老人福祉法
法令番号: 法律第133号
公布年月日: 昭和38年7月11日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

近年の老齢人口の増加、私的扶養の減退、環境変動により老人の生活が不安定化し、国民の老後への関心が高まっている状況を踏まえ、老人福祉施策を体系的に整備拡充するため提案。法案では、老人福祉の基本理念として老人への敬愛と安らかな生活の保障を明示し、健康診査の実施、養護・特別養護老人ホームへの収容、老人福祉センターの設置、老人家庭奉仕員による支援など具体的施策を規定。また費用は都道府県・市町村が支弁し、国が一定割合を負担する仕組みを整備する。

参照した発言:
第43回国会 衆議院 社会労働委員会 第14号

審議経過

第43回国会

衆議院
(昭和38年2月27日)
参議院
(昭和38年2月28日)
衆議院
(昭和38年3月6日)
(昭和38年3月7日)
参議院
(昭和38年3月12日)
衆議院
(昭和38年5月29日)
(昭和38年5月30日)
(昭和38年6月12日)
(昭和38年6月14日)
参議院
(昭和38年6月18日)
(昭和38年6月20日)
(昭和38年6月25日)
(昭和38年7月6日)
(昭和38年7月6日)
(昭和38年7月6日)
老人福祉法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十八年七月十一日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百三十三号
老人福祉法
目次
第一章
総則(第一条―第九条)
第二章
福祉の措置(第十条―第十三条)
第三章
老人福祉施設(第十四条―第二十条)
第四章
費用(第二十一条―第二十八条)
第五章
雑則(第二十九条―第三十六条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする。
(基本的理念)
第二条 老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、かつ、健全で安らかな生活を保障されるものとする。
第三条 老人は、老齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して、常に心身の健康を保持し、その知識と経験を社会に役立たせるように努めるものとする。
2 老人は、その希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会その他社会的活動に参与する機会を与えられるものとする。
(老人福祉増進の責務)
第四条 国及び地方公共団体は、老人の福祉を増進する責務を有する。
2 国及び地方公共団体は、老人の福祉に関係のある施策を講ずるに当たつては、その施策を通じて、前二条に規定する基本的理念が具現されるように配慮しなければならない。
3 老人の生活に直接影響を及ぼす事業を営む者は、その事業の運営に当たつては、老人の福祉が増進されるように努めなければならない。
(老人の日)
第五条 国民の間にひろく老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに、老人に対し自らの生活の向上に努める意欲を促すため、老人の日を設ける。
2 老人の日は、九月十五日とする。
3 国及び地方公共団体は、老人の日の趣旨にふさわしい事業を実施するように努めなければならない。
(老人福祉の業務に従事する社会福祉主事)
第六条 都道府県、市及び福祉事務所(社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)を設置する町村は、その設置する福祉事務所に、福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)の指揮監督を受けて、主として次の業務を行なう所員として、社会福祉主事を置かなければならない。
一 福祉事務所の所員に対し、老人の福祉に関する技術的指導を行なうこと。
二 次条第二号に規定する業務のうち、専門的技術を必要とする業務を行なうこと。
(福祉事務所)
第七条 福祉事務所は、この法律の施行に関し、主として、次の業務を行なうものとする。
一 老人の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。
二 老人の福祉に関する相談に応じ、必要な調査及び指導を行なうこと、並びにこれらに付随する業務を行なうこと。
(保健所)
第八条 保健所は、老人の福祉に関し、主として、次の業務を行なうものとする。
一 老人の保健について、正しい衛生知識の普及を図ること。
二 老人の健康相談に応じ、又は保健指導を行なうこと。
三 老人福祉施設に対し、栄養の改善その他衛生に関し、必要な助言を与えること。
(民生委員の協力)
第九条 民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。
第二章 福祉の措置
(健康診査)
第十条 市町村長は、当該市町村の区域内に居住地を、有する六十五歳以上の者に対して、毎年、期日又は期間を指定して、厚生大臣が定める方法により健康診査を行なわなけれはならない。
2 市町村長は、前項の規定による健康診査の結果必要があると認めるときは、その健康診査を受けた者に対して、必要な指導を行なわなければならない。
3 都道府県の設置する保健所の長は、市町村長(保健所を設置する市の市長を除く。)が第一項の健康診査に関し指導、助言その他の協力を求めたときは、これに協力しなければならない。
(老人ホームヘの収容等)
第十一条 都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長は、六十五歳以上の者につき、その福祉を図るため、必要に応じて、次の措置をとらなければならない。
一 六十五歳以上の者又はその者を現に養護する者(以下「養護者」という。)を社会福祉主事に指導させること。
二 六十五歳以上の者であつて、身体上若しくは精神上又は環境上の理由及び経済的理由により居宅において養護を受けることが困難なものを当該地方公共団体の設置する養護老人ホームに収容し、又は当該地方公共団体以外の者の設置する養護老人ホームに収容を委託すること。
三 六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上著しい欠陥があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難なものを当該地方公共団体の設置する特別養護老人ホームに収容し、又は当該地方公共団体以外の者の設置する特別養護老人ホームに収容を委託すること。
四 六十五歳以上の者であつて、養護者がないか、又は養護者があつてもこれに養護させることが不適当であると認められるものの養護を養護受託者(老人を自己のもとに預つて養護することを希望する者であつて、都道府県知事、市長又は福祉事務所を管理する町村長が適当と認めるものをいう。以下同じ。)に委託すること。
2 都道府県知事、市長又は福祉事務所を管理する町村長は、六十五歳未満の者についても、その者の老衰が著しいとき、その他その者の福祉のために特に必要があると認めるときは、前項各号の措置をとることができる。
3 都道府県知事、市長又は福祉事務所を管理する町村長は、前二項の規定により養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームに収容し、若しくは収容を委託し、又はその養護を養護受託者に委託した者が死亡した場合において、その葬祭(葬祭のために必要な処理を含む。以下同じ。)を行なう者がないときは、その葬祭を行ない、又はその者を収容し、若しくは養護していた養護老人ホーム、特別養護老人ホーム若しくは養護受託者にその葬祭を行なうことを委託する措置をとることができる。
4 第一項及び第二項に定める措置は、居住地を有する者については、その居住地を管轄する福祉事務所を管理する都道府県知事又は市町村長が、居住地を有しないか、又は明らかでない者については、その現在地を管轄する福祉事務所を管理する都道府県知事又は市町村長が行なうものとする。ただし、第一項第二号若しくは第三号又は生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第三十条第一項ただし書の規定により収容されている者については、その者が収容前に居住地を有した者であるときは、その居住地を管轄する福祉事務所を管理する都道府県知事又は市町村長が、その者が収容前に居住地を有しないか、又は明らかでなかつた者であるときは、収容前におけるその者の所在地を管轄する福祉事務所を管理する都道府県知事又は市町村長が行なうものとする。
5 都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長は、第一項から第三項までの規定による措置に関する事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。
6 福祉事務所を設置しない町村の長は、当該町村の区域内に居住地を有する者に対する福祉の措置について、都道府県知事又は福祉事務所長が行なう第一項から第三項までに規定する事務に協力しなければならない。
(老人家庭奉仕員による世話)
第十二条 市町村は、社会福祉法人その他の団体に対して、身体上又は精神上の障害があつて日常生活を営むのに支障がある老人の家庭に老人家庭奉仕員(老人の家庭を訪問して老人の日常生活上の世話を行なう者をいう。)を派遣してその日常生活上の世話を行なわせることを委託することができる。
(老人福祉の増進のための事業)
第十三条 地方公共団体は、老人の心身の健康の保持に資するため、教養講座、レクリエーションその他ひろく老人が自主的かつ積極的に参加することができる事業を実施するように努めなければならない。
2 地方公共団体は、老人クラブその他老人の福祉を増進することを目的とする事業を行なう者に対して、適当な援助をするように努めなければならない。
第三章 老人福祉施設
(施設の種類)
第十四条 老人福祉施設の種類は、次のとおりとする。
一 養護老人ホーム
二 特別養護老人ホーム
三 軽費老人ホーム
四 老人福祉センター
2 養護老人ホームは、第十一条第一項第二号の措置を受けた者を収容し、養護することを目的とする施設とする。
3 特別養護老人ホームは、第十一条第一項第三号の措置を受けた者を収容し、養護することを目的とする施設とする。
4 軽費老人ホームは、無料又は低額な料金で、老人を収容し、給食その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設(前二項に定める施設を除く。)とする。
5 老人福祉センターは、無料又は低額な料金で、老人に対して、各種の相談に応ずるとともに、健康の増進、教養の向上及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与することを目的とする施設とする。
(施設の設置)
第十五条 都道府県は、老人福祉施設を設置することができる。
2 市町村及び社会福祉法人は、厚生省令の定めるところにより、都道府県知事の認可を受けて、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを設置することができる。
3 市町村、社会福祉法人その他の者は、社会福祉事業法の定めるところにより、軽費老人ホーム又は老人福祉センターを設置することができる。
(廃止又は休止)
第十六条 市町村及び社会福祉法人は、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを廃止し、又は休止しようとするときは、その廃止又は休止の時期について、都道府県知事の認可を受けなければならない。
(施設の基準)
第十七条 厚生大臣は、中央社会福祉審議会の意見を聞き、養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営について、基準を定めなければならない。
2 養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設置者は、前項の基準を遵守しなければならない。
(報告の徴収等)
第十八条 厚生大臣又は都道府県知事は、前条第一項の基準を維持するため、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの長に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に実地につき監督させることができる。
(改善命令等)
第十九条 厚生大臣又は都道府県知事は、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームがこの法律若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又は第十七条第一項の基準に適合しなくなつたときは、その設置者に対して、その施設の設備若しくは運営の改善若しくはその事業の停止若しくは廃止を命じ、又は第十五条第二項の規定による認可を取り消すことができる。
2 厚生大臣又は都道府県知事は、前項の規定による処分を行なう場合には、当該施設の設置者に対して弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、書面をもつて、弁明をなすべき日時、場所及び当該処分をなすべき理由を通知しなければならない。
3 厚生大臣又は都道府県知事は、第一項の規定により、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームにつき、その事業の廃止を命じ、又は設置の認可を取り消す場合には、あらかじめ、中央社会福祉審議会又は地方社会福祉審議会の意見を聞かなければならない。
(措置の受託義務)
第二十条 養護老人ホーム及び特別養護老人ホームは、第十一条の規定による収容の委託を受けたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。
第四章 費用
(市町村の支弁)
第二十一条 次に掲げる費用は、市町村の支弁とする。
一 第十条及び第十一条の規定により市町村長が行なう措置に要する費用
二 市町村が設置する養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備に要する費用
(都道府県の支弁)
第二十二条 次に掲げる費用は、都道府県の支弁とする。
一 第十一条の規定により都道府県知事が行なう措置に要する費用
二 都道府県が設置する養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備に要する費用
(繰替え支弁)
第二十三条 都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内にある養護老人ホーム又は特別養護老人ホームで厚生大臣の指定するものに対し他の都道府県知事又は市町村長が第十一条の規定により収容を委託した場合においては、その委託に要する費用について一時繰替え支弁をしなければならない。
(都道府県の負担及び補助)
第二十四条 都道府県は、政令の定めるところにより、市町村が第二十一条の規定により支弁する費用のうち、第十条に規定する措置に要する費用についてはその三分の一を、第十一条に規定する居住地を有しないか、又は明らかでない者についての措置に要する費用についてはその十分の二を、養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備に要する費用についてはその四分の一を負担するものとする。
2 都道府県は、前項に規定するもののほか、市町村又は社会福祉法人に対し、老人の福祉のための事業に要する費用の一部を補助することができる。
(準用規定)
第二十五条 社会福祉事業法第五十六条第二項から第四項までの規定は、前条の規定により補助金の交付を受け、又は国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)第三条第一項第四号及び同条第二項の規定により普通財産の譲渡若しくは貸付けを受けた社会福祉法人に準用する。
(国の負担及び補助)
第二十六条 国は、政令の定めるところにより、市町村又は都道府県が第二十一条又は第二十二条の規定により支弁する費用のうち、第十条に規定する措置に要する費用についてはその三分の一を、第十一条に規定する措置に要する費用についてはその十分の八を、養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備に要する費用についてはその二分の一を負担するものとする。
2 国は、前項に規定するもののほか、都道府県又は市町村に対し、この法律に定める老人の福祉のための事業に要する費用の一部を補助することができる。
(遺留金品の処分)
第二十七条 都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長は、第十一条第三項の規定により葬祭の措置をとる場合においては、その死者の遺留の金銭及び有価証券を当該措置に要する費用に充て、なお足りないときは、遺留の物品を売却してその代金をこれに充てることができる。
2 都道府県又は市町村は、前項の費用について、その遺留の物品の上に他の債権者の先取特権に対して優先権を有する。
(費用の徴収)
第二十八条 第十条及び第十一条の規定による措置に要する費用については、これを支弁した都道府県又は市町村の長は、当該措置を受けた者又はその扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者をいう。以下同じ。)から、その負担能力に応じて、当該措置に要する費用の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の規定による費用の徴収は、徴収されるべき者の居住地又は財産所在地の都道府県知事又は市町村長に嘱託することができる。
第五章 雑則
(有料老人ホーム)
第二十九条 有料老人ホーム(常時十人以上の老人を収容し、給食その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設であつて、老人福祉施設でないものをいう。以下同じ。)を設置した者は、その事業の開始の日から一箇月以内に、その施設の所在地の都道府県知事に、次の各号に掲げる事項を届け出なければならない。
一 施設の名称及び所在地
二 設置者の氏名及び住所又は名称及び所在地
三 条例、定款その他の基本約款
四 事業を開始した年月日
五 施設の管理者の氏名及び住所
2 有料老人ホームの設置者は、前項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、変更の日から一箇月以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。その事業を休止し、又は廃止したときも、同様とする。
3 都道府県知事は、この法律の目的を達成するため、有料老人ホームの設置者若しくは管理者に対し、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員をして、その施設の設備若しくは運営について調査させることができる。
4 都道府県知事は、有料老人ホームの設備又は運営が老人の福祉をそこなうものであると認めるときは、地方社会福祉審議会の意見を聞き、当該有料老人ホームの設置者に対し、必要な勧告を行なうことができる。
(審査庁)
第三十条 第十一条第五項の規定により市町村長が同条第一項から第三項までの規定による措置に関する事務の全部又は一部をその管理に属する行政庁に委任した場合における当該事務に関する処分についての審査請求は、都道府県知事に対してするものとする。
(再審査請求)
第三十一条 市町村長がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定によつてした処分又は市町村長の管理に属する行政庁が第十一条第五項の規定による委任に基づいてした処分に係る審査請求についての都道府県知事の裁決に不服がある者は、厚生大臣に対して再審査請求をすることができる。
(町村の一部事務組合)
第三十二条 町村が一部事務組合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その組合を福祉事務所を設置する町村とみなし、その組合の長を福祉事務所を管理する町村長とみなす。
(措置の実施機関に変更があつた場合の経過規定)
第三十三条 町村の福祉事務所の設置又は廃止により第十一条の規定による措置をとるべき者(以下「措置の実施機関」という。)に変更があつた場合においては、この法律又はこの法律に基づく命令の規定により変更前の措置の実施機関がした処分その他の行為は、変更後の措置の実施機関がした処分その他の行為とみなす。ただし、変更前に行なわれ、又は行なわれるべきであつた措置に関する費用の支弁及び負担については、変更がなかつたものとする。
(大都市の特例)
第三十四条 この法律中都道府県が処理することとされている事務又は都道府県知事その他の都道府県の機関若しくは職員の権限に属するものとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市が処理し、又は指定都市の長その他の機関若しくは職員が行なうものとする。この場合においては、この法律中都道府県又は都道府県知事その他の都道府県の機関若しくは職員に関する規定は、指定都市又は指定都市の長その他の機関若しくは職員に関する規定として、指定都市又は指定都市の長その他の機関若しくは職員に適用があるものとする。
2 第三十一条の規定は、前項の規定により指定都市の長がした処分に係る不服申立てについて準用する。
(日本赤十字社)
第三十五条 日本赤十字社は、この法律の適用については、社会福祉法人とみなす。
(調査の嘱託及び報告の請求)
第三十六条 措置の実施機関は、福祉の措置に関し必要があると認めるときは、当該措置を受け、若しくは受けようとする老人又はその扶養義務者の資産又は収入の状況につき、官公署に調査を嘱託し、又は銀行、信託会社、当該老人若しくはその扶養義務者、その雇主その他の関係人に報告を求めることができる。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一箇月をこえない範囲内において政令で定める日から施行し、この法律による改正後の公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第四十九条の規定は、この法律の施行の日から起算して三箇月を経過した日後にその期日が公示され、又は告示される選挙から適用する。
(経過規定)
第二条 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の生活保護法第三十条第一項ただし書の規定により同法の規定による養老施設に収容されている者は、第十一条第一項第二号の措置を受けて収容されている者とみなす。
第三条 この法律の施行の際現に存するこの法律による改正前の生活保護法の規定による養老施設は、この法律の規定により設置した養護老人ホームとみなす。
第四条 この法律の施行の際現に社会福祉事業等の施設に関する措置法(昭和三十三年法律第百四十二号)第二条の規定によりこの法律による改正前の生活保護法の規定による養老施設の用に供するため国が無償で貸し付けている普通財産を、引き続き地方公共団体において第十四条に規定する養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの用に供する場合又は社会福祉法人においてこれらの施設の用に供する場合においては、当分の間、これらの施設を社会福祉事業等の施設に関する措置法第二条第一号に掲げる施設とみなす。
第五条 この法律の施行の際現に存する有料老人ホームの設置者は、この法律の施行の日から一箇月以内に、その施設の所在地の都道府県知事に、第二十九条第一項各号に掲げる事項を届け出なければならない。
(社会福祉事業法附則第七項に関する特例)
第六条 社会福祉事業法附則第七項の規定に基づき置かれた組織の長は、この法律の適用については、福祉事務所長とみなす。
(地方自治法の一部改正)
第七条 地方自治法の一部を次のように改正する。
第二条第三項第六号中「、養老施設」を削り、「児童福祉施設」の下に「、老人ホーム等の老人福祉施設」を加え、同条第五項第四号中「養老施設」を「老人ホーム」に改める。
第二百五十二条の十九第一項第六号の次に次の一号を加える。
六の二 老人福祉に関する事務
(保健所法の一部改正)
第八条 保健所法(昭和二十二年法律第百一号)の一部を次のように改正する。
第二条第七号中「乳幼児」の下に「並びに老人」を加える。
(地方財政法の一部改正)
第九条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第十条第七号の三の次に次の一号を加える。
七の四 老人の健康診査、養護委託及び葬祭並びに養護老人ホーム及び特別養護老人ホームに要する経費
(厚生省設置法の一部改正)
第十条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条第五十二号の五の次に次の一号を加える。
五十二の六 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)の定めるところにより、養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営について基準を定めること。
第十二条第九号の次に次の一号を加える。
九の二 老人福祉法を施行すること。
第二十九条第一項の表の種類の欄中「社会福祉審議会」を「中央社会福祉審議会」に、「中央身体障害者福祉審議会」を「身体障害者福祉審議会」に改める。
(身体障害者福祉法の一部改正)
第十一条 身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)の一部を次のように改正する。
第六条第一項中「中央身体障害者福祉審議会及び地方身体障害者福祉審議会」を「厚生省に附属機関として、身体障害者福祉審議会(以下「審議会」という。)」に改め、同条第二項及び第三項を削り、同条第四項及び第五項中「中央身体障害者福祉審議会」を「審議会」に改め、同条中第四項を第二項とし、第五項を第三項とし、第六項を削り、同条第七項中「中央身体障害者福祉審議会及び地方身体障害者福祉審議会」を「審議会」に改め、同項を同条第四項とし、同条第八項中「中央身体障害者福祉審議会又は地方身体障害者福祉審議会」を「審議会」に改め、同項を同条第五項とする。
第七条第一項中「中央身体障害者福祉審議会は」を「審議会は、」に改め、「、地方身体障害者福祉審議会は委員二十人以内で」を削り、同条第二項中「前項の各審議会において、」を削り、「必要があるときは、」の下に「審議会に」を加え、同条第三項中「官吏又は吏員」を「職員」に改め、「又は都道府県知事」を削る。
第八条中「身体障害者福祉審議会」を「審議会」に改める。
第十五条第二項中「地方身体障害者福祉審義会」を「地方社会福祉審議会」に改め、同条第十一項中「中央身体障害者福祉審議会」を「審議会」に改める。
第十九条の二第六項中「中央身体障害者福祉審議会」を「審議会」に改める。
第二十五条第四項中「中央身体障害者福祉審議会」を「審議会」に改める。
第二十八条第一項中「中央身体障害者福祉審議会」を「審議会」に改める。
第三十六条中第一号を削り、第二号を第一号とし、第三号から第六号までを一号ずつ繰り上げる。
第三十七条の二第二号中「第三号」を「第二号」に改め、同条第三号中「第六号」を「第五号」に改め、同条第四号中「第四号及び第五号」を「第三号及び第四号」に改める。
第四十条第一項中「都道府県の設置したものについては厚生大臣、市町村の設置したものについては都道府県知事が、身体障害者福祉審議会の意見を聞いて」を「都道府県の設置したものについては厚生大臣が審議会の意見を聞いて、市町村の設置したものについては都道府県知事が地方社会福祉審議会の意見を聞いて」に改める。
(公職選挙法の一部改正)
第十二条 公職選挙法の一部を次のように改正する。
第四十九条第三号中「妊娠」の下に「、老衰」を加える。
(生活保護法の一部改正)
第十三条 生活保護法の一部を次のように改正する。
第三十条第一項ただし書中「養老施設、」を削る。
第三十八条第一項中第一号を削り、第二号を第一号とし、第三号から第六号までを一号ずつ繰り上げる。
第三十八条中第二項を削り、第三項を第二項とし、第四項から第七項までを一項ずつ繰り上げる。
第八十四条の二に次の一項を加える。
2 第六十六条第一項の規定は、前項の規定により指定都市の長がした処分に係る不服申立てについて準用する。
第八十四条の二の次に次の一条を加える。
(保護の実施機関についての特例)
第八十四条の三 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第十一条の規定により養護老人ホーム又は特別養護老人ホームに収容されている者に対する保護については、その者がこれらの施設に引き続き収容されている間、その者は、第三十条第一項ただし書の規定により収容されているものとみなして、第十九条第三項の規定を適用する。
(地方税法の一部改正)
第十四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十三条の四第一項第四号中「児童福祉施設」の下に「、老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)による老人福祉施設」を加える。
第三百四十八条第二項第十号中「児童福祉施設」の下に「、老人福祉法による老人福祉施設」を加える。
(社会福祉事業法の一部改正)
第十五条 社会福祉事業法の一部を次のように改正する。
第一条中「児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)」の下に「、老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)」を加える。
第二条第二項第一号中「養老施設、」を削り、同項第二号の次に次の一号を加える。
二の二 老人福祉法にいう養護老人ホーム、特別養護老人ホーム又は軽費老人ホームを経営する事業
第二条第三項第二号の次に次の一号を加える。
二の二 老人福祉法にいう老人福祉センターを経営する事業
第六条第一項中「社会福祉審議会」を「厚生省に附属機関として、中央社会福祉審議会」に改め、同条第二項中「社会福祉審議会は、厚生大臣の監督に属し」を「中央社会福祉審議会は厚生大臣の、地方社会福祉審議会は都道府県知事又は指定都市の長の監督に属し」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 社会福祉に関する事項(児童福祉に関する事項を除く。)を調査審議するため、都道府県及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)に地方社会福祉審議会を置く。
第六条に次の一項を加える。
4 中央社会福祉審議会は、社会福祉の増進を図るため、芸能、出版物等を推薦し、又はそれらを製作し、興行し、若しくは販売する者等に対し、必要な勧告をすることができる。
第七条第二項中「、委員の総数の三分の一以内の」を削る。
第八条第一項中「左の」を「次の」に改め、「厚生大臣」の下に「又は都道府県知事若しくは指定都市の長」を加える。
第十条第一項中「社会福祉審議会」を「中央社会福祉審議会」に改め、「生活保護専門分科会を」の下に「、老人の福祉に関する事項を調査審議するため、老人福祉専門分科会を」を加え、同条第二項中「社会福祉審議会」を「中央社会福祉審議会」に改め、同条第三項及び第四項を次のように改める。
3 地方社会福祉審議会に、身体障害者の福祉に関する事項を調査審議するため、身体障害者福祉専門分科会を置く。
4 地方社会福祉審議会は、前項の事項以外の事項を調査審議するため、必要に応じ、老人福祉専門分科会その他の専門分科会を置くことができる。
第十一条中「社会福祉審議会」を「中央社会福祉審議会」に改める。
第十二条を次のように改める。
(政令への委任)
第十二条 この法律で定めるもののほか、社会福祉審議会に関し必要な事項は、政令で定める。
第十三条第一項中「地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市」を「指定都市」に改め、同条第六項中「児童福祉法」の下に「、老人福祉法」を加える。
第十七条第三項中「児童福祉法」の下に「、老人福祉法」を加える。
第十九条及び第二十条中「地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市」を「指定都市」に改め、「児童福祉法」の下に「、老人福祉法」を加える。
(国有財産特別措置法の一部改正)
第十六条 国有財産特別措置法の一部を次のように改正する。
第三条第二項中「若しくは児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第五十六条の二第一項」を「、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第五十六条の二第一項若しくは老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第二十四条第二項」に改める。
(入場税法の一部改正)
第十七条 入場税法(昭和二十九年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
別表の主催者の欄中第十三号を第十四号とし、第十一号及び第十二号を一号ずつ繰り下げ、第十号の次に次の一号を加える。
一一 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)による老人福祉施設(この表において「老人福祉施設」という。)を設置する者
別表の支出先又は支出の目的の欄中「児童福祉施設」の下に「、老人福祉施設」を加える。
(社会福祉施設職員退職手当共済法の一部改正)
第十八条 社会福祉施設職員退職手当共済法(昭和三十六年法律第百五十五号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項第一号中「養老施設、」を削り、同項中第五号を第六号とし、第三号及び第四号を一号ずつ繰り下げ、第二号の次に次の一号を加える。
三 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第十五条第二項の規定による認可を受けた養護老人ホーム及び特別養護老人ホーム
(激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部改正)
第十九条 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第六号の次に次の一号を加える。
六の二 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第十五条の規定により設置された養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの災害復旧事業
第四条第五項中「、第六号」を「から第六号の二まで」に改める。
内閣総理大臣 池田勇人
大蔵大臣 田中角栄
厚生大臣 西村英一
自治大臣 篠田弘作