港湾労働法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十年六月三日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第百二十号
港湾労働法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
港湾雇用調整計画(第三条―第五条)
第三章
港湾労働者の登録等
第一節
日雇港湾労働者の登録(第六条―第十二条)
第二節
常用港湾労働者証の交付(第十三条―第十五条)
第四章
港湾労働者の雇用(第十六条―第二十五条)
第五章
港湾労働者の福祉等(第二十六条―第二十八条)
第六章
雇用促進事業団の業務(第二十九条―第五十五条)
第七章
港湾労働者の退職金共済制度(第五十六条―第五十八条)
第八章
雑則(第五十九条―第七十一条)
第九章
罰則(第七十二条―第七十六条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、港湾運送に必要な労働力を確保するとともに、港湾労働者の雇用の安定その他港湾労働者の福祉を増進させるため、港湾労働者の雇用の調整を行ない、もつて国民経済の発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 港湾 政令で指定する港湾(その水域は、政令で定める区域とする。)をいう。
二 港湾運送 港湾において行なう行為であつて、次のいずれかに該当するものをいう。
イ 港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)第二条第一項に規定する港湾運送のうち、同項第二号から第五号までのいずれかに該当する行為
ロ イに規定する行為に準ずる行為であつて政令で定めるもの
三 事業主 次のいずれかに該当する者をいう。
イ 港湾運送事業法第三条第一号から第五号までに規定する事業の事業主
ロ 前号ロに規定する行為を行なう事業の事業主
四 港湾労働者 港湾運送の業務に従事する労働者をいう。ただし、船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第六条第一項に規定する船員を除く。
五 日雇港湾労働者 日日又は二月以内の期間を定めて雇用される港湾労働者をいう。ただし、同一の事業主に二月をこえて引き続き雇用されるに至つた者を除く。
六 常用港湾労働者 日雇港湾労働者以外の港湾労働者をいう。
第二章 港湾雇用調整計画
(計画の策定)
第三条 労働大臣は、毎年、港湾ごとに、港湾雇用調整計画を定めなければならない。
2 港湾雇用調整計画に定める事項は、次のとおりとする。
一 当該港湾において必要な港湾労働者の数
二 前号の港湾労働者の数のうち日雇港湾労働者をもつて充足すべき数
三 職業紹介、職業訓練その他当該港湾における港湾運送に必要な労働力の需要供給の調整に関する措置に関する事項
四 前三号に掲げるもののほか、当該港湾における港湾労働者の雇用の調整に関する重要事項
3 労働大臣は、港湾雇用調整計画を定めようとするときは、あらかじめ、港湾調整審議会の意見をきくほか、必要があると認めるときは、関係都道府県知事その他関係行政機関の意見をきくものとする。
4 労働大臣は、第一項の規定により港湾雇用調整計画を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
(港湾労働者及び日雇港湾労働者の数)
第四条 前条第二項第一号の港湾労働者の数及び同項第二号の日雇港湾労働者の数は、当該港湾における港湾運送に必要な労働力の需要の合理的な予測に基づいて、労働省令で定める業務の種類ごとに、港湾労働者に係る適正な労働時間、就労日数等の諸条件を考慮して定めるものとする。この場合において、日雇港湾労働者の数を定めるに当たつては、常用港湾労働者の雇用の促進が妨げられることとならないようにするための配慮を加えるものとする。
(計画の変更)
第五条 労働大臣は、港湾運送に必要な労働力の需要供給の状況等の著しい変動のために特に必要があるときは、港湾雇用調整計画を変更しなければならない。
2 第三条第三項及び第四項の規定は、前項の場合に準用する。
第三章 港湾労働者の登録等
第一節 日雇港湾労働者の登録
(登録)
第六条 公共職業安定所長は、港湾ごとに、当該港湾において常時港湾運送の業務に従事する日雇港湾労働者について、その氏名、その者が主として従事することを希望する業務その他労働省令で定める事項を、日雇港湾労働者登録簿に登録する。
2 前項の規定による登録(以下「日雇港湾労働者の登録」という。)を受けようとする者は、労働省令で定めるところにより、登録の申請をしなければならない。
3 日雇港湾労働者の登録は、その申請をした者(以下「申請者」という。)が主として従事することを希望する業務の種類に係る第三条第二項第二号の日雇港湾労働者の数(以下第十一条において「日雇港湾労働者の定数」という。)を限度として行なう。
第七条 日雇港湾労働者の登録は、毎年三月三十一日(登録の日が四月一日以降の日であるときは、翌年の三月三十一日)までにその更新を受けなければ、その効力を失う。
(登録の拒否)
第八条 公共職業安定所長は、申請者が次の各号のいずれかに該当するときは、日雇港湾労働者の登録をしないことができる。
一 その者が主として従事することを希望する業務に常時従事するために必要な能力を有しない者
二 第十条第一項第二号から第七号までのいずれかに該当した者であつて、その該当した日から起算して一年を経過していないもの
三 港湾運送の業務の正常な遂行をみだりに妨げるおそれのある者その他港湾運送の業務に使用されるのに必要な適格性を欠く者
2 公共職業安定所長は、申請者に対して、健康診断又は体力若しくは技能に関する検査を受けること、その他申請者の能力を判定するために必要な事項を命ずることができる。この場合において、申請者が正当な理由がなくその命令に従わないときは、公共職業安定所長は、日雇港湾労働者の登録をしないことができる。
3 公共職業安定所長は、前二項の規定による登録の拒否をしようとするときは、労働大臣が中央職業安定審議会の意見をきいて定める基準によらなければならない。
4 公共職業安定所長は、第一項又は第二項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、理由を附してその旨を申請者に通知しなければならない。
(日雇港湾労働者登録票及び日雇港湾労働者手帳)
第九条 公共職業安定所長は、日雇港湾労働者の登録をしたときは、登録した日雇港湾労働者(以下「登録日雇港湾労働者」という。)に日雇港湾労働者登録票及び日雇港湾労働者手帳を交付する。
2 登録日雇港湾労働者は、港湾運送の業務に従事するときは、日雇港湾労働者登録票を携帯し、公共職業安定所の職員から提示を求められたときは、これを提示しなければならない。
3 登録日雇港湾労働者は、日雇港湾労働者登録票及び日雇港湾労働者手帳を他人に譲渡し、又は貸与してはならない。
(登録の取消し)
第十条 公共職業安定所長は、登録日雇港湾労働者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の登録を取り消すことができる。
一 第八条第一項第一号又は第三号に該当するに至つたと認められるとき。
二 正当な理由がなく、公共職業安定所の紹介する港湾運送の業務につくことをしばしば拒んだとき。
三 前条第二項の規定に違反して、日雇港湾労働者登録票の携帯をしばしば怠つたとき。
四 前条第三項の規定に違反したとき。
五 第二十条第一項の規定に違反して、公共職業安定所への出頭をしばしば怠つたとき。
六 偽りその他不正の行為により日雇港湾労働者の登録を受けたとき。
七 偽りその他不正の行為により雇用調整手当の支給を受け、又は受けようとしたとき。
2 公共職業安定所長は、前項の規定による登録の取消しをしようとするときは、労働大臣が中央職業安定審議会の意見をきいて定める基準によらなければならない。
3 第八条第四項の規定は、第一項の規定により登録を取り消した場合に準用する。
第十一条 公共職業安定所長は、港湾雇用調整計画が策定され、又は変更されたことにより当該港湾雇用調整計画に係る日雇港湾労働者の定数が減少し、当該日雇港湾労働者の定数に係る種類の業務について登録を受けている登録日雇港湾労働者の数が当該日雇港湾労働者の定数を上廻るに至つた場合において、労働大臣が指示したときは、その上廻る数を限度として、登録日雇港湾労働者の登録を取り消すことができる。
2 前項の規定による指示は、当該港湾における日雇港湾労働者の定数に係る種類の業務について登録を受けている登録日雇港湾労働者の数が当該日雇港湾労働者の定数を多数上廻つており、その自然の減少のみによつては相当の期間を経過しても登録日雇港湾労働者の数が当該日雇港湾労働者の定数以下となる見通しがないため、当該港湾における登録日雇港湾労働者の適正な就労日数その他通常の労働条件の維持が困難であり、かつ、その状態が短期間に改善されることが困難であると認められる場合に行なうものとする。この場合において、労働大臣は、中央職業安定審議会の意見をきかなければならない。
3 第一項の規定による登録の取消しは、港湾運送の業務に従事した期間、生活の状況、港湾運送の業務に従事する能力及び適格性等の事情を考慮して労働省令で定める順位によつてするものとする。
4 公共職業安定所長は、第一項の規定による登録の取消しをしようとするときは、あらかじめ、地区職業安定審議会の意見をきかなければならない。
5 第八条第四項の規定は、第一項の規定により登録を取り消した場合に準用する。
(省令への委任)
第十二条 この節に定めるもののほか、登録事項の変更、登録の更新、登録の取消しその他日雇港湾労働者の登録に関して必要な事項は、労働省令で定める。
第二節 常用港湾労働者証の交付
(常用港湾労働者証の交付)
第十三条 事業主は、その雇用する労働者を常時港湾運送の業務に従事する常用港湾労働者として使用しようとするときは、労働省令で定めるところにより、その者の氏名、その者が主として従事する業務その他労働省令で定める事項を公共職業安定所長に届け出なければならない。
2 公共職業安定所長は、前項の規定による届出をした事業主に対し、その届出に係る常用港湾労働者の常用港湾労働者証を交付する。
第十四条 事業主は、前条第二項の規定により常用港湾労働者証の交付を受けたときは、当該常用港湾労働者証に係る常用港湾労働者に当該常用港湾労働者証を交付しなければならない。
2 第九条第二項及び第三項の規定は、常用港湾労働者証について準用する。
(労働省令への委任)
第十五条 この節に定めるもののほか、常用港湾労働者証の交付、再交付、返納その他常用港湾労働者証に関して必要な事項は、労働省令で定める。
第四章 港湾労働者の雇用
(日雇港湾労働者の雇用)
第十六条 事業主は、公共職業安定所の紹介を受けて港湾運送の業務に使用するために雇い入れた者でなければ、日雇港湾労働者として港湾運送の業務に使用してはならない。ただし、公共職業安定所に日雇港湾労働者に係る求人の申込みをしたにもかかわらず適格な求職者がいないためにその紹介を受けることができないとき、その他公共職業安定所の紹介によつては日雇港湾労働者を雇い入れることができないことについて労働省令で定める理由があるときは、この限りでない。
2 事業主は、前項ただし書の規定に該当する場合において、同項本文に規定する者以外の者を日雇港湾労働者として港湾運送の業務に使用するときは、労働省令で定めるところにより、当該日雇港湾労働者の雇用期間その他労働省令で定める事項を公共職業安定所長に届け出なければならない。
第十七条 事業主は、その雇用する日雇港湾労働者をその者に係る求人の申込みの内容とした雇用期間又は前条第二項の規定により届け出た雇用期間(これらの雇用期間について次条の規定による指示があつたときは、その指示された期間)をこえて引き続き雇用しようとするときは、その引き続き雇用しようとする期間を明示して、公共職業安定所長の承認を受けなければならない。当該承認に係る期間をこえてさらに引き続き雇用しようとするときも、同様とする。
(雇用期間に関する指示)
第十八条 公共職業安定所長は、登録日雇港湾労働者の需要供給を調整するために必要があると認めるときは、事業主が雇い入れ、又は引き続き雇用しようとするとき日雇港湾労働者の雇用期間の短縮を指示することができる。
(日雇港湾労働者の紹介)
第十九条 公共職業安定所は、事業主の申し込んだ日雇港湾労働者に係る求人に対して求職者を紹介するときは、まず登録日雇港湾労働者を紹介するものとし、登録日雇港湾労働者以外の日雇港湾労働者は、登録日雇港湾労働者によつてはその求人を充足することができない場合において紹介するものとする。
(登録日雇港湾労働者の出頭等)
第二十条 登録日雇港湾労働者は、公共職業安定所長の指示するところにより、港湾運送の業務に紹介を受けるために公共職業安定所に出頭しなければならない。ただし、疾病又は負傷、公共職業安定所の紹介による港湾運送の業務への就労その他労働省令で定める理由があるときは、この限りでない。
2 公共職業安定所長は、前項の規定により公共職業安定所に出頭したにもかかわらず、事業主に雇用されるに至らなかつた登録日雇港湾労働者に対し、その者の知識、技能及び経験、日雇港湾労働者に係る求人の状況等からみて必要があると認めるときは、第二十九条第二号の訓練を受けることを指示することができる。
3 公共職業安定所長は、登録日雇港湾労働者が第一項の規定により出頭したときは、日雇港湾労働者手帳の提出を求め、その者に対する港湾運送の業務への紹介及び前項の規定による指示に関する事項その他労働省令で定める事項を記載したうえ、その者に当該日雇港湾労働者手帳を返還するものとする。
(常用港湾労働者の使用の届出)
第二十一条 事業主は、その雇用する労働者を常時港湾運送の業務に従事する常用港湾労働者以外の常用港湾労働者として使用しようとするときは、労働省令で定めるところにより、その旨を公共職業安定所長に届け出なければならない。
(紹介停止)
第二十二条 公共職業安定所長は、日雇港湾労働者に係る求人の申込みをした事業主が、正当な理由がなく当該求人について公共職業安定所の紹介した登録日雇港湾労働者を雇い入れなかつたときは、七日以内の期間を定め、その期間、当該求人の申込みをした事業主に対し、日雇港湾労働者の紹介を行なわないことができる。
第二十三条 公共職業安定所長は、次の各号のいずれかに該当する場合において、当該事業主に紹介する港湾労働者の福祉を害するおそれがあると認めるときは、一月をこえない範囲内において労働省令で定める期間、当該事業主に対し、港湾労働者の紹介を行なわないことができる。
一 事業主の雇用する港湾労働者の労働条件が法令に違反するとき。
二 事業主が偽りの求人条件により港湾労働者を雇用したとき。
(実施の基準)
第二十四条 第十七条の規定による承認、第十八条若しくは第二十条第一項の規定による指示、第十九条の規定による日雇港湾労働者の紹介又は第二十二条若しくは前条の規定による紹介停止は、労働大臣が中央職業安定審議会の意見をきいて定める基準によつてしなければならない。
(省令への委任)
第二十五条 この章に定めるもののほか、第十七条の規定による承認、第十八条若しくは第二十条第一項の規定による指示又は第十九条の規定による日雇港湾労働者の紹介に関して必要な手続は、労働省令で定める。
第五章 港湾労働者の福祉等
(事業主の努力義務)
第二十六条 事業主及びその団体は、常用港湾労働者の雇用の促進、港湾労働者の労働条件の向上、職業訓練の実施、福祉施設の整備その他港湾労働者の雇用を安定させるために必要な措置を講ずることにより、港湾労働者の福祉の増進を図るように努めなければならない。
第二十七条 事業主は、その雇用する港湾労働者をはしけ内に居住させないように努めなければならない。
(国の援助等)
第二十八条 国及び地方公共団体は、事業主及びその団体並びに港湾労働者及び港湾労働者になろうとする者に対し、港湾労働者の雇用を安定させるための措置に関して必要な援助を行なうこと等により、港湾労働者の福祉の増進を図るように努めなければならない。
第六章 雇用促進事業団の業務
(業務の範囲)
第二十九条 雇用促進事業団(以下この章において「事業団」という。)は、雇用促進事業団法(昭和三十六年法律第百十六号)第十九条に規定する業務のほか、この法律の目的を達成するため、次の業務を行なう。
一 登録日雇港湾労働者に対して雇用調整手当を支給すること。
二 登録日雇港湾労働者に対して港湾運送の業務に従事するために必要な知識及び技能を習得させるための訓練を行なうこと。
三 登録日雇港湾労働者のための福祉施設の設置及び運営その他登録日雇港湾労働者の福祉の増進を図るために必要な事業を行なうこと。
四 納付金の徴収を行なうこと。
五 前各号の業務に附帯する業務を行なうこと。
(雇用調整手当の支給)
第三十条 事業団は、次の各号のいずれかに該当する登録日雇港湾労働者(第一号に該当する者については、その該当することについての公共職業安定所長の証明を受けた者に限る。)に対し、雇用調整手当(以下この章において「手当」という。)を支給する。
一 第二十条第一項の規定により公共職業安定所に出頭し、自己の都合又は自己の責めに帰すべき理由がないのに、港湾運送の業務への紹介を受けることができず、又は紹介を受けたにもかかわらず事業主に雇用されなかつた者(港湾運送の業務以外の業務についた者を除く。)
二 前条第二号の訓練を受ける者
2 手当は、登録日雇港湾労働者が前項各号のいずれかに該当する日につき、その日分を支給する。
3 前項の規定により登録日雇港湾労働者が第一項各号のいずれかに該当する日の日分として支給する手当の額(以下この条において「手当の日額」という。)は、当該登録日雇港湾労働者が港湾運送の業務に従事するために雇用された日数及びその各日につき支払を受け、又は受けるべき賃金の日額を基礎として労働省令で定めるところにより事業団が決定する額とする。
4 労働大臣は、前項の規定に基づいて労働省令を制定し、又は改正する場合には、手当の日額が失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)第五章の規定によつて支給される失業保険金の日額を下廻らないようにするとともに、あらかじめ、中央職業安定審議会の意見をきかなければならない。
第三十一条 前条第一項から第三項までの規定にかかわらず、労働大臣が、天災その他労働省令で定める理由により、港湾運送の業務につくことができない登録日雇港湾労働者が著しく多数発生した港湾について、事業団が行なう手当の支給に関する業務の正常な運営を確保するために特に必要があると認めて指定した場合における手当の支給は、次項から第四項までに規定するところによるものとする。
2 前項の規定による指定に係る港湾の登録日雇港湾労働者に係る手当は、前条第一項第一号に該当する登録日雇港湾労働者が、港湾運送の業務以外の業務についても求職の申込みをし、自己の都合若しくは自己の責めに帰すべき理由がないのに、港湾運送の業務以外の業務への紹介をも受けることができず、又は紹介を受けたにもかかわらず事業主及び事業主以外の者のいずれにも雇用されなかつた場合に限り、その者に対し、その紹介を受けることができなかつた日又は雇用されなかつた日につき支給するものとし、その日額は、労働省令で定めるところにより事業団が決定する額とする。
3 登録日雇港湾労働者は、前項の規定による手当の支給を受けるには、同項の規定に該当することについての公共職業安定所長の証明を受けなければならない。
4 第二項の規定による手当の支給は、労働大臣が第一項の規定による指定の際に定める期間内の日についてのみ行なうものとする。
5 労働大臣は、第一項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ中央職業安定審議会の意見をきいて定めた基準によつてしなければならない。
6 労働大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、労働省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該港湾において公表しなければならない。
7 前条第四項の規定は、第二項の規定に基づいて労働省令を制定し、又は改正する場合に準用する。
(支給制限)
第三十二条 登録日雇港湾労働者が、正当な理由がなく、公共職業安定所の紹介する港湾運送の業務につくこと、又は第二十九条第二号の訓練を受けることを拒んだときは、事業団は、その拒んだ日から起算して七日間は、手当を支給しないものとする。
2 登録日雇港湾労働者が、偽りその他不正の行為によつて手当の支給を受け、又は受けようとしたときは、事業団は、当該事実のあつた日から起算して四月以内の期間を定め、その期間、その者に対して手当を支給しないことができる。
第三十三条 偽りその他不正の行為によつて手当の支給を受けた者があるときは、事業団は、その支給を受けた者に支給した手当の額に相当する額の全部又は一部を返還させることができ、また、その手当の支給がその者を雇用し、又は雇用していた事業主の偽りの報告又は証明によるものであるときは、その事業主に支給を受けた者と連帯して手当の額に相当する額の全部又は一部を返還させることができる。
2 第四十一条の規定は、前項の規定により返還すべきこととなつた金額の納付を怠つた場合に準用する。
(訓練)
第三十四条 第二十九条第二号の訓練は、第二十条第二項の規定による公共職業安定所長の指示を受けた登録日雇港湾労働者に対して行なうものとする。
(納付金)
第三十五条 事業団は、第二十九条第一号の業務に要する費用にあてるため、同条第四号の納付金を徴収する。
2 前項の納付金は、事業主及び登録日雇港湾労働者が負担する。
3 事業主が負担すべき納付金の額は、各月につき、当該事業主が港湾運送の業務に使用するために雇用した日雇港湾労働者の労働省令で定める方法により算出した延数を、労働大臣が定める金額に乗じて得た額(当該事業主が、その月に、失業保険法の規定による日雇労働被保険者である日雇港湾労働者を港湾運送の業務に使用するために雇用して同法の規定による保険料を納付したときは、当該保険料のうち事業主が負担した額に相当する額を控除した額)とする。
4 登録日雇港湾労働者が負担すべき納付金の額は、その者が港湾運送の業務に従事するために雇用されて支払を受けた賃金の支払の基礎となつた日につき、賃金の日額に応じて労働大臣が定める額とする。
5 労働大臣は、前二項の金額を定めようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会及び港湾調整審議会の意見をきかなければならない。
6 労働大臣は、第三項又は第四項の金額を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
(納付金の納付)
第三十六条 事業主は、その雇用した登録日雇港湾労働者の負担する納付金及び自己の負担する納付金を納付する義務を負う。
2 事業主は、その月に賃金を支払つた登録日雇港湾労働者の負担する納付金及び自己の負担するその月分の納付金を、翌月末日までに納付しなければならない。
(賃金からの納付金控除等)
第三十七条 事業主は、登録日雇港湾労働者に賃金を支払うつど、その者の負担すべき納付金の額に相当する額を、その者に支払う賃金から控除することができる。この場合においては、事業主は、登録日雇港湾労働者にその旨を告げなければならない。
2 事業主は、港湾運送の業務に使用するために登録日雇港湾労働者を雇用したときは、日雇港湾労働者手帳の提出を求め、労働省令で定めるところにより、その者に支払う賃金に関する事項を記載したうえ、その者に当該日雇港湾労働者手帳を返還しなければならない。
(納付金の還付等)
第三十八条 事業団は、事業主が納付した納付金の額がその納付すべき納付金の額をこえることを知つたときは、労働省令で定めるところにより、そのこえる額を、その事業主に還付し、又はその納付金が納付された日の属する月の翌月から起算して六月をこえない期間において納付されるべき納付金若しくは未納の納付金に、これを充当することができる。
(追徴金)
第三十九条 事業団は、事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、当該各号に掲げる額の追徴金を徴収することができる。
一 事業主が、偽りその他不正の行為により、その納付すべき納付金を納付せず、又はその納付すべき納付金の額に満たない額の納付金を納付したとき その納付しなかつた額に百分の二十五を乗じて得た額
二 前号に掲げる場合のほか、納期限の日から起算して十四日を経過した日までに、事業主がその納付すべき納付金を納付せず、又はその日までに納付した納付金の額がその納付すべき納付金の額に満たないとき その納付しなかつた額に百分の十を乗じて得た額
(繰上徴収)
第四十条 事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、事業団は、納期限前においても、納付金を徴収することができる。
一 国税、地方税その他の公課の滞納により滞納処分を受けるとき。
二 強制執行を受けるとき。
三 破産の宣告を受けたとき。
四 企業担保権の実行手続の開始があつたとき。
五 競売の開始があつたとき。
六 法人である事業主が解散したとき。
七 日雇港湾労働者が使用される事業所を廃止したとき。
(給付金等の督促及び滞納処分)
第四十一条 納付金その他この章の規定による徴収金を滞納する者があるときは、事業団は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、前条の規定により納付金を徴収するときは、この限りでない。
2 前項の規定によつて督促をするときは、事業団は、納付義務者に対して督促状を発する。この場合(前条各号のいずれかに該当する納付義務者に対して督促状を発する場合を除く。)において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して十日以上経過した日でなければならない。
3 第一項の規定による督促を受けた者又は前条各号(第三号を除く。)のいずれかに該当したことにより納期を繰り上げて納入の告知を受けた者が、その指定の期限までに納付金その他この章の規定による徴収金を納付しないときは、市町村(特別区のある地においては特別区。以下同じ。)は、事業団の請求により、地方税の滞納処分の例により、これを処分する。この場合においては、事業団は、その徴収金額の百分の四に相当する金額を市町村に交付しなければならない。
4 市町村が前項の請求を受けた日から一月以内にその処分に着手せず、又は三月以内にこれを終了しないときは、事業団は、労働大臣の認可を受けて、国税滞納処分の例により、その処分をすることができる。
(延滞金)
第四十二条 事業団は、前条第一項の規定により督促をしたときは、納付金の額百円につき一日四銭の割合で、納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収する。ただし、労働省令で定める場合は、この限りでない。
(先取特権の順位)
第四十三条 納付金その他この章の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
(納付金事務組合)
第四十四条 事業主の団体(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのないものを除く。以下同じ。)は、その構成員である事業主の委託を受けて、納付金その他この章の規定による徴収金の納付に関する事項(以下「納付金事務」という。)を処理することができる。
2 事業主の団体は、前項に規定する業務を行なおうとするときは、労働大臣の認可を受けなければならない。
3 前項の認可を受けた事業主の団体(以下「納付金事務組合」という。)は、第一項に規定する業務を廃止しようとするときは、その旨を労働大臣及び事業団に届け出なければならない。
4 労働大臣は、納付金事務組合がこの法律の規定に違反したとき、又はその行なうべき納付金事務の処理を怠り、若しくはその処理が著しく不当であると認めるときは、第二項の認可を取り消すことができる。
5 労働大臣は、第二項の認可をしたとき、又はこれを取り消したときは、その旨を事業団に通知しなければならない。
第四十五条 納付金事務組合が処理する納付金事務について、事業団が当該事業主に対してすべき納付金の納入の告知その他の通知は、納付金事務組合に対してするものとする。
第四十六条 第四十四条第一項の委託に基づき、事業主が納付金その他この章の規定による徴収金の納付のため、金銭を納付金事務組合に交付したときは、納付金事務組合は、その交付を受けた金額の限度において、事業団に対してこれらの納付の責めに任ずるものとする。
2 第三十九条又は第四十二条の規定により、事業団が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について納付金事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度において、当該納付金事務組合は、事業団に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。
3 事業団は、前二項の規定により納付金事務組合が納付すべき納付金その他この章の規定による徴収金については、当該納付金事務組合に対する第四十一条第三項又は第四項の規定による処分によつてもなお徴収すべき残余がある場合に限り、その残余の額を当該事業主から徴収することができる。
第四十七条 納付金事務組合は、労働省令で定めるところにより、その処理する納付金事務に関する事項を記載した帳簿を事務所に備え付けなければならない。
(時効)
第四十八条 手当の支給を受け、又はその返還を受ける権利及び納付金その他この章の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
2 事業団が労働省令で定めるところによつてする納付金その他この章の規定による徴収金の納入の告知又は第四十一条第一項の規定(第三十三条第二項において準用する場合を含む。)による督促は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第百五十三条の規定にかかわらず、時効中断の効力を生ずる。
(譲渡等の禁止)
第四十九条 手当の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
(公課の禁止)
第五十条 租税その他の公課は、手当を標準として課することができない。
(区分経理)
第五十一条 事業団は、第二十九条に規定する業務(以下「港湾労働者福祉業務」という。)に係る経理については、その他の業務に係る経理と区分し、特別の会計を設けて行なわなければならない。
(国の補助)
第五十二条 国は、政令で定めるところにより、事業団に対し、第二十九条第一号の業務に要する費用の一部に相当する金額を補助する。
(監督)
第五十三条 労働大臣は、この法律を施行するために必要があると認めるときは、事業団に対し、港湾労働者福祉業務に関して監督上必要な命令をすることができる。
(準用)
第五十四条 雇用促進事業団法第十九条の二の規定は第二十九条第四号の業務のうち納付金の出納に関する業務について、同法第二十条及び第三十七条第一項(同法第二十条第一項及び第二項に係る部分に限る。)の規定は港湾労働者福祉業務について準用する。
(雇用促進事業団法の特例等)
第五十五条 雇用促進事業団法第二十二条第二項及び第二十四条第三項の規定は、港湾労働者福祉業務及び第五十一条の規定による特別の会計については、適用しない。
2 前条において準用する雇用促進事業団法第十九条の二第一項の規定により業務の委託を受けた金融機関は、同法第三十三条及び第三十九条の規定の適用については同法第十九条の二第一項の規定により業務の委託を受けた金融機関と、前条において準用する同法第十九条の二第一項又は第二十条第一項の規定は、同法第四十条第一号の規定の適用については同法の規定と、港湾労働者福祉業務は、同法第四十条第三号の規定の適用については同法第十九条に規定する業務と、第五十三条の規定による労働大臣の命令は、同法第四十条第五号の規定の適用については同法第三十二条第二項の規定による労働大臣の命令とみなす。
第七章 港湾労働者の退職金共済制度
(登録日雇港湾労働者に関する退職金共済制度)
第五十六条 港湾ごとに事業主が組織する団体が、次の各号のいずれにも該当することについて労働大臣の認定を受けたときは、当該団体(以下この章において「事業主団体」という。)及びその構成員である事業主の雇用に係る当該港湾における登録日雇港湾労働者を、それぞれ中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号)第二条第一項に規定する中小企業者及びその雇用する従業員とみなして、同法を適用する。この場合において、同条第二項中「事業主との雇用関係が終了すること」とあるのは、「登録日雇港湾労働者の登録がその効力を失うこと」とする。
一 当該港湾における事業主の大部分がその構成員であること。
二 代表者、代表権の範囲、掛金の分担その他労働省令で定める事項について労働省令で定める基準に適合する定款又は規約を有すること。
2 労働大臣は、事業主に対し、事業主団体を組織すること、又は事業主団体に加入することを勧奨することができる。
(中小企業退職金共済法の特例)
第五十七条 事業主団体が登録日雇港湾労働者について締結する退職金共済契約で定める掛金月額は、当該事業主団体が締結する退職金共済契約に係るすべての登録日雇港湾労働者について同一の額でなければならない。
(公共職業安定所等の協力)
第五十八条 公共職業安定所及び雇用促進事業団は、登録日雇港湾労働者に関する退職金共済制度について、事業主団体に対し、掛金の分担及び納付に関して必要な資料を提供すること、その他必要な協力をしなければならない。
第八章 雑則
(失業保険法等の特例)
第五十九条 登録日雇港湾労働者は、失業保険法の規定による失業保険の被保険者としない。
2 雇用調整手当の支給を受けることができる者が、その支給を受けることができる日について、失業保険法の規定による失業保険金、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)の規定による失業保険金又は国家公務員等退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第十条第一項若しくは第三項の規定による退職手当(以下この条において「失業保険金等」という。)の支給を受けることができる場合において、その雇用調整手当の日額が失業保険金等の日額(その者が自己の労働によつて収入を得るに至つた場合においては、失業保険法第十七条の四第一項(国家公務員等退職手当法第十条第一項又は第三項の規定によりこれらの規定に基づく退職手当の支給の条件とする場合を含む。)又は船員保険法第三十三条ノ九第四項の規定に基づき減額して支給する失業保険金等の額。以下この条において同じ。)以上であるときは、失業保険金等を支給せず、当該雇用調整手当の日額が当該失業保険金等の日額に満たないときは、当該失業保険金等の日額から当該雇用調整手当の日額を控除した額の失業保険金等を支給する。
3 登緑日雇港湾労働者が登録日雇港湾労働者でなくなつた場合におけるその者に対する失業保険法第五章の規定の適用については、その者が登録日雇港湾労働者であつた間は、日雇労働被保険者であつたものとみなし、その者が登録日雇港湾労働者として港湾運送の業務に従事するために雇用された日(第三十一条第一項の規定による指定に係る港湾の登録日雇港湾労働者であつた者については、その者が同条第四項の期間内において公共職業安定所の紹介により港湾運送の業務以外の業務に従事するために雇用された日を含む。)については、政令で定めるところにより、保険料が納付されたものとみなす。この場合において、その者に支給した雇用調整手当は、同章の規定により支給した失業保険金とみなし、第三十二条第二項の規定に該当した者は、同法第三十八条の十第二項の規定の適用については、同項の規定に該当したものとみなす。
(都道府県知事の権限)
第六十条 都道府県知事は、労働大臣の指揮監督を受け、この法律の施行に関し、公共職業安定所の業務の連絡統一に関する業務をつかさどり、所部の職員及び公共職業安定所長を指揮監督する。
(報告の徴収等)
第六十一条 事業主は、第十三条第二項の規定により交付を受けた常用港湾労働者証に係る常用港湾労働者の雇用の状況その他労働省令で定める事項を、労働省令で定めるところにより、定期的に、公共職業安定所長に報告しなければならない。
2 公共職業安定所長は、この法律を施行するために必要な限度において、労働省令で定めるところにより、事業主若しくは港湾労働者に対し、常用港湾労働者証の交付、日雇港湾労働者の登録その他の事項についての報告を求め、又はその職員に、事業主の事業場に立ち入り、港湾労働者の雇用関係その他の事項について関係者に対して質問し、若しくは帳簿書類の検査をさせることができる。
3 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第六十二条 雇用促進事業団は、雇用調整手当の支給及び納付金の徴収に関して必要な限度において、労働省令で定めるところにより、事業主、納付金事務組合若しくは納付金事務組合であつた事業主の団体又は登録日雇港湾労働者に対し、日雇港湾労働者の雇用の状況、賃金その他の事項についての報告を求めることができる。
第六十三条 労働大臣は、納付金事務の適正な処理を確保するために必要があると認めるときは、納付金事務組合に対し、納付金事務の処理の状況その他の事項についての報告を求め、又はその職員に、納付金事務組合の事務所に立ち入り、関係者に対して質問し、若しくは帳簿書類の検査をさせることができる。
2 第六十一条第三項の規定は、前項の規定による立入検査について、同条第四項の規定は、前項の規定による権限について準用する。
(戸籍事項の無料証明)
第六十四条 市町村長(特別区及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市においては、区長とする。)は、公共職業安定所又は日雇港湾労働者の登録を受けようとする者に対し、当該市町村の条例で定めるところにより、その登録に係る労働者の戸籍に関して無料で証明を行なうことができる。
(雇用調整手当の支給等に関する不服申立て)
第六十五条 雇用調整手当の支給に関する処分又は第三十三条第一項の規定による処分に不服がある者は、失業保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
2 前項の審査請求又は再審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。
3 第一項の審査請求又は再審査請求については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)第二章第一節、第二節(第十八条及び第十九条を除く。)及び第五節の規定を適用しない。
(徴収金の徴収に関する不服申立て)
第六十六条 納付金その他この法律の規定による徴収金の賦課又は徴収の処分について不服がある者は、労働大臣に対して行政不服審査法による審査請求をすることができる。
(不服理由の制限)
第六十七条 日雇港湾労働者の登録に関する処分が確定したときは、その処分についての不服をその処分に基づく雇用調整手当の支給又は納付金その他この法律の規定による徴収金の賦課若しくは徴収の処分についての不服の理由とすることができない。
(不服申立てと訴訟との関係)
第六十八条 日雇港湾労働者の登録に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する都道府県知事の裁決を、雇用調整手当の支給に関する処分又は第三十三条第一項の規定による処分の取消しの訴えは、当該処分についての再審査請求に対する労働保険審査会の裁決を、納付金その他この法律の規定による徴収金の賦課又は徴収の処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する労働大臣の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
(連絡及び協力)
第六十九条 公共職業安定所及び雇用促進事業団は、この法律の目的を達成するため、相互に、密接に連絡し、及び協力しなければならない。
(職権の委任)
第七十条 この法律に規定する労働大臣の職権で政令で定めるものは、都道府県知事が行なう。
(政令への委任)
第七十一条 第二条第一号又は第二号ロの規定に基づいて政令を制定し、又は改廃する場合には、政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第九章 罰則
第七十二条 事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金を処する。
一 第十六条第一項又は第十七条の規定に違反したとき。
二 第三十六条第一項の規定に違反して、督促状に指定する期限までに納付金を納付しなかつたとき。
三 第六十二条の規定による報告をせず、又は偽りの報告をしたとき。
2 納付金事務組合が次の各号のいずれかに該当するときは、その行為をした納付金事務組合の代表者、代理人、使用人その他の従業者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第四十六条第一項の規定に違反して、督促状に指定する期限までに納付金を納付しなかつたとき。
二 第四十七条の規定に違反して帳簿を備え付けず、又は帳簿に納付金事務に関する事項を記載せず、若しくは偽りの事項を記載したとき。
三 前項第三号に該当するとき。
四 第六十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは偽りの報告をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの陳述をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第七十三条 事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、一万円以下の罰金に処する。
一 第十三条第一項、第十六条第二項又は第二十一条の規定に違反したとき。
二 第六十一条第二項の規定による報告をせず、若しくは偽りの報告をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの陳述をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第七十四条 事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、五千円以下の罰金に処する。
一 第十四条第一項の規定に違反したとき。
二 第六十一条第一項の規定に違反して報告せず、又は偽りの報告をしたとき。
2 港湾労働者その他の関係者が、次の各号のいずれかに該当するときは、五千円以下の罰金に処する。
一 第九条第三項の規定に違反して、日雇港湾労働者登録票を他人に譲渡し、又は貸与したとき。
二 前条第二号に該当するとき。
三 第六十三条第一項の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの陳述をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第七十五条 法人(法人でない納付金事務組合を含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
2 前項の規定により法人でない納付金事務組合を処罰する場合においては、その代表者又は管理人が訴訟行為につきその納付金事務組合を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第七十六条 登録日雇港湾労働者が第七十二条第一項第三号に該当するときは、一万円以下の過料に処する。
2 登録日雇港湾労働者が第九条第二項の規定に違反したとき、又は常用港湾労働者が第十四条第二項において準用する第九条第二項若しくは第三項の規定に違反したときは、千円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律の施行期日は、公布の日から起算して二年をこえない範囲内において、各規定につき、政令で定める。
(登録税法の改正)
第二条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第二十七号ノ三中「又ハ炭鉱離職者臨時措置法第二十三条第一項第三号ノ業務」を「、炭鉱離職者臨時措置法第二十三条第一項第三号若ハ港湾労働法第二十九条第二号ノ業務又ハ同条第三号ノ福祉施設」に改める。
(印紙税法の改正)
第三条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号ノ八ノ三の次に次の一号を加える。
六ノ八ノ四 港湾労働法ニ依ル雇用調整手当又ハ納付金其ノ他ノ徴収金ニ関スル証書、帳簿
(総理府設置法の改正)
第四条 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表港湾調整審議会の項中「意見を述べること」の下に「並びに港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)の定めるところにより、労働大臣に意見を述べること」を加える。
(労働省設置法の改正)
第五条 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第四条第十三号の二中「又は炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)」を「、炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)又は港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)」に改め、同条第三十八号の二の次に次の二号を加える。
三十八の三 港湾労働法に基づいて、港湾雇用調整計画を定めること。
三十八の四 港湾労働法の施行に関して、事業主、港湾労働者その他の関係者に必要な事項についての報告を求めること。
第六条第十一号の四中「及び炭鉱離職者臨時措置法(第三章の規定に限る。)」を「、炭鉱離職者臨時措置法(第三章の規定に限る。)及び港湾労働法(第六章及び第八章の規定のうち雇用促進事業団及び納付金事務組合の業務に係る認可その他監督に関する部分に限る。)」に改める。
第七条第七号中「中小企業退職金共済法」の下に「及び港湾労働法(第七章の規定に限る。)」を加える。
第十条第一項第八号中「及び身体障害者雇用促進法」を「、身体障害者雇用促進法及び港湾労働法(第六章及び第八章の規定のうち他の所掌に係る部分並びに第七章の規定を除く。)」に改める。
第十条の二第五号中「及び炭鉱離職者」を「並びに炭鉱離職者及び港湾労働者」に改める。
第十三条第一項の表中央職業安定審議会の項中「及び失業保険法」を「、失業保険法及び港湾労働法」に改め、同表中
地方職業安定審議会
都道府県知事の諮問に応じ、公共職業安定所の業務その他職業安定法の施行に関する重要事項を調査審議すること。
地方職業安定審議会
都道府県知事の諮問に応じ、公共職業安定所の業務その他職業安定法の施行に関する重要事項を調査審議すること。
地区職業安定審議会
都道府県知事又は公共職業安定所長の諮問に応じ、公共職業安定所の業務その他職業安定法及び港湾労働法の施行に関する重要事項を調査審議すること。
に改める。
第十八条第一項中「及び身体障害者雇用促進法(これに基づく命令を含む。)」を「、身体障害者雇用促進法(これに基づく命令を含む。)及び港湾労働法(これに基づく命令を含む。)」に改める。
(地方税法の改正)
第六条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十三条の四第一項第十二号中「又は炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)第二十三条第一項第三号」を「、炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)第二十三条第一項第三号又は港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)第二十九条第二号若しくは第三号」に改める。
第三百四十八条第二項第十九号中「又は炭鉱離職者臨時措置法第二十三条第一項第三号」を「、炭鉱離職者臨時措置法第二十三条第一項第三号又は港湾労働法第二十九条第二号若しくは第三号」に改める。
(港湾運送事業法の改正)
第七条 港湾運送事業法の一部を次のように改正する。
第六条第二項第二号中「この法律」の下に「、港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)第十六条第一項若しくは第十七条」を加える。
(労働保険審査官及び労働保険審査会法の改正)
第八条 労働保険審査官及び労働保険審査会法(昭和三十一年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項中「第四十二条第一項」の下に「及び港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)第六十五条第一項」を加える。
第七条第二項後段中「第四十二条第一項」の下に「及び港湾労働法第六十五条第一項」を加える。
第二十五条第二項中「第四十二条第一項の規定による再審査請求の事件及び」を「第四十二条第一項及び港湾労働法第六十五条第一項の規定による再審査請求の事件並びに」に改める。
(所得税法の改正)
第九条 所得税法(昭和四十年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
第七十四条第二項中第十四号を第十五号とし、第五号から第十三号までを一号ずつ繰り下げ、第四号の次に次の一号を加える。
五 港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)の規定により登録日雇港湾労働者として負担する納付金
内閣総理大臣 佐藤栄作
法務大臣 高橋等
大蔵大臣 田中角栄
運輸大臣 松浦周太郎
労働大臣 石田博英
自治大臣 吉武恵市