(沿岸水産資源開発区域の指定)
第五条 都道府県は、その沿岸海域のうち、その自然的条件が開発基本方針において定められた第三条第二項第一号ロの自然的条件に関する基準に適合する一定の区域で、その区域内において漁業を営む者の経営の状況、その区域内の海域の利用状況等からみて、水産動植物の増殖又は養殖を推進することにより漁業生産の増大を図ることが相当と認められるものを、沿岸水産資源開発区域(以下「開発区域」という。)として指定することができる。
2 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第三項に規定する港湾区域(同条第二項に規定する地方港湾で農林大臣が運輸大臣と協議して指定するものに係るものを除く。)又は同法第五十六条第一項の規定により都道府県知事が公告した水域(農林大臣が運輸大臣と協議して指定するものを除く。)については、海洋水産資源の開発の促進上特別の必要がある場合において、港湾管理者又は当該水域を管理する都道府県知事と協議がととのつたときに限り、前項の規定による開発区域の指定をすることができる。
3 都道府県は、開発区域を指定しようとするときは、関係市町村の意見をきくとともに、農林大臣に協議しなければならない。
4 農林大臣は、前項の規定による協議に応じようとするときは、関係行政機関の長の意見をきかなければならない。
5 開発区域の指定は、農林省令で定めるところにより、公告してしなければならない。
6 都道府県は、開発区域を指定したときは、遅滞なく、その旨を関係市町村に通知しなければならない。
(開発区域の区域の変更等)
第六条 都道府県は、水産物の需給事情の変動、船舶の航行状況の変化その他情勢の推移により必要が生じたときは、その指定に係る開発区域の区域を変更し、又はその指定を解除することができる。
2 前条第二項から第六項までの規定は開発区域の区域の変更について、同条第三項、第五項及び第六項の規定は開発区域の指定の解除について準用する。
(沿岸水産資源開発計画の作成)
第七条 都道府県は、開発区域を指定したときは、遅滞なく、当該開発区域について、水産動植物の増殖又は養殖を推進して漁業生産の増大を図るため、沿岸水産資源開発計画(以下「開発計画」という。)を定めなければならない。
2 開発計画においては、次に掲げる事項を定めるものとし、その内容は、開発基本方針の内容に即するものでなければならない。
一 増殖又は養殖を推進しようとする水産動植物の種類及び当該種類の水産動植物の増殖又は養殖による漁業生産の増大の目標
二 前号の目標を達成するために必要な次の事項
イ 水産動植物の種苗の確保、放流又は播植に関する事項
ロ 漁業生産の基盤の整備及び開発並びに施設の整備に関する事項
三 その他第一号の水産動植物の増殖又は養殖の推進に関し必要な事項
3 都道府県は、開発計画を定めようとするときは、関係市町村の意見をきかなければならない。
4 都道府県は、開発計画を定めたときは、遅滞なく、その概要を公表しなければならない。
(開発計画の変更)
第八条 都道府県は、開発区域の区域の変更により、又は水産物の需給事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、開発計画を変更することができる。
2 前条第三項及び第四項の規定は、開発計画の変更について準用する。
(開発区域における行為の届出等)
第九条 開発区域内において、次の各号に掲げる行為をしようとする者(国の機関、都道府県その他政令で定める者(以下「国の機関等」という。)を除く。)は、農林省令で定めるところにより、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
一 海底の掘削その他海底の形質の変更(海面の埋立て、干拓及び政令で定めるその他のものを除く。)
二 前号に掲げるもののほか、当該開発区域に係る開発計画の達成に支障を及ぼすおそれのある行為で、政令で定めるもの
2 都道府県知事は、開発計画の達成を図るため必要があると認めるときは、開発区域内において、前項各号に掲げる行為をし、若しくはしようとする者又は海面の埋立て若しくは干拓をする者に対して、必要な勧告をすることができる。ただし、国の機関等に対しては、この限りでない。
3 国の機関等は、開発区域内において第一項各号に掲げる行為をしようとするときは、都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
(水質汚濁等の監視)
第十条 都道府県知事は、開発計画の達成を図るため、開発区域及びその周辺の水域における水質その他の水の状態及び水底の底質の悪化(以下「水質汚濁等」という。)の状況を監視するように努めるものとする。
(国及び都道府県の援助等)
第十一条 国及び都道府県は、開発区域における水質汚濁等の防止のために必要な措置を講ずるように努めるほか、開発計画の達成のために必要な助言、指導その他の援助を行なうように努めるものとする。
2 国及び都道府県は、海洋水産資源の開発を促進するため、優良な水産動植物の種苗の供給の円滑化に努めるとともに、水産動植物の増殖又は養殖に関する技術の開発及び普及に努めるものとする。
(指定海域における行為の届出等)
第十二条 開発区域以外の一定の海域で、海底の地形、海流、餌料生物の分布その他の自然的条件がすぐれているため漁場としての効用が高く、かつ、漁業生産において重要な地位を占める海域として政令で指定するもの(以下「指定海域」という。)において、漁場としての効用を著しく低下させ、又は喪失させるおそれがある海底の掘削、工作物の設置その他の行為で政令で定めるもの(以下「特定行為」という。)をしようとする者(国の機関等を除く。)は、農林省令で定めるところにより、当該指定海域を管轄する都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
2 指定海域を管轄する都道府県知事は、当該指定海域の漁場としての効用を保全するため必要があると認めるときは、当該指定海域において特定行為をし、又はしようとする者(国の機関等を除く。)に対して、必要な勧告をすることができる。
3 国の機関等は、指定海域において特定行為をしようとするときは、当該指定海域を管轄する都道府県知事にその旨を通知しなければならない。
4 政府は、指定海域を指定する場合において、当該指定海域の区域が二以上の都道府県知事の管轄に属し、又はその管轄が明確でないときは、その指定に係る第一項の政令において、当該指定海域を管轄する行政庁を農林大臣とする旨をあわせて定めなければならない。この場合においては、前三項の規定中「都道府県知事」とあるのは、「農林大臣」とする。
5 農林大臣は、第一項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、中央漁業調整審議会の意見をきかなければならない。