(目的)
第一条 この法律は、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ、公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「行政機関」とは、法律の規定に基づき内閣に置かれる機関若しくは内閣の所轄の下に置かれる機関、宮内庁、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関又は国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関をいう。
2 この法律において「独立行政法人等」とは、次に掲げる法人をいう。
一 独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。次号において同じ。)
二 法律により直接に設立された法人、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(独立行政法人を除く。)又は特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、政令で定めるもの
3 この法律において「公的統計」とは、行政機関、地方公共団体又は独立行政法人等(以下「行政機関等」という。)が作成する統計をいう。
4 この法律において「基幹統計」とは、次の各号のいずれかに該当する統計をいう。
三 行政機関が作成し、又は作成すべき統計であって、次のいずれかに該当するものとして総務大臣が指定するもの
イ 全国的な政策を企画立案し、又はこれを実施する上において特に重要な統計
ロ 民間における意思決定又は研究活動のために広く利用されると見込まれる統計
ハ 国際条約又は国際機関が作成する計画において作成が求められている統計その他国際比較を行う上において特に重要な統計
5 この法律において「統計調査」とは、行政機関等が統計の作成を目的として個人又は法人その他の団体に対し事実の報告を求めることにより行う調査をいう。ただし、次に掲げるものを除く。
二 この法律及びこれに基づく命令以外の法律又は政令において、行政機関等に対し、報告を求めることが規定されているもの
三 政令で定める行政機関等が政令で定める事務に関して行うもの
6 この法律において「基幹統計調査」とは、基幹統計の作成を目的とする統計調査をいう。
7 この法律において「一般統計調査」とは、行政機関が行う統計調査のうち基幹統計調査以外のものをいう。
8 この法律において「事業所母集団データベース」とは、事業所に関する情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。
9 この法律において「統計基準」とは、公的統計の作成に際し、その統一性又は総合性を確保するための技術的な基準をいう。
10 この法律において「行政記録情報」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した情報であって、当該行政機関の職員が組織的に利用するものとして、当該行政機関が保有しているもののうち、行政文書(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第二条第二項に規定する行政文書をいう。)に記録されているもの(基幹統計調査及び一般統計調査に係る調査票情報、事業所母集団データベースに記録されている情報並びに匿名データを除く。)をいう。
11 この法律において「調査票情報」とは、統計調査によって集められた情報のうち、文書、図画又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)に記録されているものをいう。
12 この法律において「匿名データ」とは、一般の利用に供することを目的として調査票情報を特定の個人又は法人その他の団体の識別(他の情報との照合による識別を含む。)ができないように加工したものをいう。
(基本理念)
第三条 公的統計は、行政機関等における相互の協力及び適切な役割分担の下に、体系的に整備されなければならない。
2 公的統計は、適切かつ合理的な方法により、かつ、中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければならない。
3 公的統計は、広く国民が容易に入手し、効果的に利用できるものとして提供されなければならない。
4 公的統計の作成に用いられた個人又は法人その他の団体に関する秘密は、保護されなければならない。
(基本計画)
第四条 政府は、公的統計の整備に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、公的統計の整備に関する基本的な計画(以下この条において「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 公的統計の整備に関する施策についての基本的な方針
二 公的統計を整備するために政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
三 その他公的統計の整備を推進するために必要な事項
3 基本計画を定めるに当たっては、公的統計について、基幹統計に係る事項とその他の公的統計に係る事項とを区分して記載しなければならない。
4 総務大臣は、統計委員会の意見を聴いて、基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
5 総務大臣は、前項の規定により基本計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、総務省令で定めるところにより、国民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
6 政府は、統計をめぐる社会経済情勢の変化を勘案し、及び公的統計の整備に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに、基本計画を変更するものとする。この場合においては、前二項の規定を準用する。