(この法律の目的)
第一條 この法律は、ホテルその他の外客宿泊施設の整備を図り、外客接遇の充実に資することを目的とする。
(ホテル及びホテル業の定義)
第二條 この法律で「ホテル」とは、外客の宿泊に適するように、洋式の構造及び設備をもつて、造られた施設をいう。
2 この法律で「ホテル業」とは、ホテルにより人を宿泊及び飲食させる営業をいう。
(登録)
第三條 ホテル業を営んでいる者又は営もうとする者は、ホテルごとに、主務大臣の登録を受けることができる。
(登録義務)
第四條 主務大臣は、前條の登録の申請があつたときは、左の場合を除いて登録をしなければならない。
一 当該ホテルの施設が別表第一に掲げる基準に適合しないものであるとき。
二 申請者が禁治産者若しくは準禁治産者又は破産の宣告を受け復権を得ない者であるとき。
三 申請者が法人である場合において、その法人の役員に前号に掲げる事由のあるとき。
四 申請者の資力信用が不十分なため、ホテル業の確実な経営が著しく困難であると認められるとき。
2 申請者が第十一條の規定により登録の取消を受けた者でその取消の日から一年を経過しないものであるときは、主務大臣は、前條の登録をしないことができる。
(「登録ホテル」等の名称)
第五條 第三條の登録を受けたホテル業(以下「登録ホテル業」という。)を営む者でなければ、「登録ホテル」又はこれに類似する名称を用いてはならない。
(料金の公示)
第六條 登録ホテル業を営む者は、省令の定めるところにより、その收受する料金を公示しなければならない。
(登録ホテル業の用に供する建物に対する地方税の不均一課税)
第七條 登録ホテル業の用に供する建物については、地方税法(昭和二十三年法律第百十号)第十四條第二項(公益等に因る不均一課税)の規定の適用があるものとする。
(固定資産の耐用年数)
第八條 法人税の課税標準に関する登録ホテル業用の固定資産の耐用年数は、別表第二の通りとする。
(認可の條件)
第九條 主務大臣は、第一條に規定する目的を達成するため必要があると認めるときは、認可に條件を附け、又はこれを変更することができる。
(施設及び経営の改善の勧告並びに資金のあつ旋)
第十條 主務大臣は、第一條に規定する目的を達成するため必要があると認めるときは、登録ホテル業を営む者に対し、施設又は経営の改善に関し勧告することができる。
2 主務大臣は、前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、当該登録ホテル業を営む者に対し、施設又は経営の改善に要する資金をあつ旋するものとする。
(登録の取消)
第十一條 登録ホテル業を営み、又は営もうとする者が、左の各号の一に該当する場合においては、主務大臣は、当該ホテルについて登録を取り消すことができる。
一 この法律、この法律に基く命令又は第九條の規定により認可に附けた條件に違反したとき。
二 第三條の登録を受けた者が、正当の理由がないのに、登録後六箇月以内に営業を開始しないとき。
三 第四條第一項各号の一(第十二條第二項において準用する場合を含む。)の場合に該当するに至つたとき。
第十二條 登録ホテル業の全部若しくは一部の讓渡、賃貸若しくはその経営の委任又は登録ホテル業を営む会社の合併をする場合において、これらの行為について主務大臣の認可を受けなかつたときは、登録の取消があつたものとみなす。
2 前項の認可については、第四條(登録ホテル業の全部の讓渡、賃貸若しくはその経営の委任又は登録ホテル業を営む会社の合併の場合には、同條第一項第一号を除く。)の規定を準用する。この場合において、同條中「前條の登録」とあるのは「前項の認可」と、「登録をしなければならない。」とあるのは「認可をしなければならない。」と読み替えるものとする。
第十三條 左の各号の一に該当する場合を除いて、主務大臣の認可を受けないで、登録ホテル業を営む者がその事業の全部若しくは一部の廃止若しくは休止をし、又は登録ホテル業を営む会社が解散した場合には、登録の取消があつたものとみなす。
二 主務大臣に届出をして、改築、増築又は災害復旧のため臨時的に休止する場合
(税の追徴)
第十四條 主務大臣は、第十一條の規定による登録の取消があつたとき、又は前二條の規定により登録の取消があつたものとみなされたときは、第七條及び第八條の規定は適用がなかつたものとみなすことができる。但し、特にゆうじよすべき事情があると認める場合には、この限りでない。
2 前項の規定により第七條及び第八條の規定の適用がなかつたものとみなされた場合においては、地方税又は法人税を追徴する。
3 前二項の規定の施行に関し必要な事項は、法人税に関しては政令で、地方税に関しては條例で定める。
(登録ホテル業の相続)
第十五條 登録ホテル業を営む者が死亡した場合においては、その相続人は、被相続人の死亡の日から一箇月以内に、相続によつて被相続人の営んでいた登録ホテル業を承継した旨を主務大臣に届け出なければならない。
(報告)
第十六條 主務大臣は、登録ホテル業の用に供されている施設の状況に変更があつたとき、その他必要があると認めるときは、当該登録ホテル業を営む者その他の関係者から、報告を求めることができる。
(ホテル審議会)
第十七條 この法律の適正な運用を図るため、運輸省にホテル審議会(以下「審議会」という。)を置く。
第十八條 主務大臣は、左に掲げる事項について必要な措置をしようとするときは、審議会にはからなければならない。但し、第四條第一項第二号又は第三号(第十二條第二項において準用する場合を含む。)の場合に該当することを理由として、登録若しくは認可をせず、又は登録の取消をしようとするときは、審議会にはかることを要しない。
二 第十一條(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定による登録の取消
三 第十四條第一項(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定による処分
2 前項各号に掲げる事項のうち審議会が軽微なものと認めるものについては、主務大臣は、審議会にはからないで、これをすることができる。
3 審議会は、ホテル業及び旅館業の振興に関し、関係行政庁に建議をすることができる。
第二十條 審議会の委員は、左に掲げる者につき、主務大臣が任命する。
第二十一條 前條第一号及び第二号に掲げる審議会の委員の任期は、三年とする。但し、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 前條第一号及び第二号に掲げる委員であつて審議会の設置後最初に任命される者の任期は、任命の際において主務大臣の定めるところにより、任命の日から、二人については一年、二人については二年、三人については三年とする。
第二十二條 主務大臣は、審議会の委員が心身の故障のため職務をとることができず、又はその職務を怠り、若しくはその職務に関し不正の行為をしたと認められる場合においては、審議会の同意を得て、これを解任することができる。
第二十三條 審議会に会長を置き、委員の互選により選任する。
3 審議会は、あらかじめ、委員のうちから、会長に事故がある場合に会長の職務を代行する者を定めておかなければならない。
第二十四條 主務大臣は、この法律の規定による登録又は認可の申請があつたときは、遅滯なく、第十八條第一項及び第二項の規定により、審議会にはからなければならない。
2 審議会は、前項の規定により意見を聞かれた事項について、意見を聞かれた日から七日以内に審議を開始し、六十日以内にその意見を決定しなければならない。
第二十五條 審議会は、委員の過半数の出席がなければ、議事を開き、議決をすることができない。
2 審議会の議事は、出席者の過半数をもつて決する。可否同数のときは、会長の決するところによる。
3 特定の事案につき特別の利害関係を有する委員は、審議会の議決があつたときは、当該事案に係る議決に参加することができない。
第二十六條 審議会は、第十一條(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定による登録の取消又は第十四條第一項(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定による処分に関し意見を決定しようとするときは、当該登録ホテル業を営み、又は営もうとする者に対し、あらかじめ、期日及び場所を通知して、公開による聽聞をしなければならない。当該登録ホテル業を営み、若しくは営もうとする者又はその代理人は、公開による聽聞の場所において、審議会に対し、意見を述べ、又は証拠を提出することができる。
第二十七條 この法律に規定するものの外、審議会に関し必要な事項は、省令で定める。
(登録旅館業)
第二十八條 外客の宿泊に適するように造られた施設であつてホテル以外のもの(以下「旅館」という。)に関しては、第二條第二項(ホテル業の定義)、第三條(登録)、第四條第一項第一号及び第二項(登録義務)、第五條(「登録ホテル」等の名称)、第六條(料金の公示)、第八條から第十一條まで(固定資産の耐用年数、認可の條件、施設及び経営の改善の勧告並びに資金のあつ旋、登録の取消)、第十四條(税の追徴)及び第十六條(報告)の規定を準用する。この場合において「ホテル業」とあるのは「旅館業」と、「ホテル」とあるのは「旅館」と、「登録ホテル業」とあるのは「登録旅館業」と、「登録ホテル」とあるのは「登録旅館」と、第四條第一項第一号中「別表第一」とあるのは「別表第三」と、第十一條第三号中「第四條第一項各号の一(第十二條第二項において準用する場合を含む。)」とあるのは「第四條第一項第一号」と読み替えるものとする。
(権限の委任)
第二十九條 この法律に規定する主務大臣の権限の一部は、政令の定めるところにより、行政庁に委任することができる。
(訴願)
第三十條 この法律により行政庁のした処分に不服のある者は、主務大臣に訴願することができる。
(罰則)
第三十一條 第五條(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、三万円以下の罰金に処する。
第三十二條 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金又は科料に処する。
一 第六條(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定による公示をせず、又は虚僞の公示をした者
二 第九條(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定により附けた條件に違反した者
三 第十五條の規定による届出をせず、又は虚僞の届出をした者
四 第十六條(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をした者
第三十三條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関し前二條の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本條の罰金刑又は科料刑を科する。