(目的)
第一条 この法律は、産業の集積の程度が著しく高い地域及びその周辺の地域以外の特定の地域について、当該地域及びその周辺の地域の産業の高度化に寄与する特定事業の集積を促進する措置を講ずることにより、地域経済の発展と産業の配置の適正化を図り、もつて地域住民の生活の向上と国民経済及び国土の均衡ある発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「産業の高度化」とは、産業の製品若しくは役務の開発力、生産、販売若しくは役務の提供に関する技術又は経営の能率が向上することをいう。
2 この法律において「特定事業」とは、その集積を促進することが産業の集積の程度が著しく高い地域及びその周辺の地域以外の地域の産業の高度化に特に寄与すると認められる業種として政令で定めるものに属する事業をいう。
(地域)
第三条 この法律による特定事業の集積を促進する措置は、次に掲げる要件に該当する地域について講じられるものとする。
一 産業の集積の程度が著しく高い地域及びその周辺の地域であつて政令で定めるもの以外の地域であること。
二 自然的経済的社会的条件からみて一体として特定事業の集積を図ることが相当と認められる地域であること。
三 その地域又はその周辺の地域における産業及び特定事業の集積の状況からみて、その地域に特定事業が集積することにより、これらの地域における産業の高度化が相当程度図られると認められること。
四 特定事業の業務に必要な知識又は技術を有する人材の確保が可能であること。
五 高速自動車国道、空港その他の高速輸送に係る施設及び特定事業の業務に必要な情報を提供する施設の利用が容易であること。
(集積促進指針)
第四条 通商産業大臣、建設大臣、農林水産大臣及び国土庁長官(以下「主務大臣」という。)は、前条に規定する地域についての特定事業の集積の促進に関する指針(以下「集積促進指針」という。)を定めなければならない。
2 集積促進指針においては、次に掲げる事項につき、次条第一項の集積促進計画の指針となるべきものを定めるものとする。
一 特定事業の集積を促進する措置を講じようとする地域(以下「集積促進地域」という。)の設定に関する事項
三 前号の目標を達成するために必要な事業に関する事項
3 主務大臣は、経済事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、集積促進指針を変更するものとする。
4 主務大臣は、集積促進指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、自治大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 主務大臣は、集積促進指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(集積促進計画)
第五条 都道府県は、集積促進指針に基づき、当該都道府県内の地域であつて第三条各号に掲げる要件に該当すると認められるものについて、関係市町村に協議して、特定事業の集積の促進に関する計画(以下「集積促進計画」という。)を作成し、主務大臣の承認を申請することができる。
2 集積促進計画においては、第一号に掲げる事項及び第二号から第五号までに掲げる事項の大綱について定めるものとする。
三 次に掲げる施設の整備(既存の施設の活用を含む。)に関する事項
四 前号イからハまでに掲げる施設の整備に必要な土地の確保に関連して実施される農用地の整備に関する事項
3 主務大臣は、第一項の承認の申請があつたときは、当該申請に係る集積促進計画につき自治大臣の意見を聴かなければならない。
4 主務大臣は、集積促進計画が次の各号に該当するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
一 その集積促進計画に係る集積促進地域が第三条各号に掲げる要件に該当し、かつ、集積促進指針に適合するものであること。
二 第二項第二号から第五号までに掲げる事項にあつては、集積促進指針に適合するものであること。
三 その集積促進計画に係る特定事業の集積が当該集積促進地域及びその周辺の地域に対して適切な経済的効果を及ぼすものであること。
四 その他集積促進指針に照らして適切なものであること。
5 主務大臣は、集積促進計画につき前項の規定による承認をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
6 都道府県は、集積促進計画が第四項の規定による承認を受けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(集積促進計画の変更)
第六条 都道府県は、前条第四項の規定による承認を受けた集積促進計画を変更しようとするときは、関係市町村に協議した上、主務大臣の承認を受けなければならない。
2 前条第三項から第六項までの規定は、前項の場合について準用する。
(地域振興整備公団の行う特定事業集積促進業務)
第七条 地域振興整備公団(以下「公団」という。)は、地域振興整備公団法(昭和三十七年法律第九十五号。以下「公団法」という。)第十九条第一項及び第二項に規定する業務のほか、第五条第四項の規定による承認を受けた集積促進計画(前条第一項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のもの。以下「承認集積促進計画」という。)に係る集積促進地域(以下「承認集積促進地域」という。)における特定事業の集積を促進するため、次に掲げる業務を行う。
一 承認集積促進地域において、特定事業の用に供する業務用地(これと併せて整備されるべき住宅及び道路その他の施設の敷地を含む。以下「業務用地」という。)を造成し、当該業務用地の利用者の利便に供する施設を整備し、並びにこれらを管理し、及び譲渡すること。
二 承認集積促進地域において産業の高度化に資する研究開発、研修等を行うための施設の整備及び管理の事業を行う者に対し、その事業に必要な資金の出資を行うこと。
2 公団は、前項の業務のほか、同項の業務及び公団法第十九条第一項の業務の遂行に支障のない範囲内で、委託を受けて、次に掲げる業務を行うことができる。
一 承認集積促進地域における業務用地の造成、管理及び譲渡並びに当該業務用地の造成と併せて整備されるべき公共の用に供する施設及び当該業務用地の利用者の利便に供する施設の整備並びに当該施設の管理及び譲渡
二 承認集積促進地域における前項第二号に規定する施設の整備
四 第一号及び第二号の業務に関連する技術的援助並びに特定事業の集積の促進のための計画の策定に係る技術的援助
(公団法の特例)
第八条 前条の規定により公団の業務が行われる場合には、公団法第十九条第二項中「同項の業務」とあるのは「同項の業務及び地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律(以下「特定事業集積促進法」という。)第七条第一項の業務」と、同条第三項中「前項に規定する業務」とあるのは「前項に規定する業務又は特定事業集積促進法第七条第二項に規定する業務」と、同条第五項中「並びに同項第八号の業務」とあるのは「、同項第八号の業務並びに特定事業集積促進法第七条第一項第一号の業務」と、同条第六項中「同項第三号又は第四号の業務で同項第一号の業務」とあるのは、「同項第三号若しくは第四号の業務又は特定事業集積促進法第七条第一項第一号の業務で第一項第一号の業務」と、公団法第十九条の二第二項中「同項第三号又は第四号の業務で同項第一号の業務」とあるのは「同項第三号若しくは第四号の業務又は特定事業集積促進法第七条第一項第一号の業務で前条第一項第一号の業務」と、公団法第二十条第一項中「第十九条第一項第二号又は第七号の業務」とあるのは「第十九条第一項第二号若しくは第七号の業務又は特定事業集積促進法第七条第一項第二号の業務」と、同条第二項中「第十九条第一項第二号及び第七号の業務」とあるのは「第十九条第一項第二号及び第七号の業務並びに特定事業集積促進法第七条第一項第二号の業務」と、公団法第二十四条の二中「第一号及び第二号の業務(以下「工業再配置業務」という。)」とあるのは「第一号及び第二号の業務、特定事業集積促進法第七条に規定する業務並びに第十九条の三の規定による投資で特定事業集積促進法第二条第二項に規定する特定事業の集積の促進に係るもの(以下「工業再配置等業務」という。)」と、公団法第二十五条第一項及び第三項並びに第三十三条の二第一項第三号中「工業再配置業務」とあるのは「工業再配置等業務」と、公団法第三十六条第三号中「第十九条第一項及び第二項」とあるのは「第十九条第一項及び第二項並びに特定事業集積促進法第七条」とする。
(産業基盤整備基金の行う特定事業集積促進業務)
第九条 産業基盤整備基金(以下「基金」という。)は、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号。以下「特定施設整備法」という。)第四十条第一項に規定する業務のほか、承認集積促進地域における特定事業の集積を促進するため、次の業務を行う。
一 承認集積促進地域において特定事業を行う者に対し、その事業に必要な資金の借入れに係る債務の保証を行うこと。
(特定施設整備法の特例)
第十条 前条の規定により基金の業務が行われる場合には、特定施設整備法第四十条第二項中「前項第一号の業務」とあるのは「前項第一号の業務及び地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律(以下「特定事業集積促進法」という。)第九条第一号の業務」と特定施設整備法第六十三条第三号中「第四十条第一項」とあるのは「第四十条第一項及び特定事業集積促進法第九条」とする。
(課税の特例)
第十一条 承認集積促進地域において、特定事業を営む者が当該特定事業の用に供するために新たに取得し、又は製作し、若しくは建設した建物及びその附属設備、機械及び装置並びに器具及び備品については、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、特別償却を行うことができる。
(固定資産税の不均一課税に伴う措置)
第十二条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第六条第二項の規定により、自治省令で定める地方公共団体が、承認集積促進地域において特定事業の用に供する設備のうち自治省令で定めるものを新設した者について、当該設備に対する固定資産税に係る不均一の課税をした場合において、その措置が自治省令で定める場合に該当するものと認められるときは、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の規定による当該地方公共団体の各年度における基準財政収入額は、同条の規定にかかわらず、当該地方公共団体の当該各年度分の減収額(その措置がなされた最初の年度以降三箇年度におけるものに限る。)のうち自治省令で定めるところにより算定した額を同条の規定による当該地方公共団体の当該各年度(その措置が自治省令で定める日以後において行われたときは、当該減収額について当該各年度の翌年度)における基準財政収入額となるべき額から控除した額とする。
(資金の確保)
第十三条 国及び地方公共団体は、承認集積促進地域における特定事業の集積を円滑に促進するために必要な資金の確保に努めるものとする。
(施設の整備)
第十四条 国及び地方公共団体は、承認集積促進計画の達成に資するために必要な施設の整備に努めるものとする。
(国の援助等)
第十五条 国及び地方公共団体は、承認集積促進計画の達成に資するため、承認集積促進計画の実施に必要な事業を行う者等に対する助言、指導その他の援助の実施に努めるものとする。
2 地方公共団体が承認集積促進計画を達成するために行う事業に要する費用に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。
(農地法等による処分についての配慮)
第十六条 国の行政機関の長又は都道府県知事は、承認集積促進地域内の土地を承認集積促進計画で定める施設の用に供するため農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)その他の法律の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該承認集積促進計画で定める特定事業の集積が促進されるよう配慮するものとする。