(安定基本計画)
第三条 主務大臣は、前条第一項の規定による指定があつたときは、特定不況産業ごとに、速やかに、関係審議会の意見を聴いて、特定不況産業における不況の克服と経営の安定を図るための基本となるべき計画(以下「安定基本計画」という。)を定めなければならない。
2 安定基本計画に定める事項は、次のとおりとする。
一 設備の処理を行うべき設備の種類及びその生産能力の合計、当該設備についての設備の処理の方法及び期間その他設備の処理に関する事項
二 前号の設備の処理と併せて行うべき当該設備の新設、増設及び改造の制限又は禁止(当該設備の更新又は改良を妨げるものを除く。以下同じ。)に関する事項
三 第一号の設備の処理と併せて行うべき事業の転換その他の措置(雇用の安定を図るための措置を含む。)に関する事項
3 安定基本計画で設備の処理について定めることができる設備の種類は、特定不況産業ごとに、政令で定める。
4 第二項第一号に規定する設備の生産能力の計算の方法は、前項の規定により政令で定める設備の種類ごとに、主務省令で定める。
5 安定基本計画は、当該特定不況産業に属する事業者の雇用する労働者の雇用の安定及び関連中小企業者の経営の安定について、十分な考慮が払われたものでなければならない。
6 関係審議会は、第一項の規定により意見を聴かれた場合において、その意見を定めようとするときは、あらかじめ、当該特定不況産業に係る主たる事業者団体及び労働組合の意見を聴かなければならない。
7 主務大臣は、第一項の規定により安定基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
8 主務大臣は、経済的事情の変化のため必要があると認めるときは、関係審議会の意見を聴いて、安定基本計画を変更しなければならない。
9 第六項の規定は前項の規定により関係審議会が意見を聴かれた場合に、第七項の規定は前項の場合に準用する。
(事業者の努力)
第四条 特定不況産業に属する事業者は、前条第七項の規定により当該特定不況産業に関する安定基本計画が告示されたときは、その安定基本計画(同条第八項の規定による変更があつたときは、その変更後のもの。以下同じ。)に定めるところに従つて、設備の処理その他の措置を自主的に行うよう努めなければならない。
(共同行為の実施に関する指示)
第五条 主務大臣は、特定不況産業に属する事業者の自主的な努力のみをもつてしては、当該特定不況産業に関する安定基本計画に定めるところに従つて設備の処理並びに当該設備の処理と併せて行うべき当該設備の新設、増設及び改造の制限又は禁止(以下「設備の処理等」という。)が実施されないと認められる場合において、当該特定不況産業に属する事業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれがあり、国民経済の健全な発展に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、関係審議会の意見を聴いて、当該特定不況産業に属する事業者に対し、当該設備について、設備の処理等に係る共同行為を実施すべきことを指示することができる。
2 前項の規定による指示は、共同行為をすべき期間及び共同行為の内容を定めて、告示により行う。
3 第三条第六項の規定は、第一項の規定により関係審議会が意見を聴かれた場合に準用する。
(共同行為の内容)
第六条 前条第一項に規定する共同行為の内容は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 安定基本計画に定めるところに従つて設備の処理等を実施するため必要な程度を超えないこと。
二 一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。
四 当該共同行為の指示を受けた事業者の従業員の地位を不当に害するものでないこと。
(共同行為の指示の変更等)
第七条 主務大臣は、第五条第一項の規定による指示に係る共同行為の内容が前条各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、その指示を変更し、又は取り消さなければならない。
(共同行為の届出)
第八条 第五条第一項の規定による指示(前条第一項の規定による変更があつたときは、その変更後のもの。以下同じ。)を受けた者は、その指示に従つて共同行為をしたときは、遅滞なく、主務省令で定める事項を主務大臣に届け出なければならない。これを変更し、又は廃止したときも、同様とする。
(資金の確保)
第九条 国は、安定基本計画に定めるところに従つて行われる設備の処理その他の措置に必要な資金の確保に努めるものとする。
(雇用の安定等)
第十条 特定不況産業に属する事業者は、当該特定不況産業に関する安定基本計画に定めるところに従つて設備の処理その他の措置を行うに当たつては、当該措置に係る事業所における労働組合(当該事業所において、労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者)と協議して、その雇用する労働者について、失業の予防その他雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 国は、特定不況産業に属する事業者であつて当該特定不況産業に関する安定基本計画に定めるところに従つて設備の処理その他の措置を行うものの雇用する労働者について、失業の予防その他雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 国及び都道府県は、前項に規定する事業者に雇用されていた労働者について、職業訓練の実施、就職のあつせんその他その者の職業及び生活の安定に資するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
4 国及び都道府県は、第二項に規定する事業者の関連中小企業者について、その経営の安定に資するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外)
第十一条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、第五条第一項の規定による指示を受けた者がその指示に従つてする共同行為については、適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いるときは、この限りでない。
(公正取引委員会との関係)
第十二条 主務大臣は、第五条第一項の規定による指示をしようとするときは、公正取引委員会の同意を得なければならない。
2 主務大臣は、第八条の規定による届出を受理したときは、遅滞なく、その旨を公正取引委員会に通知しなければならない。
3 公正取引委員会は、第五条第一項の規定による指示に係る共同行為の内容が第六条第一号から第三号までの規定に適合するものでなくなつたと認めるときは、主務大臣に対し、第七条第一項の規定による変更又は取消しを求めることができる。