(承継施設業務)
第十一条 基金は、基金法第二十四条に規定する業務のほか、政令で指定する日までの間において、第一条第一項の規定により承継した保養基地資産の譲渡を行うものとし、それまでの間、旧事業団法第十七条第一項第一号に規定する施設(以下「保養基地施設」という。)の運営又は保養基地資産の管理を行う。
2 前項の政令で指定する日を定めるに当たっては、当該政令の公布の日から起算して二年を超え三年を超えない範囲内の日を選定するものとし、当該政令は、この法律の施行の日後二回目に行われる財政再計算(附則第七条の規定による改正後の厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第八十一条第四項及び附則第八条の規定による改正後の国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第八十七条第三項の規定に基づく再計算をいう。附則第二条第一項において同じ。)の結果に基づき所要の措置が講ぜられる日までに公布するものとする。
3 基金は、第一項に規定する業務に附帯する業務を行うことができる。
4 第一項の規定により保養基地施設の運営が行われる場合には、附則第七条の規定による改正前の厚生年金保険法(以下この項において「旧厚生年金保険法」という。)第七十九条第二項及び附則第八条の規定による改正前の国民年金法(以下この項において「旧国民年金法」という。)第七十四条第二項の規定は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。この場合において、旧厚生年金保険法第七十九条第二項及び旧国民年金法第七十四条第二項中「年金福祉事業団法(昭和三十六年法律第百八十号)第十七条第一項第一号に掲げるものを年金福祉事業団」とあるのは、「年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律(平成十二年法律第二十号)第十一条第一項に規定する保養基地施設を年金資金運用基金」とする。
(承継融資業務)
第十二条 基金は、旧事業団法第十七条第一項第二号から第四号まで及び次項の規定により貸し付けられた資金に係る債権の回収が終了するまでの間、基金法第二十四条に規定する業務のほか、当該債権の管理及び回収を行う。
2 基金は、別に法律で定める日までの間、基金法第二十四条に規定する業務のほか、次に掲げる業務を行うことができる。
一 厚生年金保険又は国民年金の被保険者の福祉の増進に必要な業務を行う法人で政令で定めるものに対し、厚生年金保険又は国民年金の被保険者の福祉を増進するため必要な住宅の設置に要する資金の貸付けを行うこと。
二 次に掲げる者に対し、それぞれ次に掲げる資金の貸付けを行うこと。
イ 厚生年金保険の適用事業所の事業主又は日本勤労者住宅協会その他厚生年金保険の被保険者の福祉の増進に必要な業務を行う法人で政令で定めるもの(ハにおいて「事業主等」という。)で自ら居住するため又は直系血族その他政令で定める親族(以下この号において「直系血族等」という。)の居住の用に供するため住宅を必要とする厚生年金保険の被保険者に対して住宅の建設又は購入に必要な資金(住宅の用に供する土地又は借地権の取得に必要な資金を含む。以下「住宅資金」という。)の貸付けを行うもの 当該貸付けに要する資金
ロ 自ら居住するため又は直系血族等の居住の用に供するため住宅を必要とする国民年金の被保険者(国民年金法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者を除く。) 住宅資金
ハ 自ら居住するため又は直系血族等の居住の用に供するため住宅を必要とする厚生年金保険の被保険者で事業主等から住宅資金の貸付けを受けることが著しく困難なもの 住宅資金
3 基金は、前二項に規定する業務に附帯する業務を行うことができる。
(承継あっせん業務)
第十三条 基金は、別に法律で定める日までの間、基金法第二十四条に規定する業務のほか、厚生大臣の認可を受けて、国民生活金融公庫又は沖縄振興開発金融公庫から国民生活金融公庫法(昭和二十四年法律第四十九号)第十八条第二号又は沖縄振興開発金融公庫法(昭和四十七年法律第三十一号)第十九条第一項第二号の規定による小口の教育資金の貸付けを受けようとする厚生年金保険又は国民年金の被保険者(国民年金法第五条第一項第二号から第五号までに掲げる法律の規定による組合員又は加入者を除く。第十五条第四項において同じ。)で厚生省令で定める要件を満たしているものに対して、その貸付けを受けることについて国民生活金融公庫又は沖縄振興開発金融公庫へのあっせんを行うことをその業務とすることができる。
(承継一般業務の実施に伴う経過的特例)
第十四条 承継一般業務が行われる場合には、基金法第十四条各号に掲げる者のほか、次のいずれかに該当する者は、基金の役員となることができない。
一 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者であって基金と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
二 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
(業務の委託等)
第十五条 基金は、厚生大臣の認可を受けて、次の各号に掲げる業務について、当該各号に定める者に対し、当該業務の全部又は一部を委託することができる。
一 保養基地施設の運営及び保養基地資産の管理 他の法人(金融機関を除く。)
二 第十二条第一項及び第二項に規定する業務 金融機関その他政令で定める法人
三 第十二条第二項第二号に掲げる業務のうち政令で定めるもの 政令で定める法人
2 前項の規定による厚生大臣の認可があった場合においては、金融機関は、他の法律の規定にかかわらず、当該認可に係る業務を受託することができる。
3 第一項の規定により業務の委託を受けた金融機関又は政令で定める法人の役員又は職員であって当該委託業務に従事するものは、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
4 基金は、附則第十三条の規定による改正後の国民生活金融公庫法附則第十九項又は附則第十八条の規定による改正後の沖縄振興開発金融公庫法附則第七条第一項の規定により国民生活金融公庫又は沖縄振興開発金融公庫の業務の委託を受けたときは、厚生年金保険又は国民年金の被保険者の福祉の増進に必要な業務を行う法人で政令で定めるものに対し、その委託を受けた業務の一部を委託することができる。前項の規定は、この場合について準用する。
(追加出資)
第十六条 政府は、承継一般業務に必要な資金に充てるため必要があると認めるときは、基金法第四条第二項の規定によるほか、予算で定める金額の範囲内において、基金に追加して出資することができる。
2 基金は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
(事業計画及び資金計画)
第十七条 基金は、承継一般業務に係る事業計画及び資金計画については、基金法第三十三条の規定にかかわらず、四半期ごとに作成し、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(承継一般財務諸表等)
第十八条 基金は、基金法第三十五条第一項の規定により承継一般業務に係る財務諸表を厚生大臣に提出するときは、同条第二項の規定にかかわらず、同項第三号に掲げる書類の添付は要しない。
2 基金は、基金法第三十五条第一項の規定により承継一般業務に係る財務諸表について厚生大臣の承認を受けたときは、同条第三項の規定にかかわらず、同項に規定する公認会計士又は監査法人の監査報告書の事務所への備置き及び一般への縦覧は要しない。
(承継一般勘定等)
第十九条 基金は、承継一般業務に係る経理については、その他の経理と区分して、特別の勘定(以下「承継一般勘定」という。)を設けて整理しなければならない。
2 第九条の規定は、承継一般勘定について準用する。
(長期借入金及び債券)
第二十条 基金は、承継一般業務が行われる場合には、基金法第三十八条第一項の規定によるほか、厚生大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は債券を発行することができる。
2 前項の規定による長期借入金は、政府から借り入れるものとし、銀行その他の金融機関から借り入れてはならない。
3 第一項の規定による債券の債権者は、基金の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
4 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
5 基金は、厚生大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
6 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条、第三百十条及び第三百十一条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
7 第一項及び第三項から前項までに定めるもののほか、債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(交付金)
第二十一条 政府は、基金法第三十九条の規定によるほか、予算の範囲内において、基金に対し、承継一般業務に要する費用(第十二条第二項に規定する業務を行うため必要な貸付資金を除く。)の一部に相当する金額を交付することができる。
(余裕金の運用)
第二十二条 基金は、次の方法によるほか、承継一般勘定に係る業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債、地方債その他確実と認められる有価証券の取得
二 厚生大臣が指定する金融機関への預金又は郵便貯金
三 信託会社(信託業務を営む銀行を含む。)への金銭信託
(準用)
第二十三条 国民生活金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律(昭和二十九年法律第九十一号)第三条から第九条までの規定は、第十二条第一項に規定する業務(旧事業団法第十七条第一項第四号に掲げる業務に係る部分に限る。)を行う場合について準用する。
(特別の法人の借入金に関する特例)
第二十四条 特別の法律に基づいて設立された法人(厚生年金保険の適用事業所の事業主に限る。)で、当該特別の法律の借入金に関する規定により、第十二条第二項第二号イに掲げる資金を借り入れることができず、又は当該法人を監督する行政庁の認可若しくは承認(これらに類する処分を含む。)を受けなければ当該資金を借り入れることができないこととされるものは、当該特別の法律の借入金に関する規定にかかわらず、当該資金を借り入れることができる。
2 公庫の予算及び決算に関する法律(昭和二十六年法律第九十九号)第五条第二項の規定は、同法第一条に規定する公庫の前項の資金に係る借入金については、適用しない。
(基金による保養基地資産の譲渡終了時における出資の取扱い)
第二十五条 第十一条第一項の規定により譲渡された保養基地資産の価額の総額が解散時における当該保養基地資産の帳簿価額(当該保養基地資産の取得に要した費用から当該保養基地資産に係る解散時における減価償却の額の累計額を控除した額をいう。以下この項において同じ。)の総額を超えるときはその差額に相当する額については第一条第一項の規定により年金福祉事業団から承継したすべての保養基地資産の譲渡が終了した日(以下「譲渡終了日」という。)において基金に対し政府から出資されたものとし、基金はその額により資本金を増加するものとし、譲渡された保養基地資産の価額の総額が解散時における当該保養基地資産の帳簿価額の総額を下回るときはその差額に相当する額については譲渡終了日において基金に対する政府の出資はなかったものとし、基金はその額により資本金を減少するものとする。
2 前項に規定するもののほか、解散時から譲渡終了日までにおける除却損等の金額については、譲渡終了日において、基金に対する政府の出資はなかったものとし、基金は、その額により資本金を減少するものとする。
(承継一般勘定の廃止等)
第二十六条 基金は、承継一般業務を終えたときは、承継一般勘定を廃止するものとし、政令で定めるところにより、その廃止の際承継一般勘定に属する資産及び負債を厚生保険特別会計、船員保険特別会計及び国民年金特別会計に帰属させるものとする。
2 基金は、前項の規定により承継一般勘定を廃止したときは、その廃止の際承継一般勘定に属する資本金の額により資本金を減少するものとする。