日本自動車ターミナル株式会社法
法令番号: 法律第七十五号
公布年月日: 昭和40年5月20日
法令の形式: 法律
日本自動車ターミナル株式会社法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十年五月二十日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第七十五号
日本自動車ターミナル株式会社法
(会社の目的)
第一条 日本自動車ターミナル株式会社は、トラック輸送の合理化を図り、あわせて道路交通の円滑化に資するため、大都市及びその周辺の地域において、トラックターミナル事業を行なうことを目的とする株式会社とする。
(株式)
第二条 日本自動車ターミナル株式会社(以下「会社」という。)の株式は、額面株式とする。
2 会社は、新株を発行しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
(政府及び地方公共団体の出資)
第三条 政府は、予算で定める金額の範囲内において、会社に対して出資することができる。
2 地方公共団体は、自治大臣の承認を受けて、会社に対して出資することができる。
(名称の使用制限)
第四条 会社でない者は、日本自動車ターミナル株式会社という名称を用いてはならない。
(代表取締役等の選定等の決議)
第五条 会社の代表取締役の選定及び解職並びに監査役の選任及び解任の決議は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(事業の範囲)
第六条 会社は、その目的を達成するため、トラックターミナル事業(自動車ターミナル法(昭和三十四年法律第百三十六号)第三条第二号に規定するトラックターミナル事業をいう。)及びこれに附帯する事業を営むものとする。
(事業計画等)
第七条 会社は、毎営業年度の開始前に、その営業年度の事業計画、資金計画及び収支予算を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これらを変更しようとするときも、同様とする。
(重要な財産の譲渡等)
第八条 会社は、運輸省令で定める重要な財産を譲渡し、担保に供し、又は有償で取得しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
(社債及び借入金)
第九条 会社は、社債を募集し、又は弁済期限が一年をこえる資金を借り入れようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
(社債発行限度の特例)
第十条 会社は、商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百九十七条の規定による制限をこえて社債を募集することができる。ただし、資本及び準備金の総額又は最終の貸借対照表により会社に現存する純資産額のいずれか少ない額の二倍をこえてはならない。
(定款の変更等)
第十一条 会社の定款の変更、利益金の処分、合併及び解散の決議は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 前項の合併の決議(会社と自動車ターミナル法の規定による自動車ターミナル事業者でない法人との合併であつて会社が存続するものについての決議を除く。)又は解散の決議についての運輸大臣の認可は、同法第二十二条第二項又は第二十三条第二項の規定による認可とみなす。
(財産目録等の提出)
第十二条 会社は、毎営業年度経過後三月以内に、その営業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに営業報告書を運輸大臣に提出しなければならない。
(監督)
第十三条 会社は、運輸大臣がこの法律の定めるとろに従い監督する。
2 運輸大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(協議)
第十四条 運輸大臣は、第二条第二項、第七条から第九条まで又は第十一条第一項(会社の定款の変更の決議に係るものについては、会社が発行する株式の総数を変更するものに限る。)の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。
(報告及び検査)
第十五条 運輸大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(罰則)
第十六条 会社の取締役、監査役又は職員が、その職務に関して、わいろを収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによつて不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたときは、五年以下の懲役に処する。
2 前項の場合において、犯人が収受したわいろは、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第十七条 前条第一項のわいろを供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第十八条 第十五条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
第十九条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした会社の役員は、三十万円以下の過料に処する。
一 第二条第二項の規定に違反して、新株を発行したとき。
二 第七条の規定に違反して、事業計画、資金計画又は収支予算の認可を受けなかつたとき。
三 第八条の規定に違反して、財産を譲渡し、担保に供し、又は有償で取得したとき。
四 第九条の規定に違反して、社債を募集し、又は資金を借り入れたとき。
五 第十二条の規定に違反して、財産目録、貸借対照表、損益計算書若しくは営業報告書を提出せず、又は不実の記載をしたこれらの書類を提出したとき。
六 第十三条第二項の規定による命令に違反したとき。
第二十条 第四条の規定に違反した者は、五万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(会社の設立)
第二条 運輸大臣は、設立委員を命じ、会社の設立に関して発起人の職務を行なわせる。
第三条 設立委員は、定款を作成して、運輸大臣の認可を受けなければならない。
2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。
第四条 政府は、会社の設立に際し、五千万円に相当する株式を額面価額で引き受けるものとする。
第五条 昭和三十九年十二月十八日東京都新宿区四谷三丁目二番地に設立された東京トラックターミナル株式会社(以下「旧会社」という。)は、この法律の施行後二月以内に商法第三百四十三条に規定する株主総会の決議を得て、会社の設立に際し、会社に対してその営業の全部を出資することができる。
2 商法第二百四十五条ノ二本文、第二百四十五条ノ三及び第二百四十五条ノ四の規定は、前項の場合について準用する。
第六条 旧会社が前条第一項の規定による出資をする場合においては、旧会社の株主は、その所有する株式の数に比例して、会社の株式引受人となる。
第七条 前条の規定により引き受けることとなる会社の株式に一株に満たないものがある者の所有する旧会社の株式については、設立委員は、商法第三百七十九条第一項に規定する処分をすることができる。
第八条 附則第五条第二項において準用する商法第二百四十五条ノ二本文の規定により旧会社の株式の買取りの請求をした者が会社の成立後当該株式の代金の支払を受けたときは、その者の有する会社の株式は、会社に移転する。
第九条 附則第五条第一項の規定により旧会社が出資する営業の価格は、臨時に運輸省に置く評価審査会が決定する。
2 前項の評価審査会は、委員五人をもつて組織する。
3 前二項に定めるもののほか、第一項の評価審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
第十条 旧会社は、附則第五条第一項の規定による出資をする場合においては、会社の成立の時において、解散するものとし、その権利及び義務は、会社に承継されるものとする。この場合においては、商法第百七十七条第三項の規定は、適用しない。
第十一条 前条の場合において、旧会社の株式を目的とする質権は、附則第六条の規定により旧会社の株主が受けるべき株式又は附則第七条の処分により旧会社の株主に交付すべき金銭の上に存在する。
2 商法第二百九条第四項の規定は、前項の質権について準用する。
第十二条 会社の株式申込証には、商法第百七十五条第二項第一号に掲げる事項に代えて、附則第三条第一項の定款の認可の年月日を記載しなければならない。
第十三条 附則第四条及び附則第六条の規定により政府及び旧会社の株主が会社の設立に際して発行する株式の総数を引き受けた場合においても、会社の設立は、募集設立に関する商法の規定によるものとする。
第十四条 商法第百六十七条、第百八十一条及び第百八十五条の規定は、会社の設立については、適用しない。
第十五条 この法律による会社の設立に伴い必要な登記については、登録税を免除する。ただし、資本の金額のうち政府の出資及び附則第五条第一項の規定による出資に係る部分以外の部分については、この限りでない。
第十六条 附則第二条から前条までに規定するもののほか、会社の設立及び旧会社の解散に関し必要な事項は、政令で定める。
第十七条 附則第十条の規定により旧会社が解散する場合においては、他の法令中法人の解散及び清算に関する規定は、適用しない。
(名称についての経過規定)
第十八条 この法律の施行の際現に日本自動車ターミナル株式会社という名称を使用している者については、第四条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
(事業計画等についての経過規定)
第十九条 会社の設立の日の属する営業年度の事業計画、資金計画及び収支予算については、第七条中「毎営業年度の開始前に」とあるのは、「会社の成立後遅滞なく」とする。
(地方税法の一部改正)
第二十条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
附則に次の一項を加える。
(日本自動車ターミナル株式会社に対する固定資産税の課税標準の特例)
54 日本自動車ターミナル株式会社法(昭和四十年法律第七十五号)による日本自動車ターミナル株式会社が昭和四十六年一月一日までに取得した直接その本来の事業の用に供する構築物で政令で定めるものに対して課する固定資産税の課税標準は、第三百四十九条の二の規定にかかわらず、当該構築物に対して新たに固定資産税が課されることとなつた年度から三年度分の固定資産税に限り、当該構築物に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の二分の一の額とする。
(租税特別措置法の一部改正)
第二十一条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第八十四条中「及び北海道地下資源開発株式会社」を「、北海道地下資源開発株式会社及び日本自動車ターミナル株式会社」に改める。
(運輸省設置法の一部改正)
第二十二条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第二十八条第一項第四号の二の次に次の一号を加える。
四の三 日本自動車ターミナル株式会社に関すること。
法務大臣 高橋等
大蔵大臣 田中角栄
運輸大臣 松浦周太郎
自治大臣 吉武恵市
内閣総理大臣 佐藤栄作