お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律
法令番号: 法律第170号
公布年月日: 昭和33年7月11日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

お年玉つき郵便葉書等の寄附金に関する制度を改善するため、以下の改正を行う。第一に、寄附金配分の対象範囲を社会福祉事業に加え、非常災害の救助、難病の研究・治療、原爆被災者援助にも拡大する。第二に、発行前の寄附目的等の告示や配分額の公示など、発行手続を整備する。第三に、寄附金の適正管理のため郵便募金管理会を設立する。第四に、寄附金使途の適正化のため、郵政大臣による監督規定を設ける。なお、本法案は前国会で不成立となったが、その重要性に鑑み再提案するものである。

参照した発言:
第29回国会 参議院 逓信委員会 第3号

審議経過

第29回国会

参議院
(昭和33年6月26日)
衆議院
(昭和33年6月27日)
参議院
(昭和33年6月27日)
(昭和33年6月30日)
衆議院
(昭和33年7月2日)
(昭和33年7月3日)
(昭和33年7月8日)
参議院
(昭和33年7月8日)
衆議院
(昭和33年7月12日)
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年七月十一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百七十号
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律(昭和二十四年法律第二百二十四号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金の処理に関する法律
第一条の前に見出しとして「(お年玉つき郵便葉書の発行)」を附する。
第二条中「左に掲げる事項」を「次に掲げる事項」に改める。
第三条の前に見出しとして「(お年玉の交付等)」を附する。
第五条を次のように改める。
(寄附金つき郵便葉書等の発行)
第五条 郵政省は、寄附金を郵便に関する料金に加算した額の郵便葉書(お年玉つき郵便葉書を含む。)又は郵便切手(以下「寄附金つき郵便葉書等」と総称する。)を発行することができる。
2 前項の寄附金は、社会福祉の増進を目的とする事業を行う団体、風水害、震災等非常災害による被災者の救助を行う団体、がん、結核、小児まひその他特殊な疾病の学術的研究及び治療を行う団体又は原子爆弾の被爆者に対する治療その他の援助を行う団体の当該事業の実施に必要な費用に充てることを寄附目的とするものでなければならない。
3 前項の団体は、第一項の規定により寄附金つき郵便葉書等を発行するつど、その発行前に、郵政大臣が政令で定めるところにより指定するものとする。
4 郵政大臣は、第一項の規定により発行する寄附金つき郵便葉書等につき、その発行前に、次に掲げる事項を告示しなければならない。ただし、当該寄附金つき郵便葉書等が、寄附金つきのお年玉つき郵便葉書である場合には、当該お年玉つき郵便葉書に係る第二条の規定による告示の際、同条各号に掲げる事項のほか、第一号、第四号及び第五号に掲げる事項を告示すれば足りる。
一 寄附目的
二 発行の数
三 売さばき期間
四 附加される寄附金の額
五 寄附金の配分を受ける第二項の団体の名称
5 寄附金つき郵便葉書等には、寄附金の額を明確に表示しなければならない。
第五条の次に次の三十二条を加える。
第六条 郵便局、簡易郵便局又は郵便切手類売さばき所において寄附金つき郵便葉書等を購入した者は、その購入によつて、寄附金つき郵便葉書等に表示されている額の寄附金を、当該寄附金つき郵便葉書等につき前条第四項の規定により告示された寄附目的をもつて、郵便募金管理会に寄附したものとする。
2 郵便局は、前項の寄附金(以下単に「寄附金」という。)を遅滞なく郵便募金管理会に送付するものとする。
3 郵便募金管理会は、前項の規定により寄附金の送付を受けたときは、当該寄附金つき郵便葉書等の発行及び売さばき並びに寄附金の送付のため郵政省において特に要した費用を郵政省に納付しなければならない。
4 前項の費用の額は、郵政省と郵便募金管理会との協議によつて定める。
(配分金額の決定等)
第七条 郵政大臣は、第五条第一項の規定により寄附金つき郵便葉書等を発行したときは、当該寄附金つき郵便葉書等に係る売さばき期間が経過した後、当該寄附金つき郵便葉書等につき同条第四項の規定により告示した同項第五号の団体(以下「配分団体」という。)ごとに、当該団体に対する寄附金の配分額を決定するものとする。
2 郵政大臣は、前項の規定による決定をするに当つては、当該配分に係る寄附金(以下「配分金」という。)の使途の適正を確保するために当該配分団体が守らなければならない事項を定めることができる。
3 郵政大臣は、第一項の規定による決定をし、又は前項に規定する事項を定めるには、あらかじめ当該寄附金つき郵便葉書等の寄附目的に係る事業を所管する大臣と協議し、かつ、郵政審議会にはからなければならない。
4 郵政大臣は、第一項の規定による決定をしたときは、遅滞なく、配分団体ごとの配分金の額を公示するとともに、その額及び第二項に規定する事項を定めた場合にあつてはその事項を当該配分団体及び郵便募金管理会に通知しなければならない。
(配分金交付契約)
第八条 前条第四項の規定による通知を受けた配分団体は、郵便募金管理会に対し、当該通知に係る配分金につき配分金交付契約を締結すべき旨を申し入れることができる。
第九条 郵便募金管理会は、配分団体から前条の規定による申入を受けたときは、遅滞なく、その申入に基き、当該配分団体を相手方として配分金交付契約を締結しなければならない。
第十条 配分金交付契約においては、郵政大臣の定めるところにより、配分金の交付、配分金の使用、配分金の使途について郵便募金管理会の行う監査及び当該監査の結果に基く配分金の返還に関し必要な事項を約定するものとする。
2 郵政大臣は、前項の監査に係る約定事項に関し同項の規定による定をしようとするときは、当該配分金に係る事業を所管する大臣と協議しなければならない。
(郵便募金管理会の目的及び法人格)
第十一条 郵便募金管理会(以下「管理会」という。)は、寄附金の出納及び配分金の使途の適正を図ることを目的として設立される法人とする。
(事務所)
第十二条 管理会は、事務所を東京都に置く。
(登記)
第十三条 管理会は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第十四条 管理会でない者は、郵便募金管理会という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第十五条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、管理会に準用する。
(役員)
第十六条 管理会に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事二人以内を置く。
第十七条 理事長は、管理会を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して管理会の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
3 監事は、管理会の業務を監査する。
第十八条 役員は、郵政大臣が任命する。
2 役員の任期は、三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十九条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 国務大臣、国会議員、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長
二 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)
三 政党の役員
(役員の解任)
第二十条 郵政大臣は、役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 郵政大臣は、役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
(役員の兼職禁止)
第二十一条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、郵政大臣が役員としての職務の執行に支障がないものと認めて許可したときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第二十二条 管理会と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が管理会を代表する。
(役員及び職員の地位)
第二十三条 管理会の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(業務)
第二十四条 管理会は、第十一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 寄附金の受入及び保管
二 配分金の交付及び配分金に係る返還金の受入
三 交付に係る配分金の使途についての監査
四 前三号の業務に附帯する業務
(業務方法書)
第二十五条 管理会は、業務開始の際、業務方法書を定め、郵政大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書には、寄附金の受入の手続、保管の方法、配分金の交付及び配分金に係る返還金の受入の手続、監査の方法及び手続、公示の方法その他管理会の業務の執行に関し必要な事項を記載しなければならない。
(監査結果の報告)
第二十六条 管理会は、配分団体に対し配分金の使途についての監査を行つたときは、遅滞なく、その監査の結果を郵政大臣及び当該配分金に係る事業を所管する大臣に報告しなければならない。
(事業年度)
第二十七条 管理会の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
2 管理会は、毎事業年度の決算を翌年度の五月三十一日までに完結しなければならない。
(事業計画等)
第二十八条 管理会は、毎事業年度、事業計画並びに収入及び支出の予算を作成し、事業年度の開始前に郵政大臣の認可を受けなければならない。これに重要な変更を加えようとするときも、同様とする。
(事業報告書等)
第二十九条 管理会は、毎事業年度、事業報告書を作成し、これに当該事業年度の決算報告書を添え、監事の意見をつけて、決算完結後一月以内に郵政大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 管理会は、前項の承認を受けたときは、遅滞なく、事業報告書の概要を公示するとともに、事業報告書をその事務所に備えて置かなければならない。
(余裕金の運用)
第三十条 管理会は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 郵便貯金又は銀行若しくは郵政大臣の指定するその他の金融機関への預金
二 国債その他の有価証券で郵政大臣の指定するものの取得
(業務の執行に要する費用)
第三十一条 管理会は、郵政大臣の認可を受けて、寄附金の一部をその業務の執行に要する費用に充てることができる。
2 前項の規定により管理会がその業務の執行に要する費用に充てることができる額は、寄附金の額の百分の二をこえることができない。
(監督)
第三十二条 管理会は、郵政大臣が監督する。
2 郵政大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、管理会に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第三十三条 郵政大臣は、必要があると認めるときは、管理会に対して業務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に管理会の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(解散)
第三十四条 管理会の解散については、別に法律で定める。
(罰則)
第三十五条 第三十三条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合においては、その違反行為をした管理会の役員又は職員を三万円以下の罰金に処する。
第三十六条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした管理会の役員又は職員を三万円以下の過料に処する。
一 第九条の規定に違反して配分金交付契約を締結せず、又は第十条第一項の規定に違反して配分金交付契約を締結したとき。
二 この法律の規定により郵政大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
三 第十三条第一項の規定に違反して、登記をすることを怠つたとき。
四 第二十四条に規定する業務以外の業務を行つたとき。
五 第二十六条の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
六 第二十九条第二項の規定に違反して、事業報告書の概要を公示せず、又は事業報告書を備えて置かなかつたとき。
七 第三十条の規定に違反して、業務上の余裕金を運用したとき。
八 第三十二条第二項の規定による郵政大臣の命令に違反したとき。
第三十七条 第十四条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(郵便募金管理会の設立)
2 郵政大臣は、お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金の処理に関する法律(以下「新法」という。)第十八条第一項の例により、郵便募金管理会(以下「管理会」という。)の理事長、理事又は監事となるべき者を指名する。
3 前項の規定により指名された理事長、理事又は監事となるべき者は、管理会の成立の時において、新法の規定により、それぞれ、理事長、理事又は監事に任命されたものとする。
4 郵政大臣は、設立委員を命じて、管理会の設立に関する事務を処理させる。
5 設立委員は、管理会の設立の準備を完了したときは、その旨を郵政大臣に届け出るとともに、その事務を附則第二項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
6 附則第二項の規定により指名された理事長となるべき者は、前項の事務の引継を受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
7 管理会は、設立の登記をすることによつて成立する。
(経過規定)
8 新法第十四条の規定は、この法律の施行の際現に郵便募金管理会という名称を使用している者については、この法律の施行後六月間は、適用しない。
9 管理会の最初の事業年度は、新法第二十七条第一項の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和三十四年三月三十一日に終るものとする。
10 管理会の最初の事業年度の事業計画並びに収入及び支出の予算については、新法第二十八条中「事業年度の開始前に」とあるのは、「管理会の成立後遅滞なく」とする。
(登録税法の一部改正)
11 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「日本赤十字社」の下に「、郵便募金管理会」を、「日本赤十字社法」の下に「、お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金の処理に関する法律」を加える。
(所得税法の一部改正)
12 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第八号中「社会福祉法人」の下に「、郵便募金管理会」を加える。
(法人税法の一部改正)
13 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項第一号中「社会福祉法人」の下に「、郵便募金管理会」を加える。
(地方税法の一部改正)
14 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第一号中「社会福祉法人」の下に「、郵便募金管理会」を加える。
内閣総理大臣 岸信介
法務大臣 愛知揆一
大蔵大臣 佐藤榮作
文部大臣 灘尾弘吉
厚生大臣 橋本龍伍
郵政大臣 寺尾豊
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十三年七月十一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百七十号
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律の一部を改正する法律
お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律(昭和二十四年法律第二百二十四号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金の処理に関する法律
第一条の前に見出しとして「(お年玉つき郵便葉書の発行)」を附する。
第二条中「左に掲げる事項」を「次に掲げる事項」に改める。
第三条の前に見出しとして「(お年玉の交付等)」を附する。
第五条を次のように改める。
(寄附金つき郵便葉書等の発行)
第五条 郵政省は、寄附金を郵便に関する料金に加算した額の郵便葉書(お年玉つき郵便葉書を含む。)又は郵便切手(以下「寄附金つき郵便葉書等」と総称する。)を発行することができる。
2 前項の寄附金は、社会福祉の増進を目的とする事業を行う団体、風水害、震災等非常災害による被災者の救助を行う団体、がん、結核、小児まひその他特殊な疾病の学術的研究及び治療を行う団体又は原子爆弾の被爆者に対する治療その他の援助を行う団体の当該事業の実施に必要な費用に充てることを寄附目的とするものでなければならない。
3 前項の団体は、第一項の規定により寄附金つき郵便葉書等を発行するつど、その発行前に、郵政大臣が政令で定めるところにより指定するものとする。
4 郵政大臣は、第一項の規定により発行する寄附金つき郵便葉書等につき、その発行前に、次に掲げる事項を告示しなければならない。ただし、当該寄附金つき郵便葉書等が、寄附金つきのお年玉つき郵便葉書である場合には、当該お年玉つき郵便葉書に係る第二条の規定による告示の際、同条各号に掲げる事項のほか、第一号、第四号及び第五号に掲げる事項を告示すれば足りる。
一 寄附目的
二 発行の数
三 売さばき期間
四 附加される寄附金の額
五 寄附金の配分を受ける第二項の団体の名称
5 寄附金つき郵便葉書等には、寄附金の額を明確に表示しなければならない。
第五条の次に次の三十二条を加える。
第六条 郵便局、簡易郵便局又は郵便切手類売さばき所において寄附金つき郵便葉書等を購入した者は、その購入によつて、寄附金つき郵便葉書等に表示されている額の寄附金を、当該寄附金つき郵便葉書等につき前条第四項の規定により告示された寄附目的をもつて、郵便募金管理会に寄附したものとする。
2 郵便局は、前項の寄附金(以下単に「寄附金」という。)を遅滞なく郵便募金管理会に送付するものとする。
3 郵便募金管理会は、前項の規定により寄附金の送付を受けたときは、当該寄附金つき郵便葉書等の発行及び売さばき並びに寄附金の送付のため郵政省において特に要した費用を郵政省に納付しなければならない。
4 前項の費用の額は、郵政省と郵便募金管理会との協議によつて定める。
(配分金額の決定等)
第七条 郵政大臣は、第五条第一項の規定により寄附金つき郵便葉書等を発行したときは、当該寄附金つき郵便葉書等に係る売さばき期間が経過した後、当該寄附金つき郵便葉書等につき同条第四項の規定により告示した同項第五号の団体(以下「配分団体」という。)ごとに、当該団体に対する寄附金の配分額を決定するものとする。
2 郵政大臣は、前項の規定による決定をするに当つては、当該配分に係る寄附金(以下「配分金」という。)の使途の適正を確保するために当該配分団体が守らなければならない事項を定めることができる。
3 郵政大臣は、第一項の規定による決定をし、又は前項に規定する事項を定めるには、あらかじめ当該寄附金つき郵便葉書等の寄附目的に係る事業を所管する大臣と協議し、かつ、郵政審議会にはからなければならない。
4 郵政大臣は、第一項の規定による決定をしたときは、遅滞なく、配分団体ごとの配分金の額を公示するとともに、その額及び第二項に規定する事項を定めた場合にあつてはその事項を当該配分団体及び郵便募金管理会に通知しなければならない。
(配分金交付契約)
第八条 前条第四項の規定による通知を受けた配分団体は、郵便募金管理会に対し、当該通知に係る配分金につき配分金交付契約を締結すべき旨を申し入れることができる。
第九条 郵便募金管理会は、配分団体から前条の規定による申入を受けたときは、遅滞なく、その申入に基き、当該配分団体を相手方として配分金交付契約を締結しなければならない。
第十条 配分金交付契約においては、郵政大臣の定めるところにより、配分金の交付、配分金の使用、配分金の使途について郵便募金管理会の行う監査及び当該監査の結果に基く配分金の返還に関し必要な事項を約定するものとする。
2 郵政大臣は、前項の監査に係る約定事項に関し同項の規定による定をしようとするときは、当該配分金に係る事業を所管する大臣と協議しなければならない。
(郵便募金管理会の目的及び法人格)
第十一条 郵便募金管理会(以下「管理会」という。)は、寄附金の出納及び配分金の使途の適正を図ることを目的として設立される法人とする。
(事務所)
第十二条 管理会は、事務所を東京都に置く。
(登記)
第十三条 管理会は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第十四条 管理会でない者は、郵便募金管理会という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第十五条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、管理会に準用する。
(役員)
第十六条 管理会に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事二人以内を置く。
第十七条 理事長は、管理会を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して管理会の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
3 監事は、管理会の業務を監査する。
第十八条 役員は、郵政大臣が任命する。
2 役員の任期は、三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十九条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 国務大臣、国会議員、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長
二 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)
三 政党の役員
(役員の解任)
第二十条 郵政大臣は、役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 郵政大臣は、役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
(役員の兼職禁止)
第二十一条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、郵政大臣が役員としての職務の執行に支障がないものと認めて許可したときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第二十二条 管理会と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が管理会を代表する。
(役員及び職員の地位)
第二十三条 管理会の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(業務)
第二十四条 管理会は、第十一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 寄附金の受入及び保管
二 配分金の交付及び配分金に係る返還金の受入
三 交付に係る配分金の使途についての監査
四 前三号の業務に附帯する業務
(業務方法書)
第二十五条 管理会は、業務開始の際、業務方法書を定め、郵政大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書には、寄附金の受入の手続、保管の方法、配分金の交付及び配分金に係る返還金の受入の手続、監査の方法及び手続、公示の方法その他管理会の業務の執行に関し必要な事項を記載しなければならない。
(監査結果の報告)
第二十六条 管理会は、配分団体に対し配分金の使途についての監査を行つたときは、遅滞なく、その監査の結果を郵政大臣及び当該配分金に係る事業を所管する大臣に報告しなければならない。
(事業年度)
第二十七条 管理会の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
2 管理会は、毎事業年度の決算を翌年度の五月三十一日までに完結しなければならない。
(事業計画等)
第二十八条 管理会は、毎事業年度、事業計画並びに収入及び支出の予算を作成し、事業年度の開始前に郵政大臣の認可を受けなければならない。これに重要な変更を加えようとするときも、同様とする。
(事業報告書等)
第二十九条 管理会は、毎事業年度、事業報告書を作成し、これに当該事業年度の決算報告書を添え、監事の意見をつけて、決算完結後一月以内に郵政大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 管理会は、前項の承認を受けたときは、遅滞なく、事業報告書の概要を公示するとともに、事業報告書をその事務所に備えて置かなければならない。
(余裕金の運用)
第三十条 管理会は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 郵便貯金又は銀行若しくは郵政大臣の指定するその他の金融機関への預金
二 国債その他の有価証券で郵政大臣の指定するものの取得
(業務の執行に要する費用)
第三十一条 管理会は、郵政大臣の認可を受けて、寄附金の一部をその業務の執行に要する費用に充てることができる。
2 前項の規定により管理会がその業務の執行に要する費用に充てることができる額は、寄附金の額の百分の二をこえることができない。
(監督)
第三十二条 管理会は、郵政大臣が監督する。
2 郵政大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、管理会に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第三十三条 郵政大臣は、必要があると認めるときは、管理会に対して業務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に管理会の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(解散)
第三十四条 管理会の解散については、別に法律で定める。
(罰則)
第三十五条 第三十三条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合においては、その違反行為をした管理会の役員又は職員を三万円以下の罰金に処する。
第三十六条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした管理会の役員又は職員を三万円以下の過料に処する。
一 第九条の規定に違反して配分金交付契約を締結せず、又は第十条第一項の規定に違反して配分金交付契約を締結したとき。
二 この法律の規定により郵政大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
三 第十三条第一項の規定に違反して、登記をすることを怠つたとき。
四 第二十四条に規定する業務以外の業務を行つたとき。
五 第二十六条の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
六 第二十九条第二項の規定に違反して、事業報告書の概要を公示せず、又は事業報告書を備えて置かなかつたとき。
七 第三十条の規定に違反して、業務上の余裕金を運用したとき。
八 第三十二条第二項の規定による郵政大臣の命令に違反したとき。
第三十七条 第十四条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(郵便募金管理会の設立)
2 郵政大臣は、お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金の処理に関する法律(以下「新法」という。)第十八条第一項の例により、郵便募金管理会(以下「管理会」という。)の理事長、理事又は監事となるべき者を指名する。
3 前項の規定により指名された理事長、理事又は監事となるべき者は、管理会の成立の時において、新法の規定により、それぞれ、理事長、理事又は監事に任命されたものとする。
4 郵政大臣は、設立委員を命じて、管理会の設立に関する事務を処理させる。
5 設立委員は、管理会の設立の準備を完了したときは、その旨を郵政大臣に届け出るとともに、その事務を附則第二項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
6 附則第二項の規定により指名された理事長となるべき者は、前項の事務の引継を受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
7 管理会は、設立の登記をすることによつて成立する。
(経過規定)
8 新法第十四条の規定は、この法律の施行の際現に郵便募金管理会という名称を使用している者については、この法律の施行後六月間は、適用しない。
9 管理会の最初の事業年度は、新法第二十七条第一項の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和三十四年三月三十一日に終るものとする。
10 管理会の最初の事業年度の事業計画並びに収入及び支出の予算については、新法第二十八条中「事業年度の開始前に」とあるのは、「管理会の成立後遅滞なく」とする。
(登録税法の一部改正)
11 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「日本赤十字社」の下に「、郵便募金管理会」を、「日本赤十字社法」の下に「、お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等の発売並びに寄附金の処理に関する法律」を加える。
(所得税法の一部改正)
12 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第八号中「社会福祉法人」の下に「、郵便募金管理会」を加える。
(法人税法の一部改正)
13 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項第一号中「社会福祉法人」の下に「、郵便募金管理会」を加える。
(地方税法の一部改正)
14 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第一号中「社会福祉法人」の下に「、郵便募金管理会」を加える。
内閣総理大臣 岸信介
法務大臣 愛知揆一
大蔵大臣 佐藤栄作
文部大臣 灘尾弘吉
厚生大臣 橋本龍伍
郵政大臣 寺尾豊