特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律
法令番号: 法律第五十三号
公布年月日: 昭和63年5月20日
法令の形式: 法律
特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和六十三年五月二十日
内閣総理大臣 竹下登
法律第五十三号
特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律
目次
第一章
総則(第一条―第三条)
第二章
特定物質の製造等の規制
第一節
特定フロンの製造等の規制(第四条―第十五条)
第二節
特定ハロンの製造等の規制(第十六条―第二十一条)
第三章
特定物質の排出の抑制及び使用の合理化(第二十二条・第二十三条)
第四章
雑則(第二十四条―第三十三条)
第五章
罰則(第三十四条―第三十七条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、国際的に協力してオゾン層の保護を図るため、オゾン層の保護のためのウィーン条約(以下「条約」という。)及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書(以下「議定書」という。)の的確かつ円滑な実施を確保するための特定物質の製造の規制並びに排出の抑制及び使用の合理化に関する措置等を講じ、もつて人の健康の保護及び生活環境の保全に資することを目的とする。
(定義等)
第二条 この法律において「特定フロン」とは、議定書附属書AのグループⅠに属する物質をいう。
2 この法律において「特定ハロン」とは、議定書附属書AのグループⅡに属する物質をいう。
3 この法律において「特定物質」とは、特定フロン及び特定ハロンをいう。
4 この法律において「生産量」とは、議定書第一条5に規定する生産量の同条7に規定する算定値をいう。
5 この法律において「消費量」とは、議定書第一条6に規定する消費量の同条7に規定する算定値をいう。
6 この法律における特定フロン又は特定ハロンの数量は、議定書附属書AのグループI又はグループIIに属する物質の種類別の量に、議定書附属書AのグループI又はグループIIに掲げる当該物質のオゾン破壊係数を乗じて得られる数量を、それぞれ合計した数量とする。
(基本的事項等の公表)
第三条 環境庁長官及び通商産業大臣は、条約及び議定書の的確かつ円滑な実施を図るため、次に掲げる事項を定めて公表するものとする。これを変更したときも、同様とする。
一 議定書第二条1本文、2本文、3本文及び4本文の規定に基づき我が国が遵守しなければならない特定フロン又は特定ハロンの生産量及び消費量の基準限度
二 オゾン層の保護の意義に関する知識の普及その他のオゾン層の保護に関する国民の理解及び協力を求めるための施策の実施に関する重要な事項
三 前号に掲げるもののほか、オゾン層の保護についての施策の実施に関する重要な事項
2 通商産業大臣は、特定フロン又は特定ハロンについて、次条第一項のフロン年度又は第十六条第一項のハロン年度ごとに、その生産量及び消費量その他通商産業省令で定める数量の実績を公表するものとする。
第二章 特定物質の製造等の規制
第一節 特定フロンの製造等の規制
(製造数量の許可)
第四条 特定フロンを製造しようとする者は、フロン年度(議定書第二条1、3及び4の規定に即して通商産業省令で定める期間をいう。以下同じ。)ごとに、当該フロン年度において製造しようとする数量について、通商産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、当該フロン年度における製造について第十一条第一項の確認を受けた者が特定フロンを製造するとき又は政令で定める数量以下の特定フロンを製造するときは、この限りでない。
2 前項の許可を受けようとする者は、通商産業大臣が告示する期間内に、次の事項を記載した申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 前項の許可を受けて製造しようとする数量
三 製造及び貯蔵の場所
四 製造設備の構造及び能力
五 その製造に係る特定フロンのうち当該フロン年度において通商産業省令で定める地域を仕向地として輸出されることが見込まれるものの数量(第八条第二項において「特定フロン輸出予定数量」という。)
六 その他通商産業省令で定める事項
3 第一項ただし書の政令で定める数量以下の特定フロンを製造しようとする者は、通商産業省令で定めるところにより、その製造数量を通商産業大臣に届け出なければならない。
(輸出用製造数量の指定)
第五条 通商産業大臣は、前条第一項の許可をする場合には、当該許可に係る数量(以下「特定フロン許可製造数量」という。)の全部又は一部を、当該許可に係る者(以下「特定フロン許可製造者」という。)の特定フロン確定輸出数量(その製造に係る特定フロンであつて、通商産業省令で定めるところにより、当該フロン年度において同条第二項第五号の通商産業省令で定める地域を仕向地として輸出されたことについての又は輸出されることが確実である旨の通商産業大臣の確認を受けたものの数量をいう。以下同じ。)に応じて製造しなければならない数量として指定することができる。
(輸入の承認)
第六条 特定フロンを輸入しようとする者は、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第五十二条の規定により、輸入の承認を受ける義務を課せられるものとする。
(許可等の基準)
第七条 通商産業大臣は、我が国の特定フロンの生産量及び消費量が議定書第二条に基づき我が国が遵守しなければならない特定フロンの生産量及び消費量の限度を超えるものとならないように、かつ、特定フロンの製造及び輸出入の状況及び動向その他の事情を勘案して、第四条第一項の許可、第五条の規定による指定又は前条の輸入の承認に関する処分を行うものとする。
(特定フロン許可製造数量の増加の許可等)
第八条 特定フロン許可製造者は、その許可に係るフロン年度内において、通商産業大臣が告示する期間内に、特定フロン許可製造数量の増加の許可又は第五条の規定により指定された数量(以下「特定フロン輸出用製造数量」という。)の減少の指定を申請することができる。
2 前項の規定による申請は、次の事項を記載した申請書を通商産業大臣に提出してしなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 増加しようとする特定フロン許可製造数量又は減少しようとする特定フロン輸出用製造数量
三 特定フロン輸出予定数量
四 その他通商産業省令で定める事項
3 第五条及び前条の規定は第一項の増加の許可について、同条の規定は同項の減少の指定について準用する。
(特定フロン許可製造者の変更の届出等)
第九条 特定フロン許可製造者は、第四条第二項第一号、第三号又は第四号に掲げる事項に変更があつたときは、通商産業省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
2 特定フロン許可製造者は、許可に係るフロン年度において製造しようとする特定フロンの数量(以下「特定フロン製造予定数量」という。)が特定フロン許可製造数量(前条第一項の増加の許可、第十五条第一項の規定による削減又は同条第二項の規定による減少の処分があつたときは、これらの処分による変更後のもの)を下回ることが確実となつたときは、遅滞なく、通商産業省令で定めるところにより、当該特定フロン製造予定数量を通商産業大臣に届け出なければならない。
3 前項の規定による届出があつたときは、届出をした者の特定フロン許可製造数量は、届出に係る特定フロン製造予定数量に変更されるものとする。この場合において、通商産業大臣は、その者の特定フロン輸出用製造数量の減少の指定を行うことができる。
4 第七条の規定は、前項後段の減少の指定について準用する。
(許可の条件)
第十条 第四条第一項の許可又は第八条第一項の増加の許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、議定書の的確かつ円滑な実施を確保し、又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
(破壊の確認)
第十一条 特定フロンを製造しようとする者は、フロン年度ごとに、特定フロンが総理府令、通商産業省令で定める基準に従い通商産業省令で定める期間内に破壊されたことを通商産業省令で定めるところにより証明して、当該証明に係る数量の特定フロンを製造することができる旨の通商産業大臣の確認を受けることができる。
2 前項の確認を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書に同項の規定による証明に係る書面を添付して、通商産業大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 破壊を行つた者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
三 破壊された数量並びに破壊の場所及び年月日
四 製造しようとする特定フロンの製造及び貯蔵の場所
五 その他通商産業省令で定める事項
(特定フロン確認製造者の変更の届出)
第十二条 前条第一項の確認を受けた者(以下「特定フロン確認製造者」という。)は、同条第二項第一号又は第四号に掲げる事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(製造数量の限度)
第十三条 特定フロン許可製造者は、特定フロンの製造について、当該許可に係るフロン年度において、その製造に係る数量がその製造の時における次の各号の数量を合計した数量を超えることとならないようにしなければならない。
一 特定フロン許可製造数量(第八条第一項の増加の許可、第九条第二項の規定による届出、第十五条第一項の規定による削減又は同条第二項の規定による減少の処分があつたときは、これらの処分又は届出による変更後のもの)から特定フロン輸出用製造数量(第八条第一項若しくは第九条第三項の減少の指定又は第八条第三項若しくは第十五条第四項において準用する第五条の規定による指定があつたときは、当該指定による変更後のもの)を減じた数量
二 第十一条第一項の確認を受けた数量(第十五条第三項の規定による削減があつたときは、当該削減による変更後のもの。次項において同じ。)
三 特定フロン確定輸出数量
2 特定フロン確認製造者(特定フロン許可製造者であるものは除く。)は、当該確認に係るフロン年度において、第十一条第一項の確認を受けた数量を超えて特定フロンの製造を行つてはならない。
(承継)
第十四条 特定フロン許可製造者若しくは特定フロン確認製造者が特定フロンの製造の事業の全部を譲渡し、又は特定フロン許可製造者若しくは特定フロン確認製造者について相続若しくは合併があつたときは、当該事業の全部を譲り受けた者又は相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により事業を継続すべき相続人を選定したときは、その者)若しくは合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、特定フロン許可製造者又は特定フロン確認製造者の地位を承継する。
2 前項の規定により特定フロン許可製造者又は特定フロン確認製造者の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(許可の取消し等)
第十五条 通商産業大臣は、特定フロン許可製造者が次の各号の一に該当するときは、許可を取り消し、又は特定フロン許可製造数量を削減することができる。
一 不正の手段により第四条第一項の許可又は第八条第一項の増加の許可若しくは同項の減少の指定を受けたとき。
二 第十条第一項の条件に違反したとき。
三 第十三条第一項の規定に違反して特定フロンを製造したとき。
2 通商産業大臣は、特定フロン許可製造者が、特定フロン製造予定数量が特定フロン許可製造数量(第八条第一項の増加の許可、第九条第二項の規定による届出又は前項の規定による削減があつたときは、これらの処分又は届出による変更後のもの)を下回ることが確実となつた場合として通商産業省令で定める要件に該当する場合において、第七条に規定する事情を勘案して特に必要があると認めるときは、特定フロン許可製造数量を減少させることができる。
3 通商産業大臣は、特定フロン確認製造者が不正の手段により第十一条第一項の確認を受けたときは、確認を取り消し、又は同項の確認をした数量を削減することができる。
4 第五条の規定は、第一項の規定による削減又は第二項の規定による減少の処分を行う場合について準用する。
第二節 特定ハロンの製造等の規制
(製造数量の許可)
第十六条 特定ハロンを製造しようとする者は、ハロン年度(議定書第二条2の規定に即して通商産業省令で定める期間をいう。以下同じ。)ごとに、当該ハロン年度において製造しようとする数量について、通商産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、当該ハロン年度における製造について第十九条第一項の確認を受けた者が特定ハロンを製造するとき又は政令で定める数量以下の特定ハロンを製造するときは、この限りでない。
2 前項の許可を受けようとする者は、通商産業大臣が告示する期間内に、次の事項を記載した申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 前項の許可を受けて製造しようとする数量
三 製造及び貯蔵の場所
四 製造設備の構造及び能力
五 その製造に係る特定ハロンのうち当該ハロン年度において通商産業省令で定める地域を仕向地として輸出されることが見込まれるものの数量
六 その他通商産業省令で定める事項
3 第一項ただし書の政令で定める数量以下の特定ハロンを製造しようとする者は、通商産業省令で定めるところにより、その製造数量を通商産業大臣に届け出なければならない。
(輸出用製造数量の指定)
第十七条 通商産業大臣は、前条第一項の許可をする場合には、当該許可に係る数量(以下「特定ハロン許可製造数量」という。)の全部又は一部を、当該許可に係る者(以下「特定ハロン許可製造者」という。)の特定ハロン確定輸出数量(その製造に係る特定ハロンであって、通商産業省令で定めるところにより、当該ハロン年度において同条第二項第五号の通商産業省令で定める地域を仕向地として輸出されたことについての又は輸出されることが確実である旨の通商産業大臣の確認を受けたものの数量をいう。以下同じ。)に応じて製造しなければならない数量として指定することができる。
(輸入の承認)
第十八条 特定ハロンを輸入しようとする者は、外国為替及び外国貿易管理法第五十二条の規定により、輸入の承認を受ける義務を課せられるものとする。
(破壊の確認)
第十九条 特定ハロンを製造しようとする者は、ハロン年度ごとに、特定ハロンが総理府令、通商産業省令で定める基準に従い通商産業省令で定める期間内に破壊されたことを通商産業省令で定めるところにより証明して、当該証明に係る数量の特定ハロンを製造することができる旨の通商産業大臣の確認を受けることができる。
2 前項の確認を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書に同項の規定による証明に係る書面を添付して、通商産業大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 破壊を行つた者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
三 破壊された数量並びに破壊の場所及び年月日
四 製造しようとする特定ハロンの製造及び貯蔵の場所
五 その他通商産業省令で定める事項
(製造数量の限度)
第二十条 特定ハロン許可製造者は、特定ハロンの製造について、当該許可に係るハロン年度において、その製造に係る数量がその製造の時における次の各号の数量を合計した数量を超えることとならないようにしなければならない。
一 特定ハロン許可製造数量(次条において準用する第八条第一項、第九条第二項又は第十五条第一項若しくは第二項の規定による増加の許可、届出又は削減若しくは減少の処分があつたときは、これらの処分又は届出による変更後のもの)から第十七条の規定により指定された数量(次条において準用する第八条第一項若しくは第九条第三項の減少の指定又は次条において準用する第八条第三項若しくは第十五条第四項において準用する第五条の規定による指定があつたときは、当該指定による変更後のもの)を減じた数量
二 前条第一項の確認を受けた数量(次条において準用する第十五条第三項の規定による削減があつたときは、当該削減による変更後のもの。次項において同じ。)
三 特定ハロン確定輸出数量
2 前条第一項の確認を受けた者(特定ハロン許可製造者であるものを除く。)は、当該確認に係るハロン年度において、同項の確認を受けた数量を超えて特定ハロンの製造を行つてはならない。
(準用)
第二十一条 第七条の規定は第十六条第一項の許可、第十七条の規定による指定及び第十八条の輸入の承認について、第八条及び第九条の規定は特定ハロン許可製造者について、第十条の規定は第十六条第一項の許可及びこの条において準用する第八条第一項の増加の許可について、第十二条の規定は第十九条第一項の確認を受けた者について、第十四条の規定は特定ハロン許可製造者及び第十九条第一項の確認を受けた者について、第十五条第一項の規定は特定ハロン許可製造者及び特定ハロン許可製造数量について、同条第二項の規定は特定ハロン許可製造数量について、同条第三項の規定は第十九条第一項の確認を受けた者及び同項の確認に係る数量について、第十五条第四項の規定はこの条において準用する第十五条第一項又は第二項の規定による削減又は減少の処分について準用する。
第三章 特定物質の排出の抑制及び使用の合理化
(特定物質使用事業者の努力)
第二十二条 特定物質を業として使用する者は、その使用に係る特定物質の排出の抑制及び使用の合理化(特定物質に代替する物質の利用を含む。次条において同じ。)に努めなければならない。
(排出抑制・使用合理化指針の公表等)
第二十三条 環境庁長官及び通商産業大臣は、条約及び議定書の円滑な実施を確保するために必要があると認めるときは、特定物質を業として使用する者が特定物質の排出の抑制又は使用の合理化を図るための指針(以下「排出抑制・使用合理化指針」という。)を定め、これを公表するものとする。
2 主務大臣は、特定物質を業として使用する者に対し、排出抑制・使用合理化指針に即して特定物質の排出の抑制又は使用の合理化を図ることについて指導及び助言を行うことができる。
3 環境庁長官は、前項の規定による排出の抑制についての指導及び助言の実施に関し、主務大臣に意見を述べることができる。
4 通商産業大臣は、第二項の規定による使用の合理化についての指導及び助言の実施に関し、主務大臣に意見を述べることができる。
5 第二項における主務大臣は、同項の指導及び助言の対象となる者の事業を所管する大臣とする。
第四章 雑則
(国の援助)
第二十四条 国は、特定物質に代替する物質の開発及び利用並びに特定物質の排出の抑制又は使用の合理化に資する設備の開発及び利用を促進するために必要な資金の確保その他の援助に努めるものとする。
(観測及び監視)
第二十五条 気象庁長官は、オゾン層の状況及び大気中における特定物質の濃度の状況を観測し、その成果を公表するものとする。
2 環境庁長官は、前項の規定による観測の成果等を活用しつつ、特定物質によるオゾン層の破壊の状況及び大気中における特定物質の濃度変化の状況を監視し、その状況を公表するものとする。
(研究の推進等)
第二十六条 国は、特定物質のオゾン層に及ぼす影響の研究その他オゾン層の保護に関する調査研究を推進するとともに、その成果の普及に努めるものとする。
(帳簿)
第二十七条 特定フロン許可製造者は、帳簿を備え、当該許可に係るフロン年度の特定フロンの製造数量及び輸出数量その他通商産業省令で定める事項を記載しなければならない。
2 前項の帳簿は、通商産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。
(報告の徴収)
第二十八条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、特定フロン許可製造者又は特定フロン確認製造者に対し、その業務に関し報告をさせることができる。
(立入検査)
第二十九条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、特定フロン許可製造者又は特定フロン確認製造者の事務所、工場その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、又は検査のために必要な最小限度の分量に限り特定フロンを無償で収去させることができる。
2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査、質問及び収去の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(聴聞)
第三十条 通商産業大臣は、第十五条の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、相当の期間をおいて予告した上、公開による聴聞を行わなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提出し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(準用)
第三十一条 第二十七条の規定は特定ハロン許可製造者について、第二十八条及び第二十九条の規定は特定ハロン許可製造者及び第十九条第一項の確認を受けた者について、前条の規定は第二十一条において準用する第十五条の規定による処分について準用する。
(異議申立ての手続における聴聞)
第三十二条 この法律の規定による処分についての異議申立てに対する決定(却下の決定を除く。)は、第三十条の例により公開による聴聞をした後にしなければならない。
(経過措置)
第三十三条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第五章 罰則
第三十四条 次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第四条第一項又は第十三条の規定に違反して特定フロンを製造した者
二 第十六条第一項又は第二十条の規定に違反して特定ハロンを製造した者
第三十五条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第二十七条第一項の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は同条第二項の規定に違反して帳簿を保存しなかつた者
二 第三十一条において準用する第二十七条第一項の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は第三十一条において準用する第二十七条第二項の規定に違反して帳簿を保存しなかつた者
三 第二十八条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
四 第三十一条において準用する第二十八条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
五 第二十九条第一項の規定による検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
六 第三十一条において準用する第二十九条第一項の規定による検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は第三十一条において準用する同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
第三十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第三十七条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の過料に処する。
一 第四条第三項、第九条第一項、第十二条又は第十四条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十六条第三項又は第二十一条において準用する第九条第一項、第十二条若しくは第十四条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
一 第三章及び附則第三条の規定 条約が日本国について効力を生ずる日
二 第三条、第二章第一節、第二十七条から第三十条まで、第三十二条、第三十三条、第三十四条(第二号を除く。)、第三十五条(第二号、第四号及び第六号を除く。)、第三十六条並びに第三十七条(第二号を除く。)の規定 議定書が日本国について効力を生ずる日
三 第二章第二節、第三十一条、第三十四条第二号、第三十五条第二号、第四号及び第六号並びに第三十七条第二号の規定 議定書が日本国について効力を生ずる日から起算して二年六月を経過した日
2 前項の規定にかかわらず、議定書が日本国について効力を生ずる日が、議定書が効力を生ずる日後となる場合又は昭和六十八年一月一日後となる場合には、同項第二号及び第三号に掲げる規定は、政令で定める日から施行する。
(報告)
第二条 通商産業大臣は、第三条第一項第一号に規定する生産量及び消費量の算定を行うため、昭和六十一年に特定フロン又は特定ハロンの製造、輸出又は輸入を行つた者に対し、その数量の報告を求めることができる。
(地方税法の一部改正)
第三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
附則第十五条に次の一項を加える。
33 特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(昭和六十三年法律第五十三号)第二条第一項に規定する特定フロンを業として使用する者が同法第三章の規定の施行の日から昭和六十五年三月三十一日までの間に新たに取得する特定フロンの排出の抑制及び使用の合理化に資する機械その他の設備で自治省令で定めるものに対して課する固定資産税の課税標準は、第三百四十九条の二の規定にかかわらず、当該機械その他の設備に対して新たに固定資産税が課されることとなつた年度から三年度分の固定資産税に限り、当該機械その他の設備に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の五分の三の額とする。
(環境庁設置法の一部改正)
第四条 環境庁設置法(昭和四十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第十四号の次に次の一号を加える。
十四の二 特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(昭和六十三年法律第五十三号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。
(通商産業省設置法の一部改正)
第五条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第六十三号の次に次の一号を加える。
六十三の二 特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(昭和六十三年法律第五十三号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。
内閣総理大臣 竹下登
通商産業大臣臨時代理 国務大臣 梶山静六
運輸大臣 石原慎太郎
自治大臣 梶山静六