高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第八十六号
公布年月日: 平成14年7月12日
法令の形式: 法律
高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
国事行為臨時代行名
平成十四年七月十二日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第八十六号
高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律
高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(平成六年法律第四十四号)の一部を次のように改正する。
目次を次のように改める。
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
特定建築物の建築等における義務等(第三条―第五条)
第三章
特定建築物の建築等及び維持保全の計画の認定(第六条―第十三条)
第四章
雑則(第十四条―第十八条)
第五章
罰則(第十九条―第二十二条)
附則
第一条中「高齢者で日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受けるもの、身体障害者その他日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者」を「高齢者、身体障害者等」に改める。
「第二章 特定建築物に係る措置等」を削る。
第二条を次のように改める。
(定義)
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 高齢者、身体障害者等 高齢者で日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受けるもの、身体障害者その他日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者をいう。
二 特定建築物 学校、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、ホテル、事務所、共同住宅、老人ホームその他の多数の者が利用する政令で定める建築物又はその部分をいい、これらに附属する特定施設を含むものとする。
三 特別特定建築物 不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、身体障害者等が利用する特定建築物で、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できるようにすることが特に必要なものとして政令で定めるものをいう。
四 特定施設 出入口、廊下、階段、昇降機、便所、敷地内の通路その他の政令で定める施設をいう。
五 建築 建築物を新築し、増築し、又は改築することをいう。
六 所管行政庁 建築主事を置く市町村又は特別区の区域については当該市町村又は特別区の長をいい、その他の市町村又は特別区の区域については都道府県知事をいう。ただし、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第九十七条の二第一項又は第九十七条の三第一項の規定により建築主事を置く市町村又は特別区の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事とする。
第二条の次に次の章名を付する。
第二章 特定建築物の建築等における義務等
第三条を次のように改める。
(特別特定建築物の建築等における基準適合義務等)
第三条 特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む。以下この条において同じ。)をしようとする者は、当該特別特定建築物を、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できるようにするために必要な政令で定める特定施設の構造及び配置に関する基準(以下「利用円滑化基準」という。)に適合させなければならない。当該建築をした特別特定建築物の維持保全をする者についても、同様とする。
2 地方公共団体は、その地方の自然的社会的条件の特殊性により、前項の規定のみによっては、高齢者、身体障害者等が特定建築物を円滑に利用できるようにする目的を十分に達し難いと認める場合においては、特別特定建築物に条例で定める特定建築物を追加し、同項の建築の規模を条例で同項の政令で定める規模未満で別に定め、又は利用円滑化基準に条例で必要な事項を付加することができる。
3 前二項の規定は、建築基準法第六条第一項に規定する建築基準関係規定とみなす。
第四条の見出しを「(特別特定建築物に対する基準適合命令等)」に改め、同条第一項及び第二項を次のように改める。
所管行政庁は、前条第一項又は第二項の規定に違反している事実があると認めるときは、特別特定建築物(同項の条例で定める特定建築物を含む。以下この条において同じ。)の建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む。以下この条において同じ。)又は維持保全をする者に対して、相当の猶予期限を付けて、同条第一項又は第二項の規定に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
2 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の特別特定建築物については、前項の規定は、適用しない。この場合において、所管行政庁は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の特別特定建築物が前条第一項又は第二項の規定に違反している事実があると認めるときは、直ちに、その旨を当該特別特定建築物を管理する機関の長に通知し、前項に規定する措置をとるべきことを要請しなければならない。
第四条第三項中「都道府県知事は、前項」を「所管行政庁は、前二項」に、「特定建築主に対し、特定建築物の設計及び施工に係る事項」を「特別特定建築物の建築若しくは維持保全をする者に対し、特別特定建築物の利用円滑化基準(前条第二項の条例で付加した事項を含む。次条において同じ。)への適合に関する事項」に、「特定建築物若しくは特定建築物の」を「特別特定建築物若しくはその」に、「、特定建築物、」を「、特別特定建築物、」に改める。
第十九条中「前二条」を「前三条」に改め、同条を第二十二条とする。
第十八条中「第七条」を「第十条」に改め、同条を第二十一条とし、同条の前に次の二条を加える。
第十九条 第四条第一項の規定による命令に違反した者は、百万円以下の罰金に処する。
第二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第四条第三項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
二 第九条第二項の規定に違反した者
第十七条の前の見出し及び同条を削る。
第四章を第五章とする。
第十六条を削り、第十五条を第十八条とし、第十四条を第十七条とし、第十三条を第十六条とし、第十二条の見出し中「延べ面積の敷地面積に対する割合」を「容積率」に改め、同条中「必要」を「有効」に改め、同条を第十五条とする。
「第三章 雑則」を削る。
第十一条第一項中「特定行政庁(建築基準法第二条第三十二号に規定する特定行政庁をいう。次項において同じ。)」を「所管行政庁」に、「同法」を「建築基準法」に改め、同条第二項中「特定行政庁」を「所管行政庁」に改め、同条を第十四条とする。
第十条を第十三条とし、同条の次に次の章名を付する。
第四章 雑則
第九条中「都道府県知事」を「所管行政庁」に改め、同条を第十二条とする。
第八条中「都道府県知事」を「所管行政庁」に、「の建築」を「の建築等」に改め、同条を第十一条とする。
第七条中「都道府県知事」を「所管行政庁」に、「計画の認定を受けた計画(前条第一項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。次条において同じ。)に係る特定建築物(以下「認定建築物」という。)の建築」を「認定建築物の建築等」に改め、同条を第十条とする。
第六条第一項中「都道府県知事」を「所管行政庁」に改め、同条を第七条とし、同条の次に次の二条を加える。
(認定建築物の容積率の特例)
第八条 建築基準法第五十二条第一項、第二項、第六項、第十一項及び第十三項、第五十二条の二第三項第二号、第五十二条の三第二項、第五十九条第一項及び第三項、第五十九条の二第一項、第六十条第一項、第六十条の二第一項及び第四項、第六十八条の三第一項、第六十八条の四、第六十八条の五(第一号イを除く。)、第六十八条の五の二第一項(第一号ロを除く。)、第六十八条の五の三(第一号ロを除く。)、第六十八条の五の四第一項第一号ロ、第六十八条の八、第六十八条の九、第八十六条第三項及び第四項、第八十六条の二第二項及び第三項、第八十六条の五第三項並びに第八十六条の六第一項に規定する建築物の容積率(同法第五十九条第一項、第六十条の二第一項及び第六十八条の九に規定するものについては、これらの規定に規定する建築物の容積率の最高限度に係る場合に限る。)の算定の基礎となる延べ面積には、同法第五十二条第三項及び第五項に定めるもののほか、計画の認定を受けた計画(第七条第一項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。第十一条において同じ。)に係る特定建築物(以下「認定建築物」という。)の特定施設の床面積のうち、通常の建築物の特定施設の床面積を超えることとなるもので政令で定める床面積は、算入しないものとする。
(表示等)
第九条 認定事業者は、認定建築物の建築等をしたときは、当該認定建築物、その敷地又はその利用に関する広告その他の国土交通省令で定めるもの(次項において「広告等」という。)に、国土交通省令で定めるところにより、当該認定建築物が計画の認定を受けている旨の表示を付することができる。
2 何人も、前項の規定による場合を除くほか、建築物、その敷地又はその利用に関する広告等に、同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。
第五条第一項中「特定建築主」を「特定建築物の建築、修繕又は模様替(修繕又は模様替にあっては、特定施設に係るものに限る。以下「建築等」という。)をしようとする者」に、「の建築」を「の建築等」に、「都道府県知事」を「所管行政庁」に改め、同条第二項第三号中「特定建築物に設ける」を「計画に係る」に改め、同項第四号中「の建築」を「の建築等」に改め、同条第三項を次のように改める。
3 所管行政庁は、第一項の申請があった場合において、当該申請に係る特定建築物の建築等及び維持保全の計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、認定(以下「計画の認定」という。)をすることができる。
一 前項第三号に掲げる事項が、利用円滑化基準を超え、かつ、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できるようにするために誘導すべき国土交通省令で定める特定施設の構造及び配置に関する基準(以下「利用円滑化誘導基準」という。)に適合すること。
二 前項第四号に掲げる資金計画が、特定建築物の建築等の事業を確実に遂行するため適切なものであること。
第五条第四項中「都道府県知事」を「所管行政庁」に改め、「(昭和二十五年法律第二百一号)」を削り、「建築の」を「建築等の」に改め、同条第五項中「都道府県知事」を「所管行政庁」に、「の建築」を「の建築等」に改め、同条第六項に後段として次のように加える。
この場合においては、建築主事は、申請に係る特定建築物の建築等の計画が第三条第一項の規定に適合するかどうかを審査することを要しないものとする。
第五条第七項中「都道府県知事」を「所管行政庁」に、「の建築」を「の建築等」に改め、同条を第六条とする。
第四条の次に次の一条及び章名を加える。
(特定建築物の建築等における努力義務等)
第五条 特定建築物の建築(用途の変更をして特定建築物にすることを含む。以下同じ。)をしようとする者(第三条第一項前段又は第二項の規定が適用される者を除く。)は、当該特定建築物を利用円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 特定建築物の特定施設の修繕又は模様替をしようとする者(第三条第一項後段又は第二項の規定が適用される者を除く。)は、当該特定施設を利用円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 所管行政庁は、特定建築物について前二項に規定する措置の適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、前二項に規定する者に対し、利用円滑化基準を勘案して、特定建築物又はその特定施設の設計及び施工に係る事項について必要な指導及び助言をすることができる。
第三章 特定建築物の建築等及び維持保全の計画の認定
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現にこの法律による改正後の高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(以下「新法」という。)第三条第一項の政令で定める規模(同条第二項の条例で別に定める規模を含む。)以上の建築(第三項において単に「建築」という。)又は修繕若しくは模様替の工事中の特別特定建築物(同条第二項の条例で定める特定建築物を含む。第三項において同じ。)については、同条第一項及び第二項の規定は、適用しない。
2 この法律の施行の際現に存する特別特定建築物で、政令で指定する類似の用途相互間における用途の変更をするものについては、新法第三条第一項の規定は、適用しない。
3 新法第四条の規定は、この法律の施行後(第一項に規定する特別特定建築物については、同項に規定する工事が完了した後)に建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む。以下この項において同じ。)をした特別特定建築物について適用し、この法律の施行前に建築をした特別特定建築物については、なお従前の例による。
4 新法第六条及び第七条の規定は、この法律の施行後に新法第六条第一項又は第七条第一項の規定により申請があった認定の手続について適用し、この法律の施行前にこの法律による改正前の高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(以下「旧法」という。)第五条第一項又は第六条第一項の規定により申請があった認定の手続については、なお従前の例による。
5 この法律の施行前にされた旧法第五条第三項又は第六条第一項の規定による認定及び前項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における認定は、新法第六条第三項又は第七条第一項の規定によりされた認定とみなす。
6 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(地方税法の一部改正)
第三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
附則第三十二条の四第七項中「第六条第一項」を「第七条第一項」に、「第七条」を「第八条」に、「第五条第三項」を「第六条第三項」に、「第二条」を「第二条第四号」に改める。
総務大臣 片山虎之助
国土交通大臣 林寛子
内閣総理大臣 小泉純一郎