(目的)
第一条 この法律は、商工会及び商工会議所がその機能を活用して小規模事業者の経営の改善発達を支援するための措置を講ずることにより、小規模事業者の経営基盤の充実を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「小規模事業者」とは、商工会法(昭和三十五年法律第八十九号)第二条に規定する商工業者で、常時使用する従業員の数が二十人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、五人)以下のものをいう。
(基本指針)
第三条 通商産業大臣は、小規模事業者の経営の改善発達を支援するための商工会及び商工会連合会並びに商工会議所及び日本商工会議所(以下「商工会等」という。)に対する基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。
2 基本指針に定める事項は、次のとおりとする。
二 近代的経営管理方法の導入等経営管理に関する指導に関する事項
三 技術の向上、新たな事業の分野の開拓等に寄与する情報の提供等に関する事項
四 事業の共同化等に寄与する施設の設置に関する事項
五 商工会又は商工会議所がその地区内における商工業の総合的な改善発達のために行う他の事業との関係に関する事項
六 商工会連合会又は日本商工会議所が行う商工会又は商工会議所に対する指導等に関する事項
七 その他小規模事業者の経営の改善発達に関する重要事項
3 通商産業大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、中小企業近代化審議会の意見を聴かなければならない。
4 通商産業大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(経営改善普及事業に係る補助)
第四条 国は、政令で定めるところにより、商工会若しくは商工会議所が基本指針に即して実施する小規模事業者の経営の改善発達を支援する事業(次条第一項に規定する基盤施設事業を除く。以下「経営改善普及事業」という。)に必要な経費又は経営改善普及事業に関し都道府県商工会連合会が基本指針に即して商工会を指導するために必要な経費について、都道府県が補助する場合には、当該都道府県に対し、予算の範囲内において、当該補助に必要な経費の一部を補助することができる。
2 国は、政令で定めるところにより、全国商工会連合会又は日本商工会議所(以下「全国団体」という。)に対し、予算の範囲内において、経営改善普及事業に関し全国団体が基本指針に即して商工会若しくは都道府県商工会連合会又は商工会議所を指導するために必要な経費の一部を補助することができる。
(基盤施設計画の認定)
第五条 商工会等は、共同工場、展示施設その他の小規模事業者の事業の共同化等に寄与する施設を設置する事業(以下「基盤施設事業」という。)についての計画(以下「基盤施設計画」という。)を作成し、これを通商産業大臣に提出して、その基盤施設計画が適当である旨の認定を受けることができる。
2 商工会等は、商工会等以外の者が基盤施設事業の全部又は一部を実施することが当該基盤施設事業の効果的かつ適切な実施のために特に必要であると認める場合にあっては、商工会等以外の者を基盤施設事業の全部又は一部を実施する者とする基盤施設計画を作成し、前項の認定を申請することができる。
3 基盤施設計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
四 基盤施設事業の実施に必要な資金の額及びその調達方法
五 商工会等以外の者が基盤施設事業の全部又は一部を実施する場合にあっては、当該実施する者並びにその者に対して商工会等が行う指導及び助言の方法
4 通商産業大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、その基盤施設計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。
一 前項第一号から第三号までに掲げる事項が基本指針に照らして適切なものであること。
二 前項第三号及び第四号に掲げる事項が基盤施設事業を確実に遂行するために適切なものであること。
三 前項第五号に規定する場合にあっては、同号に掲げる者が基盤施設事業の全部又は一部を実施することが当該基盤施設事業の効果的かつ適切な実施のために特に必要であり、かつ、同号に掲げる指導及び助言の方法が適切なものであること。
(基盤施設計画の変更等)
第六条 前条第一項の認定を受けた商工会等は、当該認定に係る基盤施設計画を変更しようとするときは、通商産業大臣の認定を受けなければならない。
2 通商産業大臣は、前条第一項の認定に係る基盤施設計画(前項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定基盤施設計画」という。)が、同条第四項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるとき、又は認定基盤施設計画に従って基盤施設事業が実施されていないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
3 前条第四項の規定は、第一項の認定について準用する。
(資金の確保)
第七条 国は、認定基盤施設計画に従って基盤施設事業を実施するために必要な資金の確保に努めるものとする。
(全国団体の事業の範囲の特例)
第八条 全国商工会連合会は、商工会法第五十五条の八第二項に規定する事業のほか、商工会又は都道府県商工会連合会の基盤施設事業の実施を円滑化するため、次の事業を行うものとする。
一 商工会又は都道府県商工会連合会が認定基盤施設計画に従って基盤施設事業を実施するために必要な資金の借入れに係る債務の保証を行うこと。
2 日本商工会議所は、商工会議所法(昭和二十八年法律第百四十三号)第六十五条に規定する事業のほか、商工会議所の基盤施設事業の実施を円滑化するため、次の事業を行うものとする。
一 商工会議所が認定基盤施設計画に従って基盤施設事業を実施するために必要な資金の借入れに係る債務の保証を行うこと。
(業務方法書)
第九条 全国団体は、前条第一項又は第二項に規定する事業(以下「保証事業等」という。)の開始の時までに、保証事業等に係る業務方法書を作成し、通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(信用基金)
第十条 全国団体は、保証事業等に関する信用基金を設け、国から交付された金額と全国団体が負担する保証債務の弁済に充てることを条件として国以外の者から出えんされた金額との合計額に相当する金額をもってこれに充てるものとする。
(区分経理)
第十一条 全国団体は、保証事業等に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の会計を設けて整理しなければならない。
(事業計画等の認可)
第十二条 全国団体は、毎事業年度、保証事業等に係る事業計画、収支予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(事業報告書等の提出)
第十三条 全国団体は、毎事業年度、保証事業等に係る事業報告書、財産目録及び収支計算書を作成し、当該事業年度終了の日から三月以内に通商産業大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
(監督)
第十四条 通商産業大臣は、保証事業等の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、全国団体に対し、保証事業等に関して監督上必要な命令をすることができる。
(事業の廃止)
第十五条 保証事業等の廃止に伴う第十一条の特別の会計に係る残余財産の帰属その他の措置については、別に法律で定める。
(通商産業省令への委任)
第十六条 この法律に定めるもののほか、保証事業等に係る財務及び会計に関する事項は、通商産業省令で定める。
(大蔵大臣との協議)
第十七条 通商産業大臣は、次の場合には、大蔵大臣と協議しなければならない。
(連携計画の認定)
第十八条 商工会等は、商工会等以外の者が実施する技術に関する研修、展示会その他の小規模事業者の技術の向上、新たな事業の分野の開拓等に寄与する事業であって、商工会等が実施する小規模事業者の経営の改善発達を支援する事業(以下「支援事業」という。)と連携して実施されるもの(以下「連携事業」という。)についての計画(以下「連携計画」という。)を作成し、これを通商産業大臣に提出して、その連携計画が適当である旨の認定を受けることができる。
2 連携計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 連携事業及びこれと連携して実施される支援事業の内容
四 連携事業の実施に必要な資金の額及びその調達方法
五 第二号に掲げる者に対して商工会等が行う指導及び助言の方法
3 通商産業大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、その連携計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。
一 前項第一号に掲げる事項が基本指針に照らして適切であり、かつ、当該連携事業が連携して実施されることが当該支援事業の効果的な実施に資するものであること。
二 前項第二号に掲げる者が連携事業を実施する者として適切なものであること。
三 前項第三号及び第四号に掲げる事項が連携事業を確実に遂行するために適切なものであること。
四 前項第五号に掲げる指導及び助言の方法が適切なものであること。
(連携計画の変更等)
第十九条 前条第一項の認定を受けた商工会等は、当該認定に係る連携計画を変更しようとするときは、通商産業大臣の認定を受けなければならない。
2 通商産業大臣は、前条第一項の認定に係る連携計画(前項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定連携計画」という。)が、同条第三項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるとき、又は認定連携計画に従って連携事業が実施されていないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
3 前条第三項の規定は、第一項の認定について準用する。
(中小企業信用保険法の特例)
第二十条 認定基盤施設計画又は認定連携計画において基盤施設事業又は連携事業を実施する者とされた民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人(その出資金額又は拠出された金額の二分の一以上が中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第二条第一項の中小企業者により出資され、又は拠出されているものに限る。以下「公益法人」という。)であって、当該認定基盤施設計画又は当該認定連携計画に従った基盤施設事業又は連携事業の実施に必要な資金に係る中小企業信用保険法第三条第一項又は第三条の二第一項に規定する債務の保証を受けたものについては、当該公益法人を同法第二条第一項の中小企業者とみなして、同法第三条、第三条の二及び第四条から第八条までの規定を適用する。この場合において、同法第三条第一項及び第三条の二第一項の規定の適用については、これらの規定中「借入れ」とあるのは、「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律第六条第二項の認定基盤施設計画又は同法第十九条第二項の認定連携計画に従った基盤施設事業又は連携事業の実施に必要な資金の借入れ」とする。
(中小企業近代化資金等助成法の特例)
第二十一条 中小企業近代化資金等助成法(昭和三十一年法律第百十五号)第三条第一項に規定する中小企業設備近代化資金の貸付事業に係る貸付金であって、認定基盤施設計画又は認定連携計画において基盤施設事業又は連携事業を実施する者とされた者が当該認定基盤施設計画又は当該認定連携計画に従って設置する設備に係るものについては、同法第五条の規定にかかわらず、その償還期間は、七年を超えない範囲内で政令で定める期間とする。
(報告及び検査)
第二十二条 通商産業大臣は、認定基盤施設計画に係る基盤施設事業又は認定連携計画に係る連携事業の実施状況について、当該認定を受けた商工会等に対し、報告を求めることができる。
2 通商産業大臣は、保証事業等の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、全国団体に対して、保証事業等に係る業務に関し報告をさせ、又はその職員に、全国団体の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
3 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
4 第二項の立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(権限の委任)
第二十三条 通商産業大臣は、政令で定めるところにより、この法律に基づく権限の一部を通商産業局長又は都道府県知事に委任することができる。
(罰則)
第二十四条 第二十二条第一項若しくは第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、二十万円以下の罰金に処する。
2 商工会等の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、商工会等の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その商工会等に対して同項の刑を科する。
第二十五条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした全国団体の役員は、二十万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により通商産業大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。
二 第十四条の規定による通商産業大臣の命令に違反したとき。