中小企業退職金共済法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百七号
公布年月日: 昭和39年6月18日
法令の形式: 法律
中小企業退職金共済法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十九年六月十八日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百七号
中小企業退職金共済法の一部を改正する法律
中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号)の一部を次のように改正する。
目次中
第五章
国の補助(第六十一条)
第六章
雑則(第六十二条―第六十七条)
第七章
罰則(第六十八条―第七十一条)
第五章
特定業種において期間を定めて雇用される者に関する特例
第一節
通則(第六十一条・第六十二条)
第二節
特定業種退職金共済組合(第六十三条―第七十九条)
第三節
特定業種退職金共済契約(第八十条―第八十八条)
第四節
組合の設立等に伴う経過措置(第八十九条―第九十二条)
第六章
調整(第九十三条・第九十四条)
第七章
国の補助(第九十五条)
第八章
雑則(第九十六条―第百一条)
第九章
罰則(第百二条―第百五条)
に改める。
第二条第一項中「二百人」を「三百人」に改め、同条第五項中「退職金共済契約」の下に「又は特定業種退職金共済契約」を、「事業団」の下に「又は組合」を加え、同項を同条第七項とし、同条第四項中「退職金共済契約」の下に「又は特定業種退職金共済契約」を加え、同項を同条第六項とし、同条第三項の次に次の二項を加える。
4 この法律で「特定業種」とは、建設業その他従業員の相当数が、通常、当該業種に属する多数の事業の間を移動してこれらの事業の事業主に雇用される業種であつて、労働大臣が指定するものをいう。
5 この法律で「特定業種退職金共済契約」とは、特定業種に属する事業の事業主が当該特定業種に係る特定業種退職金共済組合(以下「組合」という。)に掛金を納付することを約し、当該組合がその事業主の雇用する従業員の退職について、この法律の定めるところにより、退職金を支給することを約する契約をいう。
第四条第二項中「千円」を「二千円」に改め、同条第三項を次のように改める。
3 掛金月額は、二百円をこえ千円未満であるときは百円に整数を乗じて得た額、千円をこえ二千円未満であるときは二百円に整数を乗じて得た額でなければならない。
第二十八条中「中小企業退職金共済制度」の下に「(第五章に規定するものを除く。)」を加え、「施設の設置及び管理を行う」を「施設を行なう」に改める。
第三十五条に次の一項を加える。
4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は労働大臣に意見を提出することができる。
第四十四条第一項第一号中「中小企業退職金共済事業」の下に「(第五章に規定するものを除く。)」を加え、同項第二号中「経営」を「設置及び運営」に改め、同項第三号中「前二号」を「前三号」に改め、同号を同項第四号とし、同項第二号の次に次の一号を加える。
三 共済契約者又は共済契約者を主たる構成員とする事業協同組合その他の団体に対し、従業員の福祉を増進するために必要な労働者住宅その他の施設で政令で定めるものの設置又は整備に要する資金の貸付けを行なうこと。
第四十四条第二項中「第二号」の下に「及び第三号」を加える。
第四十六条第一項を次のように改める。
事業団は、労働大臣の認可を受けて、金融機関に対し、次の各号に掲げる業務の一部を委託することができる。
一 退職金等の支給に関する業務
二 掛金及び申込金の収納及び返還に関する業務
三 第四十四条第一項第三号に掲げる業務
第四十六条に次の一項を加える。
4 第一項の規定により同項第三号の業務の委託を受けた金融機関の役員又は職員であつて当該委託業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第五十三条第一項中「第三項」を「第四項」に改め、同条第五項を同条第六項とし、同条第四項中「運用計画」の下に「(第四十四条第一項第三号の資金の貸付けに関する計画を含む。)」を加え、同項を同条第五項とし、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「又は」を「若しくは」に改め、「運用する場合」の下に「又は取得した有価証券を証券業者に預託する場合」を加え、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項第二号の規定により取得した有価証券は、次の各号に掲げるものに運用することができる。
一 信託業務を営む銀行又は信託会社への信託
二 証券業者への預託
第五十八条第一項中「事業団に」を「事業団若しくは第四十六条第一項の規定により同項第三号の業務の委託を受けた金融機関に」に、「事業団の」を「事業団若しくは受託金融機関の」に改め、同項に次のただし書を加える。
ただし、受託金融機関に対しては、当該委託業務の範囲内に限る。
第六十条第一項第三号中「第二項」を「第三項」に改め、同号を同項第四号とし、同項第二号を同項第三号とし、同項第一号の次に次の一号を加える。
二 第四十六条第一項の規定により同項第三号の業務の委託について認可をしようとするとき。
第六十条第三項第二号中「第四項」を「第五項」に改める。
第七十一条中「第三十二条」の下に「又は第六十六条」を加え、同条を第百五条とする。
第七十条中「事業団」の下に「又は組合」を、「職員」の下に「(第六号に該当する場合にあつては、第四十六条第一項又は第七十六条第一項の規定により業務の委託を受けた金融機関の役員又は職員を含む。)」を加え、同条第二号中「第一項」の下に「(第七十八条第一項において準用する場合を含む。)」を加え、同条第三号中「第一項」の下に「又は第七十五条第一項」を加え、同条第四号中「第三項」を「第四項(これらの規定を第七十八条第一項において準用する場合を含む。)」に改め、同条第五号中「第二項」の下に「(第七十八条第一項において準用する場合を含む。)」を加え、同条第六号中「第一項」の下に「(第七十八条第二項において準用する場合を含む。)」を加え、同条を第百四条とし、第六十九条を第百三条とする。
第六十八条第一号中「又は第二十四条」を「、第二十四条(第八十八条において準用する場合を含む。)、第八十五条第二項又は第八十六条」に改め、同条第二号中「第二十六条」の下に「又は第八十七条」を加え、同条を第百二条とし、第七章を第九章とする。
第六十七条中「事業団」の下に「若しくは組合」を加え、同条を第百一条とし、第六十四条から第六十六条までを三十四条ずつ繰り下げる。
第六十三条第一項中「退職金共済契約」の下に「又は特定業種退職金共済契約」を加え、同条を第九十七条とし、第六十二条を第九十六条とし、第六章を第八章とし、第六十一条を第九十五条とし、第五章を第七章とし、第四章の次に次の二章を加える。
第五章 特定業種において期間を定めて雇用される者に関する特例
第一節 通則
(退職金共済制度の特例)
第六十一条 第三条第三項第一号に該当する者として特定業種に属する事業を営む中小企業者に雇用され、かつ、当該特定業種に属する事業に従事することを常態とする者に係る特例的退職金共済制度については、この章の定めるところによる。
(特定業種の指定)
第六十二条 労働大臣は、特定業種の指定をするに当たつては、当該特定業種に係る組合が設立された場合において当該特定業種に属する事業を営む相当数の中小企業者が当該組合の組合員となる見込みがあることその他の事情を考慮し、かつ、中小企業退職金共済審議会の意見を聞かなければならない。
第二節 特定業種退職金共済組合
(目的)
第六十三条 組合は、この章の規定による中小企業退職金共済制度を運営し、あわせて特定業種に属する事業を営む中小企業者及びその雇用する従業員の福社の増進を図るために必要な施設を行なうことを目的とする。
(法人格及び数)
第六十四条 組合は、法人とし、特定業種ごとに、全国を通じて一個とする。
(事務所)
第六十五条 組合は、主たる事務所を東京都に置く。
2 組合は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(名称使用の制限)
第六十六条 組合でないものは、その名称中に特定業種を示す文字を冠する退職金共済組合という文字を用いてはならない。
(組合員)
第六十七条 特定業種退職金共済契約の共済契約者は、すべて組合員となる。
2 組合員は、特定業種退職金共済契約の共済契約者でなければならない。
(設立)
第六十八条 労働大臣は、特定業種の指定をしたときは、組合の理事長又は監事となるべき者を指名するものとする。
2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、組合の成立の時において、それぞれ組合の理事長又は監事に任命されたものとする。
3 労働大臣は、設立委員を命じて、組合の設立に関する事務を処理させるものとする。
4 設立委員は、定款並びに最初の事業年度の予算及び事業計画を作成して、労働大臣の認可を受けなければならない。
5 設立委員は、前項の認可を受けたときは、組合員となろうとする者(当該特定業種に属する事業を営む中小企業者に限る。)を募集しなければならない。
6 設立委員は、前項の規定による募集に応じた者の数が当該特定業種に属する事業を営む中小企業者の数に労働省令で定める率を乗じて得た数に達したときは、労働大臣に対し、設立の認可を申請しなければならない。
7 第五項の規定による募集に応じた者は、組合の成立の時において、組合員となる。この場合において、その者と組合との間には特定業種退職金共済契約が締結されたものとみなす。
8 前項の特定業種退職金共済契約は、組合が第七十五条第一項第一号の業務を開始する日にその効力を生ずるものとする。
9 設立委員は、第六項の認可を受けたときは、その日において、その事務を第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
第六十九条 前条第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、同条第九項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 組合は、設立の登記をすることによつて成立する。
(定款)
第七十条 組合は、定款をもつて次の各号に掲げる事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 組合員に関する事項
五 役員に関する事項
六 評議員会に関する事項
七 業務及びその執行に関する事項
八 被共済者に関する事項
九 退職金に関する事項
十 掛金に関する事項
十一 財務及び会計に関する事項
2 定款の変更は、労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(役員)
第七十一条 組合に、役員として、理事長一人、理事五人以上及び監事二人以内を置く。
2 理事長、理事二人及び監事一人以外の役員は、非常勤とする。
3 理事長は、組合を代表し、その業務を総理する。
4 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して組合の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行なう。
5 監事は、組合の業務を監査する。
6 理事長及び監事は、労働大臣が任命する。
7 理事は、理事長が労働大臣の認可を受けて任命する。
8 第三十五条第四項、第三十七条、第三十九条第二項及び第三項、第四十条、第四十一条並びに第四十三条の規定は、組合の役員について準用する。
(職員の任命)
第七十二条 組合の職員は、理事長が任命する。
2 第四十三条の規定は、組合の職員について準用する。
(評議員会)
第七十三条 組合に評議員会を置く。
2 次の各号に掲げる事項については、理事長において、あらかじめ、評議員会の意見を聞かなければならない。
一 定款の変更
二 業務方法書の作成及び変更
三 毎事業年度の事業計画並びに予算及び決算
四 重要な財産の処分又は重大な義務の負担
3 評議員会は、前項に規定するもののほか、理事長の諮問に応じて組合の業務に関する重要事項について意見を述べ、又は必要と認める事項について理事長に建議することができる。
(評議員)
第七十四条 評議員は、組合員(組合員が法人であるときは、その代表者)及び組合の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、理事長が労働大臣の認可を受けて任命する。
2 第三十七条並びに第三十九条第二項及び第三項の規定は、組合の評議員について準用する。この場合において、第三十九条第二項中「労働大臣又は理事長」とあるのは、「理事長」と読み替えるものとする。
(業務の範囲)
第七十五条 組合は、第六十三条の目的を達成するため、次の業務を行なう。
一 この章の規定による当該特定業種に係る中小企業退職金共済事業を行なうこと。
二 保健、保養又は教養のための施設の設置及び運営を行なうこと。
三 共済契約者又は共済契約者を主たる構成員とする事業協同組合その他の団体に対し、従業員の福祉を増進するために必要な労働者住宅その他の施設で政令で定めるものの設置又は整備に要する資金の貸付けを行なうこと。
四 前三号に掲げる業務に附帯する業務を行なうこと。
2 第四十四条第二項の規定は、組合の業務について準用する。
(業務の委託)
第七十六条 組合は、労働大臣の認可を受けて、金融機関に対し、次の各号に掲げる業務の一部を委託することができる。
一 退職金の支給に関する業務
二 掛金の収納及び返還並びに退職金共済証紙の受払いに関する業務
三 前条第一項第三号に掲げる業務
2 第四十六条第二項及び第三項の規定は、組合の業務の委託について準用し、同条第四項の規定は、第一項の規定により同項第三号の業務の委託を受けた金融機関の役員及び職員について準用する。
(特別財産)
第七十七条 組合は、当該特定業種に属する事業の事業主が特定業種退職金共済契約によらないで拠出した財産については、これを他の財産と区分し、その事業の健全な発展に資するように、管理し及び運用しなければならない。
(準用)
第七十八条 第三十一条、第三十三条、第四十五条、第四十七条から第五十七条まで及び第五十九条の規定は、組合について準用する。この場合において、第五十二条中「第四十四条第一項第一号」とあるのは「第七十五条第一項第一号」と、第五十三条第一項及び第五項中「労働大臣及び通商産業大臣」とあるのは「労働大臣」と、同条第六項中「中小企業者」とあるのは「当該特定業種に属する事業を営む中小企業者」と読み替えるものとする。
2 第五十八条の規定は、組合及び第七十六条第一項の規定により同項第三号の業務の委託を受けた金融機関について準用する。
(協議)
第七十九条 労働大臣は、次の各号に掲げる場合には、大蔵大臣と協議しなければならない。
一 第六十八条第四項若しくは第七十条第二項又は前条第一項において準用する第四十五条第一項、第四十八条、第五十三条第五項、第五十四条若しくは第五十五条の規定による認可をしようとするとき。
二 第七十六条第一項の規定により同項第三号の業務の委託について認可をしようとするとき。
三 前条第一項において準用する第四十五条第二項、第五十四条又は第五十六条の規定による労働省令を定めようとするとき。
四 前条第一項において準用する第五十条第一項、第五十二条ただし書又は第五十三条第三項の規定による承認をしようとするとき。
五 第二条第四項又は前条第一項において準用する第五十三条第一項第一号若しくは第二号の規定による指定をしようとするとき。
2 労働大臣は、次の各号に掲げる場合には、通商産業大臣と協議しなければならない。
一 前条第一項において準用する第四十五条第一項又は第五十三条第五項の規定による認可をしようとするとき。
二 前条第一項において準用する第四十八条の規定により同条の事業計画について認可をしようとするとき。
三 前条第一項において準用する第五十三条第一項第一号又は第二号の規定による指定をしようとするとき。
第三節 特定業種退職金共済契約
(締結等)
第八十条 中小企業者でなければ、特定業種退職金共済契約を締結することができない。
2 特定業種退職金共済契約が締結されたときは、第四項の規定により被共済者とならないものとされた者を除き、共済契約者が雇用する第六十一条に規定する者は、当該特定業種退職金共済契約の効力が生ずる時(当該特定業種退職金共済契約の効力が生じた後当該共済契約者に新たに雇用された者については、その者が雇用された時)において、すべて当該特定業種退職金共済契約の被共済者となる。
3 前項の規定にかかわらず、現に当該特定業種に係る特定業種退職金共済契約の被共済者である者その他労働省令で定める者は、特定業種退職金共済契約の被共済者とならない。
4 中小企業者は、特定業種退職金共済契約の締結に当たつて(第六十八条第七項の規定によって締結されたものとみなされる特定業種退職金共済契約については、同条第五項の規定による募集に応ずるに当たつて)、所定労働時間が特に短い者その他労働省令で定める者が当該特定業種退職金共済契約の被共済者とならないものとすることができる。
5 組合は、特定業種退職金共済契約の申込者が第八十一条第二項第一号の規定により特定業種退職金共済契約を解除され、その解除の日から六月を経過しない者である場合その他労働省令で定める正当な理由がある場合を除き、その締結を拒絶してはならない。
6 共済契約者は、特定業種退職金共済契約の効力が生じた後においても、第四項に規定する者であつて当該特定業種退職金共済契約の被共済者とならないこととなるものの範囲を拡大し、及び縮小することができる。
7 共済契約者は、前項の規定により同項に規定する者の範囲を拡大しようとする場合において、現にその者が雇用する従業員のうちにその範囲の拡大により被共済者とならないこととなる者があるときは、これらの者の四分の三以上の同意を得なければならない。ただし、これらの者に係る掛金の納付を継続することが著しく困難であると労働大臣が認めたときは、この限りでない。
(解除)
第八十一条 組合又は共済契約者は、次項又は第三項に規定する場合を除いては、特定業種退職金共済契約を解除することができない。
2 組合は、次の各号の一に該当する場合には、特定業種退職金共済契約を解除するものとする。ただし、第二号に該当する場合であつて、労働省令で定めるところにより、あらかじめ、労働大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
一 共済契約者が、労働省令で定める期間について、その期間中に納付すべき掛金の総額のうち労働省令で定める割合に相当する額以上の掛金の納付を怠つたとき(労働省令で定める正当な理由がある場合を除く。)。
二 共済契約者が中小企業者でない事業主となつたとき。
三 共済契約者が当該特定業種に属する事業の事業主でなくなつたとき。
3 共済契約者は、次の各号の一に該当する場合には、特定業種退職金共済契約を解除することができる。
一 被共済者の四分の三以上の同意を得たとき。
二 掛金の納付を継続することが著しく困難であると労働大臣が認めたとき。
(退職金)
第八十二条 組合は、被共済者が次の各号の一に該当するときは、その者に係る特定業種掛金納付月数(当該被共済者に係る特定業種退職金共済契約に基づき掛金の納付があつたすべての日数(その者がすでに退職金の支給を受けたことがある者である場合においては、その退職金の額の算定の基礎となつた日数を除く。)を当該特定業種に従事する者の就労状況を考慮して政令で定める方法により月数に換算したものをいう。以下同じ。)に応じて、退職金を支給する。ただし、特定業種掛金納付月数が三十六月に満たないときは、この限りでない。
一 死亡したとき。
二 退職した後再び被共済者となることなくして次のいずれかに該当するとき。
イ 死亡したとき。
ロ 負傷又は疾病により当該特定業種に属する事業に従事することができない者となつたとき。
ハ 当該特定業種に属する事業の事業主でない事業主に雇用されるに至つたとき、その他労働省令で定める場合に該当するに至つたとき。
三 前号ロ又はハに該当した後退職したとき。
2 共済契約者が中小企業者でない事業主となつたとき(前条第二項ただし書の承認があつた場合を除く。)又は当該特定業種に属する事業の事業主でなくなつたときは、前項第二号又は第三号の規定の適用については、当該被共済者は、退職したものとみなす。
3 被共済者がその者を現に雇用する事業主に期間を定めないで雇用されるに至つたときは、その者は、第一項第二号ハに該当したものとみなす。
4 被共済者が第一項第一号又は第二号イに該当したことによる退職金は、当該死亡者の遺族に支給する。
5 退職金の額は、掛金の日額及び特定業種掛金納付月数に応じ、かつ、第十条第二項の退職金の額の算定の方法を参酌して、政令で定める。
(掛金)
第八十三条 掛金は、日を単位として定めるものとし、その額は、被共済者一人につき、十円以上百円以下の範囲において、定款で定める。
2 掛金の日額には、十円未満の端数があつてはならない。
3 掛金の日額は、特定業種ごとに、単一の金額でなければならない。
4 共済契約者は、被共済者に賃金を支払うつど、退職金共済手帳に退職金共済証紙をはりつけ、これに消印することによつて掛金を納付しなければならない。
5 退職金共済手帳、退職金共済証紙その他掛金の納付に関し必要な事項は、労働省令で定める。
(元請負人の事務処理)
第八十四条 事業が数次の請負によつて行なわれる場合の元請負人が、下請負人の委託を受けて、特定業種退職金共済契約の締結その他特定業種退職金共済契約に関して下請負人が行なうべき事務を処理する場合におけるその事務の処理に関し必要な事項は、労働省令で定める。
(退職金共済手帳の交付)
第八十五条 組合は、共済契約者から請求があつたときは、遅滞なく、退職金共済手帳を交付しなければならない。
2 共済契約者は、その者が現に雇用する従業員が被共済者となつたとき、又は新たに従業員を雇用することによつて当該従業員が被共済者となつたときは、当該被共済者に対し、遅滞なく、退職金共済手帳を交付しなければならない。ただし、現に退職金共済手帳を所持している者については、この限りでない。
(従業員に対する告知等)
第八十六条 共済契約者は、新たに従業員を雇用するに当たつては、その者に対し、その者が被共済者となるかどうかを告知しなければならない。
2 事業主は、共済契約者でなくなつたときは、遅滞なく、その旨を、各作業場の見易い場所に掲示する等の方法により被共済者でなくなつた者に周知させなければならない。その現に雇用する被共済者である従業員の全部又は一部が、第八十条第三項又は第六項の規定により被共済者でなくなつたときも、同様とする。
(届出)
第八十七条 共済契約者は、当該特定業種に属する事業を営む中小企業者でない事業主となつたときは、遅滞なく、その旨を組合に届け出なければならない。
(準用)
第八十八条 第五条、第七条第一項、第八条第四項、第十条第三項、第十一条、第十二条、第十五条から第十七条まで、第二十二条、第二十三条、第二十四条第三項、第二十五条及び第二十七条の規定は、特定業種退職金共済契約について準用する。この場合において、第七条第一項、第十条第三項、第十七条及び第二十七条中「事業団」とあるのは「組合」と、第十一条第一項中「前条第一項」とあるのは「第八十二条第四項」と読み替えるものとする。
第四節 組合の設立等に伴う経過措置
(名称に関する経過措置)
第八十九条 特定業種の指定があつた際現にその名称中に当該特定業種を示す文字を冠する退職金共済組合という文字を用いているものについては、第六十六条の規定は、その指定後六月間は、適用しない。
(最初の事業年度)
第九十条 組合の最初の事業年度は、第七十八条第一項において準用する第四十七条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、翌年三月三十一日(一月一日から三月三十一日までの間に成立した組合については、その年の三月三十一日)に終わるものとする。
(被共済者に関する経過措置)
第九十一条 組合は、その業務の正常な運営を図るため必要がある場合において、労働大臣の認可を受けたときは、第八十条第二項の規定にかかわらず、共済契約者の雇用する従業員のうち一定の職種、地域等に係る者が一定の期間内は被共済者とならないものとすることができる。ただし、この期間は、第七十五条第一項第一号の業務の開始の日から五年をこえることができない。
(従前の積立事業についての取扱い)
第九十二条 組合が第七十五条第一項第一号の業務を開始する際現に当該特定業種に属する事業を営む中小企業者が共同して実施している従業員のための退職金積立ての事業(以下この条において「積立事業」という。)で労働省令で定める基準に適合すると労働大臣が認定するものに参加している当該特定業種に属する事業を営む中小企業者が、同号の業務の開始の日から一年以内に、当該組合との間に特定業種退職金共済契約を締結し、当該従業員が被共済者となつた場合において、当該中小企業者が、当該期間内に、当該被共済者について当該積立事業に積み立てられている金額の範囲内で政令で定める金額を当該組合に納付したときは、その金額に応じて政令で定める月数を当該被共済者に係る特定業種掛金納付月数に通算するものとする。この場合において、通算すべき月数は、当該従業員について当該中小企業者が積立事業に参加していた期間の月数(その期間の月数が七十二月をこえるときは、七十二月)をこえることができない。
2 第七十九条第一項の規定は、前項の労働省令の制定について準用する。
第六章 調整
(被共済者に関する制限)
第九十三条 現に退職金共済契約の被共済者である者は、特定業種退職金共済契約の被共済者とならない。
2 現に特定業種退職金共済契約の被共済者である者については、その者を被共済者とする退職金共済契約を締結することができず、また、その者は、当該特定業種以外の特定業種に係る特定業種退職金共済契約の被共済者とならない。
(被共済者が移動した場合の取扱い)
第九十四条 退職金共済契約の被共済者が退職した後一年以内に、退職金を請求しないで特定業種退職金共済契約の被共済者となり、かつ、その者から掛金納付月数をその者に係る特定業種掛金納付月数に通算することを希望する旨の申出があつた場合において、その退職が当該被共済者の責めに帰すべき事由又はその都合によるものでないと労働大臣が認めたときは、事業団は、その者に支給すべき退職金に相当する額(納付された掛金の総額がこれをこえる場合(第十条第三項の規定により退職金の額が減額して支給されるべきときを除く。)又は第十条第一項ただし書の規定に該当する場合は、納付された掛金の総額)のうち政令で定める金額を、政令で定めるところにより、その者に係る組合に引き渡さなければならない。
2 前項の引渡しがあつたときは、その者について、その者に係る特定業種退職金共済契約についての掛金の納付があつたものとみなす。この場合において、特定業種掛金納付月数の算定方法その他その者に対する特定業種退職金共済契約に係る退職金の支給に関し必要な事項は、政令で定める。
3 特定業種退職金共済契約の被共済者であつた者が退職金共済契約の被共済者となつた場合又は特定業種退職金共済契約の被共済者であつた者が当該特定業種以外の特定業種に係る特定業種退職金共済契約の被共済者となつた場合の取扱いについては、前二項の例による。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(従前の積立事業についての取扱い)
第二条 この法律の施行の際現に中小企業者が共同して実施している従業員のための退職金積立ての事業(以下この条において「積立事業」という。)で労働省令で定める基準に適合すると労働大臣が認定するものに参加している中小企業者が、この法律の施行後一年以内に、当務従業員を被共済者として退職金共済契約を締結し、当該従業員について当該積立事業に積み立てられている金額の範囲内で、附則別表の上欄に定める金額に当該退職金共済契約の効力が生じた日における掛金月額を百円で除した数を乗じて得た金額を事業団に納付したときは、同表の下欄に定める月数を掛金納付月数に通算するものとする。この場合において通算すべき月数は、当該従業員について中小企業者が積立事業に参加していた期間の月数(その期間の月数が七十二月をこえるときは、七十二月)をこえることができない。
2 労働大臣は、前項の規定により積立事業の認定の基準に関する労働省令を定めようとするときは、大蔵大臣及び通商産業大臣と協議しなければならない。
(登録税法の一部改正)
第三条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「中小企業退職金共済事業団」の下に「、特定業種退職金共済組合」を加え、同条第二十七号ノ二中「中小企業退職金共済事業団」の下に「又ハ特定業種退職金共済組合」を加え、「又ハ第二号」を「若ハ第二号又ハ同法第七十五条第一項第一号若ハ第二号」に改める。
(印紙税法の一部改正)
第四条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号ノ十一ノ四中「中小企業退職金共済事業団ノ」を削り、「第七条第三項ニ基キテ発スル」を「第七条第三項若ハ第八十五条ノ」に改め、「第十条」の下に「若ハ第八十二条」を加える。
(所得税法の一部改正)
第五条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第十二号中「並びに中小企業退職金共済事業団」の下に「及び特定業種退職金共済組合」を加える。
(法人税法の一部改正)
第六条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項第四号中「並びに中小企業退職金共済事業団」の下に「及び特定業種退職金共済組合」を加える。
(労働省設置法の一部改正)
第七条 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第四条第十九号の四中「中小企業退職金共済事業団」の下に」又は特定業種退職金共済組合」を加える。
第七条第七号中「中小企業退職金共済業業団」の下に「及び特定業種退職金共済組合」を加える。
(地方税法の一部改正)
第八条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第四号中「並びに中小企業退職金共済事業団」の下に「及び特定業種退職金共済組合」を加える。
(労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部改正)
第九条 労働保険審査官及び労働保険審査会法(昭和三十一年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二十五条第二項中「第六十三条第一項」を「第九十七条第一項」に改める。
附則別表
金額
月数
一〇〇円
一月
二〇〇円
二月
三〇〇円
三月
四〇〇円
四月
五一〇円
五月
六一〇円
六月
七一〇円
七月
八一〇円
八月
九二〇円
九月
一、〇二〇円
一〇月
一、一三〇円
一一月
一、二三〇円
一二月
一、三四〇円
一三月
一、四五〇円
一四月
一、五五〇円
一五月
一、六六〇円
一六月
一、七七〇円
一七月
一、八八〇円
一八月
一、九九〇円
一九月
二、一〇〇円
二〇月
二、二一〇円
二一月
二、三二〇円
二二月
二、四三〇円
二三月
二、五五〇円
二四月
二、六六〇円
二五月
二、七七〇円
二六月
二、八九〇円
二七月
三、〇〇〇円
二八月
三、一二〇円
二九月
三、二三〇円
三〇月
三、三五〇円
三一月
三、四七〇円
三二月
三、五八〇円
三三月
三、七〇〇円
三四月
三、八二〇円
三五月
三、九四〇円
三六月
四、〇六〇円
三七月
四、一八〇円
三八月
四、三〇〇円
三九月
四、四三〇円
四〇月
四、五五〇円
四一月
四、六七〇円
四二月
四、七九〇円
四三月
四、九二〇円
四四月
五、〇四〇円
四五月
五、一七〇円
四六月
五、三〇〇円
四七月
五、四二〇円
四八月
五、五五〇円
四九月
五、六八〇円
五〇月
五、八一〇円
五一月
五、九四〇円
五二月
六、〇七〇円
五三月
六、二〇〇円
五四月
六、三三〇円
五五月
六、四六〇円
五六月
六、六〇〇円
五七月
六、七三〇円
五八月
六、八六〇円
五九月
七、〇〇〇円
六〇月
七、一四〇円
六一月
七、二七〇円
六二月
七、四一〇円
六三月
七、五五〇円
六四月
七、六九〇円
六五月
七、八二〇円
六六月
七、九六〇円
六七月
八、一一〇円
六八月
八、二五〇円
六九月
八、三九〇円
七〇月
八、五三〇円
七一月
八、六七〇円
七二月
法務大臣 賀屋興宣
大蔵大臣 田中角栄
通商産業大臣 福田一
運輸大臣 綾部健太郎
労働大臣 大橋武夫
自治大臣 赤沢正道
内閣総理大臣 池田勇人