(療養の給付の範囲)
第十四条 市町村又は国民健康保険組合(以下「保険者」という。)は、新法第三十六条第一項の規定かかわらず、当分の間、同項各号に掲げる療養のうち政令で定める範囲に属する療養については、条例又は規約の定めるところにより、療養の給付を行わないことができる。
2 保険者が新法第三十六条第一項第一号から第四号までに定める療養のうち前項の規定に基く政令で定める範囲に属する療養につき療養の給付を行うこととしている場合において、被保険者が当該範囲に属する療養につき療養の給付を受けようとするときは、新法第三十六条第五項の規定にかかわらず、保険者が開設者の同意を得て定める療養取扱機関のうち自己の選定するものについて、これを受けるものとする。
3 新法第三十六条第一項第一号から第四号までに定める療養のうち第一項の規定に基く政令で定める範囲に属する療養につき療養の給付を行うこととしている保険者は、被保険者が緊急その他やむを得ない理由により前項の療養取扱機関以外の療養取扱機関について当該範囲に属する療養を受けたときは、療養の給付に代えて、療養費を支給するものとする。この場合においては、その額の算定につき、新法第五十四条第三項及び第四項の規定を準用する。
4 新法の施行の際現に新法第三十六条第一項第一号から第四号までに定める療養のうち第一項の規定に基く政令で定める範囲に属する療養につき療養の給付を行うこととしている保険者が、新法の施行後も引き続き当該範囲に属する療養につき療養の給付を行う場合において、当該保険者が新法の施行の際現に旧法第八条ノ五の規定により定めている療養担当者(当該療養担当者が医師若しくは歯科医師又は薬剤師であるときは、これらの者が国民健康保険の診療又は調剤に従事している病院若しくは診療所又は薬局とする。以下同じ。)が新法の施行と同時に新法による療養取扱機関となつたときは、当該医療機関は、当該保険者が第二項の規定により定めた療養取扱機関とみなす。
(療養取扱機関並びに国民健康保険医及び国民健康保険薬剤師)
第十五条 市町村若しくは第八条の国民健康保険組合が新法の施行の際現に旧法第八条ノ五の規定により定めている療養担当者又は新法の施行の際現に健康保険法第四十三条第二項第一号に掲げる保険医療機関若しくは保険薬局であるものについては、新法の施行の際、新法第三十七条第一項の申出の受理があつたものとみなす。ただし、その開設者が厚生省令の定めるところにより別段の申出をしたときは、この限りでない。
2 前項本文の規定により新法第三十七条第一項の申出の受理があつたものとみなされた療養担当者において新法の施行の際現に診療又は調剤に従事している医師、歯科医師若しくは薬剤師又は新法の施行の際現に健康保険法第四十三条ノ二に規定する保険医若しくは保険薬剤師であるもの(これらの者が診療所又は薬局を開設したものであり、かつ、これらの者のみが診療又は調剤に従事している場合におけるこれらの者を除く。)は新法の施行の際、新法第三十九条第一項の規定による国民健康保険医又は国民健康保険薬剤師の登録を受けたものとみなす。ただし、当該医師若しくは歯科医師又は薬剤師が厚生省令の定めるところにより別段の申出をしたときは、この限りでない。
(一部負担金)
第十六条 新法の施行前に行われた療養の給付に関する一部負担金については、なお従前の例による。
第十七条 新法の施行の際現に旧法第八条ノ九の規定による一部負担金の療養の給付に要する費用に対する割合を二分の一未満としている保険者が、新法の施行後も引き続きその割合による場合において、当該保険者が新法の施行の際現に旧法第八条ノ五の規定により定めている療養担当者が新法の施行と同時に療養取扱機関となつたときは、当該医療機関は、当該保険者が新法第四十三条第二項の規定により定めた療養取扱機関とみなす。
(診療報酬等)
第十八条 新法の施行前に行われた療養の給付に係る診療報酬の額及びその審査の基準については、なお従前の例による。
2 新法第四十五条第五項の規定は、新法の施行前に行われた療養の給付に係る診療報酬について新法の施行後に請求があつた場合におけるその審査及び支払に関する事務についても、適用する。
3 新法の施行前に旧法第四十七条ノ二第一項又は第二項の規定により社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に対して診療報酬請求書の審査の請求又は委託が行われ、新法の施行の際まだその審査に関する事務が終了していないものについては、新法第四十五条第五項の規定により診療報酬請求書の審査の委託があつたものとみなす。
4 新法の施行前に旧法第四十七条ノ二第一項の規定により国民健康保険診療報酬審査委員会に対して行われた請求に係る診療報酬請求書の審査に関する事務が終了するまでの間は、当該国民健康保険診療報酬審査委員会に関しては、旧法第四十七条ノ三から第四十七条ノ七までの規定は、新法の施行後も、なおその効力を有する。
(療養取扱機関の報告等)
第十九条 旧法第八条ノ五の規定による療養担当者又は療養担当者であつたものが、第十五条第一項本文又は新法第三十七条第三項本文の規定により療養取扱機関となつたときは、新法第四十六条第一項の規定は、当該療養取扱機関又は当該療養取扱機関において診療若しくは調剤に従事する医師、歯科医師若しくは薬剤師が旧法第八条ノ五の規定により担当した療養の給付についても、適用する。
(療養取扱機関に係る申出受理の取消等)
第二十条 前条の新法による療養取扱機関に対しては、都道府県知事は、当該療養取扱機関につき新法の施行前に新法第四十八条各号のいずれかに相当する事実があつたことを理由として、同条の規定による処分をすることができる。
(給付の期間)
第二十一条 新法の施行の際現に旧法の規定による療養の給付を受けている者の当該疾病若しくは負傷又はこれによつて発した疾病については、当該保険者が旧法の規定により当該療養の給付を開始した日を新法の規定による療養の給付を開始した日とみなして、新法第五十三条の規定を適用する。
2 新法の施行の際現に旧法の規定に基く規約で同一の疾病又は負傷及びこれによつて発した疾病に関し三年をこえる期間療養の給付を行うこととしている国民健康保険組合は、新法の施行の際現に療養の給付を受けている者の当該疾病又は負傷及びこれによつて発した疾病については、新法第五十三条の規定にかかわらず、旧法の規定によつて当該療養の給付を開始した日から起算して従前の例により療養の給付を行うべき期間、従前の例による療養の給付を行わなければならない。
3 当分の間、特別の事情がある市町村は、厚生大臣の承認を受け、条例の定めるところにより新法第五十三条の期間を三年未満とすることができる。
(被保険者が日雇労働者又はその被扶養者となつた場合)
第二十二条 被保険者が昭和三十六年三月三十一日以前に新法第六条第五号に該当するに至つたためその資格を喪失した場合においては、新法第五十五条第一項の規定による療養の給付は、同条第二項各号のいずれかに該当するに至つたときのほか、当該保険者が市町村である場合にはその者が昭和三十六年三月三十一日以前において当該市町村の区域内(当該市町村が第三条第一項又は町村合併促進法第十八条の規定によりその区域の一部につき国民健康保険を行つているときは、当該市町村の国民健康保険を行う区域内)に住所を有しなくなつたとき、当該保険者が国民健康保険組合である場合にはその者が昭和三十六年三月三十一日以前において当該組合の組合員又は組合員の世帯に属する者でなくなつたときも、行わない。
(被保険者が被扶養者である場合)
第二十三条 新法第六条第四号又は第五号に規定する被扶養者に該当するにかかわらずこの法律の規定により被保険者である者については、新法第五十六条第一項の規定にかかわらず、その者の当該疾病又は負傷につき同項前段に規定する法律の規定によりその被扶養者たることによる医療に関する給付を受けることができる場合においても、同項の規定を適用しない。
(給付制限)
第二十四条 市町村は、新法第三十六条第一項の規定にかかわらず、昭和三十六年三月三十一日までの間は、条例の定めるところにより、当該市町村の区域内(当該市町村が第三条第一項又は町村合併促進法第十八条の規定によりその区域の一部につき国民健康保険を行つているときは、当該市町村の国民健康保険を行う区域内とする。以下この条において同じ。)に住所を有するに至つたため被保険者の資格を取得した者に対して、当該資格を取得した日から起算して六箇月をこえない期間、当該資格を取得した日前に発した疾病若しくは負傷又はこれにより発した疾病に関し、療養の給付の一部を行わないことができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 国民健康保険を行つている他の市町村の区域内(当該他の市町村が第三条第一項又は町村合併促進法第十八条の規定によりその区域の一部につき国民健康保険を行つているときは、当該他の市町村の国民健康保険を行う区域内)又は普通国民健康保険組合若しくは国民健康保険を行う社団法人の地区内の住所を去つて当該市町村の区域内に住所を有するに至つたとき。
二 婚姻、養子縁組その他厚生省令で定める理由により当該市町村の区域内に住所を有するに至つたとき。
第二十五条 新法第六十条及び第六十一条の規定は、新法の施行の際現に条例又は規約の定めるところにより新法第六十条又は第六十一条の規定する理由と同一の理由による給付の制限の全部又は一部を行わないこととしている保険者については、新法の施行前に疾病にかかり、又は負傷した被保険者が新法の施行後引き続き当該保険者の被保険者である間の当該疾病又は負傷に係る療養の給付に関し、当該給付の制限を行わないこととしている限度において、適用しない。
(損害賠償請求権)
第二十六条 新法第六十四条の規定は、給付事由が第三者の新法の施行前の行為によつて生じた場合についても、適用するものとする。
2 第三者の新法の施行前の行為によつて生じた給付事由について旧法の規定によつて保険給付を行つた保険者は、新法の施行と同時に、その給付の価額(当該給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から旧法の規定による一部負担金に相当する額を控除した額)の限度において、当該保険給付を受けた者が新法の施行の際第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
3 第三者の新法の施行前の行為によつて給付事由が生じ、新法の施行前に第三者から同一の事由について損害賠償を受けた者については、新法の施行後は、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責を負わない。
(未支給の保険給付)
第二十七条 新法の施行前に行うべきであつた保険給付で新法の施行の際まだ行つていないものについては、この法律に別段の規定があるものを除くほか、なお従前の例による。