(目的)
第四十二条の十三 海上災害防止センターは、海上災害の発生及び拡大の防止(以下「海上防災」という。)のための措置を実施する業務を行うとともに、海上防災のための措置に必要な船舶、機械器具及び資材の保有、海上防災のための措置に関する訓練等の業務を行うことにより、国民の生命、身体及び財産の保護に資することを目的とする。
(法人格)
第四十二条の十四 海上災害防止センター(以下「センター」という。)は、法人とする。
(数)
第四十二条の十五 センターは、一を限り設立されるものとする。
(資本金)
第四十二条の十六 センターの資本金は、その設立に際し、政府及び政府以外の者が出資する額の合計額とする。
2 センターは、必要があるときは、運輸大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
3 政府は、前項の規定によりセンターがその資本金を増加するときは、予算で定める金額の範囲内において、センターに出資することができる。
(持分の払戻し等の禁止)
第四十二条の十七 センターは、出資者に対し、その持分を払い戻すことができない。
2 センターは、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
(持分の譲渡等)
第四十二条の十八 政府以外の出資者は、その持分を譲渡することができる。
2 政府以外の出資者の持分の移転は、譲受け者について第四十二条の五十一第二項各号に掲げる事項を出資者原簿に記載した後でなければ、センターその他の第三者に対抗することができない。
(名称)
第四十二条の十九 センターは、その名称中に海上災害防止センターという文字を用いなければならない。
2 センターでない者は、その名称中に海上災害防止センターという文字を用いてはならない。
(登記)
第四十二条の二十 センターは、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(民法の準用)
第四十二条の二十一 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、センターについて準用する。
(発起人)
第四十二条の二十二 センターを設立するには、海上防災について学識経験を有する者七人以上が発起人となることを必要とする。
2 発起人は、定款及び事業計画書を作成し、政府以外の者に対しセンターに対する出資を募集しなければならない。
3 前項の事業計画書に記載すべき事項は、運輸省令で定める。
(設立の認可)
第四十二条の二十三 発起人は、前条第二項の募集が終わつたときは、定款及び事業計画書を運輸大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
第四十二条の二十四 運輸大臣は、設立の認可をしようとするときは、前条の規定による認可の申請が次の各号に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。
一 設立の手続並びに定款及び事業計画書の内容が法令の規定に適合するものであること。
三 職員、設備、業務の方法その他の事項についての業務の実施に関する計画が適正なものであり、かつ、その計画を確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すると認められること。
四 前号に定めるもののほか、事業の運営が健全に行われ、海上防災のための措置の実施により国民の生命、身体及び財産の保護に資することが確実であると認められること。
(事務の引継ぎ)
第四十二条の二十五 設立の認可があつたときは、発起人は、遅滞なく、その事務をセンターの会長となるべき者に引き継がなければならない。
2 センターの会長となるべき者は、前項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政府及び出資の募集に応じた政府以外の者に対し、出資金の払込みを求めなければならない。
(設立の登記)
第四十二条の二十六 センターの会長となるべき者は、前条第二項の規定による出資金の払込みがあつたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 センターは、設立の登記をすることによつて成立する。
(定款記載事項)
第四十二条の二十七 センターの定款には、次の事項を記載しなければならない。
2 センターの定款の変更は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(役員)
第四十二条の二十八 センターに、役員として、会長一人、理事長一人、理事四人以内及び監事一人を置く。
2 役員の選任は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(役員の職務及び権限)
第四十二条の二十九 会長は、センターを代表し、その業務を総理する。
2 理事長は、センターを代表し、定款で定めるところにより、会長を補佐してセンターの業務を掌理し、会長に事故があるときはその職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、定款で定めるところにより、会長及び理事長を補佐してセンターの業務を掌理し、会長及び理事長に事故があるときはその職務を代理し、会長及び理事長が欠員のときはその職務を行う。
5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、会長又は運輸大臣に意見を提出することができる。
(役員の兼職禁止)
第四十二条の三十 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、運輸大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第四十二条の三十一 センターと会長又は理事長との利益が相反する事項については、会長及び理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事がセンターを代表する。
(代理人の選任)
第四十二条の三十二 会長は、理事又はセンターの職員のうちから、センターの業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(評議員会)
第四十二条の三十三 センターに、毎事業年度の予算及び事業計画その他センターの運営に関する重要事項を審議する機関として、評議員会を置く。
3 評議員は、海上防災について学識経験を有する者のうちから、運輸大臣の認可を受けて、会長が任命する。
(職員の任命)
第四十二条の三十四 センターの職員は、会長が任命する。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第四十二条の三十五 センターの役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(業務)
第四十二条の三十六 センターは、第四十二条の十三の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 次条の規定による海上保安庁長官の指示により排出油の防除のための措置を実施し、当該措置に要した費用を第四十二条の三十八の規定により徴収すること。
二 船舶所有者その他の者の委託により、消防船による消火及び延焼の防止その他海上防災のための措置を実施すること。
三 海上防災のための措置に必要な油回収船、油を回収するための機械器具、オイルフェンスその他の船舶、機械器具及び資材を保有し、これらを船舶所有者の利用に供すること。
五 海上防災のための措置に必要な機械器具及び資材並びに海上防災のための措置に関する技術について調査及び研究を行い、その成果を普及すること。
七 前各号に掲げるもののほか、第四十二条の十三の目的を達成するために必要な業務を行うこと。
2 センターは、前項第七号に掲げる業務を行おうとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
(センターに対する指示)
第四十二条の三十七 海上保安庁長官は、緊急に排出油の防除のための措置を講ずる必要がある場合において、第三十九条第三項の規定により措置を講ずべき者がその措置を講じていないと認められるとき、又は同項の規定により措置を講ずべきことを命ずるいとまがないと認められるときは、同項に規定する措置のうち必要と認めるものを講ずべきことを、センターに対し、指示することができる。
(センターの措置に要した費用の負担)
第四十二条の三十八 センターは、前条の規定により海上保安庁長官が指示した措置を講じたときは、当該措置に要した費用で運輸省令で定める範囲のものについて、運輸省令で定めるところにより、海上保安庁長官の承認を受けて、当該措置に係る排出された油が積載されていた船舶の船舶所有者若しくは排出された油が管理されていた海洋施設その他の施設(陸地にあるものを含む。)の設置者に負担させることができる。ただし、第四十一条第一項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
2 センターは、前項の規定による負担金を徴収しようとするときは、当該負担金の納付義務者に対し、運輸省令で定めるところにより、負担金の額、納付期限及び納付方法を通知しなければならない。
3 センターは、前項の通知を受けた納付義務者が納付期限までに同項の負担金を納付しないときは、期限を指定してこれを督促しなければならない。
4 センターは、前項の規定により督促をするときは、納付義務者に対し、督促状を発する。この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して二十日以上経過した日でなければならない。
5 センターは、第三項の規定による督促を受けた納付義務者がその指定の期限までに負担金及び第七項の規定による延滞金を納付しないときは、国税の滞納処分の例により、海上保安庁長官の認可を受けて、滞納処分をすることができる。
6 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとし、その時効については、国税の例による。
7 センターは、第三項の規定により督促をしたときは、負担金の額につき年十四・五パーセントの割合で、納付期限の翌日からその負担金の完納の日又は財産の差押えの日の前日までの日数により計算した額の延滞金を徴収することができる。ただし、運輸省令で定める場合は、この限りでない。
8 第四十一条第四項及び第五項の規定は、第一項の場合に準用する。この場合において、同条第四項及び第五項中「第一項」とあるのは、「第四十二条の三十八第一項」と読み替えるものとする。
(業務方法書)
第四十二条の三十九 センターは、業務の開始前に、業務方法書を作成し、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、運輸省令で定める。
(基金)
第四十二条の四十 センターは、第四十二条の三十六第一項第一号及び第二号の業務に関する基金を設け、第四十二条の十六第一項の規定により出資され、又は同条第二項の認可を受けた場合において出資された金額とこれらの業務に要する資金に充てることを条件として政府以外の者から出えんされた金額の合計額に相当する金額をもつてこれに充てるものとする。
2 前項の基金は、運輸省令で定めるところにより、毎事業年度の損益計算上利益又は損失を生じたときは、その利益又は損失の額により増加し又は減少するものとする。
(事業年度)
第四十二条の四十一 センターの事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(予算等の認可)
第四十二条の四十二 センターは、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(財務諸表)
第四十二条の四十三 センターは、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に運輸大臣に提出して、その承認を受けなければならない。
2 センターは、前項の規定により財務諸表を運輸大臣に提出するときは、これに予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。
(出資者に対する書類の送付)
第四十二条の四十四 センターは、第四十二条の四十二又は前条第一項に規定する認可又は承認を受けたときは、当該認可又は承認に係る予算、事業計画及び資金計画に関する書類又は財務諸表を政府以外の出資者に送付しなければならない。
(借入金)
第四十二条の四十五 センターは、資金の借入れ(借換えを含む。)をしようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第四十二条の四十六 センターは、役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、運輸大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(運輸省令への委任)
第四十二条の四十七 この法律に規定するもののほか、センターの財務及び会計に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
(報告及び検査)
第四十二条の四十八 運輸大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、センターに対しその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、センターの事務所その他の事業所(その業務の用に供している船舶を含む。)に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(監督命令等)
第四十二条の四十九 運輸大臣は、前条第一項の規定により報告をさせ、又は検査を行つた場合において、センターの業務又は会計が法令若しくはこれに基づく処分又は定款若しくは業務方法書に違反すると認めるときは、センターに対して、この法律の目的を達成するため必要な限度において、役員の解任、定款又は業務方法書の変更その他必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
2 運輸大臣は、センターが前項の規定による命令に従わなかつたときは、その役員を解任することができる。
(審査請求)
第四十二条の五十 この法律に基づいてしたセンターの処分に不服がある者は、運輸大臣に対し行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
(出資者原簿)
第四十二条の五十一 センターは、出資者原簿を備えて置かなければならない。
2 出資者原簿には、各出資者について次の事項を記載しなければならない。
二 出資の引受け及び出資金の払込みの年月日又は出資者の持分の譲受けの年月日
三 出資額又は出資者の持分の譲受け額(以下「出資額」という。)
3 政府以外の出資者は、出資者原簿の閲覧を求めることができる。
(解散)
第四十二条の五十二 センターは、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを各出資者に対しその出資額に応じて分配しなければならない。
2 前項の規定により各出資者に分配することができる金額は、その出資額を限度とする。
3 前二項に規定するもののほか、センターの解散については、別に法律で定める。
(大蔵大臣との協議)
第四十二条の五十三 運輸大臣は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第四十二条の十六第二項、第四十二条の三十六第二項、第四十二条の三十九第一項、第四十二条の四十二又は第四十二条の四十五の認可をしようとするとき。
二 第四十二条の四十三第一項又は第四十二条の四十六の承認をしようとするとき。
三 第四十二条の四十七の運輸省令を定めようとするとき。