(積立て)
第四条 鉱業権者又は租鉱権者は、毎年度、その鉱区又は租鉱区について第四項又は第五項の規定により通商産業局長が算定する額の金銭(以下「鉱害賠償積立金」という。)の積立てをしなければならない。
2 前項の積立ては、通商産業省令で定めるところにより、鉱害賠償基金(以下「基金」という。)にしなければならない。
4 鉱業権者の鉱害賠償積立金の額は、当該鉱区に関する鉱害(この法律の施行前に行なわれた作業によるものを除く。以下この章において同じ。)であつて、第一号(当該年度開始前に鉱業権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。以下この条から第七条までにおいて同じ。)があつた場合にあつては、第二号)に掲げる鉱害に相当するもののうち、第三号から第五号まで(当該鉱区に租鉱権の設定があつた場合にあつては、第三号から第六号まで)に掲げる鉱害に相当するもの以外のもの(当該年度開始後に鉱業権の移転があつた場合における鉱業権者の承継人にあつては、その移転の日以後に発生することが予想される当該鉱区に関する鉱害(当該鉱区に租鉱権が設定されている場合にあつては、当該租鉱権者の当該年度の鉱害賠償積立金の額の算定の基礎となつた鉱害に相当するものを除く。))を基礎とし、通商産業大臣の定める基準に従い、その鉱害の賠償に要する費用の額の二分の一をこえない範囲内において通商産業局長が算定して通知する額とする。
一 当該年度開始前に発生した鉱害及び当該年度開始後に発生することが予想される鉱害
二 最近の鉱業権の移転の日以後当該年度開始前に発生した鉱害及び当該年度開始後に発生することが予想される鉱害
三 鉱業権者の当該年度開始前の鉱害賠償積立金の額の算定の基礎となつた鉱害(次号及び第五号(当該鉱区に租鉱権の設定があつた場合にあつては、次号から第六号まで)に掲げる鉱害に相当するものを除く。)
四 当該年度開始前に賠償債務が消滅した鉱害(当該鉱害に係る賠償請求権が時効により消滅したものを含み、次号(当該鉱区に租鉱権の設定があつた場合にあつては、次号及び第六号)に掲げる鉱害に相当するものを除く。)
五 臨時石炭鉱害復旧法(昭和二十七年法律第二百九十五号)第二条第二項に規定する復旧工事(以下「復旧工事」という。)であつて当該年度開始前に完了したものにより復旧された鉱害(当該鉱区に租鉱権の設定があつた場合にあつては、次号に掲げる鉱害に相当するものを除く。)
六 当該鉱区に設定された租鉱権の租鉱権者の当該年度開始前の鉱害賠償積立金の額の算定の基礎となつた鉱害及び当該年度の鉱害賠償積立金の額の算定の基礎となる鉱害(当該租鉱権の消滅(鉱区の減少による場合を除く。)があつた場合にあつては、その消滅の日以後に発生し、又は発生することが予想されるものを除く。)
5 租鉱権者の鉱害賠償積立金の額は、当該租鉱区に関する鉱害であつて、前項第一号に掲げる鉱害に相当するもののうち、租鉱権者の当該年度開始前の鉱害賠償積立金の額の算定の基礎となつた鉱害(同項第四号及び第五号に掲げる鉱害に相当するものを除く。)並びに同項第四号及び第五号に掲げる鉱害に相当するもの以外のもの(当該年度開始後に租鉱権の設定があつた場合における租鉱権者にあつては、その設定の日以後に発生することが予想される当該租鉱区に関する鉱害)を基礎とし、通商産業大臣の定める基準に従い、その鉱害の賠償に要する費用の額の二分の一をこえない範囲内において通商産業局長が算定して通知する額とする。
(被害者の弁済を受ける権利)
第五条 鉱害に係る被害者は、鉱害賠償請求権に関し、当該鉱区又は租鉱区に係る鉱害賠償積立金であつて基金に積み立てられたもの(次条第一項から第三項までの規定により取りもどすことができる額に相当するものを除く。)につき、他の債権者に優先して弁済を受ける権利を有する。
2 前項の権利の実行に関する手続は、政令で定める。
(取りもどし)
第六条 鉱業権者又は鉱業権の消滅若しくは移転により鉱業権者でなくなつた者は、その積み立てている鉱害賠償積立金の残額が、当該鉱区に関する鉱害であつて、第一号(鉱業権の移転により鉱業権者でなくなつた者にあつては、第二号)に掲げる鉱害に相当するもののうち、第三号及び第四号(当該鉱区に租鉱権の設定があつた場合にあつては、第三号から第五号まで)に掲げる鉱害に相当するもの以外のものを基礎とし、第四条第四項の規定による鉱害賠償積立金の額の算定の例により、通商産業局長が算定する金額をこえる場合は、そのこえる金額に相当する額の鉱害賠償積立金を取りもどすことができる。
一 当該年度開始前(当該鉱業権が移転により取得されたものである場合にあつては、その取得の日以後当該年度開始前)に発生した鉱害及び当該年度開始後に発生することが予想される鉱害
二 鉱業権者でなくなつた日の前日まで(当該鉱業権が移転により取得されたものである場合にあつては、その取得の日以後鉱業権者でなくなつた日の前日まで)に発生した鉱害
三 当該年度開始前(鉱業権の移転により鉱業権者でなくなつた者にあつては、鉱業権者でなくなつた日の前日まで。以下次号において同じ。)に賠償債務が消滅した鉱害(当該鉱害に係る賠償請求権が時効により消滅したものを含み、次号(当該鉱区に租鉱権の設定があつた場合にあつては、次号及び第五号)に掲げる鉱害に相当するものを除く。)
四 復旧工事であつて当該年度開始前に完了したものにより復旧された鉱害(当該鉱区に租鉱権の設定があつた場合にあつては、次号に掲げる鉱害に相当するものを除く。)
2 租鉱権者又は鉱業権の消滅若しくは鉱区の減少による租鉱権の消滅により租鉱権者でなくなつた者は、その積み立てている鉱害賠償積立金の残額が、当該租鉱区に関する鉱害であつて、第四条第四項第一号に掲げる鉱害に相当するもののうち、同項第四号及び第五号に掲げる鉱害に相当するもの以外のものを基礎とし、同条第五項の規定による鉱害賠償積立金の額の算定の例により、通商産業局長が算定する金額をこえる場合は、そのこえる金額に相当する額の鉱害賠償積立金を取りもどすことができる。
3 租鉱権の消滅(鉱業権の消滅又は鉱区の減少による場合を除く。以下同じ。)により租鉱権者でなくなつた者は、その積み立てている鉱害賠償積立金の残額が、当該租鉱区に関する鉱害であつて、その消滅の日までに発生したもののうち、第四条第四項第四号及び第五号に掲げる鉱害に相当するもの以外のものを基礎とし、同条第五項の規定による鉱害賠償積立金の額の算定の例により、通商産業局長が算定する金額をこえる場合は、そのこえる金額に相当する額の鉱害賠償積立金を取りもどすことができる。
4 第四条第一項の積立てをした者は、前三項の規定により鉱害賠償積立金を取りもどすことができる場合を除き、その鉱害賠償積立金を取りもどすことができない。
5 第一項から第三項までの規定により鉱害賠償積立金を取りもどそうとする者は、基金に対して払渡しの請求をしなければならない。
(権利の承継等)
第七条 鉱業権の移転若しくは租鉱権の設定又は租鉱権の消滅があつた場合において、鉱業権の移転により鉱業権者となつた者若しくは租鉱権者又は租鉱権の消滅に係る鉱区の鉱業権者が、前条第一項又は第三項の規定により鉱業権の移転により鉱業権者でなくなつた者若しくは租鉱権の設定に係る鉱区の鉱業権者又は租鉱権の消滅により租鉱権者でなくなつた者が取りもどすことができる鉱害賠償積立金に関する権利を承継することにつきこれらの者の同意を得て、通商産業省令で定めるところにより通商産業局長に届出をしたときは、その鉱害賠償積立金は、その届出をした者が第四条第一項の規定により積立てをしたものとみなす。
第八条 鉱害賠償積立金に関する権利義務は、相続その他の一般承継があつたときは、鉱業権又は租鉱権とともに移転する。
(鉱業権の取消し等)
第九条 通商産業局長は、第四条第一項の積立てをしなければならない採掘権者又は租鉱権者が鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)第六十三条第二項(同法第八十七条において準用する場合を含む。)の規定による施業案の認可又はその変更の認可の申請をした場合において、当該採掘権者又は租鉱権者がその積立てをしていないときは、当該採掘鉱区又は租鉱区について同項の認可をしてはならない。
2 通商産業局長は、第四条第一項の積立てをしなければならない鉱業権者又は租鉱権者がその積立てをしていないときは、当該鉱区又は租鉱区について、その事業の停止を命じ、又は鉱業権若しくは租鉱権を取り消すことができる。
3 鉱業法第四十条(命令の手続)の規定は、前項の規定による取消しに準用する。
(鉱業法の適用除外)
第十条 鉱業法第六章第二節(担保の供託)の規定は、鉱業権者及び租鉱権者並びにこの法律の施行後に鉱業権者でなくなつた者及び租鉱権者でなくなつた者については、適用しない。
(利息)
第十一条 基金は、通商産業省令で定めるところにより、鉱害賠償積立金に利息を付さなければならない。