第二十一条の二 体重が二千五百グラム以下の乳児が出生したときは、その保護者は、すみやかに、厚生省令で定める事項を、その乳児の現在地を管轄する保健所長に届け出なければならない。
第二十一条の三 保健所長は、その管轄する区城内に現在地を有する未熟児(身体の発育が未熟のまま出生した乳児であつて、正常児が出生時に有する諸機能を得るに至るまでのものをいう。以下同じ。)について、養育上必要があると認めるときは、医師、保健婦、助産婦又はその他の職員をして、その未熟児の保護者を訪問させ、必要な指導を行わせるものとする。
第二十一条の四 都道府県知事(保健所を設置する市にあつては、市長)は、養育のため病院又は診療所に収容することを必要とする未熟児に対し、その養育に必要な医療(以下「養育医療」という。)の給付を行い、又はこれに代えて養育医療に要する費用を支給することができる。
前項の規定による費用の支給は、養育医療の給付が困難であると認められる場合に限り、行うことができる。
養育医療の給付は、厚生大臣又は都道府県知事が次条の規定により指定する病院若しくは診療所又は薬局(以下「指定養育医療機関」という。)に委託して行うものとする。
第二十一条の五 厚生大臣は、国が開設した病院若しくは診療所又は薬局についてその主務大臣の同意を得て、都道府県知事は、その他の病院若しくは診療所又は薬局についてその開設者の同意を得て、前条の規定による養育医療を担当させる機関を指定する。
指定養育医療機関は、三十日以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。
指定養育医療機関が次条の規定に違反したとき、その他指定養育医療機関に養育医療を担当させるについて著しく不適当であると認められる理由があるときは、厚生大臣が指定した医療機関については厚生大臣、都道府県知事が指定した医療機関については都道府県知事は、その指定を取り消すことができる。
厚生大臣又は都道府県知事は、前項の規定により指定を取り消す場合には、当該医療機関の開設者に対して弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、書面をもつて弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をなすべき理由を通知しなければならない。
第二十一条の六 指定養育医療機関は、厚生大臣の定めるところにより、養育医療を担当しなければならない。
第二十一条の七 指定養育医療機関の診療方針及び診療報酬は、健康保険の診療方針及び診療報酬の例による。
前項に規定する診療方針及び診療報酬によることができないとき、及びこれによることを適当としないときの診療方針及び診療報酬は、厚生大臣が定めるところによる。
第二十一条の八 都道府県知事は、指定養育医療機関の診療内容及び診療報酬の請求を随時審査し、かつ、指定養育医療機関が前条の規定によつて請求することができる診療報酬の額を決定することができる。
指定養育医療機関は、都道府県知事が行う前項の決定に従わなければならない。
都道府県知事は、第一項の規定により指定養育医療機関が請求することができる診療報酬の額を決定するに当つては、社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会の意見を聞かなければならない。
都道府県又は保健所を設置する市は、指定養育医療機関に対する診療報酬の支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金に委託することができる。
第二十一条の九 厚生大臣又は都道府県知事は、指定養育医療機関の診療報酬の請求が適正であるかどうかを調査するため必要があると認めるときは、指定養育医療機関の管理者に対して必要な報告を求め、又は当該職員をして、指定養育医療機関について、その管理者の同意を得て、実地に診療録その他の帳簿書類を検査させることができる。
指定養育医療機関の管理者が、正当な理由がなく、前項の報告の求めに応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の同意を拒んだときは、厚生大臣又は都道府県知事は、当該指定養育医療機関に対する都道府県又は保健所を設置する市の診療報酬の支払を一時差し止めさせ、又は差し止めることができる。
第二十一条の十 第二十一条の四第一項の規定により支給する費用の額は、第二十一条の七の規定により指定養育医療機関が請求することができる診療報酬の例により算定した額のうち、本人及びその扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者をいう。以下同じ。)が負担することができないと認められる額とする。