国際協力銀行法をここに公布する。
御名御璽
平成十一年四月二十三日
内閣総理大臣 小渕恵三
法律第三十五号
国際協力銀行法
目次
第一章
総則(第一条―第八条)
第二章
役員及び職員(第九条―第二十二条)
第三章
業務(第二十三条―第二十八条)
第四章
財務及び会計(第二十九条―第五十一条)
第五章
監督(第五十二条・第五十三条)
第六章
雑則(第五十四条―第五十六条)
第七章
罰則(第五十七条―第六十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 国際協力銀行は、一般の金融機関と競争しないことを旨としつつ、我が国の輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序の安定に寄与するための貸付け等並びに開発途上にある海外の地域(以下「開発途上地域」という。)の経済及び社会の開発又は経済の安定に寄与するための貸付け等を行い、もって我が国及び国際経済社会の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 設備の輸出等 設備(航空機、船舶及び車両を含む。以下同じ。)並びにその部分品及び附属品で我が国で生産されたもの並びに我が国で生産されたその他の製品でその輸出が我が国の輸出入市場の開拓又は確保に著しく寄与すると認められるものを輸出すること又は我が国の輸出入市場の開拓若しくは確保又は外国との経済交流の促進に寄与すると認められる技術を提供することをいう。
二 重要物資の輸入等 我が国の外国との貿易関係若しくは国民経済の健全な発展のために不可欠な物資(設備を含む。)又は技術を輸入し又は受け入れることをいう。
三 出資外国法人等 我が国の法人等(法人その他の団体又は個人をいう。以下同じ。)の出資(株式又は持分の所有を含む。以下同じ。)に係る外国の法人等(我が国の法人等と原材料の供給、役員の派遣その他の継続的な経済関係を有する外国の法人等を含む。以下同じ。)をいう。
四 外国政府等 外国の政府、政府機関又は地方公共団体をいう。
五 外国金融機関等 外国の銀行その他の金融機関その他大蔵大臣が定める外国法人をいう。
六 銀行等 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)に規定する銀行、長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)に規定する長期信用銀行その他政令で定める金融機関をいう。
七 開発事業 開発途上地域の経済及び社会の開発に寄与し、かつ、我が国との経済交流を促進するため緊要と認められる事業(これらの事業の準備のための調査又は試験的実施を含む。)をいう。
八 協調融資 銀行等が国際協力銀行とともに資金の貸付けを行うことをいう。
(法人格)
第三条 国際協力銀行は、法人とする。
(事務所)
第四条 国際協力銀行は、主たる事務所を東京都に置く。
2 国際協力銀行は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(資本金)
第五条 国際協力銀行の資本金は、附則第六条第四項及び第七条第四項の規定により政府から出資があったものとされた金額の合計額とする。
2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、国際協力銀行に追加して出資することができる。
3 国際協力銀行は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。この場合において、当該資本金は、第四十一条第一項に定める経理の区分に従い、同項各号の業務に係る勘定ごとに整理しなければならない。
(登記)
第六条 国際協力銀行は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第七条 国際協力銀行でない者は、国際協力銀行という名称を用いてはならない。
2 銀行法第六条第二項の規定は、国際協力銀行には適用しない。
(民法の準用)
第八条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、国際協力銀行について準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第九条 国際協力銀行に、役員として、総裁一人、副総裁二人、理事七人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第十条 総裁は、国際協力銀行を代表し、その業務を総理する。
2 副総裁は、総裁の定めるところにより、国際協力銀行を代表し、総裁を補佐して国際協力銀行の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、総裁の定めるところにより、国際協力銀行を代表し、総裁及び副総裁を補佐して国際協力銀行の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときは総裁の職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときは総裁の職務を行う。
4 監事は、国際協力銀行の業務を監査する。
5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は経済企画庁長官に意見を提出することができる。
6 経済企画庁長官は、前項の規定による意見の提出を受けたときは、遅滞なく、これを大蔵大臣に通知しなければならない。
(役員の任命)
第十一条 総裁及び監事は、内閣総理大臣が任命する。
2 副総裁は、内閣総理大臣の認可を受けて、総裁が任命する。
3 理事は、総裁が任命する。
(役員の任期)
第十二条 総裁及び副総裁の任期は四年とし、理事及び監事の任期は二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十三条 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。
(役員の解任)
第十四条 内閣総理大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。
2 内閣総理大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その役員を解任することができる。
一 この法律、この法律に基づく命令又はこれらの法令に基づいてする内閣総理大臣若しくは主務大臣の命令に違反したとき。
二 刑事事件により有罪の判決の言渡しを受けたとき。
三 破産の宣告を受けたとき。
四 心身の故障により職務を執ることができないとき。
3 内閣総理大臣は、国際協力銀行の副総裁又は理事が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、総裁に対しその役員の解任を命ずることができる。
(役員の兼職禁止)
第十五条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、経済企画庁長官及び大蔵大臣が役員としての職務の執行に支障がないものと認めて承認したときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第十六条 国際協力銀行と総裁、副総裁又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、監事が国際協力銀行を代表する。
(代理人の選任)
第十七条 総裁、副総裁及び理事は、国際協力銀行の職員のうちから、国際協力銀行の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第十八条 国際協力銀行の職員は、総裁が任命する。
(役員及び職員の秘密保持義務)
第十九条 国際協力銀行の役員及び職員は、その職務上知ることができた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。これらの者がその職を退いた後も、同様とする。
(役員及び職員の地位)
第二十条 国際協力銀行の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(役員の給与及び退職手当の支給の基準)
第二十一条 国際協力銀行は、その役員の給与及び退職手当の支給の基準を社会一般の情勢に適合したものとなるよう定め、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
(海外経済協力業務運営協議会)
第二十二条 国際協力銀行に、海外経済協力業務運営協議会を置く。
2 海外経済協力業務運営協議会は、総裁の諮問に応じ、国際協力銀行の次条第二項に規定する業務の運営に関する重要事項で関係行政機関の所掌事務と密接な関係があるものについて審議する。
3 海外経済協力業務運営協議会は、前項に規定する事項について、総裁に意見を述べることができる。
4 海外経済協力業務運営協議会は、関係行政機関の職員のうちから内閣総理大臣が任命する委員十五人以内で組織する。
5 前各項に定めるもののほか、海外経済協力業務運営協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
第三章 業務
(業務の範囲)
第二十三条 国際協力銀行は、第一条に掲げる目的を達成するため、次のうち我が国の輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序の安定に寄与するためのもの(以下「国際金融等業務」という。)を行う。
一 設備の輸出等のために必要な資金を貸し付け、当該資金に係る銀行等の貸付債権を譲り受け、又は当該資金に係る債務を保証すること。
二 重要物資の輸入等が確実かつ適時に行われるために必要な資金を貸し付け、当該資金に係る銀行等の貸付債権を譲り受け、又は当該資金に係る債務を保証すること。
三 我が国の法人等、外国政府等又は出資外国法人等が海外において行う事業に直接又は間接に充てられる資金(短期資金を除く。)を貸し付け、当該資金に係る銀行等の貸付債権を譲り受け、当該資金に係る債務を保証し、又は我が国の法人等が外国の法人等に対して当該資金に係る債務を保証した場合においてその保証債務を保証すること。
四 外国政府等、外国金融機関等若しくは国際通貨基金その他の国際機関に対して、その海外で行う事業若しくは当該外国の物資の輸入若しくは技術の受入れに必要な長期資金若しくは当該外国の国際収支の均衡若しくは通貨の安定を図るために必要な資金を貸し付け、当該資金に係る銀行等の貸付債権を譲り受け、若しくは当該資金に係る債務を保証し、又は当該資金を調達するために当該外国政府等、外国金融機関等若しくは国際通貨基金その他の国際機関が発行する公債、社債若しくはこれに準ずる債券(以下「公債等」という。)を応募その他の方法により取得し、若しくは当該公債等に係る債務を保証すること。
五 外国の政府又は外国の居住者において当該外国の国際収支上の理由により輸入その他の対外取引を行うことが著しく困難であり、かつ、緊急の必要があると認められる場合において、国際通貨基金その他の国際機関又は当該外国以外の二以上の国の政府、政府機関若しくは銀行(以下「国際通貨基金等」という。)が当該外国の経済の発展を支援するための資金(以下「経済支援資金」という。)の供与を行うまでの間、当該外国の政府、政府機関又は銀行に対して、当該輸入その他の対外取引の円滑化を図るために必要な短期資金を貸し付けること。
六 我が国からの設備の輸出等により我が国の法人等に対して債務を有する者が、その者の居住国(その者が外国の政府であるときは、当該外国。以下この号において同じ。)の国際収支上の理由により当該債務を履行することが著しく困難である場合に、当該居住国の政府、政府機関又は銀行に対して当該債務の履行の円滑化を図るために必要な資金を貸し付けること。
七 海外で事業を行う者(専ら海外投資を目的とする我が国の法人等で当該事業を行う者に対し出資するものを含む。)に対して当該事業に必要な資金を出資し、又は当該出資を受けた者がその行う事業に必要な長期資金を借り入れる場合(我が国の法人等から借り入れる場合を除く。)において、当該長期資金に係る債務を保証し、若しくは当該長期資金に係る債務を保証した者(我が国の法人等を除く。)に対してその保証債務を保証すること。
八 前各号の業務に関連して必要な調査を行うこと。
九 第一号から第七号までの業務に附帯する業務を行うこと。
2 国際協力銀行は、第一条に掲げる目的を達成するため、次の業務(第一号及び第二号に規定する業務は、資金の供与の条件が開発途上地域にとって重い負担にならないよう金利、償還期間等について緩やかな条件が付されているものに限る。以下「海外経済協力業務」という。)を行う。
一 開発途上地域の外国政府等その他の経済企画庁長官が定める者に対して、その行う開発事業の実施に必要な資金又は当該地域の経済の安定に関する計画の達成に必要な資金を貸し付けること。
二 我が国又は開発途上地域の法人等その他の経済企画庁長官が定める者に対して、その行う開発事業の実施に必要な資金を貸し付け、又は当該事業の遂行のため特に必要があるときは出資をすること。
三 前二号の業務に関連して必要な調査を行うこと。
四 前三号の業務に附帯する業務を行うこと。
第二十四条 前条第一項第一号に規定する業務のうち開発途上地域以外の地域に係るものは、我が国の輸出入市場の開拓又は確保のため特に必要なものとして政令で定める場合に限り、行うことができる。
2 前条第一項第二号に規定する業務のうち外国の法人等に対する保証は、銀行等が当該資金の貸付けを行った場合(当該資金に係る銀行等の貸付債権が銀行等以外の者で大蔵大臣が定めるものに譲渡された場合を含む。以下同じ。)に限り、行うことができる。
3 前条第一項第三号に規定する業務のうち次の各号に掲げるものは、当該各号に定める場合に限り、行うことができる。
一 開発途上地域以外の地域に係るもの 我が国と当該地域との貿易その他の経済関係の健全な発展に寄与し、又は国民経済に不可欠な資源、設備その他の製品若しくは技術の確保若しくは開発に寄与すると認められる場合
二 我が国の法人等が海外において行う事業に必要な資金を貸し付けるもの 当該法人等に対して直接貸し付ける場合
三 外国政府等又は出資外国法人等(我が国の法人等が株式又は持分の全部を所有しているものを除く。以下この号において同じ。)が海外において行う事業に直接に充てられる資金及び外国政府等又は出資外国法人等が海外において行う事業に外国政府等又は外国の法人等を通じて間接に充てられる資金(我が国の法人等が外国政府等又は外国の法人等に貸し付けるために必要な資金を除く。)に係る債務の保証 銀行等が当該資金の貸付けを行った場合
4 前条第一項第四号に規定する業務のうち貸し付けられた資金に係る債務の保証は、銀行等が当該資金の貸付けを行った場合に限り、行うことができる。
5 前条第一項第五号に規定する業務は、国際通貨基金等による経済支援資金の供与が確実と見込まれる場合であって、次の各号のいずれかに該当するときに限り、大蔵大臣の認可を受けて行うことができる。
一 国際通貨基金等(国際協力銀行を除く。)による経済支援資金の全部又は一部の供与が行われることにより、当該貸付けに係る資金の償還が確保されることとなっている場合
二 当該貸付けについて確実な担保を徴する場合
6 前条第一項第六号に規定する業務は、当該居住国における同種の債務に係る債権を有する者の居住国と協調して行う必要がある場合として政令で定める場合に限り、行うことができる。
7 前条第一項に規定する業務のうち次に掲げるものは、その貸付け、保証しようとする債務に係る貸付け又は譲り受けようとする貸付債権に係る貸付けが協調融資の場合に限り、行うことができる。ただし、第一号に掲げるものにあっては、銀行等が国際協力銀行とともに資金の貸付けをすることが著しく困難であり、かつ、国際協力銀行による貸付けがその目的を達成するために特に緊要であると認められる場合には、この限りでない。
一 前条第一項第一号から第三号までに規定する資金の貸付けで我が国の法人等に対するもの
二 前条第一項第一号に規定する保証で外国政府等又は外国の法人等の債務に係るもの
三 前条第一項第一号から第四号までに規定する銀行等の貸付債権の譲受け
8 前条第一項第八号に規定する業務は、同項第一号から第七号までに規定する業務の円滑かつ効果的な実施に必要最小限の場合に限り、行うことができる。
第二十五条 国際協力銀行は、資金の貸付け、貸付債権の譲受け、公債等の取得、債務の保証又は出資(以下「資金の貸付け等」という。)について、一般の金融機関が行う資金の貸付け等を補完し、又は奨励するよう行うものとし、これらと競争してはならない。
2 国際協力銀行は、一般の金融機関が通常の条件により資金の貸付け等を行うことが困難と認められる場合に限り、資金の貸付け等を行うことができる。
3 第二十三条第一項の規定による資金の貸付け等は、当該貸付けに係る資金の償還、当該譲受けに係る債権の回収、当該取得に係る公債等の償還、当該保証に係る債務の履行又は当該出資に係る事業からの配当の支払を可能とする利益の発生が確実であると認められる場合に限り、行うことができる。
4 第二十三条第一項第一号から第七号までの規定による貸付金の利率及び債務の保証の料率は、第四十一条第一項第一号の業務に係る勘定における収入がその支出を償うに足るように、銀行等の貸付利率及び債務の保証料率を勘案して定めるものとする。
5 国際協力銀行は、第二十三条第二項第一号若しくは第二号の開発事業に係る事業計画又は同項第一号の経済の安定に関する計画の内容が適切であり、その達成の見込みがあると認められる場合に限り、同項第一号又は第二号の規定による資金の貸付け又は出資をすることができる。
(海外経済協力業務実施方針)
第二十六条 国際協力銀行は、第二十三条第二項第一号の業務について、総理府令で定めるところにより、その業務を効果的かつ効率的に実施するために重点を置くべき分野及び地域その他の事項についての実施方針(以下「海外経済協力業務実施方針」という。)を定めなければならない。
2 国際協力銀行は、海外経済協力業務実施方針を定めようとするときは、経済企画庁長官の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 国際協力銀行は、前項の規定による経済企画庁長官の承認を受けたときは、遅滞なく、海外経済協力業務実施方針を公表しなければならない。
(業務方法書)
第二十七条 国際協力銀行は、業務の開始の際、業務方法書を作成しなければならない。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、総理府令・大蔵省令で定める。
(委託業務に従事する銀行等の役員及び職員の地位)
第二十八条 国際協力銀行は、銀行等に対し、その業務の一部を委託することができる。
2 前項の規定により国際協力銀行の業務の委託を受けた銀行等(以下「受託者」という。)の役員及び職員でその委託を受けた業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第四章 財務及び会計
(事業年度)
第二十九条 国際協力銀行の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(予算)
第三十条 国際協力銀行は、毎事業年度、収入及び支出の予算を作成し、これを経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に提出しなければならない。
2 前項の収入は、貸付金の利息、公債等の利子、出資に対する配当金、債務保証料その他資産の運用に係る収入及び附属雑収入とし、同項の支出は、事務取扱費、業務委託費、第四十五条第一項の規定による借入金の利子、同項又は同条第八項の規定により発行する銀行債券の利子及び附属諸費とする。
3 大蔵大臣は、第一項の規定により予算の提出を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。
4 内閣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、その予算を国の予算とともに国会に提出しなければならない。
5 予算の形式及び内容並びにその作成及び提出の手続については、大蔵大臣が定める。
第三十一条 前条の予算には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 当該事業年度の事業計画及び資金計画に関する書類
二 前々年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 前年度及び当該事業年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
四 その他当該予算の参考となる書類
(予備費)
第三十二条 予見し難い事由による支出予算の不足を補うため、国際協力銀行の予算に予備費を設けることができる。
(予算の議決)
第三十三条 国際協力銀行の予算の国会の議決に関しては、国の予算の議決の例による。
(予算の通知)
第三十四条 内閣は、国際協力銀行の予算が国会の議決を経たときは、大蔵大臣及び経済企画庁長官を経由して、直ちにその旨を国際協力銀行に通知するものとする。
2 国際協力銀行は、前項の規定による通知を受けた後でなければ、予算を執行することができない。
3 大蔵大臣は、第一項の規定による通知があったときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
(補正予算)
第三十五条 国際協力銀行は、予算の作成後に生じた事由に基づき予算に変更を加える必要がある場合には、補正予算を作成し、これに補正予算の作成により変更した第三十一条第一号、第三号及び第四号に掲げる書類(前年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表を除く。)を添え、経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に提出することができる。ただし、予算の追加に係る補正予算は、予算の作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった場合に限り、作成することができる。
2 第三十条第二項から第五項まで及び前二条の規定は、前項の規定による補正予算について準用する。
(暫定予算)
第三十六条 国際協力銀行は、必要に応じて、一事業年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これに当該期間の事業計画及び資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に提出することができる。
2 第三十条第二項から第五項まで、第三十三条及び第三十四条の規定は、前項の規定による暫定予算について準用する。
3 暫定予算は、当該事業年度の予算が成立したときは失効するものとし、暫定予算に基づく支出があるときは、これを当該事業年度の予算に基づいてしたものとみなす。
(予算の執行)
第三十七条 国際協力銀行は、支出予算については、当該予算に定める目的のほかに使用してはならない。
第三十八条 国際協力銀行は、予算で指定する経費の金額については、大蔵大臣の承認を受けなければ、流用することができない。
2 国際協力銀行は、前項の規定により承認を受けようとするときは、経済企画庁長官を経由してしなければならない。
3 大蔵大臣は、第一項の承認をしたときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
第三十九条 国際協力銀行は、予備費を使用するときは、直ちにその旨を経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に通知しなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定による通知を受けたときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
(財務諸表等)
第四十条 国際協力銀行は、財産目録及び貸借対照表を四月から九月まで及び十月から翌年三月までの半期ごとに、損益計算書をこれらの半期及び事業年度ごとに作成し、当該書類(以下「財務諸表」という。)に関する監事の意見を付して、当該半期経過後二月以内又は当該事業年度終了後三月以内に、経済企画庁長官に届け出なければならない。
2 経済企画庁長官は、前項の規定による届出を受けたときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に通知しなければならない。
3 国際協力銀行は、第一項の規定による財務諸表の届出をしたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表及び附属明細書並びに同項の監事の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、総理府令・大蔵省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
4 国際協力銀行は、決算を完結したときは、遅滞なく、当該事業年度の業務報告書を、各事務所に備えて置き、総理府令・大蔵省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
5 第三項に規定する附属明細書及び前項に規定する業務報告書に記載すべき事項は、総理府令・大蔵省令で定める。
(区分経理)
第四十一条 国際協力銀行は、次に掲げる業務ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。
一 国際金融等業務
二 海外経済協力業務
2 次の各号に掲げる金額に係る経理は、それぞれ当該各号に定める勘定において行うものとする。
一 附則第六条第四項の規定により国際協力銀行に出資があったものとされた金額 国際金融等業務に係る勘定(以下「国際金融等勘定」という。)
二 附則第七条第四項の規定により国際協力銀行に出資があったものとされた金額 海外経済協力業務に係る勘定(以下「海外経済協力勘定」という。)
(決算)
第四十二条 国際協力銀行は、毎事業年度の決算を翌事業年度の五月三十一日までに完結しなければならない。
第四十三条 国際協力銀行は、決算完結後予算の区分に従い、毎事業年度の決算報告書を作成し、当該決算報告書に関する監事の意見を付し、かつ、第四十条第一項の規定により経済企画庁長官に届け出た財務諸表を添え、遅滞なく、経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に提出しなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定により決算報告書及び財務諸表の提出を受けたときは、これを内閣に送付しなければならない。
3 内閣は、前項の規定により決算報告書及び財務諸表の送付を受けたときは、翌事業年度の十一月三十日までにこれを会計検査院に送付し、その検査を経て、国の歳入歳出の決算とともに、国会に提出しなければならない。
4 国際協力銀行は、第一項の規定による決算報告書の提出をしたときは、遅滞なく、同項の決算報告書及び監事の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、大蔵省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
5 第一項に規定する決算報告書の形式及び内容については、大蔵大臣が定める。
(利益及び損失の処理並びに国庫納付金)
第四十四条 国際協力銀行は、毎事業年度、国際金融等勘定の損益計算において利益を生じたときは、準備金として、政令で定める基準により計算した額を、国際金融等勘定に整理された資本金の額と同額に達するまでは、積み立てなければならない。
2 国際協力銀行は、毎事業年度、海外経済協力勘定の損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、当該残余の額を、積立金として、海外経済協力勘定に整理された資本金の額と同額に達するまでは、積み立てなければならない。
3 国際協力銀行は、毎事業年度、海外経済協力勘定の損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
4 第一項の準備金又は第二項の積立金は、その属する勘定において生じた損失の補てんに充てる場合を除いては、取り崩してはならない。
5 国際協力銀行は、第四十一条第一項各号の業務に係る勘定ごとに、第一項の規定による毎事業年度の損益計算において生じた利益から同項の規定により準備金として積み立てた額を控除した残額及び第二項の規定による残余の額から同項の規定により積立金として積み立てた額を控除した残額を、翌事業年度の五月三十一日までに国庫に納付しなければならない。
6 政府は、前項の規定による国庫納付金の一部を、政令で定めるところにより、当該事業年度中において概算で納付させることができる。
7 前項に定めるもののほか、第五項の規定による国庫納付金の納付の手続及びその帰属する会計その他国庫納付金に関し必要な事項は、政令で定める。
(借入金及び国際協力銀行債券)
第四十五条 国際協力銀行は、その業務を行うために必要な資金の財源に充てるため、政府若しくは銀行その他の金融機関から資金の借入れをし、又は国際協力銀行債券(第四十七条第四項を除き、以下「銀行債券」という。)を発行することができる。
2 前項の規定による資金の借入れ又は銀行債券の発行により調達した資金は、第四十一条第一項に定める経理の区分に従い、同項各号の業務に係る勘定ごとに整理しなければならない。
3 第一項の規定による銀行その他の金融機関からの資金の借入れは、資金繰りのため必要がある場合その他総理府令・大蔵省令で定める場合において、短期借入金に限り、行うことができる。
4 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、特に必要がある場合として総理府令・大蔵省令で定める場合には、その償還することができない金額に限り、経済企画庁長官及び大蔵大臣の認可を受けてこれを借り換えることができる。
5 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
6 国際協力銀行は、毎事業年度、政令で定めるところにより、第一項の規定による銀行債券の発行に係る基本方針を作成し、経済企画庁長官及び大蔵大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
7 国際協力銀行は、第一項の規定により銀行債券を発行したときは、政令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を経済企画庁長官及び大蔵大臣に届け出なければならない。
8 第一項に定めるもののほか、国際協力銀行は、銀行債券を失った者に対し交付するため必要があるときは、政令で定めるところにより、銀行債券を発行することができる。
9 第一項又は前項の規定により発行する銀行債券の債権者は、国際協力銀行の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
10 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
11 国際協力銀行は、銀行債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行、信託会社又は証券業者に委託することができる。
12 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条、第三百十条及び第三百十一条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行、信託会社又は証券業者について準用する。
13 前各項に定めるもののほか、銀行債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(借入金等の限度額)
第四十六条 前条第一項の規定による借入金の現在額及び同項の規定により発行する銀行債券の元本に係る債務の現在額の合計額(以下「借入金等の合計額」という。)は、次の各号に掲げる額が、それぞれ当該各号に定める額を超えることとなってはならない。
一 国際金融等勘定における借入金等の合計額 第五条に規定する資本金のうち国際金融等勘定に区分された額及び第四十四条第一項に規定する準備金の額の合計額の十倍に相当する額
二 海外経済協力勘定における借入金等の合計額 第五条に規定する資本金のうち海外経済協力勘定に区分された額及び第四十四条第二項に規定する積立金の額の合計額の三倍に相当する額
2 前項の規定にかかわらず、銀行債券について、発行済みのものの借換えのため必要があるときは、一時当該額を超えて銀行債券を発行することができる。
3 第二十三条第一項の規定による資金の貸付け、譲受けに係る債権及び公債等の取得の現在額、保証に係る債務及び保証債務に係る債務の現在額並びに出資の現在額の合計額は、第五条に規定する資本金のうち国際金融等勘定に区分された額及び第四十四条第一項に規定する準備金の額並びに第一項第一号の規定による借入れ及び債券発行の限度額の合計額を超えることとなってはならない。
(政府保証)
第四十七条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、予算をもって定める金額の範囲内において、第四十五条第一項の規定により発行する銀行債券に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号。次項、第四項及び附則第八条第一項第一号において「外資受入法」という。)第二条の規定により政府が保証契約をすることができる債務を除く。第三項において同じ。)について、保証契約をすることができる。
2 前項の予算をもって定める金額のうち、外国を発行地とする本邦通貨をもって表示する銀行債券に係る債務についての金額は、外資受入法第二条第二項に規定する予算をもって定める金額と区別して定めることが困難であるときは、当該金額と合算して定めることができる。
3 政府は、第一項の規定によるほか、国際協力銀行が第四十五条第八項の規定により発行する銀行債券に係る債務について、保証契約をすることができる。
4 日本政策投資銀行法(平成十一年法律第七十三号)第四十三条第一項に規定する銀行債券のうち外国を発行地とする本邦通貨をもって表示するものに係る債務について予算をもって定める金額が、同法第四十五条第二項の規定により外資受入法第二条第二項に規定する予算をもって定める金額と合算して定められる場合には、当該銀行債券に係る債務を政府が外資受入法第二条第二項の規定により保証契約をすることができる債券に係る債務とみなして、第一項及び第二項の規定を適用する。
(交付金)
第四十八条 政府は、予算の範囲内において、国際協力銀行に対し、海外経済協力業務に要する費用の一部に相当する金額を交付することができる。
(余裕金の運用)
第四十九条 国際協力銀行は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債、地方債又は政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)の保有
二 資金運用部への預託
三 日本銀行、銀行その他経済企画庁長官及び大蔵大臣の指定する金融機関への預金
四 譲渡性預金証書の保有
五 前各号の方法に準ずるものとして総理府令・大蔵省令で定める方法
2 前項の余裕金の運用は、安全かつ効率的に行わなければならない。
(会計検査院の検査)
第五十条 会計検査院は、必要があると認めるときは、受託者につき、当該委託業務に係る会計を検査することができる。
(総理府令・大蔵省令への委任)
第五十一条 この法律及びこれに基づく政令に規定するもののほか、国際協力銀行の財務及び会計に関し必要な事項は、総理府令・大蔵省令で定める。
第五章 監督
(監督)
第五十二条 国際協力銀行は、主務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。
2 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、国際協力銀行からの報告又は次条第一項の規定による検査の結果に基づき、国際協力銀行に対して業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第五十三条 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、国際協力銀行若しくは受託者に対して報告をさせ、又はその職員に、国際協力銀行若しくは受託者の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。ただし、受託者に対しては、当該委託業務の範囲内に限る。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第六章 雑則
(解散)
第五十四条 国際協力銀行の解散については、別に法律で定める。
(協議)
第五十五条 経済企画庁長官は、次の場合には、外務大臣、大蔵大臣及び通商産業大臣に協議しなければならない。
一 第二十三条第二項第一号及び第二号の規定により貸付け又は出資を受ける者を定めようとするとき。
二 第二十六条第二項の規定により承認をしようとするとき。
三 第五十二条第二項の規定により主務大臣として命令をしようとするとき(海外経済協力業務及び海外経済協力勘定に関する事項に限る。)。
2 内閣総理大臣は、第二十六条第一項の規定により総理府令を定めようとするときは、外務大臣、大蔵大臣及び通商産業大臣に協議しなければならない。
3 内閣総理大臣及び大蔵大臣は、第二十七条第二項の規定により総理府令・大蔵省令(海外経済協力業務に関する事項に限る。)を定めようとするときは、外務大臣及び通商産業大臣に協議しなければならない。
(主務大臣)
第五十六条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 役員及び職員その他の管理業務に関する事項については、経済企画庁長官及び大蔵大臣
二 国際金融等業務及び国際金融等勘定に関する事項については、大蔵大臣
三 海外経済協力業務及び海外経済協力勘定に関する事項については、経済企画庁長官
第七章 罰則
第五十七条 第十九条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第五十八条 第五十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした国際協力銀行又は受託者の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
第五十九条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした国際協力銀行の役員又は職員は、二十万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により経済企画庁長官又は大蔵大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。
二 この法律の規定により経済企画庁長官又は大蔵大臣に届出をしなければならない場合において、その届出をしなかったとき。
三 第六条第一項の規定に違反して登記することを怠ったとき。
四 第二十三条に規定する業務以外の業務を行ったとき。
五 第四十六条第一項の規定に違反して資金の借入れ若しくは債券の発行をし、又は同条第三項の規定に違反して資金の貸付け、貸付債権の譲受け、公債等の取得、債務の保証若しくは出資をしたとき。
六 第四十九条第一項の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
七 第五十二条第二項の規定による主務大臣の命令に違反したとき。
第六十条 第七条第一項の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第十五条から第三十四条までの規定は、平成十一年十月一日から施行する。
(国際協力銀行の設立)
第二条 内閣総理大臣は、国際協力銀行の総裁又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された総裁又は監事となるべき者は、国際協力銀行の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ総裁又は監事に任命されたものとする。
第三条 経済企画庁長官は、設立委員を命じて、国際協力銀行の設立に関する事務を処理させる。
2 経済企画庁長官は、前項の規定により設立委員を命じようとするときは、あらかじめ、大蔵大臣に協議しなければならない。
3 設立委員は、国際協力銀行の設立の準備を完了したときは、遅滞なく、その旨を経済企画庁長官に届け出るとともに、その事務を前条第一項の規定により指名された総裁となるべき者に引き継がなければならない。
4 経済企画庁長官は、前項の規定による届出を受けたときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に通知しなければならない。
第四条 附則第二条第一項の規定により指名された総裁となるべき者は、前条第三項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第五条 国際協力銀行は、設立の登記をすることによって成立する。
(日本輸出入銀行の解散等)
第六条 日本輸出入銀行(以下「輸銀」という。)は、国際協力銀行の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、附則第十五条の規定による廃止前の日本輸出入銀行法(昭和二十五年法律第二百六十八号。以下「旧輸銀法」という。)第八条第二項の規定にかかわらず、その時において国際協力銀行が承継する。
2 輸銀の平成十一年四月一日に始まる事業年度は、輸銀の解散の日の前日に終わるものとする。
3 輸銀の平成十一年四月一日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに利益金の処分及び国庫納付金については、なお従前の例による。この場合において、旧輸銀法第三十五条第一項中「四月から九月まで及び十月から翌年三月までの半期」、「これらの半期及び事業年度」及び「半期又は当該事業年度」とあるのは「事業年度」と、同法第三十六条中「翌事業年度の七月三十一日」とあるのは「平成十一年十一月三十日」と、同法第三十七条第三項中「翌事業年度の」とあるのは「平成十二年」と、同法第三十八条第一項第二号中「千分の三」とあるのは「千分の一・五」と、同条第三項中「翌事業年度の五月三十一日」とあるのは「平成十一年十一月三十日」と読み替えるものとする。
4 第一項の規定により国際協力銀行が輸銀の権利及び義務を承継したときは、その承継の際における輸銀に対する政府の出資金に相当する金額は、国際協力銀行の設立に際し政府から国際協力銀行に出資されたものとする。
5 第一項の規定により国際協力銀行が輸銀の権利及び義務を承継したときは、その承継の際旧輸銀法第三十八条第一項の準備金として積み立てられている金額は、国際金融等勘定において、第四十四条第一項の準備金として整理しなければならない。
6 第一項の規定により輸銀が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(海外経済協力基金の解散等)
第七条 海外経済協力基金(以下「基金」という。)は、国際協力銀行の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において国際協力銀行が承継する。
2 基金の平成十一年四月一日に始まる事業年度は、基金の解散の日の前日に終わるものとする。
3 基金の平成十一年四月一日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、なお従前の例による。この場合において、附則第十五条の規定による廃止前の海外経済協力基金法(昭和三十五年法律第百七十三号。以下「旧基金法」という。)第二十七条中「翌事業年度の六月三十日」とあるのは、「平成十一年十一月三十日」と読み替えるものとする。
4 第一項の規定により国際協力銀行が基金の権利及び義務を承継したときは、その承継の際における基金に対する政府の出資金に相当する金額は、国際協力銀行の設立に際し政府から国際協力銀行に出資されたものとする。
5 第一項の規定により国際協力銀行が基金の権利及び義務を承継したときは、その承継の際旧基金法第二十九条第一項の積立金として整理されている金額は、海外経済協力勘定において、第四十四条第二項の積立金として整理しなければならない。
6 第一項の規定により基金が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(権利及び義務の承継に伴う経過措置)
第八条 附則第六条第一項又は第七条第一項の規定により国際協力銀行が承継する次の各号に掲げる借入金又は債券に係る債務について政府がした当該各号に掲げる保証契約は、その承継後においても、当該借入金又は債券に係る債務について従前の条件により存続するものとする。
一 旧輸銀法第三十九条の二第一項の外貨債券等 旧輸銀法第三十九条の三又は外資受入法第二条第二項の規定による保証契約
二 旧基金法第二十九条の二第一項の長期借入金及び海外経済協力基金債券 旧基金法第二十九条の四の規定による保証契約
2 前項の外貨債券等及び海外経済協力基金債券は、第四十五条第九項及び第十項の規定の適用については、同条第一項の規定による銀行債券とみなす。
(非課税)
第九条 附則第六条第一項及び第七条第一項の規定により国際協力銀行が権利を承継する場合における当該承継に伴う登記又は登録については、登録免許税を課さない。
2 附則第六条第一項及び第七条第一項の規定により国際協力銀行が権利を承継する場合における当該承継に係る不動産又は自動車の取得に対しては、不動産取得税若しくは土地の取得に対して課する特別土地保有税又は自動車取得税を課することができない。
3 国際協力銀行が附則第六条第一項又は第七条第一項の規定により承継し、かつ、引き続き保有する土地のうち、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第五百九十九条第一項の規定により申告納付すべき日の属する年の一月一日において輸銀又は基金が当該土地を取得した日以後十年を経過しているものに対しては、土地に対して課する特別土地保有税を課することができない。
(厚生年金基金間の権利義務の移転)
第十条 基金の事業所又は事務所を厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第百十七条第三項に規定する設立事業所(以下「設立事業所」という。)とする厚生年金基金(以下「海外厚年基金」という。)は、国際協力銀行の事業所又は事務所を国際協力銀行の成立の日に設立事業所とすることとなる厚生年金基金(以下「国際厚年基金」という。)に申し出て、海外厚年基金の設立事業所(以下この条において「脱退事業所」という。)に使用される海外厚年基金の加入員に係る海外厚年基金の加入員であった期間に係る年金たる給付及び一時金たる給付の支給に関する権利義務を移転することができる。
2 前項の規定により権利義務の移転を行う場合には、海外厚年基金は、国際厚年基金に申し出て、脱退事業所に使用される海外厚年基金の加入員であった者であって当該加入員の資格を喪失したもの(同項に規定する脱退事業所に使用される海外厚年基金の加入員を除く。)のうち次項の同意をしたものに係る海外厚年基金の加入員であった期間(厚生年金基金連合会がその支給に関する義務を承継している年金たる給付の額の計算の基礎となる海外厚年基金の加入員であった期間を除く。)に係る年金たる給付及び一時金たる給付の支給に関する権利義務を移転することができる。
3 海外厚年基金が前項の規定により当該海外厚年基金の加入員の資格を喪失した者に係る権利義務の移転を申し出るには、当該加入員の資格を喪失した者の同意を得なければならない。
4 海外厚年基金が第一項及び第二項の規定により権利義務の移転を申し出るには、脱退事業所の事業主の同意及び当該脱退事業所に使用される海外厚年基金の加入員の二分の一以上の同意を得、並びに海外厚年基金の代議員会において代議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、及び海外厚年基金の脱退事業所以外の設立事業所に係る代議員の四分の三以上の同意を得た上で、厚生大臣の認可を受けなければならない。
5 国際厚年基金は、第一項及び第二項の規定により権利義務の移転の申出があったときは、当該年金たる給付及び一時金たる給付の支給に関する権利義務を承継することができる。
6 国際厚年基金は、前項の規定により権利義務を承継しようとするときは、その代議員会において代議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、厚生大臣の認可を受けなければならない。
7 国際厚年基金が第五項の規定により権利義務を承継したときは、国際厚年基金に年金たる給付の支給に関する義務が承継された者の海外厚年基金の加入員であった期間は、国際厚年基金の加入員であった期間とみなす。
第十一条 厚生年金保険法第百六十条第一項の規定により同項に規定する中途脱退者に係る年金たる給付の支給に関する義務を厚生年金基金連合会に移転した海外厚年基金につき前条第一項の規定による権利義務の移転があった場合において、当該中途脱退者が当該権利義務の移転があった海外厚年基金の当該権利義務を承継する厚生年金基金の加入員となったときは、同法第百六十一条第一項中「再びもとの基金」とあるのは、「国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)附則第十条第一項の規定により権利義務を移転した同項に規定する海外厚年基金の当該権利義務を承継する基金」と読み替えて、厚生年金保険法第百六十一条の規定を適用する。
2 前項に規定する者については、厚生年金保険法第百四十二条第四項ただし書及び第百四十三条第七項ただし書の規定は、適用しない。
3 第一項に規定する場合において、海外厚年基金が厚生年金保険法の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第六十一号。以下「法律第六十一号」という。)附則第一条ただし書に規定する一部施行日以後に法律第六十一号による改正後の厚生年金保険法第百六十条第一項の規定による申出をした同項に規定する中途脱退者であって法律第六十一号附則第二条第一項に規定する旧厚生年金適用者である者については、法律第六十一号附則第五条第二項中「第百六十二条の二まで」とあるのは「第百六十二条の二まで並びに国際協力銀行法附則第十一条第一項及び第二項」とする。
(名称の使用制限等に関する経過措置)
第十二条 この法律の施行の際現に国際協力銀行という名称を使用している者については、第七条第一項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第十三条 国際協力銀行の最初の事業年度は、第二十九条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、平成十二年三月三十一日に終わるものとする。
第十四条 国際協力銀行の最初の事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、第四十条第一項中「四月から九月まで及び十月から翌年三月までの半期ごとに」とあり、及び「これらの半期及び事業年度ごとに」とあるのは、「当該事業年度について」とする。
(日本輸出入銀行法及び海外経済協力基金法の廃止)
第十五条 次の法律は、廃止する。
一 日本輸出入銀行法
二 海外経済協力基金法
(日本輸出入銀行法及び海外経済協力基金法の廃止に伴う経過措置)
第十六条 前条の規定の施行前に旧輸銀法(第十二条を除く。)又は旧基金法(第十一条及び第十七条を除く。)の規定によりした処分、手続その他の行為は、この法律中の相当する規定によりした処分、手続その他の行為とみなす。
第十七条 附則第十五条の規定の施行前にした行為及びこの法律の規定によりなお従前の例によることとされる事項に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第十八条 附則第八条、第九条及び第十二条から第十四条まで、前二条並びに附則第二十二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律の一部改正)
第十九条 国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(昭和二十五年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「日本輸出入銀行」を「国際協力銀行」に改める。
(資産再評価法の一部改正)
第二十条 資産再評価法(昭和二十五年法律第百十号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号中「日本輸出入銀行及び」を削る。
(予算執行職員等の責任に関する法律の一部改正)
第二十一条 予算執行職員等の責任に関する法律(昭和二十五年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。
第九条第一項中「日本輸出入銀行」を「国際協力銀行」に改める。
(予算執行職員等の責任に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第二十二条 前条の規定による改正前の予算執行職員等の責任に関する法律第九条第一項、第十条第一項又は第十一条第一項に規定する日本輸出入銀行の予算執行職員、現金出納職員又は物品管理職員の前条の規定の施行前にした行為については、同条の規定による改正前の同法の規定は、なおその効力を有する。
(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律の一部改正)
第二十三条 国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律の一部を次のように改正する。
第二条第一項第二号から第四号までを次のように改める。
二から四まで 削除
第二条第二項第二号中「日本輸出入銀行」を「国際協力銀行」に改める。
(日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律の一部改正)
第二十四条 日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律(昭和四十六年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
題名中「日本輸出入銀行法」を「国際協力銀行法」に改める。
本則中「日本輸出入銀行」を「国際協力銀行」に改める。
第四条第二項中「日本輸出入銀行法第三十八条」を「国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)第四十四条」に改める。
(国際協力事業団法の一部改正)
第二十五条 国際協力事業団法(昭和四十九年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「日本輸出入銀行及び海外経済協力基金」を「国際協力銀行」に改める。
第八条第二項中「六人」を「五人」に改める。
第十条第二項中「日本輸出入銀行の理事のうちから、一人は海外経済協力基金の理事のうちから、それぞれ、日本輸出入銀行の総裁及び海外経済協力基金」を「国際協力銀行の理事のうちから、国際協力銀行」に改める。
第二十二条第一号イ中「日本輸出入銀行、海外経済協力基金」を「国際協力銀行」に改め、同号ロ及び同条第二号中「日本輸出入銀行及び海外経済協力基金」を「国際協力銀行」に改める。
(租税特別措置法の一部改正)
第二十六条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十五条中「別表第三の二十五の項」を「別表第三の二十四の項」に改める。
(所得税法の一部改正)
第二十七条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中海外経済協力基金の項を削り、国際観光振興会の項の次に次のように加える。
国際協力銀行
国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)
別表第一第一号の表日本輸出入銀行の項を削る。
(法人税法の一部改正)
第二十八条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中海外経済協力基金の項を削り、国際観光振興会の項の次に次のように加える。
国際協力銀行
国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)
別表第一第一号の表日本輸出入銀行の項を削る。
(印紙税法の一部改正)
第二十九条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第二中海外経済協力基金の項を削り、国際観光振興会の項の次に次のように加える。
国際協力銀行
国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)
別表第二日本輸出入銀行の項を削る。
(登録免許税法の一部改正)
第三十条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第三中一の項を削り、二の項を一の項とし、三の項を二の項とし、三の二の項を三の項とし、三の三の項を三の二の項とし、七の項の次に次のように加える。
七の二 国際協力銀行
国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)
別表第一の第一号から第十八号までに掲げる登記又は登録(先取特権、質権又は抵当権の保存、設定又は移転の登記又は登録を除く。)
別表第三中二十四の項を削り、二十五の項を二十四の項とし、二十六の項を二十五の項とし、二十七の項を二十六の項とし、二十八の項を二十七の項とし、二十九の項を二十八の項とする。
(消費税法の一部改正)
第三十一条 消費税法(昭和六十三年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
別表第三第一号の表中海外経済協力基金の項を削り、国際観光振興会の項の次に次のように加える。
国際協力銀行
国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)
別表第三第一号の表日本輸出入銀行の項を削る。
(地方税法の一部改正)
第三十二条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第二号中「海外経済協力基金、日本輸出入銀行」を「国際協力銀行」に改める。
(経済企画庁設置法の一部改正)
第三十三条 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第十七号中「海外経済協力基金」を「国際協力銀行」に改める。
(大蔵省設置法の一部改正)
第三十四条 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四条第八十九号中「日本輸出入銀行」を「国際協力銀行」に改める。
内閣総理大臣 小渕恵三
外務大臣 高村正彦
大蔵大臣 宮澤喜一
厚生大臣 宮下創平
農林水産大臣 中川昭一
通商産業大臣 与謝野馨
自治大臣 野田毅
国際協力銀行法をここに公布する。
御名御璽
平成十一年四月二十三日
内閣総理大臣 小渕恵三
法律第三十五号
国際協力銀行法
目次
第一章
総則(第一条―第八条)
第二章
役員及び職員(第九条―第二十二条)
第三章
業務(第二十三条―第二十八条)
第四章
財務及び会計(第二十九条―第五十一条)
第五章
監督(第五十二条・第五十三条)
第六章
雑則(第五十四条―第五十六条)
第七章
罰則(第五十七条―第六十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 国際協力銀行は、一般の金融機関と競争しないことを旨としつつ、我が国の輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序の安定に寄与するための貸付け等並びに開発途上にある海外の地域(以下「開発途上地域」という。)の経済及び社会の開発又は経済の安定に寄与するための貸付け等を行い、もって我が国及び国際経済社会の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 設備の輸出等 設備(航空機、船舶及び車両を含む。以下同じ。)並びにその部分品及び附属品で我が国で生産されたもの並びに我が国で生産されたその他の製品でその輸出が我が国の輸出入市場の開拓又は確保に著しく寄与すると認められるものを輸出すること又は我が国の輸出入市場の開拓若しくは確保又は外国との経済交流の促進に寄与すると認められる技術を提供することをいう。
二 重要物資の輸入等 我が国の外国との貿易関係若しくは国民経済の健全な発展のために不可欠な物資(設備を含む。)又は技術を輸入し又は受け入れることをいう。
三 出資外国法人等 我が国の法人等(法人その他の団体又は個人をいう。以下同じ。)の出資(株式又は持分の所有を含む。以下同じ。)に係る外国の法人等(我が国の法人等と原材料の供給、役員の派遣その他の継続的な経済関係を有する外国の法人等を含む。以下同じ。)をいう。
四 外国政府等 外国の政府、政府機関又は地方公共団体をいう。
五 外国金融機関等 外国の銀行その他の金融機関その他大蔵大臣が定める外国法人をいう。
六 銀行等 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)に規定する銀行、長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)に規定する長期信用銀行その他政令で定める金融機関をいう。
七 開発事業 開発途上地域の経済及び社会の開発に寄与し、かつ、我が国との経済交流を促進するため緊要と認められる事業(これらの事業の準備のための調査又は試験的実施を含む。)をいう。
八 協調融資 銀行等が国際協力銀行とともに資金の貸付けを行うことをいう。
(法人格)
第三条 国際協力銀行は、法人とする。
(事務所)
第四条 国際協力銀行は、主たる事務所を東京都に置く。
2 国際協力銀行は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(資本金)
第五条 国際協力銀行の資本金は、附則第六条第四項及び第七条第四項の規定により政府から出資があったものとされた金額の合計額とする。
2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、国際協力銀行に追加して出資することができる。
3 国際協力銀行は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。この場合において、当該資本金は、第四十一条第一項に定める経理の区分に従い、同項各号の業務に係る勘定ごとに整理しなければならない。
(登記)
第六条 国際協力銀行は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第七条 国際協力銀行でない者は、国際協力銀行という名称を用いてはならない。
2 銀行法第六条第二項の規定は、国際協力銀行には適用しない。
(民法の準用)
第八条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、国際協力銀行について準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第九条 国際協力銀行に、役員として、総裁一人、副総裁二人、理事七人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第十条 総裁は、国際協力銀行を代表し、その業務を総理する。
2 副総裁は、総裁の定めるところにより、国際協力銀行を代表し、総裁を補佐して国際協力銀行の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、総裁の定めるところにより、国際協力銀行を代表し、総裁及び副総裁を補佐して国際協力銀行の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときは総裁の職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときは総裁の職務を行う。
4 監事は、国際協力銀行の業務を監査する。
5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、総裁又は経済企画庁長官に意見を提出することができる。
6 経済企画庁長官は、前項の規定による意見の提出を受けたときは、遅滞なく、これを大蔵大臣に通知しなければならない。
(役員の任命)
第十一条 総裁及び監事は、内閣総理大臣が任命する。
2 副総裁は、内閣総理大臣の認可を受けて、総裁が任命する。
3 理事は、総裁が任命する。
(役員の任期)
第十二条 総裁及び副総裁の任期は四年とし、理事及び監事の任期は二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十三条 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。
(役員の解任)
第十四条 内閣総理大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。
2 内閣総理大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その役員を解任することができる。
一 この法律、この法律に基づく命令又はこれらの法令に基づいてする内閣総理大臣若しくは主務大臣の命令に違反したとき。
二 刑事事件により有罪の判決の言渡しを受けたとき。
三 破産の宣告を受けたとき。
四 心身の故障により職務を執ることができないとき。
3 内閣総理大臣は、国際協力銀行の副総裁又は理事が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、総裁に対しその役員の解任を命ずることができる。
(役員の兼職禁止)
第十五条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、経済企画庁長官及び大蔵大臣が役員としての職務の執行に支障がないものと認めて承認したときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第十六条 国際協力銀行と総裁、副総裁又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、監事が国際協力銀行を代表する。
(代理人の選任)
第十七条 総裁、副総裁及び理事は、国際協力銀行の職員のうちから、国際協力銀行の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第十八条 国際協力銀行の職員は、総裁が任命する。
(役員及び職員の秘密保持義務)
第十九条 国際協力銀行の役員及び職員は、その職務上知ることができた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。これらの者がその職を退いた後も、同様とする。
(役員及び職員の地位)
第二十条 国際協力銀行の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(役員の給与及び退職手当の支給の基準)
第二十一条 国際協力銀行は、その役員の給与及び退職手当の支給の基準を社会一般の情勢に適合したものとなるよう定め、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
(海外経済協力業務運営協議会)
第二十二条 国際協力銀行に、海外経済協力業務運営協議会を置く。
2 海外経済協力業務運営協議会は、総裁の諮問に応じ、国際協力銀行の次条第二項に規定する業務の運営に関する重要事項で関係行政機関の所掌事務と密接な関係があるものについて審議する。
3 海外経済協力業務運営協議会は、前項に規定する事項について、総裁に意見を述べることができる。
4 海外経済協力業務運営協議会は、関係行政機関の職員のうちから内閣総理大臣が任命する委員十五人以内で組織する。
5 前各項に定めるもののほか、海外経済協力業務運営協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
第三章 業務
(業務の範囲)
第二十三条 国際協力銀行は、第一条に掲げる目的を達成するため、次のうち我が国の輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序の安定に寄与するためのもの(以下「国際金融等業務」という。)を行う。
一 設備の輸出等のために必要な資金を貸し付け、当該資金に係る銀行等の貸付債権を譲り受け、又は当該資金に係る債務を保証すること。
二 重要物資の輸入等が確実かつ適時に行われるために必要な資金を貸し付け、当該資金に係る銀行等の貸付債権を譲り受け、又は当該資金に係る債務を保証すること。
三 我が国の法人等、外国政府等又は出資外国法人等が海外において行う事業に直接又は間接に充てられる資金(短期資金を除く。)を貸し付け、当該資金に係る銀行等の貸付債権を譲り受け、当該資金に係る債務を保証し、又は我が国の法人等が外国の法人等に対して当該資金に係る債務を保証した場合においてその保証債務を保証すること。
四 外国政府等、外国金融機関等若しくは国際通貨基金その他の国際機関に対して、その海外で行う事業若しくは当該外国の物資の輸入若しくは技術の受入れに必要な長期資金若しくは当該外国の国際収支の均衡若しくは通貨の安定を図るために必要な資金を貸し付け、当該資金に係る銀行等の貸付債権を譲り受け、若しくは当該資金に係る債務を保証し、又は当該資金を調達するために当該外国政府等、外国金融機関等若しくは国際通貨基金その他の国際機関が発行する公債、社債若しくはこれに準ずる債券(以下「公債等」という。)を応募その他の方法により取得し、若しくは当該公債等に係る債務を保証すること。
五 外国の政府又は外国の居住者において当該外国の国際収支上の理由により輸入その他の対外取引を行うことが著しく困難であり、かつ、緊急の必要があると認められる場合において、国際通貨基金その他の国際機関又は当該外国以外の二以上の国の政府、政府機関若しくは銀行(以下「国際通貨基金等」という。)が当該外国の経済の発展を支援するための資金(以下「経済支援資金」という。)の供与を行うまでの間、当該外国の政府、政府機関又は銀行に対して、当該輸入その他の対外取引の円滑化を図るために必要な短期資金を貸し付けること。
六 我が国からの設備の輸出等により我が国の法人等に対して債務を有する者が、その者の居住国(その者が外国の政府であるときは、当該外国。以下この号において同じ。)の国際収支上の理由により当該債務を履行することが著しく困難である場合に、当該居住国の政府、政府機関又は銀行に対して当該債務の履行の円滑化を図るために必要な資金を貸し付けること。
七 海外で事業を行う者(専ら海外投資を目的とする我が国の法人等で当該事業を行う者に対し出資するものを含む。)に対して当該事業に必要な資金を出資し、又は当該出資を受けた者がその行う事業に必要な長期資金を借り入れる場合(我が国の法人等から借り入れる場合を除く。)において、当該長期資金に係る債務を保証し、若しくは当該長期資金に係る債務を保証した者(我が国の法人等を除く。)に対してその保証債務を保証すること。
八 前各号の業務に関連して必要な調査を行うこと。
九 第一号から第七号までの業務に附帯する業務を行うこと。
2 国際協力銀行は、第一条に掲げる目的を達成するため、次の業務(第一号及び第二号に規定する業務は、資金の供与の条件が開発途上地域にとって重い負担にならないよう金利、償還期間等について緩やかな条件が付されているものに限る。以下「海外経済協力業務」という。)を行う。
一 開発途上地域の外国政府等その他の経済企画庁長官が定める者に対して、その行う開発事業の実施に必要な資金又は当該地域の経済の安定に関する計画の達成に必要な資金を貸し付けること。
二 我が国又は開発途上地域の法人等その他の経済企画庁長官が定める者に対して、その行う開発事業の実施に必要な資金を貸し付け、又は当該事業の遂行のため特に必要があるときは出資をすること。
三 前二号の業務に関連して必要な調査を行うこと。
四 前三号の業務に附帯する業務を行うこと。
第二十四条 前条第一項第一号に規定する業務のうち開発途上地域以外の地域に係るものは、我が国の輸出入市場の開拓又は確保のため特に必要なものとして政令で定める場合に限り、行うことができる。
2 前条第一項第二号に規定する業務のうち外国の法人等に対する保証は、銀行等が当該資金の貸付けを行った場合(当該資金に係る銀行等の貸付債権が銀行等以外の者で大蔵大臣が定めるものに譲渡された場合を含む。以下同じ。)に限り、行うことができる。
3 前条第一項第三号に規定する業務のうち次の各号に掲げるものは、当該各号に定める場合に限り、行うことができる。
一 開発途上地域以外の地域に係るもの 我が国と当該地域との貿易その他の経済関係の健全な発展に寄与し、又は国民経済に不可欠な資源、設備その他の製品若しくは技術の確保若しくは開発に寄与すると認められる場合
二 我が国の法人等が海外において行う事業に必要な資金を貸し付けるもの 当該法人等に対して直接貸し付ける場合
三 外国政府等又は出資外国法人等(我が国の法人等が株式又は持分の全部を所有しているものを除く。以下この号において同じ。)が海外において行う事業に直接に充てられる資金及び外国政府等又は出資外国法人等が海外において行う事業に外国政府等又は外国の法人等を通じて間接に充てられる資金(我が国の法人等が外国政府等又は外国の法人等に貸し付けるために必要な資金を除く。)に係る債務の保証 銀行等が当該資金の貸付けを行った場合
4 前条第一項第四号に規定する業務のうち貸し付けられた資金に係る債務の保証は、銀行等が当該資金の貸付けを行った場合に限り、行うことができる。
5 前条第一項第五号に規定する業務は、国際通貨基金等による経済支援資金の供与が確実と見込まれる場合であって、次の各号のいずれかに該当するときに限り、大蔵大臣の認可を受けて行うことができる。
一 国際通貨基金等(国際協力銀行を除く。)による経済支援資金の全部又は一部の供与が行われることにより、当該貸付けに係る資金の償還が確保されることとなっている場合
二 当該貸付けについて確実な担保を徴する場合
6 前条第一項第六号に規定する業務は、当該居住国における同種の債務に係る債権を有する者の居住国と協調して行う必要がある場合として政令で定める場合に限り、行うことができる。
7 前条第一項に規定する業務のうち次に掲げるものは、その貸付け、保証しようとする債務に係る貸付け又は譲り受けようとする貸付債権に係る貸付けが協調融資の場合に限り、行うことができる。ただし、第一号に掲げるものにあっては、銀行等が国際協力銀行とともに資金の貸付けをすることが著しく困難であり、かつ、国際協力銀行による貸付けがその目的を達成するために特に緊要であると認められる場合には、この限りでない。
一 前条第一項第一号から第三号までに規定する資金の貸付けで我が国の法人等に対するもの
二 前条第一項第一号に規定する保証で外国政府等又は外国の法人等の債務に係るもの
三 前条第一項第一号から第四号までに規定する銀行等の貸付債権の譲受け
8 前条第一項第八号に規定する業務は、同項第一号から第七号までに規定する業務の円滑かつ効果的な実施に必要最小限の場合に限り、行うことができる。
第二十五条 国際協力銀行は、資金の貸付け、貸付債権の譲受け、公債等の取得、債務の保証又は出資(以下「資金の貸付け等」という。)について、一般の金融機関が行う資金の貸付け等を補完し、又は奨励するよう行うものとし、これらと競争してはならない。
2 国際協力銀行は、一般の金融機関が通常の条件により資金の貸付け等を行うことが困難と認められる場合に限り、資金の貸付け等を行うことができる。
3 第二十三条第一項の規定による資金の貸付け等は、当該貸付けに係る資金の償還、当該譲受けに係る債権の回収、当該取得に係る公債等の償還、当該保証に係る債務の履行又は当該出資に係る事業からの配当の支払を可能とする利益の発生が確実であると認められる場合に限り、行うことができる。
4 第二十三条第一項第一号から第七号までの規定による貸付金の利率及び債務の保証の料率は、第四十一条第一項第一号の業務に係る勘定における収入がその支出を償うに足るように、銀行等の貸付利率及び債務の保証料率を勘案して定めるものとする。
5 国際協力銀行は、第二十三条第二項第一号若しくは第二号の開発事業に係る事業計画又は同項第一号の経済の安定に関する計画の内容が適切であり、その達成の見込みがあると認められる場合に限り、同項第一号又は第二号の規定による資金の貸付け又は出資をすることができる。
(海外経済協力業務実施方針)
第二十六条 国際協力銀行は、第二十三条第二項第一号の業務について、総理府令で定めるところにより、その業務を効果的かつ効率的に実施するために重点を置くべき分野及び地域その他の事項についての実施方針(以下「海外経済協力業務実施方針」という。)を定めなければならない。
2 国際協力銀行は、海外経済協力業務実施方針を定めようとするときは、経済企画庁長官の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 国際協力銀行は、前項の規定による経済企画庁長官の承認を受けたときは、遅滞なく、海外経済協力業務実施方針を公表しなければならない。
(業務方法書)
第二十七条 国際協力銀行は、業務の開始の際、業務方法書を作成しなければならない。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、総理府令・大蔵省令で定める。
(委託業務に従事する銀行等の役員及び職員の地位)
第二十八条 国際協力銀行は、銀行等に対し、その業務の一部を委託することができる。
2 前項の規定により国際協力銀行の業務の委託を受けた銀行等(以下「受託者」という。)の役員及び職員でその委託を受けた業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第四章 財務及び会計
(事業年度)
第二十九条 国際協力銀行の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(予算)
第三十条 国際協力銀行は、毎事業年度、収入及び支出の予算を作成し、これを経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に提出しなければならない。
2 前項の収入は、貸付金の利息、公債等の利子、出資に対する配当金、債務保証料その他資産の運用に係る収入及び附属雑収入とし、同項の支出は、事務取扱費、業務委託費、第四十五条第一項の規定による借入金の利子、同項又は同条第八項の規定により発行する銀行債券の利子及び附属諸費とする。
3 大蔵大臣は、第一項の規定により予算の提出を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。
4 内閣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、その予算を国の予算とともに国会に提出しなければならない。
5 予算の形式及び内容並びにその作成及び提出の手続については、大蔵大臣が定める。
第三十一条 前条の予算には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 当該事業年度の事業計画及び資金計画に関する書類
二 前々年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 前年度及び当該事業年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
四 その他当該予算の参考となる書類
(予備費)
第三十二条 予見し難い事由による支出予算の不足を補うため、国際協力銀行の予算に予備費を設けることができる。
(予算の議決)
第三十三条 国際協力銀行の予算の国会の議決に関しては、国の予算の議決の例による。
(予算の通知)
第三十四条 内閣は、国際協力銀行の予算が国会の議決を経たときは、大蔵大臣及び経済企画庁長官を経由して、直ちにその旨を国際協力銀行に通知するものとする。
2 国際協力銀行は、前項の規定による通知を受けた後でなければ、予算を執行することができない。
3 大蔵大臣は、第一項の規定による通知があったときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
(補正予算)
第三十五条 国際協力銀行は、予算の作成後に生じた事由に基づき予算に変更を加える必要がある場合には、補正予算を作成し、これに補正予算の作成により変更した第三十一条第一号、第三号及び第四号に掲げる書類(前年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表を除く。)を添え、経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に提出することができる。ただし、予算の追加に係る補正予算は、予算の作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった場合に限り、作成することができる。
2 第三十条第二項から第五項まで及び前二条の規定は、前項の規定による補正予算について準用する。
(暫定予算)
第三十六条 国際協力銀行は、必要に応じて、一事業年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これに当該期間の事業計画及び資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に提出することができる。
2 第三十条第二項から第五項まで、第三十三条及び第三十四条の規定は、前項の規定による暫定予算について準用する。
3 暫定予算は、当該事業年度の予算が成立したときは失効するものとし、暫定予算に基づく支出があるときは、これを当該事業年度の予算に基づいてしたものとみなす。
(予算の執行)
第三十七条 国際協力銀行は、支出予算については、当該予算に定める目的のほかに使用してはならない。
第三十八条 国際協力銀行は、予算で指定する経費の金額については、大蔵大臣の承認を受けなければ、流用することができない。
2 国際協力銀行は、前項の規定により承認を受けようとするときは、経済企画庁長官を経由してしなければならない。
3 大蔵大臣は、第一項の承認をしたときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
第三十九条 国際協力銀行は、予備費を使用するときは、直ちにその旨を経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に通知しなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定による通知を受けたときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
(財務諸表等)
第四十条 国際協力銀行は、財産目録及び貸借対照表を四月から九月まで及び十月から翌年三月までの半期ごとに、損益計算書をこれらの半期及び事業年度ごとに作成し、当該書類(以下「財務諸表」という。)に関する監事の意見を付して、当該半期経過後二月以内又は当該事業年度終了後三月以内に、経済企画庁長官に届け出なければならない。
2 経済企画庁長官は、前項の規定による届出を受けたときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に通知しなければならない。
3 国際協力銀行は、第一項の規定による財務諸表の届出をしたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表及び附属明細書並びに同項の監事の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、総理府令・大蔵省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
4 国際協力銀行は、決算を完結したときは、遅滞なく、当該事業年度の業務報告書を、各事務所に備えて置き、総理府令・大蔵省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
5 第三項に規定する附属明細書及び前項に規定する業務報告書に記載すべき事項は、総理府令・大蔵省令で定める。
(区分経理)
第四十一条 国際協力銀行は、次に掲げる業務ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。
一 国際金融等業務
二 海外経済協力業務
2 次の各号に掲げる金額に係る経理は、それぞれ当該各号に定める勘定において行うものとする。
一 附則第六条第四項の規定により国際協力銀行に出資があったものとされた金額 国際金融等業務に係る勘定(以下「国際金融等勘定」という。)
二 附則第七条第四項の規定により国際協力銀行に出資があったものとされた金額 海外経済協力業務に係る勘定(以下「海外経済協力勘定」という。)
(決算)
第四十二条 国際協力銀行は、毎事業年度の決算を翌事業年度の五月三十一日までに完結しなければならない。
第四十三条 国際協力銀行は、決算完結後予算の区分に従い、毎事業年度の決算報告書を作成し、当該決算報告書に関する監事の意見を付し、かつ、第四十条第一項の規定により経済企画庁長官に届け出た財務諸表を添え、遅滞なく、経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に提出しなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定により決算報告書及び財務諸表の提出を受けたときは、これを内閣に送付しなければならない。
3 内閣は、前項の規定により決算報告書及び財務諸表の送付を受けたときは、翌事業年度の十一月三十日までにこれを会計検査院に送付し、その検査を経て、国の歳入歳出の決算とともに、国会に提出しなければならない。
4 国際協力銀行は、第一項の規定による決算報告書の提出をしたときは、遅滞なく、同項の決算報告書及び監事の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、大蔵省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
5 第一項に規定する決算報告書の形式及び内容については、大蔵大臣が定める。
(利益及び損失の処理並びに国庫納付金)
第四十四条 国際協力銀行は、毎事業年度、国際金融等勘定の損益計算において利益を生じたときは、準備金として、政令で定める基準により計算した額を、国際金融等勘定に整理された資本金の額と同額に達するまでは、積み立てなければならない。
2 国際協力銀行は、毎事業年度、海外経済協力勘定の損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、当該残余の額を、積立金として、海外経済協力勘定に整理された資本金の額と同額に達するまでは、積み立てなければならない。
3 国際協力銀行は、毎事業年度、海外経済協力勘定の損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
4 第一項の準備金又は第二項の積立金は、その属する勘定において生じた損失の補てんに充てる場合を除いては、取り崩してはならない。
5 国際協力銀行は、第四十一条第一項各号の業務に係る勘定ごとに、第一項の規定による毎事業年度の損益計算において生じた利益から同項の規定により準備金として積み立てた額を控除した残額及び第二項の規定による残余の額から同項の規定により積立金として積み立てた額を控除した残額を、翌事業年度の五月三十一日までに国庫に納付しなければならない。
6 政府は、前項の規定による国庫納付金の一部を、政令で定めるところにより、当該事業年度中において概算で納付させることができる。
7 前項に定めるもののほか、第五項の規定による国庫納付金の納付の手続及びその帰属する会計その他国庫納付金に関し必要な事項は、政令で定める。
(借入金及び国際協力銀行債券)
第四十五条 国際協力銀行は、その業務を行うために必要な資金の財源に充てるため、政府若しくは銀行その他の金融機関から資金の借入れをし、又は国際協力銀行債券(第四十七条第四項を除き、以下「銀行債券」という。)を発行することができる。
2 前項の規定による資金の借入れ又は銀行債券の発行により調達した資金は、第四十一条第一項に定める経理の区分に従い、同項各号の業務に係る勘定ごとに整理しなければならない。
3 第一項の規定による銀行その他の金融機関からの資金の借入れは、資金繰りのため必要がある場合その他総理府令・大蔵省令で定める場合において、短期借入金に限り、行うことができる。
4 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、特に必要がある場合として総理府令・大蔵省令で定める場合には、その償還することができない金額に限り、経済企画庁長官及び大蔵大臣の認可を受けてこれを借り換えることができる。
5 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
6 国際協力銀行は、毎事業年度、政令で定めるところにより、第一項の規定による銀行債券の発行に係る基本方針を作成し、経済企画庁長官及び大蔵大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
7 国際協力銀行は、第一項の規定により銀行債券を発行したときは、政令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を経済企画庁長官及び大蔵大臣に届け出なければならない。
8 第一項に定めるもののほか、国際協力銀行は、銀行債券を失った者に対し交付するため必要があるときは、政令で定めるところにより、銀行債券を発行することができる。
9 第一項又は前項の規定により発行する銀行債券の債権者は、国際協力銀行の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
10 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
11 国際協力銀行は、銀行債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行、信託会社又は証券業者に委託することができる。
12 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条、第三百十条及び第三百十一条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行、信託会社又は証券業者について準用する。
13 前各項に定めるもののほか、銀行債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(借入金等の限度額)
第四十六条 前条第一項の規定による借入金の現在額及び同項の規定により発行する銀行債券の元本に係る債務の現在額の合計額(以下「借入金等の合計額」という。)は、次の各号に掲げる額が、それぞれ当該各号に定める額を超えることとなってはならない。
一 国際金融等勘定における借入金等の合計額 第五条に規定する資本金のうち国際金融等勘定に区分された額及び第四十四条第一項に規定する準備金の額の合計額の十倍に相当する額
二 海外経済協力勘定における借入金等の合計額 第五条に規定する資本金のうち海外経済協力勘定に区分された額及び第四十四条第二項に規定する積立金の額の合計額の三倍に相当する額
2 前項の規定にかかわらず、銀行債券について、発行済みのものの借換えのため必要があるときは、一時当該額を超えて銀行債券を発行することができる。
3 第二十三条第一項の規定による資金の貸付け、譲受けに係る債権及び公債等の取得の現在額、保証に係る債務及び保証債務に係る債務の現在額並びに出資の現在額の合計額は、第五条に規定する資本金のうち国際金融等勘定に区分された額及び第四十四条第一項に規定する準備金の額並びに第一項第一号の規定による借入れ及び債券発行の限度額の合計額を超えることとなってはならない。
(政府保証)
第四十七条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、予算をもって定める金額の範囲内において、第四十五条第一項の規定により発行する銀行債券に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号。次項、第四項及び附則第八条第一項第一号において「外資受入法」という。)第二条の規定により政府が保証契約をすることができる債務を除く。第三項において同じ。)について、保証契約をすることができる。
2 前項の予算をもって定める金額のうち、外国を発行地とする本邦通貨をもって表示する銀行債券に係る債務についての金額は、外資受入法第二条第二項に規定する予算をもって定める金額と区別して定めることが困難であるときは、当該金額と合算して定めることができる。
3 政府は、第一項の規定によるほか、国際協力銀行が第四十五条第八項の規定により発行する銀行債券に係る債務について、保証契約をすることができる。
4 日本政策投資銀行法(平成十一年法律第七十三号)第四十三条第一項に規定する銀行債券のうち外国を発行地とする本邦通貨をもって表示するものに係る債務について予算をもって定める金額が、同法第四十五条第二項の規定により外資受入法第二条第二項に規定する予算をもって定める金額と合算して定められる場合には、当該銀行債券に係る債務を政府が外資受入法第二条第二項の規定により保証契約をすることができる債券に係る債務とみなして、第一項及び第二項の規定を適用する。
(交付金)
第四十八条 政府は、予算の範囲内において、国際協力銀行に対し、海外経済協力業務に要する費用の一部に相当する金額を交付することができる。
(余裕金の運用)
第四十九条 国際協力銀行は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債、地方債又は政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)の保有
二 資金運用部への預託
三 日本銀行、銀行その他経済企画庁長官及び大蔵大臣の指定する金融機関への預金
四 譲渡性預金証書の保有
五 前各号の方法に準ずるものとして総理府令・大蔵省令で定める方法
2 前項の余裕金の運用は、安全かつ効率的に行わなければならない。
(会計検査院の検査)
第五十条 会計検査院は、必要があると認めるときは、受託者につき、当該委託業務に係る会計を検査することができる。
(総理府令・大蔵省令への委任)
第五十一条 この法律及びこれに基づく政令に規定するもののほか、国際協力銀行の財務及び会計に関し必要な事項は、総理府令・大蔵省令で定める。
第五章 監督
(監督)
第五十二条 国際協力銀行は、主務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。
2 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、国際協力銀行からの報告又は次条第一項の規定による検査の結果に基づき、国際協力銀行に対して業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第五十三条 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、国際協力銀行若しくは受託者に対して報告をさせ、又はその職員に、国際協力銀行若しくは受託者の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。ただし、受託者に対しては、当該委託業務の範囲内に限る。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第六章 雑則
(解散)
第五十四条 国際協力銀行の解散については、別に法律で定める。
(協議)
第五十五条 経済企画庁長官は、次の場合には、外務大臣、大蔵大臣及び通商産業大臣に協議しなければならない。
一 第二十三条第二項第一号及び第二号の規定により貸付け又は出資を受ける者を定めようとするとき。
二 第二十六条第二項の規定により承認をしようとするとき。
三 第五十二条第二項の規定により主務大臣として命令をしようとするとき(海外経済協力業務及び海外経済協力勘定に関する事項に限る。)。
2 内閣総理大臣は、第二十六条第一項の規定により総理府令を定めようとするときは、外務大臣、大蔵大臣及び通商産業大臣に協議しなければならない。
3 内閣総理大臣及び大蔵大臣は、第二十七条第二項の規定により総理府令・大蔵省令(海外経済協力業務に関する事項に限る。)を定めようとするときは、外務大臣及び通商産業大臣に協議しなければならない。
(主務大臣)
第五十六条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 役員及び職員その他の管理業務に関する事項については、経済企画庁長官及び大蔵大臣
二 国際金融等業務及び国際金融等勘定に関する事項については、大蔵大臣
三 海外経済協力業務及び海外経済協力勘定に関する事項については、経済企画庁長官
第七章 罰則
第五十七条 第十九条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第五十八条 第五十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした国際協力銀行又は受託者の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
第五十九条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした国際協力銀行の役員又は職員は、二十万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により経済企画庁長官又は大蔵大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。
二 この法律の規定により経済企画庁長官又は大蔵大臣に届出をしなければならない場合において、その届出をしなかったとき。
三 第六条第一項の規定に違反して登記することを怠ったとき。
四 第二十三条に規定する業務以外の業務を行ったとき。
五 第四十六条第一項の規定に違反して資金の借入れ若しくは債券の発行をし、又は同条第三項の規定に違反して資金の貸付け、貸付債権の譲受け、公債等の取得、債務の保証若しくは出資をしたとき。
六 第四十九条第一項の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
七 第五十二条第二項の規定による主務大臣の命令に違反したとき。
第六十条 第七条第一項の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第十五条から第三十四条までの規定は、平成十一年十月一日から施行する。
(国際協力銀行の設立)
第二条 内閣総理大臣は、国際協力銀行の総裁又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された総裁又は監事となるべき者は、国際協力銀行の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ総裁又は監事に任命されたものとする。
第三条 経済企画庁長官は、設立委員を命じて、国際協力銀行の設立に関する事務を処理させる。
2 経済企画庁長官は、前項の規定により設立委員を命じようとするときは、あらかじめ、大蔵大臣に協議しなければならない。
3 設立委員は、国際協力銀行の設立の準備を完了したときは、遅滞なく、その旨を経済企画庁長官に届け出るとともに、その事務を前条第一項の規定により指名された総裁となるべき者に引き継がなければならない。
4 経済企画庁長官は、前項の規定による届出を受けたときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に通知しなければならない。
第四条 附則第二条第一項の規定により指名された総裁となるべき者は、前条第三項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第五条 国際協力銀行は、設立の登記をすることによって成立する。
(日本輸出入銀行の解散等)
第六条 日本輸出入銀行(以下「輸銀」という。)は、国際協力銀行の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、附則第十五条の規定による廃止前の日本輸出入銀行法(昭和二十五年法律第二百六十八号。以下「旧輸銀法」という。)第八条第二項の規定にかかわらず、その時において国際協力銀行が承継する。
2 輸銀の平成十一年四月一日に始まる事業年度は、輸銀の解散の日の前日に終わるものとする。
3 輸銀の平成十一年四月一日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに利益金の処分及び国庫納付金については、なお従前の例による。この場合において、旧輸銀法第三十五条第一項中「四月から九月まで及び十月から翌年三月までの半期」、「これらの半期及び事業年度」及び「半期又は当該事業年度」とあるのは「事業年度」と、同法第三十六条中「翌事業年度の七月三十一日」とあるのは「平成十一年十一月三十日」と、同法第三十七条第三項中「翌事業年度の」とあるのは「平成十二年」と、同法第三十八条第一項第二号中「千分の三」とあるのは「千分の一・五」と、同条第三項中「翌事業年度の五月三十一日」とあるのは「平成十一年十一月三十日」と読み替えるものとする。
4 第一項の規定により国際協力銀行が輸銀の権利及び義務を承継したときは、その承継の際における輸銀に対する政府の出資金に相当する金額は、国際協力銀行の設立に際し政府から国際協力銀行に出資されたものとする。
5 第一項の規定により国際協力銀行が輸銀の権利及び義務を承継したときは、その承継の際旧輸銀法第三十八条第一項の準備金として積み立てられている金額は、国際金融等勘定において、第四十四条第一項の準備金として整理しなければならない。
6 第一項の規定により輸銀が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(海外経済協力基金の解散等)
第七条 海外経済協力基金(以下「基金」という。)は、国際協力銀行の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において国際協力銀行が承継する。
2 基金の平成十一年四月一日に始まる事業年度は、基金の解散の日の前日に終わるものとする。
3 基金の平成十一年四月一日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、なお従前の例による。この場合において、附則第十五条の規定による廃止前の海外経済協力基金法(昭和三十五年法律第百七十三号。以下「旧基金法」という。)第二十七条中「翌事業年度の六月三十日」とあるのは、「平成十一年十一月三十日」と読み替えるものとする。
4 第一項の規定により国際協力銀行が基金の権利及び義務を承継したときは、その承継の際における基金に対する政府の出資金に相当する金額は、国際協力銀行の設立に際し政府から国際協力銀行に出資されたものとする。
5 第一項の規定により国際協力銀行が基金の権利及び義務を承継したときは、その承継の際旧基金法第二十九条第一項の積立金として整理されている金額は、海外経済協力勘定において、第四十四条第二項の積立金として整理しなければならない。
6 第一項の規定により基金が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(権利及び義務の承継に伴う経過措置)
第八条 附則第六条第一項又は第七条第一項の規定により国際協力銀行が承継する次の各号に掲げる借入金又は債券に係る債務について政府がした当該各号に掲げる保証契約は、その承継後においても、当該借入金又は債券に係る債務について従前の条件により存続するものとする。
一 旧輸銀法第三十九条の二第一項の外貨債券等 旧輸銀法第三十九条の三又は外資受入法第二条第二項の規定による保証契約
二 旧基金法第二十九条の二第一項の長期借入金及び海外経済協力基金債券 旧基金法第二十九条の四の規定による保証契約
2 前項の外貨債券等及び海外経済協力基金債券は、第四十五条第九項及び第十項の規定の適用については、同条第一項の規定による銀行債券とみなす。
(非課税)
第九条 附則第六条第一項及び第七条第一項の規定により国際協力銀行が権利を承継する場合における当該承継に伴う登記又は登録については、登録免許税を課さない。
2 附則第六条第一項及び第七条第一項の規定により国際協力銀行が権利を承継する場合における当該承継に係る不動産又は自動車の取得に対しては、不動産取得税若しくは土地の取得に対して課する特別土地保有税又は自動車取得税を課することができない。
3 国際協力銀行が附則第六条第一項又は第七条第一項の規定により承継し、かつ、引き続き保有する土地のうち、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第五百九十九条第一項の規定により申告納付すべき日の属する年の一月一日において輸銀又は基金が当該土地を取得した日以後十年を経過しているものに対しては、土地に対して課する特別土地保有税を課することができない。
(厚生年金基金間の権利義務の移転)
第十条 基金の事業所又は事務所を厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第百十七条第三項に規定する設立事業所(以下「設立事業所」という。)とする厚生年金基金(以下「海外厚年基金」という。)は、国際協力銀行の事業所又は事務所を国際協力銀行の成立の日に設立事業所とすることとなる厚生年金基金(以下「国際厚年基金」という。)に申し出て、海外厚年基金の設立事業所(以下この条において「脱退事業所」という。)に使用される海外厚年基金の加入員に係る海外厚年基金の加入員であった期間に係る年金たる給付及び一時金たる給付の支給に関する権利義務を移転することができる。
2 前項の規定により権利義務の移転を行う場合には、海外厚年基金は、国際厚年基金に申し出て、脱退事業所に使用される海外厚年基金の加入員であった者であって当該加入員の資格を喪失したもの(同項に規定する脱退事業所に使用される海外厚年基金の加入員を除く。)のうち次項の同意をしたものに係る海外厚年基金の加入員であった期間(厚生年金基金連合会がその支給に関する義務を承継している年金たる給付の額の計算の基礎となる海外厚年基金の加入員であった期間を除く。)に係る年金たる給付及び一時金たる給付の支給に関する権利義務を移転することができる。
3 海外厚年基金が前項の規定により当該海外厚年基金の加入員の資格を喪失した者に係る権利義務の移転を申し出るには、当該加入員の資格を喪失した者の同意を得なければならない。
4 海外厚年基金が第一項及び第二項の規定により権利義務の移転を申し出るには、脱退事業所の事業主の同意及び当該脱退事業所に使用される海外厚年基金の加入員の二分の一以上の同意を得、並びに海外厚年基金の代議員会において代議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、及び海外厚年基金の脱退事業所以外の設立事業所に係る代議員の四分の三以上の同意を得た上で、厚生大臣の認可を受けなければならない。
5 国際厚年基金は、第一項及び第二項の規定により権利義務の移転の申出があったときは、当該年金たる給付及び一時金たる給付の支給に関する権利義務を承継することができる。
6 国際厚年基金は、前項の規定により権利義務を承継しようとするときは、その代議員会において代議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、厚生大臣の認可を受けなければならない。
7 国際厚年基金が第五項の規定により権利義務を承継したときは、国際厚年基金に年金たる給付の支給に関する義務が承継された者の海外厚年基金の加入員であった期間は、国際厚年基金の加入員であった期間とみなす。
第十一条 厚生年金保険法第百六十条第一項の規定により同項に規定する中途脱退者に係る年金たる給付の支給に関する義務を厚生年金基金連合会に移転した海外厚年基金につき前条第一項の規定による権利義務の移転があった場合において、当該中途脱退者が当該権利義務の移転があった海外厚年基金の当該権利義務を承継する厚生年金基金の加入員となったときは、同法第百六十一条第一項中「再びもとの基金」とあるのは、「国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)附則第十条第一項の規定により権利義務を移転した同項に規定する海外厚年基金の当該権利義務を承継する基金」と読み替えて、厚生年金保険法第百六十一条の規定を適用する。
2 前項に規定する者については、厚生年金保険法第百四十二条第四項ただし書及び第百四十三条第七項ただし書の規定は、適用しない。
3 第一項に規定する場合において、海外厚年基金が厚生年金保険法の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第六十一号。以下「法律第六十一号」という。)附則第一条ただし書に規定する一部施行日以後に法律第六十一号による改正後の厚生年金保険法第百六十条第一項の規定による申出をした同項に規定する中途脱退者であって法律第六十一号附則第二条第一項に規定する旧厚生年金適用者である者については、法律第六十一号附則第五条第二項中「第百六十二条の二まで」とあるのは「第百六十二条の二まで並びに国際協力銀行法附則第十一条第一項及び第二項」とする。
(名称の使用制限等に関する経過措置)
第十二条 この法律の施行の際現に国際協力銀行という名称を使用している者については、第七条第一項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第十三条 国際協力銀行の最初の事業年度は、第二十九条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、平成十二年三月三十一日に終わるものとする。
第十四条 国際協力銀行の最初の事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、第四十条第一項中「四月から九月まで及び十月から翌年三月までの半期ごとに」とあり、及び「これらの半期及び事業年度ごとに」とあるのは、「当該事業年度について」とする。
(日本輸出入銀行法及び海外経済協力基金法の廃止)
第十五条 次の法律は、廃止する。
一 日本輸出入銀行法
二 海外経済協力基金法
(日本輸出入銀行法及び海外経済協力基金法の廃止に伴う経過措置)
第十六条 前条の規定の施行前に旧輸銀法(第十二条を除く。)又は旧基金法(第十一条及び第十七条を除く。)の規定によりした処分、手続その他の行為は、この法律中の相当する規定によりした処分、手続その他の行為とみなす。
第十七条 附則第十五条の規定の施行前にした行為及びこの法律の規定によりなお従前の例によることとされる事項に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第十八条 附則第八条、第九条及び第十二条から第十四条まで、前二条並びに附則第二十二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律の一部改正)
第十九条 国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(昭和二十五年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「日本輸出入銀行」を「国際協力銀行」に改める。
(資産再評価法の一部改正)
第二十条 資産再評価法(昭和二十五年法律第百十号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号中「日本輸出入銀行及び」を削る。
(予算執行職員等の責任に関する法律の一部改正)
第二十一条 予算執行職員等の責任に関する法律(昭和二十五年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。
第九条第一項中「日本輸出入銀行」を「国際協力銀行」に改める。
(予算執行職員等の責任に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第二十二条 前条の規定による改正前の予算執行職員等の責任に関する法律第九条第一項、第十条第一項又は第十一条第一項に規定する日本輸出入銀行の予算執行職員、現金出納職員又は物品管理職員の前条の規定の施行前にした行為については、同条の規定による改正前の同法の規定は、なおその効力を有する。
(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律の一部改正)
第二十三条 国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律の一部を次のように改正する。
第二条第一項第二号から第四号までを次のように改める。
二から四まで 削除
第二条第二項第二号中「日本輸出入銀行」を「国際協力銀行」に改める。
(日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律の一部改正)
第二十四条 日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律(昭和四十六年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
題名中「日本輸出入銀行法」を「国際協力銀行法」に改める。
本則中「日本輸出入銀行」を「国際協力銀行」に改める。
第四条第二項中「日本輸出入銀行法第三十八条」を「国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)第四十四条」に改める。
(国際協力事業団法の一部改正)
第二十五条 国際協力事業団法(昭和四十九年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「日本輸出入銀行及び海外経済協力基金」を「国際協力銀行」に改める。
第八条第二項中「六人」を「五人」に改める。
第十条第二項中「日本輸出入銀行の理事のうちから、一人は海外経済協力基金の理事のうちから、それぞれ、日本輸出入銀行の総裁及び海外経済協力基金」を「国際協力銀行の理事のうちから、国際協力銀行」に改める。
第二十二条第一号イ中「日本輸出入銀行、海外経済協力基金」を「国際協力銀行」に改め、同号ロ及び同条第二号中「日本輸出入銀行及び海外経済協力基金」を「国際協力銀行」に改める。
(租税特別措置法の一部改正)
第二十六条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十五条中「別表第三の二十五の項」を「別表第三の二十四の項」に改める。
(所得税法の一部改正)
第二十七条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中海外経済協力基金の項を削り、国際観光振興会の項の次に次のように加える。
国際協力銀行
国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)
別表第一第一号の表日本輸出入銀行の項を削る。
(法人税法の一部改正)
第二十八条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中海外経済協力基金の項を削り、国際観光振興会の項の次に次のように加える。
国際協力銀行
国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)
別表第一第一号の表日本輸出入銀行の項を削る。
(印紙税法の一部改正)
第二十九条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第二中海外経済協力基金の項を削り、国際観光振興会の項の次に次のように加える。
国際協力銀行
国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)
別表第二日本輸出入銀行の項を削る。
(登録免許税法の一部改正)
第三十条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第三中一の項を削り、二の項を一の項とし、三の項を二の項とし、三の二の項を三の項とし、三の三の項を三の二の項とし、七の項の次に次のように加える。
七の二 国際協力銀行
国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)
別表第一の第一号から第十八号までに掲げる登記又は登録(先取特権、質権又は抵当権の保存、設定又は移転の登記又は登録を除く。)
別表第三中二十四の項を削り、二十五の項を二十四の項とし、二十六の項を二十五の項とし、二十七の項を二十六の項とし、二十八の項を二十七の項とし、二十九の項を二十八の項とする。
(消費税法の一部改正)
第三十一条 消費税法(昭和六十三年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
別表第三第一号の表中海外経済協力基金の項を削り、国際観光振興会の項の次に次のように加える。
国際協力銀行
国際協力銀行法(平成十一年法律第三十五号)
別表第三第一号の表日本輸出入銀行の項を削る。
(地方税法の一部改正)
第三十二条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第二号中「海外経済協力基金、日本輸出入銀行」を「国際協力銀行」に改める。
(経済企画庁設置法の一部改正)
第三十三条 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第十七号中「海外経済協力基金」を「国際協力銀行」に改める。
(大蔵省設置法の一部改正)
第三十四条 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四条第八十九号中「日本輸出入銀行」を「国際協力銀行」に改める。
内閣総理大臣 小渕恵三
外務大臣 高村正彦
大蔵大臣 宮沢喜一
厚生大臣 宮下創平
農林水産大臣 中川昭一
通商産業大臣 与謝野馨
自治大臣 野田毅