農用地開発公団法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十九年五月二日
内閣総理大臣 田中角榮
法律第四十三号
農用地開発公団法
目次
第一章
総則(第一条―第七条)
第二章
役員及び職員(第八条―第十八条)
第三章
業務(第十九条―第三十条)
第四章
財務及び会計(第三十一条―第四十一条)
第五章
監督(第四十二条・第四十三条)
第六章
雑則(第四十四条―第四十六条)
第七章
罰則(第四十七条―第四十九条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 農用地開発公団は、開発して農用地とすることの適当な未墾地等が相当の範囲にわたつて存在する地域において、農畜産物の濃密生産団地の建設に必要な農用地の開発、農業用施設の整備等の業務を総合的かつ計画的に行うことにより、農畜産物の安定的供給と農業経営の合理化に資することを目的とする。
(法人格)
第二条 農用地開発公団(以下「公団」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 公団は、主たる事務所を東京都に置く。
2 公団は、農林大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(資本金)
第四条 公団の資本金は、二億円と附則第六条第四項の規定により政府から出資があつたものとされた金額との合計額とし、政府がその全額を出資するものとする。
2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、公団に追加して出資することができる。
3 公団は、前項の規定による政府の出資があつたときは、その出資額により資本金を増額するものとする。
(登記)
第五条 公団は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第六条 公団でない者は、農用地開発公団という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、公団について準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第八条 公団に、役員として、理事長一人、副理事長一人、理事四人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第九条 理事長は、公団を代表し、その業務を総理する。
2 副理事長は、公団を代表し、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して公団の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、理事長の定めるところにより、理事長及び副理事長を補佐して公団の業務を掌理し、理事長及び副理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長及び副理事長が欠員のときはその職務を行う。
4 監事は、公団の業務を監査する。
5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は農林大臣に意見を提出することができる。
(役員の任命)
第十条 理事長及び監事は、農林大臣が任命する。
2 副理事長及び理事は、理事長が農林大臣の認可を受けて任命する。
(役員の任期)
第十一条 役員の任期は、三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十二条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)
二 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者であつて公団と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
三 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
(役員の解任)
第十三条 農林大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 農林大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 理事長は、前項の規定により役員を解任しようとするときは、あらかじめ、農林大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十四条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、農林大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第十五条 公団と理事長又は副理事長との利益が相反する事項については、理事長及び副理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が公団を代表する。
(代理人の選任)
第十六条 理事長は、公団の理事又は職員のうちから、公団の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第十七条 公団の職員は、理事長が任命する。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第十八条 公団の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務
(業務の範囲)
第十九条 公団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 近代的な農業経営の成立のために必要な農用地(耕作の目的又は主として家畜の放牧の目的若しくは養畜の業務のための採草の目的に供される土地をいう。以下同じ。)及び農業用施設を有する農畜産物の濃密生産団地を建設するため、次の事業を行うこと。
イ 農用地の造成(農用地間における地目変換の事業を含む。)及びこれと併せて行う農業用施設(農業用用排水施設、農業用道路その他農用地の保全又は利用上必要な施設(以下「土地改良施設」という。)を除く。以下この号において同じ。)の用に供される土地の造成又は改良
ロ 土地改良施設の新設若しくは改良又は農用地の改良若しくは保全のために必要な区画整理、客土、暗きよ排水若しくはこれらに準ずる事業として政令で定めるものであつて、イの事業と併せて行うもの
ハ 農業用施設の新設又は改良であつて、イの事業と併せて行うもの
二 前号イ又はロの事業と併せて当該事業の実施に係る農用地に関する権利又はその農用地の利用上必要な土地に関する権利、農業用施設に関する権利若しくは水の使用に関する権利の交換分合を行うこと。
三 第一号の業務を行うことにより新設され、又は改良された農業用施設についての災害復旧事業を行うこと。ただし、当該業務が完了した後に行うものを除く。
四 第一号の業務を行うことにより新設され、又は改良された農業用施設の譲渡しを行うこと。
五 第一号の業務と併せて農機具、家畜その他農林省令で定める物の売渡しを行うこと。
六 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。
2 公団は、前項の業務のほか、委託に基づき、農林大臣の認可を受けて、同項第一号イ若しくはロの事業として行う工事又は同項第三号の業務として行う工事と密接な関連を有する工事を行うことができる。
(事業実施方針)
第二十条 農林大臣は、政令で定めるところにより、都道府県から、区域を特定して公団が前条第一項の業務を行うべき旨の申出があつた場合において、申出の内容が次に掲げる要件のすべてを備えているものと認めるときは、その区域に係る同項の業務につき、事業実施方針を定め、これを公団に指示するとともに、その概要を公表しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
一 申出に係る区域が、開発して農用地とすることの適当な未墾地又は農業上の利用の程度が著しく低い農用地が相当規模の面積で存在する地域として政令で定める要件に適合するものであること。
二 申出に係る区域が前条第一項第一号の濃密生産団地の建設に必要な自然的経済的諸条件を有していること。
三 申出に係る区域の周辺の地域が、第一号に規定する未墾地及びこれに準ずる土地が相当の範囲にわたつて存在する地域として政令で定める要件に適合するものであること。
2 農林大臣は、前項の事業実施方針を定め、又は変更しようとするときは、大蔵大臣及び自治大臣に協議するとともに、関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の規定による申出を行う場合又は前項の規定により意見を聴かれた場合には、関係市町村長の意見を聴かなければならない。
(事業実施計画)
第二十一条 公団は、第十九条第一項第一号の業務を行おうとするときは、政令で定めるところにより、前条第一項の事業実施方針に基づいて事業実施計画を作成し、関係都道府県知事に協議するとともに、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 公団は、前項の規定により事業実施計画を作成しようとするときは、あらかじめ、農林省令で定めるところにより、当該事業実施計画の概要その他必要な事項を公告して、当該事業実施計画の概要に係る第十九条第一項第一号イの事業の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者(同号イの事業の実施に係る区域(事業実施計画の概要が同号ロの事業を内容の一部に含むときは、同号ロの事業の実施に係る区域を同号イの事業の実施に係る区域に含めた区域)内にある土地についての土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第三条第一項各号に掲げる者に相当する者をいう。以下同じ。)の全員の同意(当該事業実施計画の概要が第十九条第一項第一号ロの事業を内容の一部に含むときは、当該全員の同意及びその同号ロの事業の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意)を得なければならない。
3 第十九条第一項第一号イの事業の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者は、その者に係る土地につき所有権以外の権原に基づき使用及び収益をする者(当該土地についての事業参加資格者を除く。)が他に存するときは、前項の同意又は不同意を公団に表示する前において、農林省令で定めるところにより、当該事業の実施につき、その使用及び収益をする者の意見を聴かなければならない。
4 都道府県知事は、公団と第一項の規定による協議をする場合には、関係市町村長に協議しなければならない。
5 事業参加資格者の範囲については、政令で定める。
6 土地改良法第五条第六項、第八条第六項、第九条、第十条第五項及び第八十七条第十項の規定は、第一項の場合について準用する。
(事業実施計画の変更)
第二十二条 公団は、前条第一項の事業実施計画を変更しようとするときは、政令で定めるところにより、関係都道府県知事に協議するとともに、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 公団は、前項の規定により事業実施計画の変更(農林省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとする場合において、同項の認可を申請するときは、あらかじめ、農林省令で定めるところにより、その変更後の事業実施計画の概要その他必要な事項を公告して、次の各号の区分により、それぞれ当該各号に定める同意を得なければならない。
一 その変更後の事業実施計画の概要が第十九条第一項第一号ロの事業を内容の一部に含む場合 その変更後の事業実施計画の概要に係る同号イの事業の実施に係る区域(その変更により同号イの事業の実施に係る区域の一部がその変更後の同号イの事業の実施に係る区域に該当しないこととなるものがあるときは、その該当しないこととなる区域をその変更後の同号イの事業の実施に係る区域に含めた区域。次号において同じ。)内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意及びその変更後の事業実施計画の概要に係る同号ロの事業の実施に係る区域(その変更により同号ロの事業の実施に係る区域の一部がその変更後の同号ロの事業の実施に係る区域に該当しないこととなるものがあるときは、その該当しないこととなる区域をその変更後の同号ロの事業の実施に係る区域に含めた区域)内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意
二 その変更後の事業実施計画の概要が第十九条第一項第一号ロの事業を内容の一部に含まない場合 その変更後の事業実施計画の概要に係る同号イの事業の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意(その変更後の事業実施計画の概要がその変更により同号ロの事業を内容の一部に含まないこととなるときは、当該三分の二以上の同意及びその同号ロの事業の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意)
3 公団は、第一項の規定により事業実施計画の変更をしようとする場合において、その変更後の事業実施計画の概要がその変更により新たな区域を第十九条第一項第一号イの事業の実施に係る区域の一部とすることとなるときは、前項各号に定める同意のほか、その新たな区域内にある土地についての事業参加資格者の全員の同意を得なければならない。
4 前条第四項並びに土地改良法第五条第六項、第八条第六項、第九条、第十条第五項、第四十八条第四項及び第八十七条第十項の規定は第一項の場合について、前条第三項の規定は前項の場合について準用する。
(換地計画)
第二十三条 公団は、その行う第十九条第一項第一号イ又はロの事業につき、その事業の性質上必要があるときは、その事業の実施に係る区域につき、換地計画を定め、関係都道府県知事に協議するとともに、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 土地改良法第五十二条第二項、第三項、第五項前段及び第六項から第八項まで、第五十二条の二から第五十二条の五まで、第五十三条(第一項第一号を除く。)、第五十三条の二の二、第五十三条の三、第五十三条の四から第五十五条まで並びに第八十九条の三の規定は、前項の換地計画について準用する。
(交換分合計画)
第二十四条 公団は、第十九条第一項第二号の業務を行おうとするときは、政令で定めるところにより、第二十条第一項の事業実施方針に基づいて交換分合計画を作成し、関係都道府県知事に協議するとともに、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 土地改良法第八十九条の三、第九十九条第二項から第十三項まで、第百一条から第百七条まで、第百八条第一項及び第二項、第百九条から第百十一条まで、第百三十七条並びに第百四十二条(同法第百三十七条に係る部分に限る。)の規定は、前項の交換分合計画について準用する。
(災害復旧事業実施計画)
第二十五条 公団は、土地改良施設について第十九条第一項第三号の業務を行おうとするときは、政令で定めるところにより、第二十条第一項の事業実施方針に基づいて災害復旧事業実施計画を作成し、関係都道府県知事に協議するとともに、農林大臣の認可を受けなければならない。土地改良施設以外の農業用施設について同号の業務を行おうとするときも、同様とする。
2 公団は、前項前段の規定により災害復旧事業実施計画を作成しようとするときは、あらかじめ、農林省令で定めるところにより、当該災害復旧事業実施計画の概要その他必要な事項を公告して、当該災害復旧事業実施計画の概要に係る第十九条第一項第三号の業務の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意を得なければならない。
3 第二十一条第四項の規定は第一項の場合について、土地改良法第八条第六項、第九条、第十条第五項及び第八十七条第十項の規定は第一項前段の場合について準用する。
(業務方法書)
第二十六条 公団は、第十九条第一項第四号又は第五号の業務の開始の際、業務方法書を作成し、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、農林省令で定める。
(費用負担)
第二十七条 公団は、政令で定めるところにより、第十九条第一項第一号イ及びロの事業、同項第二号の業務並びに同項第三号の業務(土地改良施設に係るものに限る。以下同じ。)に要する費用の一部を当該事業又は業務の実施に係る区域をその区域の全部又は一部とする都道府県に負担させることができる。
2 前項の都道府県は、政令で定めるところにより、条例で、同項の事業又は業務の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者その他農林省令で定める者で、当該事業又は業務によつて利益を受けるものから、その者の受ける利益を限度として、同項の規定による負担金の全部又は一部を徴収することができる。
3 第一項の都道府県は、同項の事業又は業務の実施に係る区域の全部又は一部をその区域の全部又は一部とする市町村が、当該市町村の議会の議決を経て同項の規定による負担金の全部又は一部を負担することについて同意をした場合には、前項の規定によらず、政令で定めるところにより、第一項の規定による負担金の全部又は一部を当該市町村に負担させることができる。
4 前項の市町村は、政令で定めるところにより、条例で、第一項の事業又は業務の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者その他農林省令で定める者で、当該事業又は業務によつて利益を受けるものから、その者の受ける利益を限度として、前項の規定による負担金の全部又は一部を徴収することができる。
(特別徴収金)
第二十八条 公団、都道府県又は市町村は、公団にあつては政令で定めるところにより、都道府県及び市町村にあつては政令で定めるところにより、条例で、第十九条第一項第一号イ又はロの事業の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者が、公団が農林省令で定めるところにより当該事業が完了した旨の公告をした日以後八年を経過する日までの間に、当該土地を当該事業に係る事業実施計画において予定した用途以外の用途(政令で定める用途を除く。以下「目的外用途」という。)に供するため所有権の移転若しくは地上権、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転をした場合又は当該土地を自ら目的外用途に供した場合(当該土地を目的外用途に供するため所有権の移転又は地上権、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転を受けて、目的外用途に供した場合を除く。)には、その者から特別徴収金を徴収することができる。
2 土地改良法第八十九条の三の規定は公団が徴収する前項の特別徴収金の徴収について、同法第九十条の二第三項の規定は前項の特別徴収金の額について準用する。
(徴収金の徴収方法)
第二十九条 都道府県又は市町村が徴収する第二十七条第二項若しくは第四項又は前条第一項の規定による徴収金は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十一条の三第三項に規定する法律で定める歳入とする。
(土地改良法の準用等)
第三十条 土地改良法第百十二条、第百十三条、第百十四条第一項、第百十五条、第百十八条(第二項を除く。)、第百二十一条から第百二十三条まで、第百三十八条(第一号に係る部分に限る。)及び第百四十二条(同法第百三十八条第一号に係る部分に限る。)の規定は公団が行う第十九条第一項第一号イ及びロの事業、、同項第二号の業務並びに同項第三号の業務について、同法第五十八条から第六十二条まで、第六十三条第二項及び第三項、第六十四条、第六十五条、第百十三条の二第一項及び第二項、第百十三条の三、第百十四条第二項、第百十九条、第百二十条、第百三十八条(第二号に係る部分に限る。)、第百三十九条並びに第百四十二条(同法第百三十八条第二号に係る部分に限る。)の規定は公団が行う第十九条第一項第一号イ及びロの事業並びに同項第三号の業務について、同法第六十三条第一項、第百十六条、第百十七条、第百二十三条の二及び第百三十一条の規定は公団が行う第十九条第一項第一号イ及びロの事業について準用する。
2 第二十一条第六項、第二十二条第四項、第二十三条第二項、第二十四条第二項、第二十五条第三項、第二十八条第二項及び前項における土地改良法の準用について必要な技術的読替えは、政令で定める。
第四章 財務及び会計
(事業年度)
第三十一条 公団の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(事業計画等の認可)
第三十二条 公団は、毎事業年度、事業計画、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(財務諸表)
第三十三条 公団は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に農林大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 公団は、前項の規定により財務諸表を農林大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見を付けなければならない。
3 公団は、第一項の規定による農林大臣の承認を受けた財務諸表を各事務所に備えて置かなければならない。
(利益及び損失の処理)
第三十四条 公団は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 公団は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金及び農用地開発債券)
第三十五条 公団は、農林大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は農用地開発債券(以下「債券」という。)を発行することができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、農林大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
4 第一項の規定による債券の債権者は、公団の財産について他の債権者に先立つて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
5 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
6 公団は、農林大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
7 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条までの規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
8 第一項及び第四項から前項までに定めるもののほか、債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(債務保証)
第三十六条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、公団の長期借入金又は債券に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について保証することができる。
(償還計画)
第三十七条 公団は、毎事業年度、長期借入金及び債券の償還計画を立てて、農林大臣の認可を受けなければならない。
(余裕金の運用)
第三十八条 公団は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他農林大臣の指定する有価証券の取得
二 銀行、農林中央金庫その他農林大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金
三 信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託
(財産の処分等の制限)
第三十九条 公団は、農林省令で定める重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。ただし、第十九条第一項第四号の規定による譲渡し又は同項第五号の規定による売渡しを行おうとするときは、この限りでない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第四十条 公団は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、農林大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(農林省令への委任)
第四十一条 この法律及びこれに基づく命令に規定するもののほか、公団の財務及び会計に関し必要な事項は、農林省令で定める。
第五章 監督
(監督)
第四十二条 公団は、農林大臣が監督する。
2 農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公団に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第四十三条 農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公団に対してその業務及び資産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、公団の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第六章 雑則
(解散)
第四十四条 公団の解散については、別に法律で定める。
(大蔵大臣との協議)
第四十五条 農林大臣は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第十九条第二項、第二十六条第一項、第三十二条、第三十五条第一項、第二項ただし書若しくは第六項、第三十七条又は第三十九条の規定による認可をしようとするとき。
二 第二十六条第二項、第三十九条又は第四十一条の規定により農林省令を定めようとするとき。
三 第三十三条第一項又は第四十条の規定による承認をしようとするとき。
四 第三十八条第一号又は第二号の規定による指定をしようとするとき。
(他の法令の準用)
第四十六条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、公団を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。
第七章 罰則
第四十七条 第四十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした公団の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
第四十八条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした公団の役員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定(第二十三条第二項において準用する土地改良法第五十三条の四第一項の規定を含む。)により農林大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第五条第一項の政令の規定に違反して登記することを怠つたとき。
三 第十九条及び附則第十一条に規定する業務以外の業務を行つたとき。
四 第三十八条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第四十二条第二項の規定による農林大臣の命令に違反したとき。
第四十九条 第六条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第十六条から第二十七条までの規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(公団の設立)
第二条 農林大臣は、公団の理事長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、公団の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。
第三条 農林大臣は、設立委員を命じて、公団の設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員は、公団の設立の準備を完了したときは、遅滞なく、政府に対し、出資金の払込みの請求をしなければならない。
3 設立委員は、出資金の払込みがあつた日において、その事務を前条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
第四条 附則第二条第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前条第三項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第五条 公団は、設立の登記をすることによつて成立する。
(農地開発機械公団の解散等)
第六条 農地開発機械公団は、公団の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において公団が承継する。
2 農地開発機械公団の昭和四十九年四月一日に始まる事業年度は、農地開発機械公団の解散の日の前日に終わるものとする。
3 農地開発機械公団の昭和四十九年四月一日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、なお従前の例による。
この場合において、当該決算の完結の期限は、解散の日から起算して三月を経過する日とする。
4 第一項の規定により公団が農地開発機械公団の権利及び義務を承継したときは、その承継の際における農地開発機械公団に対する政府の出資金に相当する金額は、公団の設立に際し政府から公団に出資されたものとする。
5 第一項の規定により農地開発機械公団が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(非課税)
第七条 前条第一項の規定により公団が権利を承継する場合における当該承継に係る不動産又は自動車の取得については、不動産取得税若しくは特別土地保有税又は自動車取得税を課することができない。
2 前条第一項の規定により公団が権利を承継する場合における当該承継に係る土地で農地開発機械公団が昭和四十四年一月一日前に取得したものに対しては、特別土地保有税を課することができない。
(農地開発機械公団の解散に伴う経過措置)
第八条 農地開発機械公団の解散の際現にその役員又は職員として在職する者であつて、国家公務員共済組合法の一部を改正する法律(昭和三十六年法律第百五十二号)附則第十条第二項の復帰希望職員であるものが、引き続いて公団の役員又は職員となつた場合には、その者を当該復帰希望職員とみなして同条第二項から第四項までの規定を適用する。この場合において、同条第二項中「公団等職員として」とあるのは「農地開発機械公団又は農用地開発公団の役員又は職員として」と、「公団等職員であつた期間」とあるのは「農地開発機械公団又は農用地開発公団の役員又は職員であつた期間」とする。
2 農地開発機械公団の解散の際現にその役員又は職員として在職する者であつて、地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法(昭和三十七年法律第百五十三号)第百二十七条第二項の復帰希望職員であるものが、引き続いて公団の役員又は職員となつた場合には、その者を当該復帰希望職員とみなして同条第二項から第四項までの規定を適用する。
この場合において、同条第二項中「公団等職員として」とあるのは「農地開発機械公団又は農用地開発公団の役員又は職員として」と、「公団等職員である間」とあるのは「農地開発機械公団又は農用地開発公団の役員又は職員である間」と、「公団等職員であつた間」とあるのは「農地開発機械公団又は農用地開発公団の役員又は職員であつた間」とする。
第九条 農地開発機械公団の解散の際現にその職員として在職する者で引き続き公団の職員となつたものについては、公団が国家公務員等退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第七条の二第一項に規定する公庫等に該当する場合に限り、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律(昭和四十八年法律第三十号)附則第九項中「在職した後」とあるのは「在職し、引き続き農用地開発公団において使用される者として在職した後」と、同法附則第十二項中「附則第九項に規定する者」とあるのは「農用地開発公団法(昭和四十九年法律第四十三号)附則第九条の規定により読み替えて適用される附則第九項に規定する者」と読み替えてこれらの規定を適用する。
(国営土地改良事業の承継等)
第十条 この法律の施行の際現に国が土地改良事業として行つている事業のうち、第二十条第一項の事業実施方針で定められた公団の業務に相当する部分(以下「国営土地改良事業」という。)は、当該業務について次項の規定による公示があつた日の翌日から、公団がその業務として行うものとする。
2 農林大臣は、国営土地改良事業に係る公団の業務について第二十一条第一項の規定による事業実施計画の認可をしたときは、政令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
3 第一項の規定により公団が国営土地改良事業をその業務として行うこととなつた時において当該国営土地改良事業に関し国が有する権利及び義務は、その時において公団が承継する。
4 第一項の規定により公団が国営土地改良事業をその業務として行うこととなる場合において、国が委託に基づき当該国営土地改良事業と密接な関連を有する工事(以下「関連工事」という。)を行つているときは、公団が当該国営土地改良事業をその業務として行うこととなつた時において当該関連工事に関し国が有する権利及び義務は、その時において公団が承継する。ただし、国がその委託をしている者の同意を得ることができなかつたときは、この限りでない。
5 前項の規定により公団が国の有する権利及び義務を承継する場合において、公団が当該関連工事に係る業務を行うについては、第十九条第二項の規定による認可を受けることを要しない。
6 第一項の規定により公団が国営土地改良事業をその業務として行うこととなつたときは、公団は、政令で定めるところにより、第二十七条第一項の規定による負担金の額のうち、当該国営土地改良事業を行うにつき国が要した費用の一部に相当する金額を国庫に納付しなければならない。
7 第一項の規定により公団が国営土地改良事業をその業務として行うこととなつた場合における第二十七条第一項の規定の適用については、同項中「費用」とあるのは、「費用(附則第十条第一項の規定により公団がその業務として行うこととなつた国営土地改良事業を行うにつき国が要した費用を含む。)」とする。
(臨時の業務等)
第十一条 公団は、当分の間、第十九条の規定にかかわらず、旧農地開発機械公団法(昭和三十年法律第百四十二号)第十八条第一項から第三項までの業務(第十九条の業務を除く。)を行うことができる。
この場合における第二十六条第一項の規定の適用については、同項中「第十九条第一項第四号及び第五号の業務」とあるのは、「附則第十一条に規定する業務」とする。
第十二条 公団の成立の日以後三年を限り、第八条に定めるもののほか、公団に、役員として、理事二人を置くことができる。この場合において、これらの理事の任期は、第十一条第一項本文の規定にかかわらず、その成立の日から起算して三年を経過する日までとする。
(名称の使用制限等に関する経過措置)
第十三条 この法律の施行の際現に農用地開発公団という名称を使用している者については、第六条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第十四条 公団の最初の事業年度は、第三十一条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和五十年三月三十一日に終わるものとする。
第十五条 公団の最初の事業年度の事業計画、予算及び資金計画については、第三十二条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「公団の成立後遅滞なく」とする。
(農地開発機械公団法の廃止)
第十六条 農地開発機械公団法は、廃止する。
(農地開発機械公団法の廃止に伴う経過措置)
第十七条 農地開発機械公団の役員又は職員として在職した者については、旧農地開発機械公団法第三十七条及び第三十八条の規定は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。この場合において、同条中「公団は」とあるのは、「農用地開発公団は」とする。
第十八条 附則第十六条の規定の施行前にした旧農地開発機械公団法の規定に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(公職選挙法の一部改正)
第十九条 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。
第百三十六条の二第一項第二号中「農地開発機械公団」を「農用地開発公団」に改める。
(土地収用法の一部改正)
第二十条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第五号中「地方公共団体」の下に「、農用地開発公団」を加える。
(農地法の一部改正)
第二十一条 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第―項第四号中「交換分合」の下に「又は農用地開発公団法(昭和四十九年法律第四十三号)第十九条第一項第二号の業務の実施」を加える。
(地方財政再建促進特別措置法の一部改正)
第二十二条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第二項中「農地開発機械公団」を「農用地開発公団」に改める。
(地方税法の一部改正)
第二十三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二十五条第一項第一号、第二百九十六条第一項第一号及び第三百四十八条第二項第二号中「、農地開発機械公団」を削り、第七十二条の四第一項第二号、第七十三条の四第一項第一号及び附則第十一条第八項中「農地開発機械公団」を「農用地開発公団」に改める。
(地方税法の一部改正に伴う経過措置)
第二十四条 前条の規定による改正前の地方税法第三百四十八条第二項第二号の規定は、農地開発機械公団が昭和四十九年一月一日までの間において取得した同号に規定する固定資産に対して課する昭和四十九年度分の固定資産税については、なおその効力を有する。
(所得税法等の一部改正)
第二十五条 次に掲げる法律の規定中
農地開発機械公団
農地開発機械公団法(昭和三十年法律第百四十二号)
農用地開発公団
農用地開発公団法(昭和四十九年法律第四十三号)
に改める。
一 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)別表第一第一号の表
二 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)別表第一第一号の表
三 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)別表第二
四 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)別表第二
(行政管理庁設置法の一部改正)
第二十六条 行政管理庁設置法(昭和二十三年法律第七十七号)の一部を次のように改正する。
第二条第十二号中「農地開発機械公団」を「農用地開発公団」に改める。
(農林省設置法の一部改正)
第二十七条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第六条第五項及び第六項を削る。
第九条第一項第二十九号中「農地開発機械公団」を「農用地開発公団」に改める。
大蔵大臣 福田赳夫
農林大臣 倉石忠雄
自治大臣 町村金五
内閣総理大臣 田中角榮
農用地開発公団法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十九年五月二日
内閣総理大臣 田中角栄
法律第四十三号
農用地開発公団法
目次
第一章
総則(第一条―第七条)
第二章
役員及び職員(第八条―第十八条)
第三章
業務(第十九条―第三十条)
第四章
財務及び会計(第三十一条―第四十一条)
第五章
監督(第四十二条・第四十三条)
第六章
雑則(第四十四条―第四十六条)
第七章
罰則(第四十七条―第四十九条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 農用地開発公団は、開発して農用地とすることの適当な未墾地等が相当の範囲にわたつて存在する地域において、農畜産物の濃密生産団地の建設に必要な農用地の開発、農業用施設の整備等の業務を総合的かつ計画的に行うことにより、農畜産物の安定的供給と農業経営の合理化に資することを目的とする。
(法人格)
第二条 農用地開発公団(以下「公団」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 公団は、主たる事務所を東京都に置く。
2 公団は、農林大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(資本金)
第四条 公団の資本金は、二億円と附則第六条第四項の規定により政府から出資があつたものとされた金額との合計額とし、政府がその全額を出資するものとする。
2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、公団に追加して出資することができる。
3 公団は、前項の規定による政府の出資があつたときは、その出資額により資本金を増額するものとする。
(登記)
第五条 公団は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第六条 公団でない者は、農用地開発公団という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、公団について準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第八条 公団に、役員として、理事長一人、副理事長一人、理事四人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第九条 理事長は、公団を代表し、その業務を総理する。
2 副理事長は、公団を代表し、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して公団の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、理事長の定めるところにより、理事長及び副理事長を補佐して公団の業務を掌理し、理事長及び副理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長及び副理事長が欠員のときはその職務を行う。
4 監事は、公団の業務を監査する。
5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は農林大臣に意見を提出することができる。
(役員の任命)
第十条 理事長及び監事は、農林大臣が任命する。
2 副理事長及び理事は、理事長が農林大臣の認可を受けて任命する。
(役員の任期)
第十一条 役員の任期は、三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十二条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)
二 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者であつて公団と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
三 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
(役員の解任)
第十三条 農林大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 農林大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 理事長は、前項の規定により役員を解任しようとするときは、あらかじめ、農林大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十四条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、農林大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第十五条 公団と理事長又は副理事長との利益が相反する事項については、理事長及び副理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が公団を代表する。
(代理人の選任)
第十六条 理事長は、公団の理事又は職員のうちから、公団の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第十七条 公団の職員は、理事長が任命する。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第十八条 公団の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務
(業務の範囲)
第十九条 公団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 近代的な農業経営の成立のために必要な農用地(耕作の目的又は主として家畜の放牧の目的若しくは養畜の業務のための採草の目的に供される土地をいう。以下同じ。)及び農業用施設を有する農畜産物の濃密生産団地を建設するため、次の事業を行うこと。
イ 農用地の造成(農用地間における地目変換の事業を含む。)及びこれと併せて行う農業用施設(農業用用排水施設、農業用道路その他農用地の保全又は利用上必要な施設(以下「土地改良施設」という。)を除く。以下この号において同じ。)の用に供される土地の造成又は改良
ロ 土地改良施設の新設若しくは改良又は農用地の改良若しくは保全のために必要な区画整理、客土、暗きよ排水若しくはこれらに準ずる事業として政令で定めるものであつて、イの事業と併せて行うもの
ハ 農業用施設の新設又は改良であつて、イの事業と併せて行うもの
二 前号イ又はロの事業と併せて当該事業の実施に係る農用地に関する権利又はその農用地の利用上必要な土地に関する権利、農業用施設に関する権利若しくは水の使用に関する権利の交換分合を行うこと。
三 第一号の業務を行うことにより新設され、又は改良された農業用施設についての災害復旧事業を行うこと。ただし、当該業務が完了した後に行うものを除く。
四 第一号の業務を行うことにより新設され、又は改良された農業用施設の譲渡しを行うこと。
五 第一号の業務と併せて農機具、家畜その他農林省令で定める物の売渡しを行うこと。
六 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。
2 公団は、前項の業務のほか、委託に基づき、農林大臣の認可を受けて、同項第一号イ若しくはロの事業として行う工事又は同項第三号の業務として行う工事と密接な関連を有する工事を行うことができる。
(事業実施方針)
第二十条 農林大臣は、政令で定めるところにより、都道府県から、区域を特定して公団が前条第一項の業務を行うべき旨の申出があつた場合において、申出の内容が次に掲げる要件のすべてを備えているものと認めるときは、その区域に係る同項の業務につき、事業実施方針を定め、これを公団に指示するとともに、その概要を公表しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
一 申出に係る区域が、開発して農用地とすることの適当な未墾地又は農業上の利用の程度が著しく低い農用地が相当規模の面積で存在する地域として政令で定める要件に適合するものであること。
二 申出に係る区域が前条第一項第一号の濃密生産団地の建設に必要な自然的経済的諸条件を有していること。
三 申出に係る区域の周辺の地域が、第一号に規定する未墾地及びこれに準ずる土地が相当の範囲にわたつて存在する地域として政令で定める要件に適合するものであること。
2 農林大臣は、前項の事業実施方針を定め、又は変更しようとするときは、大蔵大臣及び自治大臣に協議するとともに、関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の規定による申出を行う場合又は前項の規定により意見を聴かれた場合には、関係市町村長の意見を聴かなければならない。
(事業実施計画)
第二十一条 公団は、第十九条第一項第一号の業務を行おうとするときは、政令で定めるところにより、前条第一項の事業実施方針に基づいて事業実施計画を作成し、関係都道府県知事に協議するとともに、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 公団は、前項の規定により事業実施計画を作成しようとするときは、あらかじめ、農林省令で定めるところにより、当該事業実施計画の概要その他必要な事項を公告して、当該事業実施計画の概要に係る第十九条第一項第一号イの事業の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者(同号イの事業の実施に係る区域(事業実施計画の概要が同号ロの事業を内容の一部に含むときは、同号ロの事業の実施に係る区域を同号イの事業の実施に係る区域に含めた区域)内にある土地についての土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第三条第一項各号に掲げる者に相当する者をいう。以下同じ。)の全員の同意(当該事業実施計画の概要が第十九条第一項第一号ロの事業を内容の一部に含むときは、当該全員の同意及びその同号ロの事業の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意)を得なければならない。
3 第十九条第一項第一号イの事業の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者は、その者に係る土地につき所有権以外の権原に基づき使用及び収益をする者(当該土地についての事業参加資格者を除く。)が他に存するときは、前項の同意又は不同意を公団に表示する前において、農林省令で定めるところにより、当該事業の実施につき、その使用及び収益をする者の意見を聴かなければならない。
4 都道府県知事は、公団と第一項の規定による協議をする場合には、関係市町村長に協議しなければならない。
5 事業参加資格者の範囲については、政令で定める。
6 土地改良法第五条第六項、第八条第六項、第九条、第十条第五項及び第八十七条第十項の規定は、第一項の場合について準用する。
(事業実施計画の変更)
第二十二条 公団は、前条第一項の事業実施計画を変更しようとするときは、政令で定めるところにより、関係都道府県知事に協議するとともに、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 公団は、前項の規定により事業実施計画の変更(農林省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとする場合において、同項の認可を申請するときは、あらかじめ、農林省令で定めるところにより、その変更後の事業実施計画の概要その他必要な事項を公告して、次の各号の区分により、それぞれ当該各号に定める同意を得なければならない。
一 その変更後の事業実施計画の概要が第十九条第一項第一号ロの事業を内容の一部に含む場合 その変更後の事業実施計画の概要に係る同号イの事業の実施に係る区域(その変更により同号イの事業の実施に係る区域の一部がその変更後の同号イの事業の実施に係る区域に該当しないこととなるものがあるときは、その該当しないこととなる区域をその変更後の同号イの事業の実施に係る区域に含めた区域。次号において同じ。)内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意及びその変更後の事業実施計画の概要に係る同号ロの事業の実施に係る区域(その変更により同号ロの事業の実施に係る区域の一部がその変更後の同号ロの事業の実施に係る区域に該当しないこととなるものがあるときは、その該当しないこととなる区域をその変更後の同号ロの事業の実施に係る区域に含めた区域)内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意
二 その変更後の事業実施計画の概要が第十九条第一項第一号ロの事業を内容の一部に含まない場合 その変更後の事業実施計画の概要に係る同号イの事業の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意(その変更後の事業実施計画の概要がその変更により同号ロの事業を内容の一部に含まないこととなるときは、当該三分の二以上の同意及びその同号ロの事業の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意)
3 公団は、第一項の規定により事業実施計画の変更をしようとする場合において、その変更後の事業実施計画の概要がその変更により新たな区域を第十九条第一項第一号イの事業の実施に係る区域の一部とすることとなるときは、前項各号に定める同意のほか、その新たな区域内にある土地についての事業参加資格者の全員の同意を得なければならない。
4 前条第四項並びに土地改良法第五条第六項、第八条第六項、第九条、第十条第五項、第四十八条第四項及び第八十七条第十項の規定は第一項の場合について、前条第三項の規定は前項の場合について準用する。
(換地計画)
第二十三条 公団は、その行う第十九条第一項第一号イ又はロの事業につき、その事業の性質上必要があるときは、その事業の実施に係る区域につき、換地計画を定め、関係都道府県知事に協議するとともに、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 土地改良法第五十二条第二項、第三項、第五項前段及び第六項から第八項まで、第五十二条の二から第五十二条の五まで、第五十三条(第一項第一号を除く。)、第五十三条の二の二、第五十三条の三、第五十三条の四から第五十五条まで並びに第八十九条の三の規定は、前項の換地計画について準用する。
(交換分合計画)
第二十四条 公団は、第十九条第一項第二号の業務を行おうとするときは、政令で定めるところにより、第二十条第一項の事業実施方針に基づいて交換分合計画を作成し、関係都道府県知事に協議するとともに、農林大臣の認可を受けなければならない。
2 土地改良法第八十九条の三、第九十九条第二項から第十三項まで、第百一条から第百七条まで、第百八条第一項及び第二項、第百九条から第百十一条まで、第百三十七条並びに第百四十二条(同法第百三十七条に係る部分に限る。)の規定は、前項の交換分合計画について準用する。
(災害復旧事業実施計画)
第二十五条 公団は、土地改良施設について第十九条第一項第三号の業務を行おうとするときは、政令で定めるところにより、第二十条第一項の事業実施方針に基づいて災害復旧事業実施計画を作成し、関係都道府県知事に協議するとともに、農林大臣の認可を受けなければならない。土地改良施設以外の農業用施設について同号の業務を行おうとするときも、同様とする。
2 公団は、前項前段の規定により災害復旧事業実施計画を作成しようとするときは、あらかじめ、農林省令で定めるところにより、当該災害復旧事業実施計画の概要その他必要な事項を公告して、当該災害復旧事業実施計画の概要に係る第十九条第一項第三号の業務の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意を得なければならない。
3 第二十一条第四項の規定は第一項の場合について、土地改良法第八条第六項、第九条、第十条第五項及び第八十七条第十項の規定は第一項前段の場合について準用する。
(業務方法書)
第二十六条 公団は、第十九条第一項第四号又は第五号の業務の開始の際、業務方法書を作成し、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、農林省令で定める。
(費用負担)
第二十七条 公団は、政令で定めるところにより、第十九条第一項第一号イ及びロの事業、同項第二号の業務並びに同項第三号の業務(土地改良施設に係るものに限る。以下同じ。)に要する費用の一部を当該事業又は業務の実施に係る区域をその区域の全部又は一部とする都道府県に負担させることができる。
2 前項の都道府県は、政令で定めるところにより、条例で、同項の事業又は業務の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者その他農林省令で定める者で、当該事業又は業務によつて利益を受けるものから、その者の受ける利益を限度として、同項の規定による負担金の全部又は一部を徴収することができる。
3 第一項の都道府県は、同項の事業又は業務の実施に係る区域の全部又は一部をその区域の全部又は一部とする市町村が、当該市町村の議会の議決を経て同項の規定による負担金の全部又は一部を負担することについて同意をした場合には、前項の規定によらず、政令で定めるところにより、第一項の規定による負担金の全部又は一部を当該市町村に負担させることができる。
4 前項の市町村は、政令で定めるところにより、条例で、第一項の事業又は業務の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者その他農林省令で定める者で、当該事業又は業務によつて利益を受けるものから、その者の受ける利益を限度として、前項の規定による負担金の全部又は一部を徴収することができる。
(特別徴収金)
第二十八条 公団、都道府県又は市町村は、公団にあつては政令で定めるところにより、都道府県及び市町村にあつては政令で定めるところにより、条例で、第十九条第一項第一号イ又はロの事業の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者が、公団が農林省令で定めるところにより当該事業が完了した旨の公告をした日以後八年を経過する日までの間に、当該土地を当該事業に係る事業実施計画において予定した用途以外の用途(政令で定める用途を除く。以下「目的外用途」という。)に供するため所有権の移転若しくは地上権、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転をした場合又は当該土地を自ら目的外用途に供した場合(当該土地を目的外用途に供するため所有権の移転又は地上権、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転を受けて、目的外用途に供した場合を除く。)には、その者から特別徴収金を徴収することができる。
2 土地改良法第八十九条の三の規定は公団が徴収する前項の特別徴収金の徴収について、同法第九十条の二第三項の規定は前項の特別徴収金の額について準用する。
(徴収金の徴収方法)
第二十九条 都道府県又は市町村が徴収する第二十七条第二項若しくは第四項又は前条第一項の規定による徴収金は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十一条の三第三項に規定する法律で定める歳入とする。
(土地改良法の準用等)
第三十条 土地改良法第百十二条、第百十三条、第百十四条第一項、第百十五条、第百十八条(第二項を除く。)、第百二十一条から第百二十三条まで、第百三十八条(第一号に係る部分に限る。)及び第百四十二条(同法第百三十八条第一号に係る部分に限る。)の規定は公団が行う第十九条第一項第一号イ及びロの事業、、同項第二号の業務並びに同項第三号の業務について、同法第五十八条から第六十二条まで、第六十三条第二項及び第三項、第六十四条、第六十五条、第百十三条の二第一項及び第二項、第百十三条の三、第百十四条第二項、第百十九条、第百二十条、第百三十八条(第二号に係る部分に限る。)、第百三十九条並びに第百四十二条(同法第百三十八条第二号に係る部分に限る。)の規定は公団が行う第十九条第一項第一号イ及びロの事業並びに同項第三号の業務について、同法第六十三条第一項、第百十六条、第百十七条、第百二十三条の二及び第百三十一条の規定は公団が行う第十九条第一項第一号イ及びロの事業について準用する。
2 第二十一条第六項、第二十二条第四項、第二十三条第二項、第二十四条第二項、第二十五条第三項、第二十八条第二項及び前項における土地改良法の準用について必要な技術的読替えは、政令で定める。
第四章 財務及び会計
(事業年度)
第三十一条 公団の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(事業計画等の認可)
第三十二条 公団は、毎事業年度、事業計画、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(財務諸表)
第三十三条 公団は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に農林大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 公団は、前項の規定により財務諸表を農林大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見を付けなければならない。
3 公団は、第一項の規定による農林大臣の承認を受けた財務諸表を各事務所に備えて置かなければならない。
(利益及び損失の処理)
第三十四条 公団は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 公団は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金及び農用地開発債券)
第三十五条 公団は、農林大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は農用地開発債券(以下「債券」という。)を発行することができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、農林大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
4 第一項の規定による債券の債権者は、公団の財産について他の債権者に先立つて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
5 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
6 公団は、農林大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
7 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条までの規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
8 第一項及び第四項から前項までに定めるもののほか、債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(債務保証)
第三十六条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、公団の長期借入金又は債券に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について保証することができる。
(償還計画)
第三十七条 公団は、毎事業年度、長期借入金及び債券の償還計画を立てて、農林大臣の認可を受けなければならない。
(余裕金の運用)
第三十八条 公団は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他農林大臣の指定する有価証券の取得
二 銀行、農林中央金庫その他農林大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金
三 信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託
(財産の処分等の制限)
第三十九条 公団は、農林省令で定める重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。ただし、第十九条第一項第四号の規定による譲渡し又は同項第五号の規定による売渡しを行おうとするときは、この限りでない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第四十条 公団は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、農林大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(農林省令への委任)
第四十一条 この法律及びこれに基づく命令に規定するもののほか、公団の財務及び会計に関し必要な事項は、農林省令で定める。
第五章 監督
(監督)
第四十二条 公団は、農林大臣が監督する。
2 農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公団に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第四十三条 農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公団に対してその業務及び資産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、公団の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第六章 雑則
(解散)
第四十四条 公団の解散については、別に法律で定める。
(大蔵大臣との協議)
第四十五条 農林大臣は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第十九条第二項、第二十六条第一項、第三十二条、第三十五条第一項、第二項ただし書若しくは第六項、第三十七条又は第三十九条の規定による認可をしようとするとき。
二 第二十六条第二項、第三十九条又は第四十一条の規定により農林省令を定めようとするとき。
三 第三十三条第一項又は第四十条の規定による承認をしようとするとき。
四 第三十八条第一号又は第二号の規定による指定をしようとするとき。
(他の法令の準用)
第四十六条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、公団を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。
第七章 罰則
第四十七条 第四十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした公団の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
第四十八条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした公団の役員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定(第二十三条第二項において準用する土地改良法第五十三条の四第一項の規定を含む。)により農林大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第五条第一項の政令の規定に違反して登記することを怠つたとき。
三 第十九条及び附則第十一条に規定する業務以外の業務を行つたとき。
四 第三十八条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第四十二条第二項の規定による農林大臣の命令に違反したとき。
第四十九条 第六条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第十六条から第二十七条までの規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(公団の設立)
第二条 農林大臣は、公団の理事長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、公団の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。
第三条 農林大臣は、設立委員を命じて、公団の設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員は、公団の設立の準備を完了したときは、遅滞なく、政府に対し、出資金の払込みの請求をしなければならない。
3 設立委員は、出資金の払込みがあつた日において、その事務を前条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
第四条 附則第二条第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前条第三項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第五条 公団は、設立の登記をすることによつて成立する。
(農地開発機械公団の解散等)
第六条 農地開発機械公団は、公団の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において公団が承継する。
2 農地開発機械公団の昭和四十九年四月一日に始まる事業年度は、農地開発機械公団の解散の日の前日に終わるものとする。
3 農地開発機械公団の昭和四十九年四月一日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、なお従前の例による。
この場合において、当該決算の完結の期限は、解散の日から起算して三月を経過する日とする。
4 第一項の規定により公団が農地開発機械公団の権利及び義務を承継したときは、その承継の際における農地開発機械公団に対する政府の出資金に相当する金額は、公団の設立に際し政府から公団に出資されたものとする。
5 第一項の規定により農地開発機械公団が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(非課税)
第七条 前条第一項の規定により公団が権利を承継する場合における当該承継に係る不動産又は自動車の取得については、不動産取得税若しくは特別土地保有税又は自動車取得税を課することができない。
2 前条第一項の規定により公団が権利を承継する場合における当該承継に係る土地で農地開発機械公団が昭和四十四年一月一日前に取得したものに対しては、特別土地保有税を課することができない。
(農地開発機械公団の解散に伴う経過措置)
第八条 農地開発機械公団の解散の際現にその役員又は職員として在職する者であつて、国家公務員共済組合法の一部を改正する法律(昭和三十六年法律第百五十二号)附則第十条第二項の復帰希望職員であるものが、引き続いて公団の役員又は職員となつた場合には、その者を当該復帰希望職員とみなして同条第二項から第四項までの規定を適用する。この場合において、同条第二項中「公団等職員として」とあるのは「農地開発機械公団又は農用地開発公団の役員又は職員として」と、「公団等職員であつた期間」とあるのは「農地開発機械公団又は農用地開発公団の役員又は職員であつた期間」とする。
2 農地開発機械公団の解散の際現にその役員又は職員として在職する者であつて、地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法(昭和三十七年法律第百五十三号)第百二十七条第二項の復帰希望職員であるものが、引き続いて公団の役員又は職員となつた場合には、その者を当該復帰希望職員とみなして同条第二項から第四項までの規定を適用する。
この場合において、同条第二項中「公団等職員として」とあるのは「農地開発機械公団又は農用地開発公団の役員又は職員として」と、「公団等職員である間」とあるのは「農地開発機械公団又は農用地開発公団の役員又は職員である間」と、「公団等職員であつた間」とあるのは「農地開発機械公団又は農用地開発公団の役員又は職員であつた間」とする。
第九条 農地開発機械公団の解散の際現にその職員として在職する者で引き続き公団の職員となつたものについては、公団が国家公務員等退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第七条の二第一項に規定する公庫等に該当する場合に限り、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律(昭和四十八年法律第三十号)附則第九項中「在職した後」とあるのは「在職し、引き続き農用地開発公団において使用される者として在職した後」と、同法附則第十二項中「附則第九項に規定する者」とあるのは「農用地開発公団法(昭和四十九年法律第四十三号)附則第九条の規定により読み替えて適用される附則第九項に規定する者」と読み替えてこれらの規定を適用する。
(国営土地改良事業の承継等)
第十条 この法律の施行の際現に国が土地改良事業として行つている事業のうち、第二十条第一項の事業実施方針で定められた公団の業務に相当する部分(以下「国営土地改良事業」という。)は、当該業務について次項の規定による公示があつた日の翌日から、公団がその業務として行うものとする。
2 農林大臣は、国営土地改良事業に係る公団の業務について第二十一条第一項の規定による事業実施計画の認可をしたときは、政令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
3 第一項の規定により公団が国営土地改良事業をその業務として行うこととなつた時において当該国営土地改良事業に関し国が有する権利及び義務は、その時において公団が承継する。
4 第一項の規定により公団が国営土地改良事業をその業務として行うこととなる場合において、国が委託に基づき当該国営土地改良事業と密接な関連を有する工事(以下「関連工事」という。)を行つているときは、公団が当該国営土地改良事業をその業務として行うこととなつた時において当該関連工事に関し国が有する権利及び義務は、その時において公団が承継する。ただし、国がその委託をしている者の同意を得ることができなかつたときは、この限りでない。
5 前項の規定により公団が国の有する権利及び義務を承継する場合において、公団が当該関連工事に係る業務を行うについては、第十九条第二項の規定による認可を受けることを要しない。
6 第一項の規定により公団が国営土地改良事業をその業務として行うこととなつたときは、公団は、政令で定めるところにより、第二十七条第一項の規定による負担金の額のうち、当該国営土地改良事業を行うにつき国が要した費用の一部に相当する金額を国庫に納付しなければならない。
7 第一項の規定により公団が国営土地改良事業をその業務として行うこととなつた場合における第二十七条第一項の規定の適用については、同項中「費用」とあるのは、「費用(附則第十条第一項の規定により公団がその業務として行うこととなつた国営土地改良事業を行うにつき国が要した費用を含む。)」とする。
(臨時の業務等)
第十一条 公団は、当分の間、第十九条の規定にかかわらず、旧農地開発機械公団法(昭和三十年法律第百四十二号)第十八条第一項から第三項までの業務(第十九条の業務を除く。)を行うことができる。
この場合における第二十六条第一項の規定の適用については、同項中「第十九条第一項第四号及び第五号の業務」とあるのは、「附則第十一条に規定する業務」とする。
第十二条 公団の成立の日以後三年を限り、第八条に定めるもののほか、公団に、役員として、理事二人を置くことができる。この場合において、これらの理事の任期は、第十一条第一項本文の規定にかかわらず、その成立の日から起算して三年を経過する日までとする。
(名称の使用制限等に関する経過措置)
第十三条 この法律の施行の際現に農用地開発公団という名称を使用している者については、第六条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第十四条 公団の最初の事業年度は、第三十一条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和五十年三月三十一日に終わるものとする。
第十五条 公団の最初の事業年度の事業計画、予算及び資金計画については、第三十二条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「公団の成立後遅滞なく」とする。
(農地開発機械公団法の廃止)
第十六条 農地開発機械公団法は、廃止する。
(農地開発機械公団法の廃止に伴う経過措置)
第十七条 農地開発機械公団の役員又は職員として在職した者については、旧農地開発機械公団法第三十七条及び第三十八条の規定は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。この場合において、同条中「公団は」とあるのは、「農用地開発公団は」とする。
第十八条 附則第十六条の規定の施行前にした旧農地開発機械公団法の規定に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(公職選挙法の一部改正)
第十九条 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。
第百三十六条の二第一項第二号中「農地開発機械公団」を「農用地開発公団」に改める。
(土地収用法の一部改正)
第二十条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第五号中「地方公共団体」の下に「、農用地開発公団」を加える。
(農地法の一部改正)
第二十一条 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第―項第四号中「交換分合」の下に「又は農用地開発公団法(昭和四十九年法律第四十三号)第十九条第一項第二号の業務の実施」を加える。
(地方財政再建促進特別措置法の一部改正)
第二十二条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第二項中「農地開発機械公団」を「農用地開発公団」に改める。
(地方税法の一部改正)
第二十三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二十五条第一項第一号、第二百九十六条第一項第一号及び第三百四十八条第二項第二号中「、農地開発機械公団」を削り、第七十二条の四第一項第二号、第七十三条の四第一項第一号及び附則第十一条第八項中「農地開発機械公団」を「農用地開発公団」に改める。
(地方税法の一部改正に伴う経過措置)
第二十四条 前条の規定による改正前の地方税法第三百四十八条第二項第二号の規定は、農地開発機械公団が昭和四十九年一月一日までの間において取得した同号に規定する固定資産に対して課する昭和四十九年度分の固定資産税については、なおその効力を有する。
(所得税法等の一部改正)
第二十五条 次に掲げる法律の規定中
農地開発機械公団
農地開発機械公団法(昭和三十年法律第百四十二号)
農用地開発公団
農用地開発公団法(昭和四十九年法律第四十三号)
に改める。
一 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)別表第一第一号の表
二 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)別表第一第一号の表
三 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)別表第二
四 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)別表第二
(行政管理庁設置法の一部改正)
第二十六条 行政管理庁設置法(昭和二十三年法律第七十七号)の一部を次のように改正する。
第二条第十二号中「農地開発機械公団」を「農用地開発公団」に改める。
(農林省設置法の一部改正)
第二十七条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第六条第五項及び第六項を削る。
第九条第一項第二十九号中「農地開発機械公団」を「農用地開発公団」に改める。
大蔵大臣 福田赳夫
農林大臣 倉石忠雄
自治大臣 町村金五
内閣総理大臣 田中角栄