国民年金法
法令番号: 法律第百四十一号
公布年月日: 昭和34年4月16日
法令の形式: 法律
国民年金法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十四年四月十六日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百四十一号
国民年金法
目次
第一章
総則(第一条―第六条)
第二章
被保険者(第七条―第十四条)
第三章
年金給付
第一節
通則(第十五条―第二十五条)
第二節
老齢年金(第二十六条―第二十九条)
第三節
障害年金(第三十条―第三十六条)
第四節
母子年金、遺児年金及び寡婦年金
第一款
母子年金(第三十七条―第四十一条)
第二款
遺児年金(第四十二条―第四十八条)
第三款
寡婦年金(第四十九条―第五十二条)
第五節
特例による老齢年金、障害年金及び母子年金(第五十三条―第六十八条)
第六節
給付の制限(第六十九条―第七十三条)
第四章
被保険者及び年金給付に関する経過的特例
第一節
経過措置(第七十四条―第七十九条)
第二節
福祉年金の特別支給(第八十条―第八十三条)
第五章
福祉施設(第八十四条)
第六章
費用(第八十五条―第百条)
第七章
審査の請求(第百一条)
第八章
雑則(第百二条―第百十条)
第九章
罰則(第百十一条―第百十四条)
附則
第一章 総則
(国民年金制度の目的)
第一条 国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、廃疾又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。
(国民年金の給付)
第二条 国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、廃疾又は死亡に関して必要な年金の給付を行うものとする。
(管掌)
第三条 国民年金事業は、政府が、管掌する。
2 国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、都道府県知事又は市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)に行わせることができる。
(年金額及び保険料額の調整)
第四条 保険料の負担を伴うこの法律による年金の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるための調整が加えられるべきものとする。
2 保険料の額は、年金給付に要する費用の予想額並びに予定運用収入及び国庫負担の額に照らし、将来にわたつて、財政の均衡を保つことができるものでなければならず、かつ、少なくとも五年ごとに、この基準に従つて再計算され、その結果に基いて所要の調整が加えられるべきものとする。
(用語の定義)
第五条 この法律において、「被用者年金各法」とは、次の各号に掲げる法律及び条例をいう。
一 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)
二 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)
三 恩給法(大正十二年法律第四十八号。他の法律において準用する場合を含む。)
四 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)
五 地方公務員の退職年金に関する条例
六 市町村職員共済組合法(昭和二十九年法律第二百四号)
七 私立学校教職員共済組合法(昭和二十八年法律第二百四十五号)
八 公共企業体職員等共済組合法(昭和三十一年法律第百三十四号)
九 農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)
十 国会議員互助年金法(昭和三十三年法律第七十号)
2 この法律において、「公的年金各法に基く年金たる給付」とは、次の各号に掲げる給付をいう。
一 被用者年金各法に基く年金たる給付
二 厚生年金保険法附則第二十八条に規定する共済組合が支給する年金たる給付
三 執達吏規則(明治二十三年法律第五十一号)に基く年金たる給付
四 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法(昭和二十五年法律第二百五十六号)に基いて国家公務員共済組合連合会が支給する年金たる給付
五 戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)に基く年金たる給付(遺族給与金を含む。)
六 未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)に基く留守家族手当及び特別手当(同法附則第四十四項に規定する手当を含む。)
七 前各号に定めるもののほか、政令で定める法令に基く年金たる給付
3 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、第四十九条の規定を除き、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。
(諮問)
第六条 厚生大臣は、国民年金事業の運営に関しては、その大綱につき、あらかじめ、国民年金審議会に諮間するものとする。
第二章 被保険者
(被保険者の資格)
第七条 日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の日本国民は、国民年金の被保険者とする。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、前項の規定にかかわらず、国民年金の被保険者としない。
一 被用者年金各法の被保険者又は組合員(恩給法に定める公務員及び他の法律により恩給法に定める公務員とみなされる者、地方公務員の退職年金に関する条例の適用を受ける地方公務員、厚生年金保険法附則第二十八条に規定する共済組合の組合員、執行吏並びに国会議員を含む。)
二 第五条第二項第一号から第四号までに掲げる年金たる給付のうち老齢若しくは退職又は廃疾を支給事由とする給付を受けることができる者
三 第五条第二項第一号から第四号までに掲げる年金たる給付のうち老齢又は退職を支給事由とする給付の受給資格要件たる期間を満たしている者
四 第五条第二項第一号から第四号までに掲げる年金たる給付のうち死亡を支給事由とする給付を受けることができる者
五 第五条第二項第五号から第七号までに掲げる年金たる給付を受けることができる者
六 前五号に掲げる者の配偶者
七 次に掲げる学校に在学する生徒又は学生。ただし、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第四十四条に規定する高等学校の定時制課程による授業を受け、同法第四十五条(同法第七十条、第七十条の十及び第七十六条において準用する場合を含む。)に規定する通信教育を受け、同法第五十四条に規定する夜間の学部に在学し、又は同法第七十条の四に規定する夜間の課程による授業を受ける生徒又は学生を除く。
イ 学校教育法第四十一条に規定する高等学校(盲学枚、聾学校又は養護学校の高等部を含む。)及びこれに相当する国立の学校で厚生大臣の指定するもの
ロ 学校教育法第五十二条に規定する大学(同法第六十二条に規定する大学院を含む。)及びこれに相当する国立の学校で厚生大臣の指定するもの
ハ 学校教育法第七十条の二に規定する専科大学及びこれに相当する国立の学校で厚生大臣の指定するもの
3 前項各号に掲げる者に対する将来にわたるこの法律の適用関係については、国民年金制度と被用者年金各法による年金制度及びその他の公的年金制度との関連を考慮して、すみやかに検討が加えられたうえ、別に法律をもつて処理されるべきものとする。
(資格取得の時期)
第八条 前条の規定による被保険者は、二十歳に達した日、日本国民となつた日又は日本国内に住所を有するに至つた日に、被保険者の資格を取得する。
(資格喪失の時期)
第九条 第七条の規定による被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(第四号に該当するに至つたときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
一 死亡したとき。
二 日本国民でなくなつたとき。
三 日本国内に住所を有しなくなつたとき。
四 六十歳に達したとき。
(任意脱退)
第十条 被保険者でなかつた者が被保険者となつた場合において、その資格を取得した日の属する月から六十歳に達する日の属する月の前月までの期間とその者の従前の被保険者期間とを合算した期間が二十五年未満であるときは、その者は、第七条第一項の規定にかかわらず、いつでも、都道府県知事の承認を受けて、被保険者の資格を喪失することができる。この場合においては、その者は、その承認を受けた日の翌日に被保険者の資格を喪失する。
2 前項の場合において、同項の承認の申請が、その者が被保険者の資格を取得した日から起算して三箇月以内になされたものであるときは、その者は、さかのぼつて被保険者とならなかつたものとみなす。
(被保険者期間の計算)
第十一条 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した日の属する月からその資格を喪失した日の属する月の前月までをこれに算入する。
2 被保険者がその資格を取得した日の属する月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として被保険者期間に算入する。ただし、その月にさらに被保険者の資格を取得したときは、この限りでない。
3 被保険者の資格を喪失した後、さらにその資格を取得した者については、前後の被保険者期間を合算する。
(届出)
第十二条 被保険者は、厚生省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を市町村長に届け出なければならない。
2 被保険者の属する世帯の世帯主(以下単に「世帯主」という。)は、被保険者に代つて、前項の届出をすることができる。
3 市町村長は、前二項の届出を受理したときは、厚生省令の定めるところにより、都道府県知事にこれを報告しなければならない。
(国民年金手帳)
第十三条 都道府県知事は、前条第三項の規定により、被保険者の資格を取得した旨の報告を受けたときは、当該被保険者について国民年金手帳を作成し、市町村長を経由してその者にこれを交付するものとする。ただし、その被保険者がすでに国民年金手帳の交付を受け、これを所持している場合であつて、その国民年金手帳に国民年金印紙をはりつけるべき余白があるときは、この限りでない。
2 国民年金手帳の様式及び交付その他国民年金手帳に関して必要な事項は、厚生省令で定める。
(国民年金原簿)
第十四条 厚生大臣は、国民年金原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失、保険料の納付状況その他厚生省令で定める事項を記録するものとする。
第三章 年金給付
第一節 通則
(年金給付の種類)
第十五条 この法律による給付(以下「年金給付」という。)は、次のとおりとする。
一 老齢年金
二 障害年金
三 母子年金、遺児年金及び寡婦年金
(裁定)
第十六条 年金給付を受ける権利は、その権利を有する者(以下「受給権者」という。)の請求に基いて、厚生大臣が裁定する。
(端数処理)
第十七条 年金給付を受ける権利を裁定する場合において、年金給付の額に一円未満の端数が生じたときは、これを一円に切り上げるものとする。
(年金の支給期間及び支払期月)
第十八条 年金給付の支給は、これを支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から始め、権利が消滅した日の属する月で終るものとする。
2 年金給付は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた日の属する月の翌月からその事由が消滅した日の属する月までの分の支給を停止する。ただし、これらの日が同じ月に属する場合は、支給を停止しない。
3 年金給付は、毎年二月、五月、八月及び十一月の四期に、それぞれの前月までの分を支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであつた年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、その支払期月でない月であつても、支払うものとする。
(未支給年金)
第十九条 年金給付の受給権者が死亡したことにより、受給権者の妻又は子が母子年金又は遺児年金を受けることができる場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、当該母子年金又は遺児年金の受給権者は、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。母子年金の受給権者が死亡したことにより、第四十七条第一項の規定による遺児年金の支給の停止が解除される場合において、その死亡した者に支給すべき母子年金でまだその者に支給しなかつたものがあるときも、同様とする。
2 前項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかつたときは、同項の母子年金又は遺児年金の受給権者は、自己の名で、その年金を請求することができる。
(併給の調整)
第二十条 二以上の年金給付(その額の全部につき支給を停止されている年金給付及び第四十九条第二項の規定によりその支給がまだ始められていない寡婦年金を除く。)の受給権者には、その者の選択により、その一を支給し、他の支給を停止する。
(年金の支払の調整)
第二十一条 乙年金の受給権者が甲年金の受給権を取得したため乙年金の受給権が消滅し、又は同一人に対して乙年金の支給を停止して甲年金を支給すべき場合において、乙年金の受給権が消滅し、又は乙年金の支給を停止すべき事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として、乙年金の支払が行われたときは、その支払われた乙年金は、甲年金の内払とみなす。
2 年金の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金が支払われたときは、その支払われた年金は、その後に支払うべき年金の内払とみなすことができる。母子年金を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として減額しない額の母子年金が支払われた場合における当該母子年金の当該減額すべきであつた部分についても、同様とする。
(損害賠償請求権)
第二十二条 政府は、廃疾若しくは死亡又はこれらの直接の原因となつた事故が第三者の行為によつて生じた場合において、年金給付をしたときは、その年金給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2 前項の場合において、受給権者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、年金給付を行う責を免かれる。
(不正利得の徴収)
第二十三条 偽りその他不正の手段により年金給付を受けた者があるときは、厚生大臣は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
(受給権の保護)
第二十四条 年金給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、老齢年金(第五十三条第一項の規定によつて支給されるものを除く。)を受ける権利については、国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
(公課の禁止)
第二十五条 租税その他の公課は、年金給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢年金(第五十三条第一項の規定によつて支給されるものを除く。)については、この限りでない。
第二節 老齢年金
(支給要件)
第二十六条 老齢年金は、次の各号のいずれかに該当する者が六十五歳に達したときに、その者に支給する。
一 保険料納付済期間(納付された保険料(第九十六条の規定により徴収された保険料を含む。以下同じ。)に係る被保険者期間を合算した期間をいう。以下同じ。)が、二十五年以上である者
二 前号に該当しない者であつて、保険料納付済期間が十年以上であり、かつ、その保険料納付済期間と保険料免除期間(第八十九条又は第九十条の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係る被保険者期間のうち第九十四条第二項の規定により納付されたものとみなされる保険料に係る被保険者期間を除いたものを合算した期間をいう。以下同じ。)とを合算した期間が、二十五年以上であるもの
(年金額)
第二十七条 前条第一号に該当する者に支給する老齢年金の額は、保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
保険料納付済期間
年金額
二五年以上二六年未満
二四、〇〇〇円
二六年以上二七年未満
二五、二〇〇円
二七年以上二八年未満
二六、四〇〇円
二八年以上二九年未満
二七、六〇〇円
二九年以上三〇年未満
二八、八〇〇円
三〇年以上三一年未満
三〇、〇〇〇円
三一年以上三二年未満
三一、二〇〇円
三二年以上三三年未満
三二、四〇〇円
三三年以上三四年未満
三三、六〇〇円
三四年以上三五年未満
三四、八〇〇円
三五年以上三六年未満
三六、〇〇〇円
三六年以上三七年未満
三七、二〇〇円
三七年以上三八年未満
三八、四〇〇円
三八年以上三九年未満
三九、六〇〇円
三九年以上四〇年未満
四〇、八〇〇円
四〇年
四二、〇〇〇円
2 前条第二号に該当する者に支給する老齢年金の額は、保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
保険料納付済期間
年金額
一〇年以上一一年未満
一二、〇〇〇円
一一年以上一二年未満
一二、六〇〇円
一二年以上一三年未満
一三、二〇〇円
一三年以上一四年未満
一三、八〇〇円
一四年以上一五年未満
一四、四〇〇円
一五年以上一六年未満
一五、〇〇〇円
一六年以上一七年未満
一五、六〇〇円
一七年以上一八年未満
一六、二〇〇円
一八年以上一九年未満
一六、八〇〇円
一九年以上二〇年未満
一七、四〇〇円
二〇年以上二一年未満
一八、〇〇〇円
二一年以上二二年未満
一九、二〇〇円
二二年以上二三年未満
二〇、四〇〇円
二三年以上二四年未満
二一、六〇〇円
二四年以上二五年未満
二二、八〇〇円
(支給の延期)
第二十八条 第二十六条各号のいずれかに該当する者が六十五歳に達する前にあらかじめ厚生大臣に老齢年金受給延期の申出をしたときは、同条の規定にかかわらず、その者が六十五歳に達した場合においても、老齢年金を支給しない。ただし、その者が六十五歳に達した時に他の年金給付の受給権者であるときは、この限りでない。
2 前項の申出をした者は、いつでも、将来に向つてその申出を撤回することができる。
3 第一項の申出をした者に対しては、その者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときに、老齢年金を支給する。
一 七十歳に達したとき。
二 第一項の申出を撤回したとき。
三 他の年金給付の受給権者となつたとき。
4 第一項の申出をした者に支給する老齢年金の額は、前条の規定にかかわらず、同条に定める額に政令で定める額を加算した額とする。ただし、その者が六十六歳に達する前に老齢年金が支給されることとなつたときは、この限りでない。
(失権)
第二十九条 老齢年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する。
第三節 障害年金
(支給要件)
第三十条 障害年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、次の各号の要件に該当する者が、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)がなおつた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含むものとし、以下「廃疾認定日」という。)において、その傷病により別表に定める程度の廃疾の状態にあるときに、その者に支給する。
一 当該傷病についてはじめて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であつた者については、初診日の前日において次のいずれかに該当したこと。
イ 初診日の属する月の前月までの被保険者期間に係る保険料納付済期間が十五年以上であるか、又はその保険料納付済期間が五年以上であり、かつ、その被保険者期間のうち保険料免除期間を除いたものの三分の二以上を占めること。
ロ 初診日の属する月前における直近の基準月(一月、四月、七月及び十月をいう。以下同じ。)の前月まで引き続き三年間被保険者であり、かつ、その期間のすべてが保険料納付済期間又は一年六箇月をこえない保険料免除期間で満たされていること。
ハ 初診日の属する月の前月までの被保険者期間につき、第二十六条各号のいずれかに該当していること。
二 初診日において被保険者でなかつた者については、初診日において六十五歳未満であり、かつ、初診日の前日において第二十六条各号のいずれかに該当したこと。
(併給の調整)
第三十一条 障害年金の受給権者に対してさらに障害年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の廃疾を併合した廃疾の程度による障害年金を支給する。
2 障害年金の受給権者が前項の規定により前後の廃疾を併合した廃疾の程度による障害年金の受給権を取得したときは、従前の障害年金の受給権は、消滅する。
第三十二条 期間を定めて支給を停止されている障害年金の受給権者に対してさらに障害年金を支給すべき事由が生じたときは、前条第一項の規定により支給する前後の廃疾を併合した廃疾の程度による障害年金は、従前の障害年金の支給を停止すべきであつた期間、その支給を停止するものとし、その間、その者に従前の廃疾を併合しない廃疾の程度による障害年金を支給する。
2 障害年金の受給権者がさらに障害年金の受給権を取得した場合において、新たに取得した障害年金が第三十六条の規定によりその支給を停止すべきものであるときは、前条第二項の規定にかかわらず、その停止すべき期間、その者に対して従前の障害年金を支給する。
(年金額)
第三十三条 障害年金の額は、初診日の属する月の前月までの被保険者期間に係る初診日の前日における保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
初診日の属する月の前月までの被保険者期間に係る初診日の前日における保険料納付済期間
年金額
二六年未満
二四、〇〇〇円
二六年以上二七年未満
二五、二〇〇円
二七年以上二八年未満
二六、四〇〇円
二八年以上二九年未満
二七、六〇〇円
二九年以上三〇年未満
二八、八〇〇円
三〇年以上三一年未満
三〇、〇〇〇円
三一年以上三二年未満
三一、二〇〇円
三二年以上三三年未満
三二、四〇〇円
三三年以上三四年未満
三三、六〇〇円
三四年以上三五年未満
三四、八〇〇円
三五年以上三六年未満
三六、〇〇〇円
三六年以上三七年未満
三七、二〇〇円
三七年以上三八年未満
三八、四〇〇円
三八年以上三九年未満
三九、六〇〇円
三九年以上四〇年未満
四〇、八〇〇円
四〇年
四二、〇〇〇円
2 廃疾の程度が別表に定める一級に該当する者に支給する障害年金の額は、前項の規定にかかわらず、同項に定める額に六千円を加算した額とする。
(廃疾の程度が変つた場合の年金額の改定)
第三十四条 厚生大臣は、障害年金の受給権者について、その廃疾の程度を診査し、その程度が従前の廃疾の等級以外の等級に該当すると認めるときは、障害年金の額を改定することができる。
2 障害年金の受給権者は、厚生大臣に対し、廃疾の程度が増進したことによる障害年金の額の改定を請求することができる。
3 前項の請求は、障害年金の受給権を取得した日又は第一項の規定による厚生大臣の診査を受けた日から起算して一年を経過した日後でなければ行うことができない。
4 第一項の規定により障害年金の額が改定されたときは、改定後の額による障害年金の支給は、改定が行われた日の属する月の翌月から始めるものとする。
(失権)
第三十五条 障害年金の受給権は、第三十一条第二項の規定によつて消滅するほか、受給権者が死亡したとき、又は別表に定める程度の廃疾の状態に該当しなくなつたときは、消滅する。
(支給停止)
第三十六条 障害年金は、その受給権者が当該傷病について、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)又は国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号。他の法律において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による障害補償、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による障害補償費その他政令で定める法令によるこれらに相当する給付を受けることができるときは、六年間、その支給を停止する。
第四節 母子年金、遺児年金及び寡婦年金
第一款 母子年金
(支給要件)
第三十七条 母子年金は、夫が死亡した場合において、死亡日の前日において次の各号のいずれかに該当し、かつ、夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した被保険者たる妻が、夫の死亡の当時、夫又は妻の子であつて十八歳未満であるか又は二十歳未満で別表に定める廃疾の状態にあるもの(夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した者に限る。)と生計を同じくするときに、その者に支給する。
一 死亡日の属する月の前月までの妻の被保険者期間に係る保険料納付済期間が十五年以上であるか、又はその保険料納付済期間が五年以上であり、かつ、その被保険者期間のうち保険料免除期間を除いたものの三分の二以上を占めること。
二 死亡日の属する月前における直近の基準月の前月まで引き続き三年間被保険者であり、かつ、その期間のすべてが保険料納付済期間又は一年六箇月をこえない保険料免除期間で満たされていること。
2 夫の死亡の当時胎児であつた子が生まれたときは、前項の規定の適用については、将来に向つて、その子は、夫の死亡の当時夫によつて生計を維持していた子とみなし、妻は、夫の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなす。
(年金額)
第三十八条 母子年金の額は、死亡日の属する月の前月までの妻の被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
死亡日の属する月の前月までの妻の被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間
年金額
三〇年未満
一九、二〇〇円
三〇年以上三一年未満
一九、八〇〇円
三一年以上三二年未満
二〇、四〇〇円
三二年以上三三年未満
二一、〇〇〇円
三三年以上三四年未満
二一、六〇〇円
三四年以上三五年未満
二二、二〇〇円
三五年以上三六年未満
二二、八〇〇円
三六年以上三七年未満
二三、四〇〇円
三七年以上三八年未満
二四、〇〇〇円
三八年以上三九年未満
二四、六〇〇円
三九年以上四〇年未満
二五、二〇〇円
四〇年
二五、八〇〇円
(加算)
第三十九条 母子年金の額は、妻が母子年金の受給権を取得した当時第三十七条第一項に規定する要件に該当し、かつ、その者と生計を同じくした子が二人以上あるときは、前条の規定にかかわらず、同条に定める額にその子のうち一人を除いた子一人につき四千八百円を加算した額とする。
2 妻が母子年金の受給権を取得した当時胎児であつた子が生まれたときは、前項の規定の適用については、その子は、妻がその権利を取得した当時第三十七条第一項に規定する要件に該当し、かつ、その者と生計を同じくした子とみなし、その生まれた日の属する月の翌月から、母子年金の額を改定する。
3 第一項の規定によりその額が加算された母子年金については、子のうちの一人又は二人以上が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至った日の属する月の翌月から、その該当するに至つた子の数に応じて、年金額を改定する。
一 死亡したとき。
二 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。以下同じ。)をしたとき。
三 妻以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)となつたとき。
四 離縁によつて、夫又は妻のいずれの子でもなくなつたとき。
五 妻によつて生計を維持しなくなつたとき。
六 十八歳に達したとき。ただし、妻が受給権を取得した時から引き続き別表に定める廃疾の状態にあるときを除く。
七 別表に定める廃疾の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、その子が十八歳未満であるときを除く。
八 二十歳に達したとき。
(失権)
第四十条 母子年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 婚姻をしたとき。
三 直系姻族以外の者の養子となつたとき。
2 母子年金の受給権は、前項の規定によつて消滅するほか、子が一人であるときはその子が、子が二人以上であるときは同時に又は時を異にしてそのすべての子が、前条第三項各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
(支給停止)
第四十一条 母子年金は、当該夫の死亡について、労働基準法又は国家公務員災害補償法の規定による遺族補償、労働者災害補償保険法の規定による遺族補償費その他政令で定める法令によるこれらに相当する給付が行われるべきものであるときは、死亡日から六年間、その支給を停止する。
2 母子年金は、当該夫の死亡について、公的年金各法に基く年金たる給付(その全額につき支給を停止されているものを除く。)を受けることができる者があるときは、その間、その額の三分の一に相当する部分の支給を停止する。
第二款 遺児年金
(支給要件)
第四十二条 遺児年金は、次の要件に該当する父又は母が死亡した場合において、その者の子であつて、父又は母の死亡の当時父又は母によつて生計を維持し、かつ、十八歳未満であるか又は二十歳未満で別表に定める廃疾の状態にあるものがあるときに、その者に支給する。ただし、父又は母の死亡の当時その子と生計を同じくするその子の母又は父があるときは、この限りでない。
一 死亡日において被保険者であつた者については、死亡日の前日において次のいずれかに該当したこと。
イ 死亡日の属する月の前月までの被保険者期間に係る保険料納付済期間が十五年以上であるか、又はその保険料納付済期間が五年以上であり、かつ、その被保険者期間のうち保険料免除期間を除いたものの三分の二以上を占めること。
ロ 死亡日の属する月前における直近の基準月の前月まで引き続き三年間被保険者であり、かつ、その期間のすべてが保険料納付済期間又は一年六箇月をこえない保険料免除期間で満たされていること。
ハ 死亡日の属する月の前月までの被保険者期間につき、第二十六条各号のいずれかに該当していること。
二 死亡日において被保険者でなかつた者については、死亡日の前日において第二十六条各号のいずれかに該当したこと。
(年金額)
第四十三条 遺児年金の額は、死亡日の属する月の前月までの被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
死亡日の属する月の前月までの被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間
年金額
三〇年未満
七、二〇〇円
三〇年以上三一年未満
七、五〇〇円
三一年以上三二年未満
七、八〇〇円
三二年以上三三年未満
八、一〇〇円
三三年以上三四年未満
八、四〇〇円
三四年以上三五年未満
八、七〇〇円
三五年以上三六年未満
九、〇〇〇円
三六年以上三七年未満
九、三〇〇円
三七年以上三八年未満
九、六〇〇円
三八年以上三九年未満
九、九〇〇円
三九年以上四〇年未満
一〇、二〇〇円
四〇年
一〇、五〇〇円
第四十四条 遺児年金の額は、当該父又は母の死亡について遺児年金の受給権を取得した子が二人以上あるときは、前条の規定にかかわらず、同条に定める額にその子のうち一人を除いた子一人につき四千八百円を加算した額を、その子の数で除して得た額とする。
2 前項の場合において、遺児年金の受給権を有する子の数が減じたときは、その減じた日の属する月の翌月から、遺児年金の額を改定する。
(失権)
第四十五条 遺児年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 婚姻をしたとき。
三 養子となつたとき。
四 離縁によつて、死亡した父又は母の子でなくなつたとき。
五 母又は父と生計を同じくするに至つたとき。
六 十八歳に達したとき。ただし、父又は母の死亡の時から引き続き別表に定める廃疾の状態にあるときを除く。
七 別表に定める廃疾の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、その子が十八歳未満であるときを除く。
八 二十歳に達したとき。
(支給停止)
第四十六条 遺児年金は、当該父又は母の死亡について第四十一条第一項に規定する給付が行われるべきものであるときは、死亡日から六年間、その支給を停止する。
第四十七条 遺児年金は、当該父の死亡についてその妻が当該遺児年金の受給権者と生計を同じくすることによつて支給され、又はその額が加算される母子年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。
2 前項に規定する母子年金が第六十一条の規定により支給されるものである場合において、その母子年金が第六十五条又は第六十七条の規定によりその全額につき支給を停止されているときは、前項の規定による支給の停止は行わず、また、その母子年金が第六十五条第三項の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額(当該遺児年金の受給権者が二人以上であるときは、その額をその受給権者の数で除して得た額)の限度においてのみ、前項の規定による支給の停止を行うものとする。
第四十八条 遺児年金の受給権を有する子が二人以上ある場合において、その子のうち一人以上の子の所在が一年以上明らかでないときは、その子に対する遺児年金は、他の子の申請によつて、その所在が明らかでなくなつた時にさかのぼつて、その支給を停止する。
2 前項の規定によつて遺児年金の支給を停止された子は、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる。
3 前二項の規定により遺児年金の支給が停止され、又はその停止が解除されたときは、子の所在が明らかでなくなつた日又は支給の停止が解除された日の属する月の翌月から、遺児年金の額を改定する。
第三款 寡婦年金
(支給要件)
第四十九条 寡婦年金は、次の要件に該当する夫が死亡した場合において、夫の死亡の当時夫によつて生計を維持し、かつ、夫との婚姻関係が十年以上継続した六十五歳未満の妻があるときに、その者に支給する。ただし、その夫が障害年金(第五十六条の規定によつて支給されるものを除く。)の受給権者であつたことがあるときは、この限りでない。
一 死亡日において被保険者であつた者については、死亡日の属する月の前月までの被保険者期間につき、死亡日の前日において第二十六条各号のいずれかに該当したこと。
二 死亡日において被保険者でなかつた者については、死亡日において六十五歳未満であり、かつ、死亡日の前日において第二十六条各号のいずれかに当該したこと。
2 六十歳未満の妻に支給する寡婦年金は、第十八条第一項の規定にかかわらず、妻が六十歳に達した日の属する月の翌月から、その支給を始める。
(年金額)
第五十条 寡婦年金の額は、死亡日の属する月の前月までの被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間に応じて、それぞれ第二十七条第一項又は第二項の表の下欄に定める額の二分の一に相当する額とする。
(失権)
第五十一条 寡婦年金の受給権は、受給権者が六十五歳に達したとき、又は第四十条第一項各号のいずれかに当該するに至つたときは、消滅する。
(支給停止)
第五十二条 寡婦年金は、当該夫の死亡について第四十一条第一項に規定する給付が行われるべきものであるときは、死亡日から六年間、その支給を停止する。
第五節 特例による老齢年金、障害年金及び母子年金
(老齢福祉年金の支給要件)
第五十三条 保険料免除期間又は保険料免除期間と保険料納付済期間とを合算した期間が三十年をこえる者が七十歳に達したときは、第二十六条に定める老齢年金の支給要件に該当しない場合においても、これに該当するものとみなして、その者に老齢年金を支給する。ただし、その者が、七十歳に達した日において、日本国民でないとき、又は日本国内に住所を有しないときは、この限りでない。
2 前項の規定により支給する老齢年金は、老齢福祉年金と称する。
(老齢福祉年金の額)
第五十四条 老齢福祉年金の額は、一万二千円とする。
(老齢福祉年金の失権)
第五十五条 老齢福祉年金の受給権は、第二十九条の規定によつて消滅するほか、受給権者が日本国民でなくなつたとき、又は日本国内に住所を有しなくなつたときは、消滅する。
(障害福祉年金の支給要件)
第五十六条 疾病にかかり又は負傷し、かつ、次の各号の要件に該当する者が、廃疾認定日においてその傷病により別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態にあるときは、第三十条に定める障害年金の支給要件に該当しない場合においても、これに該当するものとみなして、その者に障害年金を支給する。ただし、その者が、廃疾認定日において、日本国民でないとき、又は日本国内に住所を有しないときは、この限りでない。
一 初診日において被保険者であつた者については、初診日の前日において次のいずれにも該当しなかつたこと。
イ 初診日の属する月の前月までの被保険者期間のうち保険料免除期間を除いたものが五年以上である場合においては、その期間のうちの保険料納付済期間が、その期間の三分の二に満たないこと。
ロ 初診日の属する月前における直近の基準月の前月まで引き続く三年間(その者が二十歳に達した後の期間に限る。)が、保険料納付済期間又は保険料免除期間で満たされていないこと。
二 初診日において被保険者でなかつた者については、初診日において六十五歳未満であり、かつ、初診日の前日において第五十三条第一項に規定する老齢福祉年金の支給要件に該当したこと。
2 前項の規定により支給する障害年金は、障害福祉年金と称する。
第五十七条 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者が、廃疾認定日後に二十歳に達したときは二十歳に達した日において、廃疾認定日が二十歳に達した日後であるときはその廃疾認定日において、別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態にあるときは、前条第一項の規定の適用については、その者は、同項各項の要件に該当するものとみなす。
2 前項に規定する者であつて、廃疾認定日後に二十歳に達したものについては、前条第一項ただし書中「廃疾認定日」とあるのは、「二十歳に達した日」と読み替えるものとする。
(障害福祉年金の額)
第五十八条 障害福祉年金の額は、一万八千円とする。
(障害福祉年金の失権)
第五十九条 障害福祉年金の受給権は、第三十五条の規定によつて消滅するほか、受給権者が日本国民でなくなつたとき、日本国内に住所を有しなくなつたとき、又は別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態に該当しなくなつたときは、消滅する。
(障害福祉年金についての適用除外規定)
第六十条 第三十一条、第三十二条及び第三十四条の規定は、障害福祉年金に関しては、適用しない。
(母子福祉年金の支給要件)
第六十一条 夫が死亡した場合において、死亡日の前日において次の各号のいずれにも該当せず、かつ、夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した被保険者たる妻が、夫の死亡の当時、夫又は妻の子であつて、義務教育終了前(十五歳に達した日の属する学年の末日以前をいい、同日以後引き続いて中学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の中学部に在学する場合には、その在学する間を含む。以下同じ。)のもの(夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した者に限る。)と生計を同じくするときは、第三十七条第一項に定める母子年金の支給要件に該当しない場合においても、これに該当するものとみなして、その者に母子年金を支給する。ただし、その者が、夫の死亡日において、日本国民でないとき、又は日本国内に住所を有しないときは、この限りでない。
一 死亡日の属する月の前月までの妻の被保険者期間のうち保険料免除期間を除いたものが五年以上である場合においては、その期間のうちの保険料納付済期間が、その期間の三分の二に満たないこと。
二 死亡日の属する月前における直近の基準月の前月まで引き続く三年間(その妻が二十歳に達した後の期間に限る。)が、保険料納付済期間又は保険料免除期間で満たされていないこと。
2 第三十七条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
3 第一項の規定により支給する母子年金は、母子福祉年金と称する。
(母子福祉年金の額)
第六十二条 母子福祉年金の額は、一万二千円とする。
第六十三条 母子福祉年金の額は、妻が母子福祉年金の受給権を取得した当時第六十一条第一項に規定する要件に該当し、かつ、その者と生計を同じくした子が二人以上あるときは、前条の規定にかかわらず、同条に定める額にその子のうち一人を除いた子一人につき二千四百円を加算した額とする。
2 第三十九条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
3 第一項の規定によりその額が加算された母子福祉年金については、子のうちの一人又は二人以上が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至つた日の属する月の翌月から、その該当するに至つた子の数に応じて、年金額を改定する。
一 第三十九条第三項第一号から第五号までのいずれかに該当するに至つたとき。
二 十五歳に達した日の属する学年の末日が終了したとき。ただし、同日以後引き続いて中学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の中学部に在学するときを除く。
三 前号ただし書に該当する場合において、中学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の中学部に在学しなくなつたとき。
(母子福祉年金の失権)
第六十四条 母子福祉年金の受給権は、第四十条第一項の規定によつて消滅するほか、受給権者が日本国民でなくなつたとき、又は日本国内に住所を有しなくなつたときは、消滅する。子が一人であるときはその子が、子が二人以上であるときは同時に又は時を異にしてそのすべての子が、前条第三項各号のいずれかに該当するに至つたときも、同様とする。
2 第四十条第二項の規定は、母子福祉年金に関しては適用しない。
(福祉年金の支給停止)
第六十五条 老齢福祉年金、障害福祉年金及び母子福祉年金(以下「福祉年金」という。)は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するときは、その該当する期間、その支給を停止する。
一 公的年金各法に基く年金たる給付を受けることができるとき。
二 監獄、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき。
三 少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき。
2 前項第一号に規定する給付が、その全額につき支給を停止されているときは、同項の規定を適用しない。ただし、その支給の停止が第三十六条又は第四十一条第一項に規定する給付が行われることによるものであるときは、この限りでない。
3 福祉年金の額が、第一項第一号に規定する給付の額(その給付が、その額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額)をこえるときは、そのこえる部分については、同項の規定にかかわらず、当該福祉年金の支給を停止しない。
4 福祉年金は、受給権者が前年において十三万円(受給権者が前年の十二月三十一日において受給権者又はその配偶者の子であつて義務教育終了前のものの生計を維持したときは、十三万円にその子一人につき一万五千円を加算した額とする。)をこえる所得を有したときは、その年の五月から翌年の四月まで、その支給を停止する。
5 第一項第一号に規定する給付の額の計算方法並びに前項に規定する所得の範囲及びその額の計算方法は、政令で定める。
第六十六条 老齢福祉年金又は障害福祉年金(その額の全部又は一部につき支給を停止されているものを除く。)は、その受給権者の配偶者が六千円をこえる額の公的年金各法に基く年金たる給付(その額の全部につき支給を停止されているものを除くものとし、その額の一部につき支給を停止されている給付にあつては、その停止されていない部分の額が六千円をこえるものに限る。)を受けることができるときは、その期間、その年金額のうち当該公的年金各法に基く年金たる給付の額から六千円を控除した額(その額が六千円をこえるときは、六千円とする。)に相当する部分の支給を停止する。
2 前条第五項の規定は、前項に規定する公的年金各法に基く年金たる給付の額の計算方法について準用する。
3 夫及び妻がともに老齢福祉年金(その額の全部又は一部につき支給を停止されているものを除く。)を受けることができるときは、その期間、夫及び妻に支給する老齢福祉年金は、それぞれその年金額のうち三千円に相当する部分の支給を停止する。夫及び妻の一方が老齢福祉年金(その額の全部又は一部につき支給を停止されているものを除く。)を、他方が障害福祉年金(その額の全部又は一部につき支給を停止されているものを除く。)を受けることができる場合における当該老齢福祉年金についても、同様とする。
4 老齢福祉年金及び障害福祉年金は、受給権者の配偶者の所得につき、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の規定により計算した前年分の所得税額(この所得税額を計算する場合には、同法第十五条の六及び第十五条の八の規定を適用しないものとする。次項において同じ。)があるときは、その年の五月から翌年の四月まで、その支給を停止する。
5 老齢福祉年金及び障害福祉年金は、受給権者の民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項に定める扶養義務者で当該受給権者の生計を維持するものの所得につき、所得税法の規定により計算した前年分の所得税額が、給与所得の収入金額が五十万円であり、かつ、同法に規定する扶養親族が五人である者が通常納付すべき同年分の所得税額として政令で定める金額以上であるときは、その年の五月から翌年の四月まで、その支給を停止する。
第六十七条 母子福祉年金は、妻が夫又は妻の二十五歳以上の子と生計を同じくするときは、その期間、その支給を停止する。ただし、その子が長期の疾病又は負傷、廃疾、失業その他これらに準ずる状態にあるときは、この限りでない。
(支払期月の特例)
第六十八条 福祉年金は、第十八条第三項本文の規定にかかわらず、毎年一月、五月及び九月の三期に、それぞれの前月までの分を支払うものとする。
第六節 給付の制限
第六十九条 故意に廃疾又はその直接の原因となつた事故を生じさせた者の当該廃疾については、これを支給事由とする障害年金は、支給しない。
第七十条 故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、廃疾若しくはその原因となつた事故を生じさせ、又は廃疾の程度を増進させた者の当該廃疾については、これを支給事由とする年金給付は、その全部又は一部を行わないことができる。自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、死亡又はその原因となつた事故を生じさせた者の死亡についても、同様とする。
第七十一条 母子年金、遺児年金又は寡婦年金は、被保険者若しくは被保険者であつた者又は夫を故意に死亡させた者には、支給しない。被保険者若しくは被保険者であつた者又は夫の死亡前に、その者の死亡によつて母子年金又は遺児年金の受給権者となるべき者を故意に死亡させた者にも、同様とする。
2 遺児年金の受給権は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときは、消滅する。
第七十二条 年金給付は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。
一 受給権者が、正当な理由がなくて、第百七条第一項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に応じなかつたとき。
二 障害年金の受給権者又は第百七条第二項に規定する子が、正当な理由がなくて、同項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の診断を拒んだとき。
第七十三条 受給権者が、正当な理由がなくて、第百五条第三項の規定による届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、年金給付の支払を一時差し止めることができる。
第四章 被保険者及び年金給付に関する経過的特例
第一節 経過措置
(被保険者の適用除外)
第七十四条 明治四十四年三月三十一日以前に生まれた者(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえる者)は、第七条第一項の規定にかかわらず、被保険者としない。
(任意加入被保険者)
第七十五条 明治三十九年四月一日から明治四十四年三月三十一日までの間に生まれた者(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえ、五十五歳をこえない者)であつて、第七条第二項各号のいずれにも該当しないものは、前条の規定にかかわらず、都道府県知事に申し出て、被保険者となることができる。ただし、第七条第一項に該当する者に限る。
2 前項の申出は、昭和三十六年三月三十一日までに行わなければならない。
3 第十三条第一項の規定は、第一項の申出があつた場合に準用する。
4 第一項の規定による被保険者は、いつでも、都道府県知事に申し出て、被保険者の資格を喪失することができる。
5 第一項の規定による被保険者は、第九条各号(第四号を除く。)及び次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(次の第三号に該当するに至つたときは、その日)に被保険者の資格を喪失する。
一 前項の申出が受理されたとき。
二 保険料を滞納し、第九十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないとき。
三 被保険者期間が十年に達したとき。
(老齢年金の受給資格期間等についての特例)
第七十六条 次の表の上欄に掲げる者については、第十条及び第二十六条各号(第二十八条第一項、第三十条、第四十二条、第四十九条第一項及び第九十九条第一項の規定を適用する場合を含む。)中「二十五年」とあるのは、それぞれ同表の下欄のように読み替えるものとする。
大正五年三月三十一日以前に生まれた者
(四十五歳をこえる者)
十年
大正五年四月一日から大正六年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十四歳をこえ、四十五歳をこえない者)
十一年
大正六年四月一日から大正七年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十三歳をこえ、四十四歳をこえない者)
十二年
大正七年四月一日から大正八年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十二歳をこえ、四十三歳をこえない者)
十三年
大正八年四月一日から大正九年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十一歳をこえ、四十二歳をこえない者)
十四年
大正九年四月一日から大正十年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十歳をこえ、四十一歳をこえない者)
十五年
大正十年四月一日から大正十一年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十九歳をこえ、四十歳をこえない者)
十六年
大正十一年四月一日から大正十二年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十八歳をこえ、三十九歳をこえない者)
十七年
大正十二年四月一日から大正十三年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十七歳をこえ、三十八歳をこえない者)
十八年
大正十三年四月一日から大正十四年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十六歳をこえ、三十七歳をこえない者)
十九年
大正十四年四月一日から大正十五年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十五歳をこえ、三十六歳をこえない者)
二十年
大正十五年四月一日から昭和二年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十四歳をこえ、三十五歳をこえない者)
二十一年
昭和二年四月一日から昭和三年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十三歳をこえ、三十四歳をこえない者)
二十二年
昭和三年四月一日から昭和四年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十二歳をこえ、三十三歳をこえない者)
二十三年
昭和四年四月一日から昭和五年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十一歳をこえ、三十二歳をこえない者)
二十四年
備考 この表の中欄の記載は、上欄に掲げる者を昭和三十六年四月一日におけるその者の年齢であらわしたものである。
(老齢年金の額についての特例)
第七十七条 大正十五年三月三十一日以前に生まれた者(昭和三十六年四月一日において三十五歳をこえる者)であつて、前条の規定により老齢年金の受給資格期間が読み替えられるため第二十六条第一号又は第二号に該当するに至つたものに支給する老齢年金の額は、保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
保険料納付済期間
年金額
一〇年以上一五年未満
一四、四〇〇円
一五年以上一六年未満
一五、〇〇〇円
一六年以上一七年未満
一五、六〇〇円
一七年以上一八年未満
一六、二〇〇円
一八年以上一九年未満
一六、八〇〇円
一九年以上二〇年未満
一七、四〇〇円
二〇年以上二一年未満
一八、〇〇〇円
二一年以上二二年未満
一九、二〇〇円
二二年以上二三年未満
二〇、四〇〇円
二三年以上二四年未満
二一、六〇〇円
二四年以上二五年未満
二二、八〇〇円
2 前項に規定する者のうち保険料納付済期間が十四年未満である者については、その者が七十歳に達するまでの間に支給する老齢年金の額は、同項の規定にかかわらず、その保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
保険料納付済期間
年金額
一〇年以上一一年未満
九、六〇〇円
一一年以上一二年未満
一〇、八〇〇円
一二年以上一三年未満
一二、〇〇〇円
一三年以上一四年未満
一三、二〇〇円
3 大正十五年四月一日から昭和五年三月三十一日までの間に生まれた者(昭和三十六年四月一日において三十一歳をこえ、三十五歳をこえない者)であつて、前条の規定により老齢年金の受給資格期間が読み替えられるため第二十六条第一号に該当するに至つたものに支給する老齢年金の額は、保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
保険料納付済期間
年金額
二一年以上二二年未満
一九、二〇〇円
二二年以上二三年未満
二〇、四〇〇円
二三年以上二四年未満
二一、六〇〇円
二四年以上二五年未満
二二、八〇〇円
4 前三項の場合においては、第二十八条第四項中「前条」とあるのは、「第七十七条第一項から第三項まで」と読み替えるものとする。
(老齢福祉年金の受給資格期間等についての特例)
第七十八条 次の表の上欄に掲げる者については、第五十三条第一項(第五十六条第一項の規定を適用する場合を含む。)中「三十年」とあるのは、それぞれ同表の下欄のように読み替えるものとする。
明治四十四年四月一日から明治四十五年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十九歳をこえ、五十歳をこえない者)
四年
明治四十五年四月一日から大正二年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十八歳をこえ、四十九歳をこえない者)
五年
大正二年四月一日から大正三年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十七歳をこえ、四十八歳をこえない者)
六年
大正三年四月一日から大正五年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十五歳をこえ、四十七歳をこえない者)
七年
大正五年四月一日から大正六年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十四歳をこえ、四十五歳をこえない者)
八年
大正六年四月一日から大正七年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十三歳をこえ、四十四歳をこえない者)
九年
大正七年四月一日から大正八年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十二歳をこえ、四十三歳をこえない者)
十年
大正八年四月一日から大正十年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十歳をこえ、四十二歳をこえない者)
十一年
大正十年四月一日から大正十一年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十九歳をこえ、四十歳をこえない者)
十二年
大正十一年四月一日から大正十二年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十八歳をこえ、三十九歳をこえない者)
十三年
大正十二年四月一日から大正十三年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十七歳をこえ、三十八歳をこえない者)
十四年
大正十三年四月一日から大正十四年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十六歳をこえ、三十七歳をこえない者)
十五年
大正十四年四月一日から大正十五年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十五歳をこえ、三十六歳をこえない者)
十六年
大正十五年四月一日から昭和二年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十四歳をこえ、三十五歳をこえない者)
十七年
昭和二年四月一日から昭和三年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十三歳をこえ、三十四歳をこえない者)
十八年
昭和三年四月一日から昭和四年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十二歳をこえ、三十三歳をこえない者)
十九年
昭和四年四月一日から昭和六年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十歳をこえ、三十二歳をこえない者)
二十年
昭和六年四月一日から昭和七年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十九歳をこえ、三十歳をこえない者)
二十一年
昭和七年四月一日から昭和八年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十八歳をこえ、二十九歳をこえない者)
二十二年
昭和八年四月一日から昭和九年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十七歳をこえ、二十八歳をこえない者)
二十三年
昭和九年四月一日から昭和十年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十六歳をこえ、二十七歳をこえない者)
二十四年
昭和十年四月一日から昭和十一年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十五歳をこえ、二十六歳をこえない者)
二十五年
昭和十一年四月一日から昭和十二年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十四歳をこえ、二十五歳をこえない者)
二十六年
昭和十二年四月一日から昭和十三年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十三歳をこえ、二十四歳をこえない者)
二十七年
昭和十三年四月一日から昭和十四年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十二歳をこえ、二十三歳をこえない者)
二十八年
昭和十四年四月一日から昭和十五年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十一歳をこえ、二十二歳をこえない者)
二十九年
備考 この表の中欄の記載は、上欄に掲げる者を昭和三十六年四月一日におけるその者の年齢であらわしたものである。
(障害福祉年金及び母子福祉年金の受給資格期間についての特例)
第七十九条 昭和十六年三月三十一日以前に生まれた者(昭和三十六年四月一日において二十歳をこえる者)については、第五十六条第一項第一号ロ中「その者が二十歳に達した後の期間」とあり、第六十一条第一項第二号中「その妻が二十歳に達した後の期間」とあるのは、「昭和三十六年四月一日以後の期間」と読み替えるものとする。
第二節 福祉年金の特別支給
(老齢福祉年金の特別支給)
第八十条 明治二十二年十一月一日以前に生まれた者(昭和三十四年十一月一日において七十歳以上である者)には、第五十三条第一項本文の規定にかかわらず、昭和三十四年十一月一日に、同条の老齢福祉年金を支給する。
2 明治二十二年十一月二日から明治四十四年三月三十一日までの間に生まれた者(昭和三十四年十一月一日において七十歳未満である者のうち、昭和三十六年四月一日において五十歳をこえる者)が七十歳に達したときは、第五十三条第一項本文の規定にかかわらず、その者に同条の老齢福祉年金を支給する。ただし、その者が老齢年金の受給権者であるときは、この限りでない。
(障害福祉年金の特別支給)
第八十一条 昭和十四年十一月一日以前に生まれた者(昭和三十四年十一月一日において二十歳以上である者)が、昭和三十四年十一月一日以前になおつた傷病により、昭和三十四年十一月一日において別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態にあるときは、第五十六条第一項本文の規定にかかわらず、その者に同条の障害福祉年金を支給する。
2 初診日が昭和三十四年十一月一日前である傷病が同日以後になおつた者又は初診日が同日以後昭和三十六年三月三十一日以前である傷病がなおつた者が、そのなおつた日において、当該傷病により別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態にあるときも、前項と同様とする。ただし、初診日において二十歳未満であつた者又は廃疾認定日において七十歳以上であつた者については、この限りでない。
3 明治四十四年三月三十一日以前に生まれた者(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえる者)であつて、初診日が昭和三十六年四月一日以後である傷病がなおつたもの(廃疾認定日において七十歳以上であつた者を除く。)が、そのなおつた日において、当該傷病により別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態にあるときも、第一項と同様とする。ただし、当該廃疾について第三十条又は第五十六条第一項の規定により障害年金の受給権を取得すべきときは、この限りでない。
(母子福祉年金の特別支給)
第八十二条 夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した昭和十四年十一月一日以前に生まれた妻(昭和三十四年十一月一日において二十歳以上である者)が、昭和三十四年十一月一日において、夫又は妻の子であつて義務教育終了前のもの(夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した者に限る。)の生計を維持するときは、第六十一条第一項本文の規定にかかわらず、その者に同条の母子福祉年金を支給する。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 妻が、現に婚姻をしているとき。
二 妻が、現に直系姻族以外の者の養子となつているとき(夫の死亡後に養子となつた場合に限る。)。
三 妻によつて生計を維持する子のすべてが、現に婚姻をしているか、又は妻以外の者の養子となつているとき(その子のすべてが、夫の死亡後に婚姻をし、又は養子となつた場合に限る。)。
2 昭和三十四年十一月一日以後昭和三十六年三月三十一日以前に夫が死亡した場合において、夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した二十歳以上六十歳未満である妻が、夫の死亡の当時、夫又は妻の子であつて義務教育終了前のもの(夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した者に限る。)と生計を同じくするときは、第六十一条第一項本文の規定にかかわらず、その者に同条の母子福祉年金を支給する。
3 明治四十四年三月三十一日以前に生まれた妻(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえる者)であつて、昭和三十六年四月一日以後に夫が死亡し、夫の死亡の当時夫によつて生計を維持したもの(夫の死亡日において六十歳以上であつた者を除く。)が、夫の死亡の当時夫又は妻の子であつて義務教育終了前のもの(夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した者に限る。)と生計を同じくするときも、前項と同様とする。ただし、当該夫の死亡について第三十七条又は第六十一条第一項の規定により母子年金の受給権を取得すべきときは、この限りでない。
4 第三十七条第二項の規定は、前三項の場合に準用する。
(裁定に関する特例)
第八十三条 前三条の規定により支給する福祉年金の受給権の裁定は、第十六条の規定にかかわらず、受給権者の請求に基いて、都道府県知事が行うものとする。
2 前三条の規定により福祉年金の受給権を取得した者が第六十五条第一項第一号に該当するときは、引き続きこれに該当する間、その者は、前項の請求をすることができない。ただし、同条第二項又は第三項の規定に該当するときは、この限りでない。
第五章 福祉施設
第八十四条 政府は、被保険者、被保険者であった者及び受給権者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。
第六章 費用
(国庫負担)
第八十五条 国庫は、毎年度、国民年金事業に要する費用(次項及び第三項に規定する費用を除く。以下同じ。)に充てるため、当該年度において納付された保険料の総額の二分の一に相当する額を負担する。
2 国庫は、福祉年金の給付に要する費用を負担する。
3 国庫は、毎年度、予算の範囲内で、国民年金事業の事務の執行に要する費用を負担する。
(事務費の交付)
第八十六条 政府は、政令の定めるところにより、市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対し、市町村長がこの法律又はこの法律に基く命令の規定によつて行う事務の処理に必要な費用を交付する。
(保険料)
第八十七条 政府は、国民年金事業に要する費用に充てるため、保険料を徴収する。
2 保険料は、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。
3 保険料の額は、被保険者が三十五歳に達する日の属する月の前月までは一月につき百円、被保険者が三十五歳に達した日の属する月以後は一月につき百五十円とする。
(保険料の納付義務)
第八十八条 被保険者は、保険料を納付しなければならない。
2 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。
3 配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。
第八十九条 被保険者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至つた日の属する月前における直近の基準月からこれに該当しなくなる日の属する月までの期間に係る保険料は、すでに納付されたもの及び第九十三条第一項の規定により前納されたものを除き、納付することを要しない。
一 障害年金又は母子福祉年金の受給権者であるとき。
二 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)による生活扶助又はらい予防法(昭和二十八年法律第二百十四号)によるこれに相当する援助を受けるとき。
三 国立のらい療養所その他の施設であつて、厚生省令で定めるものに収容されるとき。
第九十条 次の各号のいずれかに該当する被保険者から申請があつたときは、都道府県知事は、申請のあった日の属する月前における直近の基準月からその指定する月までの期間に係る保険料につき、すでに納付されたもの及び第九十三条第一項の規定により前納されたものを除き、これを納付することを要しないものとすることができる。ただし、世帯主又は配偶者にこれを納付するについて著しい困難がないと認められるときは、この限りでない。
一 所得がないとき。
二 被保険者又は被保険者の属する世帯の他の世帯員が生活保護法による生活扶助以外の扶助又はらい予防法によるこれに相当する援助を受けるとき。
三 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)に定める障害者であつて、年間の所得が十三万円以下であるとき。
四 地方税法に定める寡婦であつて、年間の所得が十三万円以下であるとき。
五 その他保険料を納付することが著しく困難であると認められるとき。
(保険料の納期限)
第九十一条 一月、二月及び三月分の保険料はその年の四月末日までに、四月、五月及び六月分の保険料はその年の七月末日までに、七月、八月及び九月分の保険料はその年の十月末日までに、十月、十一月及び十二月分の保険料は翌年の一月末日までに、それぞれ納付しなければならない。
(保険料の納付方法)
第九十二条 保険料を納期限前に納付するには、厚生省令で定める場合を除いて、国民年金印紙による納付の方法によらなければならない。四月から十二月までの各月の保険料を納期限の経過後翌年の四月三十日までの間に納付するときも、同様とする。
2 一月から三月までの各月の保険料をその年の五月一日以後に、四月から十二月までの各月の保険料を翌年の五月一日以後に納付するには、国民年金印紙による納付の方法によることができない。
3 国民年金印紙による保険料の納付は、国民年金手帳の所定欄に国民年金印紙をはりつけ、納期限までにこれを都道府県知事又は市町村長に提出し、その検認を受けることによつて行うものとする。
(保険料の前納)
第九十三条 被保険者は、都道府県知事の承認を受け、将来の一定期間の保険料を前納することができる。
2 保険料の前納は、国民年金手帳の所定欄に国民年金印紙をはりつけ、これを市町村長に提出し、その検認を受けることによつても、行うことができる。この場合においては、都道府県知事の承認を受けることを要しない。
3 第一項の場合において前納すべき額は、国民年金印紙によつて納付する場合を除き、当該期間の各月の保険料の額から政令で定める額を控除した額とする。
4 第一項の規定により前納された保険料について保険料納付済期間を計算する場合においては、前納に係る期間の各月が経過した際に、それぞれその月の保険料が納付されたものとみなす。
5 前四項に定めるもののほか、保険料の前納手続、前納された保険料の還付、前納された保険料に係る第八十五条第一項の規定による国庫負担額の算定方法その他保険料の前納について必要な事項は、政令で定める。
(保険料の追納)
第九十四条 被保険者は、都道府県知事の承認を受け、第八十九条又は第九十条の規定により納付することを要しないものとされた保険料(承認の日の属する月前十年以内の期間に係るものに限る。)の全部又は一部につき、これに相当する額を追納することができる。この場合において、その一部につき追納をするときは、追納は、さきに経過した月の分から順次に行うものとする。
2 前項の規定により追納が行われたときは、追納が行われた日に、追納に係る月の保険料が納付されたものとみなす。
3 前二項に定めるもののほか、保険料の追納手続その他保険料の追納について必要な事項は、政令で定める。
(徴収)
第九十五条 保険料その他この法律の規定による徴収金は、この法律に別段の規定があるものを除くほか、国税徴収の例によつて徴収する。
(督促及び滞納処分)
第九十六条 保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生大臣は、期限を指定して、これを督促することができる。
2 前項の規定によつて督促をしようとするときは、厚生大臣は、納付義務者に対して、督促状を発する。
3 前項の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して十日以上を経過した日でなければならない。
4 厚生大臣は、第一項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないときは、国税滞納処分の例によつてこれを処分し、又は滞納者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができる。
5 市町村は、前項の規定による処分の請求を受けたときは、市町村税の例によつてこれを処分することができる。この場合においては、厚生大臣は、徴収金の百分の四に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。
6 前二項の規定による処分によつて受け入れた金額を保険料に充当する場合においては、さきに経過した月の保険料から順次これに充当し、一箇月の保険料の額に満たない端数は、納付義務者に交付するものとする。
(延滞金)
第九十七条 前条第一項の規定によつて督促をしたときは、厚生大臣は、徴収金額百円につき一日六銭の割合で、納期限の翌日から徴収金完納又は財産差押の日の前日までの日数によつて計算した延滞金を徴収する。ただし、徴収金額が五百円未満であるとき、又は滞納につきやむを得ない事情があると認められるときは、この限りでない。
2 前項の場合において、徴収金額の一部につき納付があつたときは、その納付の日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる徴収金は、その納付のあつた徴収金額を控除した金額による。
3 延滞金を計算するに当り、徴収金額に五百円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
4 督促状に指定した期限までに徴収金を完納したとき、又は前三項の規定によつて計算した金額が五十円未満であるときは、延滞金は、徴収しない。
5 延滞金の金額に五十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
(先取特権)
第九十八条 保険料その他この法律の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
(保険料の還付)
第九十九条 保険料免除期間又は保険料免除期間と保険料納付済期間とを合算した期間が三十年をこえ、かつ、保険料納付済期間が三年以上である者が六十五歳に達したときは、百五十円にその者の保険料納付済期間の月数を乗じて得た額から五千四百円を控除した額をその者に還付する。ただし、その者が、第二十六条各号のいずれかに該当するとき、又は障害年金若しくは母子年金の受給権者であるとき、若しくは受給権者であつたことがあるときは、この限りでない。
2 第二十三条の規定は前項の保険料の還付について、第七十八条の規定は同項の保険料免除期間又は保険料免除期間と保険料納付済期間とを合算した期間について、それぞれ準用する。
(附加保険料)
第百条 被保険者は、別に法律の定めるところにより、この法律による保険料にあわせて、附加保険料を払い込むことができる。
2 前項の附加保険料を払い込んだ者に対しては、老齢年金にあわせて附加年金を支払い、又はその者が年金給付を受けることができなかつた場合に脱退手当金を支払うものとする。
第七章 審査の請求
第百一条 年金給付に関する処分又は保険料その他この法律の規定による徴収金の賦課、徴収若しくは第九十六条の規定による処分に不服がある者は、社会保険審査官に審査を講求し、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に再審査を請求することができる。
2 審査の請求をした日から六十日以内に決定がないときは、請求者は、社会保険審査官が審査の請求を棄却したものとみなして、社会保険審査会に再審査を請求することができる。
3 第一項の審査及び前二項の再審査の請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。
第八章 雑則
(時効)
第百二条 年金給付を受ける権利は、その支給事由が生じた日(第八十三条第二項の規定に該当する場合においては、その権利につき裁定の請求をすることができることとなつた日)から五年を経過したときは、時効によつて、消滅する。
2 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利(第九十九条の規定による還付金を受ける権利を含む。)は、二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
3 前二項の時効の中断、停止その他の事項に関しては、民法の時効に関する規定を準用する。ただし、保険料その他この法律の規定による徴収金についての第九十六条第一項の規定による督促は、民法第百五十三条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。
4 保険料その他この法律の規定による徴収金については、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第三十二条の規定を適用しない。
(期間の計算)
第百三条 この法律又はこの法律に基く命令に規定する期間の計算については、この法律に別段の規定がある場合を除くほか、民法の期間に関する規定を準用する。
(戸籍事項の無料証明)
第百四条 市町村長(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市においては、区長とする。)は、厚生大臣若しくは都道府県知事又は被保険者、被保険者であつた者若しくは受給権者に対して、当該市町村の条例の定めるところにより、被保険者、被保険者があつた者若しくは受給権者又は母子年金の支給若しくはその額の加算の要件に該当する子の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。
(届出等)
第百五条 被保険者は、厚生省令の定めるところにより、第十二条第一項に規定する事項を除くほか、厚生省令の定める事項を都道府県知事又は市町村長に届け出なければならない。
2 第十二条第二項及び第三項の規定は、前項の届出について準用する。
3 受給権者は、厚生省令の定めるところにより、厚生大臣又は都道府県知事に対し、厚生省令の定める事項を届け出、かつ、厚生省令の定める書類その他の物件を提出しなければならない。
4 被保険者又は受給権者が死亡したときは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の規定による死亡の届出義務者は、厚生省令の定めるところにより、その旨を厚生大臣、都道府県知事又は市町村長に届け出なければならない。
(被保険者に関する調査)
第百六条 厚生大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、被保険者に対し、国民年金手帳の提出を命じ、又は被保険者の資格若しくは保険料に関する処分に関し、当該職員をして被保険者に質問させることができる。
2 前項の規定によつて質問を行う当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
(受給権者に関する調査)
第百七条 厚生大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、受給権者に対して、その者の身分関係、廃疾の状態その他受給権の消滅、年金額の改定若しくは支給の停止に係る事項に関する書類その他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの事項に関し受給権者に質問させることができる。
2 厚生大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、障害年金の受給権者、別表に定める程度の廃疾の状態にあることにより遺児年金の受給権を有し、若しくは母子年金が支給され、若しくはその額が加算されている子又は疾病、負傷若しくは廃疾の状態にあることにより第六十七条ただし書の規定によつて母子福祉年金の支給が停止されていない子に対して、その指定する医師若しくは歯科医師の診断を受けるべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの者の廃疾、疾病若しくは負傷の状態を診断させることができる。
3 前条第二項の規定は、前二項の規定による質問又は診断について準用する。
(資料の堤供等)
第百八条 厚生大臣又は都道府県知事は、年金給付又は保険料に関する処分に関し必要があると認めるときは、被保険者、受給権者又は世帯主若しくは被保険者の配偶者の資産若しくは収入の状況又は公的年金各法に基く年金たる給付の支給状況につき、郵便局その他の官公署、被用者年金各法に定める組合(厚生年金保険法附則第二十八条に規定する共済組合を含む。以下同じ。)若しくは国家公務員共済組合連合会に対し必要な書類の閲覧若しくは資料の堤供を求め、又は銀行、信託会社その他の機関若しくは被保険者の雇用主その他の関係人に報告を求めることができる。
(年金給付の支払)
第百九条 年金給付の支払に関する事務は、逓信大臣が取り扱うものとする。
2 厚生大臣は、前項の支払に必要な資金を逓信大臣の指定する出納官吏に交付しなければならない。
(実施命令)
第百十条 この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、省令で定める。
第九章 罰則
第百十一条 偽りその他不正な手段により年金給付を受けた者は、三年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。
第百十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 第十二条第一項の規定に違反して虚偽の届出をした被保険者
二 第十二条第二項の規定により届出をする場合に虚偽の届出をした世帯主
三 第百六条第一項の規定により国民年金手帳の提出を命ぜられてこれに従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をした被保険者
第百十三条 第十二条第一項の規定に違反して届出をしなかつた被保険者は、五千円以下の罰金に処する。ただし、同条第二項の規定によつて世帯主から届出がなされたときは、この限りでない。
第百十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、一万円以下の過料に処する。
一 第百五条第一項の規定に違反して届出をしなかつた被保険者。ただし、同条第二項において準用する第十二条第二項の規定により世帯主から届出がなされたときを除く。
二 第百五条第一項の規定に違反して虚偽の届出をした被保険者
三 第百五条第二項において準用する第十二条第二項の規定により届出をする場合に虚偽の届出をした世帯主
四 第百五条第四項の規定に違反して届出をしなかつた戸籍法の規定による死亡の届出義務者
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和三十四年十一月一日から施行する。ただし、第二章、第七十四条、第七十五条及び附則第四条から附則第八条までの規定は昭和三十五年十月一日から、第七十六条から第七十九条まで、第六章中保険料に関する部分及び附則第二条の規定は昭和三十六年四月一日から、附則第三条第一項の規定は公布の日から施行する。
(被保険者に関する経過措置)
第二条 昭和三十五年十月一日から昭和三十六年三月三十一日までの間において被保険者であつた者について、年金給付に関する規定を適用する場合においては、その者は、その期間、被保険者でなかつたものとみなす。
(福祉年金の裁定の請求等に関する経過措置)
第三条 第八十条第一項、第八十一条第一項又は第八十二条第一項の規定に該当すべき者は、昭和三十四年十一月一日前においても、同日にこれらの規定に該当することを条件として、当該福祉年金について受給権の裁定の請求の手続をとることができる。
2 第八十条第一項、第八十一条第一項又は第八十二条第一項の規定による福祉年金の支給は、昭和三十四年十一月から始めるものとする。
3 昭和三十五年における福祉年金の支払については、第六十八条中「一月」とあるのは、「三月」と読み替えるものとする。
(被用者年金各法の被保険者等に関する当分の間の取扱)
第四条 第七条第二項各号に掲げる者に関しては、同条第三項に規定する法律が制定施行されるまでの間、次条から附則第九条までに定めるところによる。
第五条 第七条第一項に規定する者であつて、同条第二項各号のいずれかに該当するものが、同項各号のいずれにも該当しなくなつたときは、その日に被保険者の資格を取得するものとし、また、被保険者が同項各号のいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至つた日に被保険者の資格を喪失するものとする。ただし、その者が明治四十四年四月一日以後に生まれた者(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえない者)である場合に限る。
第六条 明治四十四年四月一日以後に生まれた者(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえない者)であつて、第七条第二項に該当するものは、同項の規定にかかわらず、都道府県知事の承認を受けて、被保険者となることができる。ただし、同項第一号から第三号までのいずれかに該当する者及び同条第一項に該当しない者は、この限りでない。
2 前項の規定による承認を受けた者は、その承認を受けた日に被保険者の資格を取得するものとする。
3 第十三条第一項の規定は、第一項の規定による承認があつた場合に準用する。
4 第一項の規定による被保険者は、いつでも、都道府県知事に申し出て、被保険者の資格を喪失することができる。
5 第一項の規定による被保険者は、第九条各号及び次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(第九条第四号又は次の第一号若しくは第二号に該当するに至つたときは、その日)に被保険者の資格を喪失する。
一 第七条第二項第一号から第三号までのいずれかに該当するに至つたとき。
二 第七条第二項第四号から第七号までのいずれにも該当しなくなつたとき。
三 前項の申出が受理されたとき。
四 保険料を滞納し、第九十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないとき。
6 第一項の規定による被保険者については、第八十九条及び第九十条の規定を適用しない。
第七条 明治三十九年四月一日から明治四十四年三月三十一日までの間に生まれた者(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえ、五十五歳をこえない者)であつて、第七条第二項に該当するものは、同項の規定にかかわらず、都道府県知事に申し出て、被保険者となることができる。ただし、同項第一号から第三号までのいずれかに該当する者及び同条第一項に該当しない者は、この限りでない。
2 第七十五条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による被保険者について準用する。
3 第七十五条第一項又はこの条第一項の規定による被保険者が、第七条第二項第一号から第三号までのいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至つた日に被保険者の資格を喪失する。
第八条 厚生大臣、都道府県知事又は市町村長は、被保険者の資格に関し必要があるときは、被用者年金各法に定める組合その他の管掌機関(恩給に関する裁定庁、本属庁及び支給庁並びに地方公務員の退職年金に関するこれらに相当する機関を含む。)に対し、必要な資料の提供を求めることができる。
第九条 疾病にかかり、又は負傷し、昭和三十四年十一月一日以後におけるその初診日において第七条第二項第一号から第三号までのいずれかに該当した者の当該傷病による廃疾については、第五十七条第一項並びに第八十一条第二項及び第三項の規定を適用しない。
(印紙税法の一部改正)
第十条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号ノ十ノ八の次に次の一号を加える。
六ノ十ノ九 国民年金ニ関スル証書、帳簿
(所得税法の一部改正)
第十一条 所得税法の一部を次のように改正する。
第八条第六項第七号の二の次に次の一号を加える。
七の三 国民年金法の規定により被保険者として負担する国民年金の保険料
第九条第二項中「第六号の五」の下に「、第七号の三」を加える。
(地方財政法の一部改正)
第十二条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第十条の四第七号中「厚生年金保険」の下に「、国民年金」を加える。
(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律の一部改正)
第十三条 国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(昭和二十五年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第七条第二号中「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第八十七条第一項」の下に「、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第九十七条第一項」を加える。
(地方税法の一部改正)
第十四条 地方税法の一部を次のように改正する。
第二百六十二条第三号の次に次の一号を加える。
三の二 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の規定によつて年金給付として支給を受ける金銭
第六百七十二条第三号の次に次の一号を加える。
三の二 国民年金法の規定によつて年金給付として支給を受ける金銭
(社会保険審査官及び社会保険審査会法の一部改正)
第十五条 社会保険審査官及び社会保険審査会法(昭和二十八年法律第二百六号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第九十条」の下に「並びに国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第百一条」を加える。
第三条中「又は厚生年金保険法第九十条」を「若しくは厚生年金保険法第九十条又は国民年金法第百一条」に改め、同条第三号中「保険給付」の下に「(国民年金法による年金給付を含む。次条第一項において同じ。)」を加える。
第九条第一項中「保険者」の下に「(国民年金事業の管掌者を含む。以下同じ。)」を加える。
第十九条中「及び厚生年金保険法第九十条」を「、厚生年金保険法第九十条及び国民年金法第百一条」に改める。
第三十二条第一項中「又は厚生年金保険法第九十条第一項」を「若しくは厚生年金保険法第九十条第一項又は国民年金法第百一条第一項」に改め、同条第二項中「又は厚生年金保険法第九十条第二項」を「若しくは厚生年金保険法第九十条第二項又は国民年金法第百一条第二項」に改め、同条第六項中「厚生年金保険法第八十六条第五項」の下に「並びに国民年金法第九十六条第四項」を加える。
別表
障害の程度
障害の状態
一級
両眼の視力の和が〇・〇四以下のもの
両耳の聴力損失が九〇デシベル以上のもの
両上肢の機能に著しい障害を有するもの
両上肢のすべての指を欠くもの
両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
両下肢の機能に著しい障害を有するもの
両下肢を足関節以上で欠くもの
体幹の機能にすわつていることができない程度又は立ち上ることができない程度の障害を有するもの
前各号に掲げるもののほか、これらと同程度以上と認められる身体障害であつて、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(内科的疾患に基く身体障害であつて、前各号のいずれにも該当しないものを除く。)
二級
両眼の視力の和が〇・〇五以上〇・〇八以下のもの
両耳の聴力損失が八〇デシベル以上のもの
平衡機能に著しい障害を有するもの
咀嚼の機能を欠くもの
音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの
両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの
一上肢の機能に著しい障害を有するもの
一上肢のすベての指を欠くもの
一〇
一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
一一
両下肢のすベての指を欠くもの
一二
一下肢の機能に著しい障害を有するもの
一三
一下肢を足関節以上で欠くもの
一四
体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
一五
前各号に掲げるもののほか、これらと同程度以上と認められる身体障害であつて、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(内科的疾患に基く身体障害であつて、前各号のいずれにも該当しないものを除く。)
備考 視力の測定は、万国式試視力表によるものとし、屈折異常があるものについては、矯正視力によつて測定する。
内閣総理大臣 岸信介
大蔵大臣 佐藤榮作
厚生大臣 坂田道太
郵政大臣 寺尾豊
国民年金法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十四年四月十六日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百四十一号
国民年金法
目次
第一章
総則(第一条―第六条)
第二章
被保険者(第七条―第十四条)
第三章
年金給付
第一節
通則(第十五条―第二十五条)
第二節
老齢年金(第二十六条―第二十九条)
第三節
障害年金(第三十条―第三十六条)
第四節
母子年金、遺児年金及び寡婦年金
第一款
母子年金(第三十七条―第四十一条)
第二款
遺児年金(第四十二条―第四十八条)
第三款
寡婦年金(第四十九条―第五十二条)
第五節
特例による老齢年金、障害年金及び母子年金(第五十三条―第六十八条)
第六節
給付の制限(第六十九条―第七十三条)
第四章
被保険者及び年金給付に関する経過的特例
第一節
経過措置(第七十四条―第七十九条)
第二節
福祉年金の特別支給(第八十条―第八十三条)
第五章
福祉施設(第八十四条)
第六章
費用(第八十五条―第百条)
第七章
審査の請求(第百一条)
第八章
雑則(第百二条―第百十条)
第九章
罰則(第百十一条―第百十四条)
附則
第一章 総則
(国民年金制度の目的)
第一条 国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、廃疾又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。
(国民年金の給付)
第二条 国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、廃疾又は死亡に関して必要な年金の給付を行うものとする。
(管掌)
第三条 国民年金事業は、政府が、管掌する。
2 国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、都道府県知事又は市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)に行わせることができる。
(年金額及び保険料額の調整)
第四条 保険料の負担を伴うこの法律による年金の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるための調整が加えられるべきものとする。
2 保険料の額は、年金給付に要する費用の予想額並びに予定運用収入及び国庫負担の額に照らし、将来にわたつて、財政の均衡を保つことができるものでなければならず、かつ、少なくとも五年ごとに、この基準に従つて再計算され、その結果に基いて所要の調整が加えられるべきものとする。
(用語の定義)
第五条 この法律において、「被用者年金各法」とは、次の各号に掲げる法律及び条例をいう。
一 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)
二 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)
三 恩給法(大正十二年法律第四十八号。他の法律において準用する場合を含む。)
四 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)
五 地方公務員の退職年金に関する条例
六 市町村職員共済組合法(昭和二十九年法律第二百四号)
七 私立学校教職員共済組合法(昭和二十八年法律第二百四十五号)
八 公共企業体職員等共済組合法(昭和三十一年法律第百三十四号)
九 農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)
十 国会議員互助年金法(昭和三十三年法律第七十号)
2 この法律において、「公的年金各法に基く年金たる給付」とは、次の各号に掲げる給付をいう。
一 被用者年金各法に基く年金たる給付
二 厚生年金保険法附則第二十八条に規定する共済組合が支給する年金たる給付
三 執達吏規則(明治二十三年法律第五十一号)に基く年金たる給付
四 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法(昭和二十五年法律第二百五十六号)に基いて国家公務員共済組合連合会が支給する年金たる給付
五 戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)に基く年金たる給付(遺族給与金を含む。)
六 未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)に基く留守家族手当及び特別手当(同法附則第四十四項に規定する手当を含む。)
七 前各号に定めるもののほか、政令で定める法令に基く年金たる給付
3 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、第四十九条の規定を除き、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。
(諮問)
第六条 厚生大臣は、国民年金事業の運営に関しては、その大綱につき、あらかじめ、国民年金審議会に諮間するものとする。
第二章 被保険者
(被保険者の資格)
第七条 日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の日本国民は、国民年金の被保険者とする。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、前項の規定にかかわらず、国民年金の被保険者としない。
一 被用者年金各法の被保険者又は組合員(恩給法に定める公務員及び他の法律により恩給法に定める公務員とみなされる者、地方公務員の退職年金に関する条例の適用を受ける地方公務員、厚生年金保険法附則第二十八条に規定する共済組合の組合員、執行吏並びに国会議員を含む。)
二 第五条第二項第一号から第四号までに掲げる年金たる給付のうち老齢若しくは退職又は廃疾を支給事由とする給付を受けることができる者
三 第五条第二項第一号から第四号までに掲げる年金たる給付のうち老齢又は退職を支給事由とする給付の受給資格要件たる期間を満たしている者
四 第五条第二項第一号から第四号までに掲げる年金たる給付のうち死亡を支給事由とする給付を受けることができる者
五 第五条第二項第五号から第七号までに掲げる年金たる給付を受けることができる者
六 前五号に掲げる者の配偶者
七 次に掲げる学校に在学する生徒又は学生。ただし、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第四十四条に規定する高等学校の定時制課程による授業を受け、同法第四十五条(同法第七十条、第七十条の十及び第七十六条において準用する場合を含む。)に規定する通信教育を受け、同法第五十四条に規定する夜間の学部に在学し、又は同法第七十条の四に規定する夜間の課程による授業を受ける生徒又は学生を除く。
イ 学校教育法第四十一条に規定する高等学校(盲学枚、聾学校又は養護学校の高等部を含む。)及びこれに相当する国立の学校で厚生大臣の指定するもの
ロ 学校教育法第五十二条に規定する大学(同法第六十二条に規定する大学院を含む。)及びこれに相当する国立の学校で厚生大臣の指定するもの
ハ 学校教育法第七十条の二に規定する専科大学及びこれに相当する国立の学校で厚生大臣の指定するもの
3 前項各号に掲げる者に対する将来にわたるこの法律の適用関係については、国民年金制度と被用者年金各法による年金制度及びその他の公的年金制度との関連を考慮して、すみやかに検討が加えられたうえ、別に法律をもつて処理されるべきものとする。
(資格取得の時期)
第八条 前条の規定による被保険者は、二十歳に達した日、日本国民となつた日又は日本国内に住所を有するに至つた日に、被保険者の資格を取得する。
(資格喪失の時期)
第九条 第七条の規定による被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(第四号に該当するに至つたときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
一 死亡したとき。
二 日本国民でなくなつたとき。
三 日本国内に住所を有しなくなつたとき。
四 六十歳に達したとき。
(任意脱退)
第十条 被保険者でなかつた者が被保険者となつた場合において、その資格を取得した日の属する月から六十歳に達する日の属する月の前月までの期間とその者の従前の被保険者期間とを合算した期間が二十五年未満であるときは、その者は、第七条第一項の規定にかかわらず、いつでも、都道府県知事の承認を受けて、被保険者の資格を喪失することができる。この場合においては、その者は、その承認を受けた日の翌日に被保険者の資格を喪失する。
2 前項の場合において、同項の承認の申請が、その者が被保険者の資格を取得した日から起算して三箇月以内になされたものであるときは、その者は、さかのぼつて被保険者とならなかつたものとみなす。
(被保険者期間の計算)
第十一条 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した日の属する月からその資格を喪失した日の属する月の前月までをこれに算入する。
2 被保険者がその資格を取得した日の属する月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として被保険者期間に算入する。ただし、その月にさらに被保険者の資格を取得したときは、この限りでない。
3 被保険者の資格を喪失した後、さらにその資格を取得した者については、前後の被保険者期間を合算する。
(届出)
第十二条 被保険者は、厚生省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を市町村長に届け出なければならない。
2 被保険者の属する世帯の世帯主(以下単に「世帯主」という。)は、被保険者に代つて、前項の届出をすることができる。
3 市町村長は、前二項の届出を受理したときは、厚生省令の定めるところにより、都道府県知事にこれを報告しなければならない。
(国民年金手帳)
第十三条 都道府県知事は、前条第三項の規定により、被保険者の資格を取得した旨の報告を受けたときは、当該被保険者について国民年金手帳を作成し、市町村長を経由してその者にこれを交付するものとする。ただし、その被保険者がすでに国民年金手帳の交付を受け、これを所持している場合であつて、その国民年金手帳に国民年金印紙をはりつけるべき余白があるときは、この限りでない。
2 国民年金手帳の様式及び交付その他国民年金手帳に関して必要な事項は、厚生省令で定める。
(国民年金原簿)
第十四条 厚生大臣は、国民年金原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失、保険料の納付状況その他厚生省令で定める事項を記録するものとする。
第三章 年金給付
第一節 通則
(年金給付の種類)
第十五条 この法律による給付(以下「年金給付」という。)は、次のとおりとする。
一 老齢年金
二 障害年金
三 母子年金、遺児年金及び寡婦年金
(裁定)
第十六条 年金給付を受ける権利は、その権利を有する者(以下「受給権者」という。)の請求に基いて、厚生大臣が裁定する。
(端数処理)
第十七条 年金給付を受ける権利を裁定する場合において、年金給付の額に一円未満の端数が生じたときは、これを一円に切り上げるものとする。
(年金の支給期間及び支払期月)
第十八条 年金給付の支給は、これを支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から始め、権利が消滅した日の属する月で終るものとする。
2 年金給付は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた日の属する月の翌月からその事由が消滅した日の属する月までの分の支給を停止する。ただし、これらの日が同じ月に属する場合は、支給を停止しない。
3 年金給付は、毎年二月、五月、八月及び十一月の四期に、それぞれの前月までの分を支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであつた年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、その支払期月でない月であつても、支払うものとする。
(未支給年金)
第十九条 年金給付の受給権者が死亡したことにより、受給権者の妻又は子が母子年金又は遺児年金を受けることができる場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、当該母子年金又は遺児年金の受給権者は、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。母子年金の受給権者が死亡したことにより、第四十七条第一項の規定による遺児年金の支給の停止が解除される場合において、その死亡した者に支給すべき母子年金でまだその者に支給しなかつたものがあるときも、同様とする。
2 前項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかつたときは、同項の母子年金又は遺児年金の受給権者は、自己の名で、その年金を請求することができる。
(併給の調整)
第二十条 二以上の年金給付(その額の全部につき支給を停止されている年金給付及び第四十九条第二項の規定によりその支給がまだ始められていない寡婦年金を除く。)の受給権者には、その者の選択により、その一を支給し、他の支給を停止する。
(年金の支払の調整)
第二十一条 乙年金の受給権者が甲年金の受給権を取得したため乙年金の受給権が消滅し、又は同一人に対して乙年金の支給を停止して甲年金を支給すべき場合において、乙年金の受給権が消滅し、又は乙年金の支給を停止すべき事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として、乙年金の支払が行われたときは、その支払われた乙年金は、甲年金の内払とみなす。
2 年金の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金が支払われたときは、その支払われた年金は、その後に支払うべき年金の内払とみなすことができる。母子年金を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として減額しない額の母子年金が支払われた場合における当該母子年金の当該減額すべきであつた部分についても、同様とする。
(損害賠償請求権)
第二十二条 政府は、廃疾若しくは死亡又はこれらの直接の原因となつた事故が第三者の行為によつて生じた場合において、年金給付をしたときは、その年金給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2 前項の場合において、受給権者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、年金給付を行う責を免かれる。
(不正利得の徴収)
第二十三条 偽りその他不正の手段により年金給付を受けた者があるときは、厚生大臣は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
(受給権の保護)
第二十四条 年金給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、老齢年金(第五十三条第一項の規定によつて支給されるものを除く。)を受ける権利については、国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
(公課の禁止)
第二十五条 租税その他の公課は、年金給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢年金(第五十三条第一項の規定によつて支給されるものを除く。)については、この限りでない。
第二節 老齢年金
(支給要件)
第二十六条 老齢年金は、次の各号のいずれかに該当する者が六十五歳に達したときに、その者に支給する。
一 保険料納付済期間(納付された保険料(第九十六条の規定により徴収された保険料を含む。以下同じ。)に係る被保険者期間を合算した期間をいう。以下同じ。)が、二十五年以上である者
二 前号に該当しない者であつて、保険料納付済期間が十年以上であり、かつ、その保険料納付済期間と保険料免除期間(第八十九条又は第九十条の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係る被保険者期間のうち第九十四条第二項の規定により納付されたものとみなされる保険料に係る被保険者期間を除いたものを合算した期間をいう。以下同じ。)とを合算した期間が、二十五年以上であるもの
(年金額)
第二十七条 前条第一号に該当する者に支給する老齢年金の額は、保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
保険料納付済期間
年金額
二五年以上二六年未満
二四、〇〇〇円
二六年以上二七年未満
二五、二〇〇円
二七年以上二八年未満
二六、四〇〇円
二八年以上二九年未満
二七、六〇〇円
二九年以上三〇年未満
二八、八〇〇円
三〇年以上三一年未満
三〇、〇〇〇円
三一年以上三二年未満
三一、二〇〇円
三二年以上三三年未満
三二、四〇〇円
三三年以上三四年未満
三三、六〇〇円
三四年以上三五年未満
三四、八〇〇円
三五年以上三六年未満
三六、〇〇〇円
三六年以上三七年未満
三七、二〇〇円
三七年以上三八年未満
三八、四〇〇円
三八年以上三九年未満
三九、六〇〇円
三九年以上四〇年未満
四〇、八〇〇円
四〇年
四二、〇〇〇円
2 前条第二号に該当する者に支給する老齢年金の額は、保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
保険料納付済期間
年金額
一〇年以上一一年未満
一二、〇〇〇円
一一年以上一二年未満
一二、六〇〇円
一二年以上一三年未満
一三、二〇〇円
一三年以上一四年未満
一三、八〇〇円
一四年以上一五年未満
一四、四〇〇円
一五年以上一六年未満
一五、〇〇〇円
一六年以上一七年未満
一五、六〇〇円
一七年以上一八年未満
一六、二〇〇円
一八年以上一九年未満
一六、八〇〇円
一九年以上二〇年未満
一七、四〇〇円
二〇年以上二一年未満
一八、〇〇〇円
二一年以上二二年未満
一九、二〇〇円
二二年以上二三年未満
二〇、四〇〇円
二三年以上二四年未満
二一、六〇〇円
二四年以上二五年未満
二二、八〇〇円
(支給の延期)
第二十八条 第二十六条各号のいずれかに該当する者が六十五歳に達する前にあらかじめ厚生大臣に老齢年金受給延期の申出をしたときは、同条の規定にかかわらず、その者が六十五歳に達した場合においても、老齢年金を支給しない。ただし、その者が六十五歳に達した時に他の年金給付の受給権者であるときは、この限りでない。
2 前項の申出をした者は、いつでも、将来に向つてその申出を撤回することができる。
3 第一項の申出をした者に対しては、その者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときに、老齢年金を支給する。
一 七十歳に達したとき。
二 第一項の申出を撤回したとき。
三 他の年金給付の受給権者となつたとき。
4 第一項の申出をした者に支給する老齢年金の額は、前条の規定にかかわらず、同条に定める額に政令で定める額を加算した額とする。ただし、その者が六十六歳に達する前に老齢年金が支給されることとなつたときは、この限りでない。
(失権)
第二十九条 老齢年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する。
第三節 障害年金
(支給要件)
第三十条 障害年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、次の各号の要件に該当する者が、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)がなおつた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含むものとし、以下「廃疾認定日」という。)において、その傷病により別表に定める程度の廃疾の状態にあるときに、その者に支給する。
一 当該傷病についてはじめて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であつた者については、初診日の前日において次のいずれかに該当したこと。
イ 初診日の属する月の前月までの被保険者期間に係る保険料納付済期間が十五年以上であるか、又はその保険料納付済期間が五年以上であり、かつ、その被保険者期間のうち保険料免除期間を除いたものの三分の二以上を占めること。
ロ 初診日の属する月前における直近の基準月(一月、四月、七月及び十月をいう。以下同じ。)の前月まで引き続き三年間被保険者であり、かつ、その期間のすべてが保険料納付済期間又は一年六箇月をこえない保険料免除期間で満たされていること。
ハ 初診日の属する月の前月までの被保険者期間につき、第二十六条各号のいずれかに該当していること。
二 初診日において被保険者でなかつた者については、初診日において六十五歳未満であり、かつ、初診日の前日において第二十六条各号のいずれかに該当したこと。
(併給の調整)
第三十一条 障害年金の受給権者に対してさらに障害年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の廃疾を併合した廃疾の程度による障害年金を支給する。
2 障害年金の受給権者が前項の規定により前後の廃疾を併合した廃疾の程度による障害年金の受給権を取得したときは、従前の障害年金の受給権は、消滅する。
第三十二条 期間を定めて支給を停止されている障害年金の受給権者に対してさらに障害年金を支給すべき事由が生じたときは、前条第一項の規定により支給する前後の廃疾を併合した廃疾の程度による障害年金は、従前の障害年金の支給を停止すべきであつた期間、その支給を停止するものとし、その間、その者に従前の廃疾を併合しない廃疾の程度による障害年金を支給する。
2 障害年金の受給権者がさらに障害年金の受給権を取得した場合において、新たに取得した障害年金が第三十六条の規定によりその支給を停止すべきものであるときは、前条第二項の規定にかかわらず、その停止すべき期間、その者に対して従前の障害年金を支給する。
(年金額)
第三十三条 障害年金の額は、初診日の属する月の前月までの被保険者期間に係る初診日の前日における保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
初診日の属する月の前月までの被保険者期間に係る初診日の前日における保険料納付済期間
年金額
二六年未満
二四、〇〇〇円
二六年以上二七年未満
二五、二〇〇円
二七年以上二八年未満
二六、四〇〇円
二八年以上二九年未満
二七、六〇〇円
二九年以上三〇年未満
二八、八〇〇円
三〇年以上三一年未満
三〇、〇〇〇円
三一年以上三二年未満
三一、二〇〇円
三二年以上三三年未満
三二、四〇〇円
三三年以上三四年未満
三三、六〇〇円
三四年以上三五年未満
三四、八〇〇円
三五年以上三六年未満
三六、〇〇〇円
三六年以上三七年未満
三七、二〇〇円
三七年以上三八年未満
三八、四〇〇円
三八年以上三九年未満
三九、六〇〇円
三九年以上四〇年未満
四〇、八〇〇円
四〇年
四二、〇〇〇円
2 廃疾の程度が別表に定める一級に該当する者に支給する障害年金の額は、前項の規定にかかわらず、同項に定める額に六千円を加算した額とする。
(廃疾の程度が変つた場合の年金額の改定)
第三十四条 厚生大臣は、障害年金の受給権者について、その廃疾の程度を診査し、その程度が従前の廃疾の等級以外の等級に該当すると認めるときは、障害年金の額を改定することができる。
2 障害年金の受給権者は、厚生大臣に対し、廃疾の程度が増進したことによる障害年金の額の改定を請求することができる。
3 前項の請求は、障害年金の受給権を取得した日又は第一項の規定による厚生大臣の診査を受けた日から起算して一年を経過した日後でなければ行うことができない。
4 第一項の規定により障害年金の額が改定されたときは、改定後の額による障害年金の支給は、改定が行われた日の属する月の翌月から始めるものとする。
(失権)
第三十五条 障害年金の受給権は、第三十一条第二項の規定によつて消滅するほか、受給権者が死亡したとき、又は別表に定める程度の廃疾の状態に該当しなくなつたときは、消滅する。
(支給停止)
第三十六条 障害年金は、その受給権者が当該傷病について、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)又は国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号。他の法律において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による障害補償、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による障害補償費その他政令で定める法令によるこれらに相当する給付を受けることができるときは、六年間、その支給を停止する。
第四節 母子年金、遺児年金及び寡婦年金
第一款 母子年金
(支給要件)
第三十七条 母子年金は、夫が死亡した場合において、死亡日の前日において次の各号のいずれかに該当し、かつ、夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した被保険者たる妻が、夫の死亡の当時、夫又は妻の子であつて十八歳未満であるか又は二十歳未満で別表に定める廃疾の状態にあるもの(夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した者に限る。)と生計を同じくするときに、その者に支給する。
一 死亡日の属する月の前月までの妻の被保険者期間に係る保険料納付済期間が十五年以上であるか、又はその保険料納付済期間が五年以上であり、かつ、その被保険者期間のうち保険料免除期間を除いたものの三分の二以上を占めること。
二 死亡日の属する月前における直近の基準月の前月まで引き続き三年間被保険者であり、かつ、その期間のすべてが保険料納付済期間又は一年六箇月をこえない保険料免除期間で満たされていること。
2 夫の死亡の当時胎児であつた子が生まれたときは、前項の規定の適用については、将来に向つて、その子は、夫の死亡の当時夫によつて生計を維持していた子とみなし、妻は、夫の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなす。
(年金額)
第三十八条 母子年金の額は、死亡日の属する月の前月までの妻の被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
死亡日の属する月の前月までの妻の被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間
年金額
三〇年未満
一九、二〇〇円
三〇年以上三一年未満
一九、八〇〇円
三一年以上三二年未満
二〇、四〇〇円
三二年以上三三年未満
二一、〇〇〇円
三三年以上三四年未満
二一、六〇〇円
三四年以上三五年未満
二二、二〇〇円
三五年以上三六年未満
二二、八〇〇円
三六年以上三七年未満
二三、四〇〇円
三七年以上三八年未満
二四、〇〇〇円
三八年以上三九年未満
二四、六〇〇円
三九年以上四〇年未満
二五、二〇〇円
四〇年
二五、八〇〇円
(加算)
第三十九条 母子年金の額は、妻が母子年金の受給権を取得した当時第三十七条第一項に規定する要件に該当し、かつ、その者と生計を同じくした子が二人以上あるときは、前条の規定にかかわらず、同条に定める額にその子のうち一人を除いた子一人につき四千八百円を加算した額とする。
2 妻が母子年金の受給権を取得した当時胎児であつた子が生まれたときは、前項の規定の適用については、その子は、妻がその権利を取得した当時第三十七条第一項に規定する要件に該当し、かつ、その者と生計を同じくした子とみなし、その生まれた日の属する月の翌月から、母子年金の額を改定する。
3 第一項の規定によりその額が加算された母子年金については、子のうちの一人又は二人以上が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至った日の属する月の翌月から、その該当するに至つた子の数に応じて、年金額を改定する。
一 死亡したとき。
二 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。以下同じ。)をしたとき。
三 妻以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)となつたとき。
四 離縁によつて、夫又は妻のいずれの子でもなくなつたとき。
五 妻によつて生計を維持しなくなつたとき。
六 十八歳に達したとき。ただし、妻が受給権を取得した時から引き続き別表に定める廃疾の状態にあるときを除く。
七 別表に定める廃疾の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、その子が十八歳未満であるときを除く。
八 二十歳に達したとき。
(失権)
第四十条 母子年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 婚姻をしたとき。
三 直系姻族以外の者の養子となつたとき。
2 母子年金の受給権は、前項の規定によつて消滅するほか、子が一人であるときはその子が、子が二人以上であるときは同時に又は時を異にしてそのすべての子が、前条第三項各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
(支給停止)
第四十一条 母子年金は、当該夫の死亡について、労働基準法又は国家公務員災害補償法の規定による遺族補償、労働者災害補償保険法の規定による遺族補償費その他政令で定める法令によるこれらに相当する給付が行われるべきものであるときは、死亡日から六年間、その支給を停止する。
2 母子年金は、当該夫の死亡について、公的年金各法に基く年金たる給付(その全額につき支給を停止されているものを除く。)を受けることができる者があるときは、その間、その額の三分の一に相当する部分の支給を停止する。
第二款 遺児年金
(支給要件)
第四十二条 遺児年金は、次の要件に該当する父又は母が死亡した場合において、その者の子であつて、父又は母の死亡の当時父又は母によつて生計を維持し、かつ、十八歳未満であるか又は二十歳未満で別表に定める廃疾の状態にあるものがあるときに、その者に支給する。ただし、父又は母の死亡の当時その子と生計を同じくするその子の母又は父があるときは、この限りでない。
一 死亡日において被保険者であつた者については、死亡日の前日において次のいずれかに該当したこと。
イ 死亡日の属する月の前月までの被保険者期間に係る保険料納付済期間が十五年以上であるか、又はその保険料納付済期間が五年以上であり、かつ、その被保険者期間のうち保険料免除期間を除いたものの三分の二以上を占めること。
ロ 死亡日の属する月前における直近の基準月の前月まで引き続き三年間被保険者であり、かつ、その期間のすべてが保険料納付済期間又は一年六箇月をこえない保険料免除期間で満たされていること。
ハ 死亡日の属する月の前月までの被保険者期間につき、第二十六条各号のいずれかに該当していること。
二 死亡日において被保険者でなかつた者については、死亡日の前日において第二十六条各号のいずれかに該当したこと。
(年金額)
第四十三条 遺児年金の額は、死亡日の属する月の前月までの被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
死亡日の属する月の前月までの被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間
年金額
三〇年未満
七、二〇〇円
三〇年以上三一年未満
七、五〇〇円
三一年以上三二年未満
七、八〇〇円
三二年以上三三年未満
八、一〇〇円
三三年以上三四年未満
八、四〇〇円
三四年以上三五年未満
八、七〇〇円
三五年以上三六年未満
九、〇〇〇円
三六年以上三七年未満
九、三〇〇円
三七年以上三八年未満
九、六〇〇円
三八年以上三九年未満
九、九〇〇円
三九年以上四〇年未満
一〇、二〇〇円
四〇年
一〇、五〇〇円
第四十四条 遺児年金の額は、当該父又は母の死亡について遺児年金の受給権を取得した子が二人以上あるときは、前条の規定にかかわらず、同条に定める額にその子のうち一人を除いた子一人につき四千八百円を加算した額を、その子の数で除して得た額とする。
2 前項の場合において、遺児年金の受給権を有する子の数が減じたときは、その減じた日の属する月の翌月から、遺児年金の額を改定する。
(失権)
第四十五条 遺児年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 婚姻をしたとき。
三 養子となつたとき。
四 離縁によつて、死亡した父又は母の子でなくなつたとき。
五 母又は父と生計を同じくするに至つたとき。
六 十八歳に達したとき。ただし、父又は母の死亡の時から引き続き別表に定める廃疾の状態にあるときを除く。
七 別表に定める廃疾の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、その子が十八歳未満であるときを除く。
八 二十歳に達したとき。
(支給停止)
第四十六条 遺児年金は、当該父又は母の死亡について第四十一条第一項に規定する給付が行われるべきものであるときは、死亡日から六年間、その支給を停止する。
第四十七条 遺児年金は、当該父の死亡についてその妻が当該遺児年金の受給権者と生計を同じくすることによつて支給され、又はその額が加算される母子年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。
2 前項に規定する母子年金が第六十一条の規定により支給されるものである場合において、その母子年金が第六十五条又は第六十七条の規定によりその全額につき支給を停止されているときは、前項の規定による支給の停止は行わず、また、その母子年金が第六十五条第三項の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額(当該遺児年金の受給権者が二人以上であるときは、その額をその受給権者の数で除して得た額)の限度においてのみ、前項の規定による支給の停止を行うものとする。
第四十八条 遺児年金の受給権を有する子が二人以上ある場合において、その子のうち一人以上の子の所在が一年以上明らかでないときは、その子に対する遺児年金は、他の子の申請によつて、その所在が明らかでなくなつた時にさかのぼつて、その支給を停止する。
2 前項の規定によつて遺児年金の支給を停止された子は、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる。
3 前二項の規定により遺児年金の支給が停止され、又はその停止が解除されたときは、子の所在が明らかでなくなつた日又は支給の停止が解除された日の属する月の翌月から、遺児年金の額を改定する。
第三款 寡婦年金
(支給要件)
第四十九条 寡婦年金は、次の要件に該当する夫が死亡した場合において、夫の死亡の当時夫によつて生計を維持し、かつ、夫との婚姻関係が十年以上継続した六十五歳未満の妻があるときに、その者に支給する。ただし、その夫が障害年金(第五十六条の規定によつて支給されるものを除く。)の受給権者であつたことがあるときは、この限りでない。
一 死亡日において被保険者であつた者については、死亡日の属する月の前月までの被保険者期間につき、死亡日の前日において第二十六条各号のいずれかに該当したこと。
二 死亡日において被保険者でなかつた者については、死亡日において六十五歳未満であり、かつ、死亡日の前日において第二十六条各号のいずれかに当該したこと。
2 六十歳未満の妻に支給する寡婦年金は、第十八条第一項の規定にかかわらず、妻が六十歳に達した日の属する月の翌月から、その支給を始める。
(年金額)
第五十条 寡婦年金の額は、死亡日の属する月の前月までの被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間に応じて、それぞれ第二十七条第一項又は第二項の表の下欄に定める額の二分の一に相当する額とする。
(失権)
第五十一条 寡婦年金の受給権は、受給権者が六十五歳に達したとき、又は第四十条第一項各号のいずれかに当該するに至つたときは、消滅する。
(支給停止)
第五十二条 寡婦年金は、当該夫の死亡について第四十一条第一項に規定する給付が行われるべきものであるときは、死亡日から六年間、その支給を停止する。
第五節 特例による老齢年金、障害年金及び母子年金
(老齢福祉年金の支給要件)
第五十三条 保険料免除期間又は保険料免除期間と保険料納付済期間とを合算した期間が三十年をこえる者が七十歳に達したときは、第二十六条に定める老齢年金の支給要件に該当しない場合においても、これに該当するものとみなして、その者に老齢年金を支給する。ただし、その者が、七十歳に達した日において、日本国民でないとき、又は日本国内に住所を有しないときは、この限りでない。
2 前項の規定により支給する老齢年金は、老齢福祉年金と称する。
(老齢福祉年金の額)
第五十四条 老齢福祉年金の額は、一万二千円とする。
(老齢福祉年金の失権)
第五十五条 老齢福祉年金の受給権は、第二十九条の規定によつて消滅するほか、受給権者が日本国民でなくなつたとき、又は日本国内に住所を有しなくなつたときは、消滅する。
(障害福祉年金の支給要件)
第五十六条 疾病にかかり又は負傷し、かつ、次の各号の要件に該当する者が、廃疾認定日においてその傷病により別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態にあるときは、第三十条に定める障害年金の支給要件に該当しない場合においても、これに該当するものとみなして、その者に障害年金を支給する。ただし、その者が、廃疾認定日において、日本国民でないとき、又は日本国内に住所を有しないときは、この限りでない。
一 初診日において被保険者であつた者については、初診日の前日において次のいずれにも該当しなかつたこと。
イ 初診日の属する月の前月までの被保険者期間のうち保険料免除期間を除いたものが五年以上である場合においては、その期間のうちの保険料納付済期間が、その期間の三分の二に満たないこと。
ロ 初診日の属する月前における直近の基準月の前月まで引き続く三年間(その者が二十歳に達した後の期間に限る。)が、保険料納付済期間又は保険料免除期間で満たされていないこと。
二 初診日において被保険者でなかつた者については、初診日において六十五歳未満であり、かつ、初診日の前日において第五十三条第一項に規定する老齢福祉年金の支給要件に該当したこと。
2 前項の規定により支給する障害年金は、障害福祉年金と称する。
第五十七条 疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者が、廃疾認定日後に二十歳に達したときは二十歳に達した日において、廃疾認定日が二十歳に達した日後であるときはその廃疾認定日において、別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態にあるときは、前条第一項の規定の適用については、その者は、同項各項の要件に該当するものとみなす。
2 前項に規定する者であつて、廃疾認定日後に二十歳に達したものについては、前条第一項ただし書中「廃疾認定日」とあるのは、「二十歳に達した日」と読み替えるものとする。
(障害福祉年金の額)
第五十八条 障害福祉年金の額は、一万八千円とする。
(障害福祉年金の失権)
第五十九条 障害福祉年金の受給権は、第三十五条の規定によつて消滅するほか、受給権者が日本国民でなくなつたとき、日本国内に住所を有しなくなつたとき、又は別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態に該当しなくなつたときは、消滅する。
(障害福祉年金についての適用除外規定)
第六十条 第三十一条、第三十二条及び第三十四条の規定は、障害福祉年金に関しては、適用しない。
(母子福祉年金の支給要件)
第六十一条 夫が死亡した場合において、死亡日の前日において次の各号のいずれにも該当せず、かつ、夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した被保険者たる妻が、夫の死亡の当時、夫又は妻の子であつて、義務教育終了前(十五歳に達した日の属する学年の末日以前をいい、同日以後引き続いて中学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の中学部に在学する場合には、その在学する間を含む。以下同じ。)のもの(夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した者に限る。)と生計を同じくするときは、第三十七条第一項に定める母子年金の支給要件に該当しない場合においても、これに該当するものとみなして、その者に母子年金を支給する。ただし、その者が、夫の死亡日において、日本国民でないとき、又は日本国内に住所を有しないときは、この限りでない。
一 死亡日の属する月の前月までの妻の被保険者期間のうち保険料免除期間を除いたものが五年以上である場合においては、その期間のうちの保険料納付済期間が、その期間の三分の二に満たないこと。
二 死亡日の属する月前における直近の基準月の前月まで引き続く三年間(その妻が二十歳に達した後の期間に限る。)が、保険料納付済期間又は保険料免除期間で満たされていないこと。
2 第三十七条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
3 第一項の規定により支給する母子年金は、母子福祉年金と称する。
(母子福祉年金の額)
第六十二条 母子福祉年金の額は、一万二千円とする。
第六十三条 母子福祉年金の額は、妻が母子福祉年金の受給権を取得した当時第六十一条第一項に規定する要件に該当し、かつ、その者と生計を同じくした子が二人以上あるときは、前条の規定にかかわらず、同条に定める額にその子のうち一人を除いた子一人につき二千四百円を加算した額とする。
2 第三十九条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
3 第一項の規定によりその額が加算された母子福祉年金については、子のうちの一人又は二人以上が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至つた日の属する月の翌月から、その該当するに至つた子の数に応じて、年金額を改定する。
一 第三十九条第三項第一号から第五号までのいずれかに該当するに至つたとき。
二 十五歳に達した日の属する学年の末日が終了したとき。ただし、同日以後引き続いて中学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の中学部に在学するときを除く。
三 前号ただし書に該当する場合において、中学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の中学部に在学しなくなつたとき。
(母子福祉年金の失権)
第六十四条 母子福祉年金の受給権は、第四十条第一項の規定によつて消滅するほか、受給権者が日本国民でなくなつたとき、又は日本国内に住所を有しなくなつたときは、消滅する。子が一人であるときはその子が、子が二人以上であるときは同時に又は時を異にしてそのすべての子が、前条第三項各号のいずれかに該当するに至つたときも、同様とする。
2 第四十条第二項の規定は、母子福祉年金に関しては適用しない。
(福祉年金の支給停止)
第六十五条 老齢福祉年金、障害福祉年金及び母子福祉年金(以下「福祉年金」という。)は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するときは、その該当する期間、その支給を停止する。
一 公的年金各法に基く年金たる給付を受けることができるとき。
二 監獄、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき。
三 少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき。
2 前項第一号に規定する給付が、その全額につき支給を停止されているときは、同項の規定を適用しない。ただし、その支給の停止が第三十六条又は第四十一条第一項に規定する給付が行われることによるものであるときは、この限りでない。
3 福祉年金の額が、第一項第一号に規定する給付の額(その給付が、その額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額)をこえるときは、そのこえる部分については、同項の規定にかかわらず、当該福祉年金の支給を停止しない。
4 福祉年金は、受給権者が前年において十三万円(受給権者が前年の十二月三十一日において受給権者又はその配偶者の子であつて義務教育終了前のものの生計を維持したときは、十三万円にその子一人につき一万五千円を加算した額とする。)をこえる所得を有したときは、その年の五月から翌年の四月まで、その支給を停止する。
5 第一項第一号に規定する給付の額の計算方法並びに前項に規定する所得の範囲及びその額の計算方法は、政令で定める。
第六十六条 老齢福祉年金又は障害福祉年金(その額の全部又は一部につき支給を停止されているものを除く。)は、その受給権者の配偶者が六千円をこえる額の公的年金各法に基く年金たる給付(その額の全部につき支給を停止されているものを除くものとし、その額の一部につき支給を停止されている給付にあつては、その停止されていない部分の額が六千円をこえるものに限る。)を受けることができるときは、その期間、その年金額のうち当該公的年金各法に基く年金たる給付の額から六千円を控除した額(その額が六千円をこえるときは、六千円とする。)に相当する部分の支給を停止する。
2 前条第五項の規定は、前項に規定する公的年金各法に基く年金たる給付の額の計算方法について準用する。
3 夫及び妻がともに老齢福祉年金(その額の全部又は一部につき支給を停止されているものを除く。)を受けることができるときは、その期間、夫及び妻に支給する老齢福祉年金は、それぞれその年金額のうち三千円に相当する部分の支給を停止する。夫及び妻の一方が老齢福祉年金(その額の全部又は一部につき支給を停止されているものを除く。)を、他方が障害福祉年金(その額の全部又は一部につき支給を停止されているものを除く。)を受けることができる場合における当該老齢福祉年金についても、同様とする。
4 老齢福祉年金及び障害福祉年金は、受給権者の配偶者の所得につき、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の規定により計算した前年分の所得税額(この所得税額を計算する場合には、同法第十五条の六及び第十五条の八の規定を適用しないものとする。次項において同じ。)があるときは、その年の五月から翌年の四月まで、その支給を停止する。
5 老齢福祉年金及び障害福祉年金は、受給権者の民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項に定める扶養義務者で当該受給権者の生計を維持するものの所得につき、所得税法の規定により計算した前年分の所得税額が、給与所得の収入金額が五十万円であり、かつ、同法に規定する扶養親族が五人である者が通常納付すべき同年分の所得税額として政令で定める金額以上であるときは、その年の五月から翌年の四月まで、その支給を停止する。
第六十七条 母子福祉年金は、妻が夫又は妻の二十五歳以上の子と生計を同じくするときは、その期間、その支給を停止する。ただし、その子が長期の疾病又は負傷、廃疾、失業その他これらに準ずる状態にあるときは、この限りでない。
(支払期月の特例)
第六十八条 福祉年金は、第十八条第三項本文の規定にかかわらず、毎年一月、五月及び九月の三期に、それぞれの前月までの分を支払うものとする。
第六節 給付の制限
第六十九条 故意に廃疾又はその直接の原因となつた事故を生じさせた者の当該廃疾については、これを支給事由とする障害年金は、支給しない。
第七十条 故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、廃疾若しくはその原因となつた事故を生じさせ、又は廃疾の程度を増進させた者の当該廃疾については、これを支給事由とする年金給付は、その全部又は一部を行わないことができる。自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、死亡又はその原因となつた事故を生じさせた者の死亡についても、同様とする。
第七十一条 母子年金、遺児年金又は寡婦年金は、被保険者若しくは被保険者であつた者又は夫を故意に死亡させた者には、支給しない。被保険者若しくは被保険者であつた者又は夫の死亡前に、その者の死亡によつて母子年金又は遺児年金の受給権者となるべき者を故意に死亡させた者にも、同様とする。
2 遺児年金の受給権は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときは、消滅する。
第七十二条 年金給付は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。
一 受給権者が、正当な理由がなくて、第百七条第一項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に応じなかつたとき。
二 障害年金の受給権者又は第百七条第二項に規定する子が、正当な理由がなくて、同項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の診断を拒んだとき。
第七十三条 受給権者が、正当な理由がなくて、第百五条第三項の規定による届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、年金給付の支払を一時差し止めることができる。
第四章 被保険者及び年金給付に関する経過的特例
第一節 経過措置
(被保険者の適用除外)
第七十四条 明治四十四年三月三十一日以前に生まれた者(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえる者)は、第七条第一項の規定にかかわらず、被保険者としない。
(任意加入被保険者)
第七十五条 明治三十九年四月一日から明治四十四年三月三十一日までの間に生まれた者(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえ、五十五歳をこえない者)であつて、第七条第二項各号のいずれにも該当しないものは、前条の規定にかかわらず、都道府県知事に申し出て、被保険者となることができる。ただし、第七条第一項に該当する者に限る。
2 前項の申出は、昭和三十六年三月三十一日までに行わなければならない。
3 第十三条第一項の規定は、第一項の申出があつた場合に準用する。
4 第一項の規定による被保険者は、いつでも、都道府県知事に申し出て、被保険者の資格を喪失することができる。
5 第一項の規定による被保険者は、第九条各号(第四号を除く。)及び次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(次の第三号に該当するに至つたときは、その日)に被保険者の資格を喪失する。
一 前項の申出が受理されたとき。
二 保険料を滞納し、第九十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないとき。
三 被保険者期間が十年に達したとき。
(老齢年金の受給資格期間等についての特例)
第七十六条 次の表の上欄に掲げる者については、第十条及び第二十六条各号(第二十八条第一項、第三十条、第四十二条、第四十九条第一項及び第九十九条第一項の規定を適用する場合を含む。)中「二十五年」とあるのは、それぞれ同表の下欄のように読み替えるものとする。
大正五年三月三十一日以前に生まれた者
(四十五歳をこえる者)
十年
大正五年四月一日から大正六年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十四歳をこえ、四十五歳をこえない者)
十一年
大正六年四月一日から大正七年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十三歳をこえ、四十四歳をこえない者)
十二年
大正七年四月一日から大正八年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十二歳をこえ、四十三歳をこえない者)
十三年
大正八年四月一日から大正九年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十一歳をこえ、四十二歳をこえない者)
十四年
大正九年四月一日から大正十年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十歳をこえ、四十一歳をこえない者)
十五年
大正十年四月一日から大正十一年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十九歳をこえ、四十歳をこえない者)
十六年
大正十一年四月一日から大正十二年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十八歳をこえ、三十九歳をこえない者)
十七年
大正十二年四月一日から大正十三年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十七歳をこえ、三十八歳をこえない者)
十八年
大正十三年四月一日から大正十四年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十六歳をこえ、三十七歳をこえない者)
十九年
大正十四年四月一日から大正十五年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十五歳をこえ、三十六歳をこえない者)
二十年
大正十五年四月一日から昭和二年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十四歳をこえ、三十五歳をこえない者)
二十一年
昭和二年四月一日から昭和三年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十三歳をこえ、三十四歳をこえない者)
二十二年
昭和三年四月一日から昭和四年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十二歳をこえ、三十三歳をこえない者)
二十三年
昭和四年四月一日から昭和五年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十一歳をこえ、三十二歳をこえない者)
二十四年
備考 この表の中欄の記載は、上欄に掲げる者を昭和三十六年四月一日におけるその者の年齢であらわしたものである。
(老齢年金の額についての特例)
第七十七条 大正十五年三月三十一日以前に生まれた者(昭和三十六年四月一日において三十五歳をこえる者)であつて、前条の規定により老齢年金の受給資格期間が読み替えられるため第二十六条第一号又は第二号に該当するに至つたものに支給する老齢年金の額は、保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
保険料納付済期間
年金額
一〇年以上一五年未満
一四、四〇〇円
一五年以上一六年未満
一五、〇〇〇円
一六年以上一七年未満
一五、六〇〇円
一七年以上一八年未満
一六、二〇〇円
一八年以上一九年未満
一六、八〇〇円
一九年以上二〇年未満
一七、四〇〇円
二〇年以上二一年未満
一八、〇〇〇円
二一年以上二二年未満
一九、二〇〇円
二二年以上二三年未満
二〇、四〇〇円
二三年以上二四年未満
二一、六〇〇円
二四年以上二五年未満
二二、八〇〇円
2 前項に規定する者のうち保険料納付済期間が十四年未満である者については、その者が七十歳に達するまでの間に支給する老齢年金の額は、同項の規定にかかわらず、その保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
保険料納付済期間
年金額
一〇年以上一一年未満
九、六〇〇円
一一年以上一二年未満
一〇、八〇〇円
一二年以上一三年未満
一二、〇〇〇円
一三年以上一四年未満
一三、二〇〇円
3 大正十五年四月一日から昭和五年三月三十一日までの間に生まれた者(昭和三十六年四月一日において三十一歳をこえ、三十五歳をこえない者)であつて、前条の規定により老齢年金の受給資格期間が読み替えられるため第二十六条第一号に該当するに至つたものに支給する老齢年金の額は、保険料納付済期間に応じて、それぞれ次の表の下欄に定める額とする。
保険料納付済期間
年金額
二一年以上二二年未満
一九、二〇〇円
二二年以上二三年未満
二〇、四〇〇円
二三年以上二四年未満
二一、六〇〇円
二四年以上二五年未満
二二、八〇〇円
4 前三項の場合においては、第二十八条第四項中「前条」とあるのは、「第七十七条第一項から第三項まで」と読み替えるものとする。
(老齢福祉年金の受給資格期間等についての特例)
第七十八条 次の表の上欄に掲げる者については、第五十三条第一項(第五十六条第一項の規定を適用する場合を含む。)中「三十年」とあるのは、それぞれ同表の下欄のように読み替えるものとする。
明治四十四年四月一日から明治四十五年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十九歳をこえ、五十歳をこえない者)
四年
明治四十五年四月一日から大正二年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十八歳をこえ、四十九歳をこえない者)
五年
大正二年四月一日から大正三年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十七歳をこえ、四十八歳をこえない者)
六年
大正三年四月一日から大正五年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十五歳をこえ、四十七歳をこえない者)
七年
大正五年四月一日から大正六年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十四歳をこえ、四十五歳をこえない者)
八年
大正六年四月一日から大正七年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十三歳をこえ、四十四歳をこえない者)
九年
大正七年四月一日から大正八年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十二歳をこえ、四十三歳をこえない者)
十年
大正八年四月一日から大正十年三月三十一日までの間に生まれた者
(四十歳をこえ、四十二歳をこえない者)
十一年
大正十年四月一日から大正十一年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十九歳をこえ、四十歳をこえない者)
十二年
大正十一年四月一日から大正十二年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十八歳をこえ、三十九歳をこえない者)
十三年
大正十二年四月一日から大正十三年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十七歳をこえ、三十八歳をこえない者)
十四年
大正十三年四月一日から大正十四年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十六歳をこえ、三十七歳をこえない者)
十五年
大正十四年四月一日から大正十五年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十五歳をこえ、三十六歳をこえない者)
十六年
大正十五年四月一日から昭和二年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十四歳をこえ、三十五歳をこえない者)
十七年
昭和二年四月一日から昭和三年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十三歳をこえ、三十四歳をこえない者)
十八年
昭和三年四月一日から昭和四年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十二歳をこえ、三十三歳をこえない者)
十九年
昭和四年四月一日から昭和六年三月三十一日までの間に生まれた者
(三十歳をこえ、三十二歳をこえない者)
二十年
昭和六年四月一日から昭和七年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十九歳をこえ、三十歳をこえない者)
二十一年
昭和七年四月一日から昭和八年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十八歳をこえ、二十九歳をこえない者)
二十二年
昭和八年四月一日から昭和九年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十七歳をこえ、二十八歳をこえない者)
二十三年
昭和九年四月一日から昭和十年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十六歳をこえ、二十七歳をこえない者)
二十四年
昭和十年四月一日から昭和十一年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十五歳をこえ、二十六歳をこえない者)
二十五年
昭和十一年四月一日から昭和十二年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十四歳をこえ、二十五歳をこえない者)
二十六年
昭和十二年四月一日から昭和十三年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十三歳をこえ、二十四歳をこえない者)
二十七年
昭和十三年四月一日から昭和十四年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十二歳をこえ、二十三歳をこえない者)
二十八年
昭和十四年四月一日から昭和十五年三月三十一日までの間に生まれた者
(二十一歳をこえ、二十二歳をこえない者)
二十九年
備考 この表の中欄の記載は、上欄に掲げる者を昭和三十六年四月一日におけるその者の年齢であらわしたものである。
(障害福祉年金及び母子福祉年金の受給資格期間についての特例)
第七十九条 昭和十六年三月三十一日以前に生まれた者(昭和三十六年四月一日において二十歳をこえる者)については、第五十六条第一項第一号ロ中「その者が二十歳に達した後の期間」とあり、第六十一条第一項第二号中「その妻が二十歳に達した後の期間」とあるのは、「昭和三十六年四月一日以後の期間」と読み替えるものとする。
第二節 福祉年金の特別支給
(老齢福祉年金の特別支給)
第八十条 明治二十二年十一月一日以前に生まれた者(昭和三十四年十一月一日において七十歳以上である者)には、第五十三条第一項本文の規定にかかわらず、昭和三十四年十一月一日に、同条の老齢福祉年金を支給する。
2 明治二十二年十一月二日から明治四十四年三月三十一日までの間に生まれた者(昭和三十四年十一月一日において七十歳未満である者のうち、昭和三十六年四月一日において五十歳をこえる者)が七十歳に達したときは、第五十三条第一項本文の規定にかかわらず、その者に同条の老齢福祉年金を支給する。ただし、その者が老齢年金の受給権者であるときは、この限りでない。
(障害福祉年金の特別支給)
第八十一条 昭和十四年十一月一日以前に生まれた者(昭和三十四年十一月一日において二十歳以上である者)が、昭和三十四年十一月一日以前になおつた傷病により、昭和三十四年十一月一日において別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態にあるときは、第五十六条第一項本文の規定にかかわらず、その者に同条の障害福祉年金を支給する。
2 初診日が昭和三十四年十一月一日前である傷病が同日以後になおつた者又は初診日が同日以後昭和三十六年三月三十一日以前である傷病がなおつた者が、そのなおつた日において、当該傷病により別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態にあるときも、前項と同様とする。ただし、初診日において二十歳未満であつた者又は廃疾認定日において七十歳以上であつた者については、この限りでない。
3 明治四十四年三月三十一日以前に生まれた者(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえる者)であつて、初診日が昭和三十六年四月一日以後である傷病がなおつたもの(廃疾認定日において七十歳以上であつた者を除く。)が、そのなおつた日において、当該傷病により別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態にあるときも、第一項と同様とする。ただし、当該廃疾について第三十条又は第五十六条第一項の規定により障害年金の受給権を取得すべきときは、この限りでない。
(母子福祉年金の特別支給)
第八十二条 夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した昭和十四年十一月一日以前に生まれた妻(昭和三十四年十一月一日において二十歳以上である者)が、昭和三十四年十一月一日において、夫又は妻の子であつて義務教育終了前のもの(夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した者に限る。)の生計を維持するときは、第六十一条第一項本文の規定にかかわらず、その者に同条の母子福祉年金を支給する。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 妻が、現に婚姻をしているとき。
二 妻が、現に直系姻族以外の者の養子となつているとき(夫の死亡後に養子となつた場合に限る。)。
三 妻によつて生計を維持する子のすべてが、現に婚姻をしているか、又は妻以外の者の養子となつているとき(その子のすべてが、夫の死亡後に婚姻をし、又は養子となつた場合に限る。)。
2 昭和三十四年十一月一日以後昭和三十六年三月三十一日以前に夫が死亡した場合において、夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した二十歳以上六十歳未満である妻が、夫の死亡の当時、夫又は妻の子であつて義務教育終了前のもの(夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した者に限る。)と生計を同じくするときは、第六十一条第一項本文の規定にかかわらず、その者に同条の母子福祉年金を支給する。
3 明治四十四年三月三十一日以前に生まれた妻(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえる者)であつて、昭和三十六年四月一日以後に夫が死亡し、夫の死亡の当時夫によつて生計を維持したもの(夫の死亡日において六十歳以上であつた者を除く。)が、夫の死亡の当時夫又は妻の子であつて義務教育終了前のもの(夫の死亡の当時夫によつて生計を維持した者に限る。)と生計を同じくするときも、前項と同様とする。ただし、当該夫の死亡について第三十七条又は第六十一条第一項の規定により母子年金の受給権を取得すべきときは、この限りでない。
4 第三十七条第二項の規定は、前三項の場合に準用する。
(裁定に関する特例)
第八十三条 前三条の規定により支給する福祉年金の受給権の裁定は、第十六条の規定にかかわらず、受給権者の請求に基いて、都道府県知事が行うものとする。
2 前三条の規定により福祉年金の受給権を取得した者が第六十五条第一項第一号に該当するときは、引き続きこれに該当する間、その者は、前項の請求をすることができない。ただし、同条第二項又は第三項の規定に該当するときは、この限りでない。
第五章 福祉施設
第八十四条 政府は、被保険者、被保険者であった者及び受給権者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。
第六章 費用
(国庫負担)
第八十五条 国庫は、毎年度、国民年金事業に要する費用(次項及び第三項に規定する費用を除く。以下同じ。)に充てるため、当該年度において納付された保険料の総額の二分の一に相当する額を負担する。
2 国庫は、福祉年金の給付に要する費用を負担する。
3 国庫は、毎年度、予算の範囲内で、国民年金事業の事務の執行に要する費用を負担する。
(事務費の交付)
第八十六条 政府は、政令の定めるところにより、市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対し、市町村長がこの法律又はこの法律に基く命令の規定によつて行う事務の処理に必要な費用を交付する。
(保険料)
第八十七条 政府は、国民年金事業に要する費用に充てるため、保険料を徴収する。
2 保険料は、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。
3 保険料の額は、被保険者が三十五歳に達する日の属する月の前月までは一月につき百円、被保険者が三十五歳に達した日の属する月以後は一月につき百五十円とする。
(保険料の納付義務)
第八十八条 被保険者は、保険料を納付しなければならない。
2 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。
3 配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。
第八十九条 被保険者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至つた日の属する月前における直近の基準月からこれに該当しなくなる日の属する月までの期間に係る保険料は、すでに納付されたもの及び第九十三条第一項の規定により前納されたものを除き、納付することを要しない。
一 障害年金又は母子福祉年金の受給権者であるとき。
二 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)による生活扶助又はらい予防法(昭和二十八年法律第二百十四号)によるこれに相当する援助を受けるとき。
三 国立のらい療養所その他の施設であつて、厚生省令で定めるものに収容されるとき。
第九十条 次の各号のいずれかに該当する被保険者から申請があつたときは、都道府県知事は、申請のあった日の属する月前における直近の基準月からその指定する月までの期間に係る保険料につき、すでに納付されたもの及び第九十三条第一項の規定により前納されたものを除き、これを納付することを要しないものとすることができる。ただし、世帯主又は配偶者にこれを納付するについて著しい困難がないと認められるときは、この限りでない。
一 所得がないとき。
二 被保険者又は被保険者の属する世帯の他の世帯員が生活保護法による生活扶助以外の扶助又はらい予防法によるこれに相当する援助を受けるとき。
三 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)に定める障害者であつて、年間の所得が十三万円以下であるとき。
四 地方税法に定める寡婦であつて、年間の所得が十三万円以下であるとき。
五 その他保険料を納付することが著しく困難であると認められるとき。
(保険料の納期限)
第九十一条 一月、二月及び三月分の保険料はその年の四月末日までに、四月、五月及び六月分の保険料はその年の七月末日までに、七月、八月及び九月分の保険料はその年の十月末日までに、十月、十一月及び十二月分の保険料は翌年の一月末日までに、それぞれ納付しなければならない。
(保険料の納付方法)
第九十二条 保険料を納期限前に納付するには、厚生省令で定める場合を除いて、国民年金印紙による納付の方法によらなければならない。四月から十二月までの各月の保険料を納期限の経過後翌年の四月三十日までの間に納付するときも、同様とする。
2 一月から三月までの各月の保険料をその年の五月一日以後に、四月から十二月までの各月の保険料を翌年の五月一日以後に納付するには、国民年金印紙による納付の方法によることができない。
3 国民年金印紙による保険料の納付は、国民年金手帳の所定欄に国民年金印紙をはりつけ、納期限までにこれを都道府県知事又は市町村長に提出し、その検認を受けることによつて行うものとする。
(保険料の前納)
第九十三条 被保険者は、都道府県知事の承認を受け、将来の一定期間の保険料を前納することができる。
2 保険料の前納は、国民年金手帳の所定欄に国民年金印紙をはりつけ、これを市町村長に提出し、その検認を受けることによつても、行うことができる。この場合においては、都道府県知事の承認を受けることを要しない。
3 第一項の場合において前納すべき額は、国民年金印紙によつて納付する場合を除き、当該期間の各月の保険料の額から政令で定める額を控除した額とする。
4 第一項の規定により前納された保険料について保険料納付済期間を計算する場合においては、前納に係る期間の各月が経過した際に、それぞれその月の保険料が納付されたものとみなす。
5 前四項に定めるもののほか、保険料の前納手続、前納された保険料の還付、前納された保険料に係る第八十五条第一項の規定による国庫負担額の算定方法その他保険料の前納について必要な事項は、政令で定める。
(保険料の追納)
第九十四条 被保険者は、都道府県知事の承認を受け、第八十九条又は第九十条の規定により納付することを要しないものとされた保険料(承認の日の属する月前十年以内の期間に係るものに限る。)の全部又は一部につき、これに相当する額を追納することができる。この場合において、その一部につき追納をするときは、追納は、さきに経過した月の分から順次に行うものとする。
2 前項の規定により追納が行われたときは、追納が行われた日に、追納に係る月の保険料が納付されたものとみなす。
3 前二項に定めるもののほか、保険料の追納手続その他保険料の追納について必要な事項は、政令で定める。
(徴収)
第九十五条 保険料その他この法律の規定による徴収金は、この法律に別段の規定があるものを除くほか、国税徴収の例によつて徴収する。
(督促及び滞納処分)
第九十六条 保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生大臣は、期限を指定して、これを督促することができる。
2 前項の規定によつて督促をしようとするときは、厚生大臣は、納付義務者に対して、督促状を発する。
3 前項の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して十日以上を経過した日でなければならない。
4 厚生大臣は、第一項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないときは、国税滞納処分の例によつてこれを処分し、又は滞納者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができる。
5 市町村は、前項の規定による処分の請求を受けたときは、市町村税の例によつてこれを処分することができる。この場合においては、厚生大臣は、徴収金の百分の四に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。
6 前二項の規定による処分によつて受け入れた金額を保険料に充当する場合においては、さきに経過した月の保険料から順次これに充当し、一箇月の保険料の額に満たない端数は、納付義務者に交付するものとする。
(延滞金)
第九十七条 前条第一項の規定によつて督促をしたときは、厚生大臣は、徴収金額百円につき一日六銭の割合で、納期限の翌日から徴収金完納又は財産差押の日の前日までの日数によつて計算した延滞金を徴収する。ただし、徴収金額が五百円未満であるとき、又は滞納につきやむを得ない事情があると認められるときは、この限りでない。
2 前項の場合において、徴収金額の一部につき納付があつたときは、その納付の日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる徴収金は、その納付のあつた徴収金額を控除した金額による。
3 延滞金を計算するに当り、徴収金額に五百円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
4 督促状に指定した期限までに徴収金を完納したとき、又は前三項の規定によつて計算した金額が五十円未満であるときは、延滞金は、徴収しない。
5 延滞金の金額に五十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
(先取特権)
第九十八条 保険料その他この法律の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
(保険料の還付)
第九十九条 保険料免除期間又は保険料免除期間と保険料納付済期間とを合算した期間が三十年をこえ、かつ、保険料納付済期間が三年以上である者が六十五歳に達したときは、百五十円にその者の保険料納付済期間の月数を乗じて得た額から五千四百円を控除した額をその者に還付する。ただし、その者が、第二十六条各号のいずれかに該当するとき、又は障害年金若しくは母子年金の受給権者であるとき、若しくは受給権者であつたことがあるときは、この限りでない。
2 第二十三条の規定は前項の保険料の還付について、第七十八条の規定は同項の保険料免除期間又は保険料免除期間と保険料納付済期間とを合算した期間について、それぞれ準用する。
(附加保険料)
第百条 被保険者は、別に法律の定めるところにより、この法律による保険料にあわせて、附加保険料を払い込むことができる。
2 前項の附加保険料を払い込んだ者に対しては、老齢年金にあわせて附加年金を支払い、又はその者が年金給付を受けることができなかつた場合に脱退手当金を支払うものとする。
第七章 審査の請求
第百一条 年金給付に関する処分又は保険料その他この法律の規定による徴収金の賦課、徴収若しくは第九十六条の規定による処分に不服がある者は、社会保険審査官に審査を講求し、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に再審査を請求することができる。
2 審査の請求をした日から六十日以内に決定がないときは、請求者は、社会保険審査官が審査の請求を棄却したものとみなして、社会保険審査会に再審査を請求することができる。
3 第一項の審査及び前二項の再審査の請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。
第八章 雑則
(時効)
第百二条 年金給付を受ける権利は、その支給事由が生じた日(第八十三条第二項の規定に該当する場合においては、その権利につき裁定の請求をすることができることとなつた日)から五年を経過したときは、時効によつて、消滅する。
2 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利(第九十九条の規定による還付金を受ける権利を含む。)は、二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
3 前二項の時効の中断、停止その他の事項に関しては、民法の時効に関する規定を準用する。ただし、保険料その他この法律の規定による徴収金についての第九十六条第一項の規定による督促は、民法第百五十三条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。
4 保険料その他この法律の規定による徴収金については、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第三十二条の規定を適用しない。
(期間の計算)
第百三条 この法律又はこの法律に基く命令に規定する期間の計算については、この法律に別段の規定がある場合を除くほか、民法の期間に関する規定を準用する。
(戸籍事項の無料証明)
第百四条 市町村長(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市においては、区長とする。)は、厚生大臣若しくは都道府県知事又は被保険者、被保険者であつた者若しくは受給権者に対して、当該市町村の条例の定めるところにより、被保険者、被保険者があつた者若しくは受給権者又は母子年金の支給若しくはその額の加算の要件に該当する子の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。
(届出等)
第百五条 被保険者は、厚生省令の定めるところにより、第十二条第一項に規定する事項を除くほか、厚生省令の定める事項を都道府県知事又は市町村長に届け出なければならない。
2 第十二条第二項及び第三項の規定は、前項の届出について準用する。
3 受給権者は、厚生省令の定めるところにより、厚生大臣又は都道府県知事に対し、厚生省令の定める事項を届け出、かつ、厚生省令の定める書類その他の物件を提出しなければならない。
4 被保険者又は受給権者が死亡したときは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の規定による死亡の届出義務者は、厚生省令の定めるところにより、その旨を厚生大臣、都道府県知事又は市町村長に届け出なければならない。
(被保険者に関する調査)
第百六条 厚生大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、被保険者に対し、国民年金手帳の提出を命じ、又は被保険者の資格若しくは保険料に関する処分に関し、当該職員をして被保険者に質問させることができる。
2 前項の規定によつて質問を行う当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
(受給権者に関する調査)
第百七条 厚生大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、受給権者に対して、その者の身分関係、廃疾の状態その他受給権の消滅、年金額の改定若しくは支給の停止に係る事項に関する書類その他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの事項に関し受給権者に質問させることができる。
2 厚生大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、障害年金の受給権者、別表に定める程度の廃疾の状態にあることにより遺児年金の受給権を有し、若しくは母子年金が支給され、若しくはその額が加算されている子又は疾病、負傷若しくは廃疾の状態にあることにより第六十七条ただし書の規定によつて母子福祉年金の支給が停止されていない子に対して、その指定する医師若しくは歯科医師の診断を受けるべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの者の廃疾、疾病若しくは負傷の状態を診断させることができる。
3 前条第二項の規定は、前二項の規定による質問又は診断について準用する。
(資料の堤供等)
第百八条 厚生大臣又は都道府県知事は、年金給付又は保険料に関する処分に関し必要があると認めるときは、被保険者、受給権者又は世帯主若しくは被保険者の配偶者の資産若しくは収入の状況又は公的年金各法に基く年金たる給付の支給状況につき、郵便局その他の官公署、被用者年金各法に定める組合(厚生年金保険法附則第二十八条に規定する共済組合を含む。以下同じ。)若しくは国家公務員共済組合連合会に対し必要な書類の閲覧若しくは資料の堤供を求め、又は銀行、信託会社その他の機関若しくは被保険者の雇用主その他の関係人に報告を求めることができる。
(年金給付の支払)
第百九条 年金給付の支払に関する事務は、逓信大臣が取り扱うものとする。
2 厚生大臣は、前項の支払に必要な資金を逓信大臣の指定する出納官吏に交付しなければならない。
(実施命令)
第百十条 この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、省令で定める。
第九章 罰則
第百十一条 偽りその他不正な手段により年金給付を受けた者は、三年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。
第百十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 第十二条第一項の規定に違反して虚偽の届出をした被保険者
二 第十二条第二項の規定により届出をする場合に虚偽の届出をした世帯主
三 第百六条第一項の規定により国民年金手帳の提出を命ぜられてこれに従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をした被保険者
第百十三条 第十二条第一項の規定に違反して届出をしなかつた被保険者は、五千円以下の罰金に処する。ただし、同条第二項の規定によつて世帯主から届出がなされたときは、この限りでない。
第百十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、一万円以下の過料に処する。
一 第百五条第一項の規定に違反して届出をしなかつた被保険者。ただし、同条第二項において準用する第十二条第二項の規定により世帯主から届出がなされたときを除く。
二 第百五条第一項の規定に違反して虚偽の届出をした被保険者
三 第百五条第二項において準用する第十二条第二項の規定により届出をする場合に虚偽の届出をした世帯主
四 第百五条第四項の規定に違反して届出をしなかつた戸籍法の規定による死亡の届出義務者
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和三十四年十一月一日から施行する。ただし、第二章、第七十四条、第七十五条及び附則第四条から附則第八条までの規定は昭和三十五年十月一日から、第七十六条から第七十九条まで、第六章中保険料に関する部分及び附則第二条の規定は昭和三十六年四月一日から、附則第三条第一項の規定は公布の日から施行する。
(被保険者に関する経過措置)
第二条 昭和三十五年十月一日から昭和三十六年三月三十一日までの間において被保険者であつた者について、年金給付に関する規定を適用する場合においては、その者は、その期間、被保険者でなかつたものとみなす。
(福祉年金の裁定の請求等に関する経過措置)
第三条 第八十条第一項、第八十一条第一項又は第八十二条第一項の規定に該当すべき者は、昭和三十四年十一月一日前においても、同日にこれらの規定に該当することを条件として、当該福祉年金について受給権の裁定の請求の手続をとることができる。
2 第八十条第一項、第八十一条第一項又は第八十二条第一項の規定による福祉年金の支給は、昭和三十四年十一月から始めるものとする。
3 昭和三十五年における福祉年金の支払については、第六十八条中「一月」とあるのは、「三月」と読み替えるものとする。
(被用者年金各法の被保険者等に関する当分の間の取扱)
第四条 第七条第二項各号に掲げる者に関しては、同条第三項に規定する法律が制定施行されるまでの間、次条から附則第九条までに定めるところによる。
第五条 第七条第一項に規定する者であつて、同条第二項各号のいずれかに該当するものが、同項各号のいずれにも該当しなくなつたときは、その日に被保険者の資格を取得するものとし、また、被保険者が同項各号のいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至つた日に被保険者の資格を喪失するものとする。ただし、その者が明治四十四年四月一日以後に生まれた者(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえない者)である場合に限る。
第六条 明治四十四年四月一日以後に生まれた者(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえない者)であつて、第七条第二項に該当するものは、同項の規定にかかわらず、都道府県知事の承認を受けて、被保険者となることができる。ただし、同項第一号から第三号までのいずれかに該当する者及び同条第一項に該当しない者は、この限りでない。
2 前項の規定による承認を受けた者は、その承認を受けた日に被保険者の資格を取得するものとする。
3 第十三条第一項の規定は、第一項の規定による承認があつた場合に準用する。
4 第一項の規定による被保険者は、いつでも、都道府県知事に申し出て、被保険者の資格を喪失することができる。
5 第一項の規定による被保険者は、第九条各号及び次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(第九条第四号又は次の第一号若しくは第二号に該当するに至つたときは、その日)に被保険者の資格を喪失する。
一 第七条第二項第一号から第三号までのいずれかに該当するに至つたとき。
二 第七条第二項第四号から第七号までのいずれにも該当しなくなつたとき。
三 前項の申出が受理されたとき。
四 保険料を滞納し、第九十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないとき。
6 第一項の規定による被保険者については、第八十九条及び第九十条の規定を適用しない。
第七条 明治三十九年四月一日から明治四十四年三月三十一日までの間に生まれた者(昭和三十六年四月一日において五十歳をこえ、五十五歳をこえない者)であつて、第七条第二項に該当するものは、同項の規定にかかわらず、都道府県知事に申し出て、被保険者となることができる。ただし、同項第一号から第三号までのいずれかに該当する者及び同条第一項に該当しない者は、この限りでない。
2 第七十五条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による被保険者について準用する。
3 第七十五条第一項又はこの条第一項の規定による被保険者が、第七条第二項第一号から第三号までのいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至つた日に被保険者の資格を喪失する。
第八条 厚生大臣、都道府県知事又は市町村長は、被保険者の資格に関し必要があるときは、被用者年金各法に定める組合その他の管掌機関(恩給に関する裁定庁、本属庁及び支給庁並びに地方公務員の退職年金に関するこれらに相当する機関を含む。)に対し、必要な資料の提供を求めることができる。
第九条 疾病にかかり、又は負傷し、昭和三十四年十一月一日以後におけるその初診日において第七条第二項第一号から第三号までのいずれかに該当した者の当該傷病による廃疾については、第五十七条第一項並びに第八十一条第二項及び第三項の規定を適用しない。
(印紙税法の一部改正)
第十条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号ノ十ノ八の次に次の一号を加える。
六ノ十ノ九 国民年金ニ関スル証書、帳簿
(所得税法の一部改正)
第十一条 所得税法の一部を次のように改正する。
第八条第六項第七号の二の次に次の一号を加える。
七の三 国民年金法の規定により被保険者として負担する国民年金の保険料
第九条第二項中「第六号の五」の下に「、第七号の三」を加える。
(地方財政法の一部改正)
第十二条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第十条の四第七号中「厚生年金保険」の下に「、国民年金」を加える。
(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律の一部改正)
第十三条 国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(昭和二十五年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第七条第二号中「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第八十七条第一項」の下に「、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第九十七条第一項」を加える。
(地方税法の一部改正)
第十四条 地方税法の一部を次のように改正する。
第二百六十二条第三号の次に次の一号を加える。
三の二 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の規定によつて年金給付として支給を受ける金銭
第六百七十二条第三号の次に次の一号を加える。
三の二 国民年金法の規定によつて年金給付として支給を受ける金銭
(社会保険審査官及び社会保険審査会法の一部改正)
第十五条 社会保険審査官及び社会保険審査会法(昭和二十八年法律第二百六号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第九十条」の下に「並びに国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第百一条」を加える。
第三条中「又は厚生年金保険法第九十条」を「若しくは厚生年金保険法第九十条又は国民年金法第百一条」に改め、同条第三号中「保険給付」の下に「(国民年金法による年金給付を含む。次条第一項において同じ。)」を加える。
第九条第一項中「保険者」の下に「(国民年金事業の管掌者を含む。以下同じ。)」を加える。
第十九条中「及び厚生年金保険法第九十条」を「、厚生年金保険法第九十条及び国民年金法第百一条」に改める。
第三十二条第一項中「又は厚生年金保険法第九十条第一項」を「若しくは厚生年金保険法第九十条第一項又は国民年金法第百一条第一項」に改め、同条第二項中「又は厚生年金保険法第九十条第二項」を「若しくは厚生年金保険法第九十条第二項又は国民年金法第百一条第二項」に改め、同条第六項中「厚生年金保険法第八十六条第五項」の下に「並びに国民年金法第九十六条第四項」を加える。
別表
障害の程度
障害の状態
一級
両眼の視力の和が〇・〇四以下のもの
両耳の聴力損失が九〇デシベル以上のもの
両上肢の機能に著しい障害を有するもの
両上肢のすべての指を欠くもの
両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
両下肢の機能に著しい障害を有するもの
両下肢を足関節以上で欠くもの
体幹の機能にすわつていることができない程度又は立ち上ることができない程度の障害を有するもの
前各号に掲げるもののほか、これらと同程度以上と認められる身体障害であつて、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(内科的疾患に基く身体障害であつて、前各号のいずれにも該当しないものを除く。)
二級
両眼の視力の和が〇・〇五以上〇・〇八以下のもの
両耳の聴力損失が八〇デシベル以上のもの
平衡機能に著しい障害を有するもの
咀嚼の機能を欠くもの
音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの
両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの
一上肢の機能に著しい障害を有するもの
一上肢のすベての指を欠くもの
一〇
一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
一一
両下肢のすベての指を欠くもの
一二
一下肢の機能に著しい障害を有するもの
一三
一下肢を足関節以上で欠くもの
一四
体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
一五
前各号に掲げるもののほか、これらと同程度以上と認められる身体障害であつて、日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(内科的疾患に基く身体障害であつて、前各号のいずれにも該当しないものを除く。)
備考 視力の測定は、万国式試視力表によるものとし、屈折異常があるものについては、矯正視力によつて測定する。
内閣総理大臣 岸信介
大蔵大臣 佐藤栄作
厚生大臣 坂田道太
郵政大臣 寺尾豊