(業務の範囲等)
第二十条 事業団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 新幹線鉄道に係る鉄道施設の建設に関する事業を行う日本鉄道建設公団に対し、当該事業に要する費用(当該事業に係る借入れに係る債務の償還及び当該債務に係る利子の支払に要する費用を含む。)に充てる資金の一部について交付金を交付すること。
二 新幹線鉄道の輸送力の増強を図るために必要な鉄道施設の大規模な改良で政令で定めるものに関する事業を行う鉄道事業者に対し、当該事業に要する費用に充てるための長期かつ低利の資金の融通を行うこと。
三 主要幹線鉄道又は都市鉄道に係る鉄道施設の建設又は政令で定める大規模な改良に関する事業を行う日本鉄道建設公団(当該事業につき、日本鉄道建設公団法(昭和三十九年法律第三号)第二十二条第二項の運輸大臣の指示があった場合に限る。次項第二号において同じ。)又は帝都高速度交通営団に対し、当該事業に要する費用に充てる資金の一部を無利子で貸し付けること。
四 海上旅客運送事業者又は旅客船貸渡業者と費用を分担して国内旅客船を建造し、当該国内旅客船をこれらの者に使用させ、及び当該国内旅客船をこれらの者に譲渡すること。
五 船齢の高い船舶その他の運輸省令で定める効率の低い船舶(次号において「老朽船舶」という。)であって貨物船であるもの(以下「老朽貨物船」という。)を解撤し、又は貨物船を輸出する海上貨物運送事業者又は貨物船貸渡業者と費用を分担して、運輸省令で定める総トン数未満の鋼製の貨物船(船舶安全法(昭和八年法律第十一号)にいう遠洋区域を航行区域とするものを除く。)を建造し、当該貨物船をこれらの者に使用させ、及び当該貨物船をこれらの者に譲渡すること。
六 余剰船舶等(海上運送事業者の事業規模の縮小、船腹の調整等に伴い余剰となった船舶又は老朽船舶のうち運輸省令で定める船舶をいう。以下同じ。)であって自己の所有に係るものを係留船として活用して行う事業(以下「特定係留船活用事業」という。)を営む海上運送事業者(海上運送事業者から余剰船舶等を取得して特定係留船活用事業を営む者を含む。次号及び第八号において同じ。)と費用(当該余剰船舶等の取得に要する費用を含む。)を分担して、当該余剰船舶等を当該特定係留船活用事業の用に供する係留船に改造し、当該係留船をこれらの者に使用させ、及び当該係留船をこれらの者に譲渡すること。
七 前三号の規定により船舶を建造し、又は改造する海上運送事業者に対し、当該船舶について、建造若しくは改造又は保守若しくは修理に関する技術的援助を行うこと。
八 次に掲げる者に対し、それぞれ次に定める資金を貸し付けること。
イ 海上旅客運送事業者又は旅客船貸渡業者 国内旅客船の改造に必要な資金
ロ 海上貨物運送事業者又は貨物船貸渡業者 運輸省令で定める総トン数未満の鋼製の貨物船(船舶安全法にいう遠洋区域を航行区域とするものを除く。)の改造に必要な資金
ハ 特定係留船活用事業を営む海上運送事業者 余剰船舶等を当該特定係留船活用事業の用に供する係留船に改造するために必要な資金
ニ 海洋汚染防止設備を船舶に設置する者 当該設備の設置に必要な資金
九 次に掲げる者がするそれぞれ次に定める資金の借入れに係る債務について保証すること(イに定める資金の借入れに係る債務についての保証にあっては、イに規定する貨物船の竣工までの間に限る。)。
イ 老朽貨物船の解撤又は貨物船の輸出を行って鋼製の貨物船(船舶安全法にいう遠洋区域を航行区域とするものを除く。)を建造する海上貨物運送事業者又は貨物船貸渡業者 金融機関からの当該解撤若しくは輸出又は建造のため必要な資金の借入れ
ロ 第五号の規定により建造した貨物船を事業団と共有している海上貨物運送事業者又は貨物船貸渡業者 金融機関からの当該事業の継続に必要な資金の借入れ
ハ 海上運送の利用の増進に資する施設であって運輸省令で定めるものを整備する者 金融機関からの当該整備のため必要な資金の借入れ
十 運輸技術に関する基礎的研究を行い、その成果を普及すること。
2 事業団は、前項に規定する業務のほか、第一条の目的を達成するため、次の業務を行うことができる。
一 新幹線鉄道に係る鉄道施設の建設に関する事業を行う日本鉄道建設公団に対し、当該事業に要する費用に充てる資金の一部について、予算で定める国の補助金の交付を受け、これを財源として、補助金を交付すること。
二 主要幹線鉄道又は都市鉄道に係る鉄道施設(軌道施設を含む。)の建設又は改良に関する事業を行う鉄道事業者又は日本鉄道建設公団に対し、当該事業に要する費用に充てる資金の一部について、予算で定める国の補助金等(補助金その他相当の反対給付を受けない給付金であって政令で定めるものをいう。以下同じ。)の交付を受け、これを財源として、補助金等を交付すること。
三 鉄道軌道整備法(昭和二十八年法律第百六十九号)第八条第七項又は踏切道改良促進法(昭和三十六年法律第百九十五号)第七条第三項の規定による国の補助金の交付を受け、これを財源として、鉄道事業者に対し、補助金を交付すること。
四 前三号に規定するもののほか、鉄道施設(軌道施設を含む。)の建設又は改良(これらに関する調査を含む。)に関する事業、鉄道事業に係る技術の開発に関する事業、鉄道事業の業務運営の能率化に関する措置その他の鉄道事業の健全な発達を図る上で必要となる事業又は措置を行う鉄道事業者その他の者に対し、これらの事業等に要する費用に充てる資金の全部又は一部について、予算で定める国の補助金等の交付を受け、これを財源として、補助金等を交付すること。
3 事業団は、前二項に規定する業務のほか、運輸大臣の認可を受けて、第一条の目的を達成するために必要な業務を行うことができる。
4 事業団は、第一項第一号から第三号までに掲げる業務については、次条第一項の規定に基づいて運輸大臣が定める業務実施方針に従って行うものとする。
5 第一項第一号から第三号までの規定による助成は、政令で定めるところにより、第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号に掲げる額を減じて得た額の範囲内において行うものとする。
一 附則第七条第一項の規定により事業団が承継した新幹線鉄道に係る鉄道施設の譲渡等に関する法律(平成三年法律第四十五号。以下「譲渡法」という。)第一条に規定する新幹線鉄道施設の譲渡の対価の支払を受ける債権(第三十四条において「特定債権」という。)に基づき、譲渡法第二条に規定する旅客鉄道株式会社から毎事業年度において支払を受ける額
二 第一項第三号の規定による貸付金(附則第十五条の規定による廃止前の鉄道整備基金法(平成三年法律第四十六号。以下「旧基金法」という。)第二十条第一項第三号の規定による貸付金を含む。)の償還、第七項の協定に基づく寄託金(旧基金法第二十条第六項の協定に基づく寄託金を含む。)の返還又は第四十条の規定による納付金の納付があったときは、当該償還金、返還金及び納付金の額の合計額
三 当該事業年度における附則第七条第一項の規定により事業団が承継した債務の償還及び当該債務に係る利子の支払(これらに係る借入れに係る債務の償還及び当該債務に係る利子の支払並びにこれらに係る管理費その他政令で定める費用の支払を含む。第三十条第一項第二号において「特定債務の償還等」という。)の確実かつ円滑な実施に要する費用の額として政令で定める方法により算定した額
6 第一項第二号及び第三号の規定による助成は、第二十二条第一項の規定による認定を受けた事業について行うものとする。
7 事業団は、第一項第二号に掲げる業務については、日本開発銀行と次に掲げる事項をその内容に含む協定を締結し、これに従いその業務を行うものとする。
一 事業団は、日本開発銀行に対し、第一項第二号の融通に必要な資金を無利子で寄託すること。
二 日本開発銀行は、事業団が推薦した第一項第二号の事業を行う鉄道事業者に対し、当該事業に要する費用に充てるための長期かつ低利の資金の貸付けを行うこと。
三 第一号の寄託の条件に関する事項及び前号の貸付けの条件の基準に関する事項
8 事業団は、前項の協定を締結しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
9 第一項第三号の規定による貸付金の償還に関し必要な事項は、政令で定める。
(業務実施方針)
第二十一条 運輸大臣は、前条第一項第一号から第三号までに掲げる事業団の業務について、業務実施方針を定め、これを事業団に指示するとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
2 業務実施方針においては、前項の事業団の業務に関し、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 新幹線鉄道、主要幹線鉄道及び都市鉄道の整備に関する基本的な方向
二 当該業務の対象となる事業の基準及び当該事業を行う者の要件に関する事項
(事業の認定)
第二十二条 第二十条第一項第二号又は第三号の規定による助成を受けて新幹線鉄道に係る鉄道施設の改良又は主要幹線鉄道若しくは都市鉄道に係る鉄道施設の建設若しくは改良に関する事業を行おうとする鉄道事業者は、運輸省令で定めるところにより、事業認定申請書を運輸大臣に提出し、当該事業についてこれらの規定に掲げる業務の対象とすることが適当である旨の認定を受けることができる。
2 運輸大臣は、前項の規定による認定の申請があった場合において、当該申請に係る事業及び当該事業を行おうとする者が業務実施方針に定められた前条第二項第二号の基準及び要件に適合しており、かつ、業務実施方針に定められたその他の事項に照らして当該事業に係る新幹線鉄道、主要幹線鉄道又は都市鉄道の整備を促進することが適切であると認めるときは、前項の規定による認定をするものとする。
3 運輸大臣は、第一項の規定による認定を受けた事業又は当該事業を行う者が業務実施方針に定められた前条第二項第二号の基準又は要件に適合しなくなったと認めるとき、正当な理由がないのに当該事業が適切に実施されていないと認めるとき、その他業務実施方針に照らして当該事業を第二十条第一項第二号又は第三号に掲げる業務の対象とすることが適当でなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
4 運輸大臣は、第一項の規定による認定をしたときは、その旨を事業団に通知しなければならない。前項の規定により認定を取り消したときも、同様とする。
(業務の委託)
第二十三条 事業団は、運輸大臣の認可を受けて定める基準に従って、第二十条第一項第十号に掲げる業務の一部を委託することができる。
(業務方法書)
第二十四条 事業団は、業務開始の際、業務方法書を作成し、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、運輸省令で定める。