(目的)
第一条 この法律は、消費生活等の変化に即して、かつ、都市環境との調和をとりつつ、特定商業集積の整備を促進することにより、商業の振興及び良好な都市環境の形成を図り、もって国民経済及び地域社会の健全な発展並びに国民生活の向上に寄与することを目的とする。
(施策における配慮)
第二条 国及び地方公共団体は、この法律に基づく施策の実施に当たっては、小売業において中小小売商業が果たす重要な役割及び特定商業集積の整備が周辺の地域に及ぼす経済的社会的効果にかんがみ、中小小売商業の振興及び地域の発展に配慮しつつ、これを行うものとする。
(定義)
第三条 この法律において「特定商業集積」とは、相当数の小売業の業務を行う者の事業の用に供される施設と顧客その他の地域住民の利便の増進を図るための多様な施設とが一体的に設置される施設であって、相当規模のものであることその他の政令で定める要件に該当するものをいう。
2 この法律において「商業基盤施設」とは、顧客その他の地域住民の利便の増進を図るための施設及び相当数の小売業の業務を行う者が利用するための施設(小売業の業務を行う者の共用に供される施設を含む。以下「共同利用施設」という。)をいう。
3 この法律において「商業施設」とは、小売業の業務を行う者の事業の用に供される施設であって、共同利用施設以外のものをいう。
(特定商業集積整備基本指針)
第四条 通商産業大臣、建設大臣及び自治大臣は、特定商業集積の整備に関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。
2 基本指針においては、次に掲げる事項につき、次条第一項の基本構想の指針となるべきものを定めるものとする。
二 特定商業集積を構成する商業基盤施設及び商業施設に関する事項
三 特定商業集積と一体的に整備される公共施設に関する基本的な事項
3 通商産業大臣、建設大臣及び自治大臣は、情勢の推移により必要が生じたときは、基本指針を変更するものとする。
4 通商産業大臣、建設大臣及び自治大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 通商産業大臣、建設大臣及び自治大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(特定商業集積整備基本構想)
第五条 市町村は、基本方針に基づき、特定商業集積の整備に関する基本的な構想(以下「基本構想」という。)を作成し、都道府県知事の承認を申請することができる。
2 基本構想においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 当該市町村における特定商業集積に係る商業の振興に関する基本的な方針
三 特定商業集積の位置、規模及び機能に関する基本的な事項
四 特定商業集積を構成する商業基盤施設及び商業施設の運営に関する基本的な事項
六 特定商業集積と一体的に整備される公共施設に関する基本的な事項
七 市町村が行う特定商業集積の円滑な整備を図るための措置その他の特定商業集積の整備に関し必要な措置に関する事項
3 基本構想は、都市計画との調和が保たれ、かつ、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第五項の基本構想に即したものでなければならない。
4 市町村は、基本構想を作成しようとするときは、第二項第一号から第五号までに掲げる事項について、当該市町村の区域をその地区とする商工会議所又は商工会の意見を聴かなければならない。
5 基本構想に係る特定商業集積を構成する施設を設置する事業に関する計画について次に掲げる認定を受けようとする者が存する場合にあっては、市町村は、基本構想を作成しようとするときは、第二項第二号から第五号までに掲げる事項について、当該認定を受けようとする者の意見を聴くものとする。
一 中小小売商業振興法(昭和四十八年法律第百一号)第四条第一項から第三項まで及び第六項の認定
二 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号。以下「特定施設整備法」という。)第二条第一項第十三号に掲げる特定施設に係る同法第四条第一項の認定
6 都道府県知事は、基本構想が、次の各号に該当するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
一 第二項各号に掲げる事項が基本指針に適合するものであること。
二 第二項第三号に掲げる事項が、周辺の地域の土地利用の動向等からみて、顧客その他の地域住民の利便及び都市機能の増進を図る上で適切なものであること。
三 基本構想を達成するための措置が当該市町村の財政の健全性の確保にとって適切なものであること。
四 その他基本指針に照らして適切なものであること。
7 都道府県知事は、前項の規定による承認を行ったときは、通商産業大臣、建設大臣及び自治大臣に対して、速やかに、その旨を通知しなければならない。
8 市町村は、基本構想が第六項の規定による承認を受けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
9 国及び都道府県は、市町村に対し、基本構想の作成のために必要な助言、指導その他の援助を行うように努めなければならない。
(基本構想の変更)
第六条 市町村は、前条第六項の規定による承認を受けた基本構想の変更(通商産業省令、建設省令、自治省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、都道府県知事の承認を受けなければならない。
2 前条第三項から第九項までの規定は、前項の場合について準用する。
(中小小売商業振興法等に係る認定の申請)
第七条 第五条第六項の規定による承認を受けた基本構想(前条第一項の規定による変更の承認があったときは、変更後のもの。以下「承認基本構想」という。)に係る特定商業集積を構成する施設を設置する事業に関する計画について第五条第五項各号に掲げる認定を申請する場合には、当該計画は、承認基本構想に従った内容のものでなければならない。
(中小企業信用保険法の特例)
第八条 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第三条第一項に規定する普通保険(以下「普通保険」という。)又は同法第三条の二第一項に規定する無担保保険(以下「無担保保険」という。)の保険関係であって、特定商業集積整備関連保証(同法第三条第一項又は第三条の二第一項に規定する債務の保証で、中小小売商業振興法第四条第六項の特定会社又は同法第五条の四の公益法人が同法第四条第六項の規定による認定を受けた商店街整備等支援計画に基づき承認基本構想に係る特定商業集積を構成する施設を設置する事業に必要な資金(以下「特定商業集積整備事業資金」という。)に係るものをいう。以下同じ。)を受けた者に係るものについての中小企業信用保険法第三条一項並びに第三条の二第一項及び第三項の規定の適用については、同法第三条第一項中「一億二千万円」とあるのは「二億四千万円(特定商業集積の整備の促進に関する特別措置法第八条第一項に規定する特定商業集積整備事業資金(以下単に「特定商業集積整備事業資金」という。)以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、一億二千万円)」と、同法第三条の二第一項及び第三項中「千五百万円」とあるのは「三千万円(特定商業集積整備事業資金以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、千五百万円)」とする。
2 普通保険の保険関係であって、特定商業集積整備関連保証に係るものについての中小企業信用保険法第三条第二項及び第五条の規定の適用については、同法第三条第二項中「百分の七十」とあり、及び同法第五条中「百分の七十(無担保保険、特別小口保険、公害防止保険、エネルギー対策保険、海外投資関係保険及び新事業開拓保険にあつては、百分の八十)」とあるのは、「百分の八十」とする。
3 普通保険又は無担保保険の保険関係であって、特定商業集積整備関連保証に係るものについての保険料の額は、中小企業信用保険法第四条の規定にかかわらず、保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。
(産業基盤整備基金の行う特定商業集積整備促進業務)
第九条 産業基盤整備基金(以下「基金」という。)は、特定施設整備法第四十条第一項に規定する業務のほか、特定商業集積の整備を促進するため、次の業務を行う。
一 承認基本構想に係る特定商業集積を構成する施設を設置する事業を行う者(その施設の全部又は一部が特定施設整備法第二条第一項第十三号に掲げる特定施設である施設を設置する事業を行う者であって、当該特定施設を設置する事業に関する計画について特定施設整備法第四条第一項の認定を受けたものに限る。)に対し、当該施設を設置する事業に必要な資金の借入れに係る債務の保証を行うこと。
二 展示会の開催その他の顧客の増加に寄与する事業を支援する事業及び研修その他の小売業の業務を行う者の経営の効率化に寄与する事業であって、特定商業集積における小売業の振興に資するものに必要な資金の出資を行うこと。
三 特定商業集積に関する情報の収集、整理及び提供を行うこと。
(政府の出資)
第十条 政府は、基金が前条第一号に掲げる業務に必要な資金に充てるためその資本金を増加するときは、予算の範囲内において、基金に出資することができる。
(特別勘定)
第十一条 基金は、第九条第一号に掲げる業務及びこれに附帯する業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定(以下「特別勘定」という。)を設けて整理しなければならない。
2 基金は、特別勘定において、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
3 基金は、特別勘定において、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
4 基金は、第九条第一号に掲げる業務に必要な資金に充てるため、大蔵大臣及び通商産業大臣の承認を受けて、産業構造転換円滑化臨時措置法(昭和六十二年法律第二十四号)第十八条第一項に規定する特別勘定以外の一般の勘定(次項において「一般勘定」という。)の資金の一部を特別勘定に繰り入れることができる。
5 基金は、第九条第一号に掲げる業務に支障がない範囲内で、大蔵大臣及び通商産業大臣の承認を受けて、前項の規定により繰り入れられた金額を限度として特別勘定の資金の一部を一般勘定に繰り入れることができる。
(特定商業集積信用資金)
第十二条 基金は、第九条第一号に掲げる業務に関して、特定商業集積信用資金を設け、次の各号に掲げる金額の合計額をもってこれに充てなければならない。
二 第九条第一号に掲げる業務に必要な資金に充てるべきものとして政府以外の者から出資された金額
三 基金が負担する第九条第一号に掲げる業務に係る保証債務の弁済に充てることを条件として出えんされた金額
2 特定商業集積信用資金は、特別勘定における毎事業年度の損益計算上利益又は損失を生じたときは、その利益の額又は損失の額により増加し又は減少するものとする。
(特定施設整備法等の特例等)
第十三条 第九条の規定により基金の業務が行われる場合には、特定施設整備法第十九条中「日本開発銀行」とあるのは「政府及び日本開発銀行」と、特定施設整備法第四十条第二項中「同条第二項の認可を受けた場合において出資された金額」とあるのは「同条第二項の認可を受けた場合において出資された金額(特定商業集積の整備の促進に関する特別措置法(以下「特定商業集積整備法」という。)第十二条第一項第一号及び第二号に掲げる金額を除く。)」と、「出えんされた金額」とあるのは「出えんされた金額(特定商業集積整備法第十二条第一項第三号に掲げる金額を除く。)」と、「前項第一号の業務」とあるのは「前項第一号の業務及び特定商業集積整備法第十一条第四項の規定による同条第一項に規定する特別勘定(以下「特別勘定」という。)への繰入れ」と、特定施設整備法第四十一条第一項中「債務の保証の決定」とあるのは「債務の保証の決定及び出資の決定」と、特定施設整備法第四十六条中「出資者」とあるのは「政府以外の出資者」と、特定施設整備法第五十一条中「この法律」とあるのは「この法律及び特定商業集積整備法」と、特定施設整備法第五十二条第二項並びに第五十三条第一項及び第二項中「この法律」とあるのは「この法律又は特定商業集積整備法」と、特定施設整備法第五十四条第三項中「出資者」とあるのは「政府以外の出資者」と、特定施設整備法第五十五条第一項中「これを各出資者に対し」とあるのは「政令で定めるところにより、当該残余財産のうち、特別勘定に属する額に相当する額を特別勘定に係る各出資者に、特別勘定以外の一般の勘定に属する額に相当する額を当該勘定に係る各出資者に対し」と、特定施設整備法第六十三条第三号中「第四十条第一項」とあるのは「第四十条第一項及び特定商業集積整備法第九条」とし、産業構造転換円滑化臨時措置法第二十条第一項中「第十六条第三号及び第五号に掲げる業務」とあるのは「第十六条第三号及び第五号に掲げる業務並びに特定商業集積の整備の促進に関する特別措置法第九条第三号に掲げる業務」とする。
2 第九条の規定により基金の業務が行われる場合における当該業務に係る資金及び経理については、特定施設整備法並びに前二条及び前項に規定するもののほか、産業構造転換円滑化臨時措置法附則第九条に定めるところによるものとする。
(課税の特例)
第十四条 第九条第一号に規定する者が新たに取得し、又は建設した建物及びその附属設備であって、承認基本構想に係る特定商業集積を構成する商業施設に含まれるものについては、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の定めるところにより、特別償却をすることができる。
(地方税の不均一課税に伴う措置)
第十五条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第六条第二項の規定により、自治省令で定める地方公共団体が、承認基本構想に係る特定商業集積を構成する商業基盤施設(共同利用施設を除く。)のうち自治省令で定めるものを設置した者について、当該商業基盤施設の用に供する家屋若しくはその敷地である土地の取得に対する不動産取得税又は当該商業基盤施設の用に供する家屋若しくは構築物若しくはこれらの敷地である土地に対する固定資産税に係る不均一の課税をした場合において、これらの措置が自治省令で定める場合に該当すると認められるときは、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の規定による当該地方公共団体の各年度における基準財政収入額は、同条の規定にかかわらず、当該地方公共団体の当該各年度分の減収額(固定資産税に関するこれらの措置による減収分にあっては、これらの措置がなされた最初の三箇年度におけるものに限る。)のうち自治省令で定めるところにより算定した額を同条の規定による当該地方公共団体の当該各年度(これらの措置が自治省令で定める日以後において行われたときは、当該減収額について当該各年度の翌年度)における基準財政収入額となるべき額から控除した額とする。
(資金の確保)
第十六条 国及び地方公共団体は、承認基本構想に基づき行う特定商業集積の整備に必要な資金の確保に努めなければならない。
(公共施設の整備)
第十七条 国及び地方公共団体は、承認基本構想を達成するために必要な公共施設の整備の促進に配慮するものとする。
(国等の援助)
第十八条 国及び地方公共団体は、承認基本構想の達成に資するため、承認基本構想に係る特定商業集積を構成する施設の設置及び運営を行う者に対し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。
(地方債についての配慮)
第十九条 地方公共団体が承認基本構想を達成するために行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。