国際観光ホテル整備法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年十二月二十四日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百七十九号
国際観光ホテル整備法
(この法律の目的)
第一條 この法律は、ホテルその他の外客宿泊施設の整備を図り、外客接遇の充実に資することを目的とする。
(ホテル及びホテル業の定義)
第二條 この法律で「ホテル」とは、外客の宿泊に適するように、洋式の構造及び設備をもつて、造られた施設をいう。
2 この法律で「ホテル業」とは、ホテルにより人を宿泊及び飲食させる営業をいう。
(登録)
第三條 ホテル業を営んでいる者又は営もうとする者は、ホテルごとに、主務大臣の登録を受けることができる。
(登録義務)
第四條 主務大臣は、前條の登録の申請があつたときは、左の場合を除いて登録をしなければならない。
一 当該ホテルの施設が別表第一に掲げる基準に適合しないものであるとき。
二 申請者が禁治産者若しくは準禁治産者又は破産の宣告を受け復権を得ない者であるとき。
三 申請者が法人である場合において、その法人の役員に前号に掲げる事由のあるとき。
四 申請者の資力信用が不十分なため、ホテル業の確実な経営が著しく困難であると認められるとき。
2 申請者が第十一條の規定により登録の取消を受けた者でその取消の日から一年を経過しないものであるときは、主務大臣は、前條の登録をしないことができる。
(「登録ホテル」等の名称)
第五條 第三條の登録を受けたホテル業(以下「登録ホテル業」という。)を営む者でなければ、「登録ホテル」又はこれに類似する名称を用いてはならない。
(料金の公示)
第六條 登録ホテル業を営む者は、省令の定めるところにより、その收受する料金を公示しなければならない。
(登録ホテル業の用に供する建物に対する地方税の不均一課税)
第七條 登録ホテル業の用に供する建物については、地方税法(昭和二十三年法律第百十号)第十四條第二項(公益等に因る不均一課税)の規定の適用があるものとする。
(固定資産の耐用年数)
第八條 法人税の課税標準に関する登録ホテル業用の固定資産の耐用年数は、別表第二の通りとする。
(認可の條件)
第九條 主務大臣は、第一條に規定する目的を達成するため必要があると認めるときは、認可に條件を附け、又はこれを変更することができる。
(施設及び経営の改善の勧告並びに資金のあつ旋)
第十條 主務大臣は、第一條に規定する目的を達成するため必要があると認めるときは、登録ホテル業を営む者に対し、施設又は経営の改善に関し勧告することができる。
2 主務大臣は、前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、当該登録ホテル業を営む者に対し、施設又は経営の改善に要する資金をあつ旋するものとする。
(登録の取消)
第十一條 登録ホテル業を営み、又は営もうとする者が、左の各号の一に該当する場合においては、主務大臣は、当該ホテルについて登録を取り消すことができる。
一 この法律、この法律に基く命令又は第九條の規定により認可に附けた條件に違反したとき。
二 第三條の登録を受けた者が、正当の理由がないのに、登録後六箇月以内に営業を開始しないとき。
三 第四條第一項各号の一(第十二條第二項において準用する場合を含む。)の場合に該当するに至つたとき。
第十二條 登録ホテル業の全部若しくは一部の讓渡、賃貸若しくはその経営の委任又は登録ホテル業を営む会社の合併をする場合において、これらの行為について主務大臣の認可を受けなかつたときは、登録の取消があつたものとみなす。
2 前項の認可については、第四條(登録ホテル業の全部の讓渡、賃貸若しくはその経営の委任又は登録ホテル業を営む会社の合併の場合には、同條第一項第一号を除く。)の規定を準用する。この場合において、同條中「前條の登録」とあるのは「前項の認可」と、「登録をしなければならない。」とあるのは「認可をしなければならない。」と読み替えるものとする。
第十三條 左の各号の一に該当する場合を除いて、主務大臣の認可を受けないで、登録ホテル業を営む者がその事業の全部若しくは一部の廃止若しくは休止をし、又は登録ホテル業を営む会社が解散した場合には、登録の取消があつたものとみなす。
一 主務大臣に届出をして、季節的に休止する場合
二 主務大臣に届出をして、改築、増築又は災害復旧のため臨時的に休止する場合
(税の追徴)
第十四條 主務大臣は、第十一條の規定による登録の取消があつたとき、又は前二條の規定により登録の取消があつたものとみなされたときは、第七條及び第八條の規定は適用がなかつたものとみなすことができる。但し、特にゆうじよすべき事情があると認める場合には、この限りでない。
2 前項の規定により第七條及び第八條の規定の適用がなかつたものとみなされた場合においては、地方税又は法人税を追徴する。
3 前二項の規定の施行に関し必要な事項は、法人税に関しては政令で、地方税に関しては條例で定める。
(登録ホテル業の相続)
第十五條 登録ホテル業を営む者が死亡した場合においては、その相続人は、被相続人の死亡の日から一箇月以内に、相続によつて被相続人の営んでいた登録ホテル業を承継した旨を主務大臣に届け出なければならない。
(報告)
第十六條 主務大臣は、登録ホテル業の用に供されている施設の状況に変更があつたとき、その他必要があると認めるときは、当該登録ホテル業を営む者その他の関係者から、報告を求めることができる。
(ホテル審議会)
第十七條 この法律の適正な運用を図るため、運輸省にホテル審議会(以下「審議会」という。)を置く。
第十八條 主務大臣は、左に掲げる事項について必要な措置をしようとするときは、審議会にはからなければならない。但し、第四條第一項第二号又は第三号(第十二條第二項において準用する場合を含む。)の場合に該当することを理由として、登録若しくは認可をせず、又は登録の取消をしようとするときは、審議会にはかることを要しない。
一 この法律の規定による登録又は認可
二 第十一條(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定による登録の取消
三 第十四條第一項(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定による処分
四 前三号に掲げる処分に関する訴願の裁決
2 前項各号に掲げる事項のうち審議会が軽微なものと認めるものについては、主務大臣は、審議会にはからないで、これをすることができる。
3 審議会は、ホテル業及び旅館業の振興に関し、関係行政庁に建議をすることができる。
第十九條 審議会は、委員十人をもつて組織する。
第二十條 審議会の委員は、左に掲げる者につき、主務大臣が任命する。
一 ホテル業に関し学識経験のある者 四人
二 観光事業機関を代表すると認められる者 三人
三 運輸省、厚生省及び建設省の官吏 各一人
第二十一條 前條第一号及び第二号に掲げる審議会の委員の任期は、三年とする。但し、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 前條第一号及び第二号に掲げる委員であつて審議会の設置後最初に任命される者の任期は、任命の際において主務大臣の定めるところにより、任命の日から、二人については一年、二人については二年、三人については三年とする。
4 委員は、非常勤とする。
第二十二條 主務大臣は、審議会の委員が心身の故障のため職務をとることができず、又はその職務を怠り、若しくはその職務に関し不正の行為をしたと認められる場合においては、審議会の同意を得て、これを解任することができる。
第二十三條 審議会に会長を置き、委員の互選により選任する。
2 会長は、会務を総理する。
3 審議会は、あらかじめ、委員のうちから、会長に事故がある場合に会長の職務を代行する者を定めておかなければならない。
第二十四條 主務大臣は、この法律の規定による登録又は認可の申請があつたときは、遅滯なく、第十八條第一項及び第二項の規定により、審議会にはからなければならない。
2 審議会は、前項の規定により意見を聞かれた事項について、意見を聞かれた日から七日以内に審議を開始し、六十日以内にその意見を決定しなければならない。
第二十五條 審議会は、委員の過半数の出席がなければ、議事を開き、議決をすることができない。
2 審議会の議事は、出席者の過半数をもつて決する。可否同数のときは、会長の決するところによる。
3 特定の事案につき特別の利害関係を有する委員は、審議会の議決があつたときは、当該事案に係る議決に参加することができない。
第二十六條 審議会は、第十一條(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定による登録の取消又は第十四條第一項(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定による処分に関し意見を決定しようとするときは、当該登録ホテル業を営み、又は営もうとする者に対し、あらかじめ、期日及び場所を通知して、公開による聽聞をしなければならない。当該登録ホテル業を営み、若しくは営もうとする者又はその代理人は、公開による聽聞の場所において、審議会に対し、意見を述べ、又は証拠を提出することができる。
第二十七條 この法律に規定するものの外、審議会に関し必要な事項は、省令で定める。
(登録旅館業)
第二十八條 外客の宿泊に適するように造られた施設であつてホテル以外のもの(以下「旅館」という。)に関しては、第二條第二項(ホテル業の定義)、第三條(登録)、第四條第一項第一号及び第二項(登録義務)、第五條(「登録ホテル」等の名称)、第六條(料金の公示)、第八條から第十一條まで(固定資産の耐用年数、認可の條件、施設及び経営の改善の勧告並びに資金のあつ旋、登録の取消)、第十四條(税の追徴)及び第十六條(報告)の規定を準用する。この場合において「ホテル業」とあるのは「旅館業」と、「ホテル」とあるのは「旅館」と、「登録ホテル業」とあるのは「登録旅館業」と、「登録ホテル」とあるのは「登録旅館」と、第四條第一項第一号中「別表第一」とあるのは「別表第三」と、第十一條第三号中「第四條第一項各号の一(第十二條第二項において準用する場合を含む。)」とあるのは「第四條第一項第一号」と読み替えるものとする。
(権限の委任)
第二十九條 この法律に規定する主務大臣の権限の一部は、政令の定めるところにより、行政庁に委任することができる。
(訴願)
第三十條 この法律により行政庁のした処分に不服のある者は、主務大臣に訴願することができる。
(罰則)
第三十一條 第五條(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、三万円以下の罰金に処する。
第三十二條 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金又は科料に処する。
一 第六條(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定による公示をせず、又は虚僞の公示をした者
二 第九條(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定により附けた條件に違反した者
三 第十五條の規定による届出をせず、又は虚僞の届出をした者
四 第十六條(第二十八條において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をした者
第三十三條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関し前二條の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本條の罰金刑又は科料刑を科する。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第三十八條中造船技術審議会の項の次に次の一項を加える。
ホテル審議会
国際観光ホテル整備法(昭和二十四年法律第二百七十九号)に定めるホテルその他の外客宿泊施設の整備に関する重要事項を調査審議すること
別表第一
一 洋式の構造及び設備をもつて造られた客室(以下「洋式客室」という。)の数が、東京都の区のある区域並びに京都市、大阪市、横浜市、神戸市及び名古屋市においては、三十室以上で、且つ、客室総数の二分の一以上、その他の地においては、十五室以上で、且つ、客室総数の三分の一以上であること。
二 客その他の関係者が、営業時間中、自由に出入することのできる玄関及び玄関広間があること。
三 客に応接し、及び宿泊者名簿に記入する等の用に供される玄関帳場があること。
四 洋式客室は、次の條件をみたすものであること。
イ 床面積が十三平方メートル以上であること。
ロ 冷温流水設備及び寝台を備え、且つ、その入口は、かぎをかけることのできるものであること。
ハ 卓上電話又は呼鈴があること。
ニ 換気設備があること。
五 使用するたびごとに用水を取り替える洋式浴室があり、その入口には、かぎをかけることのできるものであること。
六 食堂があること。
七 客室がある階ごとに、二以上の避難に有効な階段その他の設備があること。但し、その階段が三階以上にある客室から連絡するものである場合は、その適当な箇所に踊場がなければならない。
八 各非常口の見易い所に、電気照明を施した出口標示があること。但し、その出口標示は、適当な大きさの文字でなければならない。
廊下の適当な箇所に、矢印をもつてする非常口への道順を示す標示があること。
九 各階ごとに、床面積百八十平方メートルにつき、少くとも一台の消火器の備付があること。
十 階段裏の空間は、可燃物の置場又は倉庫として使用しないこと。
十一 暖房の設備があること。但し、夏期に限り営業をするものについては、この限りでない。
十二 開口部には、防虫用の金網が張つてあること。
十三 便所は水洗式であり、且つ、座便式のものがあり、共同用のものは、男女に区別して設けられてあること。
別表第二
建物
イ 鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造(鉄骨れんが造及び鉄骨石造を含む。) 四十年
ロ れんが造又は石造 三十年
ハ 木造(木骨れんが造及び木骨造塗家を含む。) 十五年
暖房設備、冷房設備その他建物に附属する設備 十五年
機械及び裝置
イ 主として金属製のもの 十二年
ロ その他 六年
構築物
イ 木造 十年
ロ その他 三十年
工具、器具及び備品
イ 工具 八年
ロ 器具及び備品
1 主として金属製のもの 十年
2 その他 五年
別表第三
一 環境、建築、外観及び庭園が優秀で、外客を喜ばせるに足るものであること。
二 外客の宿泊に適する客室(以下「客室」という。)の数が、東京都の区のある区域並びに京都市、大阪市、横浜市、神戸市及び名古屋市においては十室以上、その他の地においては五室以上であること。
三 客室は、次の條件をみたすものであること。
イ 設備、調度品等が、日本趣味豊かなものであつて、外客を喜ばせるに足るものであること。
ロ いす及びテーブルの備付があること。
ハ 入口は、かぎをかけることのできるものであること。
ニ 隣室との間を壁仕切とし、次の間又は踏込があること。
ホ 開口部には、防虫用の金網が張つてあること。
ヘ 卓上電話又は呼鈴があること。
ト 換気設備があること。
チ 適当な採暖設備があること。
四 浴室は、タイル張又は上質の板張とし、脱衣室は、かぎをかけることのできるものであること。
五 客室がある階ごとに、二以上の避難に有効な階段その他の設備があること。但し、その階段が三階以上にある客室から連絡するものである場合は、その適当な箇所に踊場がなければならない。
六 各非常口の見易い所に、電気照明を施した出口標示があること。但し、その出口標示は、適当な大きさの文字でなければならない。
廊下の適当な箇所に、矢印をもつてする非常口への道順を示す標示があること。
七 各階ごとに、床面積百八十平方メートルにつき、少くとも一台の消火器の備付があること。
八 階段裏の空間は、可燃物の置場又は倉庫として使用しないこと。
九 水洗式で座便式の便所があり、且つ、その共同用のものは、男女に区別して設けられてあること。
便所の開口部には防虫用の金網が張つてあること。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人
運輸大臣 大屋晋三
国際観光ホテル整備法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十四年十二月二十四日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第二百七十九号
国際観光ホテル整備法
(この法律の目的)
第一条 この法律は、ホテルその他の外客宿泊施設の整備を図り、外客接遇の充実に資することを目的とする。
(ホテル及びホテル業の定義)
第二条 この法律で「ホテル」とは、外客の宿泊に適するように、洋式の構造及び設備をもつて、造られた施設をいう。
2 この法律で「ホテル業」とは、ホテルにより人を宿泊及び飲食させる営業をいう。
(登録)
第三条 ホテル業を営んでいる者又は営もうとする者は、ホテルごとに、主務大臣の登録を受けることができる。
(登録義務)
第四条 主務大臣は、前条の登録の申請があつたときは、左の場合を除いて登録をしなければならない。
一 当該ホテルの施設が別表第一に掲げる基準に適合しないものであるとき。
二 申請者が禁治産者若しくは準禁治産者又は破産の宣告を受け復権を得ない者であるとき。
三 申請者が法人である場合において、その法人の役員に前号に掲げる事由のあるとき。
四 申請者の資力信用が不十分なため、ホテル業の確実な経営が著しく困難であると認められるとき。
2 申請者が第十一条の規定により登録の取消を受けた者でその取消の日から一年を経過しないものであるときは、主務大臣は、前条の登録をしないことができる。
(「登録ホテル」等の名称)
第五条 第三条の登録を受けたホテル業(以下「登録ホテル業」という。)を営む者でなければ、「登録ホテル」又はこれに類似する名称を用いてはならない。
(料金の公示)
第六条 登録ホテル業を営む者は、省令の定めるところにより、その収受する料金を公示しなければならない。
(登録ホテル業の用に供する建物に対する地方税の不均一課税)
第七条 登録ホテル業の用に供する建物については、地方税法(昭和二十三年法律第百十号)第十四条第二項(公益等に因る不均一課税)の規定の適用があるものとする。
(固定資産の耐用年数)
第八条 法人税の課税標準に関する登録ホテル業用の固定資産の耐用年数は、別表第二の通りとする。
(認可の条件)
第九条 主務大臣は、第一条に規定する目的を達成するため必要があると認めるときは、認可に条件を附け、又はこれを変更することができる。
(施設及び経営の改善の勧告並びに資金のあつ旋)
第十条 主務大臣は、第一条に規定する目的を達成するため必要があると認めるときは、登録ホテル業を営む者に対し、施設又は経営の改善に関し勧告することができる。
2 主務大臣は、前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、当該登録ホテル業を営む者に対し、施設又は経営の改善に要する資金をあつ旋するものとする。
(登録の取消)
第十一条 登録ホテル業を営み、又は営もうとする者が、左の各号の一に該当する場合においては、主務大臣は、当該ホテルについて登録を取り消すことができる。
一 この法律、この法律に基く命令又は第九条の規定により認可に附けた条件に違反したとき。
二 第三条の登録を受けた者が、正当の理由がないのに、登録後六箇月以内に営業を開始しないとき。
三 第四条第一項各号の一(第十二条第二項において準用する場合を含む。)の場合に該当するに至つたとき。
第十二条 登録ホテル業の全部若しくは一部の譲渡、賃貸若しくはその経営の委任又は登録ホテル業を営む会社の合併をする場合において、これらの行為について主務大臣の認可を受けなかつたときは、登録の取消があつたものとみなす。
2 前項の認可については、第四条(登録ホテル業の全部の譲渡、賃貸若しくはその経営の委任又は登録ホテル業を営む会社の合併の場合には、同条第一項第一号を除く。)の規定を準用する。この場合において、同条中「前条の登録」とあるのは「前項の認可」と、「登録をしなければならない。」とあるのは「認可をしなければならない。」と読み替えるものとする。
第十三条 左の各号の一に該当する場合を除いて、主務大臣の認可を受けないで、登録ホテル業を営む者がその事業の全部若しくは一部の廃止若しくは休止をし、又は登録ホテル業を営む会社が解散した場合には、登録の取消があつたものとみなす。
一 主務大臣に届出をして、季節的に休止する場合
二 主務大臣に届出をして、改築、増築又は災害復旧のため臨時的に休止する場合
(税の追徴)
第十四条 主務大臣は、第十一条の規定による登録の取消があつたとき、又は前二条の規定により登録の取消があつたものとみなされたときは、第七条及び第八条の規定は適用がなかつたものとみなすことができる。但し、特にゆうじよすべき事情があると認める場合には、この限りでない。
2 前項の規定により第七条及び第八条の規定の適用がなかつたものとみなされた場合においては、地方税又は法人税を追徴する。
3 前二項の規定の施行に関し必要な事項は、法人税に関しては政令で、地方税に関しては条例で定める。
(登録ホテル業の相続)
第十五条 登録ホテル業を営む者が死亡した場合においては、その相続人は、被相続人の死亡の日から一箇月以内に、相続によつて被相続人の営んでいた登録ホテル業を承継した旨を主務大臣に届け出なければならない。
(報告)
第十六条 主務大臣は、登録ホテル業の用に供されている施設の状況に変更があつたとき、その他必要があると認めるときは、当該登録ホテル業を営む者その他の関係者から、報告を求めることができる。
(ホテル審議会)
第十七条 この法律の適正な運用を図るため、運輸省にホテル審議会(以下「審議会」という。)を置く。
第十八条 主務大臣は、左に掲げる事項について必要な措置をしようとするときは、審議会にはからなければならない。但し、第四条第一項第二号又は第三号(第十二条第二項において準用する場合を含む。)の場合に該当することを理由として、登録若しくは認可をせず、又は登録の取消をしようとするときは、審議会にはかることを要しない。
一 この法律の規定による登録又は認可
二 第十一条(第二十八条において準用する場合を含む。)の規定による登録の取消
三 第十四条第一項(第二十八条において準用する場合を含む。)の規定による処分
四 前三号に掲げる処分に関する訴願の裁決
2 前項各号に掲げる事項のうち審議会が軽微なものと認めるものについては、主務大臣は、審議会にはからないで、これをすることができる。
3 審議会は、ホテル業及び旅館業の振興に関し、関係行政庁に建議をすることができる。
第十九条 審議会は、委員十人をもつて組織する。
第二十条 審議会の委員は、左に掲げる者につき、主務大臣が任命する。
一 ホテル業に関し学識経験のある者 四人
二 観光事業機関を代表すると認められる者 三人
三 運輸省、厚生省及び建設省の官吏 各一人
第二十一条 前条第一号及び第二号に掲げる審議会の委員の任期は、三年とする。但し、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 前条第一号及び第二号に掲げる委員であつて審議会の設置後最初に任命される者の任期は、任命の際において主務大臣の定めるところにより、任命の日から、二人については一年、二人については二年、三人については三年とする。
4 委員は、非常勤とする。
第二十二条 主務大臣は、審議会の委員が心身の故障のため職務をとることができず、又はその職務を怠り、若しくはその職務に関し不正の行為をしたと認められる場合においては、審議会の同意を得て、これを解任することができる。
第二十三条 審議会に会長を置き、委員の互選により選任する。
2 会長は、会務を総理する。
3 審議会は、あらかじめ、委員のうちから、会長に事故がある場合に会長の職務を代行する者を定めておかなければならない。
第二十四条 主務大臣は、この法律の規定による登録又は認可の申請があつたときは、遅滞なく、第十八条第一項及び第二項の規定により、審議会にはからなければならない。
2 審議会は、前項の規定により意見を聞かれた事項について、意見を聞かれた日から七日以内に審議を開始し、六十日以内にその意見を決定しなければならない。
第二十五条 審議会は、委員の過半数の出席がなければ、議事を開き、議決をすることができない。
2 審議会の議事は、出席者の過半数をもつて決する。可否同数のときは、会長の決するところによる。
3 特定の事案につき特別の利害関係を有する委員は、審議会の議決があつたときは、当該事案に係る議決に参加することができない。
第二十六条 審議会は、第十一条(第二十八条において準用する場合を含む。)の規定による登録の取消又は第十四条第一項(第二十八条において準用する場合を含む。)の規定による処分に関し意見を決定しようとするときは、当該登録ホテル業を営み、又は営もうとする者に対し、あらかじめ、期日及び場所を通知して、公開による聴聞をしなければならない。当該登録ホテル業を営み、若しくは営もうとする者又はその代理人は、公開による聴聞の場所において、審議会に対し、意見を述べ、又は証拠を提出することができる。
第二十七条 この法律に規定するものの外、審議会に関し必要な事項は、省令で定める。
(登録旅館業)
第二十八条 外客の宿泊に適するように造られた施設であつてホテル以外のもの(以下「旅館」という。)に関しては、第二条第二項(ホテル業の定義)、第三条(登録)、第四条第一項第一号及び第二項(登録義務)、第五条(「登録ホテル」等の名称)、第六条(料金の公示)、第八条から第十一条まで(固定資産の耐用年数、認可の条件、施設及び経営の改善の勧告並びに資金のあつ旋、登録の取消)、第十四条(税の追徴)及び第十六条(報告)の規定を準用する。この場合において「ホテル業」とあるのは「旅館業」と、「ホテル」とあるのは「旅館」と、「登録ホテル業」とあるのは「登録旅館業」と、「登録ホテル」とあるのは「登録旅館」と、第四条第一項第一号中「別表第一」とあるのは「別表第三」と、第十一条第三号中「第四条第一項各号の一(第十二条第二項において準用する場合を含む。)」とあるのは「第四条第一項第一号」と読み替えるものとする。
(権限の委任)
第二十九条 この法律に規定する主務大臣の権限の一部は、政令の定めるところにより、行政庁に委任することができる。
(訴願)
第三十条 この法律により行政庁のした処分に不服のある者は、主務大臣に訴願することができる。
(罰則)
第三十一条 第五条(第二十八条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、三万円以下の罰金に処する。
第三十二条 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金又は科料に処する。
一 第六条(第二十八条において準用する場合を含む。)の規定による公示をせず、又は虚偽の公示をした者
二 第九条(第二十八条において準用する場合を含む。)の規定により附けた条件に違反した者
三 第十五条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
四 第十六条(第二十八条において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
第三十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関し前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑又は科料刑を科する。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第三十八条中造船技術審議会の項の次に次の一項を加える。
ホテル審議会
国際観光ホテル整備法(昭和二十四年法律第二百七十九号)に定めるホテルその他の外客宿泊施設の整備に関する重要事項を調査審議すること
別表第一
一 洋式の構造及び設備をもつて造られた客室(以下「洋式客室」という。)の数が、東京都の区のある区域並びに京都市、大阪市、横浜市、神戸市及び名古屋市においては、三十室以上で、且つ、客室総数の二分の一以上、その他の地においては、十五室以上で、且つ、客室総数の三分の一以上であること。
二 客その他の関係者が、営業時間中、自由に出入することのできる玄関及び玄関広間があること。
三 客に応接し、及び宿泊者名簿に記入する等の用に供される玄関帳場があること。
四 洋式客室は、次の条件をみたすものであること。
イ 床面積が十三平方メートル以上であること。
ロ 冷温流水設備及び寝台を備え、且つ、その入口は、かぎをかけることのできるものであること。
ハ 卓上電話又は呼鈴があること。
ニ 換気設備があること。
五 使用するたびごとに用水を取り替える洋式浴室があり、その入口には、かぎをかけることのできるものであること。
六 食堂があること。
七 客室がある階ごとに、二以上の避難に有効な階段その他の設備があること。但し、その階段が三階以上にある客室から連絡するものである場合は、その適当な箇所に踊場がなければならない。
八 各非常口の見易い所に、電気照明を施した出口標示があること。但し、その出口標示は、適当な大きさの文字でなければならない。
廊下の適当な箇所に、矢印をもつてする非常口への道順を示す標示があること。
九 各階ごとに、床面積百八十平方メートルにつき、少くとも一台の消火器の備付があること。
十 階段裏の空間は、可燃物の置場又は倉庫として使用しないこと。
十一 暖房の設備があること。但し、夏期に限り営業をするものについては、この限りでない。
十二 開口部には、防虫用の金網が張つてあること。
十三 便所は水洗式であり、且つ、座便式のものがあり、共同用のものは、男女に区別して設けられてあること。
別表第二
建物
イ 鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造(鉄骨れんが造及び鉄骨石造を含む。) 四十年
ロ れんが造又は石造 三十年
ハ 木造(木骨れんが造及び木骨造塗家を含む。) 十五年
暖房設備、冷房設備その他建物に附属する設備 十五年
機械及び装置
イ 主として金属製のもの 十二年
ロ その他 六年
構築物
イ 木造 十年
ロ その他 三十年
工具、器具及び備品
イ 工具 八年
ロ 器具及び備品
1 主として金属製のもの 十年
2 その他 五年
別表第三
一 環境、建築、外観及び庭園が優秀で、外客を喜ばせるに足るものであること。
二 外客の宿泊に適する客室(以下「客室」という。)の数が、東京都の区のある区域並びに京都市、大阪市、横浜市、神戸市及び名古屋市においては十室以上、その他の地においては五室以上であること。
三 客室は、次の条件をみたすものであること。
イ 設備、調度品等が、日本趣味豊かなものであつて、外客を喜ばせるに足るものであること。
ロ いす及びテーブルの備付があること。
ハ 入口は、かぎをかけることのできるものであること。
ニ 隣室との間を壁仕切とし、次の間又は踏込があること。
ホ 開口部には、防虫用の金網が張つてあること。
ヘ 卓上電話又は呼鈴があること。
ト 換気設備があること。
チ 適当な採暖設備があること。
四 浴室は、タイル張又は上質の板張とし、脱衣室は、かぎをかけることのできるものであること。
五 客室がある階ごとに、二以上の避難に有効な階段その他の設備があること。但し、その階段が三階以上にある客室から連絡するものである場合は、その適当な箇所に踊場がなければならない。
六 各非常口の見易い所に、電気照明を施した出口標示があること。但し、その出口標示は、適当な大きさの文字でなければならない。
廊下の適当な箇所に、矢印をもつてする非常口への道順を示す標示があること。
七 各階ごとに、床面積百八十平方メートルにつき、少くとも一台の消火器の備付があること。
八 階段裏の空間は、可燃物の置場又は倉庫として使用しないこと。
九 水洗式で座便式の便所があり、且つ、その共同用のものは、男女に区別して設けられてあること。
便所の開口部には防虫用の金網が張つてあること。
内閣総理大臣 吉田茂
大蔵大臣 池田勇人
運輸大臣 大屋晋三