医療金融公庫法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年六月十一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第九十五号
医療金融公庫法
目次
第一章
総則(第一条―第七条)
第二章
役員及び職員(第八条―第十七条)
第三章
業務(第十八条―第二十一条)
第四章
会計(第二十二条―第二十八条)
第五章
監督(第二十九条―第三十一条)
第六章
雑則(第三十二条)
第七章
罰則(第三十三条―第三十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 医療金融公庫は、国民の健康な生活を確保するに足りる医療の適正な普及向上に資するため、私立の病院、診療所等の設置及びその機能の向上に必要な長期かつ低利の資金であつて一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。
(法人格)
第二条 医療金融公庫(以下「公庫」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 公庫は、事務所を東京都に置く。
(資本金)
第四条 公庫の資本金は、十億円とし、政府がその全額を出資する。
(登記)
第五条 公庫は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記した後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第六条 公庫でない者は、医療金融公庫という名称又はこれに類する名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、公庫に準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第八条 公庫に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置く。
(役員の職務及び権限)
第九条 理事長は、公庫を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して公庫の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行なう。
3 監事は、公庫の業務を監査する。
(役員の任命)
第十条 理事長及び監事は、主務大臣が任命する。
2 理事は、理事長が主務大臣の認可を受けて任命する。
(役員の任期)
第十一条 役員の任期は、四年とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十二条 国会議員、国家公務員(審議会、協議会等の委員その他これに準ずる地位にある者であつて、非常勤のものを除く。)、地方公共団体の議会の議員、地方公共団体の長若しくは常勤の職員又は政党の役員は、公庫の役員となることができない。
(役員の兼職禁止)
第十三条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、若しくは自ら営利事業に従事し、又は第十八条に規定する施設の開設を目的とする法人の役員となり、若しくは自らこれらの施設を開設してはならない。
(代表権の制限)
第十四条 公庫と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事が公庫を代表する。
(職員の任命)
第十五条 公庫の職員は、理事長が任命する。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第十六条 役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(退職手当の支給の基準)
第十七条 公庫は、役員及び職員に対する退職手当の支給の基準を設けようとするときは、あらかじめ、主務大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
第三章 業務
(業務の範囲)
第十八条 公庫は、第一条に規定する目的を達成するため、病院、診療所、薬局その他政令で定める施設を開設する個人又は医療法人、民法第三十四条の規定により設立した法人その他政令で定める法人に対し、当該施設(当該施設の運営に関し必要な附属施設を含むものとし、薬局にあつては、調剤のために必要な施設とする。)の設置、整備又は運営に必要な資金の貸付けの業務を行なう。
(業務の委託等)
第十九条 公庫は、主務大臣の認可を受けて、金融機関に対し、その業務の一部を委託することができる。
2 前項の規定により業務の委託を受けた金融機関(以下「受託金融機関」という。)の役員又は職員であつて当該委託業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(業務方法書)
第二十条 公庫は、業務の開始の際、業務方法書を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 貸付金の使途、貸付けの相手方、利率、償還期限、据置期間、貸付金額の限度、償還の方法、担保に関する事項等貸付けに関する業務の方法
二 業務委託の基準
(事業計画及び資金計画)
第二十一条 公庫は、四半期ごとに、事業計画及び資金計画を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
第四章 会計
(予算及び決算)
第二十二条 公庫の予算及び決算に関しては、公庫の予算及び決算に関する法律(昭和二十六年法律第九十九号)の定めるところによる。
(国庫納付金)
第二十三条 公庫は、毎事業年度の損益計算上利益金を生じたときは、これを翌事業年度の五月三十一日までに国庫に納付しなければならない。
2 前項の規定による国庫納付金は、同項に規定する日の属する会計年度の前年度の政府の歳入とする。
3 第一項の利益金の計算の方法並びに同項の規定による国庫納付金の納付の手続及びその帰属する会計については、政令で定める。
(借入金)
第二十四条 公庫は、主務大臣の認可を受けて、政府から資金の借入れをすることができる。
2 前項に規定する場合を除くほか、公庫は、資金の借入れをしてはならない。
(余裕金の運用等)
第二十五条 公庫は、次の方法による場合のほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債の保有
二 資金運用部への預託
2 公庫は、業務に係る現金を国庫以外に預託してはならない。
(資金の交付等)
第二十六条 公庫は、業務を行なうため必要があるときは、受託金融機関に対し、貸付けに必要な資金を交付することができる。
2 公庫は、業務を行なうため必要があるときは、政令で定めるところにより、業務に係る現金を銀行に預け入れることができる。
(会計帳簿)
第二十七条 公庫は、主務大臣の定めるところにより、業務の性質及び内容並びに業務の運営及び経理の状況を適切に示すため必要な帳簿を備えなければならない。
(会計検査院の検査)
第二十八条 会計検査院は、必要があると認めるときは、受託金融機関につき、当該委託業務に係る会計を検査することができる。
第五章 監督
(監督)
第二十九条 公庫は、主務大臣が監督する。ただし、公庫を当事者又は参加人とする訴訟については、法務大臣が監督する。
2 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公庫に対して、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(役員の解任)
第三十条 主務大臣は、公庫の役員が第十二条の規定により役員となることができない者に該当するに至つたときは、これを解任しなければならない。
2 主務大臣は、公庫の役員が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、これを解任することができる。
一 この法律又はこの法律に基づく命令に違反したとき。
二 刑事事件により有罪の判決の言渡しを受けたとき。
三 破産の宣告を受けたとき。
四 心身の故障により職務を執ることができないとき。
(報告及び検査)
第三十一条 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公庫若しくは受託金融機関に対して報告を求め、又はその職員に公庫若しくは受託金融機関の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。ただし、受託金融機関に対しては、当該委託業務の範囲内に限る。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第六章 雑則
(主務大臣)
第三十二条 この法律における主務大臣は、厚生大臣及び大蔵大臣とする。ただし、前条第一項に規定する主務大臣の権限は、厚生大臣又は大蔵大臣がそれぞれ単独に行使することを妨げない。
第七章 罰則
第三十三条 第三十一条第一項の規定による報告を求められて、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合においては、その違反行為をした公庫の役員若しくは職員又は受託金融機関の役員若しくは職員を三万円以下の罰金に処する。
第三十四条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、その違反行為をした公庫の役員又は職員を三万円以下の過料に処する。
一 この法律により主務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第五条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠つたとき。
三 第十八条に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
四 第二十五条第一項の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第二十五条第二項の規定に違反して業務に係る現金を国庫以外に預託したとき。
六 第二十九条第二項の規定による主務大臣の命令に違反したとき。
第三十五条 第六条の規定に違反して医療金融公庫という名称又はこれに類する名称を用いた者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第二十六項の規定は、公庫の成立の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(設立の手続)
2 主務大臣は、公庫の理事長又は監事となるべき者を指名する。
3 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、公庫の成立の時において、この法律の規定によりそれぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。
4 主務大臣は、設立委員を命じて、公庫の設立に関する事務を処理させる。
5 設立委員は、設立の準備を完了したときは、遅滞なく、政府に対して資本金の払込みの請求をしなければならない。
6 設立委員は、資本金の払込みがあつた日(資本金が分割して払い込まれる場合においては、第一回の払込みがあつた日)において、その事務を附則第二項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
7 附則第二項の規定により指名された理事長となるべき者は、前項の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
8 公庫は、前項の規定による設立の登記をすることによつて成立する。
9 公庫が成立したときは、主務大臣は、遅滞なく、その旨を官報で公示しなければならない。
(共済組合の組合員期間の特例)
10 公庫の設立の際現に国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。以下「組合法」という。)第三条の国家公務員共済組合(以下「組合」という。)の組合員(組合法の長期給付に関する規定の適用を受けない者、組合法第百二十五条の規定の適用を受ける者及びその退職により組合法による退職年金の支給を受ける権利を取得する者を除く。以下「組合員」という。)である者が退職し、引き続き公庫の役員又は職員(以下「役職員」という。)となつた場合において、その者が、そのなつた日から六十日以内に、政令で定めるところにより、その引き続く役職員としての在職期間を、これに引き続き再び組合員の資格を取得したとき(以下「復帰したとき」という。)の組合法第三十八条の規定による組合員期間の計算上組合員期間とみなされることを希望する旨をその組合に申し出たときは、当該退職(以下「転出」という。)に係る組合法の長期給付は、その申出をした者(以下「復帰希望役職員」という。)が引き続き役職員として在職する間、その支払を差し止める。
11 復帰希望役職員が引き続き役職員として在職し、引き続き復帰したときは、転出に係る組合法の長期給付は、廃疾年金にあつては転出の時にさかのぼつてその支給を停止し、退職一時金及び廃疾一時金にあつては、これを受ける権利は、消滅する。
12 復帰希望役職員が引き続き役職員として在職し、引き続き復帰したときは、組合法の長期給付に関する規定(第六章の規定を除く。)の適用については、その者は、当該役職員であつた期間引き続き組合員であつたものとみなす。ただし、当該役職員であつた期間に発した疾病又は負傷に係る廃疾給付については、この限りでない。
13 前項の場合において、組合法第四十二条第二項の規定の適用については、同項中「俸給」とあるのは、「俸給(組合の運営規則で定める仮定俸給を含む。)」とする。
14 復帰希望役職員及び公庫については、当該復帰希望役職員の転出の時にさかのぼつて、組合法第六章(短期給付及び福祉事業に係る部分を除く。)の規定を準用する。この場合において、組合法第九十九条第二項各号列記以外の部分中「及び国の負担金」とあるのは「、公庫の負担金及び国の負担金」と、同項第二号中「国の負担金」とあるのは「公庫の負担金」と、第百条第二項中「俸給」とあるのは「組合の運営規則で定める仮定俸給」と、第百二条中「各省各庁の長又は職員団体」とあり、又は「国又は職員団体」とあるのは「公庫」とする。
15 復帰希望役職員が引き続き役職員として在職しなくなつたとき(引き続き復帰したときを除く。)は、その組合又は組合法第二十一条第一項の国家公務員共済組合連合会は、政令で定めるところにより、当該復帰希望役職員及び公庫に対し、これらの者が負担した掛金又は負担金を返還しなければならない。
(登録税法の一部改正)
16 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条中「第二号ノ九」を「第二号ノ十」に改め、第二号ノ十を第二号ノ十一とし、第二号ノ九を第二号ノ十とし、第二号ノ八の次に次の一号を加える。
二ノ九 医療金融公庫自己ノ為ニスル登記又ハ登録
(印紙税法の一部改正)
17 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第五号ノ四ノ四の次に次の一号を加える。
五ノ四ノ五 医療金融公庫ノ発スル証書、帳簿
(所得税法の一部改正)
18 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第五号中「及び中小企業信用保険公庫」を「、中小企業信用保険公庫及び医療金融公庫」に改める。
(法人税法の一部改正)
19 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第二号中「中小企業信用保険公庫」の下に「、医療金融公庫」を加える。
(大蔵省設置法の一部改正)
20 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第十二条第一項中第六号の五を第六号の六とし、第六号の四の次に次の一号を加える。
六の五 医療金融公庫を監督すること。
(厚生省設置法の一部改正)
21 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条中第四十二号の二を第四十二号の三とし、第四十二号の次に次の一号を加える。
四十二の二 医療金融公庫を監督すること。
第十条中第二号の二を第二号の三とし、第二号の次に次の一号を加える。
二の二 医療金融公庫を監督すること。
(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律の一部改正)
22 国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(昭和二十五年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「中小企業信用保険公庫」の下に「、医療金融公庫」を加える。
(予算執行職員等の責任に関する法律の一部改正)
23 予算執行職員等の責任に関する法律(昭和二十五年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。
第九条第一項中「中小企業信用保険公庫」の下に「、医療金融公庫」を加える。
(地方税法の一部改正)
24 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第二号中「中小企業信用保険公庫」の下に「、医療金融公庫」を加える。
(公庫の予算及び決算に関する法律の一部改正)
25 公庫の予算及び決算に関する法律の一部を次のように改正する。
第一条中「及び中小企業信用保険公庫」を「、中小企業信用保険公庫及び医療金融公庫」に改める。
(中小企業金融公庫法の一部改正)
26 中小企業金融公庫法(昭和二十八年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。
第二条中第三号を削り、第四号を第三号とし、第四号の二を第四号とし、第四号の三を第四号の二とする。
27 前項の規定は、同項の規定の施行前に中小企業金融公庫が同項の規定による改正前の中小企業金融公庫法第二条第三号に掲げる者に対して行なつた貸付けに影響を及ぼすものではない。
内閣総理大臣 岸信介
法務大臣 井野碩哉
大蔵大臣 佐藤榮作
厚生大臣 渡邊良夫
通商産業大臣 池田勇人
医療金融公庫法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年六月十一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第九十五号
医療金融公庫法
目次
第一章
総則(第一条―第七条)
第二章
役員及び職員(第八条―第十七条)
第三章
業務(第十八条―第二十一条)
第四章
会計(第二十二条―第二十八条)
第五章
監督(第二十九条―第三十一条)
第六章
雑則(第三十二条)
第七章
罰則(第三十三条―第三十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 医療金融公庫は、国民の健康な生活を確保するに足りる医療の適正な普及向上に資するため、私立の病院、診療所等の設置及びその機能の向上に必要な長期かつ低利の資金であつて一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。
(法人格)
第二条 医療金融公庫(以下「公庫」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 公庫は、事務所を東京都に置く。
(資本金)
第四条 公庫の資本金は、十億円とし、政府がその全額を出資する。
(登記)
第五条 公庫は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記した後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第六条 公庫でない者は、医療金融公庫という名称又はこれに類する名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、公庫に準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第八条 公庫に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置く。
(役員の職務及び権限)
第九条 理事長は、公庫を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して公庫の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行なう。
3 監事は、公庫の業務を監査する。
(役員の任命)
第十条 理事長及び監事は、主務大臣が任命する。
2 理事は、理事長が主務大臣の認可を受けて任命する。
(役員の任期)
第十一条 役員の任期は、四年とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十二条 国会議員、国家公務員(審議会、協議会等の委員その他これに準ずる地位にある者であつて、非常勤のものを除く。)、地方公共団体の議会の議員、地方公共団体の長若しくは常勤の職員又は政党の役員は、公庫の役員となることができない。
(役員の兼職禁止)
第十三条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、若しくは自ら営利事業に従事し、又は第十八条に規定する施設の開設を目的とする法人の役員となり、若しくは自らこれらの施設を開設してはならない。
(代表権の制限)
第十四条 公庫と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事が公庫を代表する。
(職員の任命)
第十五条 公庫の職員は、理事長が任命する。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第十六条 役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(退職手当の支給の基準)
第十七条 公庫は、役員及び職員に対する退職手当の支給の基準を設けようとするときは、あらかじめ、主務大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
第三章 業務
(業務の範囲)
第十八条 公庫は、第一条に規定する目的を達成するため、病院、診療所、薬局その他政令で定める施設を開設する個人又は医療法人、民法第三十四条の規定により設立した法人その他政令で定める法人に対し、当該施設(当該施設の運営に関し必要な附属施設を含むものとし、薬局にあつては、調剤のために必要な施設とする。)の設置、整備又は運営に必要な資金の貸付けの業務を行なう。
(業務の委託等)
第十九条 公庫は、主務大臣の認可を受けて、金融機関に対し、その業務の一部を委託することができる。
2 前項の規定により業務の委託を受けた金融機関(以下「受託金融機関」という。)の役員又は職員であつて当該委託業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(業務方法書)
第二十条 公庫は、業務の開始の際、業務方法書を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 貸付金の使途、貸付けの相手方、利率、償還期限、据置期間、貸付金額の限度、償還の方法、担保に関する事項等貸付けに関する業務の方法
二 業務委託の基準
(事業計画及び資金計画)
第二十一条 公庫は、四半期ごとに、事業計画及び資金計画を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
第四章 会計
(予算及び決算)
第二十二条 公庫の予算及び決算に関しては、公庫の予算及び決算に関する法律(昭和二十六年法律第九十九号)の定めるところによる。
(国庫納付金)
第二十三条 公庫は、毎事業年度の損益計算上利益金を生じたときは、これを翌事業年度の五月三十一日までに国庫に納付しなければならない。
2 前項の規定による国庫納付金は、同項に規定する日の属する会計年度の前年度の政府の歳入とする。
3 第一項の利益金の計算の方法並びに同項の規定による国庫納付金の納付の手続及びその帰属する会計については、政令で定める。
(借入金)
第二十四条 公庫は、主務大臣の認可を受けて、政府から資金の借入れをすることができる。
2 前項に規定する場合を除くほか、公庫は、資金の借入れをしてはならない。
(余裕金の運用等)
第二十五条 公庫は、次の方法による場合のほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債の保有
二 資金運用部への預託
2 公庫は、業務に係る現金を国庫以外に預託してはならない。
(資金の交付等)
第二十六条 公庫は、業務を行なうため必要があるときは、受託金融機関に対し、貸付けに必要な資金を交付することができる。
2 公庫は、業務を行なうため必要があるときは、政令で定めるところにより、業務に係る現金を銀行に預け入れることができる。
(会計帳簿)
第二十七条 公庫は、主務大臣の定めるところにより、業務の性質及び内容並びに業務の運営及び経理の状況を適切に示すため必要な帳簿を備えなければならない。
(会計検査院の検査)
第二十八条 会計検査院は、必要があると認めるときは、受託金融機関につき、当該委託業務に係る会計を検査することができる。
第五章 監督
(監督)
第二十九条 公庫は、主務大臣が監督する。ただし、公庫を当事者又は参加人とする訴訟については、法務大臣が監督する。
2 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公庫に対して、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(役員の解任)
第三十条 主務大臣は、公庫の役員が第十二条の規定により役員となることができない者に該当するに至つたときは、これを解任しなければならない。
2 主務大臣は、公庫の役員が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、これを解任することができる。
一 この法律又はこの法律に基づく命令に違反したとき。
二 刑事事件により有罪の判決の言渡しを受けたとき。
三 破産の宣告を受けたとき。
四 心身の故障により職務を執ることができないとき。
(報告及び検査)
第三十一条 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公庫若しくは受託金融機関に対して報告を求め、又はその職員に公庫若しくは受託金融機関の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。ただし、受託金融機関に対しては、当該委託業務の範囲内に限る。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第六章 雑則
(主務大臣)
第三十二条 この法律における主務大臣は、厚生大臣及び大蔵大臣とする。ただし、前条第一項に規定する主務大臣の権限は、厚生大臣又は大蔵大臣がそれぞれ単独に行使することを妨げない。
第七章 罰則
第三十三条 第三十一条第一項の規定による報告を求められて、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合においては、その違反行為をした公庫の役員若しくは職員又は受託金融機関の役員若しくは職員を三万円以下の罰金に処する。
第三十四条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、その違反行為をした公庫の役員又は職員を三万円以下の過料に処する。
一 この法律により主務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第五条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠つたとき。
三 第十八条に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
四 第二十五条第一項の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第二十五条第二項の規定に違反して業務に係る現金を国庫以外に預託したとき。
六 第二十九条第二項の規定による主務大臣の命令に違反したとき。
第三十五条 第六条の規定に違反して医療金融公庫という名称又はこれに類する名称を用いた者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第二十六項の規定は、公庫の成立の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(設立の手続)
2 主務大臣は、公庫の理事長又は監事となるべき者を指名する。
3 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、公庫の成立の時において、この法律の規定によりそれぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。
4 主務大臣は、設立委員を命じて、公庫の設立に関する事務を処理させる。
5 設立委員は、設立の準備を完了したときは、遅滞なく、政府に対して資本金の払込みの請求をしなければならない。
6 設立委員は、資本金の払込みがあつた日(資本金が分割して払い込まれる場合においては、第一回の払込みがあつた日)において、その事務を附則第二項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
7 附則第二項の規定により指名された理事長となるべき者は、前項の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
8 公庫は、前項の規定による設立の登記をすることによつて成立する。
9 公庫が成立したときは、主務大臣は、遅滞なく、その旨を官報で公示しなければならない。
(共済組合の組合員期間の特例)
10 公庫の設立の際現に国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。以下「組合法」という。)第三条の国家公務員共済組合(以下「組合」という。)の組合員(組合法の長期給付に関する規定の適用を受けない者、組合法第百二十五条の規定の適用を受ける者及びその退職により組合法による退職年金の支給を受ける権利を取得する者を除く。以下「組合員」という。)である者が退職し、引き続き公庫の役員又は職員(以下「役職員」という。)となつた場合において、その者が、そのなつた日から六十日以内に、政令で定めるところにより、その引き続く役職員としての在職期間を、これに引き続き再び組合員の資格を取得したとき(以下「復帰したとき」という。)の組合法第三十八条の規定による組合員期間の計算上組合員期間とみなされることを希望する旨をその組合に申し出たときは、当該退職(以下「転出」という。)に係る組合法の長期給付は、その申出をした者(以下「復帰希望役職員」という。)が引き続き役職員として在職する間、その支払を差し止める。
11 復帰希望役職員が引き続き役職員として在職し、引き続き復帰したときは、転出に係る組合法の長期給付は、廃疾年金にあつては転出の時にさかのぼつてその支給を停止し、退職一時金及び廃疾一時金にあつては、これを受ける権利は、消滅する。
12 復帰希望役職員が引き続き役職員として在職し、引き続き復帰したときは、組合法の長期給付に関する規定(第六章の規定を除く。)の適用については、その者は、当該役職員であつた期間引き続き組合員であつたものとみなす。ただし、当該役職員であつた期間に発した疾病又は負傷に係る廃疾給付については、この限りでない。
13 前項の場合において、組合法第四十二条第二項の規定の適用については、同項中「俸給」とあるのは、「俸給(組合の運営規則で定める仮定俸給を含む。)」とする。
14 復帰希望役職員及び公庫については、当該復帰希望役職員の転出の時にさかのぼつて、組合法第六章(短期給付及び福祉事業に係る部分を除く。)の規定を準用する。この場合において、組合法第九十九条第二項各号列記以外の部分中「及び国の負担金」とあるのは「、公庫の負担金及び国の負担金」と、同項第二号中「国の負担金」とあるのは「公庫の負担金」と、第百条第二項中「俸給」とあるのは「組合の運営規則で定める仮定俸給」と、第百二条中「各省各庁の長又は職員団体」とあり、又は「国又は職員団体」とあるのは「公庫」とする。
15 復帰希望役職員が引き続き役職員として在職しなくなつたとき(引き続き復帰したときを除く。)は、その組合又は組合法第二十一条第一項の国家公務員共済組合連合会は、政令で定めるところにより、当該復帰希望役職員及び公庫に対し、これらの者が負担した掛金又は負担金を返還しなければならない。
(登録税法の一部改正)
16 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条中「第二号ノ九」を「第二号ノ十」に改め、第二号ノ十を第二号ノ十一とし、第二号ノ九を第二号ノ十とし、第二号ノ八の次に次の一号を加える。
二ノ九 医療金融公庫自己ノ為ニスル登記又ハ登録
(印紙税法の一部改正)
17 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第五号ノ四ノ四の次に次の一号を加える。
五ノ四ノ五 医療金融公庫ノ発スル証書、帳簿
(所得税法の一部改正)
18 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第五号中「及び中小企業信用保険公庫」を「、中小企業信用保険公庫及び医療金融公庫」に改める。
(法人税法の一部改正)
19 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第二号中「中小企業信用保険公庫」の下に「、医療金融公庫」を加える。
(大蔵省設置法の一部改正)
20 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第十二条第一項中第六号の五を第六号の六とし、第六号の四の次に次の一号を加える。
六の五 医療金融公庫を監督すること。
(厚生省設置法の一部改正)
21 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条中第四十二号の二を第四十二号の三とし、第四十二号の次に次の一号を加える。
四十二の二 医療金融公庫を監督すること。
第十条中第二号の二を第二号の三とし、第二号の次に次の一号を加える。
二の二 医療金融公庫を監督すること。
(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律の一部改正)
22 国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(昭和二十五年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「中小企業信用保険公庫」の下に「、医療金融公庫」を加える。
(予算執行職員等の責任に関する法律の一部改正)
23 予算執行職員等の責任に関する法律(昭和二十五年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。
第九条第一項中「中小企業信用保険公庫」の下に「、医療金融公庫」を加える。
(地方税法の一部改正)
24 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第二号中「中小企業信用保険公庫」の下に「、医療金融公庫」を加える。
(公庫の予算及び決算に関する法律の一部改正)
25 公庫の予算及び決算に関する法律の一部を次のように改正する。
第一条中「及び中小企業信用保険公庫」を「、中小企業信用保険公庫及び医療金融公庫」に改める。
(中小企業金融公庫法の一部改正)
26 中小企業金融公庫法(昭和二十八年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。
第二条中第三号を削り、第四号を第三号とし、第四号の二を第四号とし、第四号の三を第四号の二とする。
27 前項の規定は、同項の規定の施行前に中小企業金融公庫が同項の規定による改正前の中小企業金融公庫法第二条第三号に掲げる者に対して行なつた貸付けに影響を及ぼすものではない。
内閣総理大臣 岸信介
法務大臣 井野碩哉
大蔵大臣 佐藤栄作
厚生大臣 渡辺良夫
通商産業大臣 池田勇人