(業務の範囲)
第十八条 公団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 長野県、岐阜県及び愛知県の区域のうち政令で定める区域内における次の事業を施行すること。
イ かんがい排水施設その他農地の保全又は利用上必要な施設の新設、廃止又は変更
ロ 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第六十一条各号に掲げる土地(農地法施行法(昭和二十七年法律第二百三十号)第六条第一項の規定により農地法第四十四条第一項の規定によつて買収したものとみなされる土地を含む。)についての開田又は開畑
二 前号の事業の施行によつて生じた施設についての災害復旧事業を施行すること。
三 前二号の事業の施行によつて生じた施設の管理を行うこと。
2 公団は、前項の業務のほか、次の業務を行うことができる。
一 委託を受けて農地の改良又は造成の工事を行うこと。
二 発電事業若しくは水道事業の用にもつぱら供する施設で前項第一号イ若しくは第二号の事業の施行によつて生ずる施設の一部と一体的に使用されるもの(以下「専用施設」という。)を新設し、及びこれによつて生ずる専用施設の貸付を行い、又は発電事業若しくは水道事業を行う者が専用施設を新設する場合に、その者に対し、これに必要な資金の供給を行うこと。
三 第五十条第一項の規定による委託を受けて前項第一号ロの土地(その土地の上にある立木竹及び工作物並びにその土地に関する権利を含む。)の管理を行うこと。
(事業実施計画及び施設管理規程)
第十九条 公団は、前条第一項第一号又は第二号の事業を施行しようとするときは、農林省令で定める手続に従い、事業実施計画を作成し、これを農林大臣に提出しなければならない。
2 前項の事業実施計画には、次の事項を記載しなければならない。
三 事業の施行によつて利益を受けるべき土地(以下「受益地」という。)の所在及び面積
3 公団は、前条第一項第一号の事業に係る第一項の事業実施計画については、次条第一項の規定により指示された事業基本計画に基いて、これを作成しなければならない。
4 公団は、前条第一項第三号の事業を行おうとするときは、農林省令で定める手続に従い、施設管理規程を作成し、これを農林大臣に提出しなければならない。
5 前項の施設管理規程には、次の事項を定めなければならない。
三 施設の一部の管理を土地改良区に委託する場合にあつては、管理の委託に関する準則
6 公団は、第一項の事業実施計画又は第四項の施設管理規程を作成しようとするときは、その事業実施計画又は施設管理規程について、関係県知事に協議しなければならない。
(事業基本計画)
第二十条 農林大臣は、政令で定めるところにより、第十八条第一項第一号の事業につき、事業基本計画を定め、その概要を公表するとともに、事業基本計画を公団に指示しなければならない。
2 前項の事業基本計画には、次の事項を記載しなければならない。
3 農林大臣は、第一項の事業基本計画を定めようとするときは、大蔵大臣、厚生大臣、通商産業大臣、建設大臣、自治庁長官及び経済企画庁長官の同意を得なければならない。
(意見書の提出等)
第二十一条 農林大臣は、第十九条第一項又は第四項の規定による事業実施計画又は施設管理規程の提出があつたときは、政令で定めるところにより、その旨を公告するとともに、その事業実施計画又は施設管理規程を二十日間公衆の縦覧に供しなければならない。ただし、第十八条第一項第二号の事業で災害のため急速に行う必要があるものに係る事業実施計画については、公衆の縦覧に供することを要しない。
2 前項の規定により縦覧に供された事業実施計画又は施設管理規程について意見がある利害関係人(当該事業に係る土地又は土地に定着する物件の所有者、当該事業に係る水面につき漁業権又は入漁権を有する者その他これらの土地、物件又は権利に関し権利を有する者をいう。以下同じ。)は、同項の縦覧期間内に、公団に意見書を提出することができる。
3 公団は、前項の規定による意見書の提出があつたときは、農林省令で定める期間内に、その内容を審査し、その意見書に係る意見を採用すべきであると認めるときは、その必要の範囲内においてその事業実施計画又は施設管理規程を修正し、その旨をその意見書を提出した者に通知するとともにその修正に係る部分を記載した書面を農林大臣に提出し、その意見書に係る意見を採用すべきでないと認めるときは、その旨を理由を附した書面でその意見書を提出した者に通知するとともにその意見書に係る意見の概要及びその意見を採用すべきでないと認める理由を記載した書面を農林大臣に提出しなければならない。
4 公団は、第十八条第一項第一号の事業に係る事業実施計画について前項の規定による修正をする場合には、前条第一項の規定により指示された事業基本計画に違反しない範囲内でこれをしなければならない。
5 公団が第三項の規定により事業実施計画又は施設管理規程を修正しようとする場合には、第十九条第六項の規定を準用する。
6 公団は、第二項の場合において、同項の規定による意見書の提出がなかつたときは、遅滞なく、その旨を農林大臣に届け出なければならない。
7 第三項の規定によりその意見書に係る意見を採用すべきでないと認める旨の通知を受けた者及び第二項の規定による意見書を提出した者で第三項の農林省令で定める期間内に公団からその意見書に係る意見を採用するかどうかについての通知を受けなかつたものは、更に意見があるときは、農林省令で定める手続に従い、意見書を農林大臣に提出することができる。ただし、第三項の農林省令で定める期間満了後十五日を経過したときは、この限りでない。
8 農林大臣は、前項の規定による意見書の提出があつたときは、農林省令で定める期間内に、その内容を審査し、その意見書に係る意見を採用すべきであると認めるときは、公団に対しその事業実施計画又は施設管理規程に必要な修正を加えるべきことを指示するとともにその旨をその意見書を提出した者に通知し、その意見書に係る意見を採用すべきでないと認めるときは、その旨を理由を附した書面でその意見書を提出した者に通知するとともにその書面の写を公団に送付しなければならない。
9 農林大臣は、第七項の場合において、同項の規定による意見書の提出がなかつたときは、遅滞なく、その旨を公団に通知しなければならない。
10 公団が第三項又は第八項の規定により事業実施計画又は施設管理規程に必要な修正を加えたときは、その修正が当該事業に係る利害関係人の権利又は利益を侵害するおそれがないことが明らかである場合を除き、その修正に係る部分について更に第一項からこの項までに規定する手続を行うベきものとする。
11 農林大臣は、第十九条第一項又は第四項の規定により提出された事業実施計画又は施設管理規程について、第一項から前項までの規定により行うべき手続がすべて終了したときは、その旨を告示しなければならない。
12 公団は、第十八条第一項第一号イの事業で、これに係る事業実施計画においてその事業の施行によつて生ずべき施設の一部を発電事業又は水道事業を行う者に使用させる旨を定めたものについては、前項の規定による告示があつた後、その発電事業又は水道事業を行う者から、その者が当該施設の一部を使用する場合にはその事業実施計画に従つてこれを使用する旨の承諾を得なければならない。
13 公団は、第十八条第一項第一号又は第二号の事業については、その事業に係る事業実施計画につき第十一項の規定による告示があつた後(第二十一条第一項ただし書に規定する事業については同項本文の公告があつた後、前項に規定する事業については同項の承諾があつた後)でなければ、その事業実施計画による工事に着手してはならない。
(事業実施計画等の変更)
第二十二条 公団は、第十九条第一項の事業実施計画又は同条第四項の施設管理規程を変更しようとするときは、農林省令で定める手続に従い、その変更に係る部分を記載した書面を農林大臣に提出しなければならない。
2 公団は、第十八条第一項第一号の事業に係る事業実施計画の変更をする場合には、第二十条第一項の規定により指示された事業基本計画に違反しない範囲内でこれをしなければならない。
3 第一項の変更(政令で定める軽微な変更を除く。)については、第十九条第六項及び前条の規定を準用する。
(施設の使用、資金の供給等の認可)
第二十三条 公団は、発電事業又は水道事業を行う者に対し、第十八条第一項第一号イ若しくは第二号の事業の施行によつて生じた施設の一部を使用させようとするとき、又は同条第二項第二号に規定する資金の供給を行おうとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 農林大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、これに関する処分をしようとするときは、政令で定めるところにより、大蔵大臣及び厚生大臣、通商産業大臣、建設大臣又は自治庁長官の同意を得なければならない。
3 公団は、専用施設を新設し、又はその貸付を行おうとするときは、発電事業に係る専用施設の新設又は貸付にあつては農林大臣及び通商産業大臣の認可、水道事業に係る専用施設の新設又は貸付にあつては農林大臣及び政令で定めるところにより厚生大臣、通商産業大臣又は建設大臣の認可を受けなければならない。
(賦課金)
第二十四条 公団は、政令で定めるところにより、第十八条第一項第一号から第三号までの事業によつて利益を受ける者でその事業に係る受益地につき土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第三条に規定する資格を有するものその他農林大臣の指定するものに対し、その者の受ける利益を限度として、その事業に要する費用の全部又は一部を賦課徴収することができる。
2 前項に規定する者が当該事業に係る受益地の全部又は一部をその地区に含む土地改良区の組合員である場合には、公団は、その者に対する同項の規定による賦課徴収に代えて、その土地改良区に対し、当該賦課金の額に相当する額の金銭を賦課徴収することができる。
3 前二項の規定による賦課徴収の処分は、その処分に係る賦課金の納期限(分割して納入させる場合にあつては、最初に納入させる賦課金についての納期限)前九十日までに、しなければならない。
4 前項の処分を受けた者は、その処分について不服があるときは、公団に対してこれを申し立てることができる。ただし、その処分を受けた日から二十日を経過したときは、この限りでない。
5 公団は、前項の規定による不服の申立があつたときは、同項ただし書の期間満了後三十日以内にこれを決定しなければならない。
(強制徴収)
第二十五条 公団は、前条第一項又は第二項の規定による賦課金の納入義務者がその納期限までにその賦課金を納入しないときは、期限を指定して、これを督促しなければならない。
2 公団は、前項の規定により督促をするときは、納入義務者に対し督促状を発する。この場合において督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して二十日以上経過した日でなければならない。
3 前条第一項の規定による賦課金の納入義務者で第一項の規定による督促を受けたものがその指定の期限までにその賦課金及び第七項の延滞金を納入しないときは、市町村は、公団の請求により、地方税の滞納処分の例により、これを処分する。この場合には、公団は、その徴収金額の百分の四を市町村に交付しなければならない。
4 市町村が前項の請求を受けた日から一月以内にその処分に着手せず、又は三月以内にこれを終了しないときは、公団は、地方税の滞納処分の例により、農林大臣の認可を受けて、その処分をすることができる。
5 前条第二項の規定による賦課金の納入義務者で第一項の規定による督促を受けたものがその指定の期限までにその賦課金及び第七項の延滞金を納入しないときは、公団は、地方税の滞納処分の例により、農林大臣の認可を受けて、その処分をすることができる。
6 前三項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぎ、他の公課に先だつものとし、その時効については、地方税の例による。
7 公団は、第一項の規定により督促をしたときは、賦課金の額百円につき一日四銭の割合で、納期限の翌日からその完納又は財産差押の日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収する。ただし、農林省令で定める場合は、この限りでない。
(土地改良区の組合員に対する経費の賦課)
第二十六条 土地改良法第三十六条第一項、第二項及び第四項(経費の賦課)、第三十八条並びに第三十九条(賦課金の徴収)の規定については、第二十四条第二項の規定による賦課金を土地改良区の事業に要する経費とみなして、これらの規定を準用する。
(県の費用負担)
第二十七条 第十八条第一項第一号又は第二号の事業に係る受益地の全部又は一部をその区域に含む県は、政令で定めるところにより、その事業に要する費用の一部を負担金として公団に支払わなければならない。
(権利関係の調整)
第二十八条 公団が第十八条第一項第一号から第三号までの事業を行つた場合については、土地改良法第五十九条(償還すべき有益費)、第六十二条(地代等の増額請求)及び第六十五条(農地法の適用)の規定を準用する。この場合において、同法第五十九条及び第六十二条第一項中「土地改良事業」とあるのは「愛知用水公団が行う愛知用水公団法(昭和三十年法律第百四十一号)第十八条第一項第一号から第三号までの事業」と、同法第六十二条第一項中「組合員」とあるのは「愛知用水公団法第二十四条第一項の規定による賦課金を納入した者(同条第二項の規定による賦課金に充てるため土地改良区が同法第二十六条で準用する土地改良法第三十六条第一項の規定により賦課徴収する金銭を負担した組合員を含む。)」と読み替えるものとする。
(土地改良法の準用)
第二十九条 土地改良法第百十八条(測量、検査等の手続)、第百十九条(障害物の移転等)、第百二十一条(急迫の際の使用等)、第百二十二条第一項及び第二項(損失補償)並びに第百二十三条(補償金等の供託)の規定については、公団を国とみなし、公団が行う第十八条第一項各号の事業を土地改良事業とみなして、これらの規定を準用する。この場合において、同法第百二十二条第二項中「第十条第三項、第四十八条第五項(第九十五条の二第三項及び第九十六条の三において準用する場合を含む。)、第八十七条第三項(第八十七条の二第四項及び第八十七条の三第二項において準用する場合を含む。)、第九十五条第四項、第九十六条の二第五項、第九十八条第九項又は第九十九条第十一項の規定による公告」とあるのは、「愛知用水公団法第二十一条第一項(同法第二十二条第三項において準用する場合及び同法第二十一条第十項の規定により同法第二十一条第一項に規定する手続を行う場合を含む。)の規定による公告」と読み替えるものとする。