(事業年度)
第二十九条 国際協力銀行の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(予算)
第三十条 国際協力銀行は、毎事業年度、収入及び支出の予算を作成し、これを経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に提出しなければならない。
2 前項の収入は、貸付金の利息、公債等の利子、出資に対する配当金、債務保証料その他資産の運用に係る収入及び附属雑収入とし、同項の支出は、事務取扱費、業務委託費、第四十五条第一項の規定による借入金の利子、同項又は同条第八項の規定により発行する銀行債券の利子及び附属諸費とする。
3 大蔵大臣は、第一項の規定により予算の提出を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。
4 内閣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、その予算を国の予算とともに国会に提出しなければならない。
5 予算の形式及び内容並びにその作成及び提出の手続については、大蔵大臣が定める。
第三十一条 前条の予算には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 当該事業年度の事業計画及び資金計画に関する書類
三 前年度及び当該事業年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
(予備費)
第三十二条 予見し難い事由による支出予算の不足を補うため、国際協力銀行の予算に予備費を設けることができる。
(予算の議決)
第三十三条 国際協力銀行の予算の国会の議決に関しては、国の予算の議決の例による。
(予算の通知)
第三十四条 内閣は、国際協力銀行の予算が国会の議決を経たときは、大蔵大臣及び経済企画庁長官を経由して、直ちにその旨を国際協力銀行に通知するものとする。
2 国際協力銀行は、前項の規定による通知を受けた後でなければ、予算を執行することができない。
3 大蔵大臣は、第一項の規定による通知があったときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
(補正予算)
第三十五条 国際協力銀行は、予算の作成後に生じた事由に基づき予算に変更を加える必要がある場合には、補正予算を作成し、これに補正予算の作成により変更した第三十一条第一号、第三号及び第四号に掲げる書類(前年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表を除く。)を添え、経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に提出することができる。ただし、予算の追加に係る補正予算は、予算の作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった場合に限り、作成することができる。
2 第三十条第二項から第五項まで及び前二条の規定は、前項の規定による補正予算について準用する。
(暫定予算)
第三十六条 国際協力銀行は、必要に応じて、一事業年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これに当該期間の事業計画及び資金計画その他当該予算の参考となる事項に関する書類を添え、経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に提出することができる。
2 第三十条第二項から第五項まで、第三十三条及び第三十四条の規定は、前項の規定による暫定予算について準用する。
3 暫定予算は、当該事業年度の予算が成立したときは失効するものとし、暫定予算に基づく支出があるときは、これを当該事業年度の予算に基づいてしたものとみなす。
(予算の執行)
第三十七条 国際協力銀行は、支出予算については、当該予算に定める目的のほかに使用してはならない。
第三十八条 国際協力銀行は、予算で指定する経費の金額については、大蔵大臣の承認を受けなければ、流用することができない。
2 国際協力銀行は、前項の規定により承認を受けようとするときは、経済企画庁長官を経由してしなければならない。
3 大蔵大臣は、第一項の承認をしたときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
第三十九条 国際協力銀行は、予備費を使用するときは、直ちにその旨を経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に通知しなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定による通知を受けたときは、直ちにその旨を会計検査院に通知しなければならない。
(財務諸表等)
第四十条 国際協力銀行は、財産目録及び貸借対照表を四月から九月まで及び十月から翌年三月までの半期ごとに、損益計算書をこれらの半期及び事業年度ごとに作成し、当該書類(以下「財務諸表」という。)に関する監事の意見を付して、当該半期経過後二月以内又は当該事業年度終了後三月以内に、経済企画庁長官に届け出なければならない。
2 経済企画庁長官は、前項の規定による届出を受けたときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に通知しなければならない。
3 国際協力銀行は、第一項の規定による財務諸表の届出をしたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表及び附属明細書並びに同項の監事の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、総理府令・大蔵省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
4 国際協力銀行は、決算を完結したときは、遅滞なく、当該事業年度の業務報告書を、各事務所に備えて置き、総理府令・大蔵省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
5 第三項に規定する附属明細書及び前項に規定する業務報告書に記載すべき事項は、総理府令・大蔵省令で定める。
(区分経理)
第四十一条 国際協力銀行は、次に掲げる業務ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。
2 次の各号に掲げる金額に係る経理は、それぞれ当該各号に定める勘定において行うものとする。
一 附則第六条第四項の規定により国際協力銀行に出資があったものとされた金額 国際金融等業務に係る勘定(以下「国際金融等勘定」という。)
二 附則第七条第四項の規定により国際協力銀行に出資があったものとされた金額 海外経済協力業務に係る勘定(以下「海外経済協力勘定」という。)
(決算)
第四十二条 国際協力銀行は、毎事業年度の決算を翌事業年度の五月三十一日までに完結しなければならない。
第四十三条 国際協力銀行は、決算完結後予算の区分に従い、毎事業年度の決算報告書を作成し、当該決算報告書に関する監事の意見を付し、かつ、第四十条第一項の規定により経済企画庁長官に届け出た財務諸表を添え、遅滞なく、経済企画庁長官を経由して大蔵大臣に提出しなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定により決算報告書及び財務諸表の提出を受けたときは、これを内閣に送付しなければならない。
3 内閣は、前項の規定により決算報告書及び財務諸表の送付を受けたときは、翌事業年度の十一月三十日までにこれを会計検査院に送付し、その検査を経て、国の歳入歳出の決算とともに、国会に提出しなければならない。
4 国際協力銀行は、第一項の規定による決算報告書の提出をしたときは、遅滞なく、同項の決算報告書及び監事の意見を記載した書面を、各事務所に備えて置き、大蔵省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
5 第一項に規定する決算報告書の形式及び内容については、大蔵大臣が定める。
(利益及び損失の処理並びに国庫納付金)
第四十四条 国際協力銀行は、毎事業年度、国際金融等勘定の損益計算において利益を生じたときは、準備金として、政令で定める基準により計算した額を、国際金融等勘定に整理された資本金の額と同額に達するまでは、積み立てなければならない。
2 国際協力銀行は、毎事業年度、海外経済協力勘定の損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、当該残余の額を、積立金として、海外経済協力勘定に整理された資本金の額と同額に達するまでは、積み立てなければならない。
3 国際協力銀行は、毎事業年度、海外経済協力勘定の損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
4 第一項の準備金又は第二項の積立金は、その属する勘定において生じた損失の補てんに充てる場合を除いては、取り崩してはならない。
5 国際協力銀行は、第四十一条第一項各号の業務に係る勘定ごとに、第一項の規定による毎事業年度の損益計算において生じた利益から同項の規定により準備金として積み立てた額を控除した残額及び第二項の規定による残余の額から同項の規定により積立金として積み立てた額を控除した残額を、翌事業年度の五月三十一日までに国庫に納付しなければならない。
6 政府は、前項の規定による国庫納付金の一部を、政令で定めるところにより、当該事業年度中において概算で納付させることができる。
7 前項に定めるもののほか、第五項の規定による国庫納付金の納付の手続及びその帰属する会計その他国庫納付金に関し必要な事項は、政令で定める。
(借入金及び国際協力銀行債券)
第四十五条 国際協力銀行は、その業務を行うために必要な資金の財源に充てるため、政府若しくは銀行その他の金融機関から資金の借入れをし、又は国際協力銀行債券(第四十七条第四項を除き、以下「銀行債券」という。)を発行することができる。
2 前項の規定による資金の借入れ又は銀行債券の発行により調達した資金は、第四十一条第一項に定める経理の区分に従い、同項各号の業務に係る勘定ごとに整理しなければならない。
3 第一項の規定による銀行その他の金融機関からの資金の借入れは、資金繰りのため必要がある場合その他総理府令・大蔵省令で定める場合において、短期借入金に限り、行うことができる。
4 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、特に必要がある場合として総理府令・大蔵省令で定める場合には、その償還することができない金額に限り、経済企画庁長官及び大蔵大臣の認可を受けてこれを借り換えることができる。
5 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
6 国際協力銀行は、毎事業年度、政令で定めるところにより、第一項の規定による銀行債券の発行に係る基本方針を作成し、経済企画庁長官及び大蔵大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
7 国際協力銀行は、第一項の規定により銀行債券を発行したときは、政令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を経済企画庁長官及び大蔵大臣に届け出なければならない。
8 第一項に定めるもののほか、国際協力銀行は、銀行債券を失った者に対し交付するため必要があるときは、政令で定めるところにより、銀行債券を発行することができる。
9 第一項又は前項の規定により発行する銀行債券の債権者は、国際協力銀行の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
10 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
11 国際協力銀行は、銀行債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行、信託会社又は証券業者に委託することができる。
12 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条、第三百十条及び第三百十一条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行、信託会社又は証券業者について準用する。
13 前各項に定めるもののほか、銀行債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(借入金等の限度額)
第四十六条 前条第一項の規定による借入金の現在額及び同項の規定により発行する銀行債券の元本に係る債務の現在額の合計額(以下「借入金等の合計額」という。)は、次の各号に掲げる額が、それぞれ当該各号に定める額を超えることとなってはならない。
一 国際金融等勘定における借入金等の合計額 第五条に規定する資本金のうち国際金融等勘定に区分された額及び第四十四条第一項に規定する準備金の額の合計額の十倍に相当する額
二 海外経済協力勘定における借入金等の合計額 第五条に規定する資本金のうち海外経済協力勘定に区分された額及び第四十四条第二項に規定する積立金の額の合計額の三倍に相当する額
2 前項の規定にかかわらず、銀行債券について、発行済みのものの借換えのため必要があるときは、一時当該額を超えて銀行債券を発行することができる。
3 第二十三条第一項の規定による資金の貸付け、譲受けに係る債権及び公債等の取得の現在額、保証に係る債務及び保証債務に係る債務の現在額並びに出資の現在額の合計額は、第五条に規定する資本金のうち国際金融等勘定に区分された額及び第四十四条第一項に規定する準備金の額並びに第一項第一号の規定による借入れ及び債券発行の限度額の合計額を超えることとなってはならない。
(政府保証)
第四十七条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、予算をもって定める金額の範囲内において、第四十五条第一項の規定により発行する銀行債券に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号。次項、第四項及び附則第八条第一項第一号において「外資受入法」という。)第二条の規定により政府が保証契約をすることができる債務を除く。第三項において同じ。)について、保証契約をすることができる。
2 前項の予算をもって定める金額のうち、外国を発行地とする本邦通貨をもって表示する銀行債券に係る債務についての金額は、外資受入法第二条第二項に規定する予算をもって定める金額と区別して定めることが困難であるときは、当該金額と合算して定めることができる。
3 政府は、第一項の規定によるほか、国際協力銀行が第四十五条第八項の規定により発行する銀行債券に係る債務について、保証契約をすることができる。
4 日本政策投資銀行法(平成十一年法律第七十三号)第四十三条第一項に規定する銀行債券のうち外国を発行地とする本邦通貨をもって表示するものに係る債務について予算をもって定める金額が、同法第四十五条第二項の規定により外資受入法第二条第二項に規定する予算をもって定める金額と合算して定められる場合には、当該銀行債券に係る債務を政府が外資受入法第二条第二項の規定により保証契約をすることができる債券に係る債務とみなして、第一項及び第二項の規定を適用する。
(交付金)
第四十八条 政府は、予算の範囲内において、国際協力銀行に対し、海外経済協力業務に要する費用の一部に相当する金額を交付することができる。
(余裕金の運用)
第四十九条 国際協力銀行は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債、地方債又は政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)の保有
三 日本銀行、銀行その他経済企画庁長官及び大蔵大臣の指定する金融機関への預金
五 前各号の方法に準ずるものとして総理府令・大蔵省令で定める方法
2 前項の余裕金の運用は、安全かつ効率的に行わなければならない。
(会計検査院の検査)
第五十条 会計検査院は、必要があると認めるときは、受託者につき、当該委託業務に係る会計を検査することができる。
(総理府令・大蔵省令への委任)
第五十一条 この法律及びこれに基づく政令に規定するもののほか、国際協力銀行の財務及び会計に関し必要な事項は、総理府令・大蔵省令で定める。