特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法
法令番号: 法律第26号
公布年月日: 昭和53年4月20日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

航空の発展に伴うジェット機の就航と運航回数の増加により、空港周辺の航空機騒音問題が深刻化している。特に都市圏の空港周辺では宅地化が進み、地域住民との紛争が激化している。これまで政府は、騒音基準制度の確立や防音工事への助成等の対策を進めてきたが、新たな住宅建築を抑制できず根本的な解決には至っていない。そこで、空港周辺における住宅等の建築制限と生活環境施設等の整備促進を通じて、航空機騒音による障害を防止し、適正な土地利用を図るための制度を確立する必要があり、本法案を提案するに至った。

参照した発言:
第82回国会 衆議院 運輸委員会 第2号

審議経過

第82回国会

衆議院
(昭和52年11月1日)
(昭和52年11月11日)
(昭和52年11月16日)
(昭和52年11月18日)
(昭和52年11月22日)

第84回国会

衆議院
(昭和53年2月28日)
(昭和53年3月2日)
参議院
(昭和53年3月23日)
(昭和53年3月28日)
(昭和53年4月6日)
(昭和53年4月11日)
(昭和53年4月12日)
特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和五十三年四月二十日
内閣総理大臣 福田赳夫
法律第二十六号
特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法
(目的)
第一条 この法律は、特定空港の周辺について、航空機騒音対策基本方針の策定、土地利用に関する規制その他の特別の措置を講ずることにより、航空機の騒音により生ずる障害を防止し、あわせて適正かつ合理的な土地利用を図ることを目的とする。
(特定空港の指定等)
第二条 空港整備法(昭和三十一年法律第八十号)第二条第一項に規定する空港であつて、おおむね十年後においてその周辺の広範囲な地域にわたり航空機の著しい騒音が及ぶこととなり、かつ、その地域において宅地化が進むと予想されるため、その周辺について航空機の騒音により生ずる障害を防止し、あわせて適正かつ合理的な土地利用を図る必要があると認められるものは、政令で特定空港として指定する。
2 前項の規定による指定があつたときは、当該特定空港の設置者は、運輸省令、建設省令で定めるところにより、おおむね十年後における当該特定空港の施設の概要、当該特定空港の周辺で航空機の著しい騒音が及ぶこととなる地域及び当該地域における航空機の騒音の程度並びに当該特定空港の設置者が講ずる航空機の騒音により生ずる障害の防止のための措置の概要を示して、当該地域を管轄する都道府県知事に対し、次条第一項に規定する基本方針を定めるべきことを要請しなければならない。次項の規定による調査の結果が都道府県知事に示した事項と著しく異なることとなる場合として政令で定める場合も、同様とする。
3 特定空港の設置者は、前項の規定による要請をしたときは、おおむね五年ごとに、おおむね十年後における当該特定空港の周辺で航空機の著しい騒音が及ぶこととなる地域及び当該地域における航空機の騒音の程度について調査を行うものとする。
(航空機騒音対策基本方針)
第三条 都道府県知事は、前条第二項の規定による要請があつたときは、政令で定めるところにより、特定空港の周辺で航空機の著しい騒音が及ぶこととなる地域及びこれと一体的に土地利用を図るべき地域について、航空機騒音対策基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区の位置及び区域に関する基本的事項
二 航空機の騒音により生ずる障害の防止に配意した土地利用に関する基本的事項
三 航空機の騒音により生ずる障害の防止のために必要な施設、生活環境施設、産業基盤施設その他の施設であつて政令で定めるものの整備に関する基本的事項
3 都道府県知事は、基本方針を定めようとするときは、運輸省令、建設省令で定めるところにより、当該基本方針の案を公表しなければならない。
4 前項の規定による公表があつたときは、関係市町村の住民及び利害関係人は、公表の日から起算して二週間以内に、その公表された基本方針の案について、都道府県知事に意見書を提出することができる。
5 都道府県知事は、基本方針を定めようとするときは、当該基本方針の案について、関係市町村長の意見を聴き、かつ、特定空港の周辺で航空機の著しい騒音が及ぶこととなる地域が二以上の都道府県の区域にわたるときは関係都府県知事に協議しなければならない。
6 都道府県知事は、基本方針を定めようとするときは、運輸大臣及び建設大臣の同意を得なければならない。この場合において、運輸大臣及び建設大臣は、同意をしようとするときは、第二項第二号及び第三号に係る部分について関係行政機関の長に協議しなければならない。
7 都道府県知事は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
8 前各項の規定は、都道府県知事が基本方針を変更する必要があると認める場合について準用する。
(航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区)
第四条 特定空港の周辺で都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第五条の規定により指定された都市計画区域内の地域においては、都市計画に航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区を定めることができる。
2 航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区に関する都市計画は、基本方針に基づいて定めなければならない。
3 航空機騒音障害防止地区は、航空機の著しい騒音が及ぶこととなる地域について定めるものとする。
4 航空機騒音障害防止特別地区は、航空機騒音障害防止地区のうち航空機の特に著しい騒音が及ぶこととなる地域について定めるものとする。
(航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区内における建築の制限等)
第五条 航空機騒音障害防止地区(航空機騒音障害防止特別地区を除く。)内において次に掲げる建築物(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。以下同じ。)の建築(同条第十三号に規定する建築をいう。以下同じ。)をしようとする場合においては、当該建築物は、政令で定めるところにより、防音上有効な構造としなければならない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校
二 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条第一項に規定する病院
三 住宅
四 前三号に掲げる建築物に類する建築物で政令で定めるもの
2 航空機騒音障害防止特別地区内においては、前項各号に掲げる建築物の建築をしてはならない。ただし、都道府県知事が、公益上やむを得ないと認め、又は航空機騒音障害防止特別地区以外の地域に建築をすることが困難若しくは著しく不適当であると認めて許可した場合は、この限りでない。
3 前項ただし書の許可には、航空機の騒音により生ずる障害の防止のために必要な限度において、建築物の構造又は設備に関し条件を付けることができる。
4 航空機騒音障害防止特別地区に関する都市計画が定められた際既に着手していた建築については、第二項の規定は、適用しない。
5 前各項の規定は、建築物の用途を変更して第一項各号に掲げる建築物のいずれかとしようとする場合について準用する。
(違反建築物に対する措置)
第六条 都道府県知事は、前条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反した建築物又は同条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定により許可に付けられた条件に違反した建築物については、当該建築物の所有者又は占有者に対して、相当の期限を定めて、当該建築物の模様替その他これらの規定に対する違反又は許可に付けられた条件に対する違反を是正するために必要な措置(以下「建築物の模様替等」という。)を講ずべきことを命ずることができる。
2 都道府県知事は、前条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反した建築物については、当該建築物の所有者又は占有者に対して、相当の期限を定めて、当該建築物の移転、除却又は用途の変更(以下「建築物の移転等」という。)をすべきことを命ずることができる。
3 都道府県知事は、前二項の規定により建築物の模様替等又は建築物の移転等を命じようとするときは、これらの措置を命ずべき者について聴聞を行わなければならない。ただし、その者が正当な理由がなくて聴聞に応じない場合は、この限りでない。
(損失の補償)
第七条 特定空港の設置者は、航空機騒音障害防止特別地区内の土地について第五条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による用益の制限により通常生ずべき損失を、当該土地の所有者その他の権原を有する者に対し、補償しなければならない。
2 前項の規定による損失の補償については、特定空港の設置者と当該土地の所有者その他の権原を有する者とが協議しなければならない。
3 前項の規定による協議が成立しない場合においては、特定空港の設置者又は当該土地の所有者その他の権原を有する者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
(土地の買入れ)
第八条 特定空港の設置者は、航空機騒音障害防止特別地区内の土地の所有者から第五条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による用益の制限のため当該土地の利用に著しい支障をきたすこととなることにより当該土地を特定空港の設置者において買い入れるべき旨の申出があつた場合においては、当該土地を買い入れるものとする。
2 前項の規定による買入れをする場合における土地の価額は、時価によるものとする。
(移転の補償等)
第九条 特定空港の設置者は、航空機騒音障害防止特別地区に関する都市計画が定められた際現に当該航空機騒音障害防止特別地区に所在する第五条第一項各号に掲げる建築物及び当該建築物と一体として利用されている当該建築物以外の建築物、立木竹その他土地に定着する物件(以下「建築物等」という。)の所有者が当該建築物等を航空機騒音障害防止特別地区以外の地域に移転し、又は除却するときは、当該建築物等の所有者その他の権原を有する者に対し、予算の範囲内において、当該移転又は除却により通常生ずべき損失を補償することができる。
2 特定空港の設置者は、前条第一項の規定による買入れをする場合のほか、政令で定めるところにより、前項の規定による補償を受けることとなる者からその者の所有に属する土地で航空機騒音障害防止特別地区に所在するものの買入れの申出があつた場合においては、予算の範囲内において、当該土地を買い入れることができる。
(買い入れた土地の管理等)
第十条 特定空港の設置者は、第八条第一項又は前条第二項の規定により買い入れた土地については、この法律の目的に適合するように管理しなければならない。
2 国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第十八条第四項及び同法第十九条において準用する同法第二十二条第一項の規定にかかわらず、国である特定空港の設置者は、第八条第一項又は前条第二項の規定により買い入れた土地を地方公共団体が公園、広場その他政令で定める施設の用に供するときは、当該地方公共団体に対し、当該土地を無償で使用させることができる。
3 国有財産法第二十二条第二項及び第三項の規定は、前項の規定により土地を使用させる場合について準用する。
(国の援助等)
第十一条 国は、基本方針に適合する施設の整備を行う地方公共団体その他の者に対し、財政上及び金融上の援助に努めなければならない。
2 特定空港の設置者は、基本方針に適合し、かつ、航空機の騒音により生ずる障害の防止に資すると認められる施設の整備を行う地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その整備に要する経費の一部を補助することができる。
(罰則)
第十二条 第六条第一項又は第二項の規定による命令に違反した者は、二十万円以下の罰金に処する。
第十三条 第五条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。
第十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部改正)
2 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(昭和四十二年法律第百十号)の一部を次のように改正する。
第九条に次の一項を加える。
3 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)第十条の規定は、前項の規定により買い入れられた土地について準用する。
第九条の三第一項中「市街化されており、又は市街化すると予想される」を「市街化されている」に改める。
(都市計画法の一部改正)
3 都市計画法の一部を次のように改正する。
第八条第一項に次の一号を加える。
十五 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)第四条第一項の規定による航空機騒音障害防止地区又は航空機騒音障害防止特別地区
第十三条第三項中「第十四号」を「第十五号」に改める。
第十五条第一項第二号中「第十二号まで」の下に「及び第十五号」を加える。
(地方税法の一部改正)
4 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第五百八十六条第二項第二十三号中「第九条第二項」の下に「又は特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)第八条第一項若しくは第九条第二項」を加える。
(運輸省設置法の一部改正)
5 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第二十八条の二第一項第十号の六の次に次の一号を加える。
十の七 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)の施行に関すること。
(建設省設置法の一部改正)
6 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第六号の七の次に次の一号を加える。
六の八 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)の施行に関する事務を管理すること。
第四条第四項中「、第六号の七及び第七号」を「及び第六号の七」に改める。
運輸大臣 福永健司
建設大臣 櫻内義雄
自治大臣 加藤武徳
内閣総理大臣 福田赳夫
特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法をここに公布する。
御名御璽
昭和五十三年四月二十日
内閣総理大臣 福田赳夫
法律第二十六号
特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法
(目的)
第一条 この法律は、特定空港の周辺について、航空機騒音対策基本方針の策定、土地利用に関する規制その他の特別の措置を講ずることにより、航空機の騒音により生ずる障害を防止し、あわせて適正かつ合理的な土地利用を図ることを目的とする。
(特定空港の指定等)
第二条 空港整備法(昭和三十一年法律第八十号)第二条第一項に規定する空港であつて、おおむね十年後においてその周辺の広範囲な地域にわたり航空機の著しい騒音が及ぶこととなり、かつ、その地域において宅地化が進むと予想されるため、その周辺について航空機の騒音により生ずる障害を防止し、あわせて適正かつ合理的な土地利用を図る必要があると認められるものは、政令で特定空港として指定する。
2 前項の規定による指定があつたときは、当該特定空港の設置者は、運輸省令、建設省令で定めるところにより、おおむね十年後における当該特定空港の施設の概要、当該特定空港の周辺で航空機の著しい騒音が及ぶこととなる地域及び当該地域における航空機の騒音の程度並びに当該特定空港の設置者が講ずる航空機の騒音により生ずる障害の防止のための措置の概要を示して、当該地域を管轄する都道府県知事に対し、次条第一項に規定する基本方針を定めるべきことを要請しなければならない。次項の規定による調査の結果が都道府県知事に示した事項と著しく異なることとなる場合として政令で定める場合も、同様とする。
3 特定空港の設置者は、前項の規定による要請をしたときは、おおむね五年ごとに、おおむね十年後における当該特定空港の周辺で航空機の著しい騒音が及ぶこととなる地域及び当該地域における航空機の騒音の程度について調査を行うものとする。
(航空機騒音対策基本方針)
第三条 都道府県知事は、前条第二項の規定による要請があつたときは、政令で定めるところにより、特定空港の周辺で航空機の著しい騒音が及ぶこととなる地域及びこれと一体的に土地利用を図るべき地域について、航空機騒音対策基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区の位置及び区域に関する基本的事項
二 航空機の騒音により生ずる障害の防止に配意した土地利用に関する基本的事項
三 航空機の騒音により生ずる障害の防止のために必要な施設、生活環境施設、産業基盤施設その他の施設であつて政令で定めるものの整備に関する基本的事項
3 都道府県知事は、基本方針を定めようとするときは、運輸省令、建設省令で定めるところにより、当該基本方針の案を公表しなければならない。
4 前項の規定による公表があつたときは、関係市町村の住民及び利害関係人は、公表の日から起算して二週間以内に、その公表された基本方針の案について、都道府県知事に意見書を提出することができる。
5 都道府県知事は、基本方針を定めようとするときは、当該基本方針の案について、関係市町村長の意見を聴き、かつ、特定空港の周辺で航空機の著しい騒音が及ぶこととなる地域が二以上の都道府県の区域にわたるときは関係都府県知事に協議しなければならない。
6 都道府県知事は、基本方針を定めようとするときは、運輸大臣及び建設大臣の同意を得なければならない。この場合において、運輸大臣及び建設大臣は、同意をしようとするときは、第二項第二号及び第三号に係る部分について関係行政機関の長に協議しなければならない。
7 都道府県知事は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
8 前各項の規定は、都道府県知事が基本方針を変更する必要があると認める場合について準用する。
(航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区)
第四条 特定空港の周辺で都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第五条の規定により指定された都市計画区域内の地域においては、都市計画に航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区を定めることができる。
2 航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区に関する都市計画は、基本方針に基づいて定めなければならない。
3 航空機騒音障害防止地区は、航空機の著しい騒音が及ぶこととなる地域について定めるものとする。
4 航空機騒音障害防止特別地区は、航空機騒音障害防止地区のうち航空機の特に著しい騒音が及ぶこととなる地域について定めるものとする。
(航空機騒音障害防止地区及び航空機騒音障害防止特別地区内における建築の制限等)
第五条 航空機騒音障害防止地区(航空機騒音障害防止特別地区を除く。)内において次に掲げる建築物(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。以下同じ。)の建築(同条第十三号に規定する建築をいう。以下同じ。)をしようとする場合においては、当該建築物は、政令で定めるところにより、防音上有効な構造としなければならない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校
二 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条第一項に規定する病院
三 住宅
四 前三号に掲げる建築物に類する建築物で政令で定めるもの
2 航空機騒音障害防止特別地区内においては、前項各号に掲げる建築物の建築をしてはならない。ただし、都道府県知事が、公益上やむを得ないと認め、又は航空機騒音障害防止特別地区以外の地域に建築をすることが困難若しくは著しく不適当であると認めて許可した場合は、この限りでない。
3 前項ただし書の許可には、航空機の騒音により生ずる障害の防止のために必要な限度において、建築物の構造又は設備に関し条件を付けることができる。
4 航空機騒音障害防止特別地区に関する都市計画が定められた際既に着手していた建築については、第二項の規定は、適用しない。
5 前各項の規定は、建築物の用途を変更して第一項各号に掲げる建築物のいずれかとしようとする場合について準用する。
(違反建築物に対する措置)
第六条 都道府県知事は、前条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反した建築物又は同条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定により許可に付けられた条件に違反した建築物については、当該建築物の所有者又は占有者に対して、相当の期限を定めて、当該建築物の模様替その他これらの規定に対する違反又は許可に付けられた条件に対する違反を是正するために必要な措置(以下「建築物の模様替等」という。)を講ずべきことを命ずることができる。
2 都道府県知事は、前条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反した建築物については、当該建築物の所有者又は占有者に対して、相当の期限を定めて、当該建築物の移転、除却又は用途の変更(以下「建築物の移転等」という。)をすべきことを命ずることができる。
3 都道府県知事は、前二項の規定により建築物の模様替等又は建築物の移転等を命じようとするときは、これらの措置を命ずべき者について聴聞を行わなければならない。ただし、その者が正当な理由がなくて聴聞に応じない場合は、この限りでない。
(損失の補償)
第七条 特定空港の設置者は、航空機騒音障害防止特別地区内の土地について第五条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による用益の制限により通常生ずべき損失を、当該土地の所有者その他の権原を有する者に対し、補償しなければならない。
2 前項の規定による損失の補償については、特定空港の設置者と当該土地の所有者その他の権原を有する者とが協議しなければならない。
3 前項の規定による協議が成立しない場合においては、特定空港の設置者又は当該土地の所有者その他の権原を有する者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
(土地の買入れ)
第八条 特定空港の設置者は、航空機騒音障害防止特別地区内の土地の所有者から第五条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による用益の制限のため当該土地の利用に著しい支障をきたすこととなることにより当該土地を特定空港の設置者において買い入れるべき旨の申出があつた場合においては、当該土地を買い入れるものとする。
2 前項の規定による買入れをする場合における土地の価額は、時価によるものとする。
(移転の補償等)
第九条 特定空港の設置者は、航空機騒音障害防止特別地区に関する都市計画が定められた際現に当該航空機騒音障害防止特別地区に所在する第五条第一項各号に掲げる建築物及び当該建築物と一体として利用されている当該建築物以外の建築物、立木竹その他土地に定着する物件(以下「建築物等」という。)の所有者が当該建築物等を航空機騒音障害防止特別地区以外の地域に移転し、又は除却するときは、当該建築物等の所有者その他の権原を有する者に対し、予算の範囲内において、当該移転又は除却により通常生ずべき損失を補償することができる。
2 特定空港の設置者は、前条第一項の規定による買入れをする場合のほか、政令で定めるところにより、前項の規定による補償を受けることとなる者からその者の所有に属する土地で航空機騒音障害防止特別地区に所在するものの買入れの申出があつた場合においては、予算の範囲内において、当該土地を買い入れることができる。
(買い入れた土地の管理等)
第十条 特定空港の設置者は、第八条第一項又は前条第二項の規定により買い入れた土地については、この法律の目的に適合するように管理しなければならない。
2 国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第十八条第四項及び同法第十九条において準用する同法第二十二条第一項の規定にかかわらず、国である特定空港の設置者は、第八条第一項又は前条第二項の規定により買い入れた土地を地方公共団体が公園、広場その他政令で定める施設の用に供するときは、当該地方公共団体に対し、当該土地を無償で使用させることができる。
3 国有財産法第二十二条第二項及び第三項の規定は、前項の規定により土地を使用させる場合について準用する。
(国の援助等)
第十一条 国は、基本方針に適合する施設の整備を行う地方公共団体その他の者に対し、財政上及び金融上の援助に努めなければならない。
2 特定空港の設置者は、基本方針に適合し、かつ、航空機の騒音により生ずる障害の防止に資すると認められる施設の整備を行う地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その整備に要する経費の一部を補助することができる。
(罰則)
第十二条 第六条第一項又は第二項の規定による命令に違反した者は、二十万円以下の罰金に処する。
第十三条 第五条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。
第十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の一部改正)
2 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(昭和四十二年法律第百十号)の一部を次のように改正する。
第九条に次の一項を加える。
3 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)第十条の規定は、前項の規定により買い入れられた土地について準用する。
第九条の三第一項中「市街化されており、又は市街化すると予想される」を「市街化されている」に改める。
(都市計画法の一部改正)
3 都市計画法の一部を次のように改正する。
第八条第一項に次の一号を加える。
十五 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)第四条第一項の規定による航空機騒音障害防止地区又は航空機騒音障害防止特別地区
第十三条第三項中「第十四号」を「第十五号」に改める。
第十五条第一項第二号中「第十二号まで」の下に「及び第十五号」を加える。
(地方税法の一部改正)
4 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第五百八十六条第二項第二十三号中「第九条第二項」の下に「又は特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)第八条第一項若しくは第九条第二項」を加える。
(運輸省設置法の一部改正)
5 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第二十八条の二第一項第十号の六の次に次の一号を加える。
十の七 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)の施行に関すること。
(建設省設置法の一部改正)
6 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第六号の七の次に次の一号を加える。
六の八 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)の施行に関する事務を管理すること。
第四条第四項中「、第六号の七及び第七号」を「及び第六号の七」に改める。
運輸大臣 福永健司
建設大臣 桜内義雄
自治大臣 加藤武徳
内閣総理大臣 福田赳夫