自然公園法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第二十九号
公布年月日: 平成14年4月24日
法令の形式: 法律
自然公園法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成十四年四月二十四日
内閣総理大臣 小泉純一郎
法律第二十九号
自然公園法の一部を改正する法律
自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)の一部を次のように改正する。
目次を次のように改める。
目次
第一章
総則(第一条―第四条)
第二章
国立公園及び国定公園
第一節
指定(第五条・第六条)
第二節
公園計画及び公園事業(第七条―第十二条)
第三節
保護及び利用(第十三条―第三十条)
第四節
風景地保護協定(第三十一条―第三十六条)
第五節
公園管理団体(第三十七条―第四十二条)
第六節
費用(第四十三条―第四十九条)
第七節
雑則(第五十条―第五十八条)
第三章
都道府県立自然公園(第五十九条―第六十八条)
第四章
罰則(第六十九条―第七十六条)
附則
第一条中「すぐれた」を「優れた」に改める。
第二条第二号中「わが国」を「我が国」に改め、「含む。」の下に「第二章第四節及び第六十一条を除き、」を加え、「第十条第一項」を「第五条第一項」に改め、同条第三号中「すぐれた」を「優れた」に、「第十条第二項」を「第五条第二項」に改め、同条第四号中「すぐれた」を「優れた」に、「第四十一条」を「第五十九条」に改め、同条第六号中「基いて」を「基づいて」に改める。
第二章第一節を削る。
第一章中第三条を第四条とする。
第二条の二中「すぐれた」を「優れた」に改め、同条に次の一項を加える。
2 国及び地方公共団体は、自然公園に生息し、又は生育する動植物の保護が自然公園の風景の保護に重要であることにかんがみ、自然公園における生態系の多様性の確保その他の生物の多様性の確保を旨として、自然公園の風景の保護に関する施策を講ずるものとする。
第二条の二を第三条とする。
第十条第二項中「聞き」を「聴き」に改め、第二章第二節中同条を第五条とする。
第十一条第二項中「聞かなければ」を「聴かなければ」に改め、同条を第六条とする。
第二章第二節を同章第一節とする。
第二章第三節中第十二条を第七条とする。
第十三条第三項中「聞かなければ」を「聴かなければ」に改め、同条を第八条とし、第十四条を第九条とし、第十五条を第十条とする。
第十六条中「第十四条第二項」を「第九条第二項」に、「第十四条第三項」を「第九条第三項」に改め、同条を第十一条とし、第十六条の二を第十二条とする。
第二章第三節を同章第二節とする。
第十七条第二項中「第十条第三項」を「第五条第三項」に改め、同条第三項中「(第四号の二」を「(第五号」に、「若しくは第四号の二」を「若しくは同号」に改め、「同号に掲げる行為」の下に「若しくは第七号に規定する物が指定された際既に着手していた同号に掲げる行為」を加え、同項中第十号を第十四号とし、同号の次に次の一号を加える。
十五 前各号に掲げるもののほか、特別地域における風致の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの
第十七条第三項中第九号を第十二号とし、同号の次に次の一号を加える。
十三 湿原その他これに類する地域のうち環境大臣が指定する区域内へ当該区域ごとに指定する期間内に立ち入ること。
第十七条第三項第八号中「その他これに類する」を「その他の」に改め、同号を同項第十号とし、同号の次に次の一号を加える。
十一 山岳に生息する動物その他の動物で環境大臣が指定するもの(以下この号において「指定動物」という。)を捕獲し、若しくは殺傷し、又は指定動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。
第十七条第三項中第七号を第九号とし、第六号を第八号とし、第五号を第六号とし、同号の次に次の一号を加える。
七 屋外において土石その他の環境大臣が指定する物を集積し、又は貯蔵すること。
第十七条第三項中第四号の二を第五号とし、同条第六項中「同項第四号の二」を「同項第五号」に改め、「同号に掲げる行為」の下に「若しくは同項第七号に規定する物が指定された際同号に掲げる行為」を加え、同条第九項中第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。
二 第三十一条第一項の規定により締結された風景地保護協定に基づいて同項第一号の風景地保護協定区域内で行う行為であつて、同項第二号又は第三号に掲げる事項に従つて行うもの
第二章第四節中第十七条を第十三条とする。
第五十四条中「第四十二条又は第四十三条の規定に基く」を「第六十条、第六十二条又は第六十三条の規定に基づく」に、「こえない」を「超えない」に改め、同条を第七十六条とする。
第五十三条中「前四条」を「第六十九条、第七十条、第七十二条又は前条」に改め、同条を第七十四条とし、同条の次に次の一条を加える。
第七十五条 第十六条第六項の規定に違反して立入認定証を携帯しないで立ち入つた者は、十万円以下の過料に処する。
第五十二条中「一に」を「いずれかに」に、「二十万円」を「三十万円」に改め、同条第七号中「第三十二条第五項」を「第五十条第五項」に、「立入」を「立入り」に改め、同号を同条第十号とし、同条第六号中「第二十四条第二項」を「第三十条第二項」に改め、同号を同条第九号とし、同条第五号中「第二十四条第一項第一号」を「第三十条第一項第一号」に改め、同号を同条第八号とし、同条第四号中「第二十二条第二項」を「第二十八条第二項」に改め、同号を同条第七号とし、同条第三号中「第二十二条第一項」を「第二十八条第一項」に改め、同号を同条第六号とし、同条第二号中「第二十条第五項」を「第二十六条第五項」に改め、同号を同条第五号とし、同条第一号中「第二十条第一項」を「第二十六条第一項」に改め、同号を同条第四号とし、同条に第一号から第三号までとして次の三号を加える。
一 偽りその他不正の手段により第十六条第五項の立入認定証の再交付を受けた者
二 第十九条第四項の許可を受けないで認定関係事務の全部を廃止した者
三 第二十二条第一項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
第五十二条を第七十三条とする。
第五十一条中「第二十条第二項の規定による処分」を「第二十六条第二項又は第四十条の規定による命令」に、「三十万円」を「五十万円」に改め、同条を第七十二条とする。
第五十条中「一に」を「いずれかに」に、「六箇月」を「六月」に、「三十万円」を「五十万円」に改め、同条第一号中「第十七条第三項、第十八条第三項又は第十八条の二第三項」を「第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項又は第二十四条第三項」に改め、同条第二号中「第十九条」を「第二十五条」に改め、同号を同条第三号とし、同条第一号の次に次の一号を加える。
二 偽りその他不正の手段により第十六条第一項の認定を受けた者
第五十条を第七十条とし、同条の次に次の一条を加える。
第七十一条 第二十条第一項の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第四十九条中「第二十一条」を「第二十七条第一項」に、「五十万円」を「百万円」に改め、同条を第六十九条とする。
第三章中第四十八条を第六十八条とし、第四十七条を第六十七条とする。
第四十六条第一項中「特別地域」の下に「又は利用調整地区」を加え、同条第二項中「第四十二条第一項」を「第六十条第一項」に、「基く」を「基づく」に、「第四十条」を「第五十六条」に改め、同条を第六十六条とする。
第四十五条中「第四十二条第一項」を「第六十条第一項」に、「第三十四条第一項後段」を「第五十一条第一項後段」に改め、同条を第六十五条とする。
第四十四条中「第四十二条第一項」を「第六十条第一項」に、「基く」を「基づく」に改め、同条を第六十四条とする。
第四十三条中「第三十二条」を「第五十条」に改め、同条を第六十三条とする。
第四十二条第一項中「都道府県立自然公園の風致を維持するため、条例の定めるところにより、」を「条例の定めるところにより、都道府県立自然公園の風致を維持するため」に改め、「特別地域を」の下に「、都道府県立自然公園の風致の維持とその適正な利用を図るため特別地域内に利用調整地区を」を、「特別地域内」の下に「、利用調整地区内」を、「の特別地域」の下に「、利用調整地区」を加え、「前章第四節」を「前章第三節」に改め、同条第二項中「第二十四条」を「第三十条」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 都道府県は、条例で、都道府県立自然公園に関し認定関係事務の実施のため必要がある場合に、都道府県知事が第十七条から第二十三条までの規定の例により指定認定機関を指定し、当該指定認定機関に認定関係事務を行わせることができる旨を定めることができる。
第四十二条を第六十条とし、同条の次に次の二条を加える。
(風景地保護協定)
第六十一条 都道府県は、条例で、都道府県立自然公園に関し自然の風景地の保護のため必要がある場合に、地方公共団体又は次条の規定に基づく条例の規定により指定された公園管理団体が前章第四節の規定の例により土地の所有者等と風景地保護協定を締結することができる旨を定めることができる。
(公園管理団体)
第六十二条 都道府県は、条例で、都道府県立自然公園に関し自然の風景地の保護とその適正な利用を図るため必要がある場合に、都道府県知事が前章第五節の規定の例により公園管理団体を指定することができる旨を定めることができる。
第四十一条を第五十九条とする。
第二章第六節中第四十条の三を第五十八条とする。
第四十条の二中「第十七条第一項」を「第十三条第一項」に、「第十条第三項」を「第五条第三項」に、「第十八条第一項」を「第十四条第一項」に、「第十八条の二第一項」を「第二十四条第一項」に、「第三十九条第二項」を「第五十五条第二項(利用調整地区に係る部分を除く。)」に改め、「(昭和二十二年法律第六十七号)」を削り、同条を第五十七条とする。
第四十条第一項中「行なう」を「行う」に、「第十七条第三項、第十八条第三項又は第十八条の二第三項」を「第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項第六号又は第二十四条第三項」に改め、同条第三項中「第十七条第六項から第八項まで、第十八条第六項若しくは第七項、第十八条の二第六項若しくは第七項又は第二十条第一項」を「第十三条第六項から第八項まで、第十四条第六項若しくは第七項、第二十四条第六項若しくは第七項又は第二十六条第一項」に改め、同条第四項中「第二十条第一項」を「第二十六条第一項」に、「とる」を「執る」に改め、同条を第五十六条とする。
第三十九条第一項及び第二項中「特別保護地区」の下に「、利用調整地区」を加え、同条第三項中「第十四条第一項」を「第九条第一項」に改め、同条第四項中「第十五条第一項ただし書」を「第十条第一項ただし書」に改め、同条を第五十五条とし、第三十八条を削る。
第三十七条第二項中「こえない」を「超えない」に改め、同条第四項中「先だつ」を「先立つ」に改め、同条を第五十四条とする。
第三十六条の見出し中「訴」を「訴え」に改め、同条第一項中「三箇月」を「三月」に、「訴」を「訴え」に改め、同条を第五十三条とする。
第三十五条第一項中「第十七条第三項、第十八条第三項若しくは第十八条の二第三項」を「第十三条第三項、第十四条第三項若しくは第二十四条第三項」に、「第十九条」を「第二十五条」に、「第二十条第二項」を「第二十六条第二項」に改め、同条第四項及び第五項中「第三十二条第一項」を「第五十条第一項」に改め、同条を第五十二条とする。
第三十四条第一項中「第十七条第三項、第十八条第三項、第十八条の二第三項又は第二十条第二項」を「第十三条第三項、第十四条第三項、第二十四条第三項又は第二十六条第二項」に改め、同条を第五十一条とし、第三十三条を削る。
第三十二条第二項及び第三項中「かき」を「垣」に改め、同条第五項中「かき」を「垣」に、「立入」を「立入り」に改め、同条を第五十条とする。
第二章第六節を同章第七節とする。
第二章第五節中第三十一条を第四十九条とし、第二十八条から第三十条までを十八条ずつ繰り下げる。
第二十七条第二項中「聞かなければ」を「聴かなければ」に改め、同条を第四十五条とし、第二十六条を第四十四条とし、第二十五条を第四十三条とする。
第二章第五節を同章第六節とする。
第二十四条第一項第一号中「おこさせる」を「起こさせる」に、同項第二号中「けんお」を「嫌悪」に、「客引し」を「客引きをし」に改め、第二章第四節中第二十四条を第三十条とする。
第二十三条第二項中「第十条第三項」を「第五条第三項」に改め、同条を第二十九条とする。
第二十二条第一項中「第十七条第三項、第十八条第三項若しくは第十八条の二第三項」を「第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項第六号若しくは第二十四条第三項」に、「第二十条第二項」を「第二十六条第二項」に、「とる」を「執る」に改め、同条第二項中「第十七条第三項、第十八条第三項、第十八条の二第三項、第二十条第二項」を「第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項第六号、第二十四条第三項、第二十六条第二項」に、「第十七条第三項各号、第十八条第三項各号、第十八条の二第三項各号若しくは第二十条第一項各号」を「第十三条第三項各号、第十四条第三項各号、第十五条第三項第六号、第二十四条第三項各号若しくは第二十六条第一項各号」に改め、同条を第二十八条とする。
第二十一条の見出しを「(中止命令等)」に改め、同条中「第十七条第三項、第十八条第三項若しくは第十八条の二第三項」を「第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項若しくは第二十四条第三項」に、「第十九条」を「第二十五条」に、「附せられた」を「付せられた」に改め、「において」の下に「、その行為の中止を命じ、又はこれらの者若しくはこれらの者から当該土地、建築物その他の工作物若しくは物件についての権利を承継した者に対して、相当の期限を定めて」を加え、「又は原状回復」を「若しくは原状回復」に、「代る」を「代わる」に、「とる」を「執る」に改め、同条に次の二項を加える。
2 前項の規定により原状回復又はこれに代わるべき必要な措置(以下「原状回復等」という。)を命じようとする場合において、過失がなくて当該原状回復等を命ずべき者を確知することができないときは、環境大臣又は都道府県知事は、その者の負担において、当該原状回復等を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該原状回復等を行うべき旨及びその期限までに当該原状回復等を行わないときは、環境大臣若しくは都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が当該原状回復等を行う旨をあらかじめ公告しなければならない。
3 前項の規定により原状回復等を行おうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第二十一条を第二十七条とする。
第二十条第二項中「とる」を「執る」に改め、同条第七項中第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。
二 第三十一条第一項の規定により締結された風景地保護協定に基づいて同項第一号の風景地保護協定区域内で行う行為であつて、同項第二号又は第三号に掲げる事項に従つて行うもの
第二十条を第二十六条とする。
第十九条中「第十七条第三項、第十八条第三項」を「第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項第六号」に、「附する」を「付する」に改め、同条を第二十五条とする。
第十八条の二第二項中「第十条第三項」を「第五条第三項」に改め、同条第三項第一号中「第十七条第三項第一号、第三号及び第五号」を「第十三条第三項第一号、第三号及び第六号」に改め、同項第二号中「海そう」を「海藻」に改め、同条を第二十四条とする。
第十八条第二項中「第十条第三項」を「第五条第三項」に改め、同条第三項中「(前条第三項第四号の二」を「(前条第三項第五号」に、「若しくは前条第三項第四号の二」を「若しくは同号」に改め、同項第一号中「第七号まで及び第九号」を「第六号まで、第八号、第九号、第十二号及び第十三号」に改め、同項中第八号を第九号とし、同号の次に次の一号を加える。
十 前各号に掲げるもののほか、特別保護地区における景観の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの
第十八条第三項中第七号を第八号とし、第三号から第六号までを一号ずつ繰り下げ、第二号の二を第三号とする。
第十八条第六項中「前条第三項第四号の二」を「前条第三項第五号」に、「同条第三項第四号の二」を「同条第三項第五号」に改め、同条第八項中第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。
二 第三十一条第一項の規定により締結された風景地保護協定に基づいて同項第一号の風景地保護協定区域内で行う行為であつて、同項第二号又は第三号に掲げる事項に従つて行うもの
第十八条を第十四条とし、同条の次に次の九条を加える。
(利用調整地区)
第十五条 環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の風致又は景観の維持とその適正な利用を図るため、特に必要があるときは、公園計画に基づいて、特別地域内に利用調整地区を指定することができる。
2 第五条第三項及び第四項の規定は、利用調整地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。この場合において、同条第三項中「環境大臣」とあるのは「環境大臣又は都道府県知事」と、「官報」とあるのは「それぞれ官報又は都道府県の公報」と読み替えるものとする。
3 何人も、環境大臣が定める期間内は、次条第一項の認定を受けてする立入りに該当する場合を除き、利用調整地区の区域内に立ち入つてはならない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りでない。
一 第十三条第三項若しくは前条第三項の許可を受けた行為(第五十六条第一項後段の規定による協議に係る行為を含む。)又は第十三条第六項若しくは第八項若しくは前条第六項の届出をした行為(第五十六条第三項の規定による通知に係る行為を含む。)を行うために立ち入る場合
二 非常災害のために必要な応急措置を行うために立ち入る場合
三 公園事業を執行するために立ち入る場合
四 第三十一条第一項の規定により締結された風景地保護協定に基づいて同項第一号の風景地保護協定区域内で行う行為であつて、同項第二号又は第三号に掲げる事項に従つて行うものを行うために立ち入る場合
五 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるものを行うために立ち入る場合
六 前各号に掲げるもののほか、環境大臣又は都道府県知事がやむを得ない事由があると認めて許可した場合
(立入りの認定)
第十六条 国立公園又は国定公園の利用者は、利用調整地区の区域内へ前条第三項に規定する期間内に立ち入ろうとするときは、次の各号のいずれにも適合していることについて、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の認定を受けなければならない。
一 国立公園又は国定公園を利用する目的で立ち入るものであること。
二 風致又は景観の維持とその適正な利用に支障を及ぼすおそれがないものとして、環境省令で定める基準に適合するものであること。
2 前項の認定を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事に認定の申請をしなければならない。
3 環境大臣又は都道府県知事は、第一項の認定の申請に係る立入りが同項各号のいずれにも適合していると認めるときは、同項の認定をするものとする。
4 環境大臣又は都道府県知事は、第一項の認定をしたときは、環境省令で定めるところにより、立入認定証を交付しなければならない。
5 第一項の認定を受けた者は、前項の立入認定証を亡失し、又はその立入認定証が滅失したときは、環境省令で定めるところにより、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事に申請をして、その立入認定証の再交付を受けることができる。
6 第一項の認定を受けた者は、当該利用調整地区の区域内に立ち入るときは、第四項の立入認定証を携帯しなければならない。
(指定認定機関)
第十七条 環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、その指定する者(以下「指定認定機関」という。)に、前条に規定する環境大臣又は都道府県知事の事務(以下「認定関係事務」という。)の全部又は一部を行わせることができる。
2 指定認定機関の指定(以下第二十一条までにおいて単に「指定」という。)は、認定関係事務を行おうとする者の申請により行う。
3 次の各号のいずれかに該当する者は、指定を受けることができない。
一 未成年者、成年被後見人又は被保佐人
二 破産者で復権を得ないもの
三 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律若しくは自然環境保全法の規定により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
四 第二十一条第二項又は第三項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
五 法人であつて、その役員のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの
4 環境大臣又は都道府県知事は、指定をしたときは、指定に係る利用調整地区に関する認定関係事務を行わないものとする。
5 環境大臣又は都道府県知事は、指定をしたときは、その旨をそれぞれ官報又は都道府県の公報で公示しなければならない。
6 指定認定機関がその認定関係事務を行う場合における前条の規定の適用については、同条第一項中「国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事」とあり、同条第二項及び第五項中「国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事」とあり、並びに同条第三項及び第四項中「環境大臣又は都道府県知事」とあるのは、「指定認定機関」とする。
(指定の基準)
第十八条 環境大臣又は都道府県知事は、前条第二項の申請に係る利用調整地区につき他に指定認定機関の指定を受けた者がなく、かつ、当該申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、指定をしてはならない。
一 職員、認定関係事務の実施の方法その他の事項についての認定関係事務の実施に関する計画が、認定関係事務の適確な実施のために適切なものであること。
二 前号の認定関係事務の実施に関する計画を適確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有するものであること。
三 認定関係事務以外の業務を行つている場合には、その業務を行うことによつて認定関係事務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
四 前三号に定めるもののほか、認定関係事務を公正かつ適確に行うことができるものであること。
(指定認定機関の遵守事項)
第十九条 指定認定機関は、その認定関係事務の開始前に、環境省令で定めるところにより、その認定関係事務の実施に関する規程を定め、環境大臣又は都道府県知事の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定認定機関は、毎事業年度の事業計画及び収支予算を作成し、その事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあつては、指定を受けた後遅滞なく)環境大臣又は都道府県知事の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 指定認定機関は、毎事業年度の経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、環境大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
4 指定認定機関は、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けなければ、その認定関係事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
5 環境大臣又は都道府県知事は、指定認定機関が前項の許可を受けてその認定関係事務の全部若しくは一部を休止したとき、又は指定認定機関が天災その他の事由によりその認定関係事務の全部若しくは一部を実施することが困難となつた場合において必要があると認めるときは、その認定関係事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
6 環境大臣若しくは都道府県知事が前項の規定により認定関係事務の全部若しくは一部を自ら行う場合、指定認定機関が第四項の許可を受けてその認定関係事務の全部若しくは一部を廃止する場合又は環境大臣若しくは都道府県知事が第二十一条第二項若しくは第三項の規定により指定を取り消した場合における認定関係事務の引継ぎその他の必要な事項は、環境省令で定める。
(秘密保持義務等)
第二十条 指定認定機関(その者が法人である場合にあつては、その役員。次項において同じ。)及びその職員並びにこれらの者であつた者は、認定関係事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用してはならない。
2 指定認定機関及びその職員で認定関係事務に従事する者は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(指定認定機関に対する監督命令等)
第二十一条 環境大臣又は都道府県知事は、第十六条から第二十三条までの規定の施行に必要な限度において、指定認定機関に対し、認定関係事務に関し監督上必要な命令をすることができる。
2 環境大臣又は都道府県知事は、指定認定機関が第十七条第三項各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、指定を取り消さなければならない。
3 環境大臣又は都道府県知事は、指定認定機関が第十九条の規定に違反したとき、同条第一項の規程によらないでその認定関係事務を実施したとき、第一項の規定による命令に違反したとき、その他その認定関係事務を適正かつ確実に実施することができないと認めるときは、指定を取り消すことができる。
4 第十七条第五項の規定は、前二項の規定による指定の取消しについて準用する。
(報告徴収及び立入検査)
第二十二条 環境大臣又は都道府県知事は、第十六条から第二十三条までの規定の施行に必要な限度において、指定認定機関に対し、その認定関係事務に関し報告を求め、又はその職員に、指定認定機関の事務所に立ち入り、指定認定機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(手数料)
第二十三条 国立公園について第十六条第一項の認定又は同条第五項の立入認定証の再交付を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国(指定認定機関が認定関係事務を行う場合にあつては、指定認定機関)に納めなければならない。
2 都道府県は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百二十七条の規定に基づき第十六条第一項の認定又は同条第五項の立入認定証の再交付に係る手数料を徴収する場合においては、第十七条の規定により指定認定機関が行う認定又は立入認定証の再交付を受けようとする者に、条例で定めるところにより、当該手数料を当該指定認定機関に納めさせることができる。
3 前二項の規定により指定認定機関に納められた手数料は、当該指定認定機関の収入とする。
第二章第四節を同章第三節とし、同節の次に次の二節を加える。
第四節 風景地保護協定
(風景地保護協定の締結等)
第三十一条 環境大臣若しくは地方公共団体又は第三十七条第一項の規定により指定された公園管理団体で第三十八条第一号に掲げる業務のうち風景地保護協定に基づく自然の風景地の管理に関するものを行うものは、国立公園又は国定公園内の自然の風景地の保護のため必要があると認めるときは、当該公園の区域(海面を除く。)内の土地又は木竹の所有者又は使用及び収益を目的とする権利(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者(以下「土地の所有者等」と総称する。)と次に掲げる事項を定めた協定(以下「風景地保護協定」という。)を締結して、当該土地の区域内の自然の風景地の管理を行うことができる。
一 風景地保護協定の目的となる土地の区域(以下「風景地保護協定区域」という。)
二 風景地保護協定区域内の自然の風景地の管理の方法に関する事項
三 風景地保護協定区域内の自然の風景地の保護に関連して必要とされる施設の整備が必要な場合にあつては、当該施設の整備に関する事項
四 風景地保護協定の有効期間
五 風景地保護協定に違反した場合の措置
2 風景地保護協定については、風景地保護協定区域内の土地の所有者等の全員の合意がなければならない。
3 風景地保護協定の内容は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
一 自然の風景地の保護を図るために有効かつ適切なものであること。
二 土地及び木竹の利用を不当に制限するものでないこと。
三 第一項各号に掲げる事項について環境省令で定める基準に適合するものであること。
4 地方公共団体が風景地保護協定を締結しようとするときは、あらかじめ、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事に協議し、同意を得なければならない。ただし、国定公園について都道府県が当該都道府県の区域内の土地について風景地保護協定を締結する場合は、この限りでない。
5 第一項の公園管理団体が風景地保護協定を締結しようとするときは、あらかじめ、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。
(風景地保護協定の縦覧等)
第三十二条 環境大臣、地方公共団体又は都道府県知事は、風景地保護協定を締結しようとするとき、又は前条第五項の規定による風景地保護協定の認可の申請があつたときは、環境省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該風景地保護協定を当該公告の日から二週間関係者の縦覧に供さなければならない。
2 前項の規定による公告があつたときは、関係者は、同項の縦覧期間満了の日までに、当該風景地保護協定について、環境大臣、地方公共団体又は都道府県知事に意見書を提出することができる。
(風景地保護協定の認可)
第三十三条 環境大臣又は都道府県知事は、第三十一条第五項の規定による風景地保護協定の認可の申請が、次の各号のいずれにも該当するときは、当該風景地保護協定を認可しなければならない。
一 申請手続が法令に違反しないこと。
二 風景地保護協定の内容が、第三十一条第三項各号に掲げる基準に適合するものであること。
(風景地保護協定の公告等)
第三十四条 環境大臣、地方公共団体又は都道府県知事は、風景地保護協定を締結し、又は前条の認可をしたときは、環境省令で定めるところにより、その旨を公告し、かつ、当該風景地保護協定の写しを公衆の縦覧に供するとともに、風景地保護協定区域である旨を当該区域内に明示しなければならない。
(風景地保護協定の変更)
第三十五条 第三十一条第二項から第五項まで及び前三条の規定は、風景地保護協定において定めた事項の変更について準用する。
(風景地保護協定の効力)
第三十六条 第三十四条(前条において準用する場合を含む。)の規定による公告のあつた風景地保護協定は、その公告のあつた後において当該風景地保護協定区域内の土地の所有者等となつた者に対しても、その効力があるものとする。
第五節 公園管理団体
(指定)
第三十七条 環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、国立公園又は国定公園内の自然の風景地の保護とその適正な利用を図ることを目的として設立された民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項の特定非営利活動法人その他環境省令で定める法人であつて、次条各号に掲げる業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、公園管理団体として指定することができる。
2 環境大臣又は都道府県知事は、前項の規定による指定をしたときは、当該公園管理団体の名称、住所及び事務所の所在地をそれぞれ官報又は都道府県の公報で公示しなければならない。
3 公園管理団体は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
4 環境大臣又は都道府県知事は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項をそれぞれ官報又は都道府県の公報で公示しなければならない。
(業務)
第三十八条 公園管理団体は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 風景地保護協定に基づく自然の風景地の管理その他の自然の風景地の保護に資する活動を行うこと。
二 国立公園又は国定公園内の施設の補修その他の維持管理を行うこと。
三 国立公園又は国定公園の保護とその適正な利用の推進に関する情報又は資料を収集し、及び提供すること。
四 国立公園又は国定公園の保護とその適正な利用の推進に関し必要な助言及び指導を行うこと。
五 国立公園又は国定公園の保護とその適正な利用の推進に関する調査及び研究を行うこと。
六 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
(連携)
第三十九条 公園管理団体は、環境大臣及び地方公共団体との密接な連携の下に前条第一号に掲げる業務を行わなければならない。
(改善命令)
第四十条 環境大臣又は都道府県知事は、公園管理団体の業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、公園管理団体に対し、その改善に必要な措置を執るべき旨を命ずることができる。
(指定の取消し等)
第四十一条 環境大臣又は都道府県知事は、公園管理団体が前条の規定による命令に違反したときは、その指定を取り消すことができる。
2 環境大臣又は都道府県知事は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨をそれぞれ官報又は都道府県の公報で公示しなければならない。
(情報の提供等)
第四十二条 国及び地方公共団体は、公園管理団体に対し、その業務の実施に関し必要な情報の提供又は指導及び助言を行うものとする。
附則第十一項及び第十四項中「第二十六条」を「第四十四条」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(検討)
第二条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の自然公園法(以下この条において「新法」という。)の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(地方自治法の一部改正)
第三条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
別表第一自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)の項中「第十七条第一項」を「第十三条第一項」に、「第十条第三項」を「第五条第三項」に、「第十八条第一項」を「第十四条第一項」に、「第十八条の二第一項」を「第二十四条第一項」に、「第三十九条第二項」を「第五十五条第二項(利用調整地区に係る部分を除く。)」に改める。
(地方税法の一部改正)
第四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第三百四十八条第二項第七号の二中「第十七条第一項」を「第十三条第一項」に、「第十八条第一項」を「第十四条第一項」に改める。
(鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律の一部改正)
第五条 鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律(昭和二十五年法律第二百九十二号)の一部を次のように改正する。
第一条第二号ヘ中「第三十四条第一項又は第四十五条」を「第五十一条第一項又は第六十五条」に改める。
第四十五条第三項中「第十九条」を「第二十五条」に、「附せられた」を「付せられた」に改める。
(租税特別措置法の一部改正)
第六条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第三十四条第二項第四号中「第十七条第一項」を「第十三条第一項」に改める。
第三十四条の二第二項第二十五号中「第四十一条」を「第五十九条」に、「第四十二条第一項」を「第六十条第一項」に、「第十七条第一項」を「第十三条第一項」に、「第二章第四節」を「第二章第三節」に改める。
第六十五条の三第一項第四号中「第十七条第一項」を「第十三条第一項」に改める。
第六十五条の四第一項第二十五号中「第四十一条」を「第五十九条」に、「第四十二条第一項」を「第六十条第一項」に、「第十七条第一項」を「第十三条第一項」に、「第二章第四節」を「第二章第三節」に改める。
(租税特別措置法の一部改正に伴う経過措置)
第七条 前条の規定による改正後の租税特別措置法(以下「新租税特別措置法」という。)第三十四条の二第二項第二十五号及び第六十五条の四第一項第二十五号の規定は、個人又は法人(法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第八号に規定する人格のない社団等を含む。以下同じ。)がこの法律の施行の日以後に行う同日以後に新租税特別措置法第三十四条の二第二項第二十五号又は第六十五条の四第一項第二十五号の認定がされたこれらの規定に規定する地域内の土地の譲渡について適用し、個人又は法人が同日前に行った同日前に前条の規定による改正前の租税特別措置法第三十四条の二第二項第二十五号又は第六十五条の四第一項第二十五号の認定がされたこれらの規定に規定する地域内の土地の譲渡については、なお従前の例による。
2 前項の規定の適用がある場合における経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成十一年法律第八号)第六条の規定の適用については、同法第二条第三号中「規定並びに」とあるのは「規定、」と、「第二条の規定」とあるのは「第二条の規定並びに自然公園法の一部を改正する法律(平成十四年法律第二十九号)附則第七条第一項の規定」とする。
(地価税法の一部改正)
第八条 地価税法(平成三年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号イ中「第十七条第一項」を「第十三条第一項」に、「第四十二条第一項」を「第六十条第一項」に改める。
総務大臣 片山虎之助
財務大臣 塩川正十郎
環境大臣 大木浩
内閣総理大臣 小泉純一郎