(区分経理)
第十七条 機構は、次に掲げる業務ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。
一 第十三条に規定する業務(有償資金協力業務を除く。)
2 次の各号に掲げる金額に係る経理は、当該各号に定める勘定において行うものとする。
一 附則第二条第六項の規定により機構に出資があったものとされた金額 前項第一号に掲げる業務に係る勘定(以下「一般勘定」という。)
二 改正法附則第二条第五項の規定により機構に出資があったものとされた金額 有償資金協力業務に係る勘定(以下「有償資金協力勘定」という。)
(有償資金協力業務に係る予算)
第十八条 機構は、毎事業年度、有償資金協力業務に係る収入及び支出の予算を作成し、主務大臣を経由して、これを財務大臣に提出しなければならない。
2 前項の収入は、貸付金の利息、出資に対する配当金その他資産の運用に係る収入及び附属雑収入とし、同項の支出は、事務取扱費、業務委託費、通則法第四十五条第一項及びこの法律第三十二条第一項の規定による借入金の利子、同項又は同条第五項の規定により発行する機構債券の利子及び附属諸費とする。
3 財務大臣は、第一項の規定により有償資金協力業務に係る予算の提出を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。
4 内閣は、有償資金協力業務に係る予算について、前項の規定による閣議の決定があったときは、その予算を国の予算とともに国会に提出しなければならない。
5 有償資金協力業務に係る予算の形式及び内容については、財務大臣が、主務大臣と協議して定める。
6 有償資金協力業務に係る予算の作成及び提出の手続については、財務大臣が定める。
第十九条 前条の有償資金協力業務に係る予算には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 当該事業年度の有償資金協力業務に係る事業計画及び資金計画に関する書類
二 前々年度の有償資金協力業務に係る損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 前年度及び当該事業年度の有償資金協力業務に係る予定損益計算書及び予定貸借対照表
(有償資金協力業務に係る予備費)
第二十条 予見し難い事由による支出の予算の不足を補うため、有償資金協力業務に係る予算に予備費を設けることができる。
(有償資金協力業務に係る予算の議決)
第二十一条 有償資金協力業務に係る予算の国会の議決に関しては、国の予算の議決の例による。
(有償資金協力業務に係る予算の通知)
第二十二条 内閣は、有償資金協力業務に係る予算が国会の議決を経たときは、主務大臣を経由して、直ちにその旨を機構に通知するものとする。
2 機構は、前項の規定による通知を受けた後でなければ、当該予算を執行することができない。
3 財務大臣は、第一項の規定による通知があったときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
(有償資金協力業務に係る補正予算)
第二十三条 機構は、有償資金協力業務に係る予算の作成後に生じた事由に基づき当該予算に変更を加える必要がある場合には、有償資金協力業務に係る補正予算を作成し、これに当該補正予算の作成により変更した第十九条第一号、第三号及び第四号に掲げる書類(前年度の有償資金協力業務に係る予定損益計算書及び予定貸借対照表を除く。)を添え、主務大臣を経由して財務大臣に提出することができる。ただし、予算の追加に係る補正予算は、当該予算の作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった場合に限り、作成することができる。
2 第十八条第二項から第六項まで及び前二条の規定は、前項の規定による有償資金協力業務に係る補正予算について準用する。
(有償資金協力業務に係る暫定予算)
第二十四条 機構は、必要に応じて、一事業年度のうちの一定期間についての有償資金協力業務に係る暫定予算を作成し、これに有償資金協力業務に係る当該期間の事業計画及び資金計画その他当該暫定予算の参考となる事項に関する書類を添え、主務大臣を経由して財務大臣に提出することができる。
2 第十八条第二項から第六項まで、第二十一条及び第二十二条の規定は、前項の規定による有償資金協力業務に係る暫定予算について準用する。
3 有償資金協力業務に係る暫定予算は、その事業年度の有償資金協力業務に係る予算が成立したときは失効するものとし、有償資金協力業務に係る暫定予算に基づく支出があるときは、これをその事業年度の有償資金協力業務に係る予算に基づいてしたものとみなす。
(有償資金協力業務に係る予算の執行)
第二十五条 機構は、有償資金協力業務に係る支出の予算については、当該予算に定める目的のほかに使用してはならない。
第二十六条 機構は、有償資金協力業務に係る予算で指定する経費の金額については、財務大臣の承認を受けなければ、流用することができない。
2 機構は、前項の規定により承認を受けようとするときは、主務大臣を経由してしなければならない。
3 財務大臣は、前項の承認をしたときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
4 財務大臣は、第一項の規定による承認をしたときは、遅滞なく、その旨を主務大臣に通知しなければならない。
第二十七条 機構は、有償資金協力業務に係る予備費を使用するときは、直ちにその旨を主務大臣を経由して財務大臣に通知しなければならない。
2 財務大臣は、前項の規定による通知を受けたときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
(有償資金協力業務に係る財務諸表等)
第二十八条 機構は、有償資金協力業務に係る財産目録及び貸借対照表(これらの書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして財務大臣が定めるものをいう。以下この項及び第三十条第一項において同じ。)を含む。)を四月から九月まで及び十月から翌年三月までの半期ごとに、有償資金協力業務に係る損益計算書(当該損益計算書に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。)をこれらの半期及び事業年度ごとに作成し、これらの書類(以下「財務諸表」という。)に関する監事の意見を付して、当該半期経過後二月以内又は当該事業年度終了後三月以内に、主務大臣を経由して財務大臣に届け出なければならない。
2 機構は、前項の規定による財務諸表の届出をしたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表及び附属明細書並びに同項の監事の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、財務省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
3 機構は、有償資金協力業務に係る決算を完結したときは、遅滞なく、その事業年度の有償資金協力業務に係る業務報告書を、各事務所に備えて置き、財務省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
4 第二項に規定する附属明細書及び前項に規定する業務報告書に記載すべき事項は、財務省令で定める。
5 有償資金協力業務に係る財務諸表については、通則法第三十八条の規定は、適用しない。
(有償資金協力業務に係る決算)
第二十九条 機構は、毎事業年度の有償資金協力業務に係る決算を翌事業年度の五月三十一日までに完結しなければならない。
第三十条 機構は、有償資金協力業務に係る決算完結後、有償資金協力業務に係る予算の区分に従い、毎事業年度の有償資金協力業務に係る決算報告書(当該決算報告書に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。)を作成し、当該決算報告書に関する監事の意見を付し、かつ、第二十八条第一項の規定により財務大臣に届け出た有償資金協力業務に係る財務諸表を添え、遅滞なく、主務大臣を経由して財務大臣に提出しなければならない。
2 財務大臣は、前項の規定により有償資金協力業務に係る決算報告書及び財務諸表の提出を受けたときは、これを内閣に送付しなければならない。
3 内閣は、前項の規定により有償資金協力業務に係る決算報告書及び財務諸表の送付を受けたときは、翌事業年度の十一月三十日までにこれを会計検査院に送付し、その検査を経て、国の歳入歳出の決算とともに、国会に提出しなければならない。
4 機構は、第一項の規定による有償資金協力業務に係る決算報告書の提出をしたときは、遅滞なく、同項の決算報告書及び監事の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、財務省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
5 第一項に規定する有償資金協力業務に係る決算報告書の形式及び内容については、財務大臣が定める。
6 第二十八条第五項の規定は、有償資金協力業務に係る決算報告書について準用する。
(利益及び損失の処理の特例等)
第三十一条 機構は、一般勘定について、通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間(以下この項において「中期目標の期間」という。)の最後の事業年度に係る通則法第四十四条第一項又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち外務大臣の承認を受けた金額を、当該中期目標の期間の次の中期目標の期間に係る通則法第三十条第一項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中期目標の期間における第十七条第一項第一号に掲げる業務の財源に充てることができる。
2 外務大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、外務省の独立行政法人評価委員会の意見を聴かなければならない。
3 機構は、第一項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、一般勘定に係る納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
5 機構は、有償資金協力勘定について、毎事業年度、その損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額を、準備金として、有償資金協力勘定に整理された資本金の額と同額に達するまでは、積み立てなければならない。
6 機構は、有償資金協力勘定について、毎事業年度、その損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による準備金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
7 第五項の準備金は、有償資金協力勘定において生じた損失の補てんに充てる場合を除いては、取り崩してはならない。
8 機構は、第五項の規定による残余の額から同項の規定により準備金として積み立てた額を控除した残額を、翌事業年度の五月三十一日までに国庫に納付しなければならない。
9 政府は、前項の規定による納付金の一部を、政令で定めるところにより、その事業年度中において概算で納付させることができる。
10 前項に定めるもののほか、第八項の規定による有償資金協力勘定に係る納付金の納付の手続その他納付金に関し必要な事項は、政令で定める。
11 有償資金協力勘定については、通則法第四十四条の規定は、適用しない。
(有償資金協力勘定における長期借入金及び国際協力機構債券)
第三十二条 機構は、有償資金協力業務を行うために必要な資金の財源に充てるため、政府から長期借入金をし、又は国際協力機構債券(以下「機構債券」という。)を発行することができる。
2 前項の規定による長期借入金又は機構債券の発行により調達した資金は、有償資金協力勘定に帰属させなければならない。
3 機構は、毎事業年度、政令で定めるところにより、第一項の規定による機構債券の発行に係る基本方針を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
4 機構は、第一項の規定により機構債券を発行したときは、政令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
5 第一項に定めるもののほか、機構は、機構債券を失った者に対し交付するため必要があるときは、政令で定めるところにより、機構債券を発行することができる。
6 第一項又は前項の規定により発行する機構債券の債権者は、機構の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
7 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
8 機構は、機構債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行、信託業者又は金融商品取引業(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第八項に規定する金融商品取引業をいう。次項において同じ。)を行う者に委託することができる。
9 会社法(平成十七年法律第八十六号)第七百五条第一項及び第二項並びに第七百九条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行、信託業者又は金融商品取引業を行う者について準用する。
10 前各項に定めるもののほか、機構債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(有償資金協力勘定における借入金等の限度額)
第三十三条 有償資金協力勘定における通則法第四十五条第一項の規定による短期借入金の現在額、前条第一項の規定による長期借入金の現在額及び同項の規定により発行する機構債券の元本に係る債務の現在額の合計額は、第五条に規定する資本金のうち有償資金協力勘定に区分された額及び第三十一条第五項に規定する準備金の額の合計額の三倍に相当する額を超えてはならない。
2 前項の規定にかかわらず、機構債券について、発行済みのものの借換えのため必要があるときは、一時当該額を超えて機構債券を発行することができる。
(政府保証)
第三十四条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、予算をもって定める金額の範囲内において、第三十二条第一項の規定により発行する機構債券に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号。以下この条において「外資受入法」という。)第二条の規定により政府が保証契約をすることができる債務を除く。第三項において同じ。)について、保証契約をすることができる。
2 前項の予算をもって定める金額のうち、外国を発行地とする本邦通貨をもって表示する機構債券に係る債務についての金額は、外資受入法第二条第二項に規定する予算をもって定める金額と区別して定めることが困難であるときは、当該金額と合算して定めることができる。
3 政府は、第一項の規定によるほか、機構が第三十二条第五項の規定により発行する機構債券に係る債務について、保証契約をすることができる。
4 国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)第四十五条第一項又は日本政策投資銀行法(平成十一年法律第七十三号)第四十三条第一項に規定する銀行債券のうち外国を発行地とする本邦通貨をもって表示するものに係る債務について予算をもって定める金額が、国際協力銀行法第四十七条第二項又は日本政策投資銀行法第四十五条第二項の規定により外資受入法第二条第二項に規定する予算をもって定める金額と合算して定められる場合には、当該銀行債券に係る債務を政府が外資受入法第二条第二項の規定により保証契約をすることができる債券に係る債務とみなして、第一項及び第二項の規定を適用する。
(資金の交付)
第三十五条 政府は、予算の範囲内において、機構に対し、機構が第十三条第一項第三号イに規定する無償資金協力における贈与(以下この条において「贈与」という。)に充てるために必要な資金を、当該無償資金協力の計画ごとに交付するものとする。
2 機構は、前項の規定により交付を受けた資金を、贈与に充てるための資金として管理しなければならない。
3 機構は、第一項の規定により資金の交付を受けた無償資金協力の計画の完了後においてなお当該資金に残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。ただし、外務大臣の承認を受けたときは、その残余の額の全部又は一部を当該計画が完了した日を含む事業年度の翌事業年度の贈与に充てることができる。
(余裕金の運用の特例)
第三十六条 機構は、通則法第四十七条の規定にかかわらず、次の方法により、有償資金協力勘定に属する業務上の余裕金を運用することができる。
四 その他安全かつ効率的なものとして主務大臣の指定する方法
(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の準用)
第三十七条 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)の規定(罰則を含む。)は、第十三条第一項第五号ハの規定により機構が交付する助成金について準用する。この場合において、同法(第二条第七項を除く。)中「各省各庁」とあるのは「独立行政法人国際協力機構」と、「各省各庁の長」とあるのは「独立行政法人国際協力機構の理事長」と、同法第二条第一項及び第四項、第七条第二項、第十九条第一項及び第二項、第二十四条並びに第三十三条中「国」とあるのは「独立行政法人国際協力機構」と、同法第十四条中「国の会計年度」とあるのは「独立行政法人国際協力機構の事業年度」と読み替えるものとする。