。)
九 最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)
十 中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号)
十一 炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)
十二 じん肺法(昭和三十五年法律第三十号)
十三 身体障害者雇用促進法(昭和三十五年法律第百二十三号)
十四 雇用促進事業団法(昭和三十六年法律第百十六号)
十五 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号。第二十五条の規定に限る。)
十六 労働災害防止団体等に関する法律(昭和三十九年法律第百十八号)
十七 港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)
十八 雇用対策法(昭和四十一年法律第百三十二号)
十九 沖縄居住者等に対する失業保険に関する特別措置法(昭和四十二年法律第三十七号)
二十 炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法(昭和四十二年法律第九十二号)
二十一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)
二十二 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)
二十三 社会保険審査官及び社会保険審査会法(昭和二十八年法律第二百六号)
二十四 日雇労働者健康保険法(昭和二十八年法律第二百七号)
二十五 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)
二十六 厚生年金保険及び船員保険交渉法(昭和二十九年法律第百十七号)
二十七 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)
二十八 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)
二十九 年金福祉事業団法(昭和三十六年法律第百八十号)
三十 通算年金通則法(昭和三十六年法律第百八十一号)
三十一 石炭鉱業年金基金法(昭和四十二年法律第百三十五号)
三十二 健康保険法及び船員保険法の臨時特例に関する法律(昭和四十二年法律第百四十号)
三十三 前各号に掲げる法律に基づく命令
三十四 行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号。前各号に掲げる法令に係る不服申立ての場合に限る。)
別表第二
免除科目
免除資格者
労働基準法
司法試験第二次試験に合格した者で労働法を選択したもの
国家公務員として労働基準法又は労働者災害補償保険法の施行事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
主務大臣が、労働基準法についてこの欄の前二項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
労働者災害補償保険法
国家公務員として労働基準法又は労働者災害補償保険法の施行事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
労働者災害補償保険審査官の職にあつた期間が通算して五年以上になる者
主務大臣が、労働者災害補償保険法についてこの欄の前二項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
失業保険法
国又は地方公共団体の公務員として失業保険法又は職業安定法の施行事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
失業保険審査官の職にあつた期間が通算して五年以上になる者
主務大臣が、失業保険法についてこの欄の前二項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
健康保険法
国又は地方公共団体の公務員として健康保険法又は日雇労働者健康保険法の施行事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
社会保険審査官の職にあつた期間が通算して五年以上になる者
主務大臣が、健康保険法についてこの欄の前二項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
日雇労働者健康保険法
国又は地方公共団体の公務員として健康保険法又は日雇労働者健康保険法の施行事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
社会保険審査官の職にあつた期間が通算して五年以上になる者
主務大臣が、日雇労働者健康保険法についてこの欄の前二項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
厚生年金保険法
国又は地方公共団体の公務員として厚生年金保険法の施行事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
社会保険審査官の職にあつた期間が通算して五年以上になる者
主務大臣が、厚生年金保険法についてこの欄の前二項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
労働及び社会保険に関する一般常識
国又は地方公共団体の公務員として厚生省又は労働省の所掌事務に属する行政事務に従事した期間が通算して十年以上になる者
主務大臣が、労働及び社会保険についてこの欄の前項に掲げる者と同等以上の知識を有すると認める者
法務大臣 赤間文三
大蔵大臣 水田三喜男
厚生大臣 園田直
労働大臣 小川平二
自治大臣 赤沢正道
内閣総理大臣 佐藤栄作