地方自治法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第57号
公布年月日: 平成16年5月26日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

地方分権の推進と地方公共団体の組織・運営の合理化を図るため、都道府県合併の手続整備、地域自治区制度の創設、条例による事務処理特例制度の拡充を行う。また、収入役制度及び議会の定例会制度の見直しなどを実施する。これらの改正により、地方自治体の自主性・自立性を高め、効率的な行政運営を実現することを目指す。

参照した発言:
第159回国会 衆議院 本会議 第17号

審議経過

第159回国会

衆議院
(平成16年3月23日)
(平成16年4月13日)
(平成16年4月20日)
(平成16年4月22日)
(平成16年4月27日)
(平成16年4月27日)
参議院
(平成16年5月11日)
(平成16年5月18日)
(平成16年5月19日)
地方自治法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十六年五月二十六日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第五十七号
地方自治法の一部を改正する法律
地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
地方自治法目次中「第七款 附属機関」を
第七款
附属機関
第四節
地域自治区
に改める。
第六条第二項中「境界の変更」を「設置又は境界の変更」に改め、同条の次に次の一条を加える。
第六条の二 前条第一項の規定によるほか、二以上の都道府県の廃止及びそれらの区域の全部による一の都道府県の設置又は都道府県の廃止及びその区域の全部の他の一の都道府県の区域への編入は、関係都道府県の申請に基づき、内閣が国会の承認を経てこれを定めることができる。
前項の申請については、関係都道府県の議会の議決を経なければならない。
第一項の申請は、総務大臣を経由して行うものとする。
第一項の規定による処分があつたときは、総務大臣は、直ちにその旨を告示しなければならない。
第一項の規定による処分は、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。
第七条第三項中「境界にわたる」の下に「市町村の設置を伴う市町村の廃置分合又は」を加え、「基き」を「基づき」に改め、同条第四項中「前項」を「第三項」に改め、同条第五項中「、第三項及び前項」を「及び前三項」に改め、同条第六項中「第三項」の下に「若しくは第四項」を加え、同条第七項中「又は第三項」を「、第三項又は第四項」に改め、同条第三項の次に次の一項を加える。
前項の規定により都道府県の境界にわたる市町村の設置の処分を行う場合においては、当該市町村の属すべき都道府県について、関係のある普通地方公共団体の申請に基づき、総務大臣が当該処分と併せてこれを定める。
第七条の二第三項中「前条第七項」を「前条第八項」に改める。
第八条第三項中「第五項乃至第七項」を「第六項から第八項まで」に改める。
第九条第七項中「第六項」を「第七項」に改める。
第九条の三第六項中「第七条第六項及び第七項」を「第七条第七項及び第八項」に改める。
第九十条に次の五項を加える。
第六条の二第一項の規定による処分により、著しく人口の増加があつた都道府県においては、前二項の規定にかかわらず、議員の任期中においても、議員の定数を増加することができる。
第六条の二第一項の規定により都道府県の設置をしようとする場合において、その区域の全部が当該新たに設置される都道府県の区域の一部となる都道府県(以下本条において「設置関係都道府県」という。)は、その協議により、あらかじめ、新たに設置される都道府県の議会の議員の定数を定めなければならない。
前項の規定により新たに設置される都道府県の議会の議員の定数を定めたときは、設置関係都道府県は、直ちに当該定数を告示しなければならない。
前項の規定により告示された新たに設置される都道府県の議会の議員の定数は、第一項の規定に基づく当該都道府県の条例により定められたものとみなす。
第六項の協議については、設置関係都道府県の議会の議決を経なければならない。
第九十一条第七項中「第七条第一項」の下に「又は第三項」を加える。
第百二条第二項中「四回以内において」を削る。
第百六十八条第二項ただし書中「但し、町村」を「ただし、政令で定める市及び町村」に、「町村長」を「市町村長」に改める。
第百八十条の七中「若しくは出張所」の下に「、第二百二条の四第二項に規定する地域自治区の事務所」を加え、「但し」を「ただし」に改める。
第二編第七章に次の一節を加える。
第四節 地域自治区
(地域自治区の設置)
第二百二条の四 市町村は、市町村長の権限に属する事務を分掌させ、及び地域の住民の意見を反映させつつこれを処理させるため、条例で、その区域を分けて定める区域ごとに地域自治区を設けることができる。
2 地域自治区に事務所を置くものとし、事務所の位置、名称及び所管区域は、条例で定める。
3 地域自治区の事務所の長は、事務吏員をもつて充てる。
4 第四条第二項の規定は第二項の地域自治区の事務所の位置及び所管区域について、第百七十五条第二項の規定は前項の事務所の長について準用する。
(地域協議会の設置及び構成員)
第二百二条の五 地域自治区に、地域協議会を置く。
2 地域協議会の構成員は、地域自治区の区域内に住所を有する者のうちから、市町村長が選任する。
3 市町村長は、前項の規定による地域協議会の構成員の選任に当たつては、地域協議会の構成員の構成が、地域自治区の区域内に住所を有する者の多様な意見が適切に反映されるものとなるよう配慮しなければならない。
4 地域協議会の構成員の任期は、四年以内において条例で定める期間とする。
5 第二百三条第一項の規定にかかわらず、地域協議会の構成員には報酬を支給しないこととすることができる。
(地域協議会の会長及び副会長)
第二百二条の六 地域協議会に、会長及び副会長を置く。
2 地域協議会の会長及び副会長の選任及び解任の方法は、条例で定める。
3 地域協議会の会長及び副会長の任期は、地域協議会の構成員の任期による。
4 地域協議会の会長は、地域協議会の事務を掌理し、地域協議会を代表する。
5 地域協議会の副会長は、地域協議会の会長に事故があるとき又は地域協議会の会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(地域協議会の権限)
第二百二条の七 地域協議会は、次に掲げる事項のうち、市町村長その他の市町村の機関により諮問されたもの又は必要と認めるものについて、審議し、市町村長その他の市町村の機関に意見を述べることができる。
一 地域自治区の事務所が所掌する事務に関する事項
二 前号に掲げるもののほか、市町村が処理する地域自治区の区域に係る事務に関する事項
三 市町村の事務処理に当たつての地域自治区の区域内に住所を有する者との連携の強化に関する事項
2 市町村長は、条例で定める市町村の施策に関する重要事項であつて地域自治区の区域に係るものを決定し、又は変更しようとする場合においては、あらかじめ、地域協議会の意見を聴かなければならない。
3 市町村長その他の市町村の機関は、前二項の意見を勘案し、必要があると認めるときは、適切な措置を講じなければならない。
(地域協議会の組織及び運営)
第二百二条の八 この法律に定めるもののほか、地域協議会の構成員の定数その他の地域協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、条例で定める。
(政令への委任)
第二百二条の九 この法律に規定するものを除くほか、地域自治区に関し必要な事項は、政令で定める。
第二百三十二条の四第一項中「普通地方公共団体の長の」の下に「政令で定めるところによる」を加える。
第二百三十四条の三中「不動産を借りる契約」の下に「その他政令で定める契約」を加える。
第二百五十二条の十七の二に次の二項を加える。
3 市町村の長は、その議会の議決を経て、都道府県知事に対し、第一項の規定によりその権限に属する事務の一部を当該市町村が処理することとするよう要請することができる。
4 前項の規定による要請があつたときは、都道府県知事は、速やかに、当該市町村の長と協議しなければならない。
第二百五十二条の二十第六項中「前五項」を「前各項」に、「の外」を「のほか」に改め、同項を同条第十項とし、同条第五項の次に次の四項を加える。
6 指定都市は、必要と認めるときは、条例で、区ごとに区地域協議会を置くことができる。この場合において、その区域内に地域自治区が設けられる区には、区地域協議会を設けないことができる。
7 第二百二条の五第二項から第五項まで及び第二百二条の六から第二百二条の九までの規定は、区地域協議会に準用する。
8 指定都市は、地域自治区を設けるときは、その区域は、区の区域を分けて定めなければならない。
9 第六項の規定に基づき、区に区地域協議会を置く指定都市は、第二百二条の四第一項の規定にかかわらず、その一部の区の区域に地域自治区を設けることができる。
第二百五十二条の二十六の二及び第二百五十二条の二十六の七中「第七条第一項」の下に「又は第三項」を、「届出」の下に「又は申請」を加える。
第二百五十五条中「除く外」を「除くほか」に改め、「第二項」の下に「、第六条の二第一項」を加える。
第二百五十九条第四項中「第一項乃至第三項」を「第一項から第三項まで」に、「第七条第七項」を「第七条第八項」に改める。
第二百八十一条の五中「又は第三項及び第六項」を「又は第三項及び第七項」に、「第七条第六項及び第七項」を「第七条第七項及び第八項」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第六条第二項の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定、第七条、第七条の二第三項、第八条第三項、第九条第七項及び第九条の三第六項の改正規定、第九十条に五項を加える改正規定、第九十一条第七項、第二百五十二条の二十六の二、第二百五十二条の二十六の七、第二百五十五条、第二百五十九条第四項及び第二百八十一条の五の改正規定並びに次条から附則第八条までの規定は、平成十七年四月一日から施行する。
(漁業法の一部改正)
第二条 漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)の一部を次のように改正する。
第九十四条第一項の表以外の部分中「第三十三条第一項、第二項、第四項及び第五項」を「第三十三条」に改め、「一般選挙)」の下に「、第百十七条(設置選挙)」を加え、同項の表第二十五条第四項の項の次に次のように加える。
第三十三条第三項
地方自治法第六条の二第四項又は第七条第七項の告示
漁業法第八十四条第二項の公示
第九十四条第二項を削る。
(公職選挙法の一部改正)
第三条 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。
第十三条に次の一項を加える。
6 地方自治法第六条の二第一項の規定による都道府県の廃置分合があつても、衆議院(比例代表選出)議員の選挙区は、なお従前の区域による。
第十四条に次の一項を加える。
2 地方自治法第六条の二第一項の規定による都道府県の廃置分合があつても、参議院(選挙区選出)議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数は、なお従前の例による。
第十五条の二第三項中「第十四条」を「第十四条第一項」に改める。
第三十三条第三項中「市町村」を「地方公共団体」に、「因る」を「よる」に、「第七条第六項」を「第六条の二第四項又は第七条第七項」に改める。
第百十一条第三項中「地方自治法」の下に「第九十条第五項又は」を加え、「市町村の議会」を「地方公共団体の議会」に、「当該市町村」を「当該都道府県又は市町村」に改める。
第百十三条第二項中「当該」の下に「都道府県又は」を加える。
第百十七条中「市町村が」を「地方公共団体が」に改め、「おいては、」の下に「都道府県又は」を加え、「当該市町村」を「当該地方公共団体」に改める。
(地方税法の一部改正)
第四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第八条の四第一項中「市町村の」の下に「設置又は」を加える。
第八条の五中「境界の変更」を「設置若しくは境界の変更」に改める。
(農業委員会等に関する法律の一部改正)
第五条 農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
第十一条の表第三十三条第三項の項中「第七条第六項」を「第六条の二第四項又は第七条第七項」に、「市町村」を「地方公共団体」に改め、同表第百十七条の項中「市町村」を「地方公共団体」に改める。
(国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部改正)
第六条 国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律(昭和三十一年法律第八十二号)の一部を次のように改正する。
第二十九条中「境界の変更」を「設置又は境界の変更」に改める。
(大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律の一部改正)
第七条 大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律(昭和三十九年法律第百六号)の一部を次のように改正する。
第三条中「第七条第六項」を「第六条の二第四項又は第七条第七項」に、「市町村」を「地方公共団体」に改める。
(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の一部改正)
第八条 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
別表漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)の項中「第九十四条第一項」を「第九十四条」に改める。
総務大臣 麻生太郎
農林水産大臣 亀井善之
内閣総理大臣 小泉純一郎