(会社の目的)
第十三條 電源開発株式会社(以下「会社」という。)は、基本計画において会社が行うべきものと定められた地点における電源開発をすみやかに行い、電気の供給を増加することを目的とする株式会社とする。
2 基本計画において会社が行うべき電源開発の地点を定める場合には、その地点は、左の各号の一に該当するもののうち、会社以外の者が具体的な計画を附して電源開発を行うべきことを主務官庁に申し出たものであつて審議会においてその計画の内容が適当であり、且つ、その計画の実施が可能であると確認されたものに係る地点を除いた地点に限る。
一 只見川その他の河川等に係る大規模な又は実施の困難な電源開発
二 国土の総合的な開発、利用及び保全に関し特に考慮を要する北上川その他の河川等に係る電源開発
三 電力の地域的な需給を調整する等のため特に必要な、火力又は球磨川その他の河川等に係る電源開発
(事務所)
2 会社は、必要な地に支店又は出張所を置くことができる。
(株式)
第十五條 会社の発行する株式の総数は、一億株とする。
2 会社の株式は、額面株式とし、一株の金額を千円とする。
3 政府は、常時、会社の発行済株式の総数の二分の一以上に当る株式を保有していなければならない。
4 会社はその設立に際し、五百万株を発行するものとする。
5 会社は、新株を発行しようとするときは、主務官庁の認可を受けなければならない。
(利息配当の特例)
第十六條 会社は、開業前に利息の配当をすべきことを定めた場合においても、政府の保有する株式については、利息の配当をすることができない。
(商号の使用制限)
第十七條 会社以外の者は、その商号中に電源開発株式会社という文字を使用してはならない。
(役員)
第十八條 会社に、役員として、総裁一人、副総裁一人、理事五人以内及び監事二人を置く。
2 副総裁は、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、総裁及び副総裁に事故があるときは総裁の職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときは総裁の職務を行う。
第二十條 総裁、副総裁、理事及び監事は、株主総会の意見を聞き、内閣が任命する。
第二十一條 総裁、副総裁及び理事の任期は、二年、監事の任期は、一年とする。
2 総裁、副総裁、理事及び監事は、再任されることができる。
第二十二條 総裁、副総裁及び理事は、他の職務又は商業に従事することができない。但し、主務官庁の承認を受けたときは、この限りでない。
(事業の範囲)
第二十三條 会社は、その目的を達成するため、左の事業を営むものとする。
四 前各号に掲げるものの外、その他会社の目的を達成するために必要な事業
2 会社が前項第二号の規定により発電施設及び送電変電施設を貸し付け、若しくは譲渡し又は同項第四号に掲げる事業を営もうとするときは、主務官庁の認可を受けなければならない。
3 会社が第一項第三号の規定により電気事業者に対し電気の供給をしようとするときは、その供給量、供給についての料金及び供給の相手方について主務官庁の認可を受けなければならない。この場合においては、公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)第四十條の規定は、適用しない。
4 主務官庁は、第二項の発電施設及び送電変電施設の貸付又は譲渡並びに前項の料金についての認可に当つては、経済安定本部総裁に依頼して審議会の意見を求め、その意見を尊重して、これをしなければならない。
(社債発行限度の特例)
第二十四條 会社は、商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百九十七條の規定による制限をこえて社債を募集することができる。但し、資本及び準備金の総額又は最終の貸借対照表により会社に現存する純財産額のいずれか少い額の十倍をこえてはならない。
(一般担保)
第二十五條 会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
(工場抵当法の適用)
第二十六條 会社の所有する発電施設又は送電変電施設は、工場抵当法(明治三十八年法律第五十四号)第一條の工場とみなし、同法の規定を適用する。この場合において、同法第十三條、第二十四條、第二十五條、第二十七條第一号及び第三号、第二十九條並びに第三十三條第一項(同法第四十三條においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定は、第二十三條第一項第二号の規定による発電施設又は送電変電施設を目的とする賃借権については、適用しない。
(外貨債務の保証)
第二十七條 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三條の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、会社の外貨で支払わなければならない債務について、保証契約をすることができる。
(土地の立入等)
第二十八條 会社は、発電施設又は送電変電施設の設置又は改良に関する測量、実地調査又は工事のため必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて、その職員に、他人の土地に立ち入り、又は支障となる竹木を伐採させることができる。
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつたときは、土地の所有者及び占有者又は竹木の所有者にその旨を通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
3 会社は、第一項の規定によりその職員に他人の土地に立ち入り、又は竹木を伐採させるときは、あらかじめ土地の占有者又は竹木の所有者に通知しなければならない。
4 第一項の規定により他人の土地に立ち入り、又は竹木を伐採する会社の職員は、都道府県知事の許可を受けたことを証明する書面を携帯し、土地の占有者又は竹木の所有者の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
5 会社は、第一項の規定によりその職員に他人の土地に立ち入り、又は竹木を伐採させたときは、これによつて生じた損失を補償しなければならない。
(監督)
第二十九條 会社は、主務官庁が、この法律の定めるところに従い監督する。
2 主務官庁は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
第三十條 会社は、弁済期限が一年をこえる資金を借り入れようとするときは、主務官庁の認可を受けなければならない。
第三十一條 会社は、主務官庁の認可を受けなければ発電施設及び送電変電施設を所有権及び賃借権以外の権利の目的とすることができない。
第三十二條 会社の定款の変更、利益金の処分、社債の募集、合併及び解散の決議は、主務官庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第三十三條 会社は、毎営業年度の事業計画を定め、主務官庁の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(役員の解任)
第三十四條 内閣は、会社の役員の行為が法令若しくは法令に基く処分又は定款に違反すると認めるときは、これを解任することができる。
(報告及び検査)
第三十五條 主務官庁は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社からその業務の状況に関する報告を徴し、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人に呈示しなければならない。
3 第一項の規定による検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(罰則)
第三十六條 前條第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした会社の役員又は職員は、五万円以下の罰金に処する。
第三十七條 第三十五條第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、五万円以下の罰金に処する。
第三十八條 会社の役員又は職員が会社の業務に関し前二條の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、会社に対して各本條の刑を科する。
第三十九條 左の各号に掲げる違反があつた場合においては、その行為をした会社の役員又は職員は、三十万円以下の過料に処する。
一 第十五條第五項、第三十條又は第三十三條の規定に違反したとき。
二 第二十四條但書の規定に違反して、社債を募集したとき。
第四十條 左の各号に掲げる違反があつた場合においては、その行為をした会社の役員又は職員は、三万円以下の過料に処する。
一 第二十三條第二項若しくは第三項又は第三十一條の規定に違反したとき。
二 第二十九條第二項の規定による命令に違反したとき。
第四十一條 第十七條の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。