(整備計画の樹立)
第二条 事業の継続に著しい支障をきたすことなしにはその債務を弁済することができない漁業協同組合であつて、この法律によつて整備を行なおうとするものは、政令で定める日までにおいて都道府県知事の指定する日(以下「指定日」という。)現在により貸借対照表を作成し、これに基づいて整備計画をたてなければならない。
2 漁業協同組合は、前項の規定により貸借対照表を作成するにあたつては、農林省令で定めるところにより、資産の適正な評価を行ない、その評価によつて損失を生ずる場合には、その損失金額を欠損金に算入しなければならない。
3 漁業協同組合は、第一項の規定により整備計画をたてるにあたつては、農林省令で定めるところにより、信用漁業協同組合連合会(水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第八十七条第一項第一号及び第二号の事業をあわせ行なう漁業協同組合連合会をいう。以下同じ。)又は農林中央金庫と協議しなければならない。
4 漁業協同組合が第一項の規定により整備計画をたてるには、その組合員(水産業協同組合法第十八条第三項の規定による組合員を除く。)の半数以上が出席する総会において、その議決権の三分の二以上の多数による議決を経なければならない。
(整備の目標)
第三条 前条第一項の漁業協同組合は、指定日から起算して五年を経過した日の属する事業年度の終了の日までに次に掲げる条件をみたすように整備を行なわなければならない。
一 固定した債務の全部の整理(その事業分量その他の経営条件からみて固定した債務の額が過大であるため当該期限までにその全部の整理ができないと認められる漁業協同組合にあつては、その債務のうち、その額の二分の一をこえない範囲内において都道府県知事がその経営に支障がないと認めて指定した債務以外のものの全部の整理)
二 欠損金の全部の補てん(その事業分量その他の経営条件からみて欠損金の額が過大であるため当該期限までにその全部の補てんができないと認められる漁業協同組合にあつては、その欠損金の額のうち、その払込済出資金の額の二分の一をこえない範囲内において都道府県知事がその経営に支障がないと認めて承認した額をその欠損金の額から控除した残額の全部の補てん)
(整備計画の内容)
第四条 整備計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 組合員又は当該漁業協同組合が会員となつている漁業協同組合連合会との間における利用及び協力を強化するための方策
三 固定した債権及び在庫品の資金化並びに不要固定資産の処分
四 固定した債務の条件の緩和その他信用漁業協同組合連合会又は農林中央金庫から受ける援助の内容
(整備計画の適否の認定)
第五条 第二条第一項の規定により整備計画をたてた漁業協同組合は、農林省令で定める手続により、これを都道府県知事に提出するものとする。
2 都道府県知事は、前項の規定による整備計画の提出があつたときは、政令で定めるところにより、漁業協同組合の整備に関し学識経験を有する者の意見を聞いて、その整備計画が適当であるかどうかを認定しなければならない。
3 前項の規定による認定は、農林省令で定める基準に従つて行なわなければならない。
(合併の場合の特例)
第六条 前条第二項(第三項及び次条において準用する場合を含む。)の規定によりその整備計画が適当である旨及びこれを変更した場合にあつてはその変更につき適当である旨の認定を受けている漁業協同組合(以下「整備組合」という。)が合併によつて解散した場合には、当該認定は、その効力を失う。この場合において、当該合併によつて成立した漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合(整備組合を除く。)が整備を行なおうとするときは、当該合併についての登記の日現在により貸借対照表を作成し、これに基づいて整備計画をたてなければならない。
2 前項後段に規定する漁業協同組合は、整備を行なう場合には、当該合併によつて解散した整備組合についての指定日(当該合併によつて二以上の整備組合が解散した場合において、その指定日が異なるときは、当該合併についての登記の日に最も近い指定日とする。)から起算して五年を経過した日の属する事業年度の終了の日までに第三条に規定する条件をみたすようにしなければならない。
3 第一項後段の場合には、第二条第二項から第四項まで、第四条並びに前条の規定を準用する。
(整備計画の変更)
第七条 整備組合が第五条第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)の規定により適当である旨の認定を受けた整備計画を変更する場合には、第二条第三項及び第四項並びに第五条の規定を準用する。
(都道府県知事の援助)
第八条 漁業協同組合は、都道府県知事に対し、整備計画の樹立及び変更並びにその実施に関する助言を求めることができる。
2 都道府県知事は、漁業協同組合が整備計画をたて、若しくは変更し、又はこれを実施するため、債権者とその債務の条件の緩和その他の緩助を受ける契約をする必要がある場合には、当該漁業協同組合の申出により、そのあっせんをすることができる。
(都道府県の助成)
第九条 都道府県は、信用漁業協同組合連合会又は農林中央金庫が第五条第二項(第六条第三項において準用する場合を含む。)の規定により適当である旨の認定を受けた整備計画(これを変更した場合にあつては、その変更につき第七条において準用する第五条第二項の規定により適当である旨の認定を受けたものに限る。)に従い誠実に整備を行なつていると認められる整備組合に対する債権の利息を当該整備計画に従つて減免した場合に、当該信用漁業協同組合連合会又は農林中央金庫に対して、その減免した利息の額の一部に相当する金額を補助し、及び第十四条第一項の勧告に係る漁業協同組合が合併した場合に、当該合併によつて成立した漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合に対して、合併奨励金を交付することができる。
(信用漁業協同組合連合会の貸付事業の特例)
第十条 信用漁業協同組合連合会は、その会員たる整備組合の整備を促進するため必要があるときは、水産業協同組合法第八十七条第一項及び第四項の規定にかかわらず、当該整備組合の承諾を得て、当該整備組合の組合員に対し、その事業に必要な資金の貸付けを行なうことができる。
(法人税法の特例)
第十一条 昭和四十二年三月三十一日までに第五条第二項の規定によりその整備計画が適当である旨の認定を受けた整備組合の昭和二十九年四月一日から昭和三十五年三月三十一日までの間に開始する各事業年度において生じた欠損金(その整備組合が合併によつて成立した漁業協同組合又は合併後存続する漁業協同組合である場合にあつては、当該合併によつて解散した漁業協同組合(第十三条第一項に規定する解散整備組合を除く。)から引き継いだ当該欠損金を含む。)は、当該整備組合に係る指定日の属する事業年度からその整備計画において第三条第二号に掲げる条件が達成されることとなつている事業年度までの各事業年度において、法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)第九条第一項の所得の計算上、損金に算入する。ただし、当該欠損金についての明細書を提出しているとともに、昭和三十五年四月一日から昭和三十六年三月三十一日までの間に開始する事業年度(昭和三十四年四月一日から昭和三十五年三月三十一日までの間に開始する事業年度の所得につき青色申告書(法人税法第二十五条第一項の申告書をいう。以下同じ。)を提出しなかつた漁業協同組合及び昭和三十五年四月一日以後において合併により成立した漁業協同組合については、昭和三十六年四月一日から昭和三十七年三月三十一日までの間に開始する事業年度)に係る青色申告書を提出し、かつ、その後においても連続して青色申告書を提出している場合に限る。
2 前項ただし書に規定する欠損金についての明細書は、最初に提出しようとする青色申告書に係る事業年度が昭和三十五年四月一日から昭和三十七年三月三十一日までの間に開始する事業年度である漁業協同組合にあつては当該漁業協同組合が法人税法第二十五条第三項の規定により提出する申請書(次条の規定により同法第二十五条第三項の期限後に提出されるものを含む。)に添えて、昭和三十四年四月一日から昭和三十五年三月三十一日までの間に開始する事業年度に係る青色申告書を提出している漁業協同組合にあつては当該漁業協同組合の昭和三十五年四月一日から昭和三十六年三月三十一日までの間に開始する事業年度に係る青色申告書に添えて、当該漁業協同組合の法人税に係る納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。
3 第一項の規定により各事業年度において法人税法第九条第一項の所得の計算上損金に算入すべき欠損金の金額は、同法第二十六条の四第四項の規定による還付を受けた金額(同法第二十六条の二第三項の規定により納付した若しくは納付すべき又は同法第三十三条第二項の規定により徴収された若しくは徴収されるべき税額がある場合には、当該金額から、当該税額(同法第二十六条の四第六項の規定により加算された金額に係る部分の税額を除く。)に相当する金額を控除した金額)の計算の基礎とならなかつた金額で、かつ、その欠損金の生じた事業年度以後の事業年度において同法第九条第一項の所得の計算上同項の総益金から控除されなかつたものに限る。
4 前三項の規定により法人税法第九条第一項の所得の計算上損金に算入すべき欠損金が同条第五項又は第六項の規定により損金に算入すべきものである場合には、当該欠損金については、同条第五項又は第六項の規定は、適用しない。
第十二条 漁業協同組合が最初に提出しようとする青色申告書に係る事業年度が昭和三十五年四月一日以後最初に開始する事業年度である場合には、当該漁業協同組合が法人税法第二十五条第三項の規定により提出する申請書は、同項の期限後においても、当該事業年度の終了の日の二月前までは、提出することができる。
第十三条 整備組合が指定日を含む事業年度の翌事業年度の開始の日以後昭和四十二年三月三十一日までに合併によつて解散し、当該合併によつて成立した漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合が第五条第二項(第六条第三項又は第七条において準用する場合を含む。)の規定によりその整備計画(その変更を含む。)につき適当である旨の認定を受けているときは、当該合併によつて解散した整備組合で第十一条第一項ただし書(次項において準用する場合を含む。)の欠損金の明細書を同条第二項(次項において準用する場合を含む。)の規定により提出し、かつ、同条第一項ただし書(次項において準用する場合を含む。)に規定する事業年度に係る青色申告書を提出しているとともに、その後においても解散の日を含む事業年度の直前の事業年度までの各事業年度(その解散した整備組合が解散の日を含む事業年度の直前の事業年度に係る青色申告書を提出しないで解散した場合には、当該解散の日を含む事業年度の直前の事業年度を除く。)において青色申告書を提出しているもの(以下この項において「解散整備組合」という。)の同条第一項の欠損金で、当該合併によつて成立した漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合にその欠損金として引き継がれたものは、当該合併後に開始する最初の事業年度又は当該合併の日の属する事業年度及びその事業年度終了の日後に開始し、当該漁業協同組合の整備計画において第三条第二号に掲げる条件が達成されることとなつている事業年度の終了の日までに終了する各事業年度において、法人税法第九条第一項の所得の計算上、損金に算入する。ただし、当該合併によつて成立した漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合が当該解散整備組合についての解散の日を含む事業年度(当該解散整備組合が解散の日を含む事業年度の直前の事業年度に係る青色申告書を堤出しないで解散した場合には、当該解散の日を含む事業年度及びその直前の事業年度)に係る青色申告書を提出した場合に限る。
2 前項本文の場合には、第十一条第一項ただし書及び第二項から第四項までの規定を準用する。
(合併の奨励措置)
第十四条 都道府県知事は、組合員の数の過少その他特別の理由によりその事業を継続することが著しく困難であると認められる漁業協同組合がある場合において、漁業に関する協同組織の健全な発展を図るため必要があるときは、当該漁業協同組合及びこれと合併することを相当と認める漁業協同組合に対し、合併についての協議をすべき旨の勧告をすることができる。
2 前項の勧告は、第二条第一項の政令で定める日までにするものとする。
(合併の場合の承継漁業権の行使に関する特例)
第十五条 前条第一項の勧告に係る漁業協同組合が合併する場合において、当該合併によつて成立する漁業協同組合又は当該合併後存続する漁業協同組合が、当該合併によつて解散する漁業協同組合から水産業協同組合法第七十二条の規定により共同漁業権又は区画漁業権(ひび建養殖業、かき養殖業、内水面における魚類養殖業又は第三種区画漁業たる貝類養殖業を内容とするものに限る。)を承継するときは、合併によつて成立する漁業協同組合にあつてはその最初の定款において、合併後存続する漁業協同組合にあつてはその合併後遅滞なく定款を変更して、いずれも、当該承継に係る漁業権についての組合員の権利につき規定を設けなければならない。この場合には、当該規定に係る定款の部分につき、その定款の設定又は変更前に、当該合併により解散する漁業協同組合の当該解散の時の組合員で当該合併によつて成立する漁業協同組合の組合員となるもの又は当該合併後存続する漁業協同組合の組合員となつたものの三分の二以上の同意を得なければならない。
2 前項の規定による定款の設定又は変更後当該漁業権の存続期間中において当該漁業権に係る組合員の権利についての定款の規定を変更する場合も、同項後段と同様とする。