理化学研究所法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年四月二十四日
内閣総理大臣 岸信介
法律第八十号
理化学研究所法
目次
第一章
総則(第一条―第十条)
第二章
役員及び職員(第十一条―第二十二条)
第三章
開発委員会(第二十三条―第二十八条)
第四章
業務(第二十九条―第三十一条)
第五章
財務及び会計(第三十二条―第四十一条)
第六章
監督(第四十二条・第四十三条)
第七章
雑則(第四十四条―第四十六条)
第八章
罰則(第四十七条―第五十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 理化学研究所は、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する試験研究を総合的に行い、新技術の開発を効率的に実施し、並びにこれらの試験研究及び新技術の開発の成果を普及することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「新技術」とは、国民経済上重要な科学技術に関する試験研究の成果であつて、企業化されていないものをいう。
2 この法律において「開発」とは、科学技術に関する試験研究の成果を企業的規模において実施し、企業としうるようにすることをいう。
(法人格)
第三条 理化学研究所(以下「研究所」という。)は、法人とする。
(事務所)
第四条 研究所は、主たる事務所を東京都に置く。
2 研究所は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(資本金)
第五条 研究所の資本金は、その設立に際し、政府及び政府以外の者が出資する額の合計額とする。
2 研究所は、必要があるときは、内閣総理大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
3 政府は、予算の範囲内において、研究所に出資することができる。
4 政府の出資額は、常時、研究所の資本金の額の二分の一以上に当る額でなければならない。
5 政府は、研究所に出資するときは、土地又は建物その他の土地の定着物(以下「土地等」という。)をもつて出資の目的とすることができる。
6 前項の規定により出資の目的とする土地等の価額は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
7 前項に規定する評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(出資証券)
第六条 研究所は、出資に対し出資証券を発行する。
2 出資証券は、記名式とする。
3 前項に規定するもののほか、出資証券に関し必要な事項は、政令で定める。
(定款)
第七条 研究所は、定款をもつて次の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 資本金、出資及び資産に関する事項
五 役員及び会議に関する事項
六 開発委員会の委員及び運営に関する事項
七 業務及びその執行に関する事項
八 会計に関する事項
九 公告に関する事項
十 定款の変更に関する事項
2 定款の変更は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(登記)
第八条 研究所は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第九条 研究所でない者は、理化学研究所という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第十条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、研究所について準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第十一条 研究所に、役員として、理事長一人、副理事長一人、理事五人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第十二条 理事長は、研究所を代表し、その業務を総理する。
2 副理事長は、研究所を代表し、定款で定めるところにより、理事長を補佐して研究所の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、定款で定めるところにより、理事長及び副理事長を補佐して研究所の業務を掌理し、理事長及び副理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長及び副理事長が欠員のときはその職務を行う。
4 監事は、研究所の業務を監査する。
(役員の任命)
第十三条 理事長及び監事は、内閣総理大臣が任命する。
2 副理事長及び理事は、理事長の意見をきいて、内閣総理大臣が任命する。
(役員の任期)
第十四条 理事長、副理事長及び理事の任期は、四年とし、監事の任期は、二年とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十五条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 国会議員、国家公務員(審議会、協議会等の委員その他これに準ずる地位にある者であつて非常勤のものを除く。)、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員
二 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者で研究所と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
三 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
(役員の解任)
第十六条 内閣総理大臣は、役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 内閣総理大臣は、役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 内閣総理大臣は、前項の規定により副理事長又は理事を解任しようとするときは、あらかじめ理事長の意見をきかなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十七条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。
(代表権の制限)
第十八条 研究所と理事長又は副理事長との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が研究所を代表する。
(代理人の選任)
第十九条 理事長及び副理事長は、研究所の職員のうちから、研究所の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第二十条 研究所の職員は、理事長が任命する。
(秘密保持義務)
第二十一条 役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、その職務に関して知得した秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第二十二条 役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 開発委員会
(設置)
第二十三条 研究所に、開発委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(権限)
第二十四条 次に掲げる事項は、委員会の議を経なければならない。
一 開発をすべき新技術の選定に関する事項
二 新技術の開発を委託する企業の選定に関する事項
三 新技術の開発に関する実施計画(以下「開発実施計画」という。)に関する事項
四 開発実施計画の実施の結果の成否の認定に関する事項
五 新技術の開発の成果を実施させる企業の選定及び実施条件に関する事項
(組織)
第二十五条 委員会は、委員十人以内及び理事長をもつて組織する。
2 委員会に委員長一人を置き、委員の互選により選任する。
3 委員長は、会務を総理する。
4 委員会は、あらかじめ委員のうちから、委員長に事故がある場合にその職務を代理する者を定めておかなければならない。
(委員の任命)
第二十六条 委員は、科学技術に関し学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
(委員の任期)
第二十七条 委員の任期は、二年とする。
2 委員は、再任されることができる。
(準用規定)
第二十八条 第十六条第二項、第二十一条及び第二十二条の規定は、委員について準用する。
第四章 業務
(業務の範囲)
第二十九条 研究所は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 科学技術に関する試験研究を行うこと。
二 企業化が著しく困難な新技術について企業に委託して開発を行うこと。
三 前二号に掲げる業務に係る成果を普及すること。
四 新技術の開発について企業にあつせんすること。
五 前各号の業務に附帯する業務
六 前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するために必要な業務
2 研究所は、前項第六号に掲げる業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(業務の方法)
第三十条 研究所は、業務開始の際、業務の方法を定め、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務の方法で定めるべき事項は、総理府令で定める。
(開発実施計画等の認可)
第三十一条 研究所は、新技術の開発を企業に委託しようとするときは、開発実施計画及び委託条件について内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 研究所は、新技術の開発の成果を企業に実施させようとするときは、実施させる者及び実施条件について内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
第五章 財務及び会計
(事業年度)
第三十二条 研究所の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
(事業計画、資金計画及び収支予算)
第三十三条 研究所は、毎事業年度開始前に、その事業年度の事業計画、資金計画及び収支予算を作成し、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(決算)
第三十四条 研究所は、毎事業年度の決算を翌年度の五月三十一日までに完結しなければならない。
(財務諸表)
第三十五条 研究所は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後二月以内に内閣総理大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 研究所は、前項の規定により財務諸表を内閣総理大臣に提出するときは、これに収支予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書を添附し、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。
(書類の送付)
第三十六条 研究所は、第三十三条又は前条第一項の認可又は承認を受けたときは、当該認可又は承認に係る事業計画、資金計画及び収支予算に関する書類又は財務諸表を、研究所に出資した者のうち政府以外のものに送付しなければならない。
(利益及び損失の処理)
第三十七条 研究所は、毎事業年度、経営上利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額に政令で定める率を乗じた額以上の額を積み立てなければならない。
2 研究所は、前項の規定による積立を行つた後、なお残余があるときは、内閣総理大臣の認可を受けて、その残余の額を出資者の出資に対して分配することができる。
3 研究所は、前項の規定による分配をすることができる額(以下「分配可能額」という。)が政府以外の出資者の出資額の合計額に対し千分の五十の割合に達するまでは、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第一条の規定にかかわらず、分配可能額を政府以外の出資者の出資に対しそれぞれその出資額に応じて分配するものとし、政府の出資に対しては分配することを要しない。
4 研究所は、分配可能額が政府以外の出資者の出資額の合計額に対し千分の五十の割合をこえ資本金の額に対し千分の七十五の割合に達するまでは、分配可能額のうち政府以外の出資者の出資額の合計額の千分の五十に相当する額を前項の例により分配し、残余の額を出資者の出資に対しそれぞれその出資額に応じて分配する。この場合において、残余の額の政府の出資に対する分配については、当該出資額の三倍の額を政府の出資額とみなす。
5 研究所は、分配可能額が資本金の額に対し千分の七十五の割合をこえる場合には、分配可能額を出資者の出資に対しそれぞれその出資額に応じて分配する。
6 研究所は、毎事業年度、経営上損失を生じたときは、第一項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金)
第三十八条 研究所は、借入金をしようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(余裕金の運用)
第三十九条 研究所は、業務上の余裕金については、銀行への預金又は郵便貯金にするほか、これを他に運用してはならない。
(財産の処分等の制限)
第四十条 研究所は、総理府令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(総理府令への委任)
第四十一条 この法律及びこれに基く命令に規定するもののほか、研究所の財務及び会計に関し必要な事項は、総理府令で定める。
第六章 監督
(監督)
第四十二条 研究所は、内閣総理大臣が監督する。
2 内閣総理大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、研究所に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第四十三条 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、研究所に対して業務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に研究所の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第七章 雑則
(解散)
第四十四条 研究所の解散については、別に法律で定める。
(科学技術庁長官への委任)
第四十五条 内閣総理大臣は、次の各号に掲げる権限を科学技術庁長官に委任することができる。
一 第七条第二項、第二十九条第二項、第三十条第一項、第三十一条、第三十三条、第三十七条第二項、第三十八条及び第四十条の認可
二 第三十五条第一項の承認
三 第四十三条第一項の報告及び立入検査
(関係大臣との協議)
第四十六条 内閣総理大臣(前条の規定により委任された場合には、科学技術庁長官)は、この法律の規定により認可(附則第二条第六項の認可を除く。)若しくは承認をしようとするとき、又はこの法律の規定に基き総理府令を定めようとするときは、あらかじめ大蔵大臣に協議しなければならない。
2 内閣総理大臣(前条の規定により委任された場合には、科学技術庁長官)は、第三十一条の認可をしようとするときは、あらかじめ当該開発に係る事業を所管する主務大臣に協議しなければならない。
第八章 罰則
(罰則)
第四十七条 第二十一条(第二十八条において準用する場合を含む。)の規定に違反してその職務に関して知得した秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第四十八条 第四十三条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合においては、その違反行為をした研究所の役員又は職員を三万円以下の罰金に処する。
第四十九条 次の各号の一に該当する場合においては、その違反行為をした研究所の役員又は職員を三万円以下の過料に処する。
一 この法律により内閣総理大臣(第四十五条の規定により委任された場合には、科学技術庁長官)の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第八条第一項の政令に違反して登記することを怠つたとき。
三 第二十九条第一項に規定する業務以外の業務を行つたとき。
四 第三十九条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第四十二条第二項の規定による内閣総理大臣の命令に違反したとき。
第五十条 第九条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第四十六条第一項中附則第二条第四項及び附則第四条第六項に係る部分並びに附則第二条第一項から第八項まで、附則第三条第一項から第三項まで及び附則第四条の規定は、公布の日から施行する。
(研究所の設立)
第二条 内閣総理大臣は、第十三条の例により、研究所の理事長、副理事長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された理事長、副理事長又は監事となるべき者は、研究所の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長、副理事長又は監事に任命されたものとする。
3 内閣総理大臣は、設立委員を命じて、研究所の設立に関する事務を処理させる。
4 設立委員は、定款を作成して、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
5 設立委員は、前項の認可を受けたときは、政府以外の者に対する出資を募集しなければならない。
6 設立委員は、前項の募集が終つたときは、内閣総理大臣に対し設立の認可を申請しなければならない。
7 設立委員は、前項の認可を受けたときは、政府及び出資の募集に応じた政府以外の者に対し、出資金の払込又は出資の目的たる財産の給付を求めなければならない。
8 設立委員は、出資金の払込又は出資の目的たる財産の給付があつた日において、その事務を第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
9 第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前項の事務の引継を受けた日において、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
10 研究所は、前項の規定による設立の登記をすることによつて成立する。
(株式会社科学研究所の出資、解散等)
第三条 株式会社科学研究所は、この法律の公布の日から起算して三月以内に商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百四十三条に規定する株主総会の決議を得て、研究所に対しその営業の全部を出資することができる。商法第二百四十五条ノ二本文から第二百四十五条ノ四までの規定は、当該決議がある場合に準用する。
2 株式会社科学研究所が前項の出資をする場合においては、株式会社科学研究所の株主は、その所有する株式の数に比例して、研究所の出資証券の引受人となる。
3 株式会社科学研究所は、第一項の規定により出資をする場合においては、研究所の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において研究所に承継されるものとする。この場合においては、他の法令中法人の解散及び清算に関する規定は、適用しない。
4 附則第二条第九項の規定により研究所の設立の登記がなされたときは、登記官吏は、職権で、株式会社科学研究所の解散の登記をし、その登記用紙を閉鎖しなければならない。
(評価審査会)
第四条 前条第一項の規定により株式会社科学研究所が研究所に対する出資の目的とする財産の価額は、評価審査会の決定を受けなければならない。
2 前項の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するため、科学技術庁に評価審査会を置く。
3 評価審査会は、委員長一人及び委員六人をもつて組織する。
4 委員長は、科学技術庁長官をもつて充てる。
5 委員は、科学技術庁長官が任命する。
6 前各号に定めるもののほか、評価審査会の委員、議事その他その組織及び運営に関し必要な事項は、総理府令で定める。
(経過規定)
第五条 この法律(附則第一条ただし書に係る部分を除く。以下同じ。)の施行の際現に理化学研究所という名称を使用している者は、この法律の施行後六月以内にその名称を変更しなければならない。
2 第九条の規定は、前項に規定する期間内は、同項に規定する者には適用しない。
第六条 研究所の最初の事業年度は、第三十二条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和三十四年三月三十一日に終るものとする。
第七条 研究所の成立の日の属する事業年度の事業計画、資金計画及び収支予算については、第三十三条中「毎事業年度開始前に」とあるのは、「研究所の成立後遅滞なく」とする。
第八条 株式会社科学研究所法(昭和三十年法律第百六十号)は、廃止する。
(登録税法の一部改正)
第九条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「日本原子力研究所」の下に「、理化学研究所」を、「日本原子力研究所法」の下に「、理化学研究所法」を加える。
(地方税法の一部改正)
第十条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十三条の四第一項第一号中「及び日本原子力研究所」を「、日本原子力研究所及び理化学研究所」に改める。
(科学技術庁設置法の一部改正)
第十一条 科学技術庁設置法(昭和三十一年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。
第七条第七号中「株式会社科学研究所」を「理化学研究所」に改める。
(租税特別措置法の一部改正)
第十二条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第八十四条第一項中「、株式会社科学研究所」を削る。
内閣総理大臣 岸信介
法務大臣 唐澤俊樹
大蔵大臣 一萬田尚登
厚生大臣 堀木鎌三
農林大臣臨時代理 国務大臣 石井光次郎
通商産業大臣 前尾繁三郎
運輸大臣 中村三之丞
理化学研究所法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年四月二十四日
内閣総理大臣 岸信介
法律第八十号
理化学研究所法
目次
第一章
総則(第一条―第十条)
第二章
役員及び職員(第十一条―第二十二条)
第三章
開発委員会(第二十三条―第二十八条)
第四章
業務(第二十九条―第三十一条)
第五章
財務及び会計(第三十二条―第四十一条)
第六章
監督(第四十二条・第四十三条)
第七章
雑則(第四十四条―第四十六条)
第八章
罰則(第四十七条―第五十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 理化学研究所は、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する試験研究を総合的に行い、新技術の開発を効率的に実施し、並びにこれらの試験研究及び新技術の開発の成果を普及することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「新技術」とは、国民経済上重要な科学技術に関する試験研究の成果であつて、企業化されていないものをいう。
2 この法律において「開発」とは、科学技術に関する試験研究の成果を企業的規模において実施し、企業としうるようにすることをいう。
(法人格)
第三条 理化学研究所(以下「研究所」という。)は、法人とする。
(事務所)
第四条 研究所は、主たる事務所を東京都に置く。
2 研究所は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(資本金)
第五条 研究所の資本金は、その設立に際し、政府及び政府以外の者が出資する額の合計額とする。
2 研究所は、必要があるときは、内閣総理大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
3 政府は、予算の範囲内において、研究所に出資することができる。
4 政府の出資額は、常時、研究所の資本金の額の二分の一以上に当る額でなければならない。
5 政府は、研究所に出資するときは、土地又は建物その他の土地の定着物(以下「土地等」という。)をもつて出資の目的とすることができる。
6 前項の規定により出資の目的とする土地等の価額は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
7 前項に規定する評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(出資証券)
第六条 研究所は、出資に対し出資証券を発行する。
2 出資証券は、記名式とする。
3 前項に規定するもののほか、出資証券に関し必要な事項は、政令で定める。
(定款)
第七条 研究所は、定款をもつて次の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 資本金、出資及び資産に関する事項
五 役員及び会議に関する事項
六 開発委員会の委員及び運営に関する事項
七 業務及びその執行に関する事項
八 会計に関する事項
九 公告に関する事項
十 定款の変更に関する事項
2 定款の変更は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(登記)
第八条 研究所は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第九条 研究所でない者は、理化学研究所という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第十条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、研究所について準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第十一条 研究所に、役員として、理事長一人、副理事長一人、理事五人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第十二条 理事長は、研究所を代表し、その業務を総理する。
2 副理事長は、研究所を代表し、定款で定めるところにより、理事長を補佐して研究所の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、定款で定めるところにより、理事長及び副理事長を補佐して研究所の業務を掌理し、理事長及び副理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長及び副理事長が欠員のときはその職務を行う。
4 監事は、研究所の業務を監査する。
(役員の任命)
第十三条 理事長及び監事は、内閣総理大臣が任命する。
2 副理事長及び理事は、理事長の意見をきいて、内閣総理大臣が任命する。
(役員の任期)
第十四条 理事長、副理事長及び理事の任期は、四年とし、監事の任期は、二年とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十五条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 国会議員、国家公務員(審議会、協議会等の委員その他これに準ずる地位にある者であつて非常勤のものを除く。)、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員
二 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者で研究所と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
三 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
(役員の解任)
第十六条 内閣総理大臣は、役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 内閣総理大臣は、役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 内閣総理大臣は、前項の規定により副理事長又は理事を解任しようとするときは、あらかじめ理事長の意見をきかなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十七条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。
(代表権の制限)
第十八条 研究所と理事長又は副理事長との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が研究所を代表する。
(代理人の選任)
第十九条 理事長及び副理事長は、研究所の職員のうちから、研究所の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第二十条 研究所の職員は、理事長が任命する。
(秘密保持義務)
第二十一条 役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、その職務に関して知得した秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第二十二条 役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 開発委員会
(設置)
第二十三条 研究所に、開発委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(権限)
第二十四条 次に掲げる事項は、委員会の議を経なければならない。
一 開発をすべき新技術の選定に関する事項
二 新技術の開発を委託する企業の選定に関する事項
三 新技術の開発に関する実施計画(以下「開発実施計画」という。)に関する事項
四 開発実施計画の実施の結果の成否の認定に関する事項
五 新技術の開発の成果を実施させる企業の選定及び実施条件に関する事項
(組織)
第二十五条 委員会は、委員十人以内及び理事長をもつて組織する。
2 委員会に委員長一人を置き、委員の互選により選任する。
3 委員長は、会務を総理する。
4 委員会は、あらかじめ委員のうちから、委員長に事故がある場合にその職務を代理する者を定めておかなければならない。
(委員の任命)
第二十六条 委員は、科学技術に関し学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
(委員の任期)
第二十七条 委員の任期は、二年とする。
2 委員は、再任されることができる。
(準用規定)
第二十八条 第十六条第二項、第二十一条及び第二十二条の規定は、委員について準用する。
第四章 業務
(業務の範囲)
第二十九条 研究所は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 科学技術に関する試験研究を行うこと。
二 企業化が著しく困難な新技術について企業に委託して開発を行うこと。
三 前二号に掲げる業務に係る成果を普及すること。
四 新技術の開発について企業にあつせんすること。
五 前各号の業務に附帯する業務
六 前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するために必要な業務
2 研究所は、前項第六号に掲げる業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(業務の方法)
第三十条 研究所は、業務開始の際、業務の方法を定め、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務の方法で定めるべき事項は、総理府令で定める。
(開発実施計画等の認可)
第三十一条 研究所は、新技術の開発を企業に委託しようとするときは、開発実施計画及び委託条件について内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 研究所は、新技術の開発の成果を企業に実施させようとするときは、実施させる者及び実施条件について内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
第五章 財務及び会計
(事業年度)
第三十二条 研究所の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
(事業計画、資金計画及び収支予算)
第三十三条 研究所は、毎事業年度開始前に、その事業年度の事業計画、資金計画及び収支予算を作成し、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(決算)
第三十四条 研究所は、毎事業年度の決算を翌年度の五月三十一日までに完結しなければならない。
(財務諸表)
第三十五条 研究所は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後二月以内に内閣総理大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 研究所は、前項の規定により財務諸表を内閣総理大臣に提出するときは、これに収支予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書を添附し、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。
(書類の送付)
第三十六条 研究所は、第三十三条又は前条第一項の認可又は承認を受けたときは、当該認可又は承認に係る事業計画、資金計画及び収支予算に関する書類又は財務諸表を、研究所に出資した者のうち政府以外のものに送付しなければならない。
(利益及び損失の処理)
第三十七条 研究所は、毎事業年度、経営上利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額に政令で定める率を乗じた額以上の額を積み立てなければならない。
2 研究所は、前項の規定による積立を行つた後、なお残余があるときは、内閣総理大臣の認可を受けて、その残余の額を出資者の出資に対して分配することができる。
3 研究所は、前項の規定による分配をすることができる額(以下「分配可能額」という。)が政府以外の出資者の出資額の合計額に対し千分の五十の割合に達するまでは、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第一条の規定にかかわらず、分配可能額を政府以外の出資者の出資に対しそれぞれその出資額に応じて分配するものとし、政府の出資に対しては分配することを要しない。
4 研究所は、分配可能額が政府以外の出資者の出資額の合計額に対し千分の五十の割合をこえ資本金の額に対し千分の七十五の割合に達するまでは、分配可能額のうち政府以外の出資者の出資額の合計額の千分の五十に相当する額を前項の例により分配し、残余の額を出資者の出資に対しそれぞれその出資額に応じて分配する。この場合において、残余の額の政府の出資に対する分配については、当該出資額の三倍の額を政府の出資額とみなす。
5 研究所は、分配可能額が資本金の額に対し千分の七十五の割合をこえる場合には、分配可能額を出資者の出資に対しそれぞれその出資額に応じて分配する。
6 研究所は、毎事業年度、経営上損失を生じたときは、第一項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金)
第三十八条 研究所は、借入金をしようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(余裕金の運用)
第三十九条 研究所は、業務上の余裕金については、銀行への預金又は郵便貯金にするほか、これを他に運用してはならない。
(財産の処分等の制限)
第四十条 研究所は、総理府令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(総理府令への委任)
第四十一条 この法律及びこれに基く命令に規定するもののほか、研究所の財務及び会計に関し必要な事項は、総理府令で定める。
第六章 監督
(監督)
第四十二条 研究所は、内閣総理大臣が監督する。
2 内閣総理大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、研究所に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第四十三条 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、研究所に対して業務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に研究所の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第七章 雑則
(解散)
第四十四条 研究所の解散については、別に法律で定める。
(科学技術庁長官への委任)
第四十五条 内閣総理大臣は、次の各号に掲げる権限を科学技術庁長官に委任することができる。
一 第七条第二項、第二十九条第二項、第三十条第一項、第三十一条、第三十三条、第三十七条第二項、第三十八条及び第四十条の認可
二 第三十五条第一項の承認
三 第四十三条第一項の報告及び立入検査
(関係大臣との協議)
第四十六条 内閣総理大臣(前条の規定により委任された場合には、科学技術庁長官)は、この法律の規定により認可(附則第二条第六項の認可を除く。)若しくは承認をしようとするとき、又はこの法律の規定に基き総理府令を定めようとするときは、あらかじめ大蔵大臣に協議しなければならない。
2 内閣総理大臣(前条の規定により委任された場合には、科学技術庁長官)は、第三十一条の認可をしようとするときは、あらかじめ当該開発に係る事業を所管する主務大臣に協議しなければならない。
第八章 罰則
(罰則)
第四十七条 第二十一条(第二十八条において準用する場合を含む。)の規定に違反してその職務に関して知得した秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第四十八条 第四十三条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合においては、その違反行為をした研究所の役員又は職員を三万円以下の罰金に処する。
第四十九条 次の各号の一に該当する場合においては、その違反行為をした研究所の役員又は職員を三万円以下の過料に処する。
一 この法律により内閣総理大臣(第四十五条の規定により委任された場合には、科学技術庁長官)の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第八条第一項の政令に違反して登記することを怠つたとき。
三 第二十九条第一項に規定する業務以外の業務を行つたとき。
四 第三十九条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第四十二条第二項の規定による内閣総理大臣の命令に違反したとき。
第五十条 第九条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第四十六条第一項中附則第二条第四項及び附則第四条第六項に係る部分並びに附則第二条第一項から第八項まで、附則第三条第一項から第三項まで及び附則第四条の規定は、公布の日から施行する。
(研究所の設立)
第二条 内閣総理大臣は、第十三条の例により、研究所の理事長、副理事長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された理事長、副理事長又は監事となるべき者は、研究所の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長、副理事長又は監事に任命されたものとする。
3 内閣総理大臣は、設立委員を命じて、研究所の設立に関する事務を処理させる。
4 設立委員は、定款を作成して、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
5 設立委員は、前項の認可を受けたときは、政府以外の者に対する出資を募集しなければならない。
6 設立委員は、前項の募集が終つたときは、内閣総理大臣に対し設立の認可を申請しなければならない。
7 設立委員は、前項の認可を受けたときは、政府及び出資の募集に応じた政府以外の者に対し、出資金の払込又は出資の目的たる財産の給付を求めなければならない。
8 設立委員は、出資金の払込又は出資の目的たる財産の給付があつた日において、その事務を第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
9 第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前項の事務の引継を受けた日において、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
10 研究所は、前項の規定による設立の登記をすることによつて成立する。
(株式会社科学研究所の出資、解散等)
第三条 株式会社科学研究所は、この法律の公布の日から起算して三月以内に商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百四十三条に規定する株主総会の決議を得て、研究所に対しその営業の全部を出資することができる。商法第二百四十五条ノ二本文から第二百四十五条ノ四までの規定は、当該決議がある場合に準用する。
2 株式会社科学研究所が前項の出資をする場合においては、株式会社科学研究所の株主は、その所有する株式の数に比例して、研究所の出資証券の引受人となる。
3 株式会社科学研究所は、第一項の規定により出資をする場合においては、研究所の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において研究所に承継されるものとする。この場合においては、他の法令中法人の解散及び清算に関する規定は、適用しない。
4 附則第二条第九項の規定により研究所の設立の登記がなされたときは、登記官吏は、職権で、株式会社科学研究所の解散の登記をし、その登記用紙を閉鎖しなければならない。
(評価審査会)
第四条 前条第一項の規定により株式会社科学研究所が研究所に対する出資の目的とする財産の価額は、評価審査会の決定を受けなければならない。
2 前項の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するため、科学技術庁に評価審査会を置く。
3 評価審査会は、委員長一人及び委員六人をもつて組織する。
4 委員長は、科学技術庁長官をもつて充てる。
5 委員は、科学技術庁長官が任命する。
6 前各号に定めるもののほか、評価審査会の委員、議事その他その組織及び運営に関し必要な事項は、総理府令で定める。
(経過規定)
第五条 この法律(附則第一条ただし書に係る部分を除く。以下同じ。)の施行の際現に理化学研究所という名称を使用している者は、この法律の施行後六月以内にその名称を変更しなければならない。
2 第九条の規定は、前項に規定する期間内は、同項に規定する者には適用しない。
第六条 研究所の最初の事業年度は、第三十二条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和三十四年三月三十一日に終るものとする。
第七条 研究所の成立の日の属する事業年度の事業計画、資金計画及び収支予算については、第三十三条中「毎事業年度開始前に」とあるのは、「研究所の成立後遅滞なく」とする。
第八条 株式会社科学研究所法(昭和三十年法律第百六十号)は、廃止する。
(登録税法の一部改正)
第九条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「日本原子力研究所」の下に「、理化学研究所」を、「日本原子力研究所法」の下に「、理化学研究所法」を加える。
(地方税法の一部改正)
第十条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十三条の四第一項第一号中「及び日本原子力研究所」を「、日本原子力研究所及び理化学研究所」に改める。
(科学技術庁設置法の一部改正)
第十一条 科学技術庁設置法(昭和三十一年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。
第七条第七号中「株式会社科学研究所」を「理化学研究所」に改める。
(租税特別措置法の一部改正)
第十二条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第八十四条第一項中「、株式会社科学研究所」を削る。
内閣総理大臣 岸信介
法務大臣 唐沢俊樹
大蔵大臣 一万田尚登
厚生大臣 堀木鎌三
農林大臣臨時代理 国務大臣 石井光次郎
通商産業大臣 前尾繁三郎
運輸大臣 中村三之丞