附 則
1 この法律は、昭和二十八年八月一日から施行する。
(未復員者給与法等の廃止)
2 未復員者給与法(昭和二十二年法律第百八十二号。以下「旧法」という。)及び特別未帰還者給与法(昭和二十三年法律第二百七十九号)は、廃止する。
(一般職の職員の給与に関する法律の一部改正)
3 一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号。以下「公務員給与法」という。)の一部を次のように改正する。
附則第三項に次の但書を加える。
但し、その者が帰還するまでの間は、給与を支給しない。
(申請主義の特例)
4 この法律の施行の際、現に旧法(特別未帰還者給与法第二条において準用する場合を含む。以下同じ。)又は従前の公務員給与法附則第三項(他の法令において準用し、又は例による場合を含む。以下同じ。)の規定により、俸給又は扶養手当(以下単に「俸給」という。)の支払を受けている者で、この法律の規定により留守家族手当の支給を受けることができるものに対しては、第五条第二項の申請を要しないで、昭和二十八年八月分から留守家族手当を支給する。
(留守家族手当の始期の特例)
5 この法律の施行後昭和二十八年九月三十日までの間に、留守家族が第七条の規定に該当するに至つた場合において、当該留守家族が、同年十月三十一日までの間に、留守家族手当の支給の申請をしたときは、当該留守家族に対する留守家族手当の支給の始期は、第十一条第一項の規定にかかわらず、当該留守家族が第七条の規定に該当するに至つた日の属する月の翌月とする。
6 この法律の施行後本邦に帰つたことにより留守家族となつた者が、本邦に帰つた日から起算して二箇月以内に第七条の規定に該当するに至つた場合において、本邦に帰つた日から起算して三箇月以内に留守家族手当の支給の申請をしたときも、前項と同様とする。
(順位の特例)
7 この法律の施行の際、現に旧法又は従前の公務員給与法附則第三項の規定により俸給の支払を受けている者が、第七条の規定に該当する留守家族である場合には、その者が後順位者である場合においても、その者を先順位者とみなして、その者及び第六条第一項の規定によりその者と同順位にある者に、留守家族手当を支給する。
8 附則第四項の規定は、前項の者について準用する。
(特別手当)
9 この法律の施行の際、現に旧法又は従前の公務員給与法附則第三項の規定により俸給の支払を受けている者が、この法律による留守家族手当の支給を受けることができない場合には、その者及び従前の例によりその者と同順位にある者に対して、昭和二十八年八月以降、毎月、その俸給の額に相当する額の特別手当を支給する。但し、当該未帰還者につき、他にこの法律による留守家族手当の支給を受けることができる留守家族がある場合には、留守家族手当の支給を受けることができる留守家族がなくなるまでの間、特別手当を支給しない。
10 この法律の施行後留守家族手当の支給を受けることができる留守家族がなくなつた場合において、他に従前の例による扶養親族たる資格を有する者(この法律の施行後その資格を有するに至つた者を除く。)があるときは、その者に対して、その日の属する月の翌月以降、毎月、従前の例により計算した俸給の額に相当する額の特別手当を支給する。
11 前項の場合において、従前の例による扶養親族たる資格を有する者が二人以上であるときは、特別手当は、同項の規定にかかわらず、従前の例による順位により先順位にある者に支給するものとし、同順位者が数人あるときは、その全員に対して支給するものとする。
12 従前の扶養手当の計算の基礎となつた扶養親族のうち、この法律の施行後死亡し、又は従前の例による扶養親族たる資格を欠く者があるに至つたときは、その日の属する月の翌月から特別手当の額を改定するものとし、改定後の額については、従前の例による。
13 第十三条及び第十四条の規定は、特別手当について準用する。
14 特別手当は、当該未帰還者につき、この法律の規定による留守家族手当の支給を受けることができる留守家族があるに至つた場合には、その日の属する月の翌月以降、留守家族手当の支給を受けることができる留守家族がなくなるまでの間、支給しない。
(額の特例)
15 附則第九項但書又は前項に規定する場合に支給する留守家族手当の額は、第八条の規定にかかわらず、同条に規定する額に、従前の例による扶養親族たる資格を有する者(この法律の施行後その資格を有するに至つた者及び第七条の規定に該当する者を除く。)一人につき四百円を加えた額とする。
16 前項の規定は、この法律の施行の際現に旧法又は従前の公務員給与法附則第三項の規定により俸給の支払を受けている者に支給する留守家族手当の額について準用する。
(差額支給)
17 従前の公務員給与法附則第三項の規定による未帰還職員につき、この法律の規定により支給する留守家族手当について、附則第十五項(前項において準用する場合を含む。)又は第八条に規定する額が、左に掲げる額より少額であるときは、その差額を留守家族手当に加えて支給する。
一 第二号に規定する留守家族手当以外の留守家族手当については、この法律の施行の際現に旧法及び従前の公務員給与法附則第三項の規定によつて支給している俸給の額
二 附則第十四項に規定する場合に支給する留守家族手当については、その支給をはじめた際支給していた特別手当の額
18 前項各号に規定する額は、これらの額の計算の基礎となつた扶養親族のうち、留守家族手当の支給開始後死亡し、又は従前の例による扶養親族たる資格を欠く者があるに至つたときは、その日の属する月の翌月から減額するものとし、減ずべき額については、従前の例による。
(扶養手当の額の改訂)
19 昭和二十八年四月から七月までの間において、旧法の規定により扶養手当の支払を受けた者(未帰還職員に関し、従前の公務員給与法附則第三項の規定により俸給の支払を受けていた者を除く。)に対しては、その者に支払われた同年四月分から七月分までの扶養手当を左の各号に定めるところにより算定した場合の総額からこれらの月分としてすでに支払つた扶養手当の総額を控除した額をとりまとめて支給するものとする。
一 扶養手当の支給の原因となつた者のうちに妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)及び子があるときは、旧法の規定による扶養手当の月額に三百円を加えた額を扶養手当の月額とする。
二 前号の場合を除き、扶養手当の支給の原因となつた者のうちに妻又は子があるときは、旧法の規定による扶養手当の月額に五百円を加えた額を扶養手当の月額とする。
三 前二号の場合を除き、扶養手当の支給の原因となつた者のうちに第七条の規定に該当する留守家族に相当する者があるときは、旧法の規定による扶養手当の月額に七百円を加えた額を扶養手当の月額とする。
(未支給の給与)
20 旧法又は従前の公務員給与法附則第三項の規定による給与であつて、この法律の施行の際まだ支給していないものについては、なお、従前の例による。
(俸給の返還をさせない場合)
21 旧法又は従前の公務員給与法附則第三項の規定により、俸給の支給を受けていた者が、すでに死亡し、又は未復員者、特別未帰還者若しくは未帰還職員でなくなつていたことが判明した場合には、その者が死亡し、又は未復員者、特別未帰還者若しくは未帰還職員でなくなつた日以降の分として、その事実が判明した日までの間に、すでに支給された俸給は、国庫に返還させないことができる。
(療養の給付)
22 第十八条第一項の規定は、この法律の施行前に帰還した未帰還者についても、適用する。但し、その者が療養の給付を受けることができる期間については、従前の例による。
23 この法律の施行前に、旧法第八条の二第一項若しくは未復員者給与法の一部を改正する法律(昭和二十三年法律第二百七十七号。以下「旧法中改正法」という。)附則第二条第一項又は旧法第八条の二第二項(旧法中改正法附則第二条第二項において準用する場合を含む。)の規定によつて、厚生大臣が療養を要するものと認めた負傷又は疾病については、それぞれ第十八条第二項又は同条第四項において準用する同条第二項の規定による厚生大臣の認定があつたものとみなす。
(指定医療機関)
24 この法律の施行前に、旧法の規定により厚生大臣の指定した医療機関は、この法律の規定により厚生大臣が指定した医療機関とみなす。
(指定医療機関以外の医療機関から受けた療養)
25 第二十四条第一項の規定は、この法律の施行前に指定医療機関以外の医療機関から療養を受けた者についても、適用する。
(再給付の禁止)
26 この法律の施行前、他の法令の規定によりこの法律による障害一時金に相当する給付を受けた者には、同一の事由について、この法律による療養を行わず、又は障害一時金を支給しない。但し、厚生大臣が必要があると認める場合においては、療養の給付を行うことができる。
(実績の保障)
27 この法律の施行の際、現に旧法の規定による給与の支給を受けている者で、第二条に規定する未帰還者でないものは、当分の間、第十六条第一項に規定する未帰還者とみなして、その者及びその留守家族に対し、この法律による援護を行うことができる。
28 前項の者が、本邦以外の地域から本邦に入国したとき(日本国との平和条約第十一条に掲げる裁判により本邦以外の地域において拘禁され、拘禁のまま本邦に入国したときを除く。)は、この法律の適用については、その者が帰還したものとみなす。前項に掲げる者で、日本国との平和条約第十一条に掲げる裁判により本邦において拘禁されていたものが、拘禁を解かれたときも、同様とする。
(恩給法との調整)
29 未帰還者が恩給法の一部を改正する法律(昭和二十八年法律第百五十五号)附則第三十条第一項の規定により退職したものとみなされ、同条第二項但書の規定により普通恩給の給与が行われる場合において、当該未帰還者に関し、その退職したものとみなされた日の属する月の翌月分以降、当該普通恩給を受ける権利につき裁定のあつた日の属する月までの分として、留守家族手当又は特別手当が支給されたときは、その支給された額は、政令で定めるところにより、当該普通恩給の内払とみなす。
(陸軍刑法を廃止する等の政令第七条の改正)
30
陸軍刑法を廃止する等の政令(昭和二十二年政令第五十二号)第七条を次のように改める。
第七条 もとの陸海軍に属していた者であつて、まだ復員していないものは、復員するまでの間、なお、従前の未復員者としての身分を有するものとする。
2 前項の未復員者が帰還し、又は自己の意思により帰還しないと認められるときは、厚生大臣は、その者の復員に関して必要な手続をとらなければならない。
(厚生省設置法の一部改正)
31 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第四条第二項第二号中「戦没者遺族等」を「戦没者遺族、未帰還者留守家族等」に改める。
第五条第六十四号を次のように改める。
六十四 未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)の定めるところにより、留守家族手当の額を改定し、及び療養の給付の必要の有無を認定すること。
第十四条の二第八号中「前三号」を「前二号」に改め、同条中第七号を削り、第六号を第七号とし、第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。
第三十九条の五第一項中「第十四条の二第五号、第六号及び第八号」を「第十四条の二第六号から第八号まで」に改める。
第三十九条の六第二項の表中「広島県船越町」を「広島市」に改める。
第三十九条の八中「第十四条の二第五号」を「第十四条の二第六号」に改める。
(引揚援護庁設置令の一部改正)
32 引揚援護庁設置令(昭和二十三年政令第百二十四号)の一部を次のように改正する。
第二条第二号を次のように改める。
二 戦傷病者、戦没者遺族等の援護及び未帰還者留守家族等の援護に関する事務を行うこと
第五条に次の二号を加える。
八 未帰還者留守家族等の援護に関する調査企画の事務を行うこと
九 未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)に基く援護の実施に関する事務を行うこと
(結核予防法の一部改正)
33 結核予防法(昭和二十六年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
第三十四条第一項但書中「未復員者給与法(昭和二十二年法律第百八十二号)又は特別未帰還者給与法(昭和二十三年法律第二百七十九号)」を「未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)」に改める。
第三十五条但書中「未復員者給与法又は特別未帰還者給与法」を「未帰還者留守家族等援護法」に改める。
(社会保険診療報酬支払基金法の一部改正)
34 社会保険診療報酬支払基金法の一部を次のように改正する。
第十三条第二項中「又は戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)第十九条第三項」を「、戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)第十九条第三項又は未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)第二十二条第三項」に改める。
(地方自治法の一部改正)
35 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
附則第十条第一項中「、その家族等に対する俸給その他の給与に関する事務」及び「並びに特別未帰還者給与法(昭和二十三年法律第二百七十九号)の施行に関する事務」を削る。
(地方税法の一部改正)
36 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二百六十二条第六号を次のように改める。
六 未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)の規定により支給を受ける金品
第六百七十二条第六号を次のように改める。
六 未帰還者留守家族等援護法の規定により支給を受ける金品
第七百四十四条第十一項及び第七百七十七条第四項中「特別未帰還者給与法」を「特別未帰還者給与法、未帰還者留守家族等援護法」に改める。
(国家公務員災害補償法の一部改正)
37 国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「、未復員者給与法(昭和二十二年法律第百八十二号)に規定する未復員者である職員及び特別未帰還者給与法(昭和二十三年法律第二百七十九号)に規定する特別未帰還者である職員」を「及び未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)第十六条第一項に規定する未帰還者である職員」に改める。
(戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正)
38 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を次のように改正する。
第七条第一項第二号中「未復員者給与法(昭和二十二年法律第百八十二号)第八条の二又は未復員者給与法の一部を改正する法律(昭和二十三年法律第二百七十七号)附則第二条」を「未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)第十八条」に改める。
第十二条中「又は未復員者給与法」を「若しくは旧未復員者給与法(昭和二十二年法律第百八十二号)又は未帰還者留守家族等援護法」に改める。
第二十九条の次に次の一条を加える。
(遺族年金支給の特例)
第二十九条の二 軍人軍属又は軍人軍属であつた者の死亡の事実が判明しなかつたため、その親族に対して未帰還者留守家族等援護法第五条の規定による留守家族手当又は同法附則第九項若しくは第十項の規定による特別手当が支給されていた場合においては、当該軍人軍属又は軍人軍属であつた者の遺族に支給すべき遺族年金は、当該留守家族手当又は特別手当が支給されていた期間に係る分は、支給しない。
第三十四条第三項中「特別未帰還者給与法」を「旧特別未帰還者給与法」に改める。
(戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正に関する経過規定)
39 昭和二十七年四月一日以後この法律の施行前に旧法第八条の二又は旧法中改正法附則第二条の規定により療養を受けることができた者であつて、同期間内に負傷又は疾病がなおつたもの又はこれらの規定により療養を受けることができる期間を経過したものに関する不具廃疾の程度の認定及びその者に支給する障害年金の始期については、従前の例による。