漁業災害補償法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第三十八号
公布年月日: 昭和57年5月1日
法令の形式: 法律
漁業災害補償法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十七年五月一日
内閣総理大臣 鈴木善幸
法律第三十八号
漁業災害補償法の一部を改正する法律
漁業災害補償法(昭和三十九年法律第百五十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第百十三条」を「第百十三条の二」に、
第四章の二
政府の漁業共済保険事業(第百四十七条の二―第百四十七条の十三)
第五章
漁業共済基金
第一節
総則(第百四十八条―第百六十二条)
第二節
役員等(第百六十三条―第百七十五条)
第三節
業務(第百七十六条―第百八十条)
第四節
財務及び会計(第百八十一条―第百八十八条)
第五節
監督(第百八十九条・第百九十条)
第六節
雑則(第百九十一条―第百九十四条)
第六章
国の助成等(第百九十五条―第百九十六条の二)
第五章
政府の漁業共済保険事業(第百四十七条の二―第百九十四条)
第六章
国の助成等(第百九十五条―第百九十六条の二)
第六章の二
中央漁業信用基金の漁業災害補償関係業務(第百九十六条の三―第百九十六条の十一)
第六章の三
雑則(第百九十六条の十二―第百九十六条の十七)
に改める。
第十条に次の一項を加える。
2 組合は、前項に規定する事業のほか、当該事業の実施に支障のない限りにおいて、地域共済事業を行うことができる。
第二十二条に次の一項を加える。
2 組合が地域共済事業を行う場合には、定款には、前項に掲げる事項のほか、地域共済事業の種類を記載しなければならない。
第六十七条第二項中「第二十二条」を「第二十二条第一項」に改める。
第六十八条中「第百一条第一項」の下に「(第百九十六条の十七において準用する場合を含む。)」を加える。
第百八条第一項中「九十日」の下に「(当該区域につき、九十日を超え百二十日までの範囲内で、政令で定めるところにより都道府県知事がこれと異なる日数を定めたときは、その日数)」を加える。
第百八条の二第三項中「その区域を分けて」を削る。
第三章第二節中第百十三条の次に次の一条を加える。
(継続申込特約)
第百十三条の二 漁獲共済に係る共済契約が締結される場合には、これと併せて継続申込特約をすることができる。
2 前項の継続申込特約は、その締結される共済契約(以下この条において「当初契約」という。)に係る共済責任期間の終了日の翌日以降農林水産大臣が定める期間内に共済責任期間の開始日が到来することとなる漁獲共済に係る共済契約で当初契約に係る漁業単位及びこれに係る種目と漁業単位及びこれに係る種目が同一であるもの(以下この条において「継続契約」という。)のすべてについて、それぞれの継続契約に係る第八十条第一項の申込期間内に組合に申込書を提出することなく、共済金額の共済限度額に対する割合並びに前条第一項又は第二項に規定する共済金の支払われる場合及びその共済金の金額の算定の方法が当初契約と同一であるものとして、それぞれ、当該申込期間の終了日に第八十条第一項の締結の申込みがあつたものとする特約とする。
3 継続申込特約は、当初契約の共済契約者が継続申込特約につき解除する旨の申出を組合に対し行つたとき、又は継続契約が成立しなかつたとき、その効力を失つたとき、若しくは解除されたとき(当該解除が第九十一条第四項に該当するものであるときを除く。)は、その効力を失う。
4 継続契約の共済金額の共済限度額に対する割合については、第百十一条第一項の割合が改められた場合その他の被共済者の責めに帰することができない事由であつて農林水産省令で定めるものがある場合には、継続申込特約にかかわらず、農林水産省令で定めるところによりこれを変更することができる。
5 継続契約の共済限度額は、第百十一条第一項の規定にかかわらず、同項の規定により算出される金額が、当該継続申込特約に係る直前の共済契約の共済限度額を基準とし、農林水産大臣の定めるところにより算出される上限金額を超え又は下限金額を下回る場合は、それぞれ当該上限金額又は当該下限金額とする。
6 当初契約の被共済者は、自己の責めに帰する事由がなくて、当該当初契約及び継続契約のいずれの共済責任期間においても、組合から共済金の支払を受けないとき、又は支払を受けた共済金が農林水産省令で定める額に満たないときは、農林水産省令で定めるところにより、組合に対し、当該共済契約に係る共済掛金のうち純共済掛金に相当する部分の一部の払戻しを請求することができる。
第百二十条第三項を削る。
第百二十四条第一項中「当該共済目的の数量」の下に「(以下「直前数量」という。)」を加え、同条第二項を次のように改める。
2 養殖業に係る経営事情及び共済事故の発生の態様に照らして共済金の支払につき特例を定める必要がある次の各号の種類の養殖業に係る養殖共済の養殖水産動植物に係る共済金(第二号の種類の養殖業にあつては、同号の政令で定める共済事故に該当する事故であつて同号の共済規程で指定する単位漁場区域におけるものによつて受けた損害に係る共済金に限る。)については、前項の規定にかかわらず、それぞれ、当該各号に定めるところによるものとする。
一 政令で定める種類の養殖業に係る養殖共済については、その共済金は、共済契約ごとに、当該共済責任期間における当該共済目的についての共済事故による損害額の合計額が当該共済価額に百分の三十を超えない範囲内において政令で定める割合を乗じて得た金額を超える場合に支払うものとし、その共済金の金額は、共済契約ごとに、当該損害額の合計額のうちその超える部分の金額に当該共済契約に係る第百二十条第一項の割合を乗じて得た金額とする。
二 第百十四条第三号に掲げる養殖業であつて政令で定める種類のもの(前号の政令で定める種類のものを除く。以下「特定第三号養殖業」という。)に係る養殖共済については、政令で定める共済事故に該当する事故であつて当該養殖共済の共済事故の発生の態様に応じ政令で定めるところにより組合が共済規程で指定する単位漁場区域におけるものによつて受けた損害に係る共済金は、共済契約ごとに、当該損害数量が、当該直前数量に前項の政令で定める割合(当該割合に比し、特定第三号養殖業に係る養殖共済の共済事故の発生の態様に応じ百分の三十を超えない範囲内において政令で定めるところにより組合が共済規程で当該単位漁場区域につき指定する割合が大きい場合にあつては、その割合)を乗じて得た数量を超える場合に支払うものとし、その共済金の金額は、共済契約ごとに、政令で定める共済事故に該当する事故によつて受けた当該共済目的についての損害額から、直前数量に当該共済規程で当該単位漁場区域につき指定する割合、当該共済目的の第百二十一条第一項の単位当たり共済価額及び第四項の割合を乗じて得た金額を差し引いて得た金額に、当該共済契約に係る第百二十条第一項の割合を乗じて得た金額(共済目的の種類たる養殖水産動植物で農林水産省令で定めるものにあつては、その金額に更に農林水産省令で定める割合を乗じて得た金額)とする。
第百四十二条の見出し中「払いもどし」を「払戻し」に改め、同条中「若しくは第九十二条第二項」を「、第九十二条第二項若しくは第百十三条の二第六項」に、「払いもどし」を「払戻し」に改める。
第百四十七条の三第一項中「保険区分」を「政令で定める保険区分(以下単に「保険区分」という。)」に改め、同条第二項を削る。
第五章の章名及び同章第一節から第六節までの節名を削る。
第百四十八条から第百九十四条までを次のように改める。
第百四十八条から第百九十四条まで 削除
第四章の二を第五章とする。
第六章の次に次の二章を加える。
第六章の二 中央漁業信用基金の漁業災害補償関係業務
(中央漁業信用基金の業務)
第百九十六条の三 中央漁業信用基金(以下「中央基金」という。)は、中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号。以下「保証法」という。)第百六条に規定する業務のほか、漁業共済団体が行う漁業共済事業及び漁業再共済事業の健全な運営に資するため、これらの事業に係る共済金又は再共済金の支払に必要な資金の供給を円滑にすることを目的として、次に掲げる業務(以下「漁業災害補償関係業務」という。)を行う。
一 出資者たる漁業共済団体が共済金又は再共済金の支払に関して必要とする資金の貸付け
二 出資者たる漁業共済団体が共済金又は再共済金の支払に関して金融機関に対し負担する債務の保証
三 第一号に掲げる業務に必要な資金に充てるための出資者たる漁業共済団体からの金銭の寄託の引受け
四 前三号の業務に附帯する業務
(業務の委託)
第百九十六条の四 中央基金は、次条第一項の業務方法書で定めるところにより、漁業災害補償関係業務(貸付けの決定及び債務保証の決定を除く。)の一部を、農林中央金庫、水産業協同組合法第八十七条第一項第一号及び第二号の事業を併せ行う漁業協同組合連合会その他農林水産大臣の指定する金融機関に委託することができる。
2 前項の規定により業務の委託を受けた金融機関の役員又は職員であつて当該委託業務に従事するものは、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
3 農林中央金庫は、農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十六条の規定にかかわらず、第一項の規定による委託を受け、当該業務を行うことができる。
4 第一項に規定する漁業協同組合連合会は、水産業協同組合法第八十七条第五項の規定にかかわらず、第一項の規定による委託を受け、当該業務を行うことができる。
(業務方法書)
第百九十六条の五 中央基金は、漁業災害補償関係業務に関し、当該業務の開始前に、業務方法書を作成し、農林水産大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 貸付金の金額の合計額及び債務保証の金額の合計額の最高限度
二 一漁業共済団体当たりの貸付金の金額及び債務保証の金額の最高限度
三 貸付金の利率、償還期間その他の貸付条件並びに債務保証をする資金の借入期間の最高限度及び被保証人の遵守すべき条件
四 貸付契約及び保証契約の締結及び変更に関する事項
五 保証債務の弁済並びに求償権の行使方法及び償却に関する事項
六 金銭の寄託の引受けの条件
七 余裕金の運用の方法
八 その他農林水産省令で定める事項
(貸付金等の使用)
第百九十六条の六 漁業共済団体は、中央基金からの貸付金又は中央基金の保証に係る借入金を共済金又は再共済金の支払以外の目的に使用してはならない。
2 漁業共済団体が前項の規定に違反して貸付金又は借入金を他の目的に使用したときは、中央基金は、前条第一項の業務方法書で定めるところにより、当該漁業共済団体に対し、貸付金の弁済期前の償還、違約金の納付その他必要な措置を請求することができる。
(区分経理)
第百九十六条の七 中央基金は、漁業災害補償関係業務に係る経理については、漁業災害補償関係勘定を設けて、保証法第百六条に規定する業務に係る経理として整理しなければならない。
(漁業災害補償関係資金)
第百九十六条の八 中央基金は、漁業災害補償関係業務に関して、漁業災害補償関係資金を設け、政府、都道府県及び漁業共済団体が当該漁業災害補償関係資金に充てるべきものとして示して出資した額に相当する額をもつてこれに充てなければならない。
2 都道府県は、前項の漁業災害補償関係資金に充てるべきものとして示して中央基金に出資しようとする場合は、自治大臣の承認を受けなければならない。ただし、当該出資が自治大臣の定める基準に該当する場合は、この限りでない。
3 漁業共済団体は、第一項の漁業災害補償関係資金に充てるべきものとして示して出資する場合に限り、中央基金に出資することができる。
4 第一項の漁業災害補償関係資金に係る持分については、都道府県又は漁業共済団体でなければ、その譲渡しを受けることができない。
(借入金)
第百九十六条の九 中央基金は、漁業災害補償関係業務に関し、長期借入金又は短期借入金をする場合には、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができない金額に限り、農林水産大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(大蔵大臣との協議)
第百九十六条の十 農林水産大臣は、次に掲げる場合には、大蔵大臣と協議しなければならない。
一 第百九十六条の五第一項、前条第一項若しくは第二項ただし書又は次条第一項の規定により読み替えられた保証法第百十六条の認可をしようとするとき。
二 第百九十六条の五第二項第八号又は次条第一項の規定により読み替えられた保証法第百二十三条の農林水産省令を定めようとするとき。
三 第百九十六条の四第一項の規定による指定をしようとするとき。
四 次条第一項の規定により読み替えられた保証法第百十七条第一項の承認をしようとするとき。
(中小漁業融資保証法の特例)
第百九十六条の十一 漁業災害補償関係業務及び漁業災害補償関係勘定については、保証法第百十六条、第百十七条、第百二十四条、第百二十五条第一項並びに第百三十条第一号及び第十七号中「主務大臣」とあるのは「主務大臣(漁業災害補償関係業務に係る事項については、農林水産大臣)」と、保証法第百二十三条中「主務省令」とあるのは「主務省令(漁業災害補償関係勘定に係る事項については、農林水産省令)」と、保証法第百二十四条第二項及び第百二十五条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は漁業災害補償法」と、保証法第百二十七条第一項中「これを各出資者に対し」とあるのは「当該残余財産のうち漁業災害補償関係勘定に属するものを漁業災害補償関係資金に係る持分(以下この項において「漁業災害補償関係持分」という。)を有する各出資者に対し、当該残余財産のうち漁業災害補償関係勘定に属するもの以外のものを漁業災害補償関係持分以外の持分を有する各出資者に対し」と、保証法第百三十条第三号中「協会又は中央基金」とあるのは「協会が行うことができる事業又はこの法律若しくは漁業災害補償法の規定に基づき中央基金」とする。
2 漁業災害補償関係業務については、保証法第百七条及び第百八条の規定は、適用しない。
第六章の三 雑則
(地域共済事業の内容)
第百九十六条の十二 地域共済事業は、組合員又はその直接の構成員たる中小漁業者の漁獲金額若しくは養殖に係る生産金額の減少又は養殖水産動植物、養殖施設若しくは漁具に係る損害であつて漁業共済事業によつてはてん補されないものにつき、被共済者に対し共済金を交付する事業とする。
(地域共済事業に係る共済規程)
第百九十六条の十三 組合が地域共済事業を行う場合には、地域共済事業に係る共済規程をもつて、次に掲げる事項を規定しなければならない。
一 地域共済事業の細目に関する事項
二 地域共済事業の共済掛金に関する事項
三 地域共済事業の共済金額に関する事項
四 地域共済事業の共済責任に関する事項
五 損失又は損害の認定に関する事項その他地域共済事業の実施の方法に関する事項
六 前各号に掲げるもののほか、地域共済事業に係る共済契約の締結に関する事項その他農林水産省令で定める事項
第百九十六条の十四 組合は、地域共済事業に係る共済規程を定め、又はこれを変更しようとするときは、総会の議決を経なければならない。
2 地域共済事業に係る共済規程については、第四十条第二項及び第四十七条(同条第三号及び第四号を除く。)の規定を準用する。この場合において、第四十条第二項中「定款又は共済規程の変更」とあるのは、「地域共済事業に係る共済規程の設定又は変更」と読み替えるものとする。
(地域共済事業を行う組合)
第百九十六条の十五 地域共済事業を行う組合についての第二十七条第一項、第三十四条第一項、第三十六条第二項、第六十九条及び第七十一条から第七十四条までの規定の適用については、これらの規定(第七十三条及び第七十四条を除く。)中「共済規程」とあるのは「共済規程、地域共済事業に係る共済規程」と、第七十三条中「漁業共済事業」とあるのは「漁業共済事業若しくは地域共済事業」と、第七十四条中「命ずることができる」とあるのは「命ずることができる。ただし、前二条の規定による命令が地域共済事業に係るものであるときは、当該組合の役員の解任に限り行うことができる」とする。
(共済金額の最高額の制限)
第百九十六条の十六 農林水産大臣は、必要があると認めるときは、地域共済事業の共済金額について、その最高額を定めることができる。この場合には、地域共済事業の共済金額は、当該金額を超えてはならない。
(地域共済事業についての準用)
第百九十六条の十七 地域共済事業については、第八十条第一項、第八十一条、第八十二条第一項、第二項及び第五項、第八十三条、第八十四条第一項、第八十五条から第九十二条まで、第九十三条第一項、第九十四条、第九十五条第一項並びに第九十六条から第百一条まで並びに商法第六百三十一条、第六百四十二条、第六百四十三条、第六百五十八条、第六百六十一条及び第六百六十二条の規定を準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第百九十七条第一項中「三万円」を「十万円」に改める。
第百九十八条を次のように改める。
第百九十八条 削除
第百九十九条を次のように改める。
第百九十九条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした中央基金の役員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により農林水産大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかつたとき。
二 第百九十六条の七又は第百九十六条の八第一項の規定に違反する経理をしたとき。
第二百条第十八号中「第百四十七条」の下に「又は第百九十六条の十七」を加える。
第二百一条中「又は第百六十一条」を削る。
附則第二条の五を次のように改める。
(特定養殖共済の内容)
第二条の五 特定養殖共済は、次に掲げる損失又は損害について、被共済者に対し共済金を交付する事業とする。
一 被共済者又はその構成員の営む特定養殖業の共済責任期間中の養殖に係る生産金額又は構成員を通ずる生産金額の合計額が共済限度額に達しない場合の被共済者又はその構成員の損失
二 被共済者又はその構成員の営む特定養殖業に係る養殖施設の供用中における損壊、流失等があつた場合の被共済者又はその構成員の損害
附則第二条の五の次に次の一条を加える。
(特定養殖共済の養殖施設に係る共済目的及び共済事故)
第二条の五の二 特定養殖共済であつて前条第二号に掲げる損害に係るものの共済目的は、特定養殖業に係る政令で定める養殖施設とする。
2 特定養殖共済であつて前条第二号に掲げる損害に係るものの共済事故は、特定養殖業に係る養殖施設の供用中における損壊(農林水産省令で定める程度のものに限る。)、滅失及び流失並びにこれらに準ずるものとして政令で定める事故とする。
附則第二条の八の次に次の一条を加える。
第二条の八の二 特定養殖共済に係る養殖施設については、前二条の要件を満たして附則第二条の五第一号の損失に係る共済契約を締結する場合であつて、その者が当該特定養殖共済において共済目的とすることができる養殖施設(以下「共済目的特定施設」という。)で当該特定養殖共済に係る養殖水産動植物の養殖の用に供するもののすべてを共済目的とし、当該特定養殖業において当該共済責任期間中に付加する共済目的特定施設で当該特定養殖共済に係る養殖水産動植物の養殖の用に供するものがある場合には、そのすべてを共済目的とすることを約するときに限り、認可組合とその者との間に共済契約を締結することができる。
附則第二条の九中「共済金額」の下に「であつて附則第二条の五第一号に掲げる損失に係るもの」を加え、同条に次の一項を加える。
2 特定養殖共済の共済金額であつて附則第二条の五第二号に掲げる損害に係るものは、その共済価額を超えない範囲内において、共済価額に共済契約で定める割合を乗じて得た金額とする。
附則第二条の十第一項中「前条」を「前条第一項」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(共済価額)
第二条の十の二 附則第二条の九第二項の共済価額は、共済目的の種類たる養殖施設ごとに、農林水産省令で定めるところにより、その単位当たり共済価額に、共済目的たる当該養殖施設(当該共済責任期間中に付加されるものを含む。)の数量を乗じて得た金額とする。
2 前項の単位当たり共済価額は、共済契約ごとに、農林水産省令で定めるところにより、当該共済目的の共済責任期間の開始時における価額として、認可組合が共済規程で定めるところにより定める金額とする。
附則第二条の十一中「種類」の下に「、共済目的となる養殖施設」を加える。
附則第二条の十二第一項中「特定養殖共済の共済金」の下に「であつて附則第二条の五第一号に掲げる損失に係るもの」を、「この項」の下に「及び次項」を、「合計数量」の下に「。次項において同じ。」を加え、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 特定養殖業のうち政令で定める種類のものに係る特定養殖共済であつて、被共済者の営む当該特定養殖業の共済責任期間中の養殖に係る生産金額がその共済限度額に達しない場合において、当該被共済者の営む当該特定養殖業の共済責任期間中の養殖に係る生産数量が前項の政令で定めるところにより当該被共済者の営む当該特定養殖業の過去一定年間の養殖に係る生産数量を基準として認可組合が定める基準生産数量に達しないときにおける共済金の支払に関し農林水産省令で定める要件に該当する特約がある共済契約に係るものの共済金(附則第二条の五第一号に掲げる損失に係るものに限る。)は、前項の規定にかかわらず、当該共済契約の特約において共済金を支払うべきこととされた場合に該当する場合に支払うものとし、その金額は、当該共済契約の特約に従い算定した金額に、当該被共済者(その者が附則第二条の六第二号に掲げる組合員であるときは、同号に規定する中小漁業者のすべて)の営む当該特定養殖業の種類に係る前項の農林水産省令で定める割合を乗じ、これに更に共済金額の共済限度額に対する割合を乗じて得た金額とする。
附則第二条の十二に次の二項を加える。
4 特定養殖共済の共済金であつて附則第二条の五第二号に掲げる損害に係るものの金額は、共済契約ごとに、共済目的についての共済事故による損害額に当該共済契約に係る附則第二条の九第二項の割合を乗じて得た金額とする。
5 前項の損害額は、当該共済事故に係る損害数量に農林水産省令で定める基準に従い共済規程で定めるところにより調整を施した数量に、当該共済目的の附則第二条の十の二第二項の単位当たり共済価額を乗じ、これに更に当該共済責任期間の開始日から当該共済事故の発生日までの期間に応じ農林水産省令で定めるところにより共済規程で定める割合を乗じて得た金額とする。
附則第二条の十三第一項中「第四章の二」を「第五章」に改め、「水産動植物」の下に「及び養殖施設」を加え、同条第三項中「及び第百十九条第一項の規定」を「、第百十九条第一項、第百二十三条第二項本文及び第百二十五条の規定」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和五十七年十月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に掲げる日から施行する。
一 第六章の次に二章を加える改正規定(第六章の二に係る部分に限る。)並びに附則第三条及び第五条の規定 公布の日
二 第五章の章名及び同章第一節から第六節までの節名を削る改正規定、第百四十八条から第百九十四条までの改正規定、第四章の二を第五章とする改正規定、第百九十八条、第百九十九条及び第二百一条の改正規定並びに附則第二条の十三第一項の改正規定(「第四章の二」を「第五章」に改める部分に限る。)並びに附則第四条及び第七条から第十二条までの規定 昭和五十七年十二月三十一日までの間において政令で定める日
(養殖共済に係る共済契約に関する経過措置)
第二条 改正後の漁業災害補償法(以下「新法」という。)第百二十四条第二項第二号の規定は、その共済責任期間の開始日が新法の施行日以後の日である養殖共済に係る共済契約について適用し、その共済責任期間の開始日が新法の施行日前の日である養殖共済に係る共済契約については、なお従前の例による。
(漁業共済基金の解散等)
第三条 漁業共済基金(以下「共済基金」という。)は、附則第一条第二号の政令で定める日に解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その解散の時において中央漁業信用基金(以下「中央基金」という。)が承継する。
2 共済基金の昭和五十七年四月一日に始まる事業年度は、共済基金の解散の日の前日に終わるものとする。
3 共済基金の昭和五十七年四月一日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、なお従前の例による。
4 第一項の規定により中央基金が共済基金の権利及び義務を承継したときは、その承継の際における共済基金に対する政府、都道府県及び漁業共済団体の出資額に相当する金額は、それぞれ、その承継に際し政府、当該都道府県及び当該漁業共済団体から中央基金に新法第百九十六条の八第一項の漁業災害補償関係資金に充てるべきものとして示して出資されたものとする。この場合において、中央基金は、中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号)第八十二条第二項の認可を受けることなく、その額により、資本金を増加するものとする。
5 第一項の規定により中央基金が共済基金の権利及び義務を承継したときは、その承継の際改正前の漁業災害補償法(以下「旧法」という。)第百八十四条第一項の積立金として整理している金額は、中小漁業融資保証法第百二十一条第一項の準備金として整理しなければならない。
6 共済基金の解散については、旧法第百九十三条第一項の規定による残余財産の分配は、行わない。
7 第一項の規定により共済基金が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(権利及び義務の承継に伴う経過措置)
第四条 旧法第百五十三条第三項の規定によつてした承認又は旧法第百八十五条第一項若しくは第二項ただし書の規定によつてした認可は、それぞれ、新法第百九十六条の八第二項の規定によつてした承認又は新法第百九十六条の九第一項若しくは第二項ただし書の規定によつてした認可とみなす。
第五条 附則第三条第一項の規定により中央基金が共済基金の権利及び義務を承継する日を含む事業年度に係る新法第百九十六条の三に規定する漁業災害補償関係業務に関する予算、事業計画及び資金計画については、中小漁業融資保証法第百十六条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「漁業災害補償法第百九十六条の三に規定する漁業災害補償関係業務の開始後遅滞なく」とする。
(罰則に関する経過措置)
第六条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(中小漁業融資保証法の一部改正)
第七条 中小漁業融資保証法の一部を次のように改正する。
第九十五条第二項中「三人」を「四人」に改める。
第百三条第二項中「二十人」を「三十人」に改め、同条第三項中「有する者」の下に「並びに中央基金の出資者を代表する者」を加える。
(所得税法の一部改正)
第八条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号中
漁業共済基金
漁業共済組合
漁業共済組合連合会
漁業共済組合
漁業共済組合連合会
に改める。
(法人税法の一部改正)
第九条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第二第一号中
漁業共済基金
漁業共済組合
漁業共済組合連合会
漁業共済組合
漁業共済組合連合会
に改める。
(印紙税法の一部改正)
第十条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第二漁業共済基金の項を削る。
別表第三中「同法第百七十六条第一号」を「同法第百九十六条の三第一号」に改める。
(地方税法の一部改正)
第十一条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第四号中「、漁業共済基金」を削る。
(農林水産省設置法の一部改正)
第十二条 農林水産省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第七十六条第三号中「、漁業共済基金」を削り、「行なう」を「行う」に改める。
大蔵大臣臨時代理 国務大臣 河本敏夫
農林水産大臣 田澤吉郎
自治大臣 世耕政隆
内閣総理大臣 鈴木善幸
漁業災害補償法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和五十七年五月一日
内閣総理大臣 鈴木善幸
法律第三十八号
漁業災害補償法の一部を改正する法律
漁業災害補償法(昭和三十九年法律第百五十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第百十三条」を「第百十三条の二」に、
第四章の二
政府の漁業共済保険事業(第百四十七条の二―第百四十七条の十三)
第五章
漁業共済基金
第一節
総則(第百四十八条―第百六十二条)
第二節
役員等(第百六十三条―第百七十五条)
第三節
業務(第百七十六条―第百八十条)
第四節
財務及び会計(第百八十一条―第百八十八条)
第五節
監督(第百八十九条・第百九十条)
第六節
雑則(第百九十一条―第百九十四条)
第六章
国の助成等(第百九十五条―第百九十六条の二)
第五章
政府の漁業共済保険事業(第百四十七条の二―第百九十四条)
第六章
国の助成等(第百九十五条―第百九十六条の二)
第六章の二
中央漁業信用基金の漁業災害補償関係業務(第百九十六条の三―第百九十六条の十一)
第六章の三
雑則(第百九十六条の十二―第百九十六条の十七)
に改める。
第十条に次の一項を加える。
2 組合は、前項に規定する事業のほか、当該事業の実施に支障のない限りにおいて、地域共済事業を行うことができる。
第二十二条に次の一項を加える。
2 組合が地域共済事業を行う場合には、定款には、前項に掲げる事項のほか、地域共済事業の種類を記載しなければならない。
第六十七条第二項中「第二十二条」を「第二十二条第一項」に改める。
第六十八条中「第百一条第一項」の下に「(第百九十六条の十七において準用する場合を含む。)」を加える。
第百八条第一項中「九十日」の下に「(当該区域につき、九十日を超え百二十日までの範囲内で、政令で定めるところにより都道府県知事がこれと異なる日数を定めたときは、その日数)」を加える。
第百八条の二第三項中「その区域を分けて」を削る。
第三章第二節中第百十三条の次に次の一条を加える。
(継続申込特約)
第百十三条の二 漁獲共済に係る共済契約が締結される場合には、これと併せて継続申込特約をすることができる。
2 前項の継続申込特約は、その締結される共済契約(以下この条において「当初契約」という。)に係る共済責任期間の終了日の翌日以降農林水産大臣が定める期間内に共済責任期間の開始日が到来することとなる漁獲共済に係る共済契約で当初契約に係る漁業単位及びこれに係る種目と漁業単位及びこれに係る種目が同一であるもの(以下この条において「継続契約」という。)のすべてについて、それぞれの継続契約に係る第八十条第一項の申込期間内に組合に申込書を提出することなく、共済金額の共済限度額に対する割合並びに前条第一項又は第二項に規定する共済金の支払われる場合及びその共済金の金額の算定の方法が当初契約と同一であるものとして、それぞれ、当該申込期間の終了日に第八十条第一項の締結の申込みがあつたものとする特約とする。
3 継続申込特約は、当初契約の共済契約者が継続申込特約につき解除する旨の申出を組合に対し行つたとき、又は継続契約が成立しなかつたとき、その効力を失つたとき、若しくは解除されたとき(当該解除が第九十一条第四項に該当するものであるときを除く。)は、その効力を失う。
4 継続契約の共済金額の共済限度額に対する割合については、第百十一条第一項の割合が改められた場合その他の被共済者の責めに帰することができない事由であつて農林水産省令で定めるものがある場合には、継続申込特約にかかわらず、農林水産省令で定めるところによりこれを変更することができる。
5 継続契約の共済限度額は、第百十一条第一項の規定にかかわらず、同項の規定により算出される金額が、当該継続申込特約に係る直前の共済契約の共済限度額を基準とし、農林水産大臣の定めるところにより算出される上限金額を超え又は下限金額を下回る場合は、それぞれ当該上限金額又は当該下限金額とする。
6 当初契約の被共済者は、自己の責めに帰する事由がなくて、当該当初契約及び継続契約のいずれの共済責任期間においても、組合から共済金の支払を受けないとき、又は支払を受けた共済金が農林水産省令で定める額に満たないときは、農林水産省令で定めるところにより、組合に対し、当該共済契約に係る共済掛金のうち純共済掛金に相当する部分の一部の払戻しを請求することができる。
第百二十条第三項を削る。
第百二十四条第一項中「当該共済目的の数量」の下に「(以下「直前数量」という。)」を加え、同条第二項を次のように改める。
2 養殖業に係る経営事情及び共済事故の発生の態様に照らして共済金の支払につき特例を定める必要がある次の各号の種類の養殖業に係る養殖共済の養殖水産動植物に係る共済金(第二号の種類の養殖業にあつては、同号の政令で定める共済事故に該当する事故であつて同号の共済規程で指定する単位漁場区域におけるものによつて受けた損害に係る共済金に限る。)については、前項の規定にかかわらず、それぞれ、当該各号に定めるところによるものとする。
一 政令で定める種類の養殖業に係る養殖共済については、その共済金は、共済契約ごとに、当該共済責任期間における当該共済目的についての共済事故による損害額の合計額が当該共済価額に百分の三十を超えない範囲内において政令で定める割合を乗じて得た金額を超える場合に支払うものとし、その共済金の金額は、共済契約ごとに、当該損害額の合計額のうちその超える部分の金額に当該共済契約に係る第百二十条第一項の割合を乗じて得た金額とする。
二 第百十四条第三号に掲げる養殖業であつて政令で定める種類のもの(前号の政令で定める種類のものを除く。以下「特定第三号養殖業」という。)に係る養殖共済については、政令で定める共済事故に該当する事故であつて当該養殖共済の共済事故の発生の態様に応じ政令で定めるところにより組合が共済規程で指定する単位漁場区域におけるものによつて受けた損害に係る共済金は、共済契約ごとに、当該損害数量が、当該直前数量に前項の政令で定める割合(当該割合に比し、特定第三号養殖業に係る養殖共済の共済事故の発生の態様に応じ百分の三十を超えない範囲内において政令で定めるところにより組合が共済規程で当該単位漁場区域につき指定する割合が大きい場合にあつては、その割合)を乗じて得た数量を超える場合に支払うものとし、その共済金の金額は、共済契約ごとに、政令で定める共済事故に該当する事故によつて受けた当該共済目的についての損害額から、直前数量に当該共済規程で当該単位漁場区域につき指定する割合、当該共済目的の第百二十一条第一項の単位当たり共済価額及び第四項の割合を乗じて得た金額を差し引いて得た金額に、当該共済契約に係る第百二十条第一項の割合を乗じて得た金額(共済目的の種類たる養殖水産動植物で農林水産省令で定めるものにあつては、その金額に更に農林水産省令で定める割合を乗じて得た金額)とする。
第百四十二条の見出し中「払いもどし」を「払戻し」に改め、同条中「若しくは第九十二条第二項」を「、第九十二条第二項若しくは第百十三条の二第六項」に、「払いもどし」を「払戻し」に改める。
第百四十七条の三第一項中「保険区分」を「政令で定める保険区分(以下単に「保険区分」という。)」に改め、同条第二項を削る。
第五章の章名及び同章第一節から第六節までの節名を削る。
第百四十八条から第百九十四条までを次のように改める。
第百四十八条から第百九十四条まで 削除
第四章の二を第五章とする。
第六章の次に次の二章を加える。
第六章の二 中央漁業信用基金の漁業災害補償関係業務
(中央漁業信用基金の業務)
第百九十六条の三 中央漁業信用基金(以下「中央基金」という。)は、中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号。以下「保証法」という。)第百六条に規定する業務のほか、漁業共済団体が行う漁業共済事業及び漁業再共済事業の健全な運営に資するため、これらの事業に係る共済金又は再共済金の支払に必要な資金の供給を円滑にすることを目的として、次に掲げる業務(以下「漁業災害補償関係業務」という。)を行う。
一 出資者たる漁業共済団体が共済金又は再共済金の支払に関して必要とする資金の貸付け
二 出資者たる漁業共済団体が共済金又は再共済金の支払に関して金融機関に対し負担する債務の保証
三 第一号に掲げる業務に必要な資金に充てるための出資者たる漁業共済団体からの金銭の寄託の引受け
四 前三号の業務に附帯する業務
(業務の委託)
第百九十六条の四 中央基金は、次条第一項の業務方法書で定めるところにより、漁業災害補償関係業務(貸付けの決定及び債務保証の決定を除く。)の一部を、農林中央金庫、水産業協同組合法第八十七条第一項第一号及び第二号の事業を併せ行う漁業協同組合連合会その他農林水産大臣の指定する金融機関に委託することができる。
2 前項の規定により業務の委託を受けた金融機関の役員又は職員であつて当該委託業務に従事するものは、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
3 農林中央金庫は、農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)第十六条の規定にかかわらず、第一項の規定による委託を受け、当該業務を行うことができる。
4 第一項に規定する漁業協同組合連合会は、水産業協同組合法第八十七条第五項の規定にかかわらず、第一項の規定による委託を受け、当該業務を行うことができる。
(業務方法書)
第百九十六条の五 中央基金は、漁業災害補償関係業務に関し、当該業務の開始前に、業務方法書を作成し、農林水産大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 貸付金の金額の合計額及び債務保証の金額の合計額の最高限度
二 一漁業共済団体当たりの貸付金の金額及び債務保証の金額の最高限度
三 貸付金の利率、償還期間その他の貸付条件並びに債務保証をする資金の借入期間の最高限度及び被保証人の遵守すべき条件
四 貸付契約及び保証契約の締結及び変更に関する事項
五 保証債務の弁済並びに求償権の行使方法及び償却に関する事項
六 金銭の寄託の引受けの条件
七 余裕金の運用の方法
八 その他農林水産省令で定める事項
(貸付金等の使用)
第百九十六条の六 漁業共済団体は、中央基金からの貸付金又は中央基金の保証に係る借入金を共済金又は再共済金の支払以外の目的に使用してはならない。
2 漁業共済団体が前項の規定に違反して貸付金又は借入金を他の目的に使用したときは、中央基金は、前条第一項の業務方法書で定めるところにより、当該漁業共済団体に対し、貸付金の弁済期前の償還、違約金の納付その他必要な措置を請求することができる。
(区分経理)
第百九十六条の七 中央基金は、漁業災害補償関係業務に係る経理については、漁業災害補償関係勘定を設けて、保証法第百六条に規定する業務に係る経理として整理しなければならない。
(漁業災害補償関係資金)
第百九十六条の八 中央基金は、漁業災害補償関係業務に関して、漁業災害補償関係資金を設け、政府、都道府県及び漁業共済団体が当該漁業災害補償関係資金に充てるべきものとして示して出資した額に相当する額をもつてこれに充てなければならない。
2 都道府県は、前項の漁業災害補償関係資金に充てるべきものとして示して中央基金に出資しようとする場合は、自治大臣の承認を受けなければならない。ただし、当該出資が自治大臣の定める基準に該当する場合は、この限りでない。
3 漁業共済団体は、第一項の漁業災害補償関係資金に充てるべきものとして示して出資する場合に限り、中央基金に出資することができる。
4 第一項の漁業災害補償関係資金に係る持分については、都道府県又は漁業共済団体でなければ、その譲渡しを受けることができない。
(借入金)
第百九十六条の九 中央基金は、漁業災害補償関係業務に関し、長期借入金又は短期借入金をする場合には、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができない金額に限り、農林水産大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(大蔵大臣との協議)
第百九十六条の十 農林水産大臣は、次に掲げる場合には、大蔵大臣と協議しなければならない。
一 第百九十六条の五第一項、前条第一項若しくは第二項ただし書又は次条第一項の規定により読み替えられた保証法第百十六条の認可をしようとするとき。
二 第百九十六条の五第二項第八号又は次条第一項の規定により読み替えられた保証法第百二十三条の農林水産省令を定めようとするとき。
三 第百九十六条の四第一項の規定による指定をしようとするとき。
四 次条第一項の規定により読み替えられた保証法第百十七条第一項の承認をしようとするとき。
(中小漁業融資保証法の特例)
第百九十六条の十一 漁業災害補償関係業務及び漁業災害補償関係勘定については、保証法第百十六条、第百十七条、第百二十四条、第百二十五条第一項並びに第百三十条第一号及び第十七号中「主務大臣」とあるのは「主務大臣(漁業災害補償関係業務に係る事項については、農林水産大臣)」と、保証法第百二十三条中「主務省令」とあるのは「主務省令(漁業災害補償関係勘定に係る事項については、農林水産省令)」と、保証法第百二十四条第二項及び第百二十五条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は漁業災害補償法」と、保証法第百二十七条第一項中「これを各出資者に対し」とあるのは「当該残余財産のうち漁業災害補償関係勘定に属するものを漁業災害補償関係資金に係る持分(以下この項において「漁業災害補償関係持分」という。)を有する各出資者に対し、当該残余財産のうち漁業災害補償関係勘定に属するもの以外のものを漁業災害補償関係持分以外の持分を有する各出資者に対し」と、保証法第百三十条第三号中「協会又は中央基金」とあるのは「協会が行うことができる事業又はこの法律若しくは漁業災害補償法の規定に基づき中央基金」とする。
2 漁業災害補償関係業務については、保証法第百七条及び第百八条の規定は、適用しない。
第六章の三 雑則
(地域共済事業の内容)
第百九十六条の十二 地域共済事業は、組合員又はその直接の構成員たる中小漁業者の漁獲金額若しくは養殖に係る生産金額の減少又は養殖水産動植物、養殖施設若しくは漁具に係る損害であつて漁業共済事業によつてはてん補されないものにつき、被共済者に対し共済金を交付する事業とする。
(地域共済事業に係る共済規程)
第百九十六条の十三 組合が地域共済事業を行う場合には、地域共済事業に係る共済規程をもつて、次に掲げる事項を規定しなければならない。
一 地域共済事業の細目に関する事項
二 地域共済事業の共済掛金に関する事項
三 地域共済事業の共済金額に関する事項
四 地域共済事業の共済責任に関する事項
五 損失又は損害の認定に関する事項その他地域共済事業の実施の方法に関する事項
六 前各号に掲げるもののほか、地域共済事業に係る共済契約の締結に関する事項その他農林水産省令で定める事項
第百九十六条の十四 組合は、地域共済事業に係る共済規程を定め、又はこれを変更しようとするときは、総会の議決を経なければならない。
2 地域共済事業に係る共済規程については、第四十条第二項及び第四十七条(同条第三号及び第四号を除く。)の規定を準用する。この場合において、第四十条第二項中「定款又は共済規程の変更」とあるのは、「地域共済事業に係る共済規程の設定又は変更」と読み替えるものとする。
(地域共済事業を行う組合)
第百九十六条の十五 地域共済事業を行う組合についての第二十七条第一項、第三十四条第一項、第三十六条第二項、第六十九条及び第七十一条から第七十四条までの規定の適用については、これらの規定(第七十三条及び第七十四条を除く。)中「共済規程」とあるのは「共済規程、地域共済事業に係る共済規程」と、第七十三条中「漁業共済事業」とあるのは「漁業共済事業若しくは地域共済事業」と、第七十四条中「命ずることができる」とあるのは「命ずることができる。ただし、前二条の規定による命令が地域共済事業に係るものであるときは、当該組合の役員の解任に限り行うことができる」とする。
(共済金額の最高額の制限)
第百九十六条の十六 農林水産大臣は、必要があると認めるときは、地域共済事業の共済金額について、その最高額を定めることができる。この場合には、地域共済事業の共済金額は、当該金額を超えてはならない。
(地域共済事業についての準用)
第百九十六条の十七 地域共済事業については、第八十条第一項、第八十一条、第八十二条第一項、第二項及び第五項、第八十三条、第八十四条第一項、第八十五条から第九十二条まで、第九十三条第一項、第九十四条、第九十五条第一項並びに第九十六条から第百一条まで並びに商法第六百三十一条、第六百四十二条、第六百四十三条、第六百五十八条、第六百六十一条及び第六百六十二条の規定を準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第百九十七条第一項中「三万円」を「十万円」に改める。
第百九十八条を次のように改める。
第百九十八条 削除
第百九十九条を次のように改める。
第百九十九条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした中央基金の役員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により農林水産大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかつたとき。
二 第百九十六条の七又は第百九十六条の八第一項の規定に違反する経理をしたとき。
第二百条第十八号中「第百四十七条」の下に「又は第百九十六条の十七」を加える。
第二百一条中「又は第百六十一条」を削る。
附則第二条の五を次のように改める。
(特定養殖共済の内容)
第二条の五 特定養殖共済は、次に掲げる損失又は損害について、被共済者に対し共済金を交付する事業とする。
一 被共済者又はその構成員の営む特定養殖業の共済責任期間中の養殖に係る生産金額又は構成員を通ずる生産金額の合計額が共済限度額に達しない場合の被共済者又はその構成員の損失
二 被共済者又はその構成員の営む特定養殖業に係る養殖施設の供用中における損壊、流失等があつた場合の被共済者又はその構成員の損害
附則第二条の五の次に次の一条を加える。
(特定養殖共済の養殖施設に係る共済目的及び共済事故)
第二条の五の二 特定養殖共済であつて前条第二号に掲げる損害に係るものの共済目的は、特定養殖業に係る政令で定める養殖施設とする。
2 特定養殖共済であつて前条第二号に掲げる損害に係るものの共済事故は、特定養殖業に係る養殖施設の供用中における損壊(農林水産省令で定める程度のものに限る。)、滅失及び流失並びにこれらに準ずるものとして政令で定める事故とする。
附則第二条の八の次に次の一条を加える。
第二条の八の二 特定養殖共済に係る養殖施設については、前二条の要件を満たして附則第二条の五第一号の損失に係る共済契約を締結する場合であつて、その者が当該特定養殖共済において共済目的とすることができる養殖施設(以下「共済目的特定施設」という。)で当該特定養殖共済に係る養殖水産動植物の養殖の用に供するもののすべてを共済目的とし、当該特定養殖業において当該共済責任期間中に付加する共済目的特定施設で当該特定養殖共済に係る養殖水産動植物の養殖の用に供するものがある場合には、そのすべてを共済目的とすることを約するときに限り、認可組合とその者との間に共済契約を締結することができる。
附則第二条の九中「共済金額」の下に「であつて附則第二条の五第一号に掲げる損失に係るもの」を加え、同条に次の一項を加える。
2 特定養殖共済の共済金額であつて附則第二条の五第二号に掲げる損害に係るものは、その共済価額を超えない範囲内において、共済価額に共済契約で定める割合を乗じて得た金額とする。
附則第二条の十第一項中「前条」を「前条第一項」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(共済価額)
第二条の十の二 附則第二条の九第二項の共済価額は、共済目的の種類たる養殖施設ごとに、農林水産省令で定めるところにより、その単位当たり共済価額に、共済目的たる当該養殖施設(当該共済責任期間中に付加されるものを含む。)の数量を乗じて得た金額とする。
2 前項の単位当たり共済価額は、共済契約ごとに、農林水産省令で定めるところにより、当該共済目的の共済責任期間の開始時における価額として、認可組合が共済規程で定めるところにより定める金額とする。
附則第二条の十一中「種類」の下に「、共済目的となる養殖施設」を加える。
附則第二条の十二第一項中「特定養殖共済の共済金」の下に「であつて附則第二条の五第一号に掲げる損失に係るもの」を、「この項」の下に「及び次項」を、「合計数量」の下に「。次項において同じ。」を加え、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 特定養殖業のうち政令で定める種類のものに係る特定養殖共済であつて、被共済者の営む当該特定養殖業の共済責任期間中の養殖に係る生産金額がその共済限度額に達しない場合において、当該被共済者の営む当該特定養殖業の共済責任期間中の養殖に係る生産数量が前項の政令で定めるところにより当該被共済者の営む当該特定養殖業の過去一定年間の養殖に係る生産数量を基準として認可組合が定める基準生産数量に達しないときにおける共済金の支払に関し農林水産省令で定める要件に該当する特約がある共済契約に係るものの共済金(附則第二条の五第一号に掲げる損失に係るものに限る。)は、前項の規定にかかわらず、当該共済契約の特約において共済金を支払うべきこととされた場合に該当する場合に支払うものとし、その金額は、当該共済契約の特約に従い算定した金額に、当該被共済者(その者が附則第二条の六第二号に掲げる組合員であるときは、同号に規定する中小漁業者のすべて)の営む当該特定養殖業の種類に係る前項の農林水産省令で定める割合を乗じ、これに更に共済金額の共済限度額に対する割合を乗じて得た金額とする。
附則第二条の十二に次の二項を加える。
4 特定養殖共済の共済金であつて附則第二条の五第二号に掲げる損害に係るものの金額は、共済契約ごとに、共済目的についての共済事故による損害額に当該共済契約に係る附則第二条の九第二項の割合を乗じて得た金額とする。
5 前項の損害額は、当該共済事故に係る損害数量に農林水産省令で定める基準に従い共済規程で定めるところにより調整を施した数量に、当該共済目的の附則第二条の十の二第二項の単位当たり共済価額を乗じ、これに更に当該共済責任期間の開始日から当該共済事故の発生日までの期間に応じ農林水産省令で定めるところにより共済規程で定める割合を乗じて得た金額とする。
附則第二条の十三第一項中「第四章の二」を「第五章」に改め、「水産動植物」の下に「及び養殖施設」を加え、同条第三項中「及び第百十九条第一項の規定」を「、第百十九条第一項、第百二十三条第二項本文及び第百二十五条の規定」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和五十七年十月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に掲げる日から施行する。
一 第六章の次に二章を加える改正規定(第六章の二に係る部分に限る。)並びに附則第三条及び第五条の規定 公布の日
二 第五章の章名及び同章第一節から第六節までの節名を削る改正規定、第百四十八条から第百九十四条までの改正規定、第四章の二を第五章とする改正規定、第百九十八条、第百九十九条及び第二百一条の改正規定並びに附則第二条の十三第一項の改正規定(「第四章の二」を「第五章」に改める部分に限る。)並びに附則第四条及び第七条から第十二条までの規定 昭和五十七年十二月三十一日までの間において政令で定める日
(養殖共済に係る共済契約に関する経過措置)
第二条 改正後の漁業災害補償法(以下「新法」という。)第百二十四条第二項第二号の規定は、その共済責任期間の開始日が新法の施行日以後の日である養殖共済に係る共済契約について適用し、その共済責任期間の開始日が新法の施行日前の日である養殖共済に係る共済契約については、なお従前の例による。
(漁業共済基金の解散等)
第三条 漁業共済基金(以下「共済基金」という。)は、附則第一条第二号の政令で定める日に解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その解散の時において中央漁業信用基金(以下「中央基金」という。)が承継する。
2 共済基金の昭和五十七年四月一日に始まる事業年度は、共済基金の解散の日の前日に終わるものとする。
3 共済基金の昭和五十七年四月一日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、なお従前の例による。
4 第一項の規定により中央基金が共済基金の権利及び義務を承継したときは、その承継の際における共済基金に対する政府、都道府県及び漁業共済団体の出資額に相当する金額は、それぞれ、その承継に際し政府、当該都道府県及び当該漁業共済団体から中央基金に新法第百九十六条の八第一項の漁業災害補償関係資金に充てるべきものとして示して出資されたものとする。この場合において、中央基金は、中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号)第八十二条第二項の認可を受けることなく、その額により、資本金を増加するものとする。
5 第一項の規定により中央基金が共済基金の権利及び義務を承継したときは、その承継の際改正前の漁業災害補償法(以下「旧法」という。)第百八十四条第一項の積立金として整理している金額は、中小漁業融資保証法第百二十一条第一項の準備金として整理しなければならない。
6 共済基金の解散については、旧法第百九十三条第一項の規定による残余財産の分配は、行わない。
7 第一項の規定により共済基金が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(権利及び義務の承継に伴う経過措置)
第四条 旧法第百五十三条第三項の規定によつてした承認又は旧法第百八十五条第一項若しくは第二項ただし書の規定によつてした認可は、それぞれ、新法第百九十六条の八第二項の規定によつてした承認又は新法第百九十六条の九第一項若しくは第二項ただし書の規定によつてした認可とみなす。
第五条 附則第三条第一項の規定により中央基金が共済基金の権利及び義務を承継する日を含む事業年度に係る新法第百九十六条の三に規定する漁業災害補償関係業務に関する予算、事業計画及び資金計画については、中小漁業融資保証法第百十六条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「漁業災害補償法第百九十六条の三に規定する漁業災害補償関係業務の開始後遅滞なく」とする。
(罰則に関する経過措置)
第六条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(中小漁業融資保証法の一部改正)
第七条 中小漁業融資保証法の一部を次のように改正する。
第九十五条第二項中「三人」を「四人」に改める。
第百三条第二項中「二十人」を「三十人」に改め、同条第三項中「有する者」の下に「並びに中央基金の出資者を代表する者」を加える。
(所得税法の一部改正)
第八条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号中
漁業共済基金
漁業共済組合
漁業共済組合連合会
漁業共済組合
漁業共済組合連合会
に改める。
(法人税法の一部改正)
第九条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第二第一号中
漁業共済基金
漁業共済組合
漁業共済組合連合会
漁業共済組合
漁業共済組合連合会
に改める。
(印紙税法の一部改正)
第十条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第二漁業共済基金の項を削る。
別表第三中「同法第百七十六条第一号」を「同法第百九十六条の三第一号」に改める。
(地方税法の一部改正)
第十一条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第四号中「、漁業共済基金」を削る。
(農林水産省設置法の一部改正)
第十二条 農林水産省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第七十六条第三号中「、漁業共済基金」を削り、「行なう」を「行う」に改める。
大蔵大臣臨時代理 国務大臣 河本敏夫
農林水産大臣 田沢吉郎
自治大臣 世耕政隆
内閣総理大臣 鈴木善幸