郵便貯金法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第85号
公布年月日: 昭和51年11月15日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

郵便貯金の一層の普及を図り、国民の経済的福祉を増進するため、全国主要都市に設置している郵便貯金会館を広く国民の利用に供し、地域社会の文化向上に貢献しながら郵便貯金への理解を深める必要がある。そのため、これらの郵便貯金会館の運営を、郵政大臣の認可を受けて設立される法人に委託できるよう、明確な法的基盤を整備することを目的として、郵便貯金法の所要の改正を行うものである。なお、本改正は第75国会での政府見解に基づくものである。

参照した発言:
第78回国会 衆議院 逓信委員会 第4号

審議経過

第78回国会

参議院
(昭和51年10月12日)
衆議院
(昭和51年10月20日)
(昭和51年10月27日)
(昭和51年10月28日)
参議院
(昭和51年11月4日)
(昭和51年11月4日)
(昭和51年11月26日)
郵便貯金法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十一年十一月十五日
内閣総理大臣 三木武夫
法律第八十五号
郵便貯金法の一部を改正する法律
郵便貯金法(昭和二十二年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
目次中「第八章 預金者に対する貸付け」を
第八章
預金者に対する貸付け
第九章
郵便貯金振興会
に改める。
第四条を次のように改める。
第四条(施設の設置) 郵政大臣は、郵便貯金の普及のため、その周知宣伝に必要な施設を設けることができる。
前項の施設は、会議、集会及び展示のための設備その他多数の者の利便を図るための設備を備えて、広く国民の利用に供される施設とする。
第八章の次に次の一章を加える。
第九章 郵便貯金振興会
第六十九条(目的) 郵便貯金振興会は、郵便貯金に関する調査、研究及び出版物の刊行並びに第四条第一項の施設の運営を行うことにより、郵便貯金の普及に寄与することを目的とする。
第七十条(法人格) 郵便貯金振興会(以下「振興会」という。)は、法人とする。
第七十一条(数) 振興会は、一を限り、設立されるものとする。
第七十二条(名称) 振興会は、その名称中に郵便貯金振興会という文字を用いなければならない。
振興会でない者は、その名称中に郵便貯金振興会という文字を用いてはならない。
第七十三条(登記) 振興会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
第七十四条(民法の準用) 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、振興会について準用する。
第七十五条(発起人) 振興会を設立するには、第八十八条第一項第一号及び第二号に掲げる業務について専門的な知識を有する者七人以上が発起人となることを必要とする。
第七十六条(設立の認可の申請) 発起人は、定款、業務方法書及び事業計画書を郵政大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
前項の業務方法書及び事業計画書に記載すべき事項は、省令で定める。
第七十七条(設立の認可) 郵政大臣は、前条第一項の規定による認可の申請があつた場合において、申請の内容が次の各号のいずれにも該当せず、かつ、その業務が健全に行われ、郵便貯金の普及に寄与することが確実であると認められるときは、設立の認可をしなければならない。
一 設立の手続又は定款、業務方法書若しくは事業計画書の内容が法令に違反するとき。
二 定款、業務方法書又は事業計画書に虚偽の記載があり、又は記載すべき事項の記載が欠けているとき。
第七十八条(役員の指名) 郵政大臣は、前条の規定により認可をしたときは、遅滞なく、発起人が推薦した者のうちから、振興会の理事長及び監事となるべき者を指名する。
前項の規定により指名された理事長及び監事となるべき者は、振興会の成立の時において、第八十四条第一項の規定によりそれぞれ理事長及び監事に任命されたものとする。
第七十九条(事務の引継ぎ) 前条第一項の規定により理事長となるべき者が指名されたときは、発起人は、遅滞なく、その事務を理事長となるべき者に引き継がなければならない。
第八十条(設立の登記) 理事長となるべき者は、前条の規定により事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
振興会は、設立の登記をすることによつて成立する。
第八十一条(定款記載事項) 振興会の定款には、次の事項を記載しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 業務
五 役員に関する事項
六 資産及び会計に関する事項
七 定款の変更に関する事項
八 事業年度
九 公告の方法
第八十二条(役員) 振興会に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置く。
第八十三条(役員の職務及び権限) 理事長は、振興会を代表し、その業務を総理する。
理事は、定款で定めるところにより、理事長を補佐して振興会の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
監事は、振興会の業務を監査する。
第八十四条(役員及び職員の任命) 理事長及び監事は、郵政大臣が任命する。
理事は、郵政大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
振興会の職員は、理事長が任命する。
第八十五条(役員の解任) 郵政大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
理事長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、郵政大臣の認可を受けなければならない。
第八十六条(役員の兼職禁止) 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、郵政大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
第八十七条(代表権の制限) 振興会と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が振興会を代表する。
第八十八条(業務) 振興会は、次の業務を行う。
一 郵便貯金に関する調査、研究及び出版物の刊行
二 第四条第一項の施設の運営
三 前二号に掲げる業務に附帯する業務
四 前三号に掲げるもののほか、郵便貯金の普及に寄与するために必要な業務
振興会は、前項第四号に掲げる業務を行おうとするときは、郵政大臣の認可を受けなければならない。
第八十九条(定款及び業務方法書の変更) 振興会は、定款又は業務方法書を変更しようとするときは、郵政大臣の認可を受けなければならない。
第九十条(予算等の認可) 振興会は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、郵政大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。
第九十一条(財務諸表) 振興会は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(次項において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に郵政大臣に提出して、その承認を受けなければならない。
振興会は、前項の規定により財務諸表を郵政大臣に提出するときは、これに予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。
第九十二条(利益及び損失の処理) 振興会は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
振興会は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
第九十三条(施設の運営の委託等) 郵政大臣は、第四条第一項の施設の運営を振興会に委託する。この場合において、郵政大臣は、当該施設における国有財産(国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二条第一項に規定する国有財産をいう。第三項において同じ。)の管理を振興会に委託するものとする。
郵政大臣は、当該施設に備え付ける物品(物品管理法(昭和三十一年法律第百十三号)第二条第一項に規定する物品をいう。)を振興会に無償で貸し付け、又は譲与することができる。
当該施設の運営(当該施設における国有財産の管理を含む。)に関し、通常必要とする費用は振興会の負担とし、生じた収入は振興会の収入とする。
前二項に定めるもののほか、第一項に規定する委託について必要な事項は、政令で定める。
第九十四条(監督命令) 郵政大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、振興会に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
第九十五条(報告及び検査) 郵政大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、振興会に対し、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、振興会の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第九十六条(設立の認可の取消し) 郵政大臣は、振興会の業務が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不当であると認められる場合において、その改善を期待することができないときは、その設立の認可を取り消すことができる。
第九十七条(解散) 振興会は、前条の規定により設立の認可の取消しがあつたときは解散する。
振興会が解散した場合における残余財産の処分については、政令で定める。
民法第七十三条から第七十六条まで、第七十七条第二項(屈出に関する部分に限る。)及び第七十八条から第八十三条まで並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五第二項及び第三項、第百三十六条前段、第百三十七条前段並びに第百三十八条の規定は、振興会の解散及び清算について準用する。
(罰則)
第九十八条 第九十五条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした振興会の役員又は職員は、十万円以下の罰金に処する。
第九十九条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした振興会の役員又は清算人は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により郵政大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第七十三条第一項の規定に違反して登記することを怠つたとき。
三 第八十八条第一項に掲げる業務以外の業務を行つたとき。
四 第九十四条の規定による郵政大臣の命令に違反したとき。
五 第九十七条第三項において準用する民法第七十九条第一項又は同法第八十一条第一項の規定による公告を怠り、又は虚偽の公告をしたとき。
六 第九十七条第三項において準用する民法第八十一条第一項の規定に違反して破産宣告の請求を怠つたとき。
第百条 第七十二条第二項の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(財団法人郵便貯金振興会からの引継ぎ)
第二条 昭和四十四年十二月一日に設立された財団法人郵便貯金振興会(以下「財団法人」という。)は、寄附行為で定めるところにより、振興会の発起人に対し、振興会において財団法人の一切の権利及び義務を承継すべき旨を申し出ることができる。
振興会の発起人は、前項の規定による申出があつたときは、遅滞なく、郵政大臣の認可を申請しなければならない。
前項の認可があつたときは、財団法人の一切の権利及び義務は、振興会の成立の時において振興会に承継されるものとし、財団法人は、その時において解散するものとする。この場合には、他の法令中法人の解散及び清算に関する規定は、適用しない。
前項の規定により、財団法人が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(経過規定)
第三条 この法律の施行の際、現にその名称中に郵便貯金振興会という文字を用いている者については、改正後の第七十二条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第四条 振興会の最初の事業年度の予算、事業計画及び資金計画については、改正後の第九十条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「振興会の成立後遅滞なく」とする。
(所得税法の一部改正)
第五条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中野菜供給安定基金の項の次に次のように加える。
郵便貯金振興会
郵便貯金法
(法人税法の一部改正)
第六条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第二第一号の表中野菜供給安定基金の項の次に次のように加える。
郵便貯金振興会
郵便貯金法(昭和二十二年法律第百四十四号)
(地方税法の一部改正)
第七条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第六号中「及び日本勤労者住宅協会」を「、日本勤労者住宅協会及び郵便貯金振興会」に改める。
第七百一条の三十四第六項及び第七百一条の四十一第一項の表の第二号中「法人」の下に「(これに準ずる法人で政令で定めるものを含む。)」を加える。
(郵政省設置法の一部改正)
第八条 郵政省設置法(昭和二十三年法律第二百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四条第十八号の次に次の二号を加える。
十八の二 法令の定めるところに従い、郵便貯金の普及のため、その周知宣伝に必要な施設を設けること。
十八の三 法令の定めるところに従い、郵便貯金振興会を監督すること。
第九条中第二十四号を第二十五号とし、第二十三号を第二十四号とし、第二十二号の次に次の一号を加える。
二十三 郵便貯金振興会に関すること。
大蔵大臣 大平正芳
郵政大臣 福田篤泰
自治大臣 天野公義
内閣総理大臣 三木武夫