(保障契約の締結強制)
第十三条 日本国籍を有する船舶は、これについてこの法律で定める油濁損害賠償保障契約(以下「保障契約」という。)が締結されているものでなければ、二千トンを超えるばら積みの油の輸送の用に供してはならない。
2 前項に規定する船舶以外の船舶は、これについて保障契約が締結されているものでなければ、二千トンを超えるばら積みの油を積載して、本邦内の港に入港し、本邦内の港を出港し、又は本邦内の係留施設を使用してはならない。
(保障契約)
第十四条 保障契約は、船舶(二千トン以下のばら積みの油の輸送の用に供する船舶を除く。)の船舶所有者が当該船舶に積載されていた油による油濁損害の賠償の責めに任ずる場合において、その賠償の義務の履行により当該船舶所有者に生ずる損害をてん補する保険契約又はその賠償の義務の履行を担保する契約とする。
2 保障契約は、当該契約において船舶所有者の損害をてん補し、又は賠償の義務の履行を担保する者が船主相互保険組合、保険会社その他の政令で定める者であるものでなければならない。
3 保障契約は、当該契約において船舶所有者の損害をてん補するための保険金額又は賠償の義務の履行が担保されている油濁損害の額が当該契約に係る船舶ごとに当該船舶所有者の責任限度額に満たないものであつてはならない。
4 保障契約は、責任条約第七条第五項の規定に適合する場合に限り、その効力を失わせ、又はその内容を変更することができるものでなければならない。
(保険者等に対する損害賠償額の請求等)
第十五条 第三条第一項又は第二項の規定による船舶所有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、保険者等に対し、損害賠償額の支払を請求することができる。ただし、船舶所有者の悪意によつてその損害が生じたときは、この限りでない。
2 前項本文の場合において、保険者等は、船舶所有者が被害者に対して主張することができる抗弁のみをもつて被害者に対抗することができる。
3 第三条第五項、第五条第一項本文及び第六条から第十条までの規定は、第一項の規定に基づき損害賠償額の支払をする保険者等について準用する。
(保険者等に対する油濁損害賠償請求事件の管轄)
第十六条 前条第一項の規定に基づく保険者等に対する訴えは、第三条第一項又は第二項の規定に基づく船舶所有者に対する訴えについて管轄権を有する裁判所に提起することができる。
(保障契約証明書)
第十七条 運輸大臣は、船舶(責任条約の締約国である外国の国籍を有する船舶を除く。)について保障契約を保険者等と締結している者の申請があつたときは、当該船舶について保障契約が締結されていることを証する書面を交付しなければならない。
2 前項の申請をしようとする者は、船名、保障契約の種類その他の運輸省令で定める事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。
3 前項の申請書には、保障契約の契約書の写し並びに船舶の国籍及び第七条に規定するトン数を証する書面を添付しなければならない。
4 第一項に規定する書面(以下「保障契約証明書」という。)の交付を受けた者は、保障契約証明書を滅失し、若しくは損傷し、又はその識別が困難となつたときは、その再交付を受けることができる。
5 保障契約証明書の交付又は再交付を申請しようとする者は、運輸省令で定めるところにより、手数料を納付しなければならない。
6 前各項に定めるもののほか、保障契約証明書の有効期間、記載事項その他保障契約証明書に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
(保障契約証明書の記載事項の変更)
第十八条 保障契約証明書の交付を受けた者は、当該保障契約証明書の記載事項の変更があつたときは、その変更があつた日から十五日以内に、その変更に係る事項を運輸大臣に届け出なければならない。ただし、次条の規定により当該保障契約証明書を返納しなければならないときは、この限りでない。
2 前項の届出があつたときは、運輸大臣は、当該届出をした者に対し、新たな保障契約証明書を交付しなければならない。
3 前項の場合において、当該届出をした者は、遅滞なく、第一項の保障契約証明書を運輸大臣に返納しなければならない。
(保障契約証明書の返納)
第十九条 保障契約証明書の交付を受けた者は、保障契約証明書の有効期間が満了し、又は保障契約証明書の有効期間の満了前に当該保障契約証明書に係る保障契約が効力を失い、若しくは第十四条の規定に適合しないこととなつたときは、遅滞なく、当該保障契約証明書を運輸大臣に返納しなければならない。
(保障契約証明書の備置き)
第二十条 日本国籍を有する船舶は、保障契約証明書が備え置かれているものでなければ、二千トンを超えるばら積みの油の輸送の用に供してはならない。
2 前項に規定する船舶以外の船舶は、保障契約証明書、責任条約の締約国である外国が交付した当該船舶について保障契約が締結されていることを証する責任条約の附属書の様式による書面又は外国が交付した責任条約第七条第十二項に規定する証明書の記載事項を記載した書面が備え置かれているものでなければ、二千トンを超えるばら積みの油を積載して、本邦内の港に入港し、本邦内の港を出港し、又は本邦内の係留施設を使用してはならない。
(適用除外)
第二十一条 この章(前条第二項を除く。)の規定は、外国が所有する船舶であつて、これについて保障契約が締結されていないものについては、適用しない。