漁業生産調整組合法
法令番号: 法律第百二十八号
公布年月日: 昭和36年6月13日
法令の形式: 法律
漁業生産調整組合法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十六年六月十三日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百二十八号
漁業生産調整組合法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
漁業生産調整組合
第一節
総則(第三条―第九条)
第二節
事業(第十条―第二十一条)
第三節
組合員(第二十二条―第二十九条)
第四節
設立(第三十条―第三十六条)
第五節
管理(第三十七条―第六十一条)
第六節
解散及び清算(第六十二条―第六十四条)
第七節
監督(第六十五条―第六十八条)
第三章
漁業生産活動の規制に関する命令(第六十九条―第七十八条)
第四章
雑則(第七十九条―第八十五条)
第五章
罰則(第八十六条―第九十六条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、特定の漁業で、その漁業を営む者のうちに占める中小漁業者の数の割合がきわめて高く、かつ、その漁業の性質上その価格の変動が著しい多獲性の水産動物を目的とするものについて、その漁業を営む中小漁業者等が自主的に漁業生産活動を調整する組織を設けることができるようにするとともに、その自主的な調整だけでは十分でないと認められる場合に国がこれを補完する措置を講ずることができるようにすることにより、その中小漁業者等の経営の安定を図り、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「指定漁業」とは、一定の海域において多獲性の水産動物の採捕を目的とする漁業で、次の各号の要件のすべてを備え、かつ、時期的に過度の漁獲が行なわれることによりしばしばその漁獲物の価格が著しく低落し、その結果その漁業を営む中小漁業者等の経営の安定が阻害され、又は阻害されるおそれがあるものとして、政令で指定するものをいう。
一 その漁業を営む者の総数の三分の二以上が中小漁業者であること。
二 その漁業に係る漁業生産活動の相当部分が中小漁業者により行なわれていること。
2 この法律において「中小漁業者」とは、次の各号に掲げる者をいう。
一 漁業を営む個人
二 漁業を営む漁業協同組合
三 漁業生産組合
四 漁業を営む法人(前二号に掲げる者を除く。)で、その常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船(漁船法(昭和二十五年法律第百七十八号)第二条第一項(漁船の定義)に規定する漁船をいう。以下同じ。)の合計総トン数が千トン以下であるもの
第二章 漁業生産調整組合
第一節 総則
(法人格及び住所)
第三条 漁業生産調整組合(以下「組合」という。)は、法人とする。
2 組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(原則)
第四条 組合は、次の要件のすべてを備えなければならない。
一 営利を目的としないこと。
二 組合員が任意に加入し、又は脱退することができること。
三 組合員の議決権及び選挙権が平等であること。
(名称)
第五条 組合は、その名称中に漁業生産調整組合という文字を用いなければならない。
2 組合でない者は、その名称中に漁業生産調整組合という文字を用いてはならない。
(設立)
第六条 組合は、指定漁業ごとに、指定漁業を営む者が設立することができるものとする。
2 組合は、指定漁業ごとに一個とする。
第七条 組合は、その組合員たる資格を有する者の三分の二以上が組合員となるとともに、その組合員たる資格を有する者の三分の二以上が中小漁業者であり、かつ、総組合員の三分の二以上が中小漁業者であるものでなければ、設立することができない。
(組合員たる資格)
第八条 組合員たる資格を有する者は、定款で定める漁船を使用して行なう指定漁業(以下「資格漁業」という。)を営む者とする。
(登記)
第九条 組合は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
第二節 事業
(事業)
第十条 組合は、次の事業の全部又は一部を行なうものとする。
一 組合員が行なう資格漁業に係る水産動物の採捕若しくはその採捕に係る水産動物の運搬に関する制限又はその採捕に係る水産動物の陸揚げに関する制限(次号の農林省令で定める事項を内容とするものを除く。)
二 前号に掲げる制限を実施した後においても、その資格漁業に係る指定漁業につき第二条第一項の規定による指定をする根拠となつた同項の事態(時期的に過度の漁獲が行なわれることによりしばしばその漁獲物の価格が著しく低落し、その結果その漁業を営む中小漁業者等の経営の安定が阻害され、又は阻害されるおそれがある事態をいう。以下「第二条第一項の事態」という。)を克服することが著しく困難な場合におけるその組合員の採捕に係る水産動物の陸揚げに関する制限で、農林省令で定める事項を内容とするもの。ただし、前号に掲げる制限とともにする場合に限る。
三 前二号に掲げる制限に附帯する事業
2 組合は、前項の事業のほか、組合員に対し資格漁業に関する情報を提供する事業を行なうことができる。
3 組合は、組合員のために、第二条第一項の事態を克服するためにする組合協約を締結することができる。
(調整規程の認可)
第十一条 組合は、その実施しようとする前条第一項の事業(以下「調整事業」という。)に関し次の事項を定めた規程(以下「調整規程」という。)を設定し、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
一 前条第一項第一号又は第二号に掲げる制限の種類及び方法並びにその制限を行なう期間
二 前号の制限を実施するための検査の方法
三 手数料又は過怠金に関する事項
第十二条 農林大臣は、前条の認可の申請に係る調整規程又はその変更が次の各号に適合すると認めるときでなければ、同条の認可をしてはならない。
一 第二条第一項の事態を克服するため必要な最少限度をこえないこと。
二 不当に差別的でないこと。
三 一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。
(調整規程の変更命令及び認可の取消し)
第十三条 農林大臣は、調整規程の内容が前条各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、その組合に対し、その調整規程を変更すべきことを命じ、又はその認可を取り消さなければならない。
(調整規程の廃止の届出)
第十四条 組合は、調整規程を廃止したときは、遅滞なく、その旨を農林大臣に届け出なければならない。
(調整規程の設定等の議決)
第十五条 調整規程の設定、変更及び廃止は、総会の議決を経なければならない。
2 前項の議決は、総組合員の二分の一以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数をもつてしなければならない。
3 調整規程の設定は、第一項の規定にかかわらず、創立総会の議決によつてすることができる。
(過怠金)
第十六条 組合は、調整規程で定めるところにより、調整規程に違反した組合員に対し、過怠金を課することができる。
(検査員)
第十七条 組合は、定款で定めるところにより、調整規程の実施を検査するため、検査員を置くことができる。
(従業者に対する配慮)
第十八条 組合の組合員は、調整規程に従いその漁業生産活動を制限するに当たつては、その従業者に不利益を及ぼすことがないように努めなければならない。
(組合協約の交渉及び締結)
第十九条 次の各号の一に該当する者は、組合の代表者が、政令で定めるところにより、調整規程又はその案を示してその調整規程による調整事業に関し第十条第三項の組合協約を締結するため交渉をしたい旨を申し出たときは、正当な理由がない限りその交渉に応じなければならない。
一 組合の組合員と資格漁業に関し取引関係がある陸揚地水産物市場の卸売業者
二 組合の組合員と資格漁業に関し取引関係がある漁獲物運搬業者
三 組合の組合員たる資格を有する者で組合に加入していないもの
2 前項に規定する場合のほか、組合の組合員と資格漁業に関し取引関係がある事業者は、その取引条件について組合の代表者が政令で定めるところにより第十条第三項の組合協約を締結するため交渉をしたい旨を申し出たときは、誠意をもつてその交渉に応ずるものとする。
3 組合の代表者は、調整規程が設定され又は変更される前にその案に係る調整事業に関し第一項の規定による申出をしようとするときは、その申出に係る組合協約の内容及びその申出の相手方につき総会の承認を得なければならない。
4 農林大臣は、第一項の規定による申出が行なわれた場合において、その組合の組合員たる漁業者が営む資格漁業の経営の安定のため特に必要があると認めるときは、その組合又はその交渉の相手方に対し、組合協約の締結に関し必要な勧告をすることができる。
(組合協約の効力)
第二十条 第十条第三項の組合協約は、あらかじめ総会の承認を得て、同項の組合協約であることを明記した書面をもつてすることによつて、その効力を生ずる。
2 第十条第三項の組合協約は、直接に組合員に対してその効力を生ずる。
3 組合の組合員が締結する契約で、その内容が第十条第三項の組合協約に定める基準に違反するものについては、その基準に違反する契約の部分は、その基準によつて契約したものとみなす。
(組合協約の認可等)
第二十一条 組合が、その行なう調整事業に関し第十九条第一項第三号に掲げる者と締結する第十条第三項の組合協約は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 農林大臣は、前項の認可の申請に係る組合協約又はその変更が次の各号に適合すると認めるときでなければ、同項の認可をしてはならない。
一 第二条第一項の事態を克服するため必要な最少限度をこえないこと。
二 一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。
三 その組合協約又はその変更後の組合協約の定めによりその相手方が遵守すべきこととなる事項が組合員が調整規程の定めにより遵守すべき事項と同一であること。
3 第一項の組合協約については、第十三条及び第十四条の規定を準用する。この場合において、第十三条中「前条各号」とあるのは「第二十一条第二項各号」と読み替えるものとする。
第三節 組合員
(議決権及び選挙権)
第二十二条 組合員は、各一個の議決権並びに役員及び総代の選挙権を有する。
2 組合員は、定款で定めるところにより、第五十五条の規定によりあらかじめ通知のあつた事項につき、書面又は代理人をもつて、議決権又は選挙権を行なうことができる。この場合には、その組合員の親族若しくは使用人又は他の組合員でなければ、代理人となることができない。
3 前項の規定により議決権又は選挙権を行なう者は、出席者とみなす。
4 代理人は、六人以上の組合員を代理することができない。
5 代理人は、代理権を証する書面を組合に差し出さなければならない。
(経費の賦課)
第二十三条 組合は、定款で定めるところにより、組合員に経費を賦課することができる。
2 組合員は、前項の経費の支払いについて、相殺をもつて組合に対抗することができない。
(負担金)
第二十四条 組合は、定款で定めるところにより、魚価安定基金に対する出資の財源にあてるため、組合員から負担金を徴収することができる。
(手数料)
第二十五条 組合は、定款で定めるところにより、手数料を徴収することができる。
(加入)
第二十六条 組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、組合は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の組合員が加入の際につけられたよりも困難な条件をつけてはならない。
第二十七条 組合に加入しようとする者は、定款で定めるところにより加入につき組合の承諾を得た時に組合員となる。
(脱退)
第二十八条 組合員は、三十日前までに予告して脱退することができる。
2 前項の予告期間は、定款で延長することができる。ただし、その期間は、九十日をこえてはならない。
第二十九条 組合員は、次の原因によつて脱退する。
一 組合員たる資格の喪失
二 死亡又は解散
三 除名
2 除名は、次に掲げる組合員につき、総会の議決によつてすることができる。この場合には、組合は、その総会の会日の十日前までに、その組合員に対しその旨を通知し、かつ、総会において、弁明する機会を与えなければならない。
一 調整規程に違反し、その他組合の目的の遂行に反する行為をした組合員
二 経費の支払いその他組合に対する義務を怠つた組合員
三 その他定款で定める事項に該当する組合員
3 除名は、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもつてその組合員に対抗することができない。
第四節 設立
(発起人)
第三十条 組合を設立するには、その組合員になろうとする十人以上の中小漁業者が発起人となることを要する。
(創立総会)
第三十一条 発起人は、定款を作成し、これを会議の日時及び場所とともに公告して、創立総会を開かなければならない。
2 前項の公告は、会議開催日の二週間前までにしなければならない。
3 発起人が作成した定款の承認、事業計画の設定その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。
4 創立総会においては、前項の定款を修正することができる。ただし、組合員たる資格に関する規定については、この限りでない。
5 創立総会の議事は、組合員たる資格を有する者でその会日までに発起人に対して設立の同意を申し出たものの二分の一以上が出席して、その議決権の三分の二以上で決する。
6 創立総会については、第二十二条並びに商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百三十九条第五項、第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権)、第二百四十三条(総会の延期又は続行の決議)、第二百四十四条(総会の議事録)、第二百四十七条から第二百五十条まで、第二百五十二条及び第二百五十三条(総会の決議の取消し又は無効)の規定を準用する。この場合において、同法第二百四十三条中「第二百三十二条ノ規定ヲ適用セズ」とあるのは「漁業生産調整組合法第三十一条第一項ノ規定ニ依ル公告ハ之ヲ為スコトヲ要セズ」と、同法第二百四十四条第二項中「取締役」とあるのは「発起人」と、同法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「漁業生産調整組合法第三十一条第五項」と読み替えるものとする。
(設立の認可)
第三十二条 発起人は、創立総会の終了後遅滞なく、定款並びに事業計画、役員の氏名及び住所その他必要な事項を記載した書面を農林大臣に提出して、設立の認可を受けなければならない。
2 農林大臣は、前項の認可の申請が次の各号に適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。
一 第六条第一項の要件を備えており、かつ、当該指定漁業につき組合が設立されていないこと。
二 第七条の要件を備えていること。
三 設立の手続又は定款若しくは事業計画の内容が法令に違反していないこと。
四 組合員たる資格その他の構成がその事業を行なうのに適当であること。
(理事への事務の引継ぎ)
第三十三条 発起人は、前条第一項の認可を受けた後遅滞なく、その事務を理事に引き継がなければならない。
(成立の時期)
第三十四条 組合は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
(成立の届出)
第三十五条 組合は、成立の日から二週間以内に、農林大臣にその旨を届け出なければならない。
(商法の準用)
第三十六条 組合の設立については、商法第四百二十八条(株式会社の設立の無効)の規定を準用する。
第五節 管理
(定款)
第三十七条 組合の定款には、次の事項を記載しなければならない。
一 事業
二 名称
三 事務所の所在地
四 組合員たる資格に関する規定
五 組合員の加入及び脱退に関する規定
六 経費の分担に関する規定
七 役員の定数及びその選挙に関する規定
八 事業年度
九 公告の方法
2 組合の定款には、前項の事項のほか、組合の存立時期又は解散の原因を定めたときは、その時期又は原因を記載しなければならない。
(規約)
第三十八条 次の事項は、定款で定めなければならない事項を除いて、規約で定めることができる。
一 総会又は総代会に関する規定
二 業務の執行及び会計に関する規定
三 役員に関する規定
四 組合員に関する規定
五 その他必要な事項
(役員)
第三十九条 組合に、役員として理事及び監事を置く。
2 理事の定数は、三人以上とし、監事の定数は、一人以上とする。
3 役員は、定款で定めるところにより、総会において選挙する。ただし、設立当時の役員は、創立総会において選挙する。
4 理事の定数の少なくとも三分の二は、組合員(法人たる組合員を除き、組合員たる法人の業務を執行する役員を含む。)でなければならない。ただし、設立当時の理事の定数の少なくとも三分の二は、組合員になろうとする者(法人を除き、組合員になろうとする法人の業務を執行する役員を含む。)でなければならない。
5 理事又は監事のうち、その定数の三分の一をこえるものが欠けたときは、三月以内に補充しなければならない。
6 役員の選挙は、無記名投票によつて行なう。
7 投票は、一人につき一票とする。
8 役員は、第三項の規定にかかわらず、定款で定めるところにより、組合員が総会(設立当時の役員にあつては、創立総会)において選任することができる。
(役員の変更の届出)
第四十条 組合は、役員の氏名又は住所に変更があつたときは、その変更の日から二週間以内に、農林大臣にその旨を届け出なければならない。
(役員の任期)
第四十一条 役員の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
2 設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。ただし、その期間は、一年をこえてはならない。
(理事会)
第四十二条 組合の業務の執行は、理事会が決する。
第四十三条 理事会の議事は、理事の過半数が出席し、その過半数で決する。
2 組合は、定款で定めるところにより、理事が書面により理事会の議決に加わることができるものとすることができる。
(監事の兼職禁止)
第四十四条 監事は、理事又は組合の使用人と兼ねてはならない。
(理事の自己契約)
第四十五条 理事は、理事会の承認を受けた場合に限り、組合と契約することができる。この場合には、民法(明治二十九年法律第八十九号)第百八条(自己契約)の規定を適用しない。
(理事の責任)
第四十六条 理事がその任務を怠つたときは、その理事は、組合に対し連帯して損害賠償の責に任ずる。
2 理事がその職務を行なうにつき悪意又は重大な過失があつたときは、その理事は、第三者に対し連帯して損害賠償の責に任ずる。重要な事項につき第四十八条第一項に掲げる書類に虚偽の記載をし、又は虚偽の登記若しくは公告をしたときも、同様とする。
3 第一項の理事の責任については、商法第二百六十六条第二項から第四項まで(取締役の責任)の規定を準用する。
(定款その他の書類の備付け及び閲覧等)
第四十七条 理事は、定款、規約、調整規程並びに総会及び理事会の議事録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 組合員名簿には、各組合員について次の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所
二 加入の年月日
3 組合員及び組合の債権者は、何時でも、理事に対し第一項の書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合には、理事は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(決算関係書類の提出、備付け及び閲覧等)
第四十八条 理事は、通常総会の会日の一週間前までに、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、かつ、これらの書類を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 理事は、監事の意見書を添えて前項の書類を通常総会に提出し、その承認を求めなければならない。
3 組合員及び組合の債権者は、何時でも、理事に対し第一項の書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合には、理事は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(会計帳簿等の閲覧等)
第四十九条 組合員は、総組合員の十分の一以上の同意を得て、何時でも、理事に対し会計に関する帳簿及び書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合には、理事は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(役員の解任)
第五十条 組合員は、総組合員の五分の一以上の連署をもつて、役員の解任を請求することができるものとし、その請求につき総会において出席者の過半数の同意があつたときは、その請求に係る役員は、その職を失う。
2 前項の規定による解任の請求は、理事の全員又は監事の全員について、同時にしなければならない。ただし、法令、定款、規約又は調整規程の違反を理由として解任を請求するときは、この限りでない。
3 第一項の規定による解任の請求は、解任の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。
4 第一項の規定による解任の請求があつたときは、理事は、その請求を総会の議に付し、かつ、総会の会日から一週間前までに、その請求に係る役員に前項の書面の写を送付し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
5 前項の場合については、第五十三条第二項及び第五十四条の規定を準用する。
(商法等の準用)
第五十一条 理事及び監事については、商法第二百五十四条第三項(取締役と会社との関係)、第二百五十八条(欠員の場合の処置)、第二百六十七条から第二百六十八条ノ三まで(取締役に対する訴)及び第二百八十四条(取締役及び監査役の責任の解除)の規定を、理事については、民法第五十五条(代表権の委任)並びに商法第二百五十四条ノ二(取締役の義務)、第二百六十一条から第二百六十二条まで(会社代表)及び第二百七十二条(株主の差止請求権)の規定を、監事については、第四十六条並びに商法第二百七十四条(報告を求め調査をする権限)及び第二百七十八条(取締役と監査役との連帯責任)の規定を、理事会については、同法第二百三十九条第五項、第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権)、第二百五十九条から第二百五十九条ノ三まで(取締役会の招集)及び第二百六十条ノ三(取締役会の議事録)の規定を準用する。この場合において、同法第二百五十八条第二項(同法第二百六十一条第三項において準用する場合を含む。)中「裁判所」とあるのは「農林大臣」と、同法第二百八十四条中「前条第一項」とあるのは「漁業生産調整組合法第四十八条第二項」と読み替えるものとする。
(総会の招集)
第五十二条 通常総会は、定款で定めるところにより、毎事業年度一回招集しなければならない。
第五十三条 臨時総会は、必要があるときは、定款で定めるところにより、何時でも招集することができる。
2 組合員が総組合員の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事会に提出して総会の招集を請求したときは、理事会は、その請求のあつた日から二十日以内に臨時総会を招集すべきことを決しなければならない。
第五十四条 前条第二項の規定による請求をした組合員は、その請求をした日から十日以内に理事が総会の招集の手続をしないときは、農林大臣の承認を得て総会を招集することができる。理事の職務を行なう者がない場合において、組合員が総組合員の五分の一以上の同意を得たときも、同様とする。
(総会の招集の手続)
第五十五条 総会の招集は、会日の十日前までに、会議の目的たる事項を示し、定款で定める方法に従つてしなければならない。
(通知又は催告)
第五十六条 組合が組合員に対してする通知又は催告は、組合員名簿に記載したその者の住所(その者が別に通知又は催告を受ける場所を組合に通知したときは、その場所)にあてればよい。
2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に到達したものとみなす。
(総会の議決事項)
第五十七条 次の事項は、総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 規約の設定、変更又は廃止
三 毎事業年度の収支予算及び事業計画の設定又は変更
四 経費の賦課及び徴収の方法
五 第二十四条の負担金の負担及び徴収の方法
六 その他定款で定める事項
2 定款の変更は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 前項の認可については、第三十二条第二項の規定を準用する。
(総会の議事)
第五十八条 総会の議事は、この法律又は定款若しくは規約に特別の定めがある場合を除いて、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
2 議長は、総会において選任する。
3 議長は、組合員として総会の議決に加わる権利を有しない。
4 総会においては、第五十五条の規定によりあらかじめ通知のあつた事項についてのみ議決することができる。ただし、定款で別段の定めをしたときは、この限りでない。
(特別の議決)
第五十九条 次の事項は、総組合員の二分の一以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 組合の解散
三 組合員の除名
(商法の準用)
第六十条 総会については、商法第二百三十一条(総会の招集の決定)、第二百三十九条第五項、第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権)、第二百四十三条(総会の延期又は続行の決議)、第二百四十四条(総会の議事録)、第二百四十七条から第二百五十条まで、第二百五十二条及び第二百五十三条(総会の決議の取消し又は無効)の規定を準用する。この場合において、同法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは「漁業生産調整組合法第五十五条」と、同法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「漁業生産調整組合法第五十九条」と読み替えるものとする。
(総代会)
第六十一条 組合員の総数が二百人をこえる組合は、定款で定めるところにより、総会に代わるべき総代会を設けることができる。
2 総代は、定款で定めるところにより、組合員のうちから、その住所、資格漁業に係る規模等に応じて公平に選挙されなければならない。
3 総代の定数は、その選挙の時における組合員の総数の十分の一(組合員の総数が千人をこえる組合にあつては、百人)を下つてはならない。
4 総代の選挙については、第三十九条第六項及び第七項の規定を準用する。
5 総代の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
6 総代会については、総会に関する規定を準用する。この場合において、第二十二条第二項後段中「その組合員の親族若しくは使用人又は他の組合員」とあるのは「他の組合員」と、同条第四項中「六人」とあるのは「三人」と読み替えるものとする。
7 総代会においては、前項の規定にかかわらず、総代の選挙(補欠の総代の選挙を除く。)をし、又は組合の解散の議決をすることができない。
第六節 解散及び清算
(解散の原因)
第六十二条 組合は、次の原因によつて解散する。
一 総会の決議
二 組合の破産
三 定款で定める存立時期の満了又は解散の原因の発生
四 第六十七条第一項の規定による解散の命令
五 組合の資格漁業に係る指定漁業についての第二条第一項の規定による指定の廃止又は変更(政令で定める軽微な変更を除く。)
2 解散の決議は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 組合は、第一項第三号の規定により解散したときは、解散の日から二週間以内に、その旨を農林大臣に届け出なければならない。
(清算人)
第六十三条 組合が解散したときは、破産による解散の場合を除いては、理事が、その清算人となる。ただし、総会において他人を選任したときは、この限りでない。
(商法等の準用)
第六十四条 組合の解散及び清算については、商法第百十六条、第百二十四条、第百二十五条、第百二十九条第二項及び第三項、第百三十一条、第四百十七条第二項、第四百十八条から第四百二十四条まで、第四百二十六条及び第四百二十七条(合名会社及び株式会社の清算)並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五第二項及び第三項、第百三十六条、第百三十七条、第百三十八条及び第百三十八条ノ三(法人の清算の監督)の規定を、組合の清算人については、第四十二条から第四十九条まで、第五十三条第二項及び第五十四条並びに商法第二百三十九条第五項、第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権)、第二百五十四条第三項(取締役と会社との関係)、第二百五十四条ノ二(取締役の義務)、第二百五十八条から第二百五十九条ノ三まで(欠員の場合の処置及び取締役会の招集)、第二百六十条ノ三から第二百六十一条ノ二まで(取締役会の議事録及び会社代表)、第二百六十七条から第二百六十八条ノ三まで(取締役に対する訴)、第二百七十二条(株主の差止請求権)及び第二百八十四条(取締役及び監査役の責任の解除)の規定を準用する。この場合において、同法第二百五十八条第二項(同法第二百六十一条第三項において準用する場合を含む。)中「裁判所」とあるのは「農林大臣」と、同法第二百八十四条中「前条第一項」とあるのは「漁業生産調整組合法第六十四条ニ於テ準用スル同法第四十八条第二項」と、同法第四百十七条第二項中「前項」とあるのは「漁業生産調整組合法第六十三条」と、同法第四百二十六条第二項中「六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「総組合員ノ五分ノ一以上ノ同意ヲ得タル組合員」と読み替えるものとする。
第七節 監督
(検査の請求)
第六十五条 組合員は、その総数の十分の一以上の同意を得て、その組合の業務又は会計が法令、定款、規約又は調整規程に違反する疑いがあることを理由として、農林大臣にその検査を請求することができる。
2 前項の規定による請求があつたときは、農林大臣は、その組合の業務又は会計の状況を検査しなければならない。
(必要措置命令)
第六十六条 農林大臣は、組合の業務若しくは会計が法令、定款、規約若しくは調整規程に違反し、若しくは組合の運営が著しく不当であると認めるとき、又は組合が正当な理由がないのに成立の日から一年以内に事業を開始せず、若しくは引き続き一年以上その事業を停止していると認めるときは、その組合に対し、期間を定めて必要な措置を採るべきことを命ずることができる。
(解散命令)
第六十七条 農林大臣は、組合が次の各号の一に該当するときは、その組合に対し、解散を命ずることができる。
一 第四条又は第七条の要件を欠くに至つたと認められるとき。
二 前条の規定による農林大臣の命令に違反したとき。
三 組合員たる資格その他の構成がその事業を行なうのに適当でなくなつたと認められるとき。
2 農林大臣は、前項の規定により解散を命じようとするときは、その組合に対し、あらかじめ命令をしようとする理由を通知し、かつ、弁明する機会を与えなければならない。
(決算関係書類の提出)
第六十八条 組合は、毎事業年度、通常総会の終了の日から二週間以内に、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金の処分又は損失の処理の方法を記載した書面を農林大臣に提出しなければならない。
第三章 漁業生産活動の規制に関する命令
(漁業生産活動の規制に関する命令)
第六十九条 農林大臣は、調整規程を定めて調整事業を行なつている組合の組合員たる資格を有する者で組合に加入していないものの当該資格漁業に係る漁業生産活動がその資格漁業に係る第二条第一項の事態の克服を阻害しており、又はその組合の組合員たる資格を有する者の当該資格漁業に係る漁業生産活動を自主的に調整することによつてはその資格漁業に係る第二条第一項の事態を克服することができず、若しくはその方法によることがその事態を克服するのに適当でないと認められる場合において、このような状態が継続することは、その組合の組合員たる資格を有する者の当該資格漁業に係る経営の安定に重大な悪影響を及ぼし、国民経済の健全な発展に著しい支障を生ずるおそれがあると認められるときは、政令で定めるところにより、その調整規程の内容を参酌して、当該資格漁業に係る第十条第一項第一号に掲げる制限を定め、その組合員たる資格を有する者に対し、これに従うベきことを命ずることができる。
(命令の決定及び形式)
第七十条 前条の規定による命令は、当該組合が総会の議決を経て、農林大臣に申し出た場合でなければ、することができない。
2 農林大臣は、前項の規定による申出があつたときは、遅滞なく、前条の規定による命令をするかどうかを決定し、その申出をした組合にその結果を通知しなければならない。
3 第一項の議決については、第十五条第二項の規定を準用する。
4 前条の規定による命令は、農林省令をもつてするものとする。
(聴聞)
第七十一条 農林大臣は、第六十九条の規定による命令をしようとするときは、聴聞を行ない、広く一般の意見をきかなければならない。
(調整規程の変更命令)
第七十二条 農林大臣は、第六十九条の規定による命令をしようとするとき、又はその命令をした後において、特に必要があると認めるときは、その命令に係る組合に対し、期間を定めてその調整規程を変更すべきことを命ずることができる。
(命令の変更又は取消し)
第七十三条 農林大臣は、第六十九条の規定による命令をした後において、同条の規定によりその命令をする要件となつた事実が変更し、又は消滅したと認めるときは、その命令を変更し、又は取り消さなければならない。
(事務の処理)
第七十四条 農林大臣は、第六十九条の規定による命令をする場合において、その命令の円滑な実施を図るため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、その命令に係る事務の一部はその命令に係る組合が処理すべき旨を定めることができる。
(手数料)
第七十五条 第六十九条の規定による命令に基づく割当て、検査その他の処分を受ける者は、農林省令で定めるところにより、その処分をするのに直接必要となる費用の額をこえない範囲内において農林省令で定める額の手数料を納付しなければならない。
(役員等の解任命令)
第七十六条 農林大臣は、第七十四条の規定により第六十九条の規定による命令に係る事務を処理する組合の役員又は検査員でその事務に従事するものがその事務を不当に処理し、又は役員若しくは検査員たるに適しない非行をしたと認めるときは、これを解任することができる。
(秘密保持義務)
第七十七条 第七十四条の規定により第六十九条の規定による命令に係る事務を処理する組合の役員若しくは職員でその事務に従事するもの又はこれらの職にあつた者は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
(不服の申立て)
第七十八条 第六十九条の規定による命令に不服のある者は、その旨を記載した書面をもつて農林大臣に不服の申立てをすることができる。
2 第七十四条の規定により第六十九条の規定による命令に係る事務を処理する組合がその事務の処理としてした行為に不服のある者は、その行為のあつたことを知つた日から三十日以内に、その旨を記載した書面をもつて農林大臣に不服の申立てをすることができる。ただし、行為の日から六十日を経過したときは、不服の申立てをすることができない。
第四章 雑則
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外)
第七十九条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、第十一条の認可を受けた調整規程又は第二十一条第一項の認可を受けた組合協約及びこれらに基づいてする行為には、適用しない。ただし、次の各号の一に該当するときは、この限りでない。
一 不公正な取引方法を用いるとき、又は組合員に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにするとき。
二 次条第四項の規定による公示があつた後一月を経過したとき。(同条第三項の規定による請求に応じ、農林大臣が第十三条(第二十一条第三項において準用する場合を含む。)の規定による処分をした場合を除く。)
2 次条第三項の規定による請求が調整規程又は組合協約の定めの一部について行なわれたときは、前項第二号の規定にかかわらず、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定は、その調整規程又は組合協約の定めのうちその請求に係る部分以外の部分及びこれに基づいてする行為には適用しない。
(公正取引委員会との関係)
第八十条 農林大臣は、第十一条若しくは第二十一条第一項の認可をしようとするとき、又は第六十九条の規定による命令をしようとするときは、公正取引委員会に協議しなければならない。
2 農林大臣は、第十三条(第二十一条第三項において準用する場合を含む。)又は第七十二条の規定による処分をしたときは、遅滞なく、その旨を公正取引委員会に通知しなければならない。
3 公正取引委員会は、組合が第十一条の認可を受けた調整規程の内容が第十二条各号に適合するものでなくなつたと認めるとき、又は組合が第二十一条第一項の認可を受けた組合協約の内容が同条第二項各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、農林大臣に対し、第十三条(第二十一条第三項において準用する場合を含む。)の規定による処分をすべきことを請求することができる。
4 公正取引委員会は、前項の規定による請求をしたときは、その旨を官報に公示しなければならない。
(中央漁業調整審議会への諮問)
第八十一条 農林大臣は、第二条第一項の政令の制定若しくは改廃の立案をしようとするとき、又は第六十九条の規定による命令をしようとするときは、中央漁業調整審議会に諮問しなければならない。
2 前項に規定するもののほか、農林大臣は、この法律の施行に関する重要事項について、中央漁業調整審議会の意見をきくことができる。
(関係都道府県知事の意見の聴取)
第八十二条 農林大臣は、第十一条若しくは第二十一条第一項の認可、第十三条(第二十一条第三項において準用する場合を含む。)の規定による処分又は第六十九条の規定による命令をしようとする場合において、その認可若しくは処分に係る調整規程若しくは組合協約又はその命令の実施が関係都道府県における水産業に著しい影響を及ぼすと認めるときは、あらかじめ、その都道府県知事の意見をきかなければならない。
(報告の徴収)
第八十三条 農林大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、組合、組合の組合員たる資格を有する者又は第十九条第一項第一号若しくは第二号に掲げる者で同項の規定による申出を受けたものに対し、その業務又は会計の状況に関し報告をさせることができる。
(立入検査)
第八十四条 農林大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、組合の組合員たる資格を有する者の漁船、事務所又は倉庫に立ち入り、業務若しくは会計の状況又は漁具、漁ろう装置その他の設備、漁船若しくは漁獲物を検査させることができる。
2 農林大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、組合の事務所に立ち入り、業務又は会計の状況を検査させることができる。
3 前二項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(権限の委任)
第八十五条 この法律の規定により農林大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に行なわせることができる。
第五章 罰則
第八十六条 第七十四条の規定により第六十九条の規定による命令に係る事務を処理する組合の役員又は職員でその事務に従事するものが、その職務に関し、わいろを収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。よつて不正の行為をし、又は相当の行為をしないときは、七年以下の懲役に処する。
第八十七条 前条に規定する役員又は職員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けてわいろを収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、同条に規定する役員又は職員となつた場合において、三年以下の懲役に処する。
2 前条に規定する役員又は職員であつた者が、その在職中に請託を受けて職務上不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたことに関し、わいろを収受し、又は要求し、若しくは約束したときも、前項と同様とする。
第八十八条 前二条の場合において、収受したわいろは、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第八十九条 第八十六条又は第八十七条に規定するわいろを供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第九十条 第七十七条の規定に違反して、その職務に関し知り得た秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第九十一条 第六十九条の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。
第九十二条 第十一条の認可を受けないで調整規程を実施した組合の理事は、十万円以下の罰金に処する。
第九十三条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第五条第二項の規定に違反した者
二 第十四条(第二十一条第三項において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第六十五条第二項又は第八十四条第一項若しくは第二項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
四 第八十三条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
第九十四条 第六十六条又は第七十二条の規定による命令に違反した組合の理事は、三万円以下の罰金に処する。
第九十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第九十一条又は第九十三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。
第九十六条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした組合の発起人、役員又は清算人は、一万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定に基づいて組合が行なうことができる事業以外の事業を行なつたとき。
二 第九条第一項の政令の規定に違反して登記をすることを怠つたとき。
三 第二十六条の規定に違反したとき。
四 第二十九条第二項後段又は第五十条第四項の規定に違反したとき。
五 第三十一条第六項若しくは第六十条において準用する商法第二百四十四条、第五十一条若しくは第六十四条において準用する商法第二百六十条ノ三又は第六十四条において準用する商法第四百十九条の規定に違反して議事録若しくは財産目録若しくは貸借対照表を作成せず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。
六 第三十五条、第四十条又は第六十二条第三項の規定に違反したとき。
七 第三十九条第五項の規定に違反したとき。
八 第四十四条(第六十四条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
九 第四十七条又は第四十八条(これらの規定を第六十四条において準用する場合を含む。)の規定に違反して書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当な理由がないのにその閲覧若しくは謄写を拒んだとき。
十 第四十九条(第六十四条において準用する場合を含む。)又は第五十一条において準用する商法第二百七十四条第一項の規定に違反して正当な理由がないのに帳簿及び書類の閲覧又は謄写を拒んだとき。
十一 第五十一条において準用する商法第二百七十四条第二項又は第六十四条において準用する商法第四百十九条第一項の規定による調査を妨げたとき。
十二 第五十二条の規定に違反したとき。
十三 第六十四条において準用する商法第百三十一条の規定に違反して組合の財産を分配したとき。
十四 第六十四条において準用する商法第四百二十一条第一項に規定する公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
十五 第六十四条において準用する商法第四百二十一条第一項の期間を不当に定めたとき。
十六 第六十四条において準用する商法第四百二十三条の規定に違反して債務の弁済をしたとき。
十七 第六十八条の規定に違反して書類を提出せず、又は虚偽の書類を提出したとき。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行する。
2 この法律の施行の際現に漁業生産調整組合という名称を使用している者は、この法律の施行後六月以内にその名称を変更しなければならない。
3 第五条第二項の規定は、前項に規定する期間内は、同項に規定する者には、適用しない。
4 漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)の一部を次のように改正する。
第百十三条第三項中「十人」を「十二人」に改め、同条に次の四項を加える。
5 中央漁業調整審議会に、部会を置くことができる。
6 部会に部会長を置き、会長の指名する委員をもつてこれに充てる。
7 部会に属すべき委員は、会長が指名する。
8 中央漁業調整審議会は、その定めるところにより、部会の決議をもつて中央漁業調整審議会の決議とすることができる。
5 農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)の一部を次のように改正する。
第一条に次の一号を加える。
十一 漁業生産調整組合法(昭和三十六年法律第百二十八号)
6 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「水産業協同組合共済会」の下に「、漁業生産調整組合」を、「水産業協同組合法」の下に「、漁業生産調整組合法」を加える。
7 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第十二号中「国家公務員共済組合」を「漁業生産調整組合、国家公務員共済組合」に改める。
8 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項第四号中「国家公務員共済組合」を「漁業生産調整組合、国家公務員共済組合」に改める。
9 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第四号中「国家公務員共済組合」を「漁業生産調整組合、国家公務員共済組合」に改める。
内閣総理大臣 池田勇人
法務大臣 植木庚子郎
農林大臣 周東英雄