(業務の範囲)
第二十九条 雇用促進事業団(以下この章において「事業団」という。)は、雇用促進事業団法(昭和三十六年法律第百十六号)第十九条に規定する業務のほか、この法律の目的を達成するため、次の業務を行なう。
一 登録日雇港湾労働者に対して雇用調整手当を支給すること。
二 登録日雇港湾労働者に対して港湾運送の業務に従事するために必要な知識及び技能を習得させるための訓練を行なうこと。
三 登録日雇港湾労働者のための福祉施設の設置及び運営その他登録日雇港湾労働者の福祉の増進を図るために必要な事業を行なうこと。
(雇用調整手当の支給)
第三十条 事業団は、次の各号のいずれかに該当する登録日雇港湾労働者(第一号に該当する者については、その該当することについての公共職業安定所長の証明を受けた者に限る。)に対し、雇用調整手当(以下この章において「手当」という。)を支給する。
一 第二十条第一項の規定により公共職業安定所に出頭し、自己の都合又は自己の責めに帰すべき理由がないのに、港湾運送の業務への紹介を受けることができず、又は紹介を受けたにもかかわらず事業主に雇用されなかつた者(港湾運送の業務以外の業務についた者を除く。)
2 手当は、登録日雇港湾労働者が前項各号のいずれかに該当する日につき、その日分を支給する。
3 前項の規定により登録日雇港湾労働者が第一項各号のいずれかに該当する日の日分として支給する手当の額(以下この条において「手当の日額」という。)は、当該登録日雇港湾労働者が港湾運送の業務に従事するために雇用された日数及びその各日につき支払を受け、又は受けるべき賃金の日額を基礎として労働省令で定めるところにより事業団が決定する額とする。
4 労働大臣は、前項の規定に基づいて労働省令を制定し、又は改正する場合には、手当の日額が失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)第五章の規定によつて支給される失業保険金の日額を下廻らないようにするとともに、あらかじめ、中央職業安定審議会の意見をきかなければならない。
第三十一条 前条第一項から第三項までの規定にかかわらず、労働大臣が、天災その他労働省令で定める理由により、港湾運送の業務につくことができない登録日雇港湾労働者が著しく多数発生した港湾について、事業団が行なう手当の支給に関する業務の正常な運営を確保するために特に必要があると認めて指定した場合における手当の支給は、次項から第四項までに規定するところによるものとする。
2 前項の規定による指定に係る港湾の登録日雇港湾労働者に係る手当は、前条第一項第一号に該当する登録日雇港湾労働者が、港湾運送の業務以外の業務についても求職の申込みをし、自己の都合若しくは自己の責めに帰すべき理由がないのに、港湾運送の業務以外の業務への紹介をも受けることができず、又は紹介を受けたにもかかわらず事業主及び事業主以外の者のいずれにも雇用されなかつた場合に限り、その者に対し、その紹介を受けることができなかつた日又は雇用されなかつた日につき支給するものとし、その日額は、労働省令で定めるところにより事業団が決定する額とする。
3 登録日雇港湾労働者は、前項の規定による手当の支給を受けるには、同項の規定に該当することについての公共職業安定所長の証明を受けなければならない。
4 第二項の規定による手当の支給は、労働大臣が第一項の規定による指定の際に定める期間内の日についてのみ行なうものとする。
5 労働大臣は、第一項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ中央職業安定審議会の意見をきいて定めた基準によつてしなければならない。
6 労働大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、労働省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該港湾において公表しなければならない。
7 前条第四項の規定は、第二項の規定に基づいて労働省令を制定し、又は改正する場合に準用する。
(支給制限)
第三十二条 登録日雇港湾労働者が、正当な理由がなく、公共職業安定所の紹介する港湾運送の業務につくこと、又は第二十九条第二号の訓練を受けることを拒んだときは、事業団は、その拒んだ日から起算して七日間は、手当を支給しないものとする。
2 登録日雇港湾労働者が、偽りその他不正の行為によつて手当の支給を受け、又は受けようとしたときは、事業団は、当該事実のあつた日から起算して四月以内の期間を定め、その期間、その者に対して手当を支給しないことができる。
第三十三条 偽りその他不正の行為によつて手当の支給を受けた者があるときは、事業団は、その支給を受けた者に支給した手当の額に相当する額の全部又は一部を返還させることができ、また、その手当の支給がその者を雇用し、又は雇用していた事業主の偽りの報告又は証明によるものであるときは、その事業主に支給を受けた者と連帯して手当の額に相当する額の全部又は一部を返還させることができる。
2 第四十一条の規定は、前項の規定により返還すべきこととなつた金額の納付を怠つた場合に準用する。
(訓練)
第三十四条 第二十九条第二号の訓練は、第二十条第二項の規定による公共職業安定所長の指示を受けた登録日雇港湾労働者に対して行なうものとする。
(納付金)
第三十五条 事業団は、第二十九条第一号の業務に要する費用にあてるため、同条第四号の納付金を徴収する。
2 前項の納付金は、事業主及び登録日雇港湾労働者が負担する。
3 事業主が負担すべき納付金の額は、各月につき、当該事業主が港湾運送の業務に使用するために雇用した日雇港湾労働者の労働省令で定める方法により算出した延数を、労働大臣が定める金額に乗じて得た額(当該事業主が、その月に、失業保険法の規定による日雇労働被保険者である日雇港湾労働者を港湾運送の業務に使用するために雇用して同法の規定による保険料を納付したときは、当該保険料のうち事業主が負担した額に相当する額を控除した額)とする。
4 登録日雇港湾労働者が負担すべき納付金の額は、その者が港湾運送の業務に従事するために雇用されて支払を受けた賃金の支払の基礎となつた日につき、賃金の日額に応じて労働大臣が定める額とする。
5 労働大臣は、前二項の金額を定めようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会及び港湾調整審議会の意見をきかなければならない。
6 労働大臣は、第三項又は第四項の金額を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
(納付金の納付)
第三十六条 事業主は、その雇用した登録日雇港湾労働者の負担する納付金及び自己の負担する納付金を納付する義務を負う。
2 事業主は、その月に賃金を支払つた登録日雇港湾労働者の負担する納付金及び自己の負担するその月分の納付金を、翌月末日までに納付しなければならない。
(賃金からの納付金控除等)
第三十七条 事業主は、登録日雇港湾労働者に賃金を支払うつど、その者の負担すべき納付金の額に相当する額を、その者に支払う賃金から控除することができる。この場合においては、事業主は、登録日雇港湾労働者にその旨を告げなければならない。
2 事業主は、港湾運送の業務に使用するために登録日雇港湾労働者を雇用したときは、日雇港湾労働者手帳の提出を求め、労働省令で定めるところにより、その者に支払う賃金に関する事項を記載したうえ、その者に当該日雇港湾労働者手帳を返還しなければならない。
(納付金の還付等)
第三十八条 事業団は、事業主が納付した納付金の額がその納付すべき納付金の額をこえることを知つたときは、労働省令で定めるところにより、そのこえる額を、その事業主に還付し、又はその納付金が納付された日の属する月の翌月から起算して六月をこえない期間において納付されるべき納付金若しくは未納の納付金に、これを充当することができる。
(追徴金)
第三十九条 事業団は、事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、当該各号に掲げる額の追徴金を徴収することができる。
一 事業主が、偽りその他不正の行為により、その納付すべき納付金を納付せず、又はその納付すべき納付金の額に満たない額の納付金を納付したとき その納付しなかつた額に百分の二十五を乗じて得た額
二 前号に掲げる場合のほか、納期限の日から起算して十四日を経過した日までに、事業主がその納付すべき納付金を納付せず、又はその日までに納付した納付金の額がその納付すべき納付金の額に満たないとき その納付しなかつた額に百分の十を乗じて得た額
(繰上徴収)
第四十条 事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、事業団は、納期限前においても、納付金を徴収することができる。
一 国税、地方税その他の公課の滞納により滞納処分を受けるとき。
七 日雇港湾労働者が使用される事業所を廃止したとき。
(給付金等の督促及び滞納処分)
第四十一条 納付金その他この章の規定による徴収金を滞納する者があるときは、事業団は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、前条の規定により納付金を徴収するときは、この限りでない。
2 前項の規定によつて督促をするときは、事業団は、納付義務者に対して督促状を発する。この場合(前条各号のいずれかに該当する納付義務者に対して督促状を発する場合を除く。)において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して十日以上経過した日でなければならない。
3 第一項の規定による督促を受けた者又は前条各号(第三号を除く。)のいずれかに該当したことにより納期を繰り上げて納入の告知を受けた者が、その指定の期限までに納付金その他この章の規定による徴収金を納付しないときは、市町村(特別区のある地においては特別区。以下同じ。)は、事業団の請求により、地方税の滞納処分の例により、これを処分する。この場合においては、事業団は、その徴収金額の百分の四に相当する金額を市町村に交付しなければならない。
4 市町村が前項の請求を受けた日から一月以内にその処分に着手せず、又は三月以内にこれを終了しないときは、事業団は、労働大臣の認可を受けて、国税滞納処分の例により、その処分をすることができる。
(延滞金)
第四十二条 事業団は、前条第一項の規定により督促をしたときは、納付金の額百円につき一日四銭の割合で、納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収する。ただし、労働省令で定める場合は、この限りでない。
(先取特権の順位)
第四十三条 納付金その他この章の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
(納付金事務組合)
第四十四条 事業主の団体(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのないものを除く。以下同じ。)は、その構成員である事業主の委託を受けて、納付金その他この章の規定による徴収金の納付に関する事項(以下「納付金事務」という。)を処理することができる。
2 事業主の団体は、前項に規定する業務を行なおうとするときは、労働大臣の認可を受けなければならない。
3 前項の認可を受けた事業主の団体(以下「納付金事務組合」という。)は、第一項に規定する業務を廃止しようとするときは、その旨を労働大臣及び事業団に届け出なければならない。
4 労働大臣は、納付金事務組合がこの法律の規定に違反したとき、又はその行なうべき納付金事務の処理を怠り、若しくはその処理が著しく不当であると認めるときは、第二項の認可を取り消すことができる。
5 労働大臣は、第二項の認可をしたとき、又はこれを取り消したときは、その旨を事業団に通知しなければならない。
第四十五条 納付金事務組合が処理する納付金事務について、事業団が当該事業主に対してすべき納付金の納入の告知その他の通知は、納付金事務組合に対してするものとする。
第四十六条 第四十四条第一項の委託に基づき、事業主が納付金その他この章の規定による徴収金の納付のため、金銭を納付金事務組合に交付したときは、納付金事務組合は、その交付を受けた金額の限度において、事業団に対してこれらの納付の責めに任ずるものとする。
2 第三十九条又は第四十二条の規定により、事業団が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について納付金事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度において、当該納付金事務組合は、事業団に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。
3 事業団は、前二項の規定により納付金事務組合が納付すべき納付金その他この章の規定による徴収金については、当該納付金事務組合に対する第四十一条第三項又は第四項の規定による処分によつてもなお徴収すべき残余がある場合に限り、その残余の額を当該事業主から徴収することができる。
第四十七条 納付金事務組合は、労働省令で定めるところにより、その処理する納付金事務に関する事項を記載した帳簿を事務所に備え付けなければならない。
(時効)
第四十八条 手当の支給を受け、又はその返還を受ける権利及び納付金その他この章の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
2 事業団が労働省令で定めるところによつてする納付金その他この章の規定による徴収金の納入の告知又は第四十一条第一項の規定(第三十三条第二項において準用する場合を含む。)による督促は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第百五十三条の規定にかかわらず、時効中断の効力を生ずる。
(譲渡等の禁止)
第四十九条 手当の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
(公課の禁止)
第五十条 租税その他の公課は、手当を標準として課することができない。
(区分経理)
第五十一条 事業団は、第二十九条に規定する業務(以下「港湾労働者福祉業務」という。)に係る経理については、その他の業務に係る経理と区分し、特別の会計を設けて行なわなければならない。
(国の補助)
第五十二条 国は、政令で定めるところにより、事業団に対し、第二十九条第一号の業務に要する費用の一部に相当する金額を補助する。
(監督)
第五十三条 労働大臣は、この法律を施行するために必要があると認めるときは、事業団に対し、港湾労働者福祉業務に関して監督上必要な命令をすることができる。
(準用)
第五十四条 雇用促進事業団法第十九条の二の規定は第二十九条第四号の業務のうち納付金の出納に関する業務について、同法第二十条及び第三十七条第一項(同法第二十条第一項及び第二項に係る部分に限る。)の規定は港湾労働者福祉業務について準用する。
(雇用促進事業団法の特例等)
第五十五条 雇用促進事業団法第二十二条第二項及び第二十四条第三項の規定は、港湾労働者福祉業務及び第五十一条の規定による特別の会計については、適用しない。
2 前条において準用する雇用促進事業団法第十九条の二第一項の規定により業務の委託を受けた金融機関は、同法第三十三条及び第三十九条の規定の適用については同法第十九条の二第一項の規定により業務の委託を受けた金融機関と、前条において準用する同法第十九条の二第一項又は第二十条第一項の規定は、同法第四十条第一号の規定の適用については同法の規定と、港湾労働者福祉業務は、同法第四十条第三号の規定の適用については同法第十九条に規定する業務と、第五十三条の規定による労働大臣の命令は、同法第四十条第五号の規定の適用については同法第三十二条第二項の規定による労働大臣の命令とみなす。