(設立)
第三十四条の二 公認会計士(外国公認会計士を含む。以下この章及び第六章の二において同じ。)は、この章の定めるところにより、監査法人を設立することができる。
(名称)
第三十四条の三 監査法人は、その名称中に監査法人という文字を使用しなければならない。
(要件)
第三十四条の四 監査法人は、次に掲げる要件を備えなければならない。
三 社員は、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負うこと。
四 社員のうちに次のいずれかに該当する者がいないこと。
イ 第三十条又は第三十一条の規定により業務の停止の処分を受け、当該業務の停止の期間を経過しない者
ロ 第三十四条の二十一の規定により監査法人が設立の認可を取り消され、又は業務の停止を命ぜられた場合において、その処分の日以前三十日内にその社員であつた者でその処分の日から三年(業務の停止を命ぜられた場合にあつては、当該業務の停止の期間)を経過しないもの
五 業務を公正かつ的確に遂行することができる人的構成及び施設を有すること。
(業務の範囲)
第三十四条の五 監査法人は、第二条第一項の業務を行なうほか、その業務に支障のない限り、定款で定めるところにより、次に掲げる業務の全部又は一部を行なうことができる。
二 会計士補又は会計士補となる資格を有する者に対する実務補習
(登記)
第三十四条の六 監査法人は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(設立の手続)
第三十四条の七 監査法人を設立するには、その社員になろうとする公認会計士が、共同して定款を定め、大蔵省令で定める手続に従い、その設立につき大蔵大臣の認可を受けなければならない。
2 定款には、少なくとも次に掲げる事項を記載しなければならない。
(認可)
第三十四条の八 大蔵大臣は、前条第一項に規定する認可の申請があつたときは、その申請に係る監査法人が第三十四条の四各号に掲げる要件を備えているかどうか並びに設立の手続及び定款の内容が法令の規定に違反していないかどうかを審査したうえで、その認可をしなければならない。
(成立の時期)
第三十四条の九 監査法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
(定款の変更)
第三十四条の十 定款の変更は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 第三十四条の八の規定は、定款の変更の認可について準用する。
(特定の事項についての業務の制限)
第三十四条の十一 監査法人は、財務書類のうち、次の各号の一に該当するものについては、第二条第一項の業務を行なつてはならない。
一 監査法人が株式を所有し、又は出資している会社その他の者の財務書類
二 前号に定めるもののほか、監査法人又はその社員が著しい利害関係を有し、又は過去一年以内に著しい利害関係を有した会社その他の者の財務書類
2 前項第二号の著しい利害関係とは、監査法人又はその社員が会社その他の者との間にその者の営業、経理その他に関して有する関係で、大蔵大臣が監査法人の行なう第二条第一項の業務の公正を確保するため必要かつ適当と認めて大蔵省令で定めるものをいう。
3 監査法人の社員のうち会社その他の者と第二十四条に規定する関係を有する者は、当該監査法人が行なう第二条第一項の業務で当該会社その他の者の財務書類に係るものには関与してはならない。
(監査又は証明の業務の執行方法)
第三十四条の十二 監査法人は、その社員以外の者に監査又は証明の業務を行なわせてはならない。
2 監査法人が会社その他の者の財務書類について証明をする場合には、当該証明に係る業務を執行した社員は、当該証明書にその資格を表示して自署し、かつ、自己の印を押さなければならない。
3 第二十五条の規定は、監査法人が会社その他の者の財務書類について証明をする場合に準用する。
(広告事項の制限)
第三十四条の十三 監査法人は、その名称、事務所の所在地、社員の氏名その他大蔵省令で定める事項以外の事項を広告してはならない。
(社員の競業の禁止)
第三十四条の十四 監査法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその監査法人の業務の範囲に属する業務を行ない、又は他の監査法人の社員となつてはならない。
(会計年度)
第三十四条の十五 監査法人の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。
(財務諸表等の作成及び提出)
第三十四条の十六 監査法人は、毎会計年度経過後二月以内に、貸借対照表及び損益計算書並びに業務の概況その他大蔵省令で定める事項を記載した業務報告書を作成し、これらの書類を大蔵大臣に提出しなければならない。
(法定脱退)
第三十四条の十七 監査法人の社員は、次に掲げる理由によつて脱退する。
(解散)
第三十四条の十八 監査法人は、次に掲げる理由によつて解散する。
2 前項第二号に掲げる理由による解散は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 清算人は、第一項第一号に掲げる理由により監査法人が解散した場合には、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
(合併)
第三十四条の十九 監査法人は、総社員の同意があるときは、他の監査法人と合併することができる。
2 合併は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 合併は、合併後存続する監査法人又は合併によつて設立した監査法人が、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて、その効力を生ずる。
(要件を欠いたことによる設立の認可の取消し)
第三十四条の二十 大蔵大臣は、監査法人が第三十四条の四各号の一に掲げる要件を欠くこととなつたときは、その設立の認可を取り消すことができる。
(虚偽又は不当の証明等についての処分)
第三十四条の二十一 大蔵大臣は、監査法人が次の各号の一に該当するときは、その監査法人に対し、戒告し、若しくは一年以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は設立の認可を取り消すことができる。
一 社員の故意により、虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を虚偽、錯誤及び脱漏のないものとして証明したとき。
二 社員が相当の注意を怠つたことにより、重大な虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を重大な虚偽、錯誤及び脱漏のないものとして証明したとき。
三 この法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し、又は運営が著しく不当と認められるとき。
2 第三十二条から第三十四条までの規定は、前項の処分について準用する。
3 第一項の規定は、同項の規定により監査法人を処分する場合において、当該監査法人の社員につき第三十条又は第三十一条に該当する事実があるときは、その社員である公認会計士に対し、懲戒の処分をあわせて行なうことを妨げるものと解してはならない。
(民法の準用等)
第三十四条の二十二 民法(明治二十九年法律第八十九号)第五十条、第五十五条及び第八十一条から第八十三条まで並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項、第三十六条、第百三十六条から第百三十七条まで、第百三十八条及び第百三十八条ノ三の規定は、監査法人について準用する。
2 商法(明治三十二年法律第四十八号)第六十八条、第六十九条、第七十二条、第七十三条、第七十四条第二項及び第三項並びに第七十五条の規定は、監査法人の内部の関係について準用する。この場合において、同法第七十四条第二項中「前項」とあるのは、「公認会計士法第三十四条の十四」と読み替えるものとする。
3 商法第七十六条から第八十三条までの規定は、監査法人の外部の関係について準用する。
4 商法第八十四条、第八十六条第一項及び第二項(除名及び代表権の喪失に関する部分に限る。)並びに第八十七条から第九十三条までの規定は、監査法人の社員の脱退について準用する。この場合において、同法第八十六条第一項第二号中「第七十四条第一項」とあるのは、「公認会計士法第三十四条の十四」と読み替えるものとする。
5 商法第百条及び第百三条の規定は、監査法人の合併について準用する。この場合において、同法第百条第一項中「合併ノ決議ノ日」とあるのは、「合併ノ認可アリタルトキハソノ認可ノ通知アリタル日」と読み替えるものとする。
6 商法第百十六条から第百十九条まで、第百二十条から第百二十二条まで、第百二十四条第一項及び第二項、第百二十五条、第百二十六条、第百二十八条から第百三十三条まで、第百三十四条ノ二、第百三十五条並びに第百四十三条から第百四十五条までの規定は、監査法人の清算について準用する。この場合において、同法第百十七条第二項及び第百二十二条中「第九十四条第四号又ハ第六号」とあるのは、「公認会計士法第三十四条の十八第一項第五号」と読み替えるものとする。
7 破産法(大正十一年法律第七十一号)第百二十七条の規定の適用については、監査法人は、合名会社とみなす。