愛知用水公団法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十年八月六日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第百四十一号
愛知用水公団法
目次
第一章
総則(第一条―第六条)
第二章
役員及び職員(第七条―第十七条)
第三章
業務(第十八条―第二十九条)
第四章
財務及び会計(第三十条―第四十四条)
第五章
監督(第四十五条・第四十六条)
第六章
雑則(第四十七条―第五十一条)
第七章
罰則(第五十二条―第五十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 愛知用水公団は、木曾川水系の水資源を総合的に開発してその利用の高度化を図り、食糧その他農産物の生産の増進と農業経営の合理化に資するため、政府及び国際復興開発銀行から資金の融通を受け、大規模なかんがい排水施設の新設及び管理、開田、開畑等の事業を行うことを目的とする。
(法人格)
第二条 愛知用水公団(以下「公団」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 公団は、主たる事務所を名古屋市に置く。
2 公団は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(登記)
第四条 公団は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第五条 公団でない者は、愛知用水公団という名称又はこれに類似する名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第六条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)、第五十条(法人の住所)及び第五十四条(代表権の制限)の規定は、公団に準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第七条 公団に、役員として、総裁一人、副総裁一人、理事五人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第八条 総裁は、公団を代表し、その業務を総理する。
2 副総裁は、総裁の定めるところにより、公団を代表し、総裁を補佐して公団の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、総裁の定めるところにより、公団を代表し、総裁及び副総裁を補佐して公団の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行う。
4 監事は、公団の業務を監査する。
(役員の任命)
第九条 総裁及び監事は、農林大臣が任命する。
2 副総裁及び理事は、総裁が農林大臣の認可を受けて任命する。
(役員の任期)
第十条 役員の任期は、五年とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十一条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 国務大臣、国会議員、政府職員(人事院が指定する非常勤の者を除く。)又は地方公共団体の議会の議員
二 政党の役員
三 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者であつて公団と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
四 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
(役員の解任)
第十二条 農林大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 農林大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 総裁は、前項の規定によりその任命に係る役員を解任しようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十三条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又はみずから営利事業に従事してはならない。
(代表権の制限)
第十四条 公団と総裁、副総裁又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が公団を代表する。
(代理人の選任)
第十五条 総裁、副総裁及び理事は、公団の職員のうちから、公団の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第十六条 公団の職員は、総裁が任命する。
(役員及び職員の地位)
第十七条 役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務
(業務の範囲)
第十八条 公団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 長野県、岐阜県及び愛知県の区域のうち政令で定める区域内における次の事業を施行すること。
イ かんがい排水施設その他農地の保全又は利用上必要な施設の新設、廃止又は変更
ロ 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第六十一条各号に掲げる土地(農地法施行法(昭和二十七年法律第二百三十号)第六条第一項の規定により農地法第四十四条第一項の規定によつて買収したものとみなされる土地を含む。)についての開田又は開畑
二 前号の事業の施行によつて生じた施設についての災害復旧事業を施行すること。
三 前二号の事業の施行によつて生じた施設の管理を行うこと。
四 前三号の事業に附帯する事業を行うこと。
2 公団は、前項の業務のほか、次の業務を行うことができる。
一 委託を受けて農地の改良又は造成の工事を行うこと。
二 発電事業若しくは水道事業の用にもつぱら供する施設で前項第一号イ若しくは第二号の事業の施行によつて生ずる施設の一部と一体的に使用されるもの(以下「専用施設」という。)を新設し、及びこれによつて生ずる専用施設の貸付を行い、又は発電事業若しくは水道事業を行う者が専用施設を新設する場合に、その者に対し、これに必要な資金の供給を行うこと。
三 第五十条第一項の規定による委託を受けて前項第一号ロの土地(その土地の上にある立木竹及び工作物並びにその土地に関する権利を含む。)の管理を行うこと。
(事業実施計画及び施設管理規程)
第十九条 公団は、前条第一項第一号又は第二号の事業を施行しようとするときは、農林省令で定める手続に従い、事業実施計画を作成し、これを農林大臣に提出しなければならない。
2 前項の事業実施計画には、次の事項を記載しなければならない。
一 事業の目的及び要旨
二 事業の施行区域の所在
三 事業の施行によつて利益を受けるべき土地(以下「受益地」という。)の所在及び面積
四 受益地の現況
五 受益地の開発計画
六 主要工事計画及び附帯工事計画
七 工事の着手及び完了の予定時期
八 所要事業費及びその負担割合
九 事業の効果
十 発電事業及び水道事業との関係
十一 その他農林省令で定める事項
3 公団は、前条第一項第一号の事業に係る第一項の事業実施計画については、次条第一項の規定により指示された事業基本計画に基いて、これを作成しなければならない。
4 公団は、前条第一項第三号の事業を行おうとするときは、農林省令で定める手続に従い、施設管理規程を作成し、これを農林大臣に提出しなければならない。
5 前項の施設管理規程には、次の事項を定めなければならない。
一 管理する施設
二 管理の方法
三 施設の一部の管理を土地改良区に委託する場合にあつては、管理の委託に関する準則
四 管理費及びその負担割合
五 その他農林省令で定める事項
6 公団は、第一項の事業実施計画又は第四項の施設管理規程を作成しようとするときは、その事業実施計画又は施設管理規程について、関係県知事に協議しなければならない。
(事業基本計画)
第二十条 農林大臣は、政令で定めるところにより、第十八条第一項第一号の事業につき、事業基本計画を定め、その概要を公表するとともに、事業基本計画を公団に指示しなければならない。
2 前項の事業基本計画には、次の事項を記載しなければならない。
一 事業の施行区域に関する事項
二 受益地の区域、現況及び開発計画に関する事項
三 工事計画に関する事項
四 所要事業費及びその負担割合に関する事項
五 発電事業及び水道事業との関係に関する事項
六 その他政令で定める事項
3 農林大臣は、第一項の事業基本計画を定めようとするときは、大蔵大臣、厚生大臣、通商産業大臣、建設大臣、自治庁長官及び経済企画庁長官の同意を得なければならない。
(意見書の提出等)
第二十一条 農林大臣は、第十九条第一項又は第四項の規定による事業実施計画又は施設管理規程の提出があつたときは、政令で定めるところにより、その旨を公告するとともに、その事業実施計画又は施設管理規程を二十日間公衆の縦覧に供しなければならない。ただし、第十八条第一項第二号の事業で災害のため急速に行う必要があるものに係る事業実施計画については、公衆の縦覧に供することを要しない。
2 前項の規定により縦覧に供された事業実施計画又は施設管理規程について意見がある利害関係人(当該事業に係る土地又は土地に定着する物件の所有者、当該事業に係る水面につき漁業権又は入漁権を有する者その他これらの土地、物件又は権利に関し権利を有する者をいう。以下同じ。)は、同項の縦覧期間内に、公団に意見書を提出することができる。
3 公団は、前項の規定による意見書の提出があつたときは、農林省令で定める期間内に、その内容を審査し、その意見書に係る意見を採用すべきであると認めるときは、その必要の範囲内においてその事業実施計画又は施設管理規程を修正し、その旨をその意見書を提出した者に通知するとともにその修正に係る部分を記載した書面を農林大臣に提出し、その意見書に係る意見を採用すべきでないと認めるときは、その旨を理由を附した書面でその意見書を提出した者に通知するとともにその意見書に係る意見の概要及びその意見を採用すべきでないと認める理由を記載した書面を農林大臣に提出しなければならない。
4 公団は、第十八条第一項第一号の事業に係る事業実施計画について前項の規定による修正をする場合には、前条第一項の規定により指示された事業基本計画に違反しない範囲内でこれをしなければならない。
5 公団が第三項の規定により事業実施計画又は施設管理規程を修正しようとする場合には、第十九条第六項の規定を準用する。
6 公団は、第二項の場合において、同項の規定による意見書の提出がなかつたときは、遅滞なく、その旨を農林大臣に届け出なければならない。
7 第三項の規定によりその意見書に係る意見を採用すべきでないと認める旨の通知を受けた者及び第二項の規定による意見書を提出した者で第三項の農林省令で定める期間内に公団からその意見書に係る意見を採用するかどうかについての通知を受けなかつたものは、更に意見があるときは、農林省令で定める手続に従い、意見書を農林大臣に提出することができる。ただし、第三項の農林省令で定める期間満了後十五日を経過したときは、この限りでない。
8 農林大臣は、前項の規定による意見書の提出があつたときは、農林省令で定める期間内に、その内容を審査し、その意見書に係る意見を採用すべきであると認めるときは、公団に対しその事業実施計画又は施設管理規程に必要な修正を加えるべきことを指示するとともにその旨をその意見書を提出した者に通知し、その意見書に係る意見を採用すべきでないと認めるときは、その旨を理由を附した書面でその意見書を提出した者に通知するとともにその書面の写を公団に送付しなければならない。
9 農林大臣は、第七項の場合において、同項の規定による意見書の提出がなかつたときは、遅滞なく、その旨を公団に通知しなければならない。
10 公団が第三項又は第八項の規定により事業実施計画又は施設管理規程に必要な修正を加えたときは、その修正が当該事業に係る利害関係人の権利又は利益を侵害するおそれがないことが明らかである場合を除き、その修正に係る部分について更に第一項からこの項までに規定する手続を行うベきものとする。
11 農林大臣は、第十九条第一項又は第四項の規定により提出された事業実施計画又は施設管理規程について、第一項から前項までの規定により行うべき手続がすべて終了したときは、その旨を告示しなければならない。
12 公団は、第十八条第一項第一号イの事業で、これに係る事業実施計画においてその事業の施行によつて生ずべき施設の一部を発電事業又は水道事業を行う者に使用させる旨を定めたものについては、前項の規定による告示があつた後、その発電事業又は水道事業を行う者から、その者が当該施設の一部を使用する場合にはその事業実施計画に従つてこれを使用する旨の承諾を得なければならない。
13 公団は、第十八条第一項第一号又は第二号の事業については、その事業に係る事業実施計画につき第十一項の規定による告示があつた後(第二十一条第一項ただし書に規定する事業については同項本文の公告があつた後、前項に規定する事業については同項の承諾があつた後)でなければ、その事業実施計画による工事に着手してはならない。
(事業実施計画等の変更)
第二十二条 公団は、第十九条第一項の事業実施計画又は同条第四項の施設管理規程を変更しようとするときは、農林省令で定める手続に従い、その変更に係る部分を記載した書面を農林大臣に提出しなければならない。
2 公団は、第十八条第一項第一号の事業に係る事業実施計画の変更をする場合には、第二十条第一項の規定により指示された事業基本計画に違反しない範囲内でこれをしなければならない。
3 第一項の変更(政令で定める軽微な変更を除く。)については、第十九条第六項及び前条の規定を準用する。
(施設の使用、資金の供給等の認可)
第二十三条 公団は、発電事業又は水道事業を行う者に対し、第十八条第一項第一号イ若しくは第二号の事業の施行によつて生じた施設の一部を使用させようとするとき、又は同条第二項第二号に規定する資金の供給を行おうとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 農林大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、これに関する処分をしようとするときは、政令で定めるところにより、大蔵大臣及び厚生大臣、通商産業大臣、建設大臣又は自治庁長官の同意を得なければならない。
3 公団は、専用施設を新設し、又はその貸付を行おうとするときは、発電事業に係る専用施設の新設又は貸付にあつては農林大臣及び通商産業大臣の認可、水道事業に係る専用施設の新設又は貸付にあつては農林大臣及び政令で定めるところにより厚生大臣、通商産業大臣又は建設大臣の認可を受けなければならない。
(賦課金)
第二十四条 公団は、政令で定めるところにより、第十八条第一項第一号から第三号までの事業によつて利益を受ける者でその事業に係る受益地につき土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第三条に規定する資格を有するものその他農林大臣の指定するものに対し、その者の受ける利益を限度として、その事業に要する費用の全部又は一部を賦課徴収することができる。
2 前項に規定する者が当該事業に係る受益地の全部又は一部をその地区に含む土地改良区の組合員である場合には、公団は、その者に対する同項の規定による賦課徴収に代えて、その土地改良区に対し、当該賦課金の額に相当する額の金銭を賦課徴収することができる。
3 前二項の規定による賦課徴収の処分は、その処分に係る賦課金の納期限(分割して納入させる場合にあつては、最初に納入させる賦課金についての納期限)前九十日までに、しなければならない。
4 前項の処分を受けた者は、その処分について不服があるときは、公団に対してこれを申し立てることができる。ただし、その処分を受けた日から二十日を経過したときは、この限りでない。
5 公団は、前項の規定による不服の申立があつたときは、同項ただし書の期間満了後三十日以内にこれを決定しなければならない。
(強制徴収)
第二十五条 公団は、前条第一項又は第二項の規定による賦課金の納入義務者がその納期限までにその賦課金を納入しないときは、期限を指定して、これを督促しなければならない。
2 公団は、前項の規定により督促をするときは、納入義務者に対し督促状を発する。この場合において督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して二十日以上経過した日でなければならない。
3 前条第一項の規定による賦課金の納入義務者で第一項の規定による督促を受けたものがその指定の期限までにその賦課金及び第七項の延滞金を納入しないときは、市町村は、公団の請求により、地方税の滞納処分の例により、これを処分する。この場合には、公団は、その徴収金額の百分の四を市町村に交付しなければならない。
4 市町村が前項の請求を受けた日から一月以内にその処分に着手せず、又は三月以内にこれを終了しないときは、公団は、地方税の滞納処分の例により、農林大臣の認可を受けて、その処分をすることができる。
5 前条第二項の規定による賦課金の納入義務者で第一項の規定による督促を受けたものがその指定の期限までにその賦課金及び第七項の延滞金を納入しないときは、公団は、地方税の滞納処分の例により、農林大臣の認可を受けて、その処分をすることができる。
6 前三項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぎ、他の公課に先だつものとし、その時効については、地方税の例による。
7 公団は、第一項の規定により督促をしたときは、賦課金の額百円につき一日四銭の割合で、納期限の翌日からその完納又は財産差押の日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収する。ただし、農林省令で定める場合は、この限りでない。
(土地改良区の組合員に対する経費の賦課)
第二十六条 土地改良法第三十六条第一項、第二項及び第四項(経費の賦課)、第三十八条並びに第三十九条(賦課金の徴収)の規定については、第二十四条第二項の規定による賦課金を土地改良区の事業に要する経費とみなして、これらの規定を準用する。
(県の費用負担)
第二十七条 第十八条第一項第一号又は第二号の事業に係る受益地の全部又は一部をその区域に含む県は、政令で定めるところにより、その事業に要する費用の一部を負担金として公団に支払わなければならない。
(権利関係の調整)
第二十八条 公団が第十八条第一項第一号から第三号までの事業を行つた場合については、土地改良法第五十九条(償還すべき有益費)、第六十二条(地代等の増額請求)及び第六十五条(農地法の適用)の規定を準用する。この場合において、同法第五十九条及び第六十二条第一項中「土地改良事業」とあるのは「愛知用水公団が行う愛知用水公団法(昭和三十年法律第百四十一号)第十八条第一項第一号から第三号までの事業」と、同法第六十二条第一項中「組合員」とあるのは「愛知用水公団法第二十四条第一項の規定による賦課金を納入した者(同条第二項の規定による賦課金に充てるため土地改良区が同法第二十六条で準用する土地改良法第三十六条第一項の規定により賦課徴収する金銭を負担した組合員を含む。)」と読み替えるものとする。
(土地改良法の準用)
第二十九条 土地改良法第百十八条(測量、検査等の手続)、第百十九条(障害物の移転等)、第百二十一条(急迫の際の使用等)、第百二十二条第一項及び第二項(損失補償)並びに第百二十三条(補償金等の供託)の規定については、公団を国とみなし、公団が行う第十八条第一項各号の事業を土地改良事業とみなして、これらの規定を準用する。この場合において、同法第百二十二条第二項中「第十条第三項、第四十八条第五項(第九十五条の二第三項及び第九十六条の三において準用する場合を含む。)、第八十七条第三項(第八十七条の二第四項及び第八十七条の三第二項において準用する場合を含む。)、第九十五条第四項、第九十六条の二第五項、第九十八条第九項又は第九十九条第十一項の規定による公告」とあるのは、「愛知用水公団法第二十一条第一項(同法第二十二条第三項において準用する場合及び同法第二十一条第十項の規定により同法第二十一条第一項に規定する手続を行う場合を含む。)の規定による公告」と読み替えるものとする。
第四章 財務及び会計
(事業年度)
第三十条 公団の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
(予算等の認可)
第三十一条 公団は、毎事業年度、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 公団は、前項の規定による認可を申請する場合には、当該事業年度の業務計画その他予算及び資金計画の参考となる事項に関する書類を認可申請書に添えなければならない。
(決算)
第三十二条 公団は、毎事業年度の決算を翌年度の七月三十一日までに完結しなければならない。
(財務諸表)
第三十三条 公団は、毎事業年度、農林省令で定めるところにより、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後二月以内に農林大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 公団は、前項の規定により財務諸表を農林大臣に提出するときは、これに予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。
3 公団は、第一項の規定による農林大臣の承認を受けた財務諸表を各事務所に備えて置かなければならない。
(借入金)
第三十四条 公団は、農林大臣の認可を受けて、政府又は国際復興開発銀行以外の金融機関から長期借入金又は短期借入金をすることができる。
2 公団は、国際復興開発銀行から長期借入金をすることができる。
3 第一項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、農林大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
4 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(債券の発行)
第三十五条 公団は、その国際復興開発銀行からの外貨資金の借入契約に基き債券を引き渡す必要があるときは、政令で定めるところにより、その借入金額を限り債券を発行することができる。
2 外資に関する法律(昭和二十五年法律第百六十三号)第三条に規定する外国投資家が前項の債券を譲り受けたときは、当該債券に係る貸付金債権について同法第十三条の二の規定による大蔵大臣の指定を受けたものとみなして、同法の規定を適用する。
(政府からの貸付)
第三十六条 政府は、公団に対して長期又は短期の資金の貸付をすることができる。
(政府の保証)
第三十七条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、公団が昭和三十六年三月三十一日までに国際復興開発銀行と締結する外貨資金の借入契約に基き外貨で支払わなければならない債務について、一定の金額を限度として、保証契約をすることができる。
2 前項の一定の金額は、七十一億六千万円を同項の借入契約の締結の時における基準外国為替相場(外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第七条第一項の基準外国為替相場をいう。)により換算してアメリカ合衆国通貨をもつて表示した額又はその額を政令で定めるところにより換算してアメリカ合衆国通貨以外の外国通貨をもつて表示した額とする。
(償還計画)
第三十八条 公団は、毎事業年度、長期借入金の償還計画をたてて、農林大臣の認可を受けなければならない。
(補助金)
第三十九条 政府は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、公団に対し、次に掲げる経費の一部を補助することができる。
一 第十八条第一項第一号の事業に係る事業費
二 第十八条第一項第一号又は第二号の事業の施行によつて生じた施設で公団がみずから管理を行うものについての同項第二号の事業に係る事業費
(余裕金の運用)
第四十条 公団は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債及び農林大臣の指定するその他の有価証券の取得
二 農林中央金庫及び農林大臣の指定するその他の金融機関への預金又は郵便貯金
(財産の処分等の制限)
第四十一条 公団は、その所有する不動産その他政令で定める重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。
(規程)
第四十二条 公団は、業務開始の際、次の事項について規程を定めなければならない。
一 会計に関する事項
二 役員及び職員の給与及び退職手当に関する事項
2 公団は、前項の事項について規程を定めようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(大蔵大臣に対する協議)
第四十三条 農林大臣は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第三十一条第一項、第三十四条第一項若しくは第三項ただし書、第三十八条、第四十一条又は前条第二項の規定による認可をしようとするとき。
二 第三十三条第一項の規定による承認をしようとするとき。
三 第四十条第一号又は第二号の規定による指定をしようとするとき。
四 次条の規定により農林省令を定めようとするとき。
(農林省令への委任)
第四十四条 この法律及びこれに基く政令に規定するもののほか、公団の財務及び会計に関し必要な事項は、農林省令で定める。
第五章 監督
(監督)
第四十五条 公団は、農林大臣(発電事業に係る専用施設の新設及び貸付に係る事項については農林大臣及び通商産業大臣、水道事業に係る専用施設の新設及び貸付に係る事項については農林大臣及び政令で定めるところにより厚生大臣、通商産業大臣又は建設大臣。以下この章において同じ。)が監督する。
2 農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公団に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第四十六条 農林大臣は、必要があると認めるときは、公団に対して業務及び資産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に公団の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第六章 雑則
(解散)
第四十七条 公団の解散については、別に法律で定める。
(恩給)
第四十八条 恩給法(大正十二年法律第四十八号)第十九条に規定する公務員(以下この条において「公務員」という。)又は同法同条に規定する公務員とみなされる者(以下この条において「公務員とみなされる者」という。)が引き続いて公団の役員又は職員となつたときは、恩給法の一部を改正する法律(昭和二十二年法律第七十七号)(以下「法律第七十七号」という。)附則第十条又は恩給法の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第百五十五号)(以下「法律第百五十五号」という。)附則第四十条の規定の適用については、法律第七十七号附則第十条第一項中「引き続いて公務員又は公務員とみなされる者として在職し」とあるのは「引き続いて公務員若しくは公務員とみなされる者又は愛知用水公団の役員若しくは職員として在職し」と、法律第百五十五号附則第四十条第一項中「引き続いて地方事務官又は地方技官として在職し」とあるのは「引き続いて地方事務官若しくは地方技官又は愛知用水公団の役員若しくは職員として在職し」と読み替えるものとする。
2 他の法律の規定において法律第七十七号附則第十条の規定を準用するときは、前項の規定により読み替えられた同条第一項の規定を準用するものとする。
3 公団の設立の際現に公務員又は公務員とみなされる者として在職する者が、引き続いて公団の役員又は職員となり、更に引き続いて公務員又は公務員とみなされる者となつたとき(公団の設立の際現に公務員又は公務員とみなされる者として在職する者が引き続いて公務員又は公務員とみなされる者として在職し、更に引き続いて公団の役員又は職員となり、更に引き続いて公務員又は公務員とみなされる者となつたときを含む。)は、その公務員又は公務員とみなされる者に給すべき普通恩給については、当該公団の役員又は職員としての在職年月数を公務員又は公務員とみなされる者としての在職年月数に通算する。
4 第一項(他の法律の規定において第一項の規定により読み替えられた法律第七十七号附則第十条第一項の規定を準用するときを含む。)及び前項の規定は、公団の役員又は職員となるまでの公務員又は公務員とみなされる者としての在職年が普通恩給についての最短恩給年限に達する者については、適用しないものとする。
5 第三項の規定の適用を受ける者についての恩給法第六十四条ノ二(再就職の場合の普通恩給)の規定の適用又は準用については、公団の役員又は職員としての就職を再就職とみなす。
第四十九条 公団は、前条第一項(他の法律の規定において同条同項の規定により読み替えられた法律第七十七号附則第十条第一項の規定を準用するときを含む。)及び第三項の規定の適用を受ける公団の役員若しくは職員であつた者又はその遺族の恩給の支払に充てる金額を、政令で定めるところにより、国庫又は地方公共団体に納付するものとする。
(国有土地等の管理)
第五十条 農林大臣は、公団に対し、政令で定めるところにより、その同意を得て、第十八条第一項第一号の区域内にある農地法第六十一条各号に掲げるもの(農地法施行法第六条第一項の規定により農地法第四十四条第一項の規定によつて買収したものとみなされるものを含む。)の管理を委託することができる。
2 公団が前項の規定による委託を受けたときは、その管理に要する費用は、公団の負担とする。この場合には、受託に係る同項に掲げるものの使用料は、公団の収入とする。
(他の法令の準用)
第五十一条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)、土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、公団を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。
第七章 罰則
第五十二条 公団が第四十六条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、その違反行為をした公団の役員又は職員を五万円以下の罰金に処する。
第五十三条 次の場合においては、その違反行為をした公団の役員又は職員を三万円以下の過料に処する。
一 この法律により認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第四条第一項の規定に違反して登記を怠つたとき。
三 第十八条に規定する業務以外の業務を行つたとき。
四 第二十一条第十三項の規定に違反して工事に着手したとき。
五 第四十条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
六 第四十五条第二項の規定による命令に違反したとき。
第五十四条 第五条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律の施行期日は、公布の日から起算して九十日をこえない範囲内で政令で定める。
(公団の設立)
第二条 農林大臣は、第九条第一項の例により、公団の総裁又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された総裁となるべき者は、第九条第二項の例により公団の副総裁又は理事となるべき者を指名する。
3 前二項の規定により指名された総裁、副総裁、理事又は監事となるべき者は、公団の設立の時において、この法律の規定により、それぞれ総裁、副総裁、理事又は監事に任命されたものとする。
第三条 農林大臣は、第二十条第一項の規定による事業基本計画の概要の公表をした後でなければ、前条第一項の規定による指名をしてはならない。
第四条 農林大臣は、設立委員を命じて、公団の設立に関する事務を処理させる。
第五条 設立委員は、公団の設立の準備を完了したときは、農林省令で定める手続に従い、その旨を農林大臣に届け出るとともに、その事務を附則第二条第一項の規定により指名された総裁となるべき者に引き継がなければならない。
第六条 附則第二条第一項の規定により指名された総裁となるべき者が前条の事務の引継を受けたときは、その引継を受けた日において、附則第二条第一項又は第二項の規定により指名された役員となるベき者の全員は、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第七条 公団は、設立の登記をすることによつて成立する。
第八条 公団の最初の事業年度は、第三十条の規定にかかわらず、その設立の日に始まり、昭和三十一年三月三十一日に終るものとする。
第九条 公団の最初の事業年度の予算については、第三十一条第一項中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「公団の成立後遅滞なく」と読み替えるものとする。
(登録税法の改正)
第十条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第一号ノ四の次に次の一号を加える。
一ノ五 愛知用水公団自己ノ為ニスル登記又ハ登録
(印紙税法の改正)
第十一条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号ノ五ノ二の次に次の一号を加える。
六ノ五ノ三 愛知用水公団ノ発スル証書、帳簿
(所得税法の改正)
第十二条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第四号の二の次に次の一号を加える。
四の三 愛知用水公団
(法人税法の改正)
第十三条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第二号中「日本住宅公団、」の下に「愛知用水公団、」を加える。
(農林省設置法の改正)
第十四条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第六条に次の二項を加える。
3 農地局に愛知用水公団監理官一人を置く。
4 愛知用水公団監理官は、命を受けて愛知用水公団の指導監督に関する事務を掌理する。
第九条第一項に次の一号を加える。
十四 愛知用水公団の指導監督を行うこと。
(地方税法の改正)
第十五条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二十五条第一号中「日本電信電話公社、」の下に「愛知用水公団、」を加える。
第七十二条の四第一項第二号中「日本住宅公団、」の下に「愛知用水公団、」を加える。
第七十三条の四第一項第一号、第二百九十六条第一号及び第三百四十八条第二項第二号中「日本電信電話公社、」の下に「愛知用水公団、」を加える。
(土地収用法の改正)
第十六条 土地収用法の一部を次のように改正する。
第三条第五号中「地方公共団体、」の下に「愛知用水公団、」を加える。
(国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律の改正)
第十七条 国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律(昭和二十八年法律第百六号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行、日本輸出入銀行又は愛知用水公団が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律
本則中「又は日本輸出入銀行」を「、日本輸出入銀行又は愛知用水公団」に改め、「第三条第一項」の下に「又は愛知用水公団法(昭和三十年法律第百四十一号)第三十五条第一項」を加える。
内閣総理大臣 鳩山一郎
大蔵大臣 一万田尚登
厚生大臣 川崎秀二
農林大臣 河野一郎
通商産業大臣 石橋湛山
建設大臣 竹山祐太郎
愛知用水公団法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十年八月六日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第百四十一号
愛知用水公団法
目次
第一章
総則(第一条―第六条)
第二章
役員及び職員(第七条―第十七条)
第三章
業務(第十八条―第二十九条)
第四章
財務及び会計(第三十条―第四十四条)
第五章
監督(第四十五条・第四十六条)
第六章
雑則(第四十七条―第五十一条)
第七章
罰則(第五十二条―第五十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 愛知用水公団は、木曽川水系の水資源を総合的に開発してその利用の高度化を図り、食糧その他農産物の生産の増進と農業経営の合理化に資するため、政府及び国際復興開発銀行から資金の融通を受け、大規模なかんがい排水施設の新設及び管理、開田、開畑等の事業を行うことを目的とする。
(法人格)
第二条 愛知用水公団(以下「公団」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 公団は、主たる事務所を名古屋市に置く。
2 公団は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(登記)
第四条 公団は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第五条 公団でない者は、愛知用水公団という名称又はこれに類似する名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第六条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)、第五十条(法人の住所)及び第五十四条(代表権の制限)の規定は、公団に準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第七条 公団に、役員として、総裁一人、副総裁一人、理事五人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第八条 総裁は、公団を代表し、その業務を総理する。
2 副総裁は、総裁の定めるところにより、公団を代表し、総裁を補佐して公団の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、総裁の定めるところにより、公団を代表し、総裁及び副総裁を補佐して公団の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行う。
4 監事は、公団の業務を監査する。
(役員の任命)
第九条 総裁及び監事は、農林大臣が任命する。
2 副総裁及び理事は、総裁が農林大臣の認可を受けて任命する。
(役員の任期)
第十条 役員の任期は、五年とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十一条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 国務大臣、国会議員、政府職員(人事院が指定する非常勤の者を除く。)又は地方公共団体の議会の議員
二 政党の役員
三 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者であつて公団と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
四 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
(役員の解任)
第十二条 農林大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 農林大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 総裁は、前項の規定によりその任命に係る役員を解任しようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十三条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又はみずから営利事業に従事してはならない。
(代表権の制限)
第十四条 公団と総裁、副総裁又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が公団を代表する。
(代理人の選任)
第十五条 総裁、副総裁及び理事は、公団の職員のうちから、公団の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第十六条 公団の職員は、総裁が任命する。
(役員及び職員の地位)
第十七条 役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務
(業務の範囲)
第十八条 公団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 長野県、岐阜県及び愛知県の区域のうち政令で定める区域内における次の事業を施行すること。
イ かんがい排水施設その他農地の保全又は利用上必要な施設の新設、廃止又は変更
ロ 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第六十一条各号に掲げる土地(農地法施行法(昭和二十七年法律第二百三十号)第六条第一項の規定により農地法第四十四条第一項の規定によつて買収したものとみなされる土地を含む。)についての開田又は開畑
二 前号の事業の施行によつて生じた施設についての災害復旧事業を施行すること。
三 前二号の事業の施行によつて生じた施設の管理を行うこと。
四 前三号の事業に附帯する事業を行うこと。
2 公団は、前項の業務のほか、次の業務を行うことができる。
一 委託を受けて農地の改良又は造成の工事を行うこと。
二 発電事業若しくは水道事業の用にもつぱら供する施設で前項第一号イ若しくは第二号の事業の施行によつて生ずる施設の一部と一体的に使用されるもの(以下「専用施設」という。)を新設し、及びこれによつて生ずる専用施設の貸付を行い、又は発電事業若しくは水道事業を行う者が専用施設を新設する場合に、その者に対し、これに必要な資金の供給を行うこと。
三 第五十条第一項の規定による委託を受けて前項第一号ロの土地(その土地の上にある立木竹及び工作物並びにその土地に関する権利を含む。)の管理を行うこと。
(事業実施計画及び施設管理規程)
第十九条 公団は、前条第一項第一号又は第二号の事業を施行しようとするときは、農林省令で定める手続に従い、事業実施計画を作成し、これを農林大臣に提出しなければならない。
2 前項の事業実施計画には、次の事項を記載しなければならない。
一 事業の目的及び要旨
二 事業の施行区域の所在
三 事業の施行によつて利益を受けるべき土地(以下「受益地」という。)の所在及び面積
四 受益地の現況
五 受益地の開発計画
六 主要工事計画及び附帯工事計画
七 工事の着手及び完了の予定時期
八 所要事業費及びその負担割合
九 事業の効果
十 発電事業及び水道事業との関係
十一 その他農林省令で定める事項
3 公団は、前条第一項第一号の事業に係る第一項の事業実施計画については、次条第一項の規定により指示された事業基本計画に基いて、これを作成しなければならない。
4 公団は、前条第一項第三号の事業を行おうとするときは、農林省令で定める手続に従い、施設管理規程を作成し、これを農林大臣に提出しなければならない。
5 前項の施設管理規程には、次の事項を定めなければならない。
一 管理する施設
二 管理の方法
三 施設の一部の管理を土地改良区に委託する場合にあつては、管理の委託に関する準則
四 管理費及びその負担割合
五 その他農林省令で定める事項
6 公団は、第一項の事業実施計画又は第四項の施設管理規程を作成しようとするときは、その事業実施計画又は施設管理規程について、関係県知事に協議しなければならない。
(事業基本計画)
第二十条 農林大臣は、政令で定めるところにより、第十八条第一項第一号の事業につき、事業基本計画を定め、その概要を公表するとともに、事業基本計画を公団に指示しなければならない。
2 前項の事業基本計画には、次の事項を記載しなければならない。
一 事業の施行区域に関する事項
二 受益地の区域、現況及び開発計画に関する事項
三 工事計画に関する事項
四 所要事業費及びその負担割合に関する事項
五 発電事業及び水道事業との関係に関する事項
六 その他政令で定める事項
3 農林大臣は、第一項の事業基本計画を定めようとするときは、大蔵大臣、厚生大臣、通商産業大臣、建設大臣、自治庁長官及び経済企画庁長官の同意を得なければならない。
(意見書の提出等)
第二十一条 農林大臣は、第十九条第一項又は第四項の規定による事業実施計画又は施設管理規程の提出があつたときは、政令で定めるところにより、その旨を公告するとともに、その事業実施計画又は施設管理規程を二十日間公衆の縦覧に供しなければならない。ただし、第十八条第一項第二号の事業で災害のため急速に行う必要があるものに係る事業実施計画については、公衆の縦覧に供することを要しない。
2 前項の規定により縦覧に供された事業実施計画又は施設管理規程について意見がある利害関係人(当該事業に係る土地又は土地に定着する物件の所有者、当該事業に係る水面につき漁業権又は入漁権を有する者その他これらの土地、物件又は権利に関し権利を有する者をいう。以下同じ。)は、同項の縦覧期間内に、公団に意見書を提出することができる。
3 公団は、前項の規定による意見書の提出があつたときは、農林省令で定める期間内に、その内容を審査し、その意見書に係る意見を採用すべきであると認めるときは、その必要の範囲内においてその事業実施計画又は施設管理規程を修正し、その旨をその意見書を提出した者に通知するとともにその修正に係る部分を記載した書面を農林大臣に提出し、その意見書に係る意見を採用すべきでないと認めるときは、その旨を理由を附した書面でその意見書を提出した者に通知するとともにその意見書に係る意見の概要及びその意見を採用すべきでないと認める理由を記載した書面を農林大臣に提出しなければならない。
4 公団は、第十八条第一項第一号の事業に係る事業実施計画について前項の規定による修正をする場合には、前条第一項の規定により指示された事業基本計画に違反しない範囲内でこれをしなければならない。
5 公団が第三項の規定により事業実施計画又は施設管理規程を修正しようとする場合には、第十九条第六項の規定を準用する。
6 公団は、第二項の場合において、同項の規定による意見書の提出がなかつたときは、遅滞なく、その旨を農林大臣に届け出なければならない。
7 第三項の規定によりその意見書に係る意見を採用すべきでないと認める旨の通知を受けた者及び第二項の規定による意見書を提出した者で第三項の農林省令で定める期間内に公団からその意見書に係る意見を採用するかどうかについての通知を受けなかつたものは、更に意見があるときは、農林省令で定める手続に従い、意見書を農林大臣に提出することができる。ただし、第三項の農林省令で定める期間満了後十五日を経過したときは、この限りでない。
8 農林大臣は、前項の規定による意見書の提出があつたときは、農林省令で定める期間内に、その内容を審査し、その意見書に係る意見を採用すべきであると認めるときは、公団に対しその事業実施計画又は施設管理規程に必要な修正を加えるべきことを指示するとともにその旨をその意見書を提出した者に通知し、その意見書に係る意見を採用すべきでないと認めるときは、その旨を理由を附した書面でその意見書を提出した者に通知するとともにその書面の写を公団に送付しなければならない。
9 農林大臣は、第七項の場合において、同項の規定による意見書の提出がなかつたときは、遅滞なく、その旨を公団に通知しなければならない。
10 公団が第三項又は第八項の規定により事業実施計画又は施設管理規程に必要な修正を加えたときは、その修正が当該事業に係る利害関係人の権利又は利益を侵害するおそれがないことが明らかである場合を除き、その修正に係る部分について更に第一項からこの項までに規定する手続を行うベきものとする。
11 農林大臣は、第十九条第一項又は第四項の規定により提出された事業実施計画又は施設管理規程について、第一項から前項までの規定により行うべき手続がすべて終了したときは、その旨を告示しなければならない。
12 公団は、第十八条第一項第一号イの事業で、これに係る事業実施計画においてその事業の施行によつて生ずべき施設の一部を発電事業又は水道事業を行う者に使用させる旨を定めたものについては、前項の規定による告示があつた後、その発電事業又は水道事業を行う者から、その者が当該施設の一部を使用する場合にはその事業実施計画に従つてこれを使用する旨の承諾を得なければならない。
13 公団は、第十八条第一項第一号又は第二号の事業については、その事業に係る事業実施計画につき第十一項の規定による告示があつた後(第二十一条第一項ただし書に規定する事業については同項本文の公告があつた後、前項に規定する事業については同項の承諾があつた後)でなければ、その事業実施計画による工事に着手してはならない。
(事業実施計画等の変更)
第二十二条 公団は、第十九条第一項の事業実施計画又は同条第四項の施設管理規程を変更しようとするときは、農林省令で定める手続に従い、その変更に係る部分を記載した書面を農林大臣に提出しなければならない。
2 公団は、第十八条第一項第一号の事業に係る事業実施計画の変更をする場合には、第二十条第一項の規定により指示された事業基本計画に違反しない範囲内でこれをしなければならない。
3 第一項の変更(政令で定める軽微な変更を除く。)については、第十九条第六項及び前条の規定を準用する。
(施設の使用、資金の供給等の認可)
第二十三条 公団は、発電事業又は水道事業を行う者に対し、第十八条第一項第一号イ若しくは第二号の事業の施行によつて生じた施設の一部を使用させようとするとき、又は同条第二項第二号に規定する資金の供給を行おうとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 農林大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、これに関する処分をしようとするときは、政令で定めるところにより、大蔵大臣及び厚生大臣、通商産業大臣、建設大臣又は自治庁長官の同意を得なければならない。
3 公団は、専用施設を新設し、又はその貸付を行おうとするときは、発電事業に係る専用施設の新設又は貸付にあつては農林大臣及び通商産業大臣の認可、水道事業に係る専用施設の新設又は貸付にあつては農林大臣及び政令で定めるところにより厚生大臣、通商産業大臣又は建設大臣の認可を受けなければならない。
(賦課金)
第二十四条 公団は、政令で定めるところにより、第十八条第一項第一号から第三号までの事業によつて利益を受ける者でその事業に係る受益地につき土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第三条に規定する資格を有するものその他農林大臣の指定するものに対し、その者の受ける利益を限度として、その事業に要する費用の全部又は一部を賦課徴収することができる。
2 前項に規定する者が当該事業に係る受益地の全部又は一部をその地区に含む土地改良区の組合員である場合には、公団は、その者に対する同項の規定による賦課徴収に代えて、その土地改良区に対し、当該賦課金の額に相当する額の金銭を賦課徴収することができる。
3 前二項の規定による賦課徴収の処分は、その処分に係る賦課金の納期限(分割して納入させる場合にあつては、最初に納入させる賦課金についての納期限)前九十日までに、しなければならない。
4 前項の処分を受けた者は、その処分について不服があるときは、公団に対してこれを申し立てることができる。ただし、その処分を受けた日から二十日を経過したときは、この限りでない。
5 公団は、前項の規定による不服の申立があつたときは、同項ただし書の期間満了後三十日以内にこれを決定しなければならない。
(強制徴収)
第二十五条 公団は、前条第一項又は第二項の規定による賦課金の納入義務者がその納期限までにその賦課金を納入しないときは、期限を指定して、これを督促しなければならない。
2 公団は、前項の規定により督促をするときは、納入義務者に対し督促状を発する。この場合において督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して二十日以上経過した日でなければならない。
3 前条第一項の規定による賦課金の納入義務者で第一項の規定による督促を受けたものがその指定の期限までにその賦課金及び第七項の延滞金を納入しないときは、市町村は、公団の請求により、地方税の滞納処分の例により、これを処分する。この場合には、公団は、その徴収金額の百分の四を市町村に交付しなければならない。
4 市町村が前項の請求を受けた日から一月以内にその処分に着手せず、又は三月以内にこれを終了しないときは、公団は、地方税の滞納処分の例により、農林大臣の認可を受けて、その処分をすることができる。
5 前条第二項の規定による賦課金の納入義務者で第一項の規定による督促を受けたものがその指定の期限までにその賦課金及び第七項の延滞金を納入しないときは、公団は、地方税の滞納処分の例により、農林大臣の認可を受けて、その処分をすることができる。
6 前三項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぎ、他の公課に先だつものとし、その時効については、地方税の例による。
7 公団は、第一項の規定により督促をしたときは、賦課金の額百円につき一日四銭の割合で、納期限の翌日からその完納又は財産差押の日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収する。ただし、農林省令で定める場合は、この限りでない。
(土地改良区の組合員に対する経費の賦課)
第二十六条 土地改良法第三十六条第一項、第二項及び第四項(経費の賦課)、第三十八条並びに第三十九条(賦課金の徴収)の規定については、第二十四条第二項の規定による賦課金を土地改良区の事業に要する経費とみなして、これらの規定を準用する。
(県の費用負担)
第二十七条 第十八条第一項第一号又は第二号の事業に係る受益地の全部又は一部をその区域に含む県は、政令で定めるところにより、その事業に要する費用の一部を負担金として公団に支払わなければならない。
(権利関係の調整)
第二十八条 公団が第十八条第一項第一号から第三号までの事業を行つた場合については、土地改良法第五十九条(償還すべき有益費)、第六十二条(地代等の増額請求)及び第六十五条(農地法の適用)の規定を準用する。この場合において、同法第五十九条及び第六十二条第一項中「土地改良事業」とあるのは「愛知用水公団が行う愛知用水公団法(昭和三十年法律第百四十一号)第十八条第一項第一号から第三号までの事業」と、同法第六十二条第一項中「組合員」とあるのは「愛知用水公団法第二十四条第一項の規定による賦課金を納入した者(同条第二項の規定による賦課金に充てるため土地改良区が同法第二十六条で準用する土地改良法第三十六条第一項の規定により賦課徴収する金銭を負担した組合員を含む。)」と読み替えるものとする。
(土地改良法の準用)
第二十九条 土地改良法第百十八条(測量、検査等の手続)、第百十九条(障害物の移転等)、第百二十一条(急迫の際の使用等)、第百二十二条第一項及び第二項(損失補償)並びに第百二十三条(補償金等の供託)の規定については、公団を国とみなし、公団が行う第十八条第一項各号の事業を土地改良事業とみなして、これらの規定を準用する。この場合において、同法第百二十二条第二項中「第十条第三項、第四十八条第五項(第九十五条の二第三項及び第九十六条の三において準用する場合を含む。)、第八十七条第三項(第八十七条の二第四項及び第八十七条の三第二項において準用する場合を含む。)、第九十五条第四項、第九十六条の二第五項、第九十八条第九項又は第九十九条第十一項の規定による公告」とあるのは、「愛知用水公団法第二十一条第一項(同法第二十二条第三項において準用する場合及び同法第二十一条第十項の規定により同法第二十一条第一項に規定する手続を行う場合を含む。)の規定による公告」と読み替えるものとする。
第四章 財務及び会計
(事業年度)
第三十条 公団の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
(予算等の認可)
第三十一条 公団は、毎事業年度、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 公団は、前項の規定による認可を申請する場合には、当該事業年度の業務計画その他予算及び資金計画の参考となる事項に関する書類を認可申請書に添えなければならない。
(決算)
第三十二条 公団は、毎事業年度の決算を翌年度の七月三十一日までに完結しなければならない。
(財務諸表)
第三十三条 公団は、毎事業年度、農林省令で定めるところにより、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後二月以内に農林大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 公団は、前項の規定により財務諸表を農林大臣に提出するときは、これに予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。
3 公団は、第一項の規定による農林大臣の承認を受けた財務諸表を各事務所に備えて置かなければならない。
(借入金)
第三十四条 公団は、農林大臣の認可を受けて、政府又は国際復興開発銀行以外の金融機関から長期借入金又は短期借入金をすることができる。
2 公団は、国際復興開発銀行から長期借入金をすることができる。
3 第一項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、農林大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
4 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(債券の発行)
第三十五条 公団は、その国際復興開発銀行からの外貨資金の借入契約に基き債券を引き渡す必要があるときは、政令で定めるところにより、その借入金額を限り債券を発行することができる。
2 外資に関する法律(昭和二十五年法律第百六十三号)第三条に規定する外国投資家が前項の債券を譲り受けたときは、当該債券に係る貸付金債権について同法第十三条の二の規定による大蔵大臣の指定を受けたものとみなして、同法の規定を適用する。
(政府からの貸付)
第三十六条 政府は、公団に対して長期又は短期の資金の貸付をすることができる。
(政府の保証)
第三十七条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、公団が昭和三十六年三月三十一日までに国際復興開発銀行と締結する外貨資金の借入契約に基き外貨で支払わなければならない債務について、一定の金額を限度として、保証契約をすることができる。
2 前項の一定の金額は、七十一億六千万円を同項の借入契約の締結の時における基準外国為替相場(外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第七条第一項の基準外国為替相場をいう。)により換算してアメリカ合衆国通貨をもつて表示した額又はその額を政令で定めるところにより換算してアメリカ合衆国通貨以外の外国通貨をもつて表示した額とする。
(償還計画)
第三十八条 公団は、毎事業年度、長期借入金の償還計画をたてて、農林大臣の認可を受けなければならない。
(補助金)
第三十九条 政府は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、公団に対し、次に掲げる経費の一部を補助することができる。
一 第十八条第一項第一号の事業に係る事業費
二 第十八条第一項第一号又は第二号の事業の施行によつて生じた施設で公団がみずから管理を行うものについての同項第二号の事業に係る事業費
(余裕金の運用)
第四十条 公団は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債及び農林大臣の指定するその他の有価証券の取得
二 農林中央金庫及び農林大臣の指定するその他の金融機関への預金又は郵便貯金
(財産の処分等の制限)
第四十一条 公団は、その所有する不動産その他政令で定める重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。
(規程)
第四十二条 公団は、業務開始の際、次の事項について規程を定めなければならない。
一 会計に関する事項
二 役員及び職員の給与及び退職手当に関する事項
2 公団は、前項の事項について規程を定めようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(大蔵大臣に対する協議)
第四十三条 農林大臣は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第三十一条第一項、第三十四条第一項若しくは第三項ただし書、第三十八条、第四十一条又は前条第二項の規定による認可をしようとするとき。
二 第三十三条第一項の規定による承認をしようとするとき。
三 第四十条第一号又は第二号の規定による指定をしようとするとき。
四 次条の規定により農林省令を定めようとするとき。
(農林省令への委任)
第四十四条 この法律及びこれに基く政令に規定するもののほか、公団の財務及び会計に関し必要な事項は、農林省令で定める。
第五章 監督
(監督)
第四十五条 公団は、農林大臣(発電事業に係る専用施設の新設及び貸付に係る事項については農林大臣及び通商産業大臣、水道事業に係る専用施設の新設及び貸付に係る事項については農林大臣及び政令で定めるところにより厚生大臣、通商産業大臣又は建設大臣。以下この章において同じ。)が監督する。
2 農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公団に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第四十六条 農林大臣は、必要があると認めるときは、公団に対して業務及び資産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に公団の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第六章 雑則
(解散)
第四十七条 公団の解散については、別に法律で定める。
(恩給)
第四十八条 恩給法(大正十二年法律第四十八号)第十九条に規定する公務員(以下この条において「公務員」という。)又は同法同条に規定する公務員とみなされる者(以下この条において「公務員とみなされる者」という。)が引き続いて公団の役員又は職員となつたときは、恩給法の一部を改正する法律(昭和二十二年法律第七十七号)(以下「法律第七十七号」という。)附則第十条又は恩給法の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第百五十五号)(以下「法律第百五十五号」という。)附則第四十条の規定の適用については、法律第七十七号附則第十条第一項中「引き続いて公務員又は公務員とみなされる者として在職し」とあるのは「引き続いて公務員若しくは公務員とみなされる者又は愛知用水公団の役員若しくは職員として在職し」と、法律第百五十五号附則第四十条第一項中「引き続いて地方事務官又は地方技官として在職し」とあるのは「引き続いて地方事務官若しくは地方技官又は愛知用水公団の役員若しくは職員として在職し」と読み替えるものとする。
2 他の法律の規定において法律第七十七号附則第十条の規定を準用するときは、前項の規定により読み替えられた同条第一項の規定を準用するものとする。
3 公団の設立の際現に公務員又は公務員とみなされる者として在職する者が、引き続いて公団の役員又は職員となり、更に引き続いて公務員又は公務員とみなされる者となつたとき(公団の設立の際現に公務員又は公務員とみなされる者として在職する者が引き続いて公務員又は公務員とみなされる者として在職し、更に引き続いて公団の役員又は職員となり、更に引き続いて公務員又は公務員とみなされる者となつたときを含む。)は、その公務員又は公務員とみなされる者に給すべき普通恩給については、当該公団の役員又は職員としての在職年月数を公務員又は公務員とみなされる者としての在職年月数に通算する。
4 第一項(他の法律の規定において第一項の規定により読み替えられた法律第七十七号附則第十条第一項の規定を準用するときを含む。)及び前項の規定は、公団の役員又は職員となるまでの公務員又は公務員とみなされる者としての在職年が普通恩給についての最短恩給年限に達する者については、適用しないものとする。
5 第三項の規定の適用を受ける者についての恩給法第六十四条ノ二(再就職の場合の普通恩給)の規定の適用又は準用については、公団の役員又は職員としての就職を再就職とみなす。
第四十九条 公団は、前条第一項(他の法律の規定において同条同項の規定により読み替えられた法律第七十七号附則第十条第一項の規定を準用するときを含む。)及び第三項の規定の適用を受ける公団の役員若しくは職員であつた者又はその遺族の恩給の支払に充てる金額を、政令で定めるところにより、国庫又は地方公共団体に納付するものとする。
(国有土地等の管理)
第五十条 農林大臣は、公団に対し、政令で定めるところにより、その同意を得て、第十八条第一項第一号の区域内にある農地法第六十一条各号に掲げるもの(農地法施行法第六条第一項の規定により農地法第四十四条第一項の規定によつて買収したものとみなされるものを含む。)の管理を委託することができる。
2 公団が前項の規定による委託を受けたときは、その管理に要する費用は、公団の負担とする。この場合には、受託に係る同項に掲げるものの使用料は、公団の収入とする。
(他の法令の準用)
第五十一条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)、土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、公団を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。
第七章 罰則
第五十二条 公団が第四十六条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、その違反行為をした公団の役員又は職員を五万円以下の罰金に処する。
第五十三条 次の場合においては、その違反行為をした公団の役員又は職員を三万円以下の過料に処する。
一 この法律により認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第四条第一項の規定に違反して登記を怠つたとき。
三 第十八条に規定する業務以外の業務を行つたとき。
四 第二十一条第十三項の規定に違反して工事に着手したとき。
五 第四十条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
六 第四十五条第二項の規定による命令に違反したとき。
第五十四条 第五条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律の施行期日は、公布の日から起算して九十日をこえない範囲内で政令で定める。
(公団の設立)
第二条 農林大臣は、第九条第一項の例により、公団の総裁又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された総裁となるべき者は、第九条第二項の例により公団の副総裁又は理事となるべき者を指名する。
3 前二項の規定により指名された総裁、副総裁、理事又は監事となるべき者は、公団の設立の時において、この法律の規定により、それぞれ総裁、副総裁、理事又は監事に任命されたものとする。
第三条 農林大臣は、第二十条第一項の規定による事業基本計画の概要の公表をした後でなければ、前条第一項の規定による指名をしてはならない。
第四条 農林大臣は、設立委員を命じて、公団の設立に関する事務を処理させる。
第五条 設立委員は、公団の設立の準備を完了したときは、農林省令で定める手続に従い、その旨を農林大臣に届け出るとともに、その事務を附則第二条第一項の規定により指名された総裁となるべき者に引き継がなければならない。
第六条 附則第二条第一項の規定により指名された総裁となるべき者が前条の事務の引継を受けたときは、その引継を受けた日において、附則第二条第一項又は第二項の規定により指名された役員となるベき者の全員は、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第七条 公団は、設立の登記をすることによつて成立する。
第八条 公団の最初の事業年度は、第三十条の規定にかかわらず、その設立の日に始まり、昭和三十一年三月三十一日に終るものとする。
第九条 公団の最初の事業年度の予算については、第三十一条第一項中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「公団の成立後遅滞なく」と読み替えるものとする。
(登録税法の改正)
第十条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第一号ノ四の次に次の一号を加える。
一ノ五 愛知用水公団自己ノ為ニスル登記又ハ登録
(印紙税法の改正)
第十一条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号ノ五ノ二の次に次の一号を加える。
六ノ五ノ三 愛知用水公団ノ発スル証書、帳簿
(所得税法の改正)
第十二条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第四号の二の次に次の一号を加える。
四の三 愛知用水公団
(法人税法の改正)
第十三条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第二号中「日本住宅公団、」の下に「愛知用水公団、」を加える。
(農林省設置法の改正)
第十四条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第六条に次の二項を加える。
3 農地局に愛知用水公団監理官一人を置く。
4 愛知用水公団監理官は、命を受けて愛知用水公団の指導監督に関する事務を掌理する。
第九条第一項に次の一号を加える。
十四 愛知用水公団の指導監督を行うこと。
(地方税法の改正)
第十五条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二十五条第一号中「日本電信電話公社、」の下に「愛知用水公団、」を加える。
第七十二条の四第一項第二号中「日本住宅公団、」の下に「愛知用水公団、」を加える。
第七十三条の四第一項第一号、第二百九十六条第一号及び第三百四十八条第二項第二号中「日本電信電話公社、」の下に「愛知用水公団、」を加える。
(土地収用法の改正)
第十六条 土地収用法の一部を次のように改正する。
第三条第五号中「地方公共団体、」の下に「愛知用水公団、」を加える。
(国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律の改正)
第十七条 国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行又は日本輸出入銀行が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律(昭和二十八年法律第百六号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行、日本輸出入銀行又は愛知用水公団が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律
本則中「又は日本輸出入銀行」を「、日本輸出入銀行又は愛知用水公団」に改め、「第三条第一項」の下に「又は愛知用水公団法(昭和三十年法律第百四十一号)第三十五条第一項」を加える。
内閣総理大臣 鳩山一郎
大蔵大臣 一万田尚登
厚生大臣 川崎秀二
農林大臣 河野一郎
通商産業大臣 石橋湛山
建設大臣 竹山祐太郎