砂糖の価格安定等に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十年六月二日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第百九号
砂糖の価格安定等に関する法律
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
砂糖の価格安定に関する措置
第一節
輸入に係る砂糖の価格調整等(第三条―第十二条)
第二節
精製糖の製造数量等の制限(第十三条―第十八条)
第三章
国内産糖及び国内産ぶどう糖の価格支持に関する措置(第十九条―第二十九条)
第四章
糖価安定事業団
第一節
総則(第三十条―第三十五条)
第二節
役員及び職員(第三十六条―第四十六条)
第三節
業務(第四十七条・第四十八条)
第四節
財務及び会計(第四十九条―第五十八条)
第五節
監督(第五十九条・第六十条)
第六節
雑則(第六十一条・第六十二条)
第五章
補則(第六十三条・第六十四条)
第六章
罰則(第六十五条―第六十九条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、輸入に係る砂糖の価格調整その他砂糖の価格の異常な変動を防止するための措置並びに国内産糖及び国内産ぶどう糖の価格を支持するのに必要な措置等を定めることにより、砂糖の価格の安定を図るとともに国内産糖及び国内産ぶどう糖に係る関連産業の健全な発展を促進し、もつて甘味資源作物及び国内産でん粉の原料作物に係る農業所得の確保と国民生活の安定に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「甘味資源作物」、「国内産糖」及び「国内産ぶどう糖」とは、それぞれ、甘味資源特別措置法(昭和三十九年法律第四十一号)第二条第一項から第三項までに規定する甘味資源作物、国内産糖及び国内産ぶどう糖をいう。
2 この法律において「粗糖」とは、分みつ(操作を加えて糖みつを分離することをいう。)をした砂糖であつて、糖度(温度二十度において、砂糖二十六グラムを水に溶解して百ミリリットルとしたものを国際目盛りの検糖計により測定した場合の直接旋光度をいう。)が九十八度以下のもの(車糖、でん粉を加えた粉糖その他これらに類するもの、香味料を加えたもの及び着色したものを除く。)をいう。
3 この法律において「砂糖年度」とは、毎年十月一日から翌年九月三十日までの期間をいう。
4 この法律において「輸入」とは、関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二条第一号に規定する輸入をいう。
第二章 砂糖の価格安定に関する措置
第一節 輸入に係る砂糖の価格調整等
(安定上下限価格等)
第三条 農林大臣は、毎砂糖年度、当該年度の開始前十五日までに、粗糖につき、安定上限価格及び安定下限価格並びに国内産糖合理化目標価格(以下「安定上下限価格等」という。)を定めなければならない。
2 安定上限価格及び安定下限価格は、輸入に係る砂糖の価格を適正な水準に安定させるための指標として、それぞれ、当該砂糖の価格がその額をこえて騰貴し、又はその額を下つて低落することを防止することを旨とし、粗糖の国際価格の通常の変動の上限及び下限を基準として、粗糖の輸入価格(関税の額に相当する金額を除く。以下同じ。)につき、定めるものとする。
3 国内産糖合理化目標価格は、輸入に係る砂糖の価格がその額を下つて低落した場合にこれによる甘味資源作物の生産の振興及び国内産糖の製造事業の健全な発展に及ぼす悪影響を緩和するため輸入に係る砂糖の価格を調整することが必要となると認められる価格として、安定上限価格をこえずかつ安定下限価格を下らない範囲内で、一定期間における甘味資源作物の生産の見通し及び国内産糖の製造事業の合理化の目標並びに粗糖の国際価格の動向を考慮して定める国内産糖の目標生産費を基準とし、政令で定めるところにより粗糖の輸入価格に換算して、定めるものとする。
4 前項の目標生産費は、五年をこえない範囲内で政令で定める期間ごとに定めるものとし、農林大臣は、当該目標生産費を定めようとするときは、甘味資源審議会の意見をきかなければならない。
5 農林大臣は、安定上下限価格等を定めようとするときは、政令で定めるところにより、砂糖又はぶどう糖の製造、販売、輸入又は消費に関し学識経験を有する者の意見をきかなければならない。
6 農林大臣は、安定上下限価格等を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
第四条 安定上下限価格等は、内外の砂糖の需給事情、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、必要があるときは、改定することができる。
2 前条第五項及び第六項の規定は、安定上下限価格等の改定について準用する。
(輸入に係る指定糖の事業団への売渡し)
第五条 粗糖その他の政令で定める種類の砂糖(政令で定める沖縄産のものを除く。以下「指定糖」という。)につき関税法第六十七条の規定による輸入の申告(以下「輸入申告」という。)をする者(その者が当該輸入申告の際その輸入申告に係る指定糖の所有者でない場合にあつては、その所有者。以下「指定糖輸入申告者等」という。)は、その輸入申告の時について適用される第七条の粗糖の平均輸入価格が国内産糖合理化目標価格に満たない額であるときは、政令で定めるところにより、その輸入申告に係る指定糖を糖価安定事業団(以下「事業団」という。)に売り渡さなければならない。ただし、その輸入申告に係る指定糖が関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)第十四条の規定により関税が免除されるものである場合その他政令で定める場合は、この限りでない。
2 前項の規定による指定糖の売渡しは、当該指定糖に係る輸入申告の前に、売渡申込書を事業団に提出してしなければならない。
3 指定糖についての関税法第七十条の規定の適用については、前項の規定による売渡申込書の提出があつた場合における当該申込みに対する事業団の承諾は、同条第一項の許可、承認等とみなす。
4 前項の事業団の承諾に関し必要な事項は、政令で定める。
第六条 指定糖輸入申告者等は、その輸入申告の時について適用される次条の粗糖の平均輸入価格が安定上限価格をこえる額であるときは、政令で定めるところにより、事業団に対し、その輸入申告に係る指定糖(農林省令で定める規格のものに限る。)の売渡しの申込みをすることができる。
2 事業団は、前項の申込みを受けたときは、次に掲げる場合を除き、その申込みに応じて、当該指定糖を買い入れるものとする。
一 その売渡しの申込みに応じて事業団がこの項の規定による買入れ及び第九条第一項の規定による売戻しをするとすれば、当該買入れの契約見込額から当該売戻しの契約見込額を差し引いて得た額が当該申込みの日の属する事業団の事業年度の予算において定める限度額をこえることとなる場合
二 前条第一項ただし書に規定する場合
(平均輸入価格)
第七条 粗糖の平均輸入価格(以下「平均輸入価格」という。)は、政令で定める期間ごとにその各期間を適用期間とし、政令で定めるところにより、その期間前の一定期間の海外における代表的な粗糖の市価の平均額及び輸入するまでの運賃その他の諸掛りの標準額の平均額を基準として、農林大臣が定める。
2 平均輸入価格は、その適用期間の初日前三日までに、その適用期間を明示して、告示しなければならない。
3 平均輸入価格は、その適用期間の満了前においても、海外における粗糖の市価が著しく騰貴した場合その他政令で定める場合には、その残存期間について、改定することができる。この場合には、農林大臣は、遅滞なく、改定後の平均輸入価格及びその適用期間を告示しなければならない。
4 第一項の規定は、平均輸入価格の改定について準用する。この場合において、同項中「政令で定める期間ごとにその各期間を適用期間とし」とあるのは、「当該残存期間につき」と続み替えるものとする。
(輸入に係る指定糖の買入れの価格)
第八条 第五条第一項又は第六条第一項の規定による売渡しに係る指定糖についての事業団の買入れの価格は、当該指定糖の輸入申告の時について適用される平均輸入価格(粗糖以外の指定糖にあつては、その種類に応じて、当該平均輸入価格に農林省令で定めるところにより算出される額を加減して得た額)とする。
(輸入に係る指定糖の売戻し)
第九条 事業団は、第五条第一項又は第六条第一項の規定による指定糖の売渡しをした者に対し、その指定糖を売り戻さなければならない。
2 事業団は、前項の規定による売戻しをするため、第五条第一項又は第六条第一項の規定による指定糖の売渡しを受けるに当たつて、当読売渡しをする者がその売渡しに係る指定糖を買い戻さなければならない旨の条件を附することができる。
3 事業団は、第五条第一項の規定による指定糖の売渡しを受けるに当たつて、当該売渡しをする者に対し、前項の条件を附するほか、政令で定めるところにより、当該条件による買戻しに係る債務の履行を確保するため必要な範囲内で、保証金、証券その他の担保を提供させることができる。
(輸入に係る指定糖の売戻しの価格)
第十条 前条第一項の規定による事業団の売戻しの価格は、次に掲げるとおりとする。
一 第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖については、次に掲げる額
イ その指定糖に係る輸入申告の時について適用される平均輸入価格が安定下限価格以上の額である場合における当該指定糖にあつては、国内産糖合理化目標価格(粗糖以外の指定糖にあつては、その種類に応じて、当該国内産糖合理化目標価格に農林省令で定めるところにより算出される額を加減して得た額。以下この号において同じ。)と当該平均輸入価格(粗糖以外の指定糖にあつては、その種類に応じて、当該平均輸入価格に農林省令で定めるところにより算出される額を加減して得た額。以下イにおいて同じ。)との差額に当該輸入申告の日の属する砂糖年度に係る農林大臣の定める率を乗じて得た額を当該平均輸入価格に加えて得た額
ロ その指定糖に係る輸入申告の時について適用される平均輸入価格が安定下限価格に満たない額である場合における当該指定糖にあつては、国内産糖合理化目標価格と安定下限価格(粗糖以外の指定糖にあつては、その種類に応じて、当該安定下限価格に農林省令で定めるところにより算出される額を加減して得た額。以下この号及び第五十五条第一項において同じ。)との差額に当該輸入申告の日の属する砂糖年度に係るイの率を乗じて得た額を安定下限価格に加えて得た額
二 第六条第一項の規定による売渡しに係る指定糖については、安定上限価格(粗糖以外の指定糖にあつては、その種類に応じて、当該安定上限価格に農林省令で定めるところにより算出される額を加減して得た額)
2 前項第一号イの農林大臣の定める率は、毎砂糖年度、当該年度の開始前十五日までに、政令で定めるところにより、当該年度の前年度における国内産糖及び国内産ぶどう糖の製造数量を基準とし当該年度におけるこれらの数量の見込数量を参酌して定めた国内産糖及び国内産ぶどう糖の推定総製造数量を当該年度の前年度における輸入に係る砂糖の数量並びに国内産糖及び国内産ぶどう糖の製造数量を基準とし当該年度におけるこれらの数量の見込数量を参酌して定めた砂糖及び国内産ぶどう糖の推定総供給数量で除して得た数を限度として、定めるものとする。
3 第三条第六項の規定は、第一項第一号イの農林大臣の定める率について準用する。
(買入れ及び売戻しの価格の減額)
第十一条 第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖が当該売渡し前に変質したものである場合には、事業団は、農林省令で定めるところにより、当該指定糖につき買入れ及び売戻しの価格を減額することができる。
(関税率の引下げ等)
第十二条 国は、海外における砂糖の価格が著しく騰貴し、又は謄貴するおそれがある場合において、第六条から第十条までに規定する輸入に係る指定糖の価格調整に関する措置によつては砂糖の価格を安定させることが困難と認められるときは、砂糖についての関税率の引下げその他必要な措置を講ずるものとする。
第二節 精製糖の製造数量等の制限
(精製糖の製造数量等に対する指示)
第十三条 農林大臣は、砂糖の需給が著しく均衡を失したため、精製糖(国内産糖を除く。以下同じ。)の価格が平均生産費を下り、かつ、精製糖の製造業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれがある事態が生じた場合であつて、精製糖の価格が安定下限価格に関税の額に相当する金額、合理的な経営を営む精製糖の製造業者の精製糖の製造及び販売に要する標準的な費用の額並びに砂糖消費税の額に相当する金額を加えて得た額を下つて低落している場合において、必要があるときは、精製糖の製造業者に対し、精製糖の製造数量又は販売数量の制限に関する共同行為を実施すべきことを指示することができる。
2 前項の規定による指示は、共同行為をすべき期間及び共同行為の内容を定めて、告示により行なう。
(共同行為の期間及び内容)
第十四条 前条第二項の共同行為をすべき期間は、六月以内において定めなければならない。
2 前条第二項の共同行為の内容は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 前条第一項に規定する事態を克服するため必要な程度をこえないこと。
二 一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。
三 不当に差別的でないこと。
(指示の変更等)
第十五条 農林大臣は、第十三条第一項の規定による指示に係る共同行為の内容が前条第二項各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、その指示を変更し、又は取り消さなければならない。
(共同行為の届出)
第十六条 精製糖の製造業者は、第十三条第一項の規定による指示(前条の規定による変更があつたときは、その変更後のもの。次条において同じ。)に従い共同行為をしたときは、遅滞なく、農林省令で定める事項を農林大臣に届け出なければならない。これを変更し、又は廃止したときも、同様とする。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外)
第十七条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、精製糖の製造業者が第十三条第一項の規定による指示に従つてする共同行為については、適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いるときは、この限りでない。
(公正取引委員会との関係)
第十八条 農林大臣は、第十三条第一項の規定による指示をしようとするときは、公正取引委員会に協議しなければならない。
2 農林大臣は、第十五条の規定による変更若しくは取消しをしたとき、又は第十六条の規定による届出を受理したときは、遅滞なく、その旨を公正取引委員会に通知しなければならない。
3 公正取引委員会は、第十三条第一項の規定による指示に係る共同行為の内容が第十四条第二項各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、農林大臣に対し、第十五条の規定による変更又は取消しを求めることができる。
第三章 国内産糖及び国内産ぶどう糖の価格支持に関する措置
(国内産糖の事業団への売渡し)
第十九条 地域内国内産糖製造事業者(甘味資源特別措置法第十八条第一項の地域内国内産糖製造事業者をいう。以下同じ。)は、農林省令で定めるところにより、事業団に対し、その製造する国内産糖の売渡しの申込みをすることができる。
2 事業団は、前項の売渡しの申込みを受けた場合において、その申込みについて、その数量がその申込みの日の属する砂糖年度におけるその者の製造見込数量及び通常年における月ごとの販売数量の割合からみて過大であると認められること、その他その申込みに係る国内産糖を買い入れるとすれば事業団の業務の適正円滑な運営が著しく阻害されることとなるおそれがある理由として農林省令で定める理由があるときを除き、その申込みに応じて、当該国内産糖を買い入れるものとする。
(売渡しの対象となる国内産糖の種類等)
第二十条 前条第一項の規定により事業団に対し売渡しの申込みをすることができる国内産糖は、生産振興地域(甘味資源特別措置法第四条第一項の生産振興地域をいう。以下同じ。)の区域内において生産された当該甘味資源作物で、てん菜及びさとうきびごとにその生産者販売価格の最低基準となるものとして農林大臣が定める価格(以下「最低生産者価格」という。)を下らない価格でその生産者から買い入れられたものを原料として当該地域内指定製造施設(同法第十五条第一項の地域内指定製造施設をいう。以下同じ。)により製造された国内産糖(既に第二十三条第一項の規定による売戻しがされたものを除く。)であつて、農林省令で定める種類、規格及び生産年のものに限るものとする。
2 前項の場合において、国内産糖が、生産振興地域の区域内において生産された当該甘味資源作物で最低生産者価格を下らない価格でその生産者から買い入れられたものを原料として製造されたものかどうか及び既に第二十三条第一項の規定による売戻しがされたものでないかどうかの認定の手続は、前条第一項の農林省令で定めるものとする。
(最低生産者価格)
第二十一条 最低生産者価格は、政令で定めるところにより、農業パリテイ指数に基づき算出される価格を基準とし、物価その他の経済事情を参酌し、甘味資源作物の再生産を確保することを旨として定めるものとする。
2 最低生産者価格は、てん菜にあつては毎年一月一日から十二月三十一日までには種されるもの、さとうきびにあつては毎年十月一日から翌年九月三十日までに収穫されるものにつき、そのは種又は収穫が開始される時期を基準として政令で定める期日までに告示しなければならない。
3 最低生産者価格は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があるときは、改定することができる。この場合には、農林大臣は、遅滞なく、改定後の最低生産者価格を告示しなければならない。
(国内産糖の買入れの価格)
第二十二条 第十九条第一項の規定による売渡しに係る国内産糖についての事業団の買入れの価格は、その原料たる甘味資源作物の最低生産者価格に当該甘味資源作物の買入れ及びこれを原料とする国内産糖の製造に要する標準的な費用の額を加えて得た額を基準とし、国内産糖の製造事情その他の経済事情及び甘味資源特別措置法第十八条第一項の規定による甘味資源作物に係るその生産者からの買入れの価格についての指示をした場合には当該指示に係る事項を参酌して、農林大臣が定める。
2 前項の事業団の買入れの価格は、毎年、政令で定める期日までに告示しなければならない。
3 前条第三項の規定は、第一項の事業団の買入れの価格について準用する。
(国内産糖の売戻し)
第二十三条 事業団は、第十九条第一項の規定による国内産糖の売渡しをした者に対し、その国内産糖を売り戻さなければならない。
2 事業団は、前項の規定による売戻しをするため、第十九条第一項の規定による国内産糖の売渡しを受けるに当たつて、当該売渡しをする者がその売渡しに係る国内産糖を買い戻さなければならない旨の条件を附することができる。
(国内産糖の売戻しの価格)
第二十四条 前条第一項の規定による事業団の売戻しの価格は、政令で定めるところにより、平均輸入価格又は輸入に係る粗糖につき第十条第一項の規定により定められる事業団の売戻しの価格を基礎として算出される額を基準とし、砂糖の市価を参酌して、農林大臣が定める。
2 農林大臣は、前項の事業団の売戻しの価格を定めたときは、遅滞なく、これを事業団に通知しなければならない。
(国内産ぶどう糖の事業団の買入れ)
第二十五条 事業団は、農林大臣の指示に基づき、農林省令で定めるところにより、国内産ぶどう糖の製造事業を行なう者(以下「ぶどう糖製造事業者」という。)から、その申込みに応じて、その製造する国内産ぶどう糖を買い入れるものとする。
2 前項の指示は、農林大臣が砂糖の市価の推移からみて国内産ぶどう糖の生産を維持しその原料でん粉の原料となる国内産の甘しよ及び馬鈴しよの需要の確保を図るため必要があると認める場合に、行なうものとする。
(買入れの対象となる国内産ぶどう糖の種類等)
第二十六条 前条第一項の規定により事業団が買い入れる国内産ぶどう糖は、農林省令で定める種類、規格及び生産年のものに限るものとする。
(国内産ぶどう糖の買入れの価格)
第二十七条 第二十五条第一項の規定による事業団の買入れの価格は、農産物価格安定法(昭和二十八年法律第二百二十五号)第五条第一項の甘しよでん粉の買入基準価格に運賃その他の諸掛りを加え、これに甘しよでん粉を原料とする国内産ぶどう糖の製造に要する標準的な費用の額を加えて得た額を基準として、農林大臣が定める。
2 前項の事業団の買入れの価格は、毎年、政令で定める期日までに告示しなければならない。
3 第二十一条第三項の規定は、第一項の事業団の買入れの価格について準用する。
(国内産ぶどう糖の売戻し)
第二十八条 事業団は、第二十五条第一項の規定による買入れに係る国内産ぶどう糖を、その買入れの相手方に対し、売り戻さなければならない。
2 事業団は、前項の規定による売戻しをするため、第二十五条第一項の規定による国内産ぶどう糖の買入れをするに当たつて、当該買入れの相手方がその国内産ぶどう糖を買い戻さなければならない旨の条件を附することができる。
(国内産ぶどう糖の売戻しの価格)
第二十九条 前条第一項の規定による事業団の売戻しの価格は、政令で定めるところにより、ぶどう糖の市価、砂糖の市価及び物価その他の経済事情を参酌して、農林大臣が定める。
2 第二十四条第二項の規定は、前項の事業団の売戻しの価格について準用する。
第四章 糖価安定事業団
第一節 総則
(目的)
第三十条 事業団は、輸入に係る砂糖の価格調整並びに国内産糖及び国内産ぶどう糖の価格支持のための砂糖及びぶとう糖の買入れ及び売戻しの業務を行なうことを目的とする。
(法人格)
第三十一条 事業団は、法人とする。
(事務所)
第三十二条 事業団は、主たる事務所を東京都に置く。
2 事業団は、農林大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(登記)
第三十三条 事業団は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第三十四条 事業団でない者は、糖価安定事業団という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第三十五条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、事業団について準用する。
第二節 役員及び職員
(役員)
第三十六条 事業団に、役員として、理事長一人、副理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置く。
2 事業団に、役員として、前項の理事のほか、非常勤の理事三人以内を置くことができる。
(役員の職務及び権限)
第三十七条 理事長は、事業団を代表し、その業務を総理する。
2 副理事長は、事業団を代表し、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して事業団の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行なう。
3 理事は、理事長の定めるところにより、理事長及び副理事長を補佐して事業団の業務を掌理し、理事長及び副理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長及び副理事長が欠員のときはその職務を行なう。
4 監事は、事業団の業務を監査する。
5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は農林大臣に意見を提出することができる。
(役員の任命)
第三十八条 理事長及び監事は、農林大臣が任命する。
2 副理事長及び理事は、農林大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
(役員の任期)
第三十九条 役員の任期は、三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第四十条 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。
(役員の解任)
第四十一条 農林大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 農林大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 理事長は、前項の規定によりその任命に係る役員を解任しようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第四十二条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、非常勤の理事にあつては、農林大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第四十三条 事業団と理事長又は副理事長との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が事業団を代表する。
(代理人の選任)
第四十四条 理事長及び副理事長は、理事又は事業団の職員のうちから、事業団の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第四十五条 事業団の職員は、理事長が任命する。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第四十六条 事業団の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三節 業務
(業務の範囲)
第四十七条 事業団は、第三十条の目的を達成するため、次に掲げる業務を行なう。
一 この法律の規定による輸入に係る指定糖の買入れ及び売戻しを行なうこと。
二 この法律の規定による国内産糖及び国内産ぶどう糖の買入れ及び売戻しを行なうこと。
三 前二号の業務に附帯する業務を行なうこと。
(業務方法書)
第四十八条 事業団は、業務の開始の際、業務方法書を作成し、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、農林省令で定める。
第四節 財務及び会計
(事業年度)
第四十九条 事業団の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(事業計画等の認可)
第五十条 事業団は、毎事業年度、事業計画、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(財務諸表)
第五十一条 事業団は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に農林大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 事業団は、前項の規定により財務諸表を農林大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。
(利益及び損失の処理)
第五十二条 事業団は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 事業団は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金)
第五十三条 事業団は、農林大臣の認可を受けて、借入金をすることができる。
2 前項の規定による借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、農林大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(交付金の交付)
第五十四条 政府は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、事業団に対し、この法律の規定による国内産糖及び国内産ぶどう糖の買入れ及び売戻しの対価の差額(国内産糖又は国内産ぶどう糖について第二十四条第一項(附則第三条第七項において準用する場合を含む。)又は第二十九条第一項(附則第四条第七項において準用する場合を含む。)の規定により定められる事業団の売戻しの価格が政令で定めるところにより国内産糖合理化目標価格を国内産糖又は国内産ぶどう糖の事業団に対する売渡しの価格に換算した額に満たない額である場合には、当該売戻しの価格と当該換算した額との差額に係る部分を除く。)に相当する金額を交付するものとする。
(糖価安定資金)
第五十五条 事業団は、第五条第一項の規定による売渡し及び第九条第一項の規定による売戻しに係る指定糖のうち第十条第一項第一号ロに規定する売戻しの価格により売戻しがされるものについての当該売渡しの対価と当該売戻しの対価との差額中当該売渡しの価格と安定下限価格との差額に係る部分を、第六条第二項の規定による買入れ及び当該買入れに係る指定糖についての第九条第一項の規定による売戻しの業務に要する費用の財源に充てるための糖価安定資金として、管理しなければならない。当該資金の運用によつて生じた利子その他当該資金の運用又は使用に伴い生ずる収入についても、同様とする。
2 前項の糖価安定資金は、次条の規定により運用する場合のほか、前項に規定する業務に要する費用(第五条第一項の規定による売渡し及び当該売渡しに係る指定糖についての第九条第一項の規定による売戻しに係る事業団の事務に要する費用のうち政令で定めるものを含む。)に充てる場合に限り、運用し、又は使用することができる。
(余裕金の運用)
第五十六条 事業団は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他農林大臣の指定する有価証券の取得
二 銀行、農林中央金庫その他農林大臣の指定する金融機関への預金
三 信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託
(給与及び退職手当の支給の基準)
第五十七条 事業団は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、農林大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(農林省令への委任)
第五十八条 この法律に規定するもののほか、事業団の財務及び会計に関し必要な事項は、農林省令で定める。
第五節 監督
(監督)
第五十九条 事業団は、農林大臣が監督する。
2 農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業団に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第六十条 農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業団に対し、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に事業団の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第六節 雑則
(解散)
第六十一条 事業団の解散については、別に法律で定める。
(大蔵大臣との協議)
第六十二条 農林大臣は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第四十八条第一項、第五十条又は第五十三条第一項若しくは第二項ただし書の規定による認可をしようとするとき。
二 第四十八条第二項又は第五十八条の規定により農林省令を定めようとするとき。
三 第五十一条第一項又は第五十七条の規定による承認をしようとするとき。
四 第五十六条第一号又は第二号の規定による指定をしようとするとき。
第五章 補則
(報告及び検査)
第六十三条 農林大臣は、甘味資源作物の生産費の調査に必要な限度において、甘味資源作物の生産者から必要な事項に関する報告をさせることができる。
第六十四条 農林大臣は、この法律の施行に必要な限度において、地域内国内産糖製造事業者、ぶどう糖製造事業者、精製糖の製造業者、砂糖、ぶどう糖、甘しよでん粉若しくは馬鈴しよでん粉の販売業者若しくは砂糖の輸入業者に対し、必要な事項について報告をさせ、又はその職員にこれらの者の事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 第六十条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。
第六章 罰則
(罰則)
第六十五条 第六十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした事業団の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
第六十六条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第十六条の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第六十三条若しくは第六十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定よる検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第六十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。
第六十八条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした事業団の役員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律により農林大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第三十三条第一項の政令の規定に違反して、登記することを怠つたとき。
三 第四十七条に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
四 第五十五条第二項の規定に違反して、同条第一項の糖価安定資金を運用し、又は使用したとき。
五 第五十六条の規定に違反して、業務上の余裕金を運用したとき。
六 第五十九条第二項の規定による農林大臣の命令に違反したとき。
第六十九条 第三十四条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(適用区分)
第二条 前条の規定にかかわらず、第二章第一節の規定は昭和四十年十月一日以後に輸入申告をする指定糖について、第三章並びに次条及び第四条の規定は昭和四十年一月一日以後には種されるてん菜又は同年十月一日以後に収穫されるさとうきびを原料として製造される国内産糖及び同日以後に製造される国内産ぶどう糖について適用する。
(事業団の国内産糖の買入れ等に係る特例)
第三条 事業団は、当分の間、第十九条第一項の規定による売渡しに係る国内産糖の買入れのほか、地域内指定製造施設の新設の当初においてその新設をした者が当該甘味資源作物の集荷等の面で受ける著しい不利を補正する必要がある場合その他政令で定める特別の事由がある場合において、農林大臣が特に必要があると認めて指示したときは、農林省令で定めるところにより、当該地域内国内産糖製造事業者(農林省令で定める特別の事由がある国内産糖の製造事業者を含む。)から、その申込みに応じて、その製造する国内産糖を買い入れるものとする。
2 前項の規定による事業団の買入れの価格は、その原料たる甘味資源作物の最低生産者価格に当該甘味資源作物の買入れ及びこれを原料とする国内産糖の製造に要する標準的な費用の額を加えて得た額を基準とし、当該甘味資源作物の生産事情、集荷事情その他の経済事情を参酌して、農林大臣が定める。
3 農林大臣は、前項の事業団の買入れの価格を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
4 第二十条の規定は第一項の規定により事業団が買い入れる国内産糖について、第二十一条第三項の規定は第二項の事業団の買入れの価格について、それぞれ、準用する。この場合において、第二十条第一項中「生産振興地域(甘味資源特別措置法第四条第一項の生産振興地域をいう。以下同じ。)の区域内」とあるのは「生産振興地域(甘味資源特別措置法第四条第一項の生産振興地域をいう。以下同じ。)の区域(農林大臣が指定する区域を含む。以下この条において同じ。)内」と、「当該地域内指定製造施設(同法第十五条第一項の地域内指定製造施設をいう。以下同じ。)」とあるのは「当該地域内指定製造施設(同法第十五条第一項の地域内指定製造施設をいい、農林大臣が指定する指定製造施設(同法第十三条第一項の指定製造施設をいう。)を含む。)」と読み替えるものとする。
5 事業団は、第一項の規定による買入れに係る国内産糖を、その買入れの相手方に対し、売り戻さなければならない。
6 事業団は、前項の規定による売戻しをするため、第一項の規定による国内産糖の買入れをするに当たつて、当該買入れの相手方がその国内産糖を買い戻さなければならない旨の条件を附することができる。
7 第二十四条の規定は、第五項の規定による事業団の売戻しの価格について準用する。
(事業団の国内産ぶどう糖の買入れ等に係る特例)
第四条 事業団は、当分の間、第二十五条第一項の規定による買入れのほか、国内産ぶどう糖の製造事業の合理化を促進するため特に必要があると認めて農林大臣が指示したときは、農林省令で定めるところにより、ぶどう糖製造事業者から、その申込みに応じて、その製造する国内産ぶどう糖を買い入れるものとする。
2 前項の規定による事業団の買入れの価格は、政令で定めるところにより、農産物価格安定法第五条第一項の甘しよでん紛の買入基準価格に運賃その他の諸掛りを加え、これに甘しよでん粉を原料とする国内産ぶどう糖の製造に要する標準的な費用の額を加えて得た額を基準とし、でん粉の需給事情その他の経済事情を参酌して、農林大臣が定める。
3 農林大臣は、前項の事業団の買入れの価格を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
4 第二十六条の規定は第一項の規定により事業団が買い入れる国内産ぶどう糖について、第二十七条第三項の規定は第二項の事業団の買入れの価格について、それぞれ、準用する。
5 事業団は、第一項の規定による買入れに係る国内産ぶどう糖を、その買入れの相手方に対し、売り戻さなければならない。
6 事業団は、前項の規定による売戻しをするため、第一項の規定による国内産ぶどう糖の買入れをするに当たつて、当該買入れの相手方がその国内産ぶどう糖を買い戻さなければならない旨の条件を附することができる。
7 第二十九条の規定は、第五項の規定による事業団の売戻しの価格について準用する。
(てん菜に係る最低生産者価格についての経過規定)
第五条 この法律の施行の際改正前の甘味資源特別措置法第二十一条第一項の規定により定められ、かつ、改正前の同法第二十二条第二項の規定により告示されている昭和四十年においては種されるてん菜に係る最低生産者価格(同条第三項の規定により改定され、かつ、告示されているときは、その改定後の最低生産者価格)は、第二十条第一項の規定により定められ、かつ、第二十一条第二項の規定により告示された当該てん菜に係る最低生産者価格とみなす。
(事業団の設立)
第六条 農林大臣は、事業団の理事長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、事業団の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。
第七条 農林大臣は、設立委員を命じて、事業団の設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員は、事業団の設立の準備を完了したときは、遅滞なく、その旨を農林大臣に届け出るとともに、その事務を前条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
第八条 附則第六条第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前条第二項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第九条 事業団は、設立の登記をすることによつて成立する。
(事業団の名称についての経過規定)
第十条 この法律の施行の際現に糖価安定事業団という名称を使用している者については、第三十四条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
(事業団の事業年度等についての経過規定)
第十一条 事業団の最初の事業年度は、第四十九条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和四十一年三月三十一日に終わるものとする。
第十二条 事業団の最初の事業年度の事業計画、予算及び資金計画については、第五十条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「事業団の成立後遅滞なく」とする。
(甘味資源特別措置法の一部改正)
第十三条 甘味資源特別措置法の一部を次のように改正する。
目次中
第三章
生産振興地域における国内産糖製造事業(第十三条―第十九条)
第四章
国内産糖の政府買入れ(第二十条―第二十三条)
第五章
国内産ぶどう糖の政府買入れ等(第二十四条―第二十八条)
第三章
生産振興地域における国内産糖製造事業等(第十三条―第二十条)
第四章及び第五章
削除
に改める。
第三章の章名中「国内産糖製造事業」を「国内産糖製造事業等」に改める。
第四章及び第五章を次のように改める。
第四章及び第五章 削除
第二十一条から第二十八条まで 削除
第三章中第十九条の次に次の一条を加える。
(国内産ぶどう糖の製造事業を行なう者に対する勧告)
第二十条 農林大臣は、国内産ぶどう糖の製造事業の合理化を促進するため特に必要があるときは、国内産ぶどう糖の製造事業を行なう者に対し、当該事業に係る経営の改善、当該事業に係る経営の共同化、国内産ぶどう糖製造施設の譲渡その他の措置を講ずべき旨を勧告することができる。
2 農林大臣は、前項の規定による勧告に従い必要な措置を講ずる者に対し、資金の融通のあつせんその他必要な援助を行なうよう努めるものとする。
第三十条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 審議会は、前項に規定するもののほか、砂糖の価格安定等に関する法律(昭和四十年法律第百九号)によりその権限に属させた事項を行なう。
第三十六条の前の見出しを削り、同条を次のように改める。
第三十六条 削除
第三十七条に見出しとして「(報告及び検査)」を附し、同条第一項中「若しくはぶどう糖製造事業者」を削り、「これらの者」を「地域内国内産糖製造事業者」に改める。
第四十条第二号中「第三十六条若しくは」を削り、「又は第三十七条第一項」を「又は同項」に改める。
附則第二条及び第三条を次のように改める。
第二条及び第三条 削除
(甘味資源特別措置法の一部改正に伴う経過規定)
第十四条 昭和三十九年十二月三十一日以前には種されたてん菜又は昭和四十年九月三十日以前に収穫されるさとうきびを原料として製造される国内産糖及び同日以前に製造される国内産ぶどう糖の同日までの政府買入れ(当該政府買入れに係る報告及び検査を含む。)については、なお従前の例による。
2 改正前の甘味資源特別措置法第二十四条及び附則第三条第一項並びに前項の規定により政府が買い入れた国内産ぶどう糖の売渡し(当該売渡しに係る報告及び検査を含む。)については、なお従前の例による。
3 この法律の施行前にした行為に対する罰則及び前二項の規定により従前の例によることとされる報告及び検査に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(食糧管理特別会計法の一部改正)
第十五条 食糧管理特別会計法(大正十年法律第三十七号)の一部を次のように改正する。
第一条中「、甘味資源特別措置法(昭和三十九年法律第四十一号)第二十条及第二十四条ノ規定ニ依リ政府ノ買入ルル国内産糖及国内産葡萄糖(以下砂糖類ト謂フ)並」を「及」に改める。
第一条ノ二中「、砂糖類勘定」を削る。
第二条、第三条及び第四条ノ三中「、砂糖類」を削る。
第六条ノ二ノ二を削り、第六条ノ二ノ三を第六条ノ二ノ二とする。
第六条ノ三及び第六条ノ五第一項中「、砂糖類勘定」を削る。
第六条ノ九中「、砂糖類」を削る。
第八条ノ四ノ二中「砂糖類勘定及」及び「夫々」を削る。
附則第五項中「甘味資源特別措置法附則第二条第一項又ハ第三条第一項ノ規定ニ依ル国内産糖又ハ国内産葡萄糖ノ買入又ハ売渡及」を削り、「砂糖類勘定」を「農産物等安定勘定」に、「砂糖類」を「農産物等」に改め、「甘味資源特別措置法附則第二条第一項及第三条第一項ノ規定ニ依リ政府ノ買入ルル国内産糖及国内産葡萄糖並」を削る。
附則第六項を削る。
(食糧管理特別会計法の一部改正に伴う経過規定)
第十六条 改正後の食糧管理特別会計法の規定は、次項に定めるものを除くほか、昭和四十一年度分以降の予算について適用し、昭和四十年度分以前の予算については、なお従前の例による。
2 食糧管理特別会計法第六条ノ八第二項第二号又は第三号の規定により食糧管理特別会計の予算に添附すべき前前年度又は前年度に係る書類については、昭和四十一年度分(前前年度に係る当該書類については、昭和四十二年度分を含む。)の予算に限り、これらの規定にかかわらず、なお従前の例による。
3 昭和四十一年三月三十一日における食糧管理特別会計の砂糖類勘定の資産及び負債は、政令で定めるところにより、同会計の農産物等安定勘定に帰属するものとする。
(地方財政再建促進特別措置法の一部改正)
第十七条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第二項中「金属鉱物探鉱促進事業団」の下に「、糖価安定事業団」を加える。
(登録税法の一部改正)
第十八条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「日本蚕繭事業団」の下に「、糖価安定事業団」を、「日本蚕繭事業団法」の下に「、砂糖の価格安定等に関する法律」を加える。
(所得税法の一部改正)
第十九条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中中小企業団体中央会の項の次に次のように加える。
糖価安定事業団
砂糖の価格安定等に関する法律(昭和四十年法律第百九号)
(法人税法の一部改正)
第二十条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第二第一号の表中中小企業団体中央会の項の次に次のように加える。
糖価安定事業団
砂糖の価格安定等に関する法律(昭和四十年法律第百九号)
(地方税法の一部改正)
第二十一条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第七号中「畜産振興事業団」の下に「、糖価安定事業団」を加える。
(行政管理庁設置法の一部改正)
第二十二条 行政管理庁設置法(昭和二十三年法律第七十七号)の一部を次のように改正する。
第二条第十二号中「畜産振興事業団」の下に「、糖価安定事業団」を加える。
(農林省設置法の一部改正)
第二十三条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第五十条第四号中「、国内産糖(甘味資源特別措置法(昭和三十九年法律第四十一号)第二条第二項の国内産糖をいう。)、国内産ぶどう糖(同条第三項の国内産ぶどう糖をいう。)」を削る。
第五十条中第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。
五 糖価安定事業団の指導監督に関すること。
第五十四条第一項中「甘味資源特別措置法」の下に「(昭和三十九年法律第四十一号)及び砂糖の価格安定等に関する法律(昭和四十年法律第百九号)」を加える。
内閣総理大臣 佐藤栄作
法務大臣 高橋等
大蔵大臣 田中角栄
農林大臣 赤城宗徳
自治大臣 吉武恵市