(目的)
第一條 この法律は、民間学術研究機関がわが国の学術及び産業の振興上重要な使命を有することにかんがみ、これに対し現下の経済情勢に対処して財政的援助を行い、学術の研究の遂行を容易にすることを目的とする。
(定義)
第二條 この法律で「民間学術研究機関」(以下「研究機関」という。)とは、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四條の規定により設立された法人で、学術の研究を目的とするものをいう。
(研究機関の助成)
第三條 国は、研究機関に対し、予算の範囲内で、その維持運営に要する経費の一部を補助することができる。
(補助の申請)
第四條 研究機関は、前條の規定による補助金の交付を受けようとするときは、主務大臣に申請しなければならない。
(補助の決定)
第五條 主務大臣は、前條の申請があつたときは、左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、備えていると認めたときは当該研究機関に対する補助金の額及び使用の目的を決定し、備えていないと認めたときは補助をしない旨の決定をするものとする。
一 当該研究機関の行う研究が学術又は産業の振興上重要なものであること。
二 当該研究機関がその研究を遂行するために必要な研究者及び研究設備を有すること。
三 当該研究機関において補助を必要とする相当な事由があること。
2 主務大臣は、前項の規定により審査をするに当つては、審査の方針及び対象の範囲をあらかじめ日本学術会議に諮問してその意見を聞かなければならない。
(通知)
第六條 主務大臣は、前條第一項の決定をしたときは、すみやかに当該研究機関に対し、これを通知しなければならない。
(補助金の目的外流用の禁止)
第七條 研究機関は、交付を受けた補助金を第五條第一項の決定により定められた目的以外の目的に使用してはならない。
(補助金の経理)
第八條 研究機関は、交付を受けた補助金については、他の收入支出と区別してその経理を明らかにしなければならない。
(公表義務)
第九條 補助金の交付を受けた研究機関は、その研究の成果を公表しなければならない。
(補助金の還付等)
第十條 主務大臣は、補助の決定を受けた研究機関が、左の各号の一に該当するときは、当該決定を取り消し、補助金の交付を停止し、又は交付した補助金の全部若しくは一部の還付を命ずるものとする。
2 前項の処分については、第五條第二項の規定を準用する。
(監督)
第十一條 主務大臣は、必要があると認めるときは、補助の決定を受けた研究機関に対して報告をさせ、又はその職員をして帳簿その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帶し、関係人にこれを呈示しなければならない。
(收支決算書)
第十二條 補助金の交付を受けた研究機関は、毎会計年度、收支決算書を作製し、主務大臣に提出しなければならない。
(委任規定)
第十三條 補助金の交付の申請手続、補助金の交付を受けた研究機関において備えつけるべき帳簿その他この法律施行のため必要な事項は、主務省令で定める。